RBA OFFICIAL
 

三井ホーム新商品「cafe+( カフェ・プラス)」を発売

トレンドリーダーなママに訴求

 


外観パース

 

三井ホームは4月11日、新商品発表説明会を開き、注文住宅企画型新商品「cafe+(カフェ・プラス)」を4月13日(土)から沖縄を除く全国で発売すると発表した。

 同商品は、子育て期にある30歳代の一次取得者を主な対象とした新商品で、子育てママは「自分の時間と有効なスペースがあったら何に使うかという問いに対し、子どもが未就学以下でも子どもが小学生以上でも友人、お客様が使うもてなしの場とする答えが2番目に多いことに着目。そこで、コストパフォーマンスに優れたブランとするとともに〝居場所としてのカフェ〟を提案した。30のベースプランに「ウェルカム・カフェ」「タタミ・カフェ」「クラフト・カフェ」「フィットネス・カフェ」「ブック・カフェ」の5つのカフェスペースを設置。5つのスタイルにそれぞれ2つの形状や大きさの異なるプランを用意することで無限大のライフスタイルに対応できるのが特徴。「カフェスペース」は1.5~3.5畳大。

 発表会に臨んだ長谷裕・専務取締役は「当社がこれまで弱かった一次取得層向けの30歳代の子育てファミリーがターゲット。2,000万円から2,500万円の受注比率はは現在約26%。この層向けは競合も厳しいが、コストパフォーマンスが高い商品なのでお客様に支持されるはず」と語った。

 プロトタイプの参考価格は延床面積約146㎡(44坪)で24,825,150円(坪単価56万円)。太陽光発電、蓄電システムなどはオプション。販売目標は年間300棟。


ウェルカム・カフェ

タタミ・カフェ

クラフト・カフェ

 

◇     ◆     ◇

 

 同社が新商品を発表すると聞いて、間違いなく第一次取得層をターゲットにした低価格の商品だろうとおもった。その通りだった。なぜ、そう考えたかだが、同社を含めハウスメーカーの取材は多くはないが、どうして2×4トップの全国区の「吉永小百合」の三井ホームは単価の低い商品をあまり供給しないのか不思議に思っていた。三井不動産レジデンシャルは億ションの「パーク・マンション」もあれば、基本的に一次取得層向けの「パークホームズ」、さらにはコンパクトの「ハークリュクス」まで揃えている。三井ホームがアッパーミドルや富裕層向けに特化するというのは記者は理解できない。吉永さんは富裕層にぴったりだが、なかなかどうして庶民的な方だし若年層にも人気のはずだ。

 記者団からは、「これまで高級路線を歩んできたが、路線変更ではないか」「消費税の駆け込み需要を狙っての商品か」「この商品のシェアを伸ばすのか」などの質問が相次いだ。その都度、長谷氏は「路線変更ではない」「消費税の駆け込みが結果として出るかもしれない」「この商品だけを伸ばすのではない」と応えた。これまた当然だ。競争が厳しい第一次取得層向けに注力して他を減らしたら意味がない。ここは三井ブランドを生かして従来弱かった分野も伸ばそうという戦略に間違いない。

 同社によると、フリーの注文住宅と企画型注文住宅の受注比率はおおよそ7:3だという。フリーは平均43坪で坪単価は約81万円、企画型は35坪で坪単価は66万円だ。今回はさらに安い単価で受注増を狙う。

 


フィットネス・カフェ

ブック・カフェ

 

◇     ◆     ◇

 

 この種の商品はかつてUR都市機構が「αルーム」として舗道に面したマンションの1階に設けたことがある。広さは6畳大ぐらいあった。店舗は禁止だが、習い事やギャラリーなどを想定したものだった。最初のうちは入居者はその条件に沿った使い方をしていたが、そのうちにほとんどやらなくなった。

 これは、分譲時に抽選で購入者を決めたことに問題があった。購入するのが最優先になったため、周辺の居住者とのコミュニケーションを図る目的の人が必ずしも購入できたわけではなかったからだ。

 今回の同社の新商品は、需要はあると思う。同社も想定しているように街のトレンドリーダーなママに訴求できれば息の長い商品になるはずだ。

 

◇     ◆     ◇

 

 記者発表会でおいしい「DeLonghi(デロンギ)」のコーヒーがもてなされた。そんじょそこらのまずいコーヒーではない。もちろん「cafe+(カフェ・プラス)」の発表会にあわせた同社の粋な計らいだ。これにも驚いたのだが、記者団もいつも通りたくさん詰め掛けた。40~50人ではなかったか。そこで4月1日付で常務執行役員に就任した前三井不動産広報部長・山本実氏に聞いたが、山本氏も「びっくりした」とその記者団の多さに驚いた。

 デベロッパーもたまにはおいしいコーヒーでも振舞えばもっとマンション見学会の人数が増えるかもしれない。

国交省「都市再構築戦略検討委員会」に期待

 


「都市再構築戦略検討委員会」

 

 国土交通省は4月9日、第1回「都市再構築戦略検討委員会」(委員長:奥野信宏氏)を開催した。地方都市の活力の維持・向上等を目指し、中長期的な視点で都市構造の再構築に向けた戦略を検討するためのもので、6月下旬までに予算要求、税制改革要望としてまとめる予定だ。

 

◇     ◆     ◇

 

大都市もまた深刻な問題を抱えてはいるが、大都市と地方都市の格差が拡大し、地方都市は人口の減少、高齢化、経済の停滞など危機的な状況にある。地域の再生・活性化は待ったなしだ。「都市再構築戦略検討委員会」といかめしい名称だが、今流行の言葉で言えば「都市再構築戦略」はリノベーションプランだ。委員のメンバーにデベロッパー代表がいないのは残念だが、素晴らしいプランが提案されることを期待したい。

 以下に各委員の発言をほぼ発言順に紹介する。記者席はお尻が痛くなる硬い丸椅子のみで、そこにずっと背筋を伸ばし2時間近く座りっぱなし。聞き取りにくい発言もあり、記者のメモる力も退化しているので正確でないこともあることを了承いただきたい。議事概要は国交省からホームページに公表される。

奥野信宏氏(中京大学理事)  私は「アジサイ型集約都市」と呼ばれる人口が2,000人から5,000人ぐらいの単位の一次生活圏を確保するコンパクトシティがテーマになると考える

根本祐二氏(東洋大学大学院教授)  これまでの都市計画が成功したのか失敗したのか、何ができて何ができなかったかをきちんと総括することが必要。DID(人口集中地区)についてももう少し分析すべき(この点については国交省は第3回会合で報告すると答えた)

辻琢也氏(一橋大学大学院教授)  コンパクトシティを形成する要件を明確にすべき。地方都市は農業もそうだが商業・サービス業の空洞化が著しい。今後民間レベルで自立的な都市を維持できるのか

寺島実郎氏(日本総合研究所理事長)  再構築には三つの〝柔らかな〟視点が必要。一つは高齢化の問題を深く洞察すること。 65歳以上を高齢化人口と呼ぶが、私は高齢化人口を生産人口に組み込むことも必要だと考える。二つ目は技術革新要素を取り入れることだ。コンビニと携帯は都市を劇的に変えた。三つ目は移動という要素だ。リニアは遠い世界でなくなった。固定観念で考えず、柔らかな発想で考えることが必要

若林資典氏(みずほコーポレート銀行産業調査部長)  ハード・ソフト両面に分けて考えるべき。ハードでは未利用地の利用などを規制も含めてお金のかからない方法が必要。住宅ローンなどは地域によって異なっていい

村木美貴氏(千葉大学大学院教授)  「身の丈にあった再整備」「規制できるのか」「コンパクトな暮らしやすさ」などについてもっと論議すべき

岸井隆幸氏(日本大学教授)  広域的な視点で地方都市のあり方を考えるべきだし、地方を鼓舞するシステムも必要。車社会の是非も考える必要がある

藤木正和氏(三協立山社長)  人口42万人の富山市はよくやっている。高岡市も学びたい

小澤吉則氏(長野経済研究所調査部長)  人口10万人以下の都市は工場が去り若者がいなくなる構造が深刻。10万人以上の都市はシャッー商店街化が止まらない。中心市街地の空洞化はとめどなく広がっている

正田寛氏(太田商工会議所会頭)  太田の街は人口が若干増えている

藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク代表)  アテンションエコノミーが注目されているように、自治体によってはいろいろチャレンジして成功しているところもある。そういう事例に学びたい

 

◇     ◆     ◇

 

 記者は寺島氏が「もっと柔らかな視点が必要」と発言したことに注目した。今から3年前、国交省の「建築法体系勉強会」で学習院大学教授の櫻井敬子氏が同じような発言をしたのを思い出した。櫻井氏は「建基法も都市計画法も息の詰まる法制度。もっとおおらかにアイデア、仕組みを考えてもいいのではないか」と語っていた。

 寺島氏も櫻井氏も専門は都市計画ではないが、専門外の有識者から見ると都市計画法も建築基準法も窮屈な法律に見えるようだ。そのために、寺島氏が語った「全国一律の平板な空間しかできない」という指摘は的を射ていると思う。

 この点について、検討委員会の終了後、国交省都市局長・川本正一郎氏が「これまでの都市計画のツールは市街化区域と調整区域に分け、用途地域を決めていく税や金融と切り離した形で進めてきたが、これでいいのかという疑問もある。既存のツールにとらわれず論議していただきたい」と一歩踏み込んだ発言をしたのに注視したい。

 また、根本委員が「施設」と「機能」の文言について言及し「論点がクラクラしている」と発言したのにも興味をそそられた。根本委員は、本来街の機能を維持すべき手段である施設が自己目的化していると指摘したと記者は理解した。

 門外漢の記者の考えを言わせてもらえば、戦後の都市計画は出発時点で間違っていたと思う。都市計画法の理念にある「都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ」(第2条)というのは名ばかりで、都市と地方、都市と農村を対立軸として考えたことが間違いだったのではないか。「市街化を促進すべき地域」「市街化を抑制すべき地域」という文言にそれが端的に示されている。

職人の技は世界に誇る無形の文化財

「日本ぐらし館 木の文化研究会」第2回シンポ

 


第2回シンポジウム「庭との関係に学ぶ木造住宅の未来」会場

 

 全国の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:アキュラホーム宮沢俊哉社長)と京都に拠点を置く「日本ぐらし館 木の文化研究会」(委員長:髙田光雄氏)が共催して第2回シンポジウム「庭との関係に学ぶ木造住宅の未来」を先に行った。

 同研究会は、日本の伝統と京町家の居住性、そこで育まれた暮らしの文化を現代の「住宅」へ継承フィードバックしていくための産学連合の建築・文化研究を行っており、今回は「家と庭のつくり手」の関連性がテーマ。協賛したアキュラホームのニュースリリースから要旨を紹介する。

 

◇     ◆     ◇

 

 まず、京都大学大学院教授・髙田光雄氏は「庭との関係に学ぶ木造住宅の未来」について解説。庭に関わる現代的課題として「地域居住文化の継承・発展」と「地球環境への配慮」の2点をあげ、作庭のポイントとして、①四季にとどまらない微妙な季節の変化を楽しむ②環境調整機能の確保③領域形成機能の確保④住まい手が働きかけることによって生まれる「住みごたえ」の実現⑤マネジメントとセキュリティの考慮--の5点を指摘した。

 「歴史にみる大工と庭師」について基調講演を行った京都工芸繊維大学准教授・矢ケ崎善太郎氏は、「大工は古代からものさしをもって指図をする人であり」「庭師は自然を読み取る優れた能力や吉凶をみる能力など、特殊な能力を持つ者」と紹介。

 「日本の建築は寝殿造でも書院造でも、原則として建物の周囲に縁を設ける伝統があった。対して、茶人たちによって作られ始めた数寄屋建築はそれとは正反対のもので、千利休の茶室になると縁は完全になくなり、土間から畳に直接上がる『くぐり木戸』が発明された。このように建物の際まで露地の土間が深く入り込むことによって土庇(つちびさし)がうまれ、ここで大工と庭師の協働が始まった」と語った。

 また「数寄屋大工の覚悟を示す言葉として、『見える部分を何気なく、見えない部分をきちんとすることで本質を間違ってはいけない』『日本の建築は常に手を入れながら維持されるものこそ良い建築である』といった言葉が見受けられる。現代の日本の木造建築は、こういった覚悟をもって仕事をしつづけてきた職人たちがいたからこそ世界に誇る伝統的な建築文化になっている。木造建築の伝統をつくってきた日本の職人たちの技は世界に誇る無形の文化財でもある」と強調した。


高田氏

矢ケ崎氏

 

◇     ◆     ◇

 

 引き続いて行われた事例紹介では木村工務店大工棟梁・木村忠紀氏、京都庭園研究所庭師・比地黒義男氏がそれぞれ携わった事例を紹介。パネルディスカッションでは、京都大学大学院教授・鉾井修一氏、京都大学大学院教授・林康裕氏、京都府立大学教授・檜谷美恵子氏が登壇。それぞれ次のように語った。

 「コストを抑えながら四季折々の自然を感じられる空間を提案することは可能。庭は生き物であり、建築とは異なる感性に働きかける」(比地黒氏)

 「環境工学的にはこれまで、蒸散による冷却効果や通風を促す場として庭の機能を捉えている。最近はさらに、庭や建物下の地盤の熱容量に着目して放熱を促す場としてヒートアイランド対策に積極的な活用ができないかと考えている」(鉾井氏)

 「維持管理について施主を教育する必要がある。メンテナンスして初めて 30 年、 50 年と維持できるものであることを今の施主の多くが教育・継承されていない」(木村氏)

 「庭を愛でる文化を一部の人だけの領域にするのではなく、一般にも広げられるような取り組みが必要」(檜谷氏)

 「木の名前をほとんど知らないといったことが今は普通になっている。文化として育てていく必要がある」(林氏)

 「設計士にはもっと勉強して欲しい。木の名前も知らない設計士がいまだにいる」(木村氏)

 

◇     ◆     ◇

 

 矢ケ崎氏は「職人技は世界に誇る無形文化財」と語った。その一方で、林氏や木村氏は「木の名前をほとんど知らないのは普通になっている」「木の名前を知らない設計士がいる」と指摘した。

 記者もその通りだと思う。まず前者について。昨年、三井不動産レジデンシャルの「目黒」の建売住宅を取材したときだ。職人さんが水平器と定規とコテだけで高さ1mを超えそうなレンガの門柱を作っていた。記者は聞いた。職人さんは「誤差? 2ミリぐらい。ここまでやれる技術?まあ、5年はかかる」と話した。レンガを一つひとつ積み上げ、縦、横、高さの誤差を2ミリ以内に仕上げる技術に感動した。

 平成22年の国勢調査(速報値)によると全国の左官業従事者は87,400人だ。多いか少ないか記者は分からないが、平成12年は152,273人だ。この10年間で42.6%も減少している。平成2年の200,452人と比べると56.4%減少している。それだけ「世界に誇る文化財」が減っていると理解していいのか。マンションも建売住宅も仕上げはサイディング、PC板、クロスなどで、左官が現場仕上げするケースはほとんどなくなった。

 次に後者について。記者は昨年、街路樹について取材した。電話口にでた埼玉県戸田市の担当者は、市内の街路樹の名前を3つぐらいしか言えなかった。マンションや建売住宅の取材などで現地はよく訪れるが、開発担当者なども外構の樹木の名前をすらすらと言える人はほとんどいない。樹の名前、特徴を知らずしてどうして植えるのか。不思議でならない。


「ライオンズ西新井グランフォート」完成予想図

 

 大京が3月末から分譲開始した西新井駅前再開発エリアでは最後のマンションとなる「ライオンズ西新井グランフォート」が好調なスタートを切った。全68戸のうち1期としては多めの38戸を供給して、現在31戸を契約済み。来場者は200件を越えている。

 物件は、東武伊勢崎線西新井駅から徒歩5分、足立区西新井栄町1丁目に位置する8階建て全68戸。専有面積は68.57~81.93 ㎡、現在分譲中(5戸)の価格は3,790万~5,540万円、坪単価は208万円。竣工予定は平成26年3月17日。施工は大末建設。設計は日建ハウジングシステム。

 現地は、西新井駅前の大規模再開発エリアの一角で、これまでもマンションは賃貸を含め千数百戸が分譲されており、今回が最終分譲となる。大京の「グランフォート」シリーズとしては28件目。

 建物外観に黒のルーバー手すりを採用、女性の目線で企画した「ライオンズ リビング ラボ」を搭載しているのが特徴。

 4月5日の日経平均株価は、日銀が決めた量的・質的金融緩和が期待以上の内容だったため前日比199円高の12,833円となり、2008年9月1日以来4年7カ月ぶりの高値を付けた。その牽引車となったのが金融株と同時に不動産株だった。

 日経Web刊マーケットによると、値上がり率ランキング上位50社のうち17社が不動産・Jリート株が占めた。東京建物が前日比150円高の857円を付け、値上がり率21.22%で2位となったのをはじめ、ダイビルが19.14%(前日比231円高の1,438円)で3位、ヒューリックが19.08%(同150円高の936円)で4位、NTT都市開発が16.03%(同150円高の1,086円)で6位、東急不動産が16.03%(同150円高の1.086円)で7位、イオンモールが15.94%(同473円高の3,440円)で8位、フージャースコーポレーションが15.59%(同166円高の1,231円)で9位とベスト10に7銘柄が入った。

 11位以下にもランド(11位)、三井不動産(16位)、住友不動産(19位)、東京建物不動産販売(21位)、タカラレーベン(28位)、三菱地所(29位)、平和不動産(36位)、トーセイ(42位)、レオパレス(47位)がベスト50入り。Jリートの日本リテールも34位に入った。

 週間値上がり率ランキングでもダイビルが2位(値上がり率30.37%)、住友不動産が4位(同30.46%)、東京建物が5位(同30.05%)、トーセイが8位(同27.98%)、三井不動産が9位(同25.43%)と5銘柄がベスト10に入った。

◇     ◆     ◇

 不動産株の上昇については公示地価が発表された3月21日に書いたが、5日の終値は3月15日比でもすさまじい伸びを見せている。大手各社はリーマン・ショック前の高値に迫る勢いにある。

遅行指標の地価公示と先行指標の株価どう読むか(3/21)

野村不動産〝オハナ〟好調続く

「草加谷塚」は1カ月で78戸申し込み 単価は超割安の129万円

 


「オハナ草加谷塚」完成予想図

 

 野村不動産の第一次取得層向けマンションブランド〝オハナ〟の第5弾「オハナ草加谷塚」を見学した。3月に分譲した1期88戸のうち74戸に申し込みが入るなど、厳しい市況の東武伊勢崎線沿線では驚異的な売れ行きを見せている。

 物件は、東武伊勢崎線(東武スカイツリーライン)谷塚駅から徒歩7分、草加市谷塚町字谷際に位置する9階建て全127戸の規模。第2期(戸数未定)の専有面積は66.13~75.53㎡、予定価格は2,200万円台~3,000万円台(最多価格帯2,800万円台)、坪単価は129万円。竣工予定は平成26年1月上旬。施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、急行停車駅の草加駅から徒歩17分の表示で、歩こうと思えば歩けないことはないが、やはり最寄り駅は各駅停車駅の谷塚だろう。駅からのアクセスはあまり車が通らない住宅街を抜けたところで、道路を挟んだ南側は地区計画により中層建築物以下に抑えられている。現状は戸建てなどが建ち並んでいる。

 最大の特徴は価格の安さ。冒頭にも書いたが、坪単価は129万円だ。業界関係者ならこの単価がいかに安いかがお分かりだろう。記者は数カ月前に130万円ぐらいで分譲されることを知りびっくりしたほどだ。今後分譲されるマンションなら土地代がただでもできない〝超〟を付けたいぐらいの割安単価だ。

 どうしてこれほど安い単価で分譲したのかは分からないが、地元の人以外ほとんど知られていない谷塚駅圏で早期完売しようとしてはじき出したのだろう。野村+長谷工だからできる単価設定でもある。

 この〝超〟が付くほどの割安単価であるにもかかわらず、若干残したのも高単価・高グロス価格になると売れ行きがバッタリ止まるこの沿線の特殊性を物語っている。それでももモデルルームをオープンしてまだ 1 カ月しか経過していないのにこの数字は驚異的だ。同沿線のマンションの売れ行きとしては東武鉄道「ソライエ草加松原」を上回るスピードだ。設備・仕様も沿線のマンションと比べればむしろ水準以上だ。南向きのスパンはほとんどが6300ミリ以上。

 申込者はもちろん地元中心のファミリーだが、戸建てからの買い替え、買い増しもあるという。賃貸の相場は70㎡で11万円ぐらいというから投資需要も見込める。これほど充実した賃貸マンションなどないはずだ。


〝オハナ〟の定番のシンク下(収納スペースはないが、ゴミ箱と子ども用の脚立がある。ニースペースにもなる)

 

「オハナ」の人気の秘密を見た 野村不「玉川上水」(2/22)

大成有楽不「オーベルグランディオ吉祥寺」 3カ月で106戸完売

 


「オーベルグランディオ吉祥寺」完成予想図

 

 大成有楽不動産は4月4日、三鷹市のマンション「オーベルグランディオ吉祥寺」が3月9日の販売開始から4週間で109戸を売り出し106件の申し込みがあったと発表した。1月5日の事前案内会開始から約3カ月で来場者は約800組に達した。

 同マンションは「牟礼団地総合再生プロジェクト」の分譲マンション第1号。都市再生機構(UR)がプロデュースする総開発面積約41,000㎡の一角。

 物件は、JR中央線・総武線、京王井の頭線吉祥寺駅からバス13分、バス停徒歩1分、三鷹市牟礼6丁目に位置する8階建て全177戸(販売対象外46戸含む)。109戸の専有面積は35.87~87.65㎡、価格は1,870万~5,180万円。申し込み倍率は最高5倍、平均1.4倍。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2014年1月下旬。

進化するポラスの建売り「ボゥ・ヴィラージュ」

第8弾は「武蔵浦和」で45戸

 


「ボゥ・ヴィラージュ武蔵浦和」の街並み

 

 進化するポラスの南欧風2×4の建売住宅〝ボゥ・ヴィラージュ(美しい村)〟-ポラスグループで2×4工法の戸建分譲事業を展開する中央住宅マインドスクエア事業部は4月4日、シリーズ8物件目で、埼玉県・武蔵浦和駅徒歩圏では最大級の規模の「ボゥ・ヴィラージュ武蔵浦和」(45戸)の記者見学会を行い、1期23戸を4月6日から販売すると発表した。南欧風の外観デザイン、天井高2.7m、ユニバーサルデザインの仕様などは従来どおりだが、世界初・業界初のカーボンナノチューブ(CNT)キャパシタを搭載したハイブリッド型家庭用蓄電池を一部住戸に採用したほか、造成中の土砂の飛散を防ぐとともに雑草が生えるのを防ぐシートを敷地全面に敷くなど地域との親和性にも配慮している。

 物件は、JR埼京線・武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩17分、さいたま市南区辻4丁目に位置する全45戸の建売住宅団地。敷地面積は100.09~125.89㎡、建物面積は93.26~105.67㎡、価格は未定だが4,000万円台の前半から6,000万円台の前半で、最多価格帯は5,000万円前後になる模様。建物は2×4工法2階建て。

 〝ボゥ・ヴィラージュ〟はフランス語で「美しい村」という意味で、同社がフランスの美しい街並みをモチーフにして2007年に第一弾「浦和美園」を分譲して以来、今回が8物件目。フランス国内でもっとも美しい村として知られるリュベロン地方を同社スタッフが視察し、素焼き瓦の淡いベージュや外壁の鮮やかな赤い土壁、アーチ、石畳、アール状の屋根などをモチーフにしたのが特徴。

 また、電気自動車やハイブリット車充電用の200V屋外コンセントを全棟に標準装備したほか、ポラス暮し科学研究所とスペースリンクが共同開発したカーボンナノチューブ( CNT )キャパシタを搭載した9.5kWhのハイブリッド型大容量蓄電池を12棟に標準装備した。電気料金が安い夜間に充電することで日常の電気料金を低減できるほか、非常時には3日間の電力供給が可能で、通常の鉛蓄電池の3倍以上の期待寿命15~20年を可能にし、発火の危険性もなく、資源リサイクルも可能。大きさも70立方センチメートルと小型化も図っており、リチウムイオン電池より安全で小型化を実現したのが特徴。同事業部では今後の建売住宅にも積極的に採用していくという。

 さらに、地域住民との親和性に配慮して、工事中の土砂が飛散したり雑草が生い茂るのを防ぐために敷地全面に白いシートを敷くなどの工夫も行っている。

 見学会に臨んだ同社取締役事業部長・金児正治氏は、「進化する〝ボゥ・ヴィラージュ〟を見ていただきたい。すでに期待以上の147件の問い合わせがあり、都内からの問い合わせも予想外の15%にのぼっている。6月末までには完売したい」と早期完売に自信を見せた。

     
モデルハウス

 

◇     ◆     ◇

 

 反響がいいためか金児氏は(いつもそうだが)より一層多弁だった。最近の市況について語ったのが面白いので以下に紹介する。

 「ウェブでの反響が最近激増しているが、現場への来場者はそれほどでもない。これは、先行きの景気を先取りする動きだと思うが、実際のサラリーマンの給与が上がっていないということの現われだと思う。特徴的なのは、購買層の親の動きだ。バブルやリーマン・ショックを経験されている親御さんは〝今が底〟を肌で感じていらっしゃるようで、1,000万円から1,500万円ぐらい援助する方が増えている。決断が早いのも特徴だ。肝心の購入者はボーナズが上がって動き出すと読んでおり、当社も6月から9月を販売のピークに持っていく。近いうちに〝ミニミニ〟の建売住宅を都内で供給する」


モデルハウス

 

◇      ◆     ◇

 

 これまで「ボゥ・ヴィラージュ」は結構見学してきたので詳細は省略するが、天井高を2.7mも確保しているのは同社だけだろうし、リビングドアは幅1.1mの親子ドアを採用。階段のステップは15段。柱などの角は巾木も含めてアール状にしている。随所にニッチ、物入れを設けているのが特徴だ。

 金児氏が「進化している」と語った部分で記者が感心したのは土砂が吹き飛び雑草が生い茂るのを防ぐシートを張ったことだ。マンション現場などでは高い工事用フェンスを張るのが普通だが、なかなかこれが見苦しい。シートとはよく考えたものだ。ポラスが埼玉県で圧倒的な人気なのは、こうした地域との親和性に取り組んでいるからだろう。

 もう一つ、面白いのは、食器棚との無料セレクトだが、クリナップの「アラエール」という自動洗浄機能付きレンジフードを採用していることだ。給湯トレイにお湯(40~45℃)を入れて本体にセットし、洗浄ボタンを押すとファンフィルターに集めた油汚れを自動洗浄してくれるものだ。月1回の洗浄で約10年間ファンフィルターを取り外さずにお掃除が可能とのことだ。

 レンジフードの掃除を経験した人なら、これがいかにありがたい商品かが分かる。年に1回、業者に頼むと1万円ぐらいかかるのではないか。果たして購入者はどちらを選ぶか。記者は有償でもいいから両方を選ぶとみた。

 最後に価格。記者も早期完売間違いなしと読んだ。駅前のタワーマンションの坪単価は225万円。30坪で6,750万円だ。マンションと単純比較はできないが、記者は6,000万円を超えてくると販売は容易でないと読んだが、6,000万円を突破するのはモデルハウスぐらいだろう。駅までやや距離があるが、線路伝いに桜並木の遊歩道があるのもいい。


シートを敷いた現場

ハイブリッド型大容量蓄電池

 

建て替え阻む法の壁と市場価格との乖離拡大

旭化成不レジ 第2回高経年マンション問題 メディア懇談会

 


建替えられる「調布富士見町住宅」

 

 旭化成不動産レジデンスは4月2日、第2回高経年マンション再生問題メディア懇談会を行い、同社が手掛ける建て替えマンションとしては16件目で、事業協力者となっている調布市の「調布富士見町住宅」の事例を基に建て替えの問題点などについて説明した。懇談会には団地建替組合の理事長・今井裕隆氏と同副理事長・多田陽子氏も出席し、建て替えにいたった経緯などについて話した。また、同社の「同潤会江戸川」「国領」「諏訪町住宅」などこれまでの代表的な団地建て替えに携わったNPO法人マンション再生ナビ事務局長・関根定利氏も団地建て替えの課題について講義した。

   
向田氏(左)と大木氏

 

◇    ◆    ◇

 

 「調布富士見町住宅」は京王線調布駅から徒歩10数分、東京都住宅公社が昭和41年に竣工した敷地面積約12,000㎡、延床面積約10,000㎡の5階建て全176戸。専有面積は約50㎡。平成20年に建替え推進決議、事業協力者の決定などを決議。一団地規制の廃止、公道の付け替えなどに手間取りながらも23年一括建替えを決議。25年4月に解体工事に着手する。

 建替え後は延床面積約35,000㎡(建ぺい率50%、容積率200%、高さ制限25m)の6階建て・8階建て全331戸となる。専有面積は57.31~94.64㎡。還元率は1.16倍。竣工予定は27年春。

 建替えに至ったのは、建物が老朽化して漏水事故が絶えず、旧耐震であることの不安、5階建てでエレベータなし、間取り・設備の陳腐化などで、ほぼ全員が建替えに合意したという。


多田氏(左)と今井氏

 一団地規制の廃止を得ると同時に、敷地北側の駐車場と2棟の建物敷地の間にあった道路を付け替えないと建て替えが困難であることから、建物を2棟にしてその中央に道路を付け替えることで最終的な計画がまとまった。建替え後の建物は雁行させることで光と風を取り込む設計となっているのが特徴。

 懇談会で挨拶した同社マンション建替え研究所長・向田慎二氏は「今回の懇談会は、皆さんに団地建替えの実態を見ていただくのと、昭和40年代の団地型マンションはそもそも建て替えを想定していないところに問題がある」と指摘。同主任研究員・大木祐悟氏は「建て替えを想定していない昭和30年代から40年代の団地型マンションは、法改正を含めた抜本的な改革が必要」と語った。

 また、関根氏はNPOを立ち上げた7年前から年間30~40件の建て替え相談を行っている経験をもとに、「修繕・改修を行う場合でも再生の負担が大きく、建替える場合もよほど立地に恵まれた都心部などはともかく、建築費だけでも坪100万円はかかる現状を考えると、郊外団地では容積を余していたとしても分譲価格と折り合わないケースが多い」などと厳しさを増す建て替えの現状について話した。再生を円滑に進めるためには「結論を急がず、きちんと手順を踏み、全員が参加できる環境づくりが大切。そのためには高齢者が孤立しないようなコミュニティの再構築が必須」と強調した。


関根氏

 

◇    ◆    ◇

 

 現段階で分譲単価を予測するのは難しいが、調布駅周辺は駅と線路の地下化で街並みが一変すること、駅からやや距離があることなどを考慮すると市場価格はアッパーで240万円とみた。230万円台に落ち着けば早期完売するのではないか。

 若い記者はびっくりしていたが、われわれの年代は下のような浴槽は別に驚くことではない。昭和30年代、40年代はこのようなものが普通だった。いかに間取り・設備が陳腐化しているかの証左だ。こうした地道な同社の懇親会が記者を育て、法を動かし、ユーザーに〝建替えの旭化成〟を浸透させる。


従前の浴槽(またぎ部分は50cmぐらいあった)

23区の旧耐震の5割が既存不適格か 旭化成不レジ(2012/3/27)

震災前2年間と比べ住宅着工は29%、マンション73%増

 


「ライオンズ仙台レジデンス」完成予想図

 

 大京が2月に東日本大震災後初めて東北エリアで分譲したマンション「ライオンズ仙台レジデンス」108戸が最高4倍、平均1.2倍で即日完売し業界でも話題になった。仙台駅東口から徒歩7分の区画整理事業地のほぼ中央に位置し、大林組の最新の技術である2棟連結免震構造を採用したほか、専有面積62.18~91.34㎡で2,290万~5,090万円(最多価格帯3,000万円台)というリーズナブルな価格設定が人気の要因だ。同社はこれまで仙台市内で195棟のマンションを分譲しており、市場を熟知しているのも好調な売れ行きとなった。


建築中の 「ライオンズ仙台レジデンス」

 

◇     ◆    ◇

 

 この大京のマンションが象徴するように、被災した東北3県のマンションや分譲戸建て、持家が震災後大幅に伸びている。

 東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)の平成23年3月から25年2月までの2年間の住宅着工戸数は67,727戸(前年同期比25.6%増)となっており、内訳は持家が36,417戸(同22.3%増)、貸家が22,143戸(同30.9%増)、分譲住宅が8,451戸(同23.4%増)と大幅に伸びている。分譲住宅の内訳はマンションが2,729戸、一戸建てが5.722戸。

 震災復興に向け確実に戸数を伸ばしていることが分かるが、震災後2年間と震災前2年間(平成21年4月~23年3月)とではどうなっているのか調べてみた。震災前2年間と比べると住宅着工総数は29.1%増、持家は34.3%増、貸家は16.8%増、分譲住宅は41.4%増となっている。分譲の内訳のマンションは72.7%増、一戸建ては31.3%増。つまりマンションの伸びが突出しており、持家や分譲戸建ても大幅に伸びていることが分かる。貸家は震災復興の2年間に大幅に伸びてはいるが、震災前と比べるとそれほどでもないことが分かる。

 今後どうなるかだが、宮城県では持家が昨年12月から3カ月連続して前年同月比で下回っており、岩手、福島も伸び率は鈍化傾向を示している。その一方で、マンションや戸建ても伸び率は鈍化しているが、まだまだ高い水準で推移しており、今後も相当の勢いで伸びるものと思われる。


積水ハウス「スマートコモンシティ明石台」

売れ行き好調 震災後初の大型 積水ハウス「明石台」(3/29)

大京 仙台で免震「ライオンズ仙台レジデンス」108戸(2012/11/15)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン