「上質な非日常」テーマに30㎡~、ルームチャージ制 タカラL 初のホテル「OSAKA」
「HOTEL THE LEBEN OSAKA」
タカラレーベンは3月17日、グループ創業50周年記念ホテル「HOTEL THE LEBEN OSAKA」のメディア向けオンライン発表会を行った。「上質な非日常」をコンセプトに107の客室は全て30㎡以上とし、ルームチャージ制を採用、朝食はオーダーにより客室ドアまで届けるのが特徴。ホテルは3月24日に開業する。
ホテルは、大阪メトロ御堂筋線心斎橋駅から徒歩8分、大阪市中央区南船場2丁目に位置する全107室。客室面積は30㎡~88㎡。ルームチャージ制を採用し、当面の宿泊料金は15,000円を見込む。運営は昨年9月、国内60か所のホテルの運営を行っているソラーレ ホテルズ アンド リゾーツと共同で設立したレーベンホテルズが行う。
説明会で、同社取締役兼常務執行役員 レーベンホテルズ取締役・秋澤昭一氏は、「当社が50年で培った空間提案などのノウハウを注ぎ込んだ集大成のプロジェクト。2021年に発表した事業計画の7つの柱のうちの一つである流動化事業の一環、グレーを基調に上質な非日常、シンプルでラージをコンセプトにした。コロナ禍での開業ではあるが、2025年の大阪万博、IR(複合リゾート)計画を見据え、開発・所有、リート売却・運営など複合的な展開を行っていく」と語った。
ホテル支配人・立岡秀海氏はホテルの第一の特徴として、空間のゆとりを強調。客室は30㎡以上をスタンダードとし88㎡まで7タイプを用意、仕様ではシモンズのベッド、今治のタオルを採用すると説明。43㎡以上のレーベンスタイルルームは寝室とリビングの間に仕切りを設けるとした。
また、宿泊料金については世界基準のルームチャージ制を導入。朝食はオーダー制で客室入口まで届け、SDGsの取り組みとして脱プラのアメニティ、完全オーダー制によるフードロス対策、抗ウイルス・抗菌の全館光触媒施工、防災体験プランを販売するなどと話した。
テラス
エントランス
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約1時間の説明会は、コンセプト、特徴などが余すところなく語られたと思う。客室面積30㎡以上、ルームチャージ制の導入、オーダー方式による朝食の客室ドアまでのサービスなどは差別化につながるはずだ。
ひとつだけ残念だったのは、建具・家具、アメニティ、その他設備仕様レベルが説明や画像では伝わってこなかった点だ。同社はメディア向け試泊も行った。泊まるべきだったか。
それと、秋澤氏や立岡氏はシンプルなデザインで、ニュートラルなポジションを強調したが、記者は「非日常」の演出では他を圧倒する同社のマンションモデルルームをそのままホテルでも採用したら関西の人に受けると思った。「上質な非日常」-いま必死でそのようなホテル、マンションはあったかと考えているのだが、思い浮かばない。
50周年記念マンションプロジェクトの一つ「レーベン福岡天神ONE TOWER」は見学取材し、記事にしているので参照していただきたい。最高レベルのマンションだし、「非日常」の極みだ。
レーベンスイート(「博多天神」では壁は本物の大理石だった)
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
威力絶大 PPP×企画提案力 タカラレーベン「レーベン東川口GRANDEST」
「レーベン東川口GRANDEST」
タカラレーベンが埼玉建興とともに埼玉県内初のPPP(官民連携)分譲マンション「レーベン東川口GRANDEST」(143戸)を販売開始してから1か月が経過するが、販売は極めて好調に推移している。第1期分譲は全戸の5割程度の85戸を供給。驚異的な反響を呼んでいる。
物件は、東京メトロ南北線(埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線)・JR武蔵野線東川口駅から徒歩1分、川口市戸塚二丁目の商業地域(建ぺい率100%⇒総合設計により80%、容積率400%⇒同569%)に位置する敷地面積約2,109㎡の地下2階地上18階建て全143戸(他にキッチンスタジオ1戸、市行政施設1区画、交番1区画など)。次期分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は56.14~77.13㎡、価格は未定。建物竣工予定は2023年11月中旬。設計・監理はGA建築設計社。施工は埼玉建興。デザイン監修はウイ・アンド・エフ ヴィジョン。昨年12月にモデルルームオープン。これまで全体の5割程度が進捗済。
現地は、駅前ロータリーに隣接。徒歩時間は駅から1分だが、歩けばほんの数十秒(30mくらいか)。従前は市営の駐輪場。
埼玉県内の分譲マンションとしては初の「PPP(官民連携)事業」であるのが特徴。2020年9月に実施された市のプロポーザルでは 、駅前広場の整備と市の行政施設、交番を設けることのほか、事業者は川口市に強い地元業者が求められたため、同社は川口市に本社を置き、共同事業の実績もある埼玉建興とともに共同提案した。
建物は地階が駐輪場、行政施設、タワーパーキングスペース、1階がエントランス、行政施設、交番、2階が行政施設、交番、3階以上が住戸で、ほとんどが南向き。プランは16戸が50㎡台、80戸が60㎡台、47戸が70㎡台。18階建てはエリア最高層。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、浴室テレビ、オリジナルウォーターシステム〈ルイックプロジェクト〉、共用部のキッズルームや屋上テラスを備えた「キッチンスタジオ」など。
販売担当の同社マンション事業本部営業推進本部 第1営業統括部 第1営業部次長・花田崇好氏は「販売価格や坪単価については、お客さまは納得されている。人気の要因は駅徒歩1分、南向き中心の配棟計画、デザインなどですが、やはり市が関与しているPPP事業であることの安心感が大きいですね。来場予約はいっぱいで、お客さま対応に追われています」と語っている。
モデルルーム
キッチンスタジオ
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花田氏も語ったように「東川口」駅圏ではこれまでのアッパー坪206万円をはるかに突破する値段だ。記者予想も大幅に外れた。
しかし、花田氏の説明を受け、モデルルーム(77㎡)を見学して、価格(単価)に納得した。川口駅の再開発物件は坪300万円をはるかに突破し、浦和駅では350万円超だ。「東川口」は商業施設が乏しいが、都心へのアクセスを考えると〝割安感〟はある。
立地条件も申し分ない。敷地南側には道路を挟んで市の駐輪場や民間の駐車場があるので何とも言えないが、3層以上は前建がなく開放感がある。駅前ロータリーもマンションの敷地同然だ。嫌悪施設などもない。
ひとつ書き忘れた。記者が褒めるのではない。パンフレットには同社のオリジナルウォーターシステムを絶賛する声がたくさん寄せられている。
建設現場(商業地域立地だが、周囲に高い建物がないことが分かる)
駅前広場(正面に建物が建つ)
決め手は3LDK70㎡超中心の企画 タカラレーベン「戸田公園」第1期40戸 販売好調(2020/11/18)
分譲戸建て「仕入れ強化。Nearly ZEH進める」本間部長 大和ハウス 恒例レクチャー会
大和ハウス工業は3月17日、恒例の「記者レクチャー会<2022年公示地価>」を質疑応答を含め約1時間45分にわたって開催。分譲マンションについては同社マンション事業本部 事業統括部部長・角田卓也氏が、戸建てについては同社住宅事業本部 事業統括部 分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、物流施設などについては同社建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室室長・井上一樹氏が事業概況を説明した。
首都圏マンション市場について角田氏はコロナ禍をきっかけに価値観、生活スタイルの変化に伴う持家志向が強まり、都心部では生活利便性や資産性を重視する富裕層、アッパーミドル、DINKSなどの需要は旺盛で、郊外物件も引き続いて堅調に推移し、近畿圏や地方都市もほぼ同様の動きがみられると語った。
好調市場を背景に、用地仕入れ環境はタイトで、都心案件ではオフィス開発業者や賃貸マンション開発業者との競合が激化、用地取得価格は一段と上昇していると話した。
本間氏は、都心部での2億円前後の3階建て分譲戸建ては年間50~60戸がほとんどが即日完売する人気となっている一方で、マンションと同様、用地取得合戦が激化、従来仕入れられていた年間4,000区画は3,000区画まで減少しており、「死活問題」と危機感を強めていた。来期から仕入部隊を強化し、商品企画にも力を入れるなど回復を期していることを強調した。
井上氏は、同社の売上高4兆1,267億円(2021年3月期)のうち賃貸住宅とほぼ同様の23%を占めることから自信満々で、第6次中計(2019年4月~2021年3月)で掲げている不動産投資1兆3,500億円のうち6,500億円が事業施設で、今後も拡大すると話した。
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このレクチャー会は、質疑応答にも十分時間を割き、メディアの質問にも丁寧に答えてくれるのでとてもいい。
角田氏は、第1期分譲で200戸以上を成約するなど好調なスタートを切った「ONE 札幌ステーションタワー」や、驚異的な売れ行きを見せている「プレミスト王子神谷」などの具体的物件の売れ行きなどについても説明した。「王子神谷」の坪単価は308万円であることも明らかにした。
いつもそうだが、本間氏の話はとても面白い。価格では圧倒的に負ける飯田グループやオープンハウスなどとも競合せざるをえない特殊な分譲戸建て市場が面白くないのだろう。「来年度からは支店長クラスに任せきりだった仕入れ体制をてこ入れする。商品企画でも分譲住宅専用のNearly ZEH対応の『ΣSc(シグマエスシー)』を投入し、他方では規格化、販管費の抑制なども進めて原価比率を引き下げる」と語ったのが印象的だった。
(本間さん、昨年のレクチャー会では「分譲戸建て御三家とは戦わない」と仰いました。その後どうなったのでしょうか。時間があったら聞きたかった。レクチャー会の時間を延長してはいかがか。記者は現場見学会を増やしてほしいが…)
大和ハウス 販売好調の「プレミスト王子神谷」2期分譲開始(2022/2/19)
北海道最高峰は坪415万円 大和ハウス他「ONE 札幌ステーションタワー」始動(2022/2/8)
分譲戸建て御三家とは戦わない 都市部に人的資源移す 大和ハウス(2021/9/15)
「バスターミナル東京八重洲」に名称決定 9月17日開業 UR都市機構・京王電鉄バス
福島氏(左)と村上氏
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と京王電鉄バスは3月15日、「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」で整備が進められているバスターミナル(第1期エリア)の建設工事現場をメディアに公開。バスターミナルの名称は「バスターミナル東京八重洲」と決定し、令和4年(2022)9月17日に開業すると発表した。
バスターミナルは、東京の玄関口である八重洲側の高速バス、空港連絡バス発着停留所は駅前交通広場では充足できず、周辺の道路上に散在し、鉄道乗り換えや車両交通、歩行者通行が妨げられていることから、八重洲口で施行されている3地区の市街地再開発事業内に集約し、一体的に整備するもの。
ターミナル内にはチケットカウンター、トイレ、授乳室、コインロッカーのほか物販店も併設。歩道上でのバス待ちをなくし、東京駅や京橋駅とも地下通路で結ばれる。第1~第3期のバスターミナルの専有床はわが国最大級の約21,000㎡となり、28か所のバス停が整備され、全体開業されれば1日約1,500便(第1期は約550便)の高速バスが運行可能となる。
UR都市機構は参加組合員として3事業に参画しており、各再開発事業組合からバスターミナル部分(地下)を取得し、それぞれ3期に分けて段階的に公募で選定された京王電鉄バスに賃貸し、応募があった3社から選定された京王電鉄バスが運営する。
今回公開された第1期は、敷地面積約12,000㎡、延べ床面積約283,000㎡の地下4階地上45階建て複合施設。施設内には三井不動産「ミッドタウン八重洲」が整備され、ブルガリブランドのホテル(39~45階)のほか、東京駅周辺では最大級の4,000㎡の基準階のオフィス、約60店の飲食・物販店舗、区立小学校、子育て支援施設などが整備される。施設全体のグランドオープンは2023年3月の予定。バスターミナルの専有床面積は約7,000㎡。
第2期は、令和7年(2025年)竣工予定の敷地面積約10,000㎡、延べ床面積約225,000㎡の地下4階地上51階建て「東京駅前八重洲一丁目東B地区」。参加組合員は東京建物、UR都市機構。バスターミナル部分は約6,000㎡。
第3期は、令和10年(2028年)竣工予定の敷地面積約19,000㎡、延べ床面積約388,000㎡の地下3階地上43階建て「八重洲二丁目中地区」。参加組合員は鹿島建設、住友不動産、UR都市機構、阪急阪神不動産、ヒューリック、三井不動産。バスターミナル部分は約8,000㎡。
見学会でUR都市機構 東日本都市再生本部長・村上卓也氏は、「URは参加組合員として再開発事業に参画しており、バス停を1か所に集約することで利便性を図る事業目的に寄与したい。全体完成すれば『バスタ新宿』より大きいわが国最大級となる」と語った。
また、京王電鉄バス取締役東京駅八重洲高速・貸切バスターミナル開発準備チーム部長・福島八束氏は、「当社のノウハウを生かして収益源にするために公募に名乗りを上げた。当面は運行を予定していないが、空きバースあれば次のステップとして検討したい」と話した。(京王の高速バスは新宿から西がほとんどのはず。八重洲を起点として『KEIO』の名を広めてほしい。京王沿線に40年以上住んでいる小生は京王のファン)
地下1階 案内・チケットカウンター
地下1階のチケット売り場について説明する担当者
地下2階 待合ラウンジ
地下2階のバス乗降エリア(階高は4.5mくらいあり、1辺約1.5mの柱が10m置きくらいにあった)
地下2階 乗り場
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現場見学会では質疑応答もあったが、記者は門外漢だ。黙って聞いているつもりだったが、名称が「バスターミナル東京八重洲」と発表されたので黙っていられなくなった。
「バスタ新宿」では、不快な思いをさせられているからだ。小生は加齢も手伝って耳がよく聞こえなくなっているのだが、「BASUTA」は「MAKITA」と聞こえるのだ(嘘だと思ったら。聞いてみてください)。駅に着くと選挙演説のように自動音声による「MAKITA」が連呼される。そのたびにギクッとさせられる。落とし物でもしたのか、あるいは犯罪者として呼び止められたのかと。
「ターミナル(Terminal)」も嫌な言葉だ。小生などは「終末医療」と結びつけてしまう。最近はできるだけ使わないようにしている。
そこで質問した。「こんなことをいうから私は嫌われるのですが、『バスタ新宿』が連呼されるたびに嫌な気分になる。今回の名称はその二番煎じではないか。『ミッドタウン』と『京王(KEIO)』、『URであーる』を組み合わせるとか、『トーチ・タワー』も含めた街を総称する気の利いたネーミングはできないのか。ネーミングライツの導入もいいのではないか」と。
意想外だったのは、UR都市機構東日本都市再生本部都心業務部担当部長・大貫英二氏の返答だった。当たり障りのない人を煙に巻く答えが返ってくると思ったら、大貫氏は「ご指摘は仰る通り。ネーミングライツを検討したこともある。全体完成したら名称を変更することもありうるが、何しろ法に基づく届け出なので」と語った。
「法に基づく届け出」とは、交通行政をつかさどる国土交通省の様々な法律のことだろう。それもよく分かる。そしてまた、八重洲を訪れる人のうちバスの乗り降りが目的の人は少数派であることを考えると、例えば「ミッドタウンKEIO八重洲ターミナルであーる」などと連呼されたらみんな行く先が分からなくなる。あまり出しゃばらないほうがいいかも。
街の総称は「ザ・東京(The Tokyo)」か「ウォーカブル東京(Walkable Tokyo)」はどうか。
工事中の「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」
三井不動産など 「タクシー相乗りサービス」提供開始
三井不動産、ShareTomorrow、NearMe(ニアミー)の3社は3月15日、有償の「タクシー相乗りサービス」の導入を3月10日から開始したと発表した。
三井不動産とShareTomorrowがサービス提供する「&MOVE」と、ニアミーが湾岸エリアなど4区を中心に提供する相乗りサービス“nearMe.Town(ニアミー タウン)”と連携したもので、通常のタクシーのように希望する地点での乗り降りが可能で、同じ方向に行く人を見つけてマッチングし、相乗りすることによって、手ごろな料金でドアツードアのサービスを提供する。
運行時間は7時(乗車)~22時(降車)まで、サービス提供エリアは東京都内4区(中央区、千代田区、港区、江東区)の全域、乗車可能人数は最大5名、1組あたりの乗車数は最大4名、利用方法はWhimアプリより、乗車前日の18時までに予約、料金はタクシー一名乗車比で最大▲50%(相乗り通達内容に沿って料金を算出)。
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タクシーは許認可事業なので詳しくは知らないが、かつて公営ギャンブル場や深夜の駅前では、「多摩方面、あと3人」などと運転手が相乗りを呼び掛け、違法と知りながらそれに同調する人は日常茶飯だった。いわゆる「白タク」と呼ばれるもので、記者もよく利用した。料金は割引にはならず、それぞれが目的地までの料金を払った。呉越同舟だ。そもそも違法なので、誰も文句など言わなかったし、客同士で会話することなどもなかった。
相乗りは法律の改正により昨年11月から解禁になったようだ。記者は今後激増するとみている。お客さんが相乗りに同意すれば、予約なしでも、走行中でも利用できるようにすべきだと思うが…。
三菱地所 オフィス家具引取・販売サービス「エコファニ」本格稼働
三菱地所は3月15日、オフィス家具の引取・販売サービス「エコファニ」を本格稼働したと発表した。
オフィスのレイアウト変更などで不要になったオフィス家具を企業から引き取り、東京駅・ 大手町駅直結の「朝日生命大手町ビル」地下1階の直営ショールーム兼倉庫(約150坪)で検品・清掃のうえ、リユース家具として展示、法人・個人に販売する。
また、オフィスに家具をセットした状態で賃借する「セットアップオフィス」への供用のほか、リユース家具のサブスクリプションサービスにも対応する。 一定期間出荷に至らない商品は産業廃棄せずリユース&マテリアルリサイクルを実施するなど、「サステナブルな社会の実現」に貢献する。
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この種のサービスを提供する専門業者はたくさんあるのだろうが、三菱地所も参入するとは驚いた。とはいえ、似たようなサービスは業界初ではない。同社が業界初ではない。長谷工コーポレーションは内装オーダーシステム「アイセルコ」をもう30年くらい前に開発し、契約者にインテリアなどを販売する長谷工インテックの年間売り上げは47.74億円(2021年3月期)とある。かつて三井不動産レジデンシャルは、〝使用済み〟の家具類を一般に販売したこともある。サブスクを採用するデベロッパーもある。
そこで一つ提案。記者はマンションや分譲戸建てを見学する際は、設備仕様、建具・家具、什器などのグレードもチェックすることにしている。何度見ても分からないのは建具・家具、什器、ワインなどの質=価格だ。
使用されているのは、各社が自前で購入してモデルルーム・モデルハウスで使いまわししているのか、それともその種のサービスを専門に行っているリース会社から借りているのだろう。たまに、販売住戸の在庫処分として〝家具付き〟販売も行われている。
各社がおのおの不要になった建具・家具、什器などを買い取り・販売するのも結構だが、共同市場を開設すれば大量に集荷できコストも下げられ、販売価格も下げられる。
さらにまた、モデルルーム・モデルハウス来場者に占める購入者の割合は高くてもせいぜい3割だ。無駄が多すぎる。少しでも販管費を抑えるため、建具・家具、什器メーカー、酒類製造・販売メーカーと提携し、購入者はもちろん、来場者に割安で販売してはいかがか。商品にタグを付ければ、販売担当者が説明することも必要でないはずだ。分譲住宅のモデルルーム・モデルハウス来場者は親子を含めれば少なく見積もっても年間50万人はあるはずだ。巨大市場を見逃す手はない。
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」
「レーベン福岡天神 ONE TOWER」
福岡市の三菱地所他「光と風の広場」の取材を終えた3月10日夕、タカラレーベンとグループ会社のタカラレーベン西日本のグループ創業50周年記念物件「レーベン福岡天神 ONE TOWER」を見学した。敷地は6社による入札を競り落としたもので、広大な須崎公園の再整備エリアに隣接。「天神」アドレスは38年ぶりで最高層の免震、他を圧するモデルルーム提案などが評価され、これまで第1期100戸を供給。販売当事者も驚くほどの売れ行きを示している。
物件は、福岡市地下鉄空港線天神駅から徒歩7分、福岡市中央区天神5丁目の商業地域に位置する23階建て全153戸。専有面積は37.05~142.99㎡。3月21日に再登録申し込みを受け付ける住戸(4戸)の価格は4,318万~5,528万円(専有面積42.68~58.39㎡)。竣工予定は2024年2月中旬。設計・監理はデベロップデザイン一級建築士事務所。施工は大豊建設。
グループとして福岡県内2棟目、福岡市内では初の供給物件で、モデルルームオープンは昨年12月。来場者はこれまで500件超。1月27日から販売を開始しており、3月10日現在、第1期96戸が成約済み。
敷地は3方に接道。従前の敷地は戸建てなどで、6社による入札で同社が取得した。「天神」アドレスのマンションは38年ぶり(九州産業研究所調べ)。敷地北東側は幅員15mの市道を挟んで敷地面積約4万㎡の須崎公園に隣接。同公園では、隣接する市民会館と一体的に再整備する事業が進行中で、約2,000席の大ホールを備えた拠点文化施設や芝生広場、レストランなどが計画されている。文化施設は2024年3月開業、公園は26年3月の供用開始が予定されている。
2階から16階までStandard floorは37㎡台と70㎡台が1スパン、40㎡台、50㎡台、60㎡台がそれぞれ2スパン。17階~21階までのPremium floorは1フロア6戸で、それぞれ43㎡台、56㎡台、75㎡台、83㎡台、95㎡台、100㎡台。22階以上のExecutive Suite floor8戸は全て100㎡以上。
主な基本性能・設備仕様は、免震、二重床・二重天井、リビング天井高2550~2700ミリ、ディスポーザー、食洗機、オリジナルウォーターシステム〈ルイックプロジェクト〉など。共用部はウイ・アンド・エフ ヴィジョン監修によるラウンジ(1階)、スカイラウンジ(16階)、ゲストルーム(17階)など。
販売を担当するタカラレーベンマンション事業部 営業推進事業部 第1営業統括部 第1営業部1課長・松島勇一郎氏は、「当社の50周年記念にふさわしいフラッグシップマンション。モデルルームを見学される方は皆さん驚かれています。実需はもちろんセカンド、投資も少なくありません」と話した。
エグゼクティブスィートのモデルルームLDK(壁面は大理石、テーブルは原価200万円、サッシの高いのも分かるはず)
居室内装
主寝室
洗面(水栓はグローエ)
スタンダードフロアの70㎡台のモデルルーム
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九州圏のマンションは、建築家・磯崎新氏がコ-ディネートした「ネクサスワールド」と西鉄不動産のいくつかのマンション、熊本県の「くまもとアートポリス」(KAP)しか見学・取材したことはない。
今回は4度目の見学・取材だが、市場はさっぱり分からない。それでも数えきれないほど見学した同社のマンションの中では出色の出来で、50周年記念にふさわしい記念碑的なマンションだと確信できる。
22~23階の「Executive Suite」仕様の100㎡のモデルルームの提案がいい。リビングのテーブルは原価200万円もし、大理石や鏡を張り巡らせた壁などオプション仕様だけで2,000~3,000万円くらいするそうだが、レベルは首都圏の億ションに引けを取らないどころか、それ以上だと思う。富裕層の心を間違いなく捉える。
モデルルームは75㎡のタイプもあるが、こちらも首都圏で観る同社のモデルルームと同じだ。来場者は目を丸くするのは間違いない。
坪単価は〝書かない〟という約束だが、過去の福岡市内の供給物件の最高値を更新するそうだ。
建設現場
公園が旅の目的になる わが国初のPFI事業 三菱地所他「光と風の広場」開業(2022/3/11)
積水ハウス 2022年1月期決算 大幅増益 第5次中計目標達成に自信 仲井社長
積水ハウスは3月11日、オンラインによる2022年度 経営計画説明会を開催。2022年1月期決算は、売上高2兆5,895億円(前期比5.8%増)、営業利益2,301億円(同23.4%増)、経常利益2,300億円(同24.6%増)、純利益1,539億円(同24.6%増)と増収増益。主力の戸建て・賃貸住宅など請負事業、リフォームなどのストック事業、マンションなどの開発事業、国際事業などほとんどのセグメントで増収増益となった。
2023年1月期業績予想は、受注も好調に推移していることから売上高2兆7,870億円(前期比7.6%増)、営業利益2,360億円(同2.5%増)、経常利益2,340億円(同1.7%増)、純利益1,580億円(同2.7%増)を見込む。
また、期末配当は1株45円から2円増配の47円とし、年間90円(前期実績84円)に増配するとともに、次期配当も第2四半期末配当47円、期末配当47円の通期94円を予定していると発表した。
経営計画説明会で同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、業績が好調に推移したのは、第5次中期経営計画(2020年度~2022年度)で掲げた基本方針「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」が間違っておらず、「住を基軸に、融合したハード・ソフト・サービスを提供するグローバル企業」を目指す付加価値の高い住宅供給が寄与したと話した。
業績伸長の要因として、最大スパン9mの無柱大空間を実現(2017年)したハード、2018年に発足させた〝幸せ〟を研究する「住生活研究所」と、その研究成果である「ファミリー スイート」のソフト、2019年に開始した「健康」「つながり」「学び」の無形資産を生み出すサービス「プラットフォームハウス構想」が顧客に評価されたことを強調した。
2023年1月期を最終年度とする第5次中計については、「原油高などによる資材の値上がりは避けられず、価格に転嫁できない130億円の利益減を織り込み済みでも目標達成は可能」と述べた。
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決算数字は非の打ち所のないものだった。仲井社長が強調した「ハード・ソフト・サービスの融合」の歯車がうまく回転しているということだろう。
記者が注目したのは、1時間の説明会の最後に仲井社長がわが国の住宅ストックの状況について触れたことだ。
仲井社長は、「戸建て・長屋ストック2,920万戸のうち旧耐震でかつ耐震性不足住宅は17%該当する500万戸もある。当社が年間供給する住宅の500年分だ。また、現行の省エネ基準を満たす住宅ストックは全体の5,000万戸のわずか13%しかない。諸外国と比較して基準は低くても建てられる」と語った。
記者はこの言葉を聞いて、同社の業績が伸びているのは、〝易きに流れる〟真逆の経営姿勢を貫いているからだろうと理解し、どんどん質が低下している現状の住宅業界に対する警句だと受け止めた。
説明会が行われたこの日は3.11から11年目の日だ。30年以内の発生確率が70~80%と言われる南海トラフ巨大地震が発生したら、現状のままでは東海、近畿、四国、九州のどこでも死者は約11万~32万人、全壊・焼失建物は約80万~210万棟、経済被害は約124兆~207兆円と推測されている。
災害対策は喫緊の課題だ。例えば木造造住宅密集地域(木蜜地域)の解消。都は約8,600haあるとされる木蜜地域のうち、特に被害が甚大とされる52地区、約3,200haを「不燃化特区」に指定し、建て替え助成や固定資産税の減免など支援を行っているが、2025年目標の不燃化領域率70%を実現するには取り組みを加速させる必要があるとされている。
記者は、木蜜地域の解消は、建て替え補助や固定資産税の減免だけでは難しいと考えている。むしろ逆で、建築規制を強化し課税も強化する。〝ごね得〟も許さない。集団的建て替え替えに反対する地権者には私権の制限を行い、土地収用権を行使する以外方法はない。強権的に土地を収用すれば居住権の侵害につながる可能性はあるが、建て替えによって得られる利得を上乗せし、立ち退き・移転費用を負担すれば法的にも問題は生じないのではないか。
木蜜地域での敷地が20坪以下の狭小住宅が隠花植物のようにじわじわと領域を広げているのが気掛かりだ。
野村不動産HD 今後5年間で国産材10,000㎥利用 農水省と協定締結
野村不動産ホールディングスとウイングは3月9日、農林水産省と「建築物木材利用促進協定」を締結したと発表した。
同協定は、令和3年10月に施行された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の成立に伴い創設された協定で、民間事業者と農水省との協定締結は初の事例となる。
国は2025年までに木材自給率50%(現在は4割強)の目標を掲げているが、川上から川下までのサプライチェーンが十分機能していないことが指摘されている。
同協定締結により野村不動産ホールディングスは、今後5年間で建設予定の同グループの建築物における国産材の活用を段階的に進め、協定の有効期間である令和9年3月末までに合計10,000㎥を利用し、ウイングは全国の伐採・製造加工会社と協調し、国産木材の安定供給に努める。
フージャースHD新社長にフージャースコーポ社長・小川栄一氏 廣岡社長は会長へ
フージャースホールディングスは3月10日、代表取締役の異動と執行役員制度の見直しを発表。4月1日付で代表取締役社長執行役員に同社常務取締役でフージャースコーポレーション社長・小川栄一氏が就任する。現代表取締役社長・廣岡哲也氏は代表取締役会長執行役員に就任する。
小川氏は1964年12月6日生まれ。1988年4月、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。2001年7月、フージャースコーポレーション入社。2016年4月、同社取締役、2017年4月、同社代表取締役社長(現任)。2019年6月、フージャースホールディングス取締役、2021年6月、同社常務取締役(現任)。
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