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三菱地所レジデンス、野村不動産、東京建物「スーパータック フィットMTN」

 

 

「スーパータック フィットMNT」

 

 三菱地所レジデンス、野村不動産、東京建物の3社は828日、共同でマンションの家具転倒防止器具「スーパータック フィットMNT」を開発したと発表した。北川工業の協力のもとで約100回の加振実験を行い、その知見を基に商品開発を行うことにしたもので、マンションデベロッパーが共同して新たな商品開発の研究・監修をするという取組みは業界初

 実験に用いた家具転倒防止器具のサンプルには、家具頂部で家具側の固定パーツに「粘着ゲル」、壁側の固定パーツに「粘着ゲルまたはビス」を採用。固定パーツを「耐震バンドまたはプラスチック製アーム」で連結し、家具の足元の手前側には「滑り止め器具」を取り付けた。

 実験の結果、震度7相当の地震でも家具転倒の危険性を低減させるためのデータを集めたという。

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 マンションの家具転倒防止については、三井不動産レジデンシャルが一昨年の12月、新たな防災基準を設け、家具転倒防止対策も発表した。住戸内壁面に家具転倒防止下地を設置するほか、大型テレビなどにも対応できるよう上下二段の転倒防止下地を設置し、戸境壁についても上下二段に転倒防止下地を設置するというものだった。

 記者は、三井不動産レジデンシャルが「画期的」な家具転倒防止策を打ち出したことで、他社も対応を迫られると思ったが、それが今回の開発につながったのだろうと考える。

 「粘着ゲル」は壁クロスやコンクリート壁に取り付けるのだろうが、はがれないのか心配だが、三菱地所の広報は「下塗りのシーラーに工夫が凝らされているので大丈夫」とし、「それほど強力なゲルなら間違って手にくっついた場合、はがれなくなるのでは」との問いに対しては「私も試してみたがはがれる。事故につながることはない」と太鼓判を押した。

 三菱地所レジデンスは来年1月以降に引き渡す物件で1住戸につき1セットと「水性シリコン下塗りシーラー」を無償配布する。東京建物は「詳細は決まっていないが、年内には採用したい」としている。野村不動産も「近いうちに採用していく」と話している。

 

三井不動産レジデンシャル 画期的な防災基準

ポラスと第三企画のCSRが意味するもの

 


「南越谷阿波踊り」フィナーレ

 記者はこの10年間、本場徳島を含めて3大阿波踊りと呼ばれる南越谷と高円寺の阿波踊りをほとんど欠かさず見学している。

 前者はハウスメーカー各社の広報担当者やメディアとの懇親が目的の「広報連絡会 臨時会」の参加者の一人として、後者は「第三企画」が「第三企画連」として踊りに参加しているのを写真に収めるためだ。前者の場合は、飲むのも目的の一つだから踊りを見るころにはかなり酔っ払ってはいるが、それでも「虹」とか「菊の会」など世界をまたに駆けて公演しているトップクラスの連の舞台踊りをみている。後者もまた、地元の有名連の一つ「殿様連」が第三企画連と一緒に踊っているので、やはりどこにも負けない踊りを見学している。この10年間を振り返って、阿波踊りの果たしている役割などについて考えてみた。

 まず、南越谷阿波踊りについて。いうまでもなく、この阿波踊りは徳島県出身でポラスグループの中央住宅の創業社長・故中内俊三氏が呼びかけて始まったものだ。昭和60824日に第1回目が行なわれている。観衆は約3万人だったという。それが、最近では毎年約60万人が集まるという。60万人といえば越谷市の人口の2倍近い数だ。参加連は70を越え、踊りに参加する人は延べ5000人にのぼるという。

 中内氏が開催を提唱したころのポラスの売上高はせいぜい数百億円だったのではないか。今ではグループの平成253月期の売上高は1,531億円(前期比13.9%増)、経常利益は110億円(同1.1%増)にものぼる。従業員数は2,425人で、これもまた当時より数倍に増えているのではないか。中内氏が亡くなられて8年が経過する中内氏が存命であれば今日の盛況振りをどう評価するだろうか。

 記者がもう一つ考えるのは地域貢献のあり方だ。中内氏は「会社がつぶれても阿波踊りだけはつぶすな」と語ったそうだが、世間には宣伝のためにイベントを行う会社がたくさんある、しかし同社は地域密着企業として、地域と一緒になって努力し汗をかいてきたからこそ共感を得られたのだろうと思う。CSRはどうあるべきかを考える意味でもこの南越谷の阿波踊りは参考になるはずだ。

 


ポラス「北辰連」

後片付けをするポラスの社員

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 次に高円寺の阿波踊りについて。これももう説明するまでもなく全国に知れ渡っている。今回で57回目を数え、参加連は90を越え、観衆は本場の約130万人に匹敵する約120万人を動員するというから驚きだ。

 第三企画はこの高円寺の阿波踊りに平成元年から参加している。同社の社長・久米信廣が連長を務める。徳島出身で若いときはミュージシャンを目指したという久米は重さ10キロもある鉦を軽々と片手に持ち、約10人の大太鼓の「暴れ太鼓」を鼓舞する。久米が「音の魔術師」なら太鼓の部隊は神業師だ。太鼓の部隊のほとんどは第三企画の印刷工場で重さ数十キロの紙と踊る紙業が日課だからだ。

 この暴れ太鼓に呼応するのが殿様連の暴れ踊りだ。手に「弓張提灯」を持ち、腰を落として鳴り物を合図に一気に駆け上がる差込が得意技で、ドドドッと十数メートルも駆け回る。

 この光景はどう控え目に見ても他を圧する。鳴り物の腕前は、殿様連の連長が「みんな本場に連れて帰りたい」と真顔で語ったほどだ。2年前は「観衆を楽しませた」として「青梅市友好賞」を受賞している。

 記者のモットーである「記事はラブレター」は、第三企画の理念「人の前に明かりを灯す」と同義語だ。

 

第三企画連&殿様連

     

殿様連(左)と第三企画連

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 この10年間の見学でたどり着いた結論は、阿波踊りこそ究極の盆踊りということだ。おんな踊りは極楽鳥ではないかということだ。編み笠は鳥の羽で、背を大きく見せつつも満月の光を遮り、かつ炬火の光で下から顔を照らす効果を狙っているかのようだ。浴衣の赤やピンクの裏地は日本古来の鴇色が基本だという。ステップを踏むごとに裾から白い脛がのぞく。久米の仙人(久米信廣ではない)は、洗濯する女性の白い脛を見て神通力をなくしたと徒然草はいう。記者も日本の女性をもっとも美しく見せるのは阿波踊り以外にないと思う。

 

  

第三企画連

     

殿様連  

  

 

   

 

   

 

  

 

第三企画連&殿様連

売れ行き好調 第1期70戸完売へ

 


ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」完成予想図

 東急不動産(事業比率55%)とワールドレジデンシャル(同45%)の共同事業マンション「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」を見学した。全130戸のうち第1期70戸が近く分譲されるが、完売のめどが立っているなど売れ行きは好調だ。

 物件は、みなとみらい線馬車道駅から徒歩5分、またはJR根岸・京浜東北線桜木町駅から徒歩6分、横浜市中区住吉町6丁目に位置する14階建て全130戸の規模。第1期70戸の専有面積は44.6374.68㎡、価格は3,338万~6,978万円(最多価格帯4,300万円台)、坪単価は268万円。竣工予定は平成271月中旬。施工はフジタ。販売代理は東急リバブル、ワールドレジセリング831日に抽選分譲される。

 現地は商業地域だが、道路を挟んで川が流れており、開放感も確保されている。建物デザインは白と黒が基調の印象的なものだ。1階から4階までがホテルというのも特徴で、マンション居住者はホテルライクなサービスも受けられる。設備・仕様もキッチンや洗面質のカウンターに自然石が用いられており、食洗機は標準装備。トイレの把手は壁面から出っ張らないようセットバックされている。

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 横浜市都心機能誘導地区建築条例では、住宅などの容積率を300%に制限する一方で、事務所・店舗などの商業機能を誘導することで住機能と業務・商業機能の調和を図ろうという「商住共存地区」制度がある。例えば指定容積率が600%の場合、住宅部分の容積率は300%で、業務・商業施設を150%確保すれば、この150%を住宅部分の容積率300%に上乗せして450%にしてもいいというものだ。このマンションもその適用を受けており、1階から4階までがホテルになっているのはそのためだ。

 この「商住共存」がいいか悪いか、記者は判断できない。一般的に商業地域は何を建てても可能な地域だ。その地域で住宅建設を抑制するのはいかがなものかと思うが、用途規制は自治体の自由裁量に任せてもいいという考えも分からないではない。

 ただ、「商住共存」の言葉からは、空洞化した都心部の商業エリアに住機能を誘導しようという政策を思い浮かべる。「職住近接」もそうだろう。住宅を抑制して業務・商業施設の誘導を図ろうというのは横浜市以外ではそれほどないのではないか。市ではこれまで10件ぐらいがこの制度の適用を受けているという。この制度により既存不適格建築物になった建物は相当あるのではないか。

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 売れ行きがいいのに驚いた。5月に取材した関内駅から徒歩10分の三井不動産レジデンシャル「パークホームズ横濱山下公園」79戸は坪250万円で即日完売したのは納得だが、今回は坪268万円だ。やや高いのではないかと思うが、これは関内と桜木町の差か。それともマンションの近接地が、老朽化した関内の横浜市庁舎の建て替え候補地になっているのも影響しているのか。6月15日にモデルルームをオープンして以降、来場者は約450件にのぼっている。

参入障壁が低く報酬額が守られているのが要因 

 

 国土交通省が平成24年度の宅地建物取引業の施行状況をまとめ発表した。調査によると、平成25 年3月末(平成24 年度末)現在の宅地建物取引業者数は大臣免許が2,137 業者、知事免許が120,373 業者で、全体では122,510 業者となっている。監督処分は免許取り消しが129件、業務停止や指示処分を含めた全体は258件で、全体の処分件数は平成15年度と比較すると28.3%減となっている。

 業者数は平成15年度と比較すると大臣免許が5.3%増、知事免許が6.2%減、合計が6.0%減。過去20年間で業者数は13.8%減少している。

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 一般の方も読まれるので、宅地建物取引業(宅建業)について少し説明しよう。

 宅建業法は、宅建業の健全な発展と消費者保護を主な目的とする法律で、免許を受けなければ業として宅建業を営むことは禁止されている。免許を申請する際、1つ以上の都道府県に事務所を設ける場合は大臣免許を、1つの都道府県内に事務所を設置する場合は知事免許を受けなければならない。知事免許が多いのは、いわゆる「街の不動産屋」さんが業者の数としては圧倒的に多いからだ。

 免許基準のハードルはそれほど高くない。もっとも重要なのは、一定の宅地建物取引主任者(宅建主任者)を置かなければならないことだが、宅建主任者の資格は高校卒業程度の学力があり一生懸命勉強すれば取得できる。試験範囲は民法、建築基準法、宅建業法などに限られており、他の国家資格と比較して範囲は広くない。

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 さて、この全国で約12.3万の業者数が多いか少ないか。判断材料として総務省の「平成18年事業所・企業統計調査」を紹介する。この調査はわが国の全ての産業の事業所、企業の数や従事者をまとめたものだ。

 これによると、不動産業の事務所は全国で約32.0万、従事者は約101万人となっている。これは全産業(約591万事業所、従事者約5,863万人)を16に分けた大分類では事業所数としては7番目、従事者数としては11番目で決して多いほうではない。

 ところが、事業所を420の小分類に分けた数字では、いわゆる街の不動産屋さんと呼ばれる「不動産賃貸・管理業」は約25.5万にのぼりトップに君臨する。

 いかに多いかを他と比較してみよう。次いで多い「食堂・レストラン」が約23.5万で、以下、「医療業」23.3万、「教育・学習支援業」23.2万、「総合工事業」22.5万と続く。「美容業」17.6万、「バー・キャバレー」15.2万、「酒場・ビアホール」15.2万、「理容業」11.7万、「喫茶店」8.1万、「書籍・文房具小売店」5.1万などをはるかにしのぐ。

 事業所の減少スピードも緩やかだ。「不動産賃貸・管理業」は平成13年と比べて2.9%減少しているが、これは全産業の減少率6.9%と比較しても少ない。「医療・福祉」や「ネット関連」の事業所以外の製造業や小売り・サービス業が激減しているのと対象的だ。比較が適当かどうかは分からないが、規制が強化されて激減している「貸金業」(約0.7万)は39.4%減少しているし、「野菜・果実業」(約2.6万)もスーパー・コンビニに押されてか19.4%も減少している。

 注目すべきなのは、事業所の数が多いのに比べて従事者の数が少ないことだ。「不動産賃貸・管理業」の従事者は68.1万人だから、1事業所当たり約2.7人だ。「食堂・レストラン」の1事業所あたり従事者は約7.8人だ。いかに「不動産賃貸・管理業」は零細・個人業が多いかが分かる。

 少人数でも業として不動産業を営むことができるのは、事業参入障壁がほとんどないこともあるが、取引額が400万円以上の場合、報酬額は「取引価格」×3%+6万円として法律で守られていることと無関係ではないと思う。

 今回の調査で処分には至らない「勧告等」が848件で、15年度比34.8%増えているのは気になる材料だが、処分件数は平成15年と比べ約28%減少しているのはせめてもの救いだ。

 「おとな3人リビング」を提案

 

「おとな3人リビング」

 旭化成リフォーム823日、「熟年夫婦と単身の子」が快適に暮らすためのLDKリフォーム新商品「おとな3人リビング」を826日(月)から発売すると発表した。

 新商品は、同社のくらしノベーション研究所の調査結果を踏まえて発売するもので、近年増加しているおとな3人世帯に向け、暮らしの質をより豊かにするとともに熟年夫婦の将来の暮らしにも配慮した暮らし方を提案する

 主な特長は、①おとな3人が集うリビングをスッキリさせる収納「パーソナルファニチャー」②家族の家事協力を促す「回遊型キッチン」③通常はリビングとして使い、時には家族の気配を感じながら篭れる趣味空間となる「マルチコーナー」など。高齢期・介護期にはマルチコーナーを両親の寝室として利用できるよう配慮している。

 販売価格はプロトプランで525万円。販売目標は年間200棟。

 2010年の国勢調査によると、団塊世代を中心とする60歳代の世帯主の家族構成では、熟年夫婦と単身の子で暮らす「おとな3人世帯」の数のほうが夫婦のみで暮らす世帯数を上回った。

上席執行役員・高井基次氏がこの1年を振り返る
 


「リュークス タワー」完成予想図

 

 野村不動産の副社長から大和ハウス工業のマンション事業を統括する上席執行役員に昨年10月に就任してからほぼ1年。高井基次氏がこの間を振り返って、同社の現状や将来について熱く語った。

 高井氏はまず、「首都圏で大手と張り合うにはまだ総合力が足りない」と同社の現状を冷静に分析した。しかし、地方の話になるとが然、多弁になった。

 「各地方を回って大和ハウスのブランドはナンバー1であることがよく分かった。地方では再開発物件を中心に展開しているが、土地代はだだ同然で、建築費と利益が販売価格になる。再開発は補助金があるので他社とも互角以上に戦える。最近分譲した物件も極めて好調に推移している」と話した。

 「プレミスト金沢駅西口」72戸が駅から徒歩4分と近く、単価も125万円と安かったため地方物件では初めて即日完売も記録したのをはじめ、「D’グラフォート盛岡駅前タワーズ」286戸、「ザ・呉服町タワーズ」279戸(非分譲23戸含む)、「ザ・レジデンス宇都宮」86戸(非分譲6戸含む)が早期完売した。

 九州も佐賀県を除く各県の物件が好調だ。沖縄の坪171万円の30階建てツインタワーマンション「リュークス タワー」676戸も、8月に完成した「WEST338戸が完売し、「EAST」も1億円を越える住戸を含め70戸が売れるなど好調に推移しているという。

 好調の要因を高井氏は「いずれの物件もポテンシャルが高い最高の立地である」ことをあげ、「野村時代は首都圏と地方は仙台ぐらいしか経験がないが、ネタは豊富なことが分かった」と、今後も地方での積極展開する姿勢をみせた。函館では中心地の五稜郭でコンペの末、同社が事業参画することが決まり、金沢では旧制第四高校の前でも分譲するという。

 今後の展開については、ハウスメーカーならではのものづくりの原点に立ち返って中長期ビジョンをつり上げることに力を注ぐという。「プレミストのブランド名を変えようという声もあるが、当面は『大和ハウスのマンションはいい』というお客さまの評価を得ることだ」とブランド名変更には否定的な考えを示した。

大和ハウス他「レジデントプレイス西葛西」が市場を牽引するか


「レジデントプレイス西葛西」完成予想図

 

 大和ハウス工業・スターツデベロップメント・サンケイビル・長谷工コーポレーションの4JVマンション「レジデントプレイス西葛西」(459戸)のモデルルームを見学した。隣接する三井不動産レジデンシャル・三菱地所レジデンス「ザ・ガーデンズ西葛西」(358戸)と合わせ817戸という同駅圏ではかつてない大量供給となるだけに販売動向が注目される。

 物件は、東京メトロ東西線西葛西駅から徒歩7分、 江戸川区西葛西二丁目に位置する15階建て全459の規模。専有面積は60.0391.01㎡、価格は未定。竣工予定は平成277月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

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 最大の注目点は戸数の多さだ。記者は西葛西駅圏の年間の需要量は200250戸ぐらいと見ている。ところが、今回は2物件で817戸という大量供給だ。常識的に考えれば双方が完売するまで3年以上かかる計算だ。この点は、このところの〝追い風〟で克服する可能性もあるし、競合は必ずしもマイナスにならない過去の例もある。

 もう一つの注目点は価格設定だ。まだ決定ではないが、現段階では未公表だが、記者が予想した値段になりそうだ。敷地の北側に隣接している「ザ・ガーデンズ西葛西」はまだモデルルームも公開していないが、交通便の表示では「徒歩8分」になるので、単価は横並びになるか、若干「ザ・ガーデンズ」のほうが安くなるのではないか。

 もう一つ、付け加えると販売を担当する長谷工アーベストは同社の執行役員・遊佐康人氏が音頭を取る〝最強部隊〟とも言うべき受託販売第三部門が担当することだ。記者は遊佐氏が長谷工コーポの施工物件をことごとく早期完売した現場をたくさん見ている。このことだけでも力が入っていることがうかがわれる。 

 いずれにしろ、ユーザーは双方を見比べて決断するのは間違いない。モデルルームの設置場所も同じところだけに〝呉越同舟〟となるか。大和ハウスの上席執行役員・高井基次氏も、「競合より共存共栄。好調な需要は継続しているし、広域から集客して大量800戸超のマーケットを牽引したい」と語っている。

三井不動産レジデンシャル

「パークホームズ目白 ザ フォレスト」が即日完売

「パークホームズ目白ザ フォレスト」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルは8月20日、「パークホームズ目白ザ フォレスト」71戸が7月20日に抽選分譲した結果、約650組の来場者を集め、最高8倍で即日完売したと発表した。目白駅から徒歩9分で、目の前が公園の「第一種文教地区」に立地。専有面積は38.49~89.11㎡、価格は2,990万~9,790万円(最多価格帯5,700万円台・6,400万円台・6,600万円台)。購入者の属性は、平均年齢が43歳、家族数が平均2.1人。

 また、7月13日に分譲した「パークホームズ志村坂上フォレストヒル」(全86戸、うち事業協力者住戸が9戸)の第1期1次65戸が全戸に申し込みが入った。専有面積は60.02~84.50㎡、価格は3,590万~5,810万円(最多価格帯3,800万円台・3,900万円台)。申込者の属性は、平均年齢が38歳、家族数が平均2.8人。

積水ハウス「グランドメゾン白金の杜 ザ・タワー」

「伊勢山」と肩を並べる記念碑的マンション

 


「グランドメゾン白金の杜 ザ・タワー」完成予想図

 

 積水ハウスが今秋分譲する「グランドメゾン白金の杜 ザ・タワー」を見学した。タワーマンションではあるが、守衛つきのゲートを設け、敷地面積約6,800㎡の4割以上に約2万本の樹木を植える植栽計画が秀逸だ。免震・制震工法を採用し、長期優良住宅認定も取得している。

 物件は、東京メトロ南北線・都営三田線白金台駅から徒歩10分、港区白金6丁目に位置する30階建て全334戸の規模。専有面積は42.21194.12㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成276月中旬。設計・施工・監理は大成建設。

 物件の最大の特徴は、銀杏並木が美しいプラチナ通りに面していることだ。第二はその植栽計画だ。都心部のタワーマンションの多くは商業地域か準工業地域であるため、どちらかといえば植栽は貧弱な物件が多い。しかし、この物件は建ぺい率60%(70%防火地域耐火建築物)、用途地域が第一種住居地域(一部準工)で容積率が400%であることを生かし、他の物件同様〝5本の樹計画〟を盛り込んだ。約2万本の樹木(低木含む)を起伏に富んだ敷地内に配している。プラチナ通りに面したエントランスには守衛つきのゲートを、ナザレ通りにに面しているところにはナザレゲートをそれぞれ設置している。

 建物は大成建設の「ハイブリット免震・制震構造」を採用。長期優良住宅認定も取得している。東京都のマンション環境性能評価では満点に星一つ欠ける14個を獲得。デザインは陰影がくっきり現れる白と黒が基調。

 モデルルームは2タイプで、オプションを極力少なくし自然石や無垢材をふんだんに採用。キッチンのバックカウンターも標準で奥行きは調理がしやすい60センチ(通常は45センチ)確保。ドアは全てプッシュプル、引き戸はソフトクローズ機能つきでユニバーサルデザインにも配慮。2529階は天井高が2.65m。ヒノキ材を用いたサウナ付きプランもある。

 モデルルームは6月から予約制で公開しており、順調に集客できているという。

      ◆      ◇

 同社のマンションを見るのはいつも楽しみだ。植栽計画が見事だからだ。今回は予想をはるかに上回るものだった。模型はまるで森の中にマンションがあるようだった。販売事務所の長嶺伸之所長が「タワーマンションだけではインパクトはない。当社らしいこれまでにない森と一体化させたものを提案した。うちらしいマンションだと思う」と胸を張ったが、記者もこれほど植栽が豊富なタワーマンションは見たことがない。

 同社はこれまで人気になった「恵比寿」「青山」「三軒茶屋」などでタワーマンションを手掛けているが、やはり規模が大きいので今回の「白金」が一番素晴らしい。

 現地の近くには丸紅が10年ぐらい前に分譲して人気になったマンションが建っている。時期が異なるので売れ行きは何とも言えないが、高級マンションとしては、やはり長嶺氏が担当した「グランドメゾン伊勢山」の肩を並べる同社の記念碑的なマンションの一つになるのではないか。

 

木造耐力壁ジャパンカップ アキュラもポラスも優勝逸す

 


優勝した東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」

優勝は東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2

 

 木造耐力壁の強さなどを競い合う「第16回木造耐力壁ジャパンカップ」(主催:NPO法人木の建築フォラム)が816日~18日、静岡県富士宮市の日本建築専門学校で行なわれ、16チームによるトーナメント戦の末、東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」がチーム匠(アキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店)の「矢来」を破り優勝した。コストパフォーマンスが最も優れた耐力壁に贈られる「ジャパンカップ優勝杯」は滋賀職業能力開発短期大学校の「初代MOTONARI」が獲得した。

 各部門賞の耐震部門は東大×LIXIL×キダテITAMADO2デザイン部門は四国能開大格剛V加工、施工部門は四国能開大格剛V環境部門は四国能開大格剛V審査員特別賞はアキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店/矢来がそれぞれ受賞した。

 過去6度のトーナメント優勝を果たしているポラス暮し科学研究所の「REBORN(リ・ボーン)は8強で争う初戦で「ITAMADO2」に敗れ敗退した。


稲山准教授

      ◆      ◇

 

 記者がこの大会を取材するのは8度目ぐらいだろうか。いまだに耐力壁にかかる加重単位KN(キロニュートン)がどれほどのものかよく分からないし、「込栓」「雇い」「「貫」「めり込み」などの専門語の意味や、ビスなどの「金物」の補強効果がどれだけあるのか理解できないところもあるが、競技そのものは綱きひのようなものだから見ていて面白い。ほんの数分で決着が付く。

 しかし、評価そのものは極めて詳細に定められている。耐力壁に使用する材料、寸法はもちろん、加工費、環境負荷費 なども円単位で評価される。例えば国産材が50円/㎏であるのに対し、輸入材は150円/㎏だし、ひのきは110,000円/㎥、すぎは70,000円/㎥で、壁の重量は釘1本、チリまで重さに加えられ、施工工具、施工時間、解体時間、作業人数などもこと細かに評価される。デザイン・意匠にも審査員のチェックが入る。参加チームが必死で取り組んでいるのが伝わってくる。

      ◆      ◇

 今回の耐力壁で注目したのは四国能開大/格剛Vだった。デザインはシンプルな縦横の格子で、材料は四国のヒノキとスギのみで、金物は一切使用されていなかった。地元材しか使用していないというのが記者をひきつけた。チームは優勝した「ITAMADO2」に準々決勝戦で敗れたのだが、加重圧力は30KNを突破していた。

 大会委員長で東大木質材料研究室・稲山正弘准教授も「金物を使わず30KN超でも戦えるこの壁は究極の壁」と称えた。

 チームを代表して香川県出身の浅野智弘さん(20)は「参加した耐力壁は5体目。3カ月ぐらいかけて完成させた。地元材を用いているのが特徴で、デザインもシンプなものにした。卒業したら現場に出たい」と誇らしげに話した。チームの北尾凌さん(19)も出石麻理さん(19)も「希望は現場」とのことだった。

 指導した同大学校職業能力開発准教授・宇都宮直樹氏は、「これまで総合優勝や2位もあったが、今回は全体的にバランスが取れていた。木材は実際の山を見て選んでいる。同じ四国でも地域によって木材の質が異なることを学ぶことが大事で、卒業してから現場経験が生きてくるはず」と語った。

 ジャパンカップ杯は獲得できなかったが、デザイン部門など3つの部門賞を受賞したということは記者にも少しは見る目があるということか。

  
左から四国能開大の浅野、出石、北尾の各氏      「ITAMADO2」に敗れた「格剛Ⅴ」(写真左)

      ◆      ◇

 京都の町屋でよく見かける「矢来」をモチーフにし、壁の名前も「矢来」とし、大会連覇、4度目の優勝を狙った「チーム匠」の担当者は、「50KNには耐えられるはず。アキュラホームを代表する大工が一分の隙もないものに仕上げた」と胸を張ったが、決勝では58KNあたりで相手に土台を破壊された。

 優勝6度の最強チーム、ポラス暮し科学研究所の「REBORN(リ・ボーン)について同社主席研究員・上廣太氏は、試合前に「今回はシードされたが、16日の加圧の段階でバキッと土台が壊れてしまった。もう無理、満身創痍。8月開催になったのでみんな夏休みを返上して取り組んできたが、準備が足りなかった」語り、早々と白旗をあげていたが、その通り決勝トーナメント初戦であっけなく敗退した。

  
左から「チーム匠」の冨谷、武原、並木、和田、稲山の各氏     「ITAMADO2」に敗れた「矢来」(写真右) 

  
  左からポラスの大浦、立花、原田、上廣、高橋の各氏                  「RE・BORM」                                    

 

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