野村「北戸田」1期145戸 住友「戸田公園」は497戸
埼京線・戸田市のマンション大激戦 新規・継続含めて1,000戸超
住友不動産「シティテラス戸田公園」 「平井」の経験生きる

「シティテラス戸田公園」完成予想図
先に野村不動産の「オハナ北戸田ガーデニア」を紹介した。今度は住友不動産「シティテラス戸田公園」。概要は先の記事を参照していただきたいが、広告表示では駅から徒歩15分でネックになりそうだが、ネックを解消するため戸田公園駅とマンションまでに無料のシャトルバスを運行する。時間は約5分。大規模だからこそできることだが、これは逆に大きなインパクトを与えるかもしれない。グロスを圧縮した67㎡台も評判がいいようだ。
まず、同社住宅事業本部 埼玉事業所 営業課主任でマンションパビリオンの所長・堤田晃生氏の話から紹介しよう。
「ゴールデンウィークから事前案内会を行なっているが、出足はまずまず、土日は1日20組弱、平日でも途切れなく来場者がある。価格? 価格は決まっていない。『北戸田』との競合? 戸田公園と北戸田はちがう。『平井』でも導入したシャトルバスを運行されるから、駅まで5分に短縮できる。ラッシュ時も混まないで分散されることが『平井』の経験から分かってきた。ストレスなく乗れるのが大きい。バスにしろタクシーにしろ、それなりのお金がかかる。バスの運行経費は管理費に含まれるが、大規模だからこそできること。戸田市の子育てマンションの認定も5月1日付で取得した。67㎡のタイプはお客さんも同業の関係者からも評判がすこぶるいい」
◇ ◆ ◇
記者も、この自信たっぷりの堤田氏の話を聞いていて、徒歩15分はネックになるどころか、大きなプラス材料として作用するのではないかと思えてきた。シャトルバスの運行そのものは以前から遠隔マンションにはデベロッパー各社が採用している。同社のミソは「無料」であることだ。これは、4年前に同社と新日鉄都市開発が分譲して早期完売した江戸川区平井のマンション「AQURAS (アクラス)」(全567戸)の経験が生きているのかもしれない。「AQURAS(アクラス)」も駅から15分だったが、やはり駅まで約5分のシャトルバスを採用した。単価も170万円と安かった。
もう一つ、グロス抑制策が功をを奏すのではないかということだ。67㎡のモデルルームは動線がよく、なかなか機能的にできていた。「AQURAS(アクラス)」でも主力は60㎡台だったのがユーザーに評価されたように、このタイプは一定のユーザーに支持されるのではないか。同社はしっかり学習したということか。今回も半数以上がこの67㎡タイプだという。
建物は総合設計制度の適用を受けており、敷地面積約12,000㎡に対して延床面積は約41,000㎡。南向きを中心に建物形状は南北軸が3列に並んだ4棟構成。維持管理費を抑制するため〝過剰〟な共用施設がないのも特徴の一つ。
◇ ◆ ◇
こうしてみると、戸田市内で1,000戸超のマンションが競合することは共食いも見られるが、それぞれがコンセプトがしっかりしており、広域から集客できるのではないかとも思える。市況も追い風だ。肝心なのは誰に売るかだ。
埼京線・戸田市大激戦 マンション1000戸超が激突
埼京線・戸田市のマンション大激戦 新規・継続含めて1,000戸超
野村不動産「北戸田」は 1 期一挙に145戸供給
「オハナ 北戸田ガーデニア」完成予想図
JR埼京線の戸田市内でマンションの販売合戦が激化している。新規物件では先行した伊藤忠都市開発「クレヴィア戸田公園」(117戸)のほか、野村不動産「オハナ北戸田ガーデニア」(277戸)が今週末から販売開始となり、住友不動産の大規模マンション「シティテラス戸田公園」(497戸)も6月末に分譲開始される。3物件だけでも約900戸。その他の継続物件や小規模物件を含めると1,000戸を突破する。常識的に考えて5年分ぐらいの需要量に相当する。伊藤忠都市開発の物件はすでに記事にしたので、今回は野村不動産と住友不動産の物件を紹介する。
野村不動産の「オハナ」は、埼京線北戸田駅から徒歩9分、戸田市美女木東1丁目に位置する10階建て全277戸の規模。専有面積は68.13~85.41㎡、第1期1次145戸の価格は2,638万~4,053万円(最多価格帯3,200万円台)、坪単価は142万円。竣工予定は平成26年6月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は野村不動産アーバンネット、長谷工アーベスト。5月31日(金)に登録が締め切られる。
住友不動産の「戸田公園」は、埼京線戸田公園駅から徒歩15分(シャトルバス5分)、戸田市新曽南三丁目に位置する全497戸の規模。専有面積は64.18~76.72㎡、予定価格は2,800万円台~4,900万円台(最多価格帯3600万円台)。竣工予定は平成26年2月中旬。施工は長谷工コーポレーション。
◇ ◆ ◇
野村と住友の物件は大規模で、単価水準が近い(住友は「未定」で野村よりは高くなりそうだが、それほど差はないはずだ)ことと、野村は敷地に隣接して東京外環自動車道(外かく環状道路)が走っており、住友は徒歩15分というそれぞれ難点を抱えていることでよく似た物件でもある。ターゲット層はもちろんぴったり重なり合う。
ところが、訴求方法はある意味で間逆、対照的といえるものだ。シアターがそれを端的に物語っている。野村の上映時間は約10分。対して住友は約30分。10分というのは普通の長さだが、住友はかつてないほど長い。このあたりにも両社の差が現れている。
内容そのものも大きな差がある。野村は女性のナレーターがエコーがかかったような声でひたすら「家族の絆」「優しさ」をアピールする。総合地所が花小金井のマンションで演じた「泣かせるシアター」ほどではないが、感性に訴えるホームドラマ風だ。
住友は時間の長さでも分かるように、映画でいえば大河ドラマ、音楽でいえばショスタコーヴッチの長大な、第4楽章どころか第6楽章までありそうな交響曲だ。最終章は戸田公園花火大会が3D風に映し出され、花火の大音響とともにフィナーレを迎える。物件特性をしっかり心の髄まで浸透させようという戦略のようだ。
どちらが奏功するかはお客さんが決めることだから何もいわない。
野村「北戸田」リビングダイニング
◇ ◆ ◇
すでに分譲スケジュールが決まっている野村だが、第1期1次145戸を供給するということだけでもすごい人気だ。まだ全ての住戸に要望が入っているわけではないが、供給量が多い外環道側の住戸にはかなりの「バラ」が付いている。
販売を担当している野村不動産アーバンネットプロジェクト営業本部住宅販売部販売二課主任・加藤早苗氏は、「オハナ担当は初めて。コンセプトがしっかりしているから訴えやすい。バルコニーの物干しも、お客さんの声を反映して1本増やしました。供給が増えてオハナ同士の競合が見られるようになったのも最近の傾向」と話していた。
参考までにこれまでの「オハナ」の供給状況を記しておく。「物件名」(戸数) 坪単価 販売開始の順。住友の物件は機会を改めて紹介する。第1次取得層をターゲットに絞り込み、圧倒的な価格の安さと水準以上の設備・仕様であることが人気の要因だ。「14×18」サイズの浴槽を「親子風呂」とネーミングする気配り・心配りは他社も見習っていい。
・「オハナ八坂萩山」(141戸) 133万円 平成23年10月
・「オハナ平塚桃浜」(134戸) 127万円 平成24年1月
・「オハナ豊田多摩平の森」(151戸) 150万円 平成24年9月
・「オハナ玉川上水」(322戸) 130万円 平成24年12月
・「オハナ草加谷塚」(127戸) 129万円 平成25年1月
・「オハナ北戸田ガーデニア」(277戸) 142万円 平成25年5月
・「オハナふじみ野上野台ブロッサム」(381戸) 平成25年5月
・「オハナ平塚袖ケ浜」(89戸) 平成25年6
建設技能労働者の不足率が拡大 国交省調査
建設技能労働者不足率が拡大 国交省調査
建設関係の職人不足率が拡大し、建設資材は被災3県で価格が「やや上昇」し骨材が「やや逼迫」--国土交通省は5月24日、4月の建設労働需給調査結果と5月の主要建設資材需給・価格動向調査結果をまとめ発表した。
建設労働需給調査は、型わく工、左官、とび工など8職種について全国調査しているもので、過不足率は3月の0.3%から4月は1.0%へ0.7ポイント不足率が拡大。とくに鉄筋工(土木)の不足率が2.7%と大きい。
全国の建築資材動向は、価格ではアスファルト合材が「やや上昇」し、その他は「横ばい」となっている。需給動向では全ての資材が「均衡」となり、在庫も「普通」となっている。被災3県では価格、需給、在庫とも「やや上昇」「ややひっ迫」「やや品不足」が目立っている。
◇ ◆ ◇
調査によると技能労働者の不足も資材の値上がりもそれほど深刻な事態でないようにも受け取れるが、じわじわと人手不足、資材不足・値上がりが進んでおり、マンションや戸建て価格への影響は必至だ。
売れ行きが悪ければデベロッパーも上昇分を価格に吸収せざるを得ないが、最近は売行きも好調なだけに、価格にオンするのは間違いない。
消費税の値上げは何らかの形で消費者に還元されるが、その分は分譲価格の上昇で消えることになりそうだ。
三菱地所レジ フラッグシップの〝グラン〟「三番町」
三菱地所 フラッグシップマンション〝グラン〟
第2号の「ザ・パークハウス グラン三番町」
「ザ・パークハウス グラン三番町」完成予想図
三菱地所レジデンスの都心のフラッグシップマンション「ザ・パークハウス グラン」の第2号物件「ザ・パークハウス グラン三番町」を見学した。同社としては「番町エリア」11物件目で、148戸という規模は過去最大。1月に物件ホームページを開設して以来約3,000件の問い合わせがあり、事前案内会への来場も約400件にのぼっており、早期完売する可能性が高い。
物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅から徒歩5分、千代田区三番町に位置する15階建て全148戸の規模。専有面積は60.68~134.78㎡、価格は未定だが、70㎡台で9,000万円台、90㎡台で1億2,000万~1億3,000万円台になる模様。竣工予定は2014年8月上旬。設計・監理は三菱地所設計、大林組。施工は大林組。販売開始は6月中旬。
現地は、中高層のマンションやビルなどが建ち並ぶ一角。1,000坪超の整形敷地を生かした植栽と水景を融合させたランドスケープデザイン、免震工法、ICキーケースの携帯により自動解錠される5重セキュリティなどが特徴。
外観は彫りの深い立体的なデザインが特徴で、角度や光の加減で表情が異なるようにしており、大小のマリオンと黒枠のサッシ、黒のアルミルーバーを組み合わている。共用部には左官壁や木のアートも設ける。住戸内は梁背を抑えたアウトフレーム順梁の建具はウォルナットの突き板、キッチン天板にはシーザーストーンを採用している。建具ドアはイタリア製。
水景
◇ ◆ ◇
同社が「番町エリア」で過去10物件も供給しており、同エリアでは40%を超える供給シェアを占めていることは知らなかった。ただ、「パークハウス・ジオ六番町」(2001年竣工)、「ルクセンブルグハウス」(2003年竣工)、「三番町パークテラス桜苑」(2005年竣工)などいくつかは見学している。物件名に「ジオ」がついている「六番町」は阪急不動産との共同事業で、阪急不動産の首都圏初のマンションだ。
どの物件だったか忘れたが、キッチン調理台にガスとIHが併用可能なものを設置していたのに驚いたことがある。販売事務所から現地までの番町文人通り沿いにも同社の植栽計画が見事な竣工済みマンションがある。
坪単価は「未定」とのことだが、記者が予想した単価にぴったりになるはずだ。
120タイプ リビング
総合地所「八千代台」第1章74戸が即完 高齢者も動く
総合地所「ルネ八千代台」第1章74戸が即日完売
50~60歳代の来場者45%に達する
「ルネ八千代台」完成予想図
総合地所は5月23日、全129戸のうち第1章(期)74戸が即日完売したマンション「ルネ八千代台」の記者見学会を行なった。人気もさることながら、来場者の年齢層は60歳代が35%、50歳代が10%、双方で45%にのぼり、30歳代と40歳代の53%とあまり変らないことが注目される。実際の申込者もほぼ同じ傾向のようで、キャッシュで購入する人が目立つという。
物件は、京成本線八千代台駅から徒歩4分、八千代市八千代台南1丁目に位置する11階建て全129戸の規模。第1章74戸の専有面積は73.80~85.20㎡、価格は2,690万~3,510万円(最多価格帯2,800万円台)、坪単価は126.5万円。竣工予定は平成26年3月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
4月26日から事前案内会を開始し、5月21日に抽選分譲した結果、最高6倍、平均1.15倍で即日完売した。来場者は約290件。
現地は、駅南口からまっすぐ伸びる商店街の中にあり、敷地は商業施設「NSプラザ(旧ナリタヤ)」の跡地。全戸南向きで敷地南側には第一種低層住居専用地域が広がる。舗道に面した敷地内には物件のさきにあるイチョウ並木と連続性をもたせるようイチョウ10本を植え緑化を図る。
商品企画としては、長谷工コーポレーションが独自に開発した居室ドア把手の出っ張り部分をなくした「プッシュ・プル・プレート」を初採用しているほか、ディスポーザも標準装備。布団クローゼットもある。
見学会で説明した同社分譲事業第一部副部長・鹿谷泰広氏は、「八千代台駅圏では8年ぶりの新規供給。広告は、折込チラシや誌面媒体などはほとんど行わず、マンションから半径2キロ圏の2万から2.5万世帯へのポスティングを重点的に行った。現地が商店街で、地元の方がよく利用されていた商業施設だったので、みなさんよくご存知だった。来場者は60歳代以上が最多の35%を占め、特にキャッシュでの購入が多いのが特徴」などと語った。6月に第2章を分譲するが、鹿谷氏は「第1章では68㎡台の22戸は未供給。購買力の低い層からの集客も期待できる」と早期完売に自信を見せていた。
ラウンジ
◇ ◆ ◇
第 1 章の即日完売はあまり驚きはしなかった。都心部の高額だけでなく、郊外の分譲単価が低いマンションも最近は総じて好調だからだ。駅から徒歩4分で、全戸南向き、敷地南側が第一種低層住居専用地域で将来的に環境が担保されているのが人気の最大の要因だ。8年ぶりの供給というのも見逃せない要因だ。それだけ購買エネルギーが蓄積されていたかと読める。
記者が驚いたのは高年齢の来場者・申込者の比率の高さだ。わが目と耳を疑った。郊外マンションといえば、子育てファミリーが中心というのが通り相場だ。50歳代、60歳代で45%に達した最近の郊外マンションの例を記者は知らない。
その理由は分からないが、考えてみるとなるほどと思えなくはない。八千代台駅圏はこれまでマンションもそうだが、アッパーミドルをターゲットにした質の高い戸建てもかなり供給されてきた。5,000万円から6,000万円台もよく売れた地域だ。ローン返済も終えた当時の購入者が〝駅 近〟のマンションに移り住むのはどこにでも見られる傾向だ。今回のマンションは立地の上でも同駅圏では一等地だ。
最近の株高もフォローの風となっているのは間違いない。アッパーミドル層なら最近の株高で数百万円どころか、千万円単位で儲かっている人は少なくないはずだし、塩漬けにしていた株も買値に戻りつつあるのではないか。鹿谷氏も「確かに株で儲かったというお客さんもいらっしゃる」と話していた。
今回の同社のマンションだけでなく、立地条件に恵まれた郊外マンションは高齢者の購入比率が今後高まるのではないか。
リビング
管理協が総会 「コミュニティ不在なくそう」山根理事長
マンション管理業協会が総会
「コミュニティ不在は災害時の被害を増大させる」山根理事長
山根理事長(写真提供:不動産流通研究所)
マンション管理業協会(理事長:山根弘美・ダイワサービス社長)は5月22日、第34回定時総会を開き、平成24年度事業報告、同収支決算を承認し、新役員などを選任した。副理事長を退任した池田孝氏(前三井不動産住宅サービス会長)、土橋隆彦氏(前東急コミュニティ会長)の後任には小佐野台氏(日本ハウズイング社長)、関敏昭氏(野村リビングサポート社長)を選任した。
総会後の懇親会で挨拶した山根氏は、「様々な枠を超えたチャレンジ精神こそが住生活総合サービス業を目指す業界の価値・評価を高めていく。そのために第一に法令順守。違反件数は減ってはいるが道半ば。さらに強化していく。第二は安心・安全・快適の取り組みだ。マンションの耐震診断の取り組みを一層強化する。コミュニティ形成については今年に入って2度マンション適正化法の改正について国交省に要望活動を行なった。地域コミュニティとマンションコミュニティが連携することがきわめて重要で、われわれ業界も全面的にサポートしていく。活動を担保するためにもマンション標準管理規約の改正をお願いしたい」などと語った。
◇ ◆ ◇
山根氏は自らの住むマンションにもついて触れ、マンションコミュニティ形成の難しさ、重要性について訴えた。山根氏は「私の家族は博多ですが、18年間、単身赴任で東京に住んでいます。500戸の大規模超高層マンションに賃貸で住んでいますが、皆さん、表札、メール受けに名前を出している人は何人いると思いますか」と問いかけ、「一人だけです。山根弘美という男だか女だか分からない名前だけです」と笑わせた。
山根氏は、「マンションのセキュリティはどんどん高まっているが、その結果、誰が住んでいるかも分からないコミュニティ不在という皮肉な状況を招いた。コミュニティ不在は災害時の弱者となる高齢者や乳幼児、子どもたちの被害を増大させる。未来の子どもたちのためにもわれわれは何ができるかを考えないといけない」と呼びかけた。
全国590万戸のマンション居住者の安心と安全を守るための業界の活動が益々重要性を増す。命綱の役割を果たすかもしれない。
旭化成ホームズ 成城に富裕層向けモデルハウス
旭化成ホームズ 富裕層向けの新商品「フレックスレジデンス」
外観
旭化成ホームズは5月21日、先に「ABCハウジング 成城住宅公園」(世田谷区成城、東宝スタジオ内)にオープンした富裕層向けの新商品「ヘーベルハウス FREX RESIDENCE (フレックス レジデンス)」のモデルハウスの見学会を行なった。同社の都市型3階建て住宅のトップブランドである「ヘーベルハウス フレックス」シリーズ」(重量鉄骨システムラーメン構造)に「邸宅」スペックを装備したもので、ブランド強化と市場シェアアップを狙う。
これまで同社は富裕層向けの商品は設定していなかったが、年間50棟ぐらいの受注があることから、ブランドを強化する狙いで75坪か ら100坪ぐらいの単世帯を想定した今回の新商品となった。富裕層向け市場のサーベイの狙いもあり、本社内に設計業務を支援する体制を整えた。
新商品は、外壁ヘーベル版の新デザイン「PT目地」や大空間設計を支える22mm厚の鉄骨柱、天井高バリエーションを拡充する床下げ 仕様などを導入。内部空間は白を基調にチークの無垢材、大判のタイル、大理石、ガラスなどを多用して「邸宅」と呼ぶに相応しい佇まいとした。延床面積は約 456㎡(138坪)。販売目標は年間100棟で、販売単価は坪200万円。
![]() |
![]() |
ラウンジ | リビング |
◇ ◆ ◇
同社を含めプレハブメーカーはこれまで富裕層向け商品をあまり展開してこなかったと聞いてやや驚いた。マンションではかつてバブル期 には10億円超のスーパー億ションがたくさん供給され、1戸(1棟ではない)43億円の物件も供給された(1戸43億円というのはわが国のマンションの最 高価格記録で、海外のコンドミニアムを含めてもトップクラスだと言われている)。さすがにバブル崩壊後はそのような物件は供給されなくなったが、それでも 坪単価にして500万円超の数億円から10億円ぐらいの物件は結構供給されている。
個人住宅も相当数の豪華な建物が建てられているはずだが、施主としては〝プレハブ〟のイメージを嫌い専門の建築事務所に依頼するほうが多いのだろうか。
しかし、今回、同社のモデルハウスを見学して、十分富裕層向け商品として訴求できると思った。先日見学した東急ホームズの富裕層向けモデルハウス同様、坪単価200万円も驚きはしなかった。価格以上に価値のあるモデルハウスだと思う。
![]() |
![]() |
エンスイート | ベランダ(ハンギングチェアは50万円とか) |
スペックそのものは目を見張るような豪華なものは採用されていないが、空間デザインの提案が抜群だ。従来の鉄骨柱は標準で9㎜、厚めのもので12㎜なのを22㎜にしたことで大無柱空間を実現した。鉄骨柱の重量は1本900キロぐらいで、20本採用。サッシは幅2300㎜、高さ2700㎜のものもある。天井高もスキップフロアを多用することで最大5.27m確保している。
ガレージ、リビング、階段などに使用されているタイルは1枚3m四方のものを1m×1.5mぐらいに切って使用しているが、薄くても傷が付きにくく車を載せても割れない強度があるという。アルコールを燃料とする暖炉つきのラウンジは約43.1畳大。天井高は2700㎜。大型サッシを開放すればテラスと一体となった大空間が広がる。チーク材を張った玄関ドアは内開き。
3階のパウダールームはガラス越しにベランダが眺められるようになっており、自然採光も取り込む工夫がされている。
三井不VS野村不 戸建て分譲2強マッチレースに突入
三井不動産 VS 野村不動産
熾烈な戸建て分譲マッチレースに突入
この前、三井不動産レジデンシャルが今期戸建てを過去14年間で最多の950戸を売上げ計上する予定と書いた。対する野村不動産はどうか。
5月21日の「プラウドシーズン船橋森のシティ」の記者発表会に臨んだ同社戸建事業部長・市原幸雄氏は、「今期は700戸強。来期は1,000戸超を目指す。(三井さんを)意識しているわけではないが、結果的に超えることになるかもしれない。これまで大規模を中心に展開してきたが、今後は幅を広げて3,000万円台の郊外型から1億5,000万円ぐらいの高額までメニューを増やす。ただ、街並みを重視するのが基本で、10戸未満の小規模まで手掛ける考えはない」と話した。
◇ ◆ ◇
野村不動産が三井不動産レジデンシャルを超えそうだという情報は1年前ぐらいから聞いていたが、市原氏は公式の場で「来期は1,000戸超を目指す」と明言した。
一方の三井不動産レジデンシャルは「他社と戸数を競っているわけではない。一つひとつ積み上げてきた結果」(経理部経理グループ長・富樫烈氏)と、本心はともかく受け流した。
これまで大手デベロッパーの戸建て事業は三井不動産が独走、〝一人勝ち〟の状況がずっと続いてきた。野村不動産が来期に1,000戸超ともなれば、両社の熾烈なトップ争いが演じられる。両社のマッチレースは見ものだが、2強に続くところがなかなか出てこない。影すら踏めない情けない状況が続く。
野村不 戸建てパイロット事業「船橋 森のシティ」竣工
野村不動産「プラウドシーズン船橋 森のシティ」
戸建てのバイロットプロジェクトの位置づけ
「プラウドシーズン船橋 森のシティ」
(一部に太陽光パネルが見えるが、屋根勾配を緩くすることで見えにくくする工夫も行っている)
野村不動産は5月21日、千葉県船橋市で開発を進めている駅前大規模複合開発「ふなばし 森のシティ」内の戸建住宅「プラウドシーズン船橋 森のシティ」(全42戸)が竣工したのに伴い、記者見学会を行なった。先ごろ策定したコンセプト「プラウドスマートデザイン ~ SMART&GROWING ~」を戸建住宅に初採用した次世代スマートハウス。1カ月ですでに約1,000件の反響があり、人気になるのは必至だ。モデルハウスは6月15日から予約制で公開する。
「プラウドスマートデザイン ~ SMART&GROWING ~」は先進設備、環境との共生をテーマとした「スマートデザイン」と、生活の安らぎを育み、持続的な不動産価値の維持を目指す「グローイングデザイン」で構成されており、「スマートデザイン」として全42戸に約3.0kwの大型太陽光充電パネルを設置したほか、電気・水道・ガスの使用状況の「見える化」、 HEMS (ホームエネルギーマネジメントシステム)を採用した<アクティブデザイン>と、通風や採光など環境共生の工夫で快適な住まいを実現する<パッシブデザイン>の考えを商品に具現化した。
また、「グローイングデザイン」として採用した「グリーンシェア」はそれぞれ一戸一戸で緑豊かな庭を所有しながら、住民の方同士で共同管理を行う植栽を配することで豊かな景観と心地よい気候を実現した。
物件は、東武野田線新船橋駅から徒歩5分、千葉県船橋市北本町1丁目に位置する全42戸の規模。敷地面積は135.00~151.67㎡、建物面積は95.69~108.48㎡、予定最多価格帯は5,000万円台の後半。建物は2×4工法2階建て。施工は東急建設、西武建設、細田工務店。造園は石勝エクステリア。販売開始は7月下旬。物件は環境省の「平成25年度 節電・CO2削減のための実践促進モデル事業」に採択されている。
全戸電気自動車対応(パソコン、タブレットなどで徹底した「見える化」も進めている)と外構の植栽
◇ ◆ ◇
これまで同社の戸建てはたくさん見学してきたが、同社が「今後の戸建てのパイロットプロジェクト」と位置づけているようにこれまでの「プラウドシーズン」ブランドの到達点を示すものであり、今後の同社の展開を探る意味でも極めて示唆的な物件だ。
<アクティブデザイン>については各社も積極的に取り組んでいることだが、記者がとくに注目したのは<パッシブデザイン>と<グリーンシェア>の考えだ。
アクティブデザインでは、カード式開閉方式を採用した玄関ドアは通気口付となっている。マンションとはまた異なったもので、記者は建売住宅では初めて見た。リビングの電動シャッターもまたスグレモノだ。電動式そのものは珍しくないが、ブラインドのようになっており、電動で日射や視線をコントロールできるようになっていた。 2 階天井には天窓もきちんと付けられていた。
<グリーンシェア>の考えを取り入れたランドスケープデザインがまた秀逸だ。驚いたのは駐車スペースだった。一般的に駐車スペースは道路面と直角に配されるが、多くの住棟では斜めに配されており、写真のように植栽スペースを設けていた。これは、北側にある背割り住戸のリビングから自宅の庭先、さらにはその南側の緑の借景を取り込もうという考えだ。このような駐車スペースもまた初めて見た。同社住宅事業本部副部長兼推進一課長・大澤広明氏が「住棟配置より先にみどりの景観を決めた」と話したのには絶句した。
さらに驚いたのは団地全体で19種80本の中木を各住戸の敷地内外に植えているが、これを維持管理するために「グリーンシェア憲章」を定め自治会で運営することにしていることだ。グリーンゾーンを管理組合を設立してグリーンゾーンを管理するのは他の事例でもあるが、ここまで徹底しているのはないと思う。同社住宅事業本部戸建事業部推進一課長・小島光弘氏は「当社の従来の戸建て団地と比較して約1割から1割5分増ぐらいはコストをかけているが、みんな(価格が)高い樹木ではない。樹木は総勢14人で1本1本選んできた」と話した。1本1本に心が込められているということだ。
外構のグリーンポケット 樹木には名札
◇ ◆ ◇
「みどり」の効用については、当欄でこれまでもかなり書いてきた。自分も樹木剪定をする。樹は知れば知るほど難しい。カシ類は切ると枝が荒れるし、サルスベリはコブを作るべきかどうかで悩む。モミジは「刃物を嫌う」とかで指で折ったりする。ハナミズキも下手をすると枯れてしまう。
そうならないよう自治会で管理するのは大正解。そのうちみんな樹木のプロになるのではないか。みどりが団地や戸建ての価値の維持向上に大きな役割を果たすのはいうまでもない。
同社の今後の戸建ての展開については稿を改めるが、今期は約700戸だが来期は1,000戸超を目指すという。これまで書いたようなキメ細かな商品企画であれば十分目標達成は可能だとみた。
|
|
駐車スペースの植栽ゾーン |
|
|
|
隣り合う住戸の駐車スペースの中央にも植栽帯 | 通風機能付き玄関ドア |
野村アーバン 「おうちに帰ろ」川柳投稿キャンペーン
野村不動産アーバンネット 「おうちに帰ろ」川柳投稿キャンペーン
野村不動産アーバンネットは5月20日、同社の不動産情報サイト「ノムコム」の公式 Facebook ページ「おうちに帰ろ」 (http://www.facebook.com/ouchinikaero) の「いいね!」数が2万人を突破したのを記念して川柳投稿キャンペーンを本日(20日)から6月30日(日)まで行なうと発表した。
応募があった川柳の中から同社キャンペーン事務局が入賞作品を選定し、入賞者には最高3万円分のJCBギフトカードがプレゼントされる。
応募条件その他はキャンペーンサイト http://www.nomu.com/ouchi/enjoy/senryu/ へ。
不動産情報サイト ノムコムの「おうちに帰ろ」は、毎日の暮らしの中から「新しいふつう」を見つけ、「おうち」の楽しさ、魅力を再発見してもらうためのサイト。