街路樹に溶け込むアート 三菱地所&彫刻の森 第43回「丸の内ストリートギャラリー」
第43回「丸の内ストリートギャラリー(MARUNOUCHI STREET GALLERY)」展示作品
三菱地所と彫刻の森芸術文化財団は6月28日、第43回「丸の内ストリートギャラリー(MARUNOUCHI STREET GALLERY)」を同日から2025年5月まで開催すると発表した。同日、プレスお披露目会(ガイドツアー)を行った。
「丸の内ストリートギャラリー」は、丸の内仲通りを中心に近代彫刻や世界で活躍する現代アーティスト作品を展示するプロジェクトで、今年で50周年を迎えることを記念し、新作5点、継続作品2点、入れ替え作品12点の合計19作品を展示するもの。
プレスお披露目会で三菱地所コンテンツビジネス創造部部長・小林京太氏は、「街にアートをコンセプトに1972年から開始したプロジェクトは、今年で50周年を迎える。街行く人だけでなく、就業者からも高い評価を頂いている。美しい街路樹に溶け込むアートと街の魅力に触れていただきたい」とあいさつ。
プロジェクトに協賛している彫刻の森芸術文化財団 事業推進部部長・坂本浩章氏は、「プロジェクトはパブリックアートとしては先駆的な取り組み。当初は道路が狭かったが、その後はオフィスの1階に商業施設がオープンし、認知度が高まってきた。今回の新作は注目度の高いアーティストの作品を選んだ」と話した。
同日公開した公式サイト(https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/)では、新作を展示したアーティスト4名のインタビュー動画のほか、各作品の詳細が紹介されている。
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全長1.2㎞、幅員21m(車道7m+歩行空間各7m)の仲通りは、わが国でもっとも美しい街並みの一つだろうと思う。50年前までは土曜・日曜となると閑古鳥が鳴いていた。その後、ケヤキなどの街路樹は年々成長し、歩道空間に置かれたベンチで休んだり飲食したりすることもできる。
全国の街づくりのモデルだと思う。仲通りは公道だ(都道・区道)。道路管理者は当然都や千代田区だ。その延長線の公開空地は原則、営利事業は禁止されているはずだ。この歩行者空間にアートを展示し、飲食などを可能にしたのは、2002年に設立された大丸有エリアマネジメント協会(レガーレ)の功績が大きい。
日常的に街角でアート作品に触れられるのはとても気持ちのいいものだ。小生が2年前まで勤務していた「丸の内オアゾ」には展示作品の一つ、三沢厚彦氏の「Amimal 2017-01-B2」があり、ビル内にはピカソの「ゲルニカ」のレプリカもある。
また、コロナ後も時間があると「三菱一号館」の中庭に面したワインバー「マルゴ丸の内」に立ち寄り、アギュスタン・カルデナスの「拡散する水」を眺めながら、ワインを飲む。(奥まったところにヘンリー・ムーアの「羊の形」があることは全然知らなかった)
丸の内仲通り
丸の内仲通り
三菱一号館の中庭(右がワインバー「マルゴ丸の内」。中央に「拡散する水」が見える)
アギュスタン・カルデナスの「拡散する水」
ヘンリー・ムーアの「羊の形」
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お披露目会の見学ツアーは1時間くらいしかなく、じっくり鑑賞できなかったのは残念だったが、登壇された舟越桂氏、松尾高弘氏、中谷ミチコ氏の作品とその説明はとても興味深いものだった。
舟越桂《私は街を飛ぶ》
作品について語る舟越氏
舟越氏は、作品の頭部に本、並木道、教会を配したことについて、協会は自らカトリックであり、並木道は空を飛ぶ夢を見たことがヒントにあるとし、「本は人間が作った一番美しいのは言葉だから」と語った。
記者も同感だ。日本語は何と美しいことか。人間の生と死、怒り、喜び、悲しみ、美醜などを造形する彫刻もまた、手法こそ違え小説と同じではないか。今回の作品は、100人観たら100人とも違った印象を受けるのではないか。
舟越桂《私は街を飛ぶ》舟越桂は、日本を代表する彫刻家のひとりである。人物の頭部には、教会、本、並木道が配され、記憶や思い、自然、個人の心の中にもある距離や空間的広がりを表している。パブリック作品としての希少さもさることながら、着彩されたブロンズ作品としては自身の初作品となる。作品が設置される場所の日の動きまでも考慮し着彩された人物像は、静謐さの中 にも華やかさと上品さを感じ、時間や季節の移り変わりと共に、街の喧騒と静けさに寄り添いながら、通る人々に「記憶」や「想い」を語りかけるであろう。(リリースから)
松尾高弘《Prism“Dahlia+Peony”》
松尾氏と作品の一部
松尾氏は、「光を形にした」と語ったように、ビルの内と外、人の動きによる光の微妙な変化を捉えた作品だ。(記者はサンフロンティア不動産のオフィスビルで、雨上がりのあと、室内に虹が差し込んだのに感動を覚えたことがある。太陽光の角度と屋外の庇状のガラスが演出した自然現象だった)
松尾高弘《Prism“Dahlia+Peony”》大手町ビルのエントランス左右2か所に設置された、光のインスタレーション。花の結晶として形作られたオブジェクト群は、ダリアとピオニーによる連作であり、空間に与える情感を対比的に構築する。透明なルーバー状のアクリルと、そのサーフェイスを群生するように咲くプリズムのフラワーは、風景と交錯しながら、太陽光の変化や人の往来の移り変わりを取り込み、都市とアートが溶けあいながらも、鮮やかな輝きを放ち続けるタイムレスな作品とした。(同)
中谷ミチコ≪小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥≫
作品の背面もアート(小生も写っている。下部は台座が写り込んでいるのが残念)
作品について語る中谷氏
中谷氏は、作品が展示されることについて「とても光栄だが、場違いではないかと驚いている。作品例も多くなく現実味がない」とはにかみながら話した。作品には記者も驚いた。ブロンズの裏面の半円形の円筒に鑑賞者が写り込むからだ。そして、中谷氏自身が「実はわたしはここにはいない。青い鳥も不在」と哲学的な言葉を発したのにぎくりとした。
中谷ミチコ≪小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥≫魚の泳ぐ水をスカートで大事そうに運ぶ女の子は妊婦です。全ての人は胎児だったから、この作品の主は魚です。虚と実を行き来しながら、揺らぎの中で確かなモノを探すためには、やはり物質とそれが作りだす凹凸を手探りすることが自分には大切で、だから私は彫刻を作っているのだろうと思います。凹凸に起こる無数の反転が、見る人の身体を取り込みながら、作品と一人一人の間に結ばれる関係を「唯一のもの」とする場所にしたいと思いました。(同)
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プレスお披露目会ではもう一つ、嬉しいことがあった。小林氏のあと同社コンテンツビジネス創造部主事・谷村真志氏が登壇し、作品展示について説明したのだが、どこかで聞いたことがある名前で、マスク越しではあっても会ったことがあるような気がした。顔写真をカメラに収めた。
谷村氏こそかつての三菱地所の野球部の主砲だった。RBA野球大会でも大活躍した。発表会後に語り掛けたら「5年前に子どもが生まれてから野球は全然やっていない」と話した。
野球がらみでは、先に同社が行った「有楽町『SLIT PARK(スリット パーク)』」記者見学会で、早大応援団長出身で同社の野球部応援団長でもある鈴木崇正氏から声を掛けられた。RBAのホームページで「三菱地所」「谷村」「鈴木」で検索すると結構記事がヒットするはずだ。
谷村氏
お披露目会 発表会場となった三菱ビル1階
壮大な街づくりの一環501㎡の「新国際ビル」路地裏を多目的空間にリノベ 三菱地所(2022/5/27)
アートプロジェクト「ソノ アイダ#有楽町」第3弾 11/29まで期間延長 三菱地所(2020/1/11)
三菱地所「丸の内ストリートギャラリー」 オールナイトニッポンで音声ガイダンス(2021/6/21)
希望の虹を見た 多様な働き方を提案 サンフロンティア「+SHIFT KANDA」(2021/7/28)
三井不レジサービス 接戦を制す 綾部が決勝打 三菱地所 鈴木、青地の猿芝居空し(2018/7/3)
青山メイン逆転勝ち 北野新監督 投打に活躍 三菱地所 早大応援団長出身 葬送歌?(2017/7/23)
リニア開業後の資産性を訴求 駅圏 初のコンパクト マリモ「橋本」販売好調
「ソルティア橋本」
マリモが分譲中の「ソルティア橋本」を見学した。JR・京王相模原線橋本駅圏では初のコンパクトマンションで、今年3月から完成販売を開始し、これまで全40戸のうち30戸を成約するなど販売は順調だ。
物件は、JR横浜線橋本駅徒歩5分、京王相模原線橋本駅徒歩6分、相模原市緑区橋本六丁目の商業地域(建ぺい率100%、容積率300%)に位置する12階建て40戸。専有面積は31.57~39.73㎡、坪単価は320万円。建物は2021年12月に完成済み。設計・監理はBond Design 一級建築士事務所。施工はCMC。販売代理はシティインデックス。
現地は、駅前のイオン橋本店や「リビオ橋本タワー」「グラントーレ橋本」のタワーマンションに近接。駅の反対側では2027年開業予定のリニア中央新幹線の新駅&複合施設計画が進行中。
敷地は北側と東側に接道。建物は東向き、住戸は2階からで1フロア2~4戸構成。主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2450ミリ(2階・12階)・2500ミリ(3~11階)、三ツ口コンロ(一部除く)、Low-E複層ガラス、床暖房、浴室タオル掛けなど。
今年3月5日から販売開始し、これまで30戸を成約、1戸が成約見込みで、実質的に残りは9戸。購入者の属性は女性:男性比率は7:3。女性は20~40代で、地元に勤務する公務員や医療機関従事者が目立つという。男性は会社員が中心で、セカンド・投資需要もあるという。来場者は200件。
同社マンション事業本部おもてなし課 マンションギャラリー所長・安江裕太氏は「お客さまは橋本をよくご存じの方が中心。リニア計画は現段階で不明ですが、資産性・換金性を訴求しています」と語っている。
モデルルーム
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リニア中央新幹線の詳細は不明だが、日本エスコンは再開発エリアに近接する病院跡地約7,700㎡のマンション用地を昨年取得している。140戸程度が予定されており、今秋にも分譲開始される模様だ。
いくらになるか分からないが、坪単価は300万円をはるかに突破するはずだ。わが多摩センター駅圏ではもはや駅近の開発用地はないが、仮に供給されたら300万円台になるかどうか。
ワイドスパン、多面採光がいい リストが販売復代理の山田建設「橋本」(2020/2/20)
コンパクト需要旺盛 コロナ禍でも変わらず 快適住まい・木村社長が語る
木村社長
1994年(平成6年)4月に会社を設立して以来、提携デベロッパーは100社以上、企画・販売協力物件1,337棟、会員数104,803人(うち約27,000人以上がマンションを購入)の実績を積み上げてきた快適住まいづくり・木村吉伸社長(71)にインタビューした。テーマは、コロナ禍でコンパクトマンション市場は変わったのか変わらないのかだ。
木村社長は開口一番、「コロナ前とベースは変わらない。単身者向けコンパクトマンションに対するニーズは旺盛で、本当にいいものとは何か、損か得かを真剣に考える人が増えている」と語った。
ベースに変化はないことの裏付けとして、木村社長は婚姻年齢の推移、高齢化の状況、名目賃金の推移などのマクロデータを示した。景気はよくならない一方で物価上昇、利回り優先の賃貸市場、晩婚化・単身世帯増の流れに変化はなく、年金など老後の生活不安も解消されないからだと説明した。
コロナ禍で郊外マンションを購入するファミリー層が増えていることについては、「テレワークが定着しており、ファミリー層はそのような傾向がみられるが、単身者は利便性を重視する傾向が強い」と話した。
しかし、その一方で「エネルギー問題、ウクライナ問題などからして建築費の上昇は避けらない。都心部では坪単価は500万円以上となり、普通の単身者の取得限界を超えている。準都心部での価格上昇も続いている」とし、今後はこれまで供給事例がなかったエリアに拡大するのではないかと語った。
その好例として、マリモが分譲中の「ソルティア橋本」40戸をあげた。橋本駅から徒歩5分の全戸がコンパクトタイプのマンションだ。この物件については取材済み。残りは10戸を切った。坪単価は320万円。機会を改めて紹介する。
さらに、坪単価260~300万円で供給可能な船橋、松戸、八王子、志木などのほか、舎人ライナー、東武線・京成線、駅から徒歩12~15分でも生活しやすい京王・小田急線などが今後注目されるのではないかと話した。
また、今後の展開として、「SDGsを意識したZEHマンションや、木をふんだんに用いた商品企画、中古のリノベなどの提案を行っていく」と話した。
同社の業績については、「2018年10月度まで24期連続黒字を達成したが、コロナ禍でセミナーを自粛したが、このところはやや持ち直してきている」とし、自社分譲の第8弾「サクラコンフォルテ新綱島」41戸(坪単価380万円)も残り6戸という。
以前行っていた男性向けセミナーはやめたそうだ。その理由について、「男性はマンション購入は結婚してからでも遅くないと考える人が多く、セミナーを実施しても集まらない」と話した。
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子どもの教育、住環境を重視するファミリー層と異なり、単身世帯は身軽でどこにでも住める。やはり資産性・換金性を考えたら、人気エリアのほうに集中するのは当然。理想は山手線内と沿線と考える人が多いが、坪単価は今後600万円以上となるのは必至だ。普通の職業の人は親の援助がないとまず買えない。
となると、郊外を考えざるをえなくなるが、住めば都。どこがいいか、決めるのは本人だ。〝本当に住みやすい街〟などのプロパガンダを信じてはいけない。
記者は街のポテンシャルは①百貨店(1か所で全てが揃う)②ホテル(宴会もできる)③歴史・文化施設(コンサート会場なと)の3つを重視するが、3つとも揃っている街はそう多くない。この点について木村社長は「今後は、スーパーなどの買い物施設、公共施設、スポーツ施設など比較的便利なエリアで新しい立地が増えてくるのではないか」と話している。
わが多摩センターは、とっくにそごう-三越百貨店が撤退し、京王プラザホテルも閉鎖が決まった。町田や新百合ヶ丘、立川にどんどん離させる。橋本に逆転されるのも時間の問題だ。
素晴らしいの一語 市民に開放を ナイス 本社ビル木質化リノベ/対照的な歩道の雑草
ナイス本社ビル1階エントランススペース
ナイスが創立70周年記念プロジェクトの一環として木質化リノベーションした本社ビルを見学した。素晴らしいの一語だ。市民に開放してほしい。
リノベーションは、コンセプトである「脱炭素・木質化の推進、アフターコロナにおける社員間コミュニケーションの創造」を具現化するため、新しい空間提案「WoWooD™(ワウッド)」の取り組みを髄所に盛り込んでいる。
1階エントランスホールの受付背面には高さ6mの天井までスギの大径木を施したほか、約140㎡のロビーのフローリングには飫肥杉の赤身材を活用した「Gywood®」を使用し、老舗家具メーカー柏木工とのコラボによるテーブルとソファを設えている。新設した戸建て住宅のミニ版「キッズハウス」には木質繊維断熱材の「ウッドファイバー™」を採用し、床はクリ材のナグリ仕上げ。
2階の接客スペースの受付カウンターにはヒノキ、オニグルミ、ヤマザクラ、コウヤマキを採用。壁には柿渋塗装を施している。6部屋にはクリ、クルミ、ナラ、ヒノキ、サクラ、スギのそれぞれ異なる樹種を使用。樹種によって異なる木目やさわり心地が体感できるようにしている。大会議室の会議用テーブルは、既存の天板・幕板を「Gywood®」に張り替え、腰壁には「凸凹「Gywood®」を採用している。
7階のコワーキングスペースは、木質化を実施することで作業効率の向上や疲労軽減効果を図っている。
今回の内装木質化による木材利用量は約23㎥、CO2貯蔵量は約13t。スギ1本が1年間に固定する二酸化炭素の量を約14kgとした場合、約930本に相当する。設計・工事は乃村工藝社が担当した。
2層吹き抜けのエントランスホール(右はスギの大径木)
キッズハウス
2階受付
接客室(壁は木質繊維断熱材「ウッドファイバー™」)
「Gywood®」のテーブル
7階コワーキングスペース
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商業施設では虎屋の本社・店舗が素晴らしく、三井デザインテックの本社ビルの緑化も凄いとは聞いているが、これほど本物の木を内装に使用している本社ビルは見たことがない。一緒に見学した同業の記者の方はその馥郁たる香りに感嘆の声をあげていた。森林浴でもしている気分になったのではないか。
記者も同じだ。最高の面材と考えているクルミやサクラ、すべらかなスギ材やヒノキ材の「Gywood®」は頬ずりしたくなるほどだった。机にしても下敷きなど必要ない。壁などには防虫効果、防腐効果、防水効果がある柿渋が使用されていると聞き舞い上がった。菊池建設が松竹梅をテーマにデザインした応接室もいい。
そこで同社に提案だ。これだけではもったいない。同社の仲介店舗では「住まいるCafé」として顧客に開放しているように、7階のコワーキングスペースは市民に開放してはいかがか。本棚には社員や市民から募って〝私のお勧めの3冊〟などを借り受け、貸し出しを行うのもいい。顧客満足度は飛躍的にアップすること請け合いだ。
2階から1階写す
スギの大径木
2階接客室のサイン(左)と柿渋塗装
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取材は素晴らしかったのだが、その分理解しがたい、わが多摩市のグリーンボランティア活動や公園・道路のアダプトと対照的な光景にも出くわした。鶴見駅から同社の本社ビルまでの道すがら、街路樹を観察した。東口中央通りのケヤキやクスノキの剪定はまずまずだが、植栽帯にはオオアレチノギク(多分)やススキなどの雑草が生い茂り、本社ビルの目の前、国道15号線の中央分離帯は小山のように雑草が繁茂していた。
とても残念に思ったのだが、取材を終え駅に戻る途中には、「さわやかまちかど 東口中央通り ハマロード・サポーター この道はナイスグループが清掃活動をしています」との看板が道路端に掲げられていた。同社ホームページでも確認した。CSR活動の一環である清掃活動は市から「ハマロード・サポーター」に認定されている。
同社の野球部の皆さん。今年もRBA野球大会は中止となった。3年連続だ。有り余る力を発揮する場を失って嘆いているはずだ。企業市民の代表として雑草狩りをやってほしい。声を掛けてもらったら取材にすっ飛んでいく。
あまりにも対照的な植栽帯(左)と本社の植栽
ナイス本社ビル前の植栽帯
東口中央通りの植栽帯
新横浜のF・マリノス通り
実に美しいケヤキの剪定 ムクドリ対策 柏の葉キャンパス駅前の街路樹(2022/6/27)
5社ブランドとの連携がいい 野村不の常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」
「プラウドギャラリー武蔵小杉」
野村不動産が先にオープンした、神奈川県内の「プラウド」マンションを比較検討できる常設「プラウドギャラリー武蔵小杉」を見学した。販売機能だけでなく伊勢丹新宿本店、BLUE BOTTLE COFFEE、arflex、parkERs、@aromaの5社のライフスタイルブランドと連携し物販販売、新しいライフスタイルを提案する同業他社の常設モデルルームとは一味も二味も異なる施設だ。
場所は、JR南武線武蔵小杉駅から徒歩1分、東急東横線武蔵小杉駅から徒歩3分の武蔵小杉タワープレイス4階と10階、延床面積は約254坪(約841㎡)。現在、「プラウド武蔵新城ステーションマークス」(109戸)「プラウド溝の口イースト」(44戸)「プラウド元住吉ガーデンズ」(117戸)「プラウド新丸子」(97戸)の4物件を紹介している。
4階は、接遇スペースと「リビングSTUDIO」、「キッチンSTUDIO」、「Cafeスペース」の3つのエリアからなり、「プラウド」と親和性の高い内装にしているのが特徴だ。例えば、伊勢丹新宿本店との連携では、食器やキッチン家電が展示されており、バーコードを読み取ることで商品の詳細が分かり購入も可能。来場者に1本600円以上もするBLUE BOTTLE COFFEEなどの飲み物を無料で提供する。「リビングSTUDIO」に展示されている家具類は全てArflex製で、観葉植物はparkERsがアレンジ。各スタジオ、レセプション空間は@aromaの香りでくつろぎの空間を演出する。
10階は、71㎡の3LDK、33㎡の1LDKのコンセプトルームのほか、テレワークスペースや「インテリア住宅ローン」「宅配型収納サービス」の紹介コーナーがある。
施設のチーフ・大平章博氏は、「常設ギャラリーは『代官山』『池袋』『五反田』に次いで4施設目。現在紹介している物件は『元住吉』『溝の口』『新丸子』『武蔵新城』の4物件ですが、みんな人気。これからも川崎市の物件を中心に供給物件は続々控えており、ラインアップを整えていきます。接客ブースは20卓あるのですが、これでは足りないくらいで、もう1フロア拡充することを検討しています。販売拠点として長期にわたり機能させていきたい」と語っている。
parkERsがアレンジしている観葉植物
伊勢丹新宿本店の食器類提案
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マンションデベロッパーの常設販売拠点・モデルルームはこれまで十数か所見学している。内装仕上げグレードの高さでは、5つ星ホテルそのものの伊藤忠都市開発「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」がやや抜けている。広さでは710坪もある住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」が図抜けている。
今回の「プラウドギャラリー武蔵小杉」はどうか。販売する物件が坪300万円台から400万円台が中心であることから、お金持ち対象ではない。少し背伸びしたら届きそうなレベルだ。「プラウドと親和性の高い」仕様にしているのも納得だ。
これに近い常設モデルとしては、コスモスイニシア「イニシアラウンジ三田」がある。こちらはparkERsを起用したコスモスイニシアの世界観がいかんなく発揮されている。素晴らしい。
さらにまた、モデルルームではないが、積水ハウスの新しいオフィス提案「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)」の「新宿」「青山」「池袋」「錦糸町」ともよく似ている。
この野村不動産、コスモスイニシア、積水ハウスの3社は互角だろうと思うが、総合的な提案力を加味すると、野村不動産に軍配が上がるのではないか。お客さんに提供するというBLUE BOTTLE COFFEE BOLDを今度飲んでみよう。
現在紹介している「元住吉」(坪単価368~370万円)は来週抽選予定で全117戸のうち第1期として100戸を供給する。1LDKの比率が高い「新丸子」(坪単価400万円)は駅から徒歩2分、全てがコンパクトの「溝の口」は新提案の「スタイリングキューブ」「ドレッシングクローク」などを提案している。
「スタイリングキューブ」の開発に当たっては大平氏も参加しており、横1400ミリ×幅1000ミリのキッチン天板にキャスター付き可動収納が付いているのが特徴で、調理スペースやカウンターテーブルなど多目的に利用できるようになっている。
お客さんに無償で提供される飲料(酒の提供はない)
スタイリングキューブ
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これは松尾大作社長にお願いだ。記者は最近しつこいくらい浴室のタオル掛けの本数を記事にしている。たかが1本1万とか2万円のタオル掛けをコストを下げるために1本に減らしたり、あるいはゼロにしたりするデベロッパーが増えているからだ。
ファミリー向けは2本が必須であることはみんながそう思っている。御社は「オハナ」を含めて2本が標準かと思ったが、そうでないようだ。社長!社長が一声かければ2本が標準になる。「プラウド」のブランド力は圧倒的な商品企画力と設備仕様レベルの高さで築いてきたはずだ。
タオル掛け2か所
目を見張る710坪のマンションギャラリー 住友不「汐留」開設/第一弾は「虎ノ門」(2022/1/14)
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)
積水ハウス「スムフム テラス錦糸町」/往年のRBA野球スター選手が勤務(2020/4/18)
これは凄い ホテルなら5つ星 伊藤忠都市 「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)
駅1分の利便性・資産性受けたか 県外が5割 日鉄興和「羽沢横浜国大」好調スタート
「リビオタワー羽沢横浜国大」
日鉄興和不動産が分譲開始した「リビオタワー羽沢横浜国大」を見学した。「羽沢横浜国大」駅から徒歩1分の全357戸で、6月4日から販売開始した第1期1次111戸、第1期2次7戸のうち100戸以上に申し込みが入った。来場者は700件を突破している。
物件は、相鉄・JR直通線羽沢横浜国大駅から徒歩1分、横浜市神奈川区羽沢南2丁目の準工業地域(建ぺい率80%、容積率430%)に位置する敷地面積約7,407㎡、地上23階地下1階建て全357戸(募集対象外住戸7戸含む)。専有面積は28.12~83.16㎡。第1期2次(7戸)の価格は3,958万~8,188万円(36~74㎡)。全体平均坪単価は340万円。竣工予定は2023年11月下旬。売主は同社のほか三菱地所レジデンス。設計・監理はアール・アイ・エー。施工は熊谷組。販売代理は東急リバブル。
敷地は、寺田倉庫による区画整理事業地の一角。同社の倉庫があったそうだ。建物の1階から4階までは寺田倉庫が運営する商業施設、子育て支援施設、医療施設、大学活動支援施設が予定されている。住居部分は5階以上。
6月4日~12日に第1期1次の111戸のほか、第1期2次の7戸を供給し、100戸以上に申し込みが入った。エントリー数は4,300件に達しており、来場者も700件を突破している。来場者の属性は神奈川区が10%、市内が30%、県外が約半数。5~10階まで8スパンある28㎡・36㎡のタイプ(48戸)などは投資需要もあるという。
主な基本性能・設備仕様は、制震構造、内廊下方式、二重床・二重天井、二重サッシ、リビング天井高2500ミリ(最上階は2700ミリ)、ハイサッシ、ワイドスパン、御影石キッチン天板、ディスポーザー、食洗機、自動開閉機能付きトイレ、浴室タオル掛け2か所など。このほか、共用部にはOKAMURA、ダイキン工業、bitlock、ソニーPCLなどの最新のデジタル技術を結集してアクティブラウンジを設ける。
同社住宅事業本部再開発推進部再開発推進第二グループ・坂井秀斗氏は、「2023年には相鉄・東急直通線の開業が予定されており、駅1分の利便性、資産性が評価されている。隣駅の武蔵小杉駅圏のマンションは坪単価400万円をはるかに突破してきているので、こちらを選択される方も多い。設備仕様レベルを高くしている」と話した。
2層吹き抜けのエントランスホール
モデルルーム
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83㎡、90㎡のモデルルームのレベルは高い。プランもいい。間口は、コンパクトを除き東南向き、南向き住戸のほとんど6.4m以上で、10m近いタイプも多い。坪単価については触れない。
新横浜にあるモデルルームを見学したときは現地を見ていなかった。現地を見ずに記事を書くのは、現場主義を標榜する記者の沽券にかかわるので、翌日、野村不動産の武蔵小杉の常設「プラウドギャラリー」の取材あと現地を見ることにした。
2019年に開業した羽沢横浜国大駅に着いたのは午後4時40分頃。武蔵小杉駅から1駅だからものの数分だろうと思ったがとんでもない。15分もかかるのに驚いた。そのうち半分は地上、半分は地下だった。いったい全体どこを走っているのか全く分からなかった。JR貨物船などと並行して走っているようだ。それにしてもて首都圏の鉄道路線でこれほど駅間距離=時間が長いのは他にあるのか。中央線快速の新宿-東京間と同じだ。
駅周辺は駅舎と2~3階建てくらいの換気塔、2階建てのドラッグストアしかなく、四囲は小高い戸建て住宅地。物件の愛称は「HAZAWA VALLEY(ハザワバレー)」とあったのは、シリコンバレーにあやかったのか。横浜国大までは坂を上って20分かかると言われたのであきらめた。
朝からなにも食べていなかったので、唯一見つかった小さな居酒屋に立ち寄った。30年前に開業したそうで、手作り料理が売りだった。ぬか漬けは〝おばあちゃんの味〟とお客さんは言うそうだ。マンションの完成まであと1年少し。入居者が押し掛け、居酒屋さんの苦労が報われてほしい。
駅舎(緑は少ない)
建築現場(右側の建物はどうしてこんな位置にあるのか換気塔)
居酒屋の前から写す(手前の建物がドラッグストア)
全68戸にピアキッチン装備 歩留りは実に3割 ポラス中央住宅「南流山」
「ルピアコート南流山」
ポラスグループ中央住宅が分譲中の「ルピアコート南流山」のモデルルームを見学した。同社のヒットアイテム「ピアキッチン」を全住戸に標準装備しているのが特徴で、5月から分譲開始し、これまでに第1期1次・2次・3次32戸が完売している。
物件は、つくばエクスプレス・JR武蔵野線南流山駅から徒歩10分、流山都市計画事業本地区一体型特定土地区画整理事業地域内の第二種住居地域に位置する8階建て全68戸。6月下旬に分譲する第2期15戸の専有面積は58.83~70.65㎡、価格は未定。全体の坪単価は230万円。竣工予定は2023年2月中旬。設計はボンドデザイン一級建築士事務所。施工はファーストコーポレーション。販売代理は東京中央建物。
5月7日に分譲開始した第1期1次25戸のほか、これまで第1期2次5戸、第1期2次2戸の合計32戸を完売。来場者は160組。属性は流山市55%、その他千葉県20%、東京都15%、埼玉県10%、TX沿線利用者。
現地は、2014年分譲のNTT都市開発・大成有楽不動産・長谷工コーポレーション「ウェリス南流山」345戸に隣接。徒歩圏には商業施設、公園、学校などの生活利便施設が整っているエリアの一角。
建物はL字型で、住戸は南向きが約8割、西向きが約2割。主な基本性能・設備仕様は、ワイドスパン、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ(2~8階)・2500ミリ(1階)、ピアキッチン、食洗機、変身クローク、複層ガラス(Low-E)、まもるんスペース、AKUDANA、浴室タオル掛け2か所、ちょいおきレール、片寄マイギャラリーなど。
同社は人気の要因を「おおたかの森より南流山がよいとの評価をしている方が想像以上に多いことに驚いています。流山市の子育てに関する取り組みや考え方に強く共感し”子育て”にフォーカスしたときに、ピアキッチンプランがいいと判断、全ての住戸に採用しました」としている。
モデルルーム
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来場者160組で第2期までの47戸が完売するとすれば、歩留まり率は約3割だ。極めて好調と見ることができる。その最大の要因は、実用新案取得済みのピアキッチンを全戸標準装備したことにある。
同社は価格を公表していないが、仮に同様のキッチンカウンター、バックカウンター、収納などをオプションとして購入すれば100万円くらいするはずだ。20坪換算だと価格を約2%上昇させる要因となる。小さくない数字だ。それでもマンション検討者の心を捉えてきた。同じものは他社は採用できないが、バックカウンター・収納は装備すべきだ。
もう一つ、強調したいのはワイドスパンだ。東西軸の長い敷地形状だからできたのだろうが、58㎡でも間口は6m、68㎡で6.45m、70㎡で6.65㎡ある。間口を広く取ることによって浴室と玄関クロークを窓付き(一部除く)としている。
目からうろこ キッズスペースに一変「変身ラウンジ」 ポラス「津田沼」竣工完売(2022/6/16)
NTT都市開発他「ウェリス南流山」 半年で5割以上分譲済み 販売順調(2014/12/8)
〝母になるなら、父になるなら〟流山 記者に付きまとう30羽のハトの群れはなんだ
南流山 駅前広場のハトの群れ
6月20日の続きはまだある。午後4時過ぎだ。売れ行き好調のポラス中央住宅の「ルピアコート南流山」の取材を終え、駅前の喫煙所で一服し、朝食を9時ころに取ったあとは水一滴も飲んでおらず、さすがにお腹が空いたのでどこかで食事でもしようと駅前広場を歩いていた。突然、ムクドリでもカラスでもないハトの群れがわっと押し寄せてきた。その数ざっと30羽。
一瞬ギクリとした。小生と同様、お腹を空かせており、何とか獲物にありつこうと寄ってきたのか、それとも身内の平和を脅かす闖入者を追っ払おうとしたのか、小生との視線を逸らせ、クック、クックと小ばかにしたように距離を詰め、酔っぱらいのようなぎこちない足取りでもって後についてくるではないか。
人畜無害の記者だ。与えるものなどなにもない。糖尿の薬くらいだ。ハトは意外と獰猛とも聞いているので、ひょっとしたらヒッチコックの「鳥」のように小生に襲いかかり、目の玉をえぐり、干からびた肉に武者ぶりつく魂胆ではないかと身構え、睨みつけた。
ところが、記者の威嚇など全然怖くないのか、なおも迫ってくる。交番に駆け込む手もあったが、たかがハト相手にそんなことをしたら気でも狂ったのかとおまわりさんにバカにされるのがおちだと理性を働かせて、駅近くの飲み屋に駆け込んだ。
それにしても、さすが流山だ。〝母になるなら、父になるなら〟のキャッチフレーズの伝道師か、ハトまで街と人にしっくり馴染んでいた。
実に美しいケヤキの剪定 ムクドリ対策 柏の葉キャンパス駅前の街路樹(2022/6/22)
実に美しいケヤキの剪定 ムクドリ対策 柏の葉キャンパス駅前の街路樹
柏の葉キャンバス駅西口のケヤキの剪定工事現場(左のアメリカフウは「ららぽーと柏の葉」の敷地か)
一昨日6月20日のことだ。「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」の取材のために、柏の葉キャンパス駅西口に11時過ぎ降りたら、駅前ロータリーの「ららぽーと柏の葉」前の歩道に植えられている街路樹と思われるケヤキの剪定が行われていた。ケヤキは落葉樹なので、一般的に剪定は落葉後の冬季に行われるはずなので、不思議に思った。
そして、「三井リンクラボ柏の葉1」内覧会の取材を終え駅に午後2時半ころ戻ったら、まだ剪定工事が行われていた。驚いたのはその樹形の美しさだった。写真を見ていただきたい。きれいに箒状にカットされていた。
不思議に思ったので、工事責任者らしき人に声を掛けた。その方は「これはムクドリ対策。通行人や『ららぽーと』の利用客などからフン害(憤慨)の苦情が寄せられているので、三井不動産さんの依頼で工事を行っている」と話した。
驚いたのはそれだけではない。美しい樹形に剪定しているのはこれまた「三井不動産さんの〝自然のままの形にしてほしい〟という要望を受けたもので、カラスも飛んでこられるようにしている。全部を剪定すると、カラスに追われたムクドリは他の近隣の街路樹などに群れ飛んでいくので対策にはならない。程よく剪定している」と、その方は話した。
小生はムクドリとカラスの関係はよく分からないのだが、ネットで調べたらカラスはムクドリを襲うとある。つまり、カラスはムクドリの天敵でもあるのだ。自然はみんなつながっていることを改めて知った。
これが本来のケヤキの姿
駅前ロータリーのバス乗り場
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この工事関係者の方が話したことの裏付けを取るために柏市役所と三井不動産に問い合わせた。市からは柏の葉キャンパス駅前まちづくり協議会(UDCK)に業務委託契約を結んでおり、樹木剪定はその一環との回答があった。
千代田区役所の関係者やイチョウ並木伐採に賛成の人も反対する人もこの記事を読んでいただきたい。街づくりは50年、100年先の将来を見据えて行うものだ。一度植えた街路樹を粗末にしてはいけない。
剪定費用は安くない(樹木にもよるが1本数万円に上るものもあるとか)
西部ガス・東邦レオ「さとづくり48」にほれ込んだ 国交省 「まちづくりアワード」
「さとづくり48」ホームページから
今年度から創設された、都市の種々な課題解決や良好な環境の創造、地域の価値向上を図る先導的な取り組みなどを表彰する国土交通省「まちづくりアワード」の表彰式が6月14日行われた。
国土交通大臣賞は、岐阜県飛騨市の「人口減少先進地の挑戦!地域を越えて支え合う『お互いさま』が広がるプロジェクト『ヒダスケ!』」、まちづくりアワード(実績部門)特別賞は大阪市の大阪市高速電気軌道「Osaka Metro エリアリノベーションプロジェクト」、三重県桑名市のOn-Co「逆転の発想 潜在する空き家を借り手が発掘『さかさま不動産』」、福岡県宗像市のさとづくり48プロジェクト(西部ガス・東邦レオ)「さとづくり48(フォーティーエイト)」~宗像市日の里団地における団地再生プロジェクト~」、ジェイアール東日本都市開発「佐ヶ谷・高円寺プロジェクト(通称:AKP)」、新潟県上越市の「城下町高田の歴史・文化をいかしたコンパクトシティの推進」、群馬県前橋市の「マチスタント~前橋市アーバンデザインにより広がるまちのリノベーション~」、埼玉県朝霞市のリゾン「コミュニティデザインで創るふるさとまちづくり」(リゾン・平成まちづくり研究所2社合同)の6件が選定された。
このほか、まちづくりアワード(構想・計画部門)でも4団体が受賞した。
審査委員会(委員長:奥野信宏・名古屋まちづくり公社名古屋都市センター所長)は、「これまで経験したことない人口減少や高齢化を迎えるなか、持続的な都市・地域経営を実現していくため、まちづくりに携わる関係者が、各々の繋がりや創意工夫のもとに、人、モノ、歴史、自然、などのあらゆる資源を生かし、地域が抱える種々の課題解決、良好な環境の創造、価値の維持・向上を図る取り組みを続けていくことが期待されています。今回受賞された取組は総合的に優れており、全国のモデルとなる」と講評している。
左から東邦レオカルチュラルエンジニアリング事業部 事業部長・の吉田氏、国土交通省・宇野都市局長、西部ガス営業本部 副本部長・今給黎氏
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それぞれの受賞プロジェクトをチェックしたわけではないが、記者は福岡県宗像市の西部ガス・東邦レオ「さとづくり48」にほれ込んだ。
何が素晴らしいかといえば、築50年以上のUR都市機構(当時は日本住宅公団)日の里団地48号棟からネーミングされたという複合生活利便施設「ひのさと48」の外観だ。♪ 咲いた 咲いた チューリップの 花が ならんだ ならんだ 赤 白 黄色 どの花みても きれいだな ♪…チューリップの童謡そのものだ。見るだけで楽しくなってくるではないか。
このようなデザインのマンションを記者は見たことがない。美しい外観の集合住宅はコモンヒルズ安針台、熊本のアートポリスの集合住宅、幕張ベイタウン パティオス、多摩ニュータウン ベルコリーヌ南大沢…などが思い起こせるのだが、「ひのさと48」は異なる。昔の公団の郊外マンションの布団干しの光景に近いか。関係者によると、従前のデザインにペンキを塗っただけという。
それだけではない。「さとづくり48」のホームページには、「『さとのひWONDER BASE』入居セレモニー」「さとのBEER第9弾発売!」「さとの仲間・オーガニックパパ事務所オープン」「102号室:じゃじゃ馬工房再開のお知らせ」「\箱とKITCHEN 利用申し込みスタート/」「【103号室・カフェ】みどりtoゆかりメニュー紹介」…面白そうな活動通信がたくさん開設されている。
国交省の報道資料には、「築約50年が経過した団地群について、既存棟の活用と新築の戸建て販売というハイブリッド型の団地再生事業を行い、既存の48号棟を改修した生活利便施設「ひのさと48」を拠点に、地域コミュニティの形成に貢献している」と紹介され、受賞理由として「空き室には認可保育園や福祉療育施設、ウクレレ工房など多種多様な施設が入居しており、団地住民、学生、地元企業や域外企業、大学、移住者などがつながる取り組みは、団地再生の好例として先導性、多様性が高いと評価された」とある。
施設は、西部ガスと東邦レオが特定目的会社を設立し、その会社が所有し賃貸している。集合住宅は〝専ら居住〟が基本だが、このような多種多様な施設が入居し、それぞれが人や地域と緩やかにつながる-このプロジェクトにはこれからのコミュニティづくり・街づくりに示唆する点は多い。
国交省は、コロナ禍でもあったためか、プロジェクト発表はプレス・リリースのみで、表彰式もメデイアは写真撮影のみ可だったが、来年からは広く公開し、交流できる場を設けてほしい。
以上、「さとづくり48」ホームページから