坪1300万円でどうか 旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」
「綱町三井倶楽部」庭園からの完成予想図
三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスが4月25日に発表した旧逓信省簡易保険局庁舎跡地(1929年竣工)の大規模マンション「三田ガーデンヒルズ」に注目している。今年最大どころか、両社が2007年に分譲した定期借地権付き「広尾ガーデンフォレスト」以来の究極の億ションになるとみているからだ。
物件は、東京メトロ南北線・都営大江戸線麻布十番駅から徒歩5分、都営三田線芝公園駅から徒歩10分、港区三田一丁目の第二種住居地域・第一種文教地区に位置する敷地面積約敷地面積 25,246.㎡、14階建て他全1,002戸。専有面積は29㎡台~370㎡台。竣工時期は2025年3月。設計・施工は大成建設。
分譲マンションとしては港区最大となる敷地面積約25,000㎡で、両社が共同で「ガーデンヒルズ」を分譲するのは「広尾ガーデンヒルズ」以来38年振り。敷地南側にジョサイア・コンドルが設計した歴史的建築物「綱町三井倶楽部」を望む立地であるのも特徴の一つ。
国内最大規模となる全戸ZEH-Orientedを取得する予定で、電気・ガスともに CO2排出量実質ゼロとなるサービスを導入、太陽光発電と中圧ガスを利用したオンサイト発電を有事の際にも活用するなどレジリエンス機能も強化する。
この他、帝国ホテルと提携したコンシェルジュをはじめワークスペース、ジム、ゴルフラウンジ、サウナや岩盤浴、シアタールーム、ミュージックルーム、カフェラウンジ、 バー、レストラン(店舗)などの共用施設、サービス提供を予定している。
設計デザインは、東京ミッドタウン日比谷を手掛けたホシノアーキテクツがメインで、新丸ビルを担当したロンドンを拠点に国際的活動を行う建築設計事務所ホプキンスアーキテクツが国内マンションのファサード・デザインに初参画。旧逓信省簡易保険局庁舎を一部保存・再生する。起伏がある敷地を利用して既存樹を含む植栽約130種による約7,700㎡のランドスケープを計画している。
中庭
旧逓信省簡易保険局庁舎階段室
旧逓信省簡易保険局庁舎 入口
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現地の旧逓信省簡易保険局庁舎は入ったことはないが、何度も眺めてはため息をついた。〝ここにマンションが建ったらどんな素晴らしいものになるか〟と。目の前はジョサイア・コンドルが設計した数少ない現存建築物「綱町三井倶楽部」があり、三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田日向坂」「パークマンション三田綱町」のほか、アパの高級賃貸マンション「THE CONOE三田綱町」、イタリア大使館、オーストラリア大使館、三田共用会議所、元神明宮(元祖神社)、赤羽小学校、都立三田高校などがある。
麻布十番駅近くでは約1,450戸のマンションを含めた「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」も進行中だ。
両社は今秋に販売サロンを開設すると発表した。メディア見学会も行われるはずだが、いつものように単価予想を試みる。ズバリ坪単価は最低1,300万円、1,500万円もあると見た。
根拠は、これまで分譲された大規模億ションのなかでもっとも住環境に恵まれており、最高レベルの基本性能・設備仕様が期待できるからだ。
比較する物件はないが、現地に近接する三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田日向坂」(18戸)が参考になる。2011年竣工物件で、リストグループが開発した高額物件に特化したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」が昨年の価格上昇率トップに上げたマンションだ。分譲当初の平均価格約2.4億円(平均面積128.24㎡)から約4.0億円へ坪単価は625万円から1,022万円へ1.6倍に上昇している。
もう一つ、2014年分譲の三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町」(98戸)もある。坪単価725万円で瞬く間に完売した。ネットで調べたら、現在の中古価格は1,000万円を突破している。「THE CONOE三田綱町」も坪単価1,000万円超で分譲されると思われたが、急きょ賃貸に変更された。
これらより低くなることはありえない。ただ、戸数が多く、目先の社会経済動向も読みづらいので坪1,500万円となると自信はない。1,300万円くらいが妥当ではないか。自信はない。外れたからと言って責任は取らない。
帝国ホテルイメージ
究極の億ション 三井&三菱 「広尾ガーデンフォレスト」(2007/2/23)
三井不レジ・日鉄興和・三菱地所レジ・首都圏不燃公社 麻布十番近接の2.5ha再開発(2020/9/19)
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)
歴史は繰り返す――バブルから何を学んだのか「広尾ガーデンヒルズ」分譲開始は坪251万円(2008/10/27)
コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」を観た 三井デザインテックがセミナー(2015/10/22)
価格15億円以上 本物志向の白が基調 リスト「広尾」ホームステージングイベント
現地建物
リストグループのリストインターナショナルリアルティ(LIR)は4月28日、渋谷区広尾で販売中の住宅のホームステージングイベントを開催。高級外車のランボルギーニ、世界的アーティストのアートを展示するとともに、女性若手ソリストユニット「MUTIA(ミューティア)」による特別演奏も行った。イベントはメディアにも公開された。
物件は、東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩16分、渋谷区広尾3丁目の第二種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率300%)に位置する土地面積約247㎡(約74坪)、建物面積約328㎡(約99坪)。構造は鉄骨造3階建て。南西側幅員9.9m道路に接道。建設年月は令和元年6月。価格は15億円以上になる模様。
LIRは、オークションハウス「サザビーズ」を起源とする世界最大級の高級不動産ブランド「サザビーズ インターナショナル リアルティ®」の日本国内における独占営業権を取得後、世界70以上の国と地域に広がるネットワークを活用し、国内外の富裕層向け不動産売買取引を行っている。
2階エントランス
LDK
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現地は広尾駅からはややあるが、中層マンションやオフィスなど閑静な街並みを形成しており、東京女学館に近接。広尾ガーデンヒルズ、日赤、聖心女子大などにも近い。
1階はピロティ・駐車場(4台)と約81㎡の事務所。2~3階の住宅部分は5LDKで、カラーリングは壁や面材など白で統一。床は大判の磁器質タイルやナラ材を多用。2層吹き抜けのLDK天井高は約6.5mで広さは35畳大くらいか。リビングにはバイオエタノールの暖炉、キッチンシンクはディスポーザー機能付き。冷蔵庫はドイツリープヘル(LIEBHERR)製。鍵・レバーハンドルはウエスト。〝シンプル イズ ベスト〟-本物志向のオーナーの品格が伝わってくる。
価格は15億円以上とのことだが、その価値はあると見た。現地に近い広尾3丁目の地価公示は坪420万円(容積率150%)だが、現地は容積率300%なので単純計算するとざっと坪840万円で、土地代は約6.3億円だ。
1階事務所は見学しておらず、建物の建築費、内装費、設備費などはよく分からないが、坪300~400万円以上くらいではないか。建物だけで3~4億円だ。
土地代と建物価格を合計すると10億円くらいになり、都心部の眺望のいいマンションは坪2,000万円の事例も少なくないことを加味すると、オークションにかけたら20億円の値がついても驚かない。バブル期の最高値44億円を付けた「ドムス南麻布」の半値以下だし、やはりバブル期には「広尾ガーデンヒルズ」の中古は坪2,000~3,000万円もした。白が基調なのでどのような好みにも合わせられる。
システムキッチン(左が大型冷蔵庫)
トイレ(TOTO)と浴槽(これほど美しい浴槽は見たことがない。足がすくんだ)
屋上
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住宅価格を当てるのは得意だが、車のことはさっぱり分からない。猫に小判だ。展示されていたランボルギーニなる車は3,500万円で、最高価格のものは4億円と言われても、同業の記者の方が「僕の車の10倍」とため息をつこうと、「あっそう」という他ない。
それでも好奇心旺盛の小生は、「大丈夫、走りださないから」と担当者に勧められるままに運転席に乗ってみた。仰天した。座席といいフロントといいすべてが本革で覆われていた。ステッチはこの前見た三菱地所ホーム広報担当者のそれとは比べようのない微細な細工が施されていた。天井は人工皮革のアルカンターラとか。トランクにたくさんの皮見本(全部で60種)、ステッチ(全部で50種)が置かれていたのにもびっくりした。ドアを開けると地面に「Lamborghini」の文字が浮かび上がった。足元を照らすためだという。
ディーラー担当者によると、車はフルオーダーで生産するとかで、年間生産量よりオーダーのほうが多く、注文してから届くまで2年くらいかかるそうだ。需要が多いのは中国で、その次が北米。わが国は5番目だそうだ。
なるほど。車も金余りの世界経済を反映しているようだ。マンションと同じだ。二極化が進んでいる。車の減価償却期間は6年(マンションは47年)というのにもびっくりした。売れるわけだ。
ランボルギーニ
ハンドル(左)と機器類
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「MUTIA(ミューティア)」が演奏したのは「リベルタンゴ」「アメイジンググレイス」「パイレーツ オブ カリビアーン」。赤と黒の衣装も白い内装によく映えた。
演奏する「MUTIA(ミューティア)」
価格の安さだけでない 植栽・外構 多彩な設備で差別化 大京「中浦和」
「ライオンズ中浦和フォレストフォート」
大京がゴールデンウイーク明けに分譲する「ライオンズ中浦和フォレストフォート」を見学した。物件コンセプトを"木立の中の別荘"としているように、価格を低く設定し、〝木〟を前面に打ち出した植栽・外構と機能的な設備仕様とすることで、差別化を行っている。
物件は、埼京線中浦和駅から徒歩7分(武蔵浦和駅から徒歩18分)、さいたま市南区関2丁目の第一種住居地域、第二種住居地域に位置する7階建て全111戸。5月13日に分譲予定の第1期(32戸の予定)の専有面積は66.07~84.19㎡、価格は未定だが坪単価は220万円になる模様。竣工予定は2023年8月1日。設計は安宅設計。施工は斎藤工業。売主は同社のほか大栄不動産。
現地は、敷地北側の志木街道のほか東側と西側に接道。敷地はL字型で、志木街道は都市計画道路があるため、建物は敷地から約7.7mセットバックさせ、南向き53戸、東向き26戸、西向き32戸の3棟がウッドデッキ・高木を配した中庭を囲むように配棟。約40mのアプローチにはサワラなどの高木を植える。別所沼公園には徒歩11分。
主な基本性能・設備仕様は、直床、扁平梁、2070ミリサッシ、リビング天井高2400ミリ、食洗機、顔認証、非接触エレベーター、引き戸多用、エコガラス、換気機能付き玄関ドア、ワークスペースとして利用できる窓付き1.5畳大の納戸(全住戸の約2割)など。共用部には宅配ボックスとメールボックスを一体化した宅配ボックス「ライオンズマイボックス」のほか、半個室とWi-Fiを完備したラウンジを設置する。
同社本店事業推進二部部長・小川新氏は、「〝木〟をイメージしたデザインや様々な機能を盛り込んだ商品企画が高い評価を頂いています。第1期では南向き中心の32戸の販売を予定しています。武蔵浦和のタワーマンションと競合はしていません」と話している。
エントランス
中庭
ワークスペースにもなる約1.5畳大の納戸
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モデルルームを見学する前に現地を確認した。倉庫とマンション、戸建てなどが混在しており、準工エリアではないかと思った。前面の道路幅10mの志木街道は交通量が多く、歩道も整備されておらず、街路樹などもないので坪単価は220~230万円くらいだろうと予想した(住環境がよければ坪単価250万円でも売れると考えた)。
ここで緑環境について。さいたま市は全域だと約48%と高いが、市街化区域では約29%だ。同社のマンションが所在する南区は23%で、最低の中央区の22%に次ぐ低さだ。記者が住む多摩市の緑被率は53.9%で、23区は24%であることと比較していただきたい。埼京線沿線には低層住居専用地域は一つもない。
この緑被率の低さはさいたま市に限ったことではなく、近隣の戸田市、川口市、蕨市などにも言えることだ。武蔵浦和にはタワーマンションが林立し、都内への利便性が高いために価格はどんどん上昇している。10年くらい前は坪200万円台の前半から中盤だったのが、今では350万円くらいになっている。
価格が髙いか安いか、これは検討者が評価することなのでこれ以上書かないが、武蔵浦和駅周辺の緑も貧しい。
話を元に戻す。大京のマンションを検討している人は市内居住者が多数を占めるはずで、緑環境はこれが普通と判断すれば、それほどマイナス評価しないのだろう。同社もよく弁えたもので、"木立の中の別荘"を前面に打ち出し、別所沼公園に近いことをアピールしている。
76㎡のモデルルームはよくできていた。前段で紹介したように、設備仕様レベルは高いと評価して単価予想を上方修正した。坪220万円というのは検討者も納得するのではないか。
リビング天井高が2400ミリなのは、市の建築物の絶対高さ規制が20mと定められているからだ。このことについてはたくさん書いてきた。何をかいわんや。どうして合理的根拠など一つもない20mにするのか。1層を3.1~3.3mとし、その倍数に定め誘導すればデベロッパーはみんな最低2500ミリを確保するはずだ。わが国の都市計画は根本的に見直す必要がある。
現地
武蔵浦和駅西口ロータリー(街路樹はモッコク)
武蔵浦和駅西口ロータリー
「念願の過乾燥を解決」 加湿システム搭載「エアロテック」発売 三菱地所ホーム
三菱地所ホームは4月26日、全館空調システム「エアロテック」に日機装の深紫外線LED水除菌モジュール「PearlAqua」を搭載した加湿システムを開発し、「エアロテック」と連動させた新商品を同日から受注開始したと発表した。同社は2020年10月、日機装の深紫外線LEDによる除菌技術を活用した全館空調システム「新・エアロテック-UV」を販売開始しており、今回の新商品はその進化型。
全館空調システムは、冬期の暖房時に過乾燥になる傾向が強く、加湿のし過ぎや冷たいサッシに結露が発生するなどの課題があり、今回の新商品はそれを解決するもの。
室内の乾燥状況によって加湿量を自動コントロールし、湿度を理想的とされる40~50%に維持する。エアロテックと連動させることで、暖房運転時以外は加湿運転しないシステムとなっている。
加湿に使用する水は、深紫外線LEDを搭載した「水除菌モジュール」を通過して循環させることで、ぬめりの原因となる菌やウイルス等を除去する。また、タンク内の水を自動で給水・排水を行うため、メンテナンスは年に1回程度で済む。
加湿システムを搭載したエアロテックの年間ランニングコストは56,200円。エアロテック1システム(約45坪)は3,445,000円(税込み)。
「PearlAqua」は、深紫外線LEDが搭載された水除菌モジュール。EUの生物汚染制御システム開発や、NASAの宇宙環境で活用可能な水除菌装置開発に採用されており、ライフライン整備が未整備な地域の飲料水生成装置に採用されている。国内ではドリンクバーや飲料水生成装置、給湯器の水の除菌に採用されている。
同社の名物広報担当者・横須賀直人氏の「心を込めて分かりやすく説明しますので、より大きく取り上げていただきたい」の枕詞に乗って登壇した同社・加藤博文社長はこの1年間を振り返り、「注文住宅の売上棟数は323棟で、前期比96%だが、売上高は205億円で109%、リフォーム売上高は4,375百万円で103%とそれぞれ目標を達成した」と述べ、加湿システムの開発については「エアロテックを開発して27年になるが、冬場の乾燥のし過ぎにはナーバスになっていた。日機装さんの水除菌システムを搭載することで念願の課題を解決することができた」と語った。
加藤氏
深紫外線LED水除菌モジュール
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同社はまた、最新の設備とインテリアデザイン提案をセットにしたマンション向け定額制リフォーム「Re Dia(リディア)」の新仕様を発表した。
「Re Diaフルリフォーム」は、専有面積70㎡の場合、「基本工事」(解体、内装、水回り工事など)+「EYE'PLUS商品」(システムキッチン、洗面化粧台、トイレ、ユニットバス、クロスなど)+「カラースキーム提案」合計で748万円。
新仕様では、リビングの拡張、対面キッチンへの変更などプラスマイナスのオプションを加えている。
4月1日付で新規事業創造部を兼務することになった同社経営企画部広報戦略グループ広報担当者で、またの名を〝港の♪ヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ♪〟と記者が名付けた横須賀氏(春物のスーツのステッチが素晴らしい。袖の4つボタンもお洒落。いくらなのか。安かったら真似ようか。ネクタイは小生も似たのを付けていたことがある)
after&withコロナに即応 三菱地所ホーム ウイルス除去に効果的な新商品など発売(2020/10/21)
街のポテンシャル 劇的に変えた 野村不の商業施設「KAMEIDO CLOCK」4月28日開業
「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」
野村不動産は4月25日、フラッグシップ商業施設「KAMEIDO CLOCK(カメイドクロック)」記者発表会・関係者内覧会を行った。施設は、JR亀戸駅から徒歩2分、2016年3月に閉店した「サンストリート亀戸」の跡地約22,989㎡に完成したもので、大規模ZEHマンション「プラウドタワー亀戸クロス」との住・商・学複合施設。4月28日にグランドオープンする。内覧会には約2,000名が参加し、完成を祝った。
施設は、JR亀戸駅から徒歩2分、江東区亀戸六丁目の商業地域に位置する敷地面積 22,989.26㎡(プラウドタワー亀戸クロス敷地含む)、地下1階地上6階建て延床面積約58,000㎡。店舗数は136店舗。基本設計・監修は東急設計コンサルタント。設計監理・施工は前田建設工業。デザイン監修などはピクト・グラフィックデザイン:OKデザイン室、カメクロ横丁のデザイン監修は窪田建築都市研究所。竣工は2022年3月末。開業日は4月28日。年間1,200万人の来街者を見込む。
「プラウドタワー亀戸クロス」は25階建て全934戸。専有面積は28.48~135.49 ㎡。竣工は2022年1月。売主は野村不動産、三菱地所レジデンス。施工は前田建設工業。総合設計制度を活用して容積率は352%から505%の緩和を受け、緑化率は当初計画の35%から40&%に拡大した。これまで770戸を販売済み、坪単価は370万円。
施設1階は、施設の顔となる「カメクロプラザ」のほか、総合設計制度を活用して整備した広さ約3,400㎡の「カメクロステージ」、7店舗からなる飲食街「カメクロ横丁」、CCCと基本合意書を締結して設置するワークスペースの第一号店舗「SHARE LOUNGI亀戸with H¹T」などで構成。
地階は、「地域№1〝食〟市場」をテーマにした大型店舗「ライフ」のほか、関東初出店となる京都発の老舗ベーカリー「グランディール」、商業施設初出店「本庄鮮魚」などが入店。
2~3階は、「ユニクロ」、「コジマ×ビッグカメラ」など総合アパレル・生活用品店などで構成。
4階は、フードコートや「TSUTAYA BOOKSTORE」のほか、地域の活性化の取り組みを行うコーナーとして「アソビバ」「タマリバ」などを設置。地域情報を発信するYouTubeチャンネル「カメテレ」も稼働する。
記者発表会で、同社代表取締役社長・松尾大作氏は、「2年前に住宅事業本部として記者発表会に臨んだ。その後、コロナの発生で、市場は大きく変化したが、スケジュール通り施設、マンションが完成した。感慨深いものがある。地元の方、テナントの方、工事関係者の皆さんに感謝申し上げる」と述べ、「施設名の『CLOCK』にはかつて第二精工舎人であった地域のDNAを活かす意味を込めた。今後も常に人に寄り添う、野村不動産らしい街づくりに真摯に向き合って取り組んでいく」と語った。
来賓として発表会に出席した江東区商店街連合会副会長で亀戸十三間通商店街振興組合理事長・吉村政明氏は、「素敵なお客さんが集まりそうな施設が完成した。世間では中小VS大手としてとらえられているが、中小のノウハウと野村不動産さんの街づくりのノウハウをミックスして街を盛り上げていきたい。協力関係を築いていく」と話した。
「プラウドタワー亀戸クロス」(敷地西側から写す)
「カメクロステージ」
カメクロ横丁
松尾氏
フォトセッション
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この日の内覧会は二部制で、一部の商業施設は午後1時から、二部のマンション見学は2時から。そして、松尾社長らの記者発表会は4時から。質疑応答が終わったのは終了予定の5時を大幅に上回る5時25分だった。都合4時間25分。コロナが発生してから2年余、記者はこれほど長時間にわたるリアルの内覧会・記者発表会は初めてだった。記者会見だけでも先日の三井不動産のロジスティクスに関する記者発表会で三木孝行専務が話した1時間20分を突破した。
長いか短いか、内覧会と見学会はどちらを先にすればいいかよく分からないが、先に内覧会で実物を見て確認できるので、発表会を後にしたのは正解だったと思う。時間もこれくらいあれば、じっくり確認できる。松尾社長は開発当初からこのプロジェクトに関わっており、完成した施設・マンションをしっかり見てほしいという思いの表れだと解釈した。
さて、見学会の率直な感想について。ますマンション。販売開始前に行われた記者発表会も取材して記事にしている。そちらも参照していただきたい。そのとき全館空調の「床快Full」をワンルームタイプの162戸を除き装備し、Low-E樹脂サッシを採用していたのに驚愕した。最高レベルのマンションだと思った。その後、ZEH認定を受けたと同社は発表した。
問題は価格だった。発表当時の総武線沿線のマンション相場は、錦糸町がやや抜けており坪330~340万円くらいではなかったか。その他の亀戸、小岩、新小岩などは300万円強だったような気がする。記者は基本性能の高さなどを総合的に判断し、「『所沢』(坪350万円)は超えると思いますが、『北千住』(坪380万円)には負けるのではないか」と、当時、取締役兼専務執行役員をされていた松尾氏に直球勝負を挑んだ。松尾氏の回答が面白かった。スタッフを呼んで「コンパクトの162戸は『北千住』を超える」と話した。その通りとなったようだ。
残り約160戸は多いのか少ないのか、販売スケジュール通りかそうでないのかは判然としないが、これから分譲するのは価格の低い(コンパクトの単価は400万円でも安いと記者は思う)住戸のようだ。
これが他の物件にどのような影響を及ぼすか、これまたよく分からないが、沿線のポテンシャルを劇的に向上させた貢献度はものすごく高いと思う。記者などは「亀戸」といえば、戦前の亀戸事件と東京大空襲で焼け野原に変わったことくらいしか思い描くことができない。そんな街が、わが京王線の調布の相場を超える…悔しいが〝プラウド〟の力を認めざるを得ない。
同社は今後、浦和駅前の再開発マンションにも「床快Full」を採用するようだ。「亀戸」の竣工によってその快適性・省エネ性が居住者からもたらされる。大きな武器になる。
商業施設とデッキで結ばれているゲートタワー4階部分に設置された地域住民に開かれた「Be ACTO」がまたいい。ラウンジ、ワーク&スタディスペース、アトリエ、キッズルーム、ダイニング&キッチンスペースは合計で約180㎡(70㎡マンションの約2.6倍)。同社が2018年10月に発表した「新・街づくり構想」に沿った施設で、一般社団法人・ACTO亀戸を立ち上げ、住民の子育て、働く、学び、・学校・企業連携、食などをテーマに、共創する街づくりを推進していく。
施設には「床快Full」が採用されていないのは残念だったが、床や壁、テーブル・椅子などに木を採用し、身障者などの絵画・アートをレンタルで展示し、入れ替えるという取り組みもいい。
「床快full」のエアコン(左)と床吹出口・樹脂サッシ
「Be ACTO」
「Be ACTO」に飾られているカミジョウ・ミカ氏の絵画
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商業施設は、全フロアを担当者から説明を受けたが、一つひとつ紹介しきれない。その一部を紹介する。
記者のお気に入りは、商業施設1階のエントランス部分に開業する「CRAFT BEER BEER-MA」だ。600種類を超える世界のクラフトビールを提供するという。取材の合間に大好きな「東京ホワイト」「東京ブロンド」と乳酸菌入りの「KAME CLO」を飲んだ。店長の石田哲也氏に「毎日1本ずつ飲んだら全部飲むまでどれくらい」と聞いたら、「入れ替えも行うので、最低2年はかかる」そうだ。
千葉県産の地魚や海鮮を安心価格で提供するという、千葉の水産会社が経営する回転寿司屋「やまと寿司」を試食させてもらった。このまえ多摩センターで食べたテレビCMによく登場する回転寿司とは天と地ほどの差があった。
発酵調味料の量り売りや味噌汁・酒、ぬか漬け(床)などのサブスク、各種ワークショップを用意している「85[ハチゴウ]」はナチュラル派にはまるかもしれない。
最近は買い物をしないので高いのか安いのかよく分からないが、「本庄鮮魚」で売られていた韓国産アワビが1ケ380円なのには驚いた。日本の海で大きくなるまで育てたら日本産にならないのか。10倍の値が付く。イワシが1尾80円とは…どうしてこんなにおいしい魚を安売りできるのか。割り負けしている京王線のマンションの比ではない。
「船橋屋」といえば天ぷら屋だと思ったが、地元老舗のくず餅屋さんだった。土産に買った。
クラフトビール 東京ホワイト
「やまと寿司」
470円の日替わり鮮魚(左)と640円の極ウマ(「やまと寿司」)
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以下はおまけ。
全ての取材を終え、定番の「蛍の光」に追い立てられたのは7時半ころか。家に帰っても飲むだけなので、スタッフの方に「外で飲めるとこあります」と尋ねた。その方に「亀戸といえばギョーザかホルモンを食べないと…」と取材したことにならないと言われたような気がしたので飲むことに決めた。コロナ後に一人で外食するのは数えるほどしかない。
どこに行っても取材時は表通りを通るので、亀戸駅前に路地裏飲食街があることなど全く知らなかった。右を見て左を見て確認しながら歩いたら、だしぬけに「司ちゃん」と呼びかけられた-のではなく「当店一番人気 司ラーメン 850円」の看板が目を射た。上を眺めたら「つかさ司」とあるではないか。間口は1間あるかどうか。
足が止まった。ギョーザかホルモンか、それとも司ちゃんか、四択の宅建士よりは優しいが、どれを選択すればいいのか迷いに迷った末、意を決して店に入った。他を選んだら自らを捨てたことに死ぬまで後悔すると決断したからだ。
客席はウナギの寝床。1列に7席あるのみ。スタッフは店長らしき男性一人。一番奥に若い男性の方がズルズルと音を立てて食べていた。小生は自販機で「司ラーメン」を注文した。ぶっきら棒に「さっぱり? こってり? 」と聞かれたので「さっぱり」と答え、「麺は? 」には「少な目で結構です」と返した。
すると、どうた。厚さにして約2ミリ、2枚合わせれば文庫本くらいはありそうなチャーシューに角煮、味玉1個が入っているではないか。恐る恐る口に運んだ。さっぱりどころか、濃厚な豚骨スープに胃がひっくり返った。しかし、若いころの習性から抜け出せない、パブロフの犬と化した糖尿の小生はラーメンだけは汁まで食べつくさないと満足できなくなっている。
30分かけてやっと完食した。かみさんには「取材が長引いたので食事は済ませた」と携帯で知らせた。家に帰ってもお腹はパンパンで、酒は受け付けられなかった。夜中の3時くらいまで輾転反側した。
ラーメン店
凄い!全館空調、二重&樹脂サッシ採用 野村不「亀戸」934戸 単価300万円台半ば(2020/2/19)
樹脂サッシ、ミストサウナ…水準以上 大成有楽不のコンパクト「両国」
「オーベルアーバンツ両国」
大成有楽不動産が6月に分譲する「オーベルアーバンツ両国」を見学した。都営大江戸線両国駅から徒歩3分、京葉道路に面した全49戸のコンパクトマンションで、防音・遮熱対策に樹脂サッシを採用しており、その他設備仕様レベルも水準以上だ。商品企画に手抜きはないとみた。
物件は、都営大江戸線両国駅から徒歩3分、JR総武線両国駅から徒歩8分、墨田区緑一丁目の商業地域に位置する14階建て全49戸(事業協力者住戸8戸含む)。第1期(戸数未定)の専有面積は33.77~40.74㎡、予定価格は3,900万円台~5,500万円台(最多価格帯4,100万円台・4,200万円台)。坪単価は400万円台の前半になる模様。竣工予定は2023年6月下旬。設計・監理は安宅設計。施工はライト工業。
現地は、敷地北側の歩道を挟んで京葉道路に隣接。建物は、幅員約35mの京葉道路の拡幅計画があるため、歩道から約4.2mセットバックして建設。基準階は1フロア3~4戸。全戸北向き。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高約2,500ミリ、二重サッシの居室側は樹脂サッシ、床暖房、ミストサウナ、三ツ口コンロ、タンク横のキャビネット付きトイレ、壁付洗面水栓、コスメポケット、浴室タオル掛け、全住戸Wi-Fi(1か月1,980円)、物干しポールなど。
同社マンション事業本部マンション事業部事業室主任・篠大智氏は、「問い合わせは約300件、4月2日からのモデルルーム来場者は70件超。うち約7割の方が単身女性。立地や収納の多さ、設備仕様等が評価されています」と話した。
樹脂サッシ
トイレ(TOTO製だったか、収納付きでタンクなしに見えるのがみそ)
三ツ口コンロ(単身者向けに提案したのが受けている)
洗面
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コロナ禍で、コンパクトマンションの取材も激減しており、他社物件との比較も難しいが、33㎡のモデルルームはよくできていた。間口を約4,000ミリ確保しているため、約9.4畳大のLDKのほか約2.6畳大の居室も設置されている。
特筆したいのは、昨年末に見学した「ライオンズミレス新中野」もそうだったが、二重サッシ・樹脂サッシが採用されていることだ。樹脂サッシの効用をご存じない方が多いが、アルミサッシ枠と比較にならないほど断熱性能が高い。結露など全く心配ない。
このほか、ミストサウナ付きなどもコンパクトでは珍しいのではないか。天井高も約2,500ミリ確保している。同社としては初採用したという洗面のコスメポケットは、女性に評判とのことで必須アイテムなのだろう。三ツ口コンロが好評なのは驚いた。同時に使いこなせる人はまずいないはずだが、鍋などを置くスペースとして必要なようだ(なるほど)。
坪単価は相場並みか。23区内では軒並み400万円を突破してきている。早期完売のカギは、他社物件との差別化をアピールできるかどうかだろう。
建設現場
ワークスペース「SHARE LOUNGE 亀戸with H¹T」開業 CCCと野村不 合意1号店
「SHARE LOUNGE 亀戸with H¹T」
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と野村不動産は4月25日、ワークスペース領域に関する基本合意書を締結し、4月28日に第1号拠点「SHARE LOUNGE 亀戸with H¹T」をオープンすると発表した。
基本合意締結により、CCCの持つプラットフォーム、顧客データベース、ライフスタイルコンテンツと、野村不動産の持つオフィス開発のノウハウを掛け合わせ、共に「SHARE LOUNGE 亀戸with H¹T」を開業することで、ワークスペース領域において顧客や社会に対しての新たな価値創造や利用拠点の拡大を目指す。
第1号店の「亀戸」は、江東区亀戸6丁目の「プラウドタワー亀戸クロスゲートタワー1階」の64坪、席数は70席。「SHARE LOUNGE」のカフェ・オフィスサービスに、「H¹T」が展開してきたオフィス設計・サービスを組み合わせ、フリードリンク&ナッツや高速Wi-Fi などの充実したアメニティ、個別ブース、TSUTAYA が提案する閲覧用の書籍を用意。アプリで簡単に予約・決済、QRコードをかざすだけのスマートチェックイン・チェックアウトも可能。通常プランは60分1,100円、アルコールプランは1,540円から。
CCCは2019年11月にTSUTAYABOOKSTORE 渋谷スクランブルスクエアに「SHARE LOUNGE(シェアラウンジ)」をオープンしたのをはじめ、現在13の拠点(2022年3月末時点)に展開し、今後首都圏を中心に100店舗の展開を目指している。
野村不動産は2019年10月からサテライト型シェアオフィスブランド「H¹T(エイチワンティー)」(H¹T:Human First Time)の提供を開始。現在、首都圏を中心に216店舗(2022年3月末時点)を展開している。
第5⇒6波 比率は20代28.9%⇒18.7% 20未満11.9%⇒28.4% 都のコロナ感染者
東京都の新型コロナ感染者は13日連続して前の週の同じ曜日を下回るなど漸減傾向を示しているが、4月23日現在の第6波(2022年1月1日~4月23日)と、第5波(昨年10月1日までの)の感染者を年代別・性別に比較してみた。
累計感染者に占める40代以下の比率は、第5波の76.4%から第6波は80.8%と4.4ポイント増加している。
年代別では、第5波は20代が最多で全体の28.9%を占めていたが、第6波では20代は最多となっているものの、比率は18.7%と大幅に減少。20未満は第5波では11.9%だったのが、第6波では28.4%と大幅に増加している。30代は19.8%から17.4%へ、40代は15.8%から16.4%となっている。
男女比は第5波の男性56.0%:女性44.0%から第6波は男性50.3:女性49.7%へ女性比率が高まっており、年代別では第5波では80代以上を除き男性の感染者が5割以上だったのに対し、第6波では20~40代と770代以上で女性比率が男性比率を上回るなど逆転している。
令和4年1月現在の都の人口10万人当たり感染者は10,205人となっており、全人口の10%を突破している。年代別では10歳未満13,279人、10代14,799人、20代17,607人、30代13,343人、40代10,463人、50代6,974人、60代4,554人、70代2,991人、80代3,400人、90代以上5,576人となっている。
緑道と玉川上水に一部隣接 1低層の45戸 「リストレジデンス武蔵野御殿山」6月分譲
「リストレジデンス武蔵野御殿山」
リストグループのリストデベロップメントは4月21日、武蔵野市御殿山アドレスで約9年ぶりのマンションとなり、玉川上水に一部面した第一種低層住居専用地域の「リストレジデンス武蔵野御殿山」を4月1日に着工し、6月下旬に販売開始すると発表した。
物件は、JR・東京メトロ東西線三鷹駅南口から徒歩6分、武蔵野市御殿山2丁目の第一種低層住居専用地域に位置する3階建て全45戸。専有面積は58.11~92.10㎡。竣工予定は2023年7月上旬。
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記者は、この種の分譲住宅に関するプレス・リリースは基本的に書かないことにしている。犬が人を噛めばニュースになるが、デベロッパーがマンションを分譲するのは当たり前で、そのままコピペしても書く「か・ち・は・な・い」。
しかし、ホームページでも確認した。敷地の一部は御殿山通り・玉川上水に面し、井の頭公園まで徒歩8分とあるではないか。この通りは何度か通ったことがある。最高に素晴らしい。これは書く価値がある。
設備仕様レベルにもよるが、坪単価は最低で500万円、条件のいい住戸は600万円をはるかに超えるのは間違いない。モデルルームがオープンしたら、取材を申し込んでレポートしたい。
事業参入10年で投資額・スタッフ10倍増 社会課題の解決へ次の10年 三井不ロジ事業
「MFLP塩浜Ⅱ」
三井不動産は4月21日、ロジスティクス事業に関する記者説明会を開催。同社専務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏(6月の総会後に同社取締役に就任予定)が事業開始10年の歩み、今後の取り組み、新規開発物件の紹介などについて1時間以上にわたり説明した。説明会には50名(うちオンライン24名)が参加した。
三木氏は、「10年前スタートしたときは社員6名、契約社員2名の8人だったが、現在は80名。組織的には完成形。投資額は三井不動産ロジスティクスパーク(MFLG)投資法人を上場した2016年の資産規模は約755億円だったが、現在の累計投資額は約7,000億円。10倍に達した。これまで人を大切にして展開してきたが、事業が大きくなりヒューマンエラーもある。運営強化を図るためロジスティクス運営部を新設し、テナント満足度をさらに向上させる。用地取得環境は厳しいが、入札案件より取得費を抑制できる共同事業、区画整理事業などを重点に置き、賃料上昇をテナントに転嫁するようなことはしない」などと話した。
次の10年を見据えた施策として、業界を取り巻く環境はサステナビリティ、DX、多様化するテナントニーズ、コロナ対策などに対応することが求められており、これらに迅速に対応し事業の拡大を図り、社会課題の解決に貢献するとした。
同事業施設は4月21日現在、竣工済み37物件約310万㎡、開発中16物件約110万㎡、合計53物件約420万㎡で、累計投資額は約7,000億円。竣工済み施設の稼働率は99%という。
三木氏
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「最早、後発でない。嫌悪施設でもない」-衝撃的な発言をしてから4年。その後も着実に実績と歳を重ねたためか、この日の三木氏のスピーチはとても穏やかだった。過去10年の実績や直近の施設の紹介画像を含め約1時間20分費やし、メディアの質問にも一つひとつ丁寧に答えた。とても分かりやすい説明会だった。
とはいえ、説明会に参加した50名のメディアのうち少なくとも小生はしっかり理解しているとは言い難い。木を見て森を見ずと一緒だ。市場の全体像をまったく把握していないからだ。
だから、累計投資額が7,000億円に達し、施設延べ床面積が同社のオフィスビル貸付面積の約336万㎡を上回る約420万㎡という数値は、市場全体でどのような意味を持つのかよく分からないのだが、凄い数字であることはよく理解できる。
同社はロジスティクス単体の売上高は公表していないが、同事業を含む「投資家向け」分譲セグメント売上高は2021年3月期決算で初めてマンション・戸建て分譲を上回った。歴史的なことだ。仮に投資額を売上高とすると年間700億円だ。これをスタッフ80人で割ると1人当たり約8.8億円だ。驚異的な数字だ。
用途がまるで異なり、1種当たりの地価は少なくとも数十倍の差があるロジスティクスとオフィスビルを単純比較するのは乱暴に過ぎるが、分かりやすい指標だ。これをわずか10年で達成したのだから、やはり凄いと言わざるを得ない。
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今回の説明会で初めて知ったことが一つある。同社は土地区画整理事業による開発に注力しているようで、新たな開発案件として発表された6つのプロジェクトのうち3つがその事業スキームを活用したものだ。
土地区画整理事業は、「都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図る」(土地区画整理法第二条)と定義されており、かつて良好な住宅地を産む「都市計画の母」と呼ばれた。「宅地」(法律的には公有地以外の土地)とは住宅地のことしか小生は思い浮かばない。
この土地区画理事業は地価上昇を前提にしたもので、バブル崩壊後は極めて厳しい環境にさらされている。計画立案から都市計画決定-着工-換地処分まで時間とコストがかかり、開発地の価値はどんどん目減りするからだ。記者は減歩率が98%という悲惨な事例も取材した。同社も都心部の再開発を除きこの事業から撤退した。継続して事業参画しているデベロッパーは野村不動産くらいだ。
ところが、三木氏はこの開発手法を積極的に活用していくと話した。そこで、国土交通省に問い合わせた。同制度によって物流施設が整備された事例はどれくらいあるのかと。同省は「データは公表していない。探せば見つかるはずだが、そのような事例は増えていると聞いている」と答えた。
これ以上先に進めないが、「物流施設」の整備を目的とした区画整理事業はどれくらいあるのか、今後どうなるのか、「物流施設」は住居系用途地域では許可されないはずだから、住宅地との一体開発は可能なのか、減歩率はどれくらいか、「物流施設は嫌悪施設ではない」(法的には「嫌悪施設」の定義はない)時代がやってくるのか-この分野は取材フィールドとしてもとても面白い。
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環境にも配慮した物件として紹介された「MFLP塩浜Ⅱ」に衝撃を受けた。三木氏は次のように説明した。
施設は月島機械と共同開発したもので、敷地面積は約82,600㎡、4階建て延床面積は約183,000㎡。施工は鹿島で免震、独創的なデザイン、緑地空間、顔認証、非接触エレベーター、カフェテリア、フィットネス、非常時72時間電力供給、AIロボット、ハイブリッド照明…。
話を聞きながら確かにこれは「嫌悪施設」ではないと思った。同社の〝パーク・ホームズ〟よりはるかに優れているのではないか、ロジスティクスにできるのならマンションだってできるのではないかと。三木氏は記者見学会を実施すると話した。しっかり見学してレポートしたい。
記者説明会(東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー)
「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)
梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働(2020?7/5)
駅前4.5haの再開発も三井不グループに決定 三井不レジ「南船橋」人気加速か(2020/10/23)
アナログの世界に楔 IoT活用で物流市場を変える Hacobu多業種と連携し課題解決構想(2019/9/22)
三井不動産 2022年3月期2Q 売上高、純利益は過去最高 投資家向け分譲も伸長(2021/11/6)