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SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)錦糸町」(13階)

積水ハウスの「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)錦糸町」を見学した。昨年末から今年初めにかけてオープンした「皆が気軽に集える場所」をコンセプトにした5か所の新拠点「SUMUFUMU TERRACE」の一つで、これまで見学した「青山」「新宿」「池袋」とはまた異なったデザインになっており、靴を脱いでゆっくり寛ぐわが国のおもてなし空間を演出しているのが特徴だ。

場所は、JR錦糸町駅北口から徒歩1分の「アルカイースト」の1階と13階。テーマは「おもてなしの空間(ジャパニーズモダン)」。1階は数坪くらいか。オープンカフェのような雰囲気があり、知らない人が〝入店〟することもあるようだ。

13階は、同社東京中央支店のオフィスを兼ね合わせたオフィス・施設。エントランス・玄関は框付きで、そこで靴を脱ぎ、挽き板仕上げの廊下を通り、10cmくらい床面を下げた絨毯敷きのおもてなし空間へと誘導する仕掛けが施されている。顧客はもちろん、社員をリラックスさせる効果を狙ったデザインだと理解した。

これで5つの新拠点のうち4か所を見学したことになる。見学の目的は、これまでにないこの種のオフィスであり接客スペースでもある空間演出がどのような効果をもたらすか知りたいからだ。来年の今ごろ、その効果、課題などを取材したい。

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「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)錦糸町」(1階)

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「SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)錦糸町」上がり框

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SUMUFUMU TERRACE(スムフム テラス)錦糸町」(13階)

        ◆     ◇

 同社の広報担当者・女ケ澤幸治氏に「SUMUFUMU TERRACE」案内してもらっているときだった。だしぬけに〝おや、牧田さん〟と背後から声を掛けられた。マスク越しなので、とっさには誰だかわからなかった。すると「野球部のW中村の一人、中村亮です」と名乗られた。もう数年間会っていないが、その瞬間、なつかしさが込み上げてきた。取材の目的は吹っ飛んだ(この時点でほとんど終わっていたのだが)。

 しばし中村亮平氏と談笑していると、今度は忘れようとしても忘れられない、いつも不敵な笑いを浮かべ、小生を〝マキ〟と呼び捨てにして挑発していたRBA野球大会のスラッガーで同社チームの主砲・坂本(荘運氏)が現れた。

 早速、野球と仕事についてコメントを求めた。中村氏は「私は、戸建てシャーメゾンを中心に分譲用の用地取得も担当しており、RBA野球つながりで流通会社の方と情報交換を行ったりビジネスにつなげたりしています」と話した。また、坂本氏は「『千葉』の生田とこの前、木更津で一緒に仕事しました。新しいオフィス? お客さんも今までとイメージが違うと仰っています」と語った。

 読者の方は、「中村亮平」「坂本荘運」が何者か全然知らないはずだ。以下、少し説明する。

 記録を調べてみた。同社チームは、知る人ぞ知る、知らない人は業界モグリのRBA野球大会に第16回大会(平成16年)から第29回大会(同29年)まで参加。通算成績は603129敗、勝率.517。最高成績は第19回大会のベスト8。参加チームは毎年30チームくらいで、決勝トーナメントに勝ち進めるベスト16に同社チームは常時勝ち上がったが、予選は突破していたが、兄弟チームの優勝したことがある積水ハウス京葉や、決勝戦に2度進出した積水ハウス神奈川ほどの好成績は残していない。チームは、選手の高齢化と異動により9人を集めることが難しくなった第30回大会から欠場。現在に至っている。

 中村亮平氏(41)は外野手。クリーンアップの一翼として活躍した。通算個人成績は不明だが、通算打率は3割くらいか。渡された名刺の肩書には「積水ハウス東京中央支店 店次長」とあり、「宅建士」の資格のほか「事業継承・M&Aエキスパート」「競売不動産取引主任者」「相続診断士」「耐震診断士」とあった。

 学年は中村氏より1つ下の坂本荘運氏(41)は、都立の名門・城東高校時代に甲子園に出場した経験の持ち主で、チームでは切り込み隊長として活躍。やはり通算個人成績は残っていないが、間違いなく打率は3割超で、本塁打は20発くらい放っているのではないか。坂本氏の肩書は「主任 店次長」とあった。

 同じオフィスには当時のエース・中村(純)氏が営業部長として活躍されているようだ。中村(純)氏は〝頭脳派〟で、不惑を過ぎても相手打者を手玉に取るピッチングを披露した。女ケ澤氏とは同期で、一緒に仕事したこともあると聞いた。年齢は50歳になったか。

 坂本氏の話に出た生田氏は、第24RBA野球大会で優勝した積水ハウス京葉の優勝投手だ。王者・旭化成ホームズ打線を6回1失点に抑えた。この試合で敗れた相手の旭化成ホームズの鈴木監督は辞任を表明した。生田氏はいまのプロ野球でいえばエンゼルスの大谷翔平選手のように、相手打線を完璧に抑え、自らが打って試合を決めた。記者は「ミスターRBA」の称号を東急リバブル・岡住氏に献呈したが、生田氏も力は互角だった。

 仲井社長!会社を上げてRBA野球大会に参戦していただきたい。旭化成ホームズに〝王者〟の名をほしいままにしていいはずはないではありませんか。

 ン?  小生はいったい何の記事を書いているのだ。

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坂本氏(左)と中村(亮)氏

アースカラーの空間演出が見事 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 池袋」(2022/4/7

最高の〝働く場・接遇スペース〟 積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 新宿」(2022/2/17

目に物見せる目[me]は何者だ 驚愕の積水ハウス「SUMUFUMU TERRACE 青山」(2022/2/14

ポラス逃げ切り 44歳藤井が4打席連続安打 積水ハウスは予選敗退(2017/7/15

パナホーム乱戦制す オコエが活躍 積水ハウスは屈辱的敗戦(2017/7/7

積水ハウス〝兄弟〟対決は神奈川に軍配 東京は意味深な「作戦通り」(2016/7/6

積水ハウス 〝消える投手〟横内が好投 ジャンケンで候補・ミサワ東京下す(2016/6/16

積水ハウスが大勝 坂本が満塁弾 高橋は5回完封 東急ホームズ完敗(2015/7/23

積水ハウス京葉 王者・旭化成ホームズを下し初優勝(2012/4/24

積水ハウス 接戦を制す 不惑・中村純が2失点完投(2010/9/15)

積水ハウス 田口、土壇場で同点弾 逆転サヨナラ勝ち(2009/9/9)

積水ハウス大量20点で圧勝 決勝T進出決める(2007/10/3

積水ハウス東京中央が快勝 中村純は5回完封 坂本先頭打者弾、梅津も1(2009/7/9)

積水ハウス 中村(純)-土屋で7回完封リレー 坂本は2試合連続の一発(2007/11/7

 

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「浦和美園E-フォレスト」街びらき

 中央住宅、高砂建設、アキュラホームの3社は4月16日、次世代自動車・スマートエネルギー特区スマートホーム・コミュニティ先導的モデル街区の戸建分譲プロジェクト「浦和美園E-フォレスト」の1~3街区すべてが完成したのに伴う街開きイベント・見学会を開催した。3社の代表者をはじめ清水勇人さいたま市長、自治会代表、埼玉高速鉄道・荻野洋社長なども参加し、7年間にわたる事業の完成を祝った。参加者は300人くらいに上った模様だ。

 「浦和美園E-フォレスト」は、2012年に地域活性化特区として総理大臣認定を受けスタート。2016年、市のコンペで3社の共同提案が採択された。第1期「つなぐ庭の街区」33区画は同年10月、第2期「コネクテッド サイト」45区画は2019年4月、第3期「GARDEN-site」51区画は2021年5月にそれぞれ販売開始された。合計129区画の事業者別内訳は中央住宅が91区画、高砂建設が24区画、アキュラホームが14区画。土地面積は150㎡以上で、建物面積は100㎡前後、価格は5,000万円台半ばが中心だった。分散型エネルギーシステムの構築にはLooopが事業参画している。

 環境負荷の軽減・エネルギーセキュリティの確保の取り組みでは、民地を活用した電線・通信線の地下化、HEAT20グレードを満たす高断熱・高気密の仕様、再生可能エネルギー(太陽光発電設備)を採用し、地域コミュニティの醸成では、相互に地役権を設定した敷地拠出型コモンスペースの創出、コミュニティ支援活動、雨水の再利用、果樹・家庭菜園による「フード&グリーン」の構築などを行っている。

 今回の第3期では、敷地のシェア・エネルギーシェア・チャージエリアを整備し、街区内の電力を実質再生可能エネルギー100%、街区内再エネ自家消費率60%超達成などが評価され、環境省の2021年「脱炭素イノベーションによる地域循環共生圏構築事業」に採択されている。

 イベントは午前10時、11歳のストリートピアノ奏者・そうちゃんの演奏を合図にスタート。主催者の中央住宅・品川典久社長は「2016年の分譲開始から7年。先導的プロジェクトが完成した。地球温暖化防止は待ったなし。これからの街づくりのスタンダードになる」と挨拶。高砂建設・風間健社長は「官民が一体となった最先端の街が完成した。今の時代にピッタリ。今後も同様の取り組みを行っていきたい」と述べた。アキュラホーム・宮沢俊哉社長は「販売当初は認知度がいま一つだったが、3期目は大人気で、ほとんど即日完売」と語った。

 来賓として出席した清水市長は「さいたま市は人口転入が日本一で、浦和美園はその中でももっとも人口が増えている。今後も豊かに暮らせるスマートな街づくりを全力で取り組んでいく」と挨拶。Looop・中村創一郎社長は「画期的なシステムが完成した。このような取り組みを日本全国に広げたい」と語った。

 浦和美園E-フォレスト・上島啓司自治会副会長は「3年前に引っ越してきた。子どもも含め大変快適に過ごしている」と話した。地元選出の内閣総理大臣補佐官・村井英樹議員は「この地区では10年間に小学校が2つ、中学校が1つ誕生した。全国一元気な街」と称えた。埼玉高速鉄道・荻野洋社長は「鉄道の岩槻までの延伸も決まった。東京メトロ南北線の品川駅までの乗り入れ計画もあり、埼玉高速のイメージは変わる」と語った。

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左から品川氏、風間氏、宮沢氏

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清水氏

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左から中村氏、城島氏、荻野氏

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100人以上の子どもが参加した紙飛行機投げイベント

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会場となった開発地内に整備された公園(花はシバザクラか)

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第3期の街並み

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エネルギーシェアリング「エネプラザ」(各戸の太陽光発電を集約し、電力を再分配する。余剰分は畜電し、電力需要時に放電する)

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 万年筆のインクが切れたため、前段の登壇した8氏のコメントはよくメモできなかった。申し訳ないというほかないが、端折るわけにもいかず登壇順に全て紹介した。趣旨は間違っていないはずだ。

 そんな各氏のコメントを100人超の子どもを含めた約300名の参加者がどう受け止めたかはわからないが、セレモニー後に行われた見学会での、入居してから1か月くらいの2人の居住者の声が街づくりの全てを物語っている。

 都内から引っ越してきたという30代の小嶋さんは「コロナ禍で自宅で仕事ができるようになり、住環境のいいところを探していた。街は開放感があって子どもを伸び伸び育てることができる。引っ越ししてきてよかった」と語った。

 埼玉県人の20代の篠﨑さんは「この街のことはよく知らなかった。電柱もないので夜帰ったとき大丈夫かと不安も感じたが、そんなことはなかった(「灯りのいえなみ協定」により夜間はLED照明でライトアップされる)。街は明るくてきれい。周囲の方から挨拶もされるので、これからのコミュニティづくりが楽しみ」と話した。

 記者は二人にエアコンについて質問した。小嶋さんは「エアコンは1台。21~22度に設定しているが、浴室も14度以下に下がることはない」と話し、篠﨑さんも「エアコンは1階と2階にあるが、1階しか使っていない」と語った。

 街づくりについては、これまで3~4度取材しているので、その記事を参照していただきたい。これほど素晴らしい戸建て開発地は他にないと断言できる。結果として「日本一の街」が実現したと評価したい。

 ひとつだけ付け加えるとすれば、宮沢社長が「分譲当初は認知度が低く、販売にも苦労した」と話したことについて。これは、浦和美園駅は「イオンモール浦和美園」へ徒歩6分、「埼玉スタジアム」まで徒歩15分と中途半端な位置にあり、駅前の商業施設などの整備が進んでいないことに起因すると思う。そして「次世代自動車・スマートエネルギー特区スマートホーム・コミュニティ先導的モデル街区」などといかにもお役所的な長ったらしいプロジェクト名称にも問題がある。プロジェクト発表会の記事も添付した。

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街並み(相互に地役権を設定した敷地拠出型コモンスペース)

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メディアの質問に答える関係者(左は市が管理する雑木林)

ポラス 「浦和美園E-フォレスト」第2弾好発進 わが国初のDGRによる電力融通実験も(2019/2/9)

どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)

この冬一番の寒さの中 世界水準のUA値0.46を体感 「浦和美園E-フォレスト」(2016/12/17)

「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」(2016/3/19)

 


 

 

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右から木下氏、村井氏、野原氏

 スウェーデンハウスは4月15日、「コロナ禍で普及した住宅業界のオンライン関連サービスの今後」と題するブレスセミナーを開催。昨年4月に実施した「コロナ禍における住まいの意識調査」からさらに1年が経過して意識はどのように変化したかを再調査し、その結果を報告するとともに、昨年4月に野原ホールディングスと共同開発・導入した世界初の3Dキャラクターによる接客機能を搭載したバーチャル内覧サービス「VRモデルハウスウォークスルー」の進化形を公開した。

 セミナーでは、まず2022年4月に実施した「コロナ禍2年目における住まいの意識調査」結果を紹介。調査は1年前の「コロナ禍における住まいの意識調査」から1年が経過し、その意識がどのように変化したかを調べたもの。対象は20代から60代の男女500名。

 その結果、“家族の団らん”は直近1年間でも約3人に1人が増えたと回答。「住まいに求める具体的な要素」は「インターネット環境」が1位で、居住エリアでは「日常生活・買い物に便利なところに住みたい」が前回調査と同様、全体で43.5%と高い割合となった。求める居住空間では「空間の切り分け(仕事ができる空間・ワークスペースと居住スペースの切り分け)」や「プライバシー(1人でいられる/家族・パートナーのプライバシーが保たれる空間を充実させたい)」などの回答が目立った。

 全体として、コロナ禍における社会環境の変化が、都市部に住むことに固執しないライフスタイルを定着させたと報告している。

 「あなたは『メタバース』について知っていますか」との問いには、「知っていて使ったことがある」3.4%と「知っているが使ったことはない」30.8%を合わせ34.2%で、「住宅やマンションの検討」で使った人はゼロだった。「メタバースを使ってみたい」人は15.8%で、うち「住宅やマンションの検討」は15.8%だった。

 進化形の「VRモデルハウスウォークスルー」は、システムの事前利用で得たデータを盛り込み、顧客の質問にキャラクター(アバター)が音声と説明文で対応するもの。サービスは、同社の全国61か所のオンライン住宅展示場で5月13日から開始する。

 同社・村井秀壽社長は、「今期(2022年3月期)契約数は前期より25%、売上高は11%伸びたが、これは昨年導入したWEB対応の効果があったと理解している。今後、注文住宅市場はどんどんシュリンクしていくが、分母が小さい当社の伸びしろは大きい。商品力が高いので世の中の動きに影響されない。現在の主な購入層であるZ世代や次のアルファ―世代にはメタバースは訴求力があるので、これをさらに進化させ、宿泊も可能なサテライトモデルハウスを増やすなどリアルとオンラインのハイブリッド型事業を展開していく」と語った。

 また、同社執行役員 営業推進部部長・大川保彦氏は、「1年間のVRサービスについて、営業からはVRからモデルハウス来場への動線が今一つ分からないという声はあるが、これらを解決し、モデルハウス来場につながる取り組みを強化していく」と話した。

 ゲストとして参加した野原ホールディングス・野原弘輔社長は「昨年4月に開始したサービスに新しい機能を盛り込んだ。住まい手の未来をアップデートしていく」と、不動産営業とAIを結び付ける事業を行っているhomie執行役員・木下悠氏は「当社は2019年4月設立の若いテック企業だが、当社のAI・ホットリードを活用していただいている会社はスウェーデンハウスさんをはじめ50社450店舗に上っている」とそれぞれ挨拶した。

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村井氏

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左から野原氏、木下氏、大川氏

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 デモンストレーション動画も紹介された。野原ホールディングス建設DX推進統括部VDC事業開発部 ビジネスデベロップメントグループ ビジネスデベロップメントエグゼクティブ・井上淳氏が顧客役を演じ、3Dキャラクターにトナカイ「ムース先生」が井上氏の質問に答えるというものだ。

 「ムース先生」が人の話し声を理解し、答えられるというのは凄いことではあるが、課題も大きいことが分かった。

 先の意識調査結果からも、同社が示した「デモ映像」でよかった点は「住宅のイメージが具体的に伝わった」38.6%、「質問に答えてくれるのが良かった」32.1%、「時間を気にせず見られるので良かった」37.8%、「人と会わないので気楽に見られて良かった」35.0%などと高い数値を示したのに対し、「細かい部分まで見られて良かった」は18.0%、「実際のモデルハウスに行ってみたいと思った」は13.2%にとどまっている。

 また、キャラクターの音声はぎこちなく、合成音であることはすぐわかる。改善の余地は大きい。

 記者は、AIロボットの理想形は顧客の好きなタレント・有名人(小生でいえば吉永小百合さん)に似た人と会話を交わせることだと思っている。例えばこんな会話だ。

 「お宅は築30年の戸建てですか。浴室もトイレも寒い? そうでしょうね。ここは暖かいですよ。いま外気温は10度ですが、エアコンは一つ、21度に設定したままで浴室もトイレもほぼ同じ温度。ほら、わたしなんか下に何も着ていませんよ。透けて見えるでしょ。成約記念に私のサイン付き銅板手形をプレゼントしましょう」などと語りかけられたら顧客は舞い上がる。成約率は飛躍的に高まる。

 もっとも基本的なことにも「ムース先生」は答えられなかった。井上氏の「㎡単価(坪単価)はどれくらいか」という質問に対して、「その質問の答えは用意していません。コンシェルジュに相談してください」と答えた場面だ。

 住宅の㎡単価(坪単価)は必須要件だ。顧客がどの程度の予算を考えているかなど前提条件は必要だろうが、㎡単価(坪単価)を瞬時にはじき出せなければ先に進めない。同社のコンシェルジュ(スタッフ)は90秒以内に電話で答えることになっているそうだが、夜中でも対応できるのだろうか。

 これらの課題に対応できるまでどれくらいかかるか分からないが、実現したら初期対応の営業職はいらなくなる。あるハウスメーカーのトップセールスマンは「私は空気だって売ることができる」と豪語したように、AIロボットが市場を占領する時代がやってくるのか。それともAIロボット同士の戦いが激化し、お互いの破壊工作によって自滅し、結局は人と人の対応でしか最適解を見つけ出せない世の中になるのか。それを見極められるまで小生は生きていられるのか。

約300の質問に瞬時に回答AIアバター(♀)開発 東急リバブル+ウェルヴィル(2022/4/4)

スウェーデンハウス 世界初3DキャラクターによるVR内覧サービス モデル来場2.2倍(2021/4/21)

 


 

 

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「ヴェレーナシティ藤沢」モデルルーム(この空間提案をできるデベロッパーは他にあるか)

 「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」に続き、「ヴェレーナシティ藤沢」と「ヴェレーナグラン湘南藤沢」を紹介する。販売は順調で、前者はバス便だが、70㎡以上でも価格が4,000万円台という価格の優位性があり、後者は徒歩12分とグレード感があるのが評価されているという。

 「ヴェレーナシティ藤沢」は、JR・小田急江ノ島線藤沢駅から徒歩23分(バス約6分、バス停徒歩1分)、藤沢市藤が岡三丁目の第二種住居地域、第一種低層住居専用地域に位置する7階建て全102戸。先着順で分譲中の住戸(7戸)の価格は4,168万〜4,798万円(専有面積72.89〜77.17㎡)。坪単価は200万円。竣工予定は2023年4月中旬。施工は長谷工コーポレーション。昨年10月から販売開始しており、現在、進捗は80%。

 現地はヒルトップの大学の寮跡地で、道路を挟んだ南側は第一種低層住居専用地域。敷地の目の前にバス停があり、通勤時間帯は数分置きに藤沢駅行が走っているという。

 建物は全戸南向きで、全邸オープンエア付き住戸(オープンエアリビング・バルコニー付きは24戸)。主な基本性能・設備仕様はリビング天井高約2450ミリ(最上階は約2500ミリ)、直床、ディスポーザー、食洗機、2段タオル掛け、メーターモジュール廊下、バルコニースロップシンクなど。共用施設はオーナーズラウンジ・ライブラリー・サロン・ガーデンなど。

 「ヴェレーナグラン湘南藤沢」は、JR・小田急江ノ島線藤沢駅から徒歩12分、藤沢市川名字森久の第一種住居地域、準工業地域に位置する7階建て全33戸。先着順で分譲中の住戸(3戸)の価格は4,768万〜5,228万円(専有面積65.27〜70.28㎡)。坪単価は243万円。竣工予定は2022年7月下旬。施工は大洋建設。販売開始は10月からで、残りわずか。

 建物はワンフロア5戸構成で、角住戸は13戸。中住戸2列は東向きワイドスパン(7.5・9.0m)。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、御影石キッチン・洗面カウンター、食洗機、ミストサウナ。2段タオル掛け、バルコニースロップシンク、メーターモジュール廊下(一部除く)など。

 同社マンションギャラリー次長・大竹喜章氏は、「双方とも販売は順調。『シティ』は、6月頃までに完売できそう。購入者の2割が都内。70㎡以上の3LDKが4,000万円台前半で買えることが評価されており、バスも頻繁に走っているのでハンディにはなっていません。『グラン』も設備仕様のグレードが高評価をいただいている」と語っている。

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「ヴェレーナグラン湘南藤沢」

◇        ◆     ◇

 「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」の記事と一緒に読んでいただきたい。湘南エリアの他社のマンションをそれほど取材していないので断定的なことは言えないが、基本性能・設備仕様レベルはどこの物件と比較しても負けないと思う。

 例えば「シティ」。住戸プランは最低70㎡を確保し、15列あるスパンのうち6mのショートスパン(今はそう呼ばないかもしれないが)は2列(スパン)しかない。他は6.2mが6列、6.4mが5列、7.3mが2列(角住戸)だ。

 坪単価はバス便ということもあり200万円と安いが、ディスポーザー、食洗機、御影石カウンター、2段タオル掛け、ミストサウナ、メーターモジュール廊下幅などを標準装備としている。この単価でこれほどの質を確保しているマンションがあったら教えてほしい。まずないはずだ。

 どのような物件でも〝手抜き〟をしない企業姿勢がここにある。スロー アンド ステディ ウィン ザ レース(SLOW & STEADY WIN THE RACE)-追い風だろうと向かい風だろうと、生活者目線の商品企画を忘れないことが結局生き残るということだ。

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モデルルーム

希少の海に近い1低層 水準以上の基本性能・設備仕様 大和地所レジ「茅ヶ崎東海岸」(2022/4/12

 

 

 

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「パークアクシス錦糸町スタイルズ」オープンダイニング

 三井不動産レジデンシャルは4月15日、専用部と共用部の機能を見直し、選べる朝食、シェア、サブスクなどのサービスを提案した新しい形の賃貸マンション「パークアクシス錦糸町スタイルズ」(96戸)が竣工したのに伴うプレス内覧会を行った。記者は通常の賃貸では考えられないほど共用部が充実しているのと、20数社のメディアが駆けつけていたのにダブルショックを受けた。

 物件は、JR錦糸町駅から徒歩10分、都営新宿線菊川駅から徒歩9分、墨田区江東橋五丁目の準工業地域に位置する敷地面積約788㎡(238坪)の7階建て延べ床面積約2,499㎡の96室(建築基準法の用途は「寄宿舎」)。専用面積は15.35~18.00 ㎡、賃料は11.6万円~/月。建物は3月25日に竣工。入居可能日は4月中旬以降。

 テレワークの普及や在宅時間の増加などによりライフスタイルが変化・多様化しているのに対応するもので、入居者が必要な機能を必要なときに選択して利用できるのが特徴で、専用部はユニットバス・洗面・トイレを含めた約15~18㎡に抑えている。

 その一方で、約120㎡の共用部(全体のレンタブル比は70%だそうだ)に各種の施設を配置。単身者の課題とされる朝食・テレワークに対応するため朝食は200円から450円まで和洋食4種から選べるようにしたほか、夕食は定食や丼など栄養バランスに配慮したメニューを用意、外食のようなメニューをワンコイン未満で提供する。

 このほか、リモート会議用の個室やブースなどのワークスペースを設置。シェアキッチン、ランドリー、ブックセレクト、共用備品・調理器具貸出しサービス、洗濯代行、家具のサブスクサービス、レンタサイクルなども行う。

 また、SDGsに貢献するためグリーン電力を使用するほか、食事を提供するLEOCと連携してフードロス削減・脱プラスチックの取り組みも行い、共用部のドリンクにはプラスチックストローやカップを使用せず、マグカップ、紙カップ、紙ストロー、紙蓋を採用し、コーヒーは全てフェアトレードコーヒーにする。

 賃料設定に関するメディアの質問について同社賃貸住宅事業部 事業グループ室長・神谷正樹氏は、「共用部の充実のほか定額制の水光熱費、各種の無料サービス、ネット環境を考慮すれば一般的な賃貸マンションの相場と比べ相応ではないか」と語った。

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シェアキッチン

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ブース席

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朝食メニュー(450円、これに飲み物が付く)

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450円の〈WAKE(ヌードルプレート)〉(左)と300円の〈FUN(パンケーキプレート)〉

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ブックセレクト

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 記者は、共用部で赤の他人と緩やかにつながる生活スタイルはいま一つ理解できないのだが、今回の賃貸マンションは分譲マンションの商品企画にも生かせるというのが率直な感想だ。分譲価格を抑制するため、共用部を充実させ専有面積を圧縮する流れは加速するのではないか。

 まず共用部。この種の規模の賃貸としては充実しているのは間違いない。写真の朝食メニューが高いか安いか判断できないが、これにフェアトレードのコーヒーが付くし、ビールなどを飲むのも自由だ。飲酒でいえば、同社は1時間500円の飲み放題も1年間期間限定で企画しているという。

 ブックセレクトコーナーは有隣堂とコラボしているもので、常時400冊が備えられており無料で読める(居室に持ち込みは不可)。書籍の入れ替えには居住者の声を反映させるという。

 次に専用部。建築基準法での用途は「寄宿舎」なので台所がなく、広さ、天井高最大2350ミリ(最大は2480ミリ)というのはともかく、浴室にはタオル掛けがきちんと付いていたし、タンク付きトイレも郊外分譲マンションに採用されているものと遜色ない。直床のフローリングは二重床のそれと同じくらいしっかりしている。物干しポールとピクチャーレール付きの部屋もあった。もちろん飲酒・喫煙も可能(共用部は禁煙)だし、友だちなどを入室させるのも自由だ。

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ランドリー(男性用洗濯機7台、乾燥機7台、女性用5台)

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浴室タオル掛け

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物干しポール

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「パークアクシス錦糸町スタイルズ」

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「グレーシア湘南平塚海岸」

中央日本土地建物「バウス平塚」を取材したあと、相鉄不動産がほぼ同時期に分譲開始した「グレーシア湘南平塚海岸」を見学した。中央日土地の物件が駅の傍なら、こちらは目の前がすぐ海。〝贅肉〟をそぎ落としたコンセプトが奏功したか、全100戸のうち海側の29戸を中心に33戸に〝赤いバラ〟が付いていた。

物件は、JR平塚駅から徒歩17分(平塚駅からバス6分、徒歩2分)、平塚市龍城ケ丘4丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全100戸。専有面積は62.9988.84㎡、価格は2,900万円台~5,600万円台(最多価格帯3,900万円台。現在分譲中の住戸(40戸)の坪単価は196万円(全体予定は175万円)。竣工予定は20231月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

現地は、元公務員宿舎。目の前の防砂林-道路(橋)を渡るとすぐ海(表示は海まで3分)。海岸では、防砂林を伐採する計画に反対する地域住民がいるため着工は中断されているが、市民協働の森、レストラン、スポーツフィールド、カフェなどからなる「湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備計画」がある。

建物は、コの字型で、海側の南向きが50戸、東向きが32戸、西向きが18戸。主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2480ミリ(最上階は2450ミリ)、良水工房など。床暖房はなく、浴室タオル掛け、食洗機などはオプション。間口6m以下も40戸ある。共用施設としてカームラウンジ、シェアストレージ、オーシャンビューテラスなど。南向き1階住戸には約12㎡のテラスと約10㎡の専用庭付き。

今年3月から分譲開始し、これまでに南向き29戸(分譲中の21戸の坪単価222万円)、東向き2戸(分譲中の12戸の坪単価154万円)、西向き2戸(分譲中の7戸の坪単価201万円)、合計33戸が成約済み。

販売担当者によると、予想以上の売れ行きで、購入者は海好きの人が多く、他社物件との競合は少ないという。

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海に渡る橋の上から現地を写す

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眼前の海は遠浅になっていないので遊泳禁止とか(泳げるところまでは10分くらいとか)

        ◆     ◇

 相鉄不動産といえば、今年1月、坪単価717万円でも圧倒的な人気を呼んでいる「THE YOKOHAMA FRONT」(ザ ヨコハマ フロント)を見たばかりだ。

 大激戦の「平塚」はどんな商品企画で勝負するのだろうとわくわくしながらモデルルームを見た。あにはからんや。その〝シンプルさ〟に唖然茫然するほかなかった。

 これまでもこの種の経済設計のマンションを見学したことはあるが、今回はその極みだ。地域の需要ニーズを熟知するデベロッパーと、設計・施工のプロでしかなしえない技だ。コンセプトを明確に打ち出し、ターゲットを絞り込めば〝売れる〟ことを示した好例ではないか。

 単価設定にもうなってしまった。海に面した側でも、前面の砂防林のマツも高さは5層分あり、最上階でも海が見えるかどうかは微妙とのことで、それほど高値に設定していないが、海の眺望が望めない東向き、西向きは価格を極端に低く設定している。

 そこで小生は考えた。海の映像をカメラに、波の音を収音マイクに収め、室内にリアルに画像とともに音を楽しめるようにしたらどうだろう。その費用はどれくらいか分からないが、そうすれば価格をもっと上げられると。

 太陽光を採光し、居室内に照らし出すシステムを採用すればマンションの値付けを劇的に変えられるとずっと昔から思っているのだが…。

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敷地西側の道路を挟んだ防砂林

9物件1,100戸超の大激戦地に〝参戦〟 中央日土地「バウス平塚」(2022/4/13

相鉄不・東急 横浜駅直結タワマン 第1129戸完売 坪717万円「嫌悪施設」影響なし(2022/1/26

 

 

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「バウス平塚」

 中央日本土地建物は4月12日、JR平塚駅から徒歩2分のマンション「バウス平塚」(118戸)のメディア向け見学会を行った。同駅圏では現在、同社物件含めて9物件、トータルで1,170戸の物件が分譲されている大激戦地で、同社は最後発。3月に供給した第1期30戸のうち約20戸を成約。「順調」な滑り出しのようだ。

 物件は、JR平塚駅から徒歩2分、平塚市錦町の商業地域に位置する10階建て全118戸。現在先着順で分譲中の住戸(8戸)の専有面積は44.88~77.38㎡、価格は3,150万円~5,780万円。坪単価は230万円。竣工予定は2023年6月下旬。売主は同社(事業比率95%)のほか三信住建(同5%)。施工はファーストコーポレーション・三信住建共同企業体。販売代理は東急リバブル。

 現地は、温浴施設跡地。三信住建が用地を取得した。敷地は東側と西側の2方道路に接道。建物外観は日本の御屋敷をコンセプトに木・石・土をイメージした素材を多用、エントランスは石積みとし、低層部は格子デザインを採用している。

 住戸プランは東向きと西向きの2列配置で、1LDK~4LDKまで10タイプ。平均収納率を11.25%確保、クックパッド(cookpad)と共同開発したシステムキッチン「BAUS×cookpadコラボキッチン」を初採用しているのが特徴。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、物干しポール、浴室タオル掛け1か所など。

 同社経営企画部総括次長 経営企画部広報室長・鈴木高廣氏は、「2016年にマンションブランド『BAUS(バウス)』を立ち上げ、供給ランキングの末席に名を連ねようと年間500戸を目標に展開してきたが、2019年から本格的に戸数が積みあがってきた。年間1、2回は内覧会などを行っていきたい」と語った。

 同社住宅事業部総括次長・青木一浩氏は、「ブランドの由来である基本・基盤を意味するBasisを大切にし、丁寧な家づくり、品質にこだわって差別化を行ってきた。今年度は450戸、来期は540戸の目途が立った。500戸を安定的に供給していく」と話した。

 物件の計画を担当する同社住宅事業推進第一部副長・能勢暁人氏は、「1月から集客を開始し、この2カ月半で来場は約200組。デザイナーを起用し、Cookpadとコラボしたシステムキッチンを採用するなどの差別化を図った。平塚駅圏では現在、9物件が分譲されており在庫は600~700戸と予測されるほどの激戦地で、〝第1期は20戸の壁〟があったが、第1期は30戸供給し、20戸を成約するなど何とかこの壁をクリアできた。順調な滑り出し。地元が4割で、75%が県内」と語った。

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「パパっとニッチ」付きの「BAUS×cookpadコラボキッチン」

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エントランスラウンジ

◇        ◆     ◇

 同社はもっとも好きなデベロッパーの一社だ。バブル期でも浮利を追わず、「鴨居分譲地」「横浜白山分譲地」「戸塚台分譲地」「横浜あずま野分譲住宅」など、いかにも銀行系と頷ける良好な戸建て住宅地を開発してきたからだ。バブル崩壊で多くの銀行・証券会社系デベロッパーが市場から退場を余儀なくされた中で、同社が生き延びられたのもそのような企業姿勢を貫いてきたからだ。

 だから、後発だからこそ同業と一味も二味も異なる商品を供給してくれるのではないかと、「BAUS(バウス)」にも注目している。

 今回の「平塚」の77㎡のモデルルームはよくできていると思う。間口は7700ミリと広く、「BAUS×cookpadコラボキッチン」では、他社も似たようなものを開発しているが、キッチン用具を収められる高さ35センチの「パパっとニッチ」がいい。

 ひとつだけ気になったのは水回りだ。浴室のタオル掛けは1か所だけだが、ファミリー層をターゲットにするのであれば2か所は必須で、洗濯機の上部にはハンガーが掛けられる収納を設けるべきだ。細かいことだが、消費者はこのようなきめ細かな、かゆいところに手が届く配慮に感動を覚える。

 さらに言えば、今後の展開を考えると、年間500戸体制を支える販売部隊を強化すべきではないか。どことは言わないが、自前の販売部隊を持たない大手(系)は市況に流されやすい。ユーザーの声を直に聴くのと販売会社から間接的に聴くのとでは全然異なる。販売スタッフを通じて全社員が課題・問題を共有できるからこそ次に生きてくる。

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タオル掛けは1か所

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建設現場

中央日土地グループ2021年4月1日付で7社体制へ 事業別子会社再編(2020/12/18)

一戸当たり土地持ち分67㎡ 日土地ほか「バウス武蔵境」 悩ましい都市計画道路(2019/9/11)

驚嘆のアート・オフィス・デザイン 東京に新名所 日土地他「京橋エドグラン」誕生(2016/11/24)

設備仕様レベルはトップクラス 日土地「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」(2015/12/10)

日土地 マンション事業本格参入 年間500戸から1,000戸体制へ(2015/10/6)

音楽好きにはたまらない 日土地がシェアハウス「シェアリーフ西船橋グレイスノート」公開(2014/2/19)

「日土地虎ノ門ビル」竣工 浮利を追わず、環境にかける同社の矜持を見た(2013/12/18)

日土地 次世代制震装置装備の「高井戸」1期即完(2013/6/4)

 

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「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」

 大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」「ヴェレーナシティ藤沢」「ヴェレーナグラン湘南藤沢」を見学した。3物件とも同社の〝十八番〟である「OPEN AIR LIVING」を盛り込んでおり、売れ行きも好調。同社は、毎年1,000戸前後を供給しても完成在庫を出さないことで知られているが、その理由は商品企画にあることを改めて学んだ。

 まず、同社の最上位の〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン茅ヶ崎東海岸」を紹介する。

 物件は、JR茅ケ崎駅から徒歩15分、茅ヶ崎市東海岸南四丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約8,236㎡、地上4階・地下1階建て全111戸。専有面積は53.89~100.38㎡。現在先着順で分譲中の住戸(5戸)の専有面積は68.57~75.75㎡、価格は5,098万〜6,158万円。平均坪単価は280万円。竣工予定は2023年2月下旬。設計・監理は恒企画。施工は馬淵建設。

 昨年10月から販売を開始しており、これまでに約7割を成約。地元居住者は約2割で、世田谷、中央、目黒、港区など都内が約5割を占めるなど広域から集客できているのが特徴だ。

 現地は、第一種低層住居専用地域に指定されているように良好な戸建て住宅街の一角にあり、明治時代から地元の人によく知られていた噴水や池もあった別荘地跡地。同社は相対で用地を取得したが、豊富な湘南エリアでの供給実績がオーナーに評価されたという。

 建物はロの字に近い回廊型で、周囲の地盤面より約1700ミリ高く整地したうえ、ユーロデザインを採用。サーフボード置場やシャワーブース、屋上スカイラウンジ、シーズンズガーデン、パーティーラウンジ、キッズルーム、アクアパティオなどの共用施設を整備し、100㎡プラン、奥行き4mバルコニー、ルーフバルコニー、屋上バルコニー、専用庭付きプランなど63タイプを提案。敷地北側には既存樹のマツも一部残している。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高約2440~2580ミリ、メーターモジュール廊下幅、御影石キッチン・洗面カウンタートップ、食洗機、大理石玄関床(プレミアム仕様)、ミストサウナ、タオル掛け2か所など。全開口サッシ・オープンエアリビング付きは21戸、オープンエアバルコニー付きは7戸。最上階住戸は逆梁ハイサッシを採用している。

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モデルルーム

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オープンエアリビングバルコニー

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モデルルーム(趣味室の提案)

◇        ◆     ◇

 坪単価は高いような気がしたが、最近の湘南エリアのマンションは価格がどんどん上昇しており、基本性能・設備仕様レベルは間違いなく水準以上だ。物件案内をしていただいた同社担当部長・星山淳吉氏とマンションギャラリー課長・松浦敬冶氏は「このところ販売スピードが上がっている」と話したように、購入検討者も周辺物件と比較して、エリアで希少の1低層のランドスケープデザインを含めてこの物件を選択しているのだろう。

 もう一つ、これも人気の要因の一つと思われる「茅ヶ崎東海岸」に近いということだ。両氏には車で建設現場と現場から徒歩8分の茅ヶ崎海岸も見せていただいた。茅ヶ崎海岸に出たのは初めてだったが、防砂林の役割の大きさを知った。海岸沿いに走る国道の騒音はほとんど聞こえなかった。時間がゆったりと流れ、潮の香りと寄せては返す悠久の波を満喫した。次の「藤沢」の取材がなければ、丁重にお礼を言ってお別れを告げ、ビールでも飲みたかった。

 この市民のプライベートビーチともいうべき海岸に近いというのも購入検討者を惹きつけたのだろうし、エリア一帯の地盤は固く、工事は直接基礎工法で済み、市の津波ハザードマップでも現地の「浸水深」はそれほどでないことも後押ししたのに違いない。(同マンションは津波避難ビルに指定されている)

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タオル掛け2か所

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建設現場

◇        ◆     ◇

 これまでも何度も書いてきたが、記者は現場を見ないと成長・自立できない。成長・自立できなければ、いつお払い箱にあっても不思議でない不安定な立場に置かれていることを自覚すべきだ。事大主義に凝り固まり、プロパガンダのプレス・リリースのコピペ記事ばかり垂れ流してどうする。

 記事の冒頭に、同社は毎年1,000戸前後を供給して完成在庫を出さないとも書いた。ジャーナリストを自称する貴殿または貴女、あなたはその理由を知りたくないのか。同社のモデルルームなどの販売現場を見ないと、その理由をつかむことは絶対できないだろう。

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茅ヶ崎海岸沿いに走る国道(中央には富士山が見えたが、カメラは捉えていない)

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茅ヶ崎海岸

大和地所レジ 茅ヶ崎の1低層で111戸 モデルルームオープン(2021/9/3)

 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は4月10日、首都圏の2022年3月の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は前年同月比19.5%減となり、3か月連続で前年同月を下回った。成約坪単価は10.8%、成約価格は8.4%それぞれ上昇し 単価は23か月連続、成約価格は22か月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年同月比2.2%縮小した。

 成約件数3,405件(前年同月比19.5%減少)を都県別にみると、東京都は1,806件(同18.7%減)、神奈川県は802件(同21.9%減)、埼玉県は392件(同19.3%減)、千葉県は405件(同18.0%減)といずれも大幅に減少した。

 坪単価216万円(前年同月比10.8%上昇)を都県別にみると、東京都は291万円(同11.3%上昇)、神奈川県は165万円(同8.3%上昇)、埼玉県は134万円(同20.6%上昇)、千葉県は116万円(同12.3%上昇)。

 成約価格4,158万円(前年同月比8.4%上昇)を都県別にみると、東京都は5,145万円(同6.4%上昇)、神奈川県は3,403万円(同8.1%上昇)、埼玉県は2,777万円(同21.5%上昇)、千葉県は2,582万円(同11.8%上昇)。

 このほか、成約専有面積は63.58㎡(前年同月比2.2%減)となり、10か月連続して減少。在庫坪単価は240万円(前年同月比14.5%上昇)となり、50か月連続で前年同月を上回った。

 中古一戸建ての成約件数は1,286件(前年同月比21.1%減)、成約価格は3,741万円(同7.9%上昇)、土地面積は138.91㎡(同3.5%減、建物面積は103.96㎡(同0.5%減)となり、価格は17か月連続で前年同月を上回った。

 

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〝“シブシブ ノ シブヤ〟(プレス・リリースから) 

 三井不動産ホテルマネジメントが運営する「sequence MIYASHITA PARK」は4月17日まで、渋谷教育学園渋谷高等学校(通称:渋渋)の2年生有志学生チームの企画展“シブシブ ノ シブヤ”を開催している。

 企画展は、「渋渋」の2年生4人組54名が学校のカリキュラムの一環として行うもので、ホテルロビー内には1人ひとりの「自分の好きな渋谷の写真と好きな理由」と「渋谷の未来に向けての想い」を描いたA4サイズのパネルが展示されている。

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展示

◇        ◆     ◇

 どのような企画展かを確認するために「MIYASHITA PARK」に出かけた。同公園を訪ねるのは開業して間もない2020年の9月以来4度目だった。

 この日はウイークデイの昼前ということもあってか、これまでと比べて人出は少ないように感じた。それでも若い人を中心にホテルで仕事をする人や公園でくつろぐ人、レストランで食事をする人の姿がたくさん見られた。

 「渋渋」は初めて聞く言葉で、企画意図もよく分からなかったが、一つコメントを紹介する。「ココに女の子を連れていけばイチコロっていうデートスポットをあれば教えてほしい!」-小生は学生時代、この宮下公園の星空を見上げながら彼女との永遠の愛を誓った。当時は渋谷の夜は星が見えた。

 帰りに3階にある「渋谷ワイナリー東京」に立ち寄った。白の渋谷ワイナリー「甲州」と深川ワイナリー「甲州」を飲み比べた。「渋谷」は渋みが刺激的で、「深川」はこれぞブドウという味が口内に広がった。ソムリエの方は「『渋谷』は縦に『深川』は横に広がる」と説明してくれた。「甲州」は90mlで700円。

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「渋谷ワイナリー東京」

若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)
 

 

 

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