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実証実験の知見を社会に還元し、人材育成、SC検定などにも取り組む

 

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「サステナブル・コミュニティ研究会」セミナー(秋葉原コンベンションセンター)

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挨拶するアドバイザリーボードの浅見泰司・東大大学院教授

 

 三井不動産レジデンシャル、三井不動産住宅サービス、外部団体、有識者からなるアドバイザリーボードで構成される「サステナブル・コミュニティ研究会」は93日、「コミュニティ力が創る新しい暮らし~集合住宅から暮らしが変わる~」をテーマにセミナーを行ない、これまでの実証実験の報告と今後の活動について報告した。約200人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

 同研究会は、東日本大震災後の集合住宅のあり方として、住民同士の共助や地域住民との連携による持続可能な地域づくりが重要として20117月に発足。サステナブル。コミュニティ(SC)指標を作成し、新築マンションや既存マンションを対象に実証実験を行なってきた。

 SC施策はコミュニケーションの深化に効果があると報告された一方で、必ずしもコミュニティに対する関心・意識が高くないことから「懇親会」+「防災訓練」など住民の関心の高いテーマにイベントを工夫する必要があるとした。また、居住者の自主的な活動を支えるコーディネータの育成や、キーマンが承認・応援されるような環境づくりも重要であることなどが報告された。

 今後は居住者内部で得られた知見を地域に還元することも必要とし、管理組合向け人材育成セミナーやSC検定などを行なっていくとした。

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驚いたのは参加者の多さだった。会場となった秋葉原コンベンションホールは満席となった。集まるのは三井不動産の関係者や報道陣ぐらいではないかという予想は外れた。

驚いたのは参加者の数だけではなく、その属性にも驚いた。勤務先が不動産業というのは8.9%で、建設業、コンピュータ・情報通信、製造業、サービス業の4業種がそれぞれ14.610.4%と不動産業を上回った。官公庁も4.6%あった。商社マンやコンサルタント、弁護士などの参加もあった。企業規模は1万人以上が13.9&を占め、1,000人以上が約34%に達した。職種でも経営者・管理職、専門職が60%近くにのぼった。役職では会長・社長が11.1%もあった。

マンションのコミュニティ形成についてはここ数年関心が高まっており、同研究会のほかにも国交省の「マンション管理の新たなルールづくり検討会」、マンション管理業協会の「マンション長寿命化協議会」などでも活発な論議が行なわれてきた。今回の参加者の多さは主催者サイドの動員力もあるのだろうが、官民の取り組みの成果であり、われわれが考えている以上にマンションのコミュニティ形成に大きな関心が寄せられている証左だ。

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興味深い報告もあった。三井不動産レジデンシャル市場開発部 商品企画グループ兼総務部環境推進室主管・川路武氏が先進的な事例として紹介したもので、「柏の葉キャンパスシティ」のマンションでは、こどもが生まれたときやサークル・ボランティア活動、上下階の交流会などへ町会からコミュニティ支援として祝い金や助成金が支給されるというものだ。これはこれからの地域連携を考える意味で参考になる。

また、基調講演を行なった英国王立芸術大学院のへレン・ハムリン・センター・フォー・デザイン シニアリサーチフェロー  ジュリア・カセム氏は「イギリスにはマンションは少なく、人生をケアするシステム、選択肢が協会やチャリティなどを通じて行なわれている」と話した。わが国には大きな影響力のある協会などは存在しないが、かつては冠婚葬祭や町内会がその役割を果した。昔のままというわけにはいかないだろうが、現代に即した新しいデザインを考える必要がありそうだ。

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左からパネルディスカッションのモデレータを務めた日経エコロジー編集長・谷口徹也氏、パネリストの明海大教授・齊藤広子氏、三井不動産住宅サービス マンション管理本部業務推進部 業務推進課課長代理・木村貴一氏

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ひだりから川路氏、ジュリア・カセム氏

武蔵小杉に来年4月オープン

 

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「三井のすまいのモール」武蔵小杉店 位置図
 

 三井不動産92日、同社の住まいのワンストップサービス店舗「三井のすまいモール」3号店の「武蔵小杉店」を来年4月中旬にオープンすると発表した。「すまいモール」は、

「新築・中古」「所有・賃貸」「建て替え・リフォーム」などあらゆる住まいに関するニーズにワンストップで応える施設で、2012 4 月に目黒、同年11 月に横浜にオープンして以来、累計約7,000

組の来場者がある。

 「武蔵小杉」店は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩1分。出店会社は三井不動産レジデンシャル、三井不動産リアルティ、三井ホーム、 三井不動産リフォーム。店舗面積は約125坪。

 また、「すまいモール」の開設と同時に開始したメンバーシップサービス「すまいLOOP」の利用者も増加しており、会員数は約10万人にを突破した。サービス提供店舗・施設数は約350カ所に拡大した。

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 3号店の武蔵小杉店は当初から予定されており、いよいよ来年に開設することが決まった。武蔵小杉はマンション供給ラッシュが続いており、その中でも同社がもっとも供給量が多い。今後も駅周辺で2,000戸超(他社とのJV含む)を供給する。坪単価も10年前は220万円だったのが、最近の駅近では300万円近くになっている。晴海や豊洲、川崎などを凌ぐ単価水準だ。

 

「住んでみたい街」3位 脅威の売れ行き野村不動産「武蔵小杉」

 

優秀賞モデルハウス上棟式に150組・450人が参加

 

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「パレットコート六町」で行なわれた上棟式イベント

 

 ポラスグループの中央グリーン開発831日、先に同社が行なった「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ大会で最優秀賞に輝いたプランのモデルハウス上棟式イベントを、現在分譲中の足立区の戸建て団地「パレットコート六町」で行なった。入居者や近隣の親子連れなど150組・450人が集まり、餅撒きや日曜大工体験、交流会、マルシェなどを楽しんだ。

 コンペ大会は、地元の「NPO子育てパレット」と共同で立ち上げたプロジェクトで、「パレットコート六町」を舞台に9人の現役ママが 4 チームに分かれ「子育てママの理想の家」づくりに挑戦、プロの設計士の手を借りながら最優秀賞を競うもの。最優秀賞には1階を「華」に見立て、おもてなしの空間とし、2階を「癒」のプライベート空間とした「Give Take」を提案した宮下記子さんと加藤圭さんのチームが受賞。このプランを団地内に建設して、モデルハウスとして利用されたのち建売住宅として分譲される。完成は11月の予定。

 

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「パレットコート六町」

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 別の用件があったので、駆けつけたときには上棟式は終わっていた。上棟式といえば、記者が小さい頃などは「餅撒き」が楽しみだった。上棟した建物の上に大工さんや施主が上り、紅白のもちや〝ご縁がありますように〟という意を込めて5円玉などの小銭(われわれの時代には1円玉もあった。つまり1円がキャラメル代になったので流通していた。10円玉もまれにあった)が撒かれた。拾うのは主に子どもだが、集落の大人もみんな集まった。

 このほか、葬式でも運動会の玉入れの籠のようなものから小銭が撒かれ、子どもたちが拾い集めた。結婚式では石ころや材木を道路上に置き、お嫁さんが通れないように「垣」をしたものだ。垣を先導役が取り除くのだが、艱難辛苦を乗り越えて嫁いでいくようような願いが込められていたのだろう。このように冠婚葬祭は村のコミュニティを支えていた。こどもはこのような行事を通じて社会を理解していった。例えば葬式の小銭撒きでも、世帯主などの大黒柱が亡くなった場合は撒かれなかったから、子どもでもその家の死者の位置を知ることができた。小銭の額でお金持ちか貧乏かを判断したものだ。経済を学び、不平等社会を学んだ。

 いまはこのような行事はほとんど行なわれなくなっただろう。ポラスでも上棟式で餅や小銭を撒くケースは皆無ではないが非常に少ないという。

 コンペ大会の責任者、ポラスグループの中央グリーン開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は「これまで分譲した158棟のうち127棟が入居済み・契約済み。街並みが整ってきたことで成約スピードもあがってきた。8月は11戸が成約できた。このようなイベントを行なうことで地域コミュニティが形成されることが嬉しい。商品開発にも生かしていきたい」と話した。

 

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地元のフラダンスのサークルも参加            日曜大工の体験コーナー 

ポラス 「子育てママの理想の家」コンペ大会

7月の住宅着工 前年同月比二ケタ、11カ月連続増加

  国土交通省は8月30日、平成25年7月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は前年同月比12.0%増、11カ月連続増加の84,459戸となった。内訳は持家が31,475戸(前年同月比11.1%増、11カ月連続増)、貸家が31,012戸(同19.4%増、5カ月連続増)、分譲住宅が21,361戸(同4.3%増、3か月連続増)。分譲住宅の内訳はマンションが9,977戸(同0.6%増、3か月連続増)、一戸建住宅が11,305戸(同8.4%増、11か月連続増)。

 首都圏マンションは、東京都が2,762戸(前年同月比37.3%減)、神奈川県が602戸(同63.5%減)、埼玉県が627戸(同283.9%)、千葉県が526戸(同54.7%増)。

 今回の結果について国交省は「リーマンショックを受けた大幅な下落(平成21 年度)以降、緩やかな持ち直しの傾向が続いてきたが、このところ、消費マインドの改善等もあり、堅調に推移している」としている。

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 マンションの着工戸数は過去最高だった平成2年度は約24.8万戸(首都圏は約8.9万戸)で、バブル崩壊後の最高記録は平成17年度の約23.1万戸(首都圏は約12.5万戸)だ。最近の首都圏マンションは平成23年度が約69,000戸、24年度が約72,000戸で、今年度も前年度並みになると予想される。過去最高だった平成17年度にもバブル期の水準にも届かないので、決して多いわけではない。消費増税の駆け込み需要を見越した着工であり、市場の回復を反映した数字だ。

 バブル期は首都圏近郊の各県でリゾートマンションが約1万戸ぐらい着工されていたし、価格が桁違いだったことを別にして戸数そのものに限ってみれば、単身者・DINKS需要が劇的に増加している現在の市場構造からすれば、やや東京都に集中しすぎている傾向はあるが、最近の着工戸数を吸収する力は市場には十分あると見る。

 戸数はともかく、もう一つ注視しなければならないのは売れ行きと価格上昇だ。民間の調査機関の調べによると、マンションの売れ行きを計る月間契約率(その月内に分譲されたマンションが月末までに何%売れたかを示すデータ)は80%を越えている。デベロッパーは「売れ残り」の印象をさけるため全体の供給戸数を数回に分けて供給する(期分け)するのが一般的になっているので、高い水準をマークするのは当然だが、それにしてもこのところの売れ行きはバブリーな様相を呈している。月間契約率が80%台というのはバブル期なみの数値だ。坪単価が300万円前後の都心部や準都心部のタワーマンションが数百戸単位で飛ぶように売れている。郊外部の一次取得層向けの物件も総じて好調だ。流れに乗り遅れまいとする消費性向が見て取れる。これは異常だ。

 好調な市場を背景に、この秋分譲のマンションが軒並み価格アップするのも懸念材料だ。1年前の相場と比べ少なくとも1割、立地条件の恵まれたものは2割は上昇すると見ている。消費増税の対応策としてローン減税や現金給付も予定されているが、建築費上昇・価格アップで対応策は吹っ飛ぶ。記者は都心・準都心部で坪単価250万円、郊外で坪単価200万円が一般的なサラリーマンの取得限界とみているが、いまは限界点に近づいている。

 消費増税がどうなるか分からないが、2020年の東京オリンピック招致が決まれば9分9厘実施が決定されるのではないか。消費を促す、サラリーマンの住宅取得能力を引き上げる具体策を打ち出して欲しい。そうでないと、所得格差の拡大が広がりマンション市場もいびつな市場になる。都心部も郊外部も、大手も中小もバランスよく売れるのが健全な市場だ。

坪単価は隣接のモリモト「二多摩川」より1万円安い坪240万円

 


ドレッセ二子新地

 東急電鉄(事業比率66%)、三井不動産レジデンシャル(同33%)、長谷工コーポレーション(同1%)が9月中旬に分譲予定の「ドレッセ二子新地」を見学した。敷地面積約16,000㎡の工場跡地に建設中の全434戸の大規模物件で、坪単価は240万円。多摩川を挟んだ二子玉川駅圏では坪単価は300万円をはるかに突破しており、その比較からして割安感があり、若いDINKS・ファミリーを中心に人気を呼びそうだ。

 物件は、東急田園都市線二子新地駅から徒歩6分(二子玉川駅から徒歩14分)、川崎市高津区二子1丁目に位置する15階建て全434戸。今回分譲(戸数未定)の専有面積は58.1793.91㎡、予定価格は3,800万円台~7,600万円台(最多価格帯4,700万円台)、坪単価は240万円。竣工予定は平成2612月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は東急リバブル、三井不動産レジデンシャル、東急ライフィア

 現地はサンジェルマンのパン工場跡地。敷地面積約16,000㎡の広大な敷地を生かしたランドスケープデザインが最大の特徴だ。敷地全周にわたり敷地境界線から10m以内に建物を建てない、通常より厳しい日影規制をかける、25%を越える緑化率を確保する、敷地にいに認可保育所を設置するなど地域へ貢献する計画が市の「高度許可」が認められたため、建物の高さ制限20mが45mに緩和されている。「高度許可」を得たのは2008年の条例改正以降3件目。

 敷地内には14,000本を越える樹木を配し、生物多様性にも配慮して樹種を選び、ハンモック、スウィングベンチ、井戸ポンプなど子どもの遊び場も設置している。

 建物は南向きを中心に3棟構成で、サンジェルマンのパン生地の提供を受けた「ベーカリーカフェ」、木づかい運動に参加する「ブックラウンジ」なども設ける。住戸プランは3141エレベータを採用した両面バルコニータイプも用意。モデルルームは東急電鉄が「青葉台」の万で試験的に採用して好評だった「つながリビング」を採用している。床は直床だが、その代わり天井高は2600ミリを確保している。

 第1期では200戸ぐらいの供給を予定しているようで、人気を呼びそうだ。

中庭

 

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 このマンションは必ず見学しようと思っていた。モリモトが昨年、隣接地でマンションを分譲しており、そのときすでに東急電鉄がマンションを分譲する旨の看板がかかっており、敷地の外周部にはケヤキなどの巨木が敷地の外周部に植わっていた。既存樹を生かせば素晴らしいマンションになると期待していた。

 その巨木は残念ながらマンション建設のために伐採されたようだが、空地率を70%確保して新たな植栽計画により緑化を図っているのが評価できる。

 来場者の50%以上は35歳以下のDINKS・ファミリーというのも納得できる。歩く人は少ないようだが、隣駅の二子玉川まで歩こうと思えば歩けるのも魅力だろう。何しろ、現在分譲中の東急不動産「ブランズ二子玉川」が坪360万円であるように、二子玉川駅圏は駅近なら坪単価は350万円を突破する。玉川高島屋など商業施設が集積した急行停車駅と各駅停車駅、世田谷区と川崎市の違いとはいえ、坪で100万円の差は大きい。二子新地は若い女性に人気があるそうだが、実利を重視するのは賢明な選択だと思う。

 単価設定はやや強気のような気がするが、今秋分譲は軒並み価格アップしているので納得だ。モリモトは241万円だったが瞬く間に売れた。それより規模が大きく、共用施設が充実しているのだからこの設定になったのだろう。

 

モデルルーム リビング

 

設計に日建ハウジングを起用したモリモト「アールプラン二子多摩川」

アリオンテラス妙蓮寺」はひな壇造成の全9戸

 


アリオンテラス妙蓮寺」

 

 大京の戸建てブランド「アリオンテラス」第4弾の「アリオンテラス妙蓮寺」を見学した。妙蓮寺駅から10m以上はあると思われる坂を上り下りしなければならない難点はあるが、現地は南傾斜のひな壇形状で価格もリーズナブルなものになりそうだ。

 物件は、東急東横線妙蓮寺駅から徒歩 9分、横浜市区松見町三丁目に位置する全9区画。土地面積は100.10185.94㎡、建物面積は95.22104.12㎡、価格は未定。建物は2×4工法2階建て、施工は東急ホームズ、8月に竣工済み。

 現地は、妙蓮寺駅から高低差で10m以上はあると思われる坂の頂上の鎌倉街道まで数分歩き、さらに同じぐらいの坂を下ったひな壇造成地。高低差は約6m。一番低いところの建物でも道路面より約2mの擁壁の上に建てられている。

 敷地面積を平均約38坪確保し、「アリオンテラス」シリーズでは初の街区を見守る防犯カメラを設置しているのが特徴。大京オリジナルの設備も標準採用している。

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 「アリオンテラス」は2011年に第一弾「横濱山手」(7戸、施工イトーピアホーム)に分譲されて以来、昨年分譲の「蘆花公園」(8戸、施工イトーピアホーム)、「西新井」(3戸、施工ポラス)に次いで今回が4物件目。記者が見学するのは「蘆花公園」に次いで2件目だ。

 もちろん、見学の目的は、マンションで実績豊富な同社がどのような都市型戸建てで競争が激化している市場に挑もうとしているのかを知るためだ。

 結論から言えば、駅からの坂が相当きつい難点を除けば、価格は6,000万円ぐらいに収まりそうなので、追い風の市場もあるので完売までそれほど時間はかからないとみた。

 一つ二つ、注文をつけるとすれば、〝大京の戸建て〟をもっとアピールすべきだと思う。設備・機器に関してはマンションに採用している「ライオンズ リビング ラボ」は十分差別化ができていると思うが、外観デザインや植栽計画、間取りプランはまだまだ不十分だ。〝これは素敵〟というものを盛り込まないと勝てないと思う。

 今回の物件でも、ひな壇造成はいいが、擁壁の壁面が勝りがちだ。植栽計画によって和らげることもできたのではないか。間取り・プランでは、玄関・ホールが狭く、LDとは幅60cm、高さ1.8mの引き戸によって隔てられているのだが、玄関-ホール-リビングと一体的な空間として演出すべきではないかと思った。壁一杯に親子ドアにでもすれば〝これは素敵〟になるはずだ。

 まだ4物件目の段階で厳しいことを言うようだが、一つひとつが勝負だ。現段階ではブランド力はないに等しい。他のデベロッパーの2倍、3倍の努力をしないと勝ち残れない。近く同社は「三鷹」で近鉄不動産と共同で分譲するという。楽しみにしたい。

 

リビング

三菱地所レジデンス、野村不動産、東京建物「スーパータック フィットMTN」

 

 

「スーパータック フィットMNT」

 

 三菱地所レジデンス、野村不動産、東京建物の3社は828日、共同でマンションの家具転倒防止器具「スーパータック フィットMNT」を開発したと発表した。北川工業の協力のもとで約100回の加振実験を行い、その知見を基に商品開発を行うことにしたもので、マンションデベロッパーが共同して新たな商品開発の研究・監修をするという取組みは業界初

 実験に用いた家具転倒防止器具のサンプルには、家具頂部で家具側の固定パーツに「粘着ゲル」、壁側の固定パーツに「粘着ゲルまたはビス」を採用。固定パーツを「耐震バンドまたはプラスチック製アーム」で連結し、家具の足元の手前側には「滑り止め器具」を取り付けた。

 実験の結果、震度7相当の地震でも家具転倒の危険性を低減させるためのデータを集めたという。

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 マンションの家具転倒防止については、三井不動産レジデンシャルが一昨年の12月、新たな防災基準を設け、家具転倒防止対策も発表した。住戸内壁面に家具転倒防止下地を設置するほか、大型テレビなどにも対応できるよう上下二段の転倒防止下地を設置し、戸境壁についても上下二段に転倒防止下地を設置するというものだった。

 記者は、三井不動産レジデンシャルが「画期的」な家具転倒防止策を打ち出したことで、他社も対応を迫られると思ったが、それが今回の開発につながったのだろうと考える。

 「粘着ゲル」は壁クロスやコンクリート壁に取り付けるのだろうが、はがれないのか心配だが、三菱地所の広報は「下塗りのシーラーに工夫が凝らされているので大丈夫」とし、「それほど強力なゲルなら間違って手にくっついた場合、はがれなくなるのでは」との問いに対しては「私も試してみたがはがれる。事故につながることはない」と太鼓判を押した。

 三菱地所レジデンスは来年1月以降に引き渡す物件で1住戸につき1セットと「水性シリコン下塗りシーラー」を無償配布する。東京建物は「詳細は決まっていないが、年内には採用したい」としている。野村不動産も「近いうちに採用していく」と話している。

 

三井不動産レジデンシャル 画期的な防災基準

ポラスと第三企画のCSRが意味するもの

 


「南越谷阿波踊り」フィナーレ

 記者はこの10年間、本場徳島を含めて3大阿波踊りと呼ばれる南越谷と高円寺の阿波踊りをほとんど欠かさず見学している。

 前者はハウスメーカー各社の広報担当者やメディアとの懇親が目的の「広報連絡会 臨時会」の参加者の一人として、後者は「第三企画」が「第三企画連」として踊りに参加しているのを写真に収めるためだ。前者の場合は、飲むのも目的の一つだから踊りを見るころにはかなり酔っ払ってはいるが、それでも「虹」とか「菊の会」など世界をまたに駆けて公演しているトップクラスの連の舞台踊りをみている。後者もまた、地元の有名連の一つ「殿様連」が第三企画連と一緒に踊っているので、やはりどこにも負けない踊りを見学している。この10年間を振り返って、阿波踊りの果たしている役割などについて考えてみた。

 まず、南越谷阿波踊りについて。いうまでもなく、この阿波踊りは徳島県出身でポラスグループの中央住宅の創業社長・故中内俊三氏が呼びかけて始まったものだ。昭和60824日に第1回目が行なわれている。観衆は約3万人だったという。それが、最近では毎年約60万人が集まるという。60万人といえば越谷市の人口の2倍近い数だ。参加連は70を越え、踊りに参加する人は延べ5000人にのぼるという。

 中内氏が開催を提唱したころのポラスの売上高はせいぜい数百億円だったのではないか。今ではグループの平成253月期の売上高は1,531億円(前期比13.9%増)、経常利益は110億円(同1.1%増)にものぼる。従業員数は2,425人で、これもまた当時より数倍に増えているのではないか。中内氏が亡くなられて8年が経過する中内氏が存命であれば今日の盛況振りをどう評価するだろうか。

 記者がもう一つ考えるのは地域貢献のあり方だ。中内氏は「会社がつぶれても阿波踊りだけはつぶすな」と語ったそうだが、世間には宣伝のためにイベントを行う会社がたくさんある、しかし同社は地域密着企業として、地域と一緒になって努力し汗をかいてきたからこそ共感を得られたのだろうと思う。CSRはどうあるべきかを考える意味でもこの南越谷の阿波踊りは参考になるはずだ。

 


ポラス「北辰連」

後片付けをするポラスの社員

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 次に高円寺の阿波踊りについて。これももう説明するまでもなく全国に知れ渡っている。今回で57回目を数え、参加連は90を越え、観衆は本場の約130万人に匹敵する約120万人を動員するというから驚きだ。

 第三企画はこの高円寺の阿波踊りに平成元年から参加している。同社の社長・久米信廣が連長を務める。徳島出身で若いときはミュージシャンを目指したという久米は重さ10キロもある鉦を軽々と片手に持ち、約10人の大太鼓の「暴れ太鼓」を鼓舞する。久米が「音の魔術師」なら太鼓の部隊は神業師だ。太鼓の部隊のほとんどは第三企画の印刷工場で重さ数十キロの紙と踊る紙業が日課だからだ。

 この暴れ太鼓に呼応するのが殿様連の暴れ踊りだ。手に「弓張提灯」を持ち、腰を落として鳴り物を合図に一気に駆け上がる差込が得意技で、ドドドッと十数メートルも駆け回る。

 この光景はどう控え目に見ても他を圧する。鳴り物の腕前は、殿様連の連長が「みんな本場に連れて帰りたい」と真顔で語ったほどだ。2年前は「観衆を楽しませた」として「青梅市友好賞」を受賞している。

 記者のモットーである「記事はラブレター」は、第三企画の理念「人の前に明かりを灯す」と同義語だ。

 

第三企画連&殿様連

     

殿様連(左)と第三企画連

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 この10年間の見学でたどり着いた結論は、阿波踊りこそ究極の盆踊りということだ。おんな踊りは極楽鳥ではないかということだ。編み笠は鳥の羽で、背を大きく見せつつも満月の光を遮り、かつ炬火の光で下から顔を照らす効果を狙っているかのようだ。浴衣の赤やピンクの裏地は日本古来の鴇色が基本だという。ステップを踏むごとに裾から白い脛がのぞく。久米の仙人(久米信廣ではない)は、洗濯する女性の白い脛を見て神通力をなくしたと徒然草はいう。記者も日本の女性をもっとも美しく見せるのは阿波踊り以外にないと思う。

 

  

第三企画連

     

殿様連  

  

 

   

 

   

 

  

 

第三企画連&殿様連

売れ行き好調 第1期70戸完売へ

 


ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」完成予想図

 東急不動産(事業比率55%)とワールドレジデンシャル(同45%)の共同事業マンション「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」を見学した。全130戸のうち第1期70戸が近く分譲されるが、完売のめどが立っているなど売れ行きは好調だ。

 物件は、みなとみらい線馬車道駅から徒歩5分、またはJR根岸・京浜東北線桜木町駅から徒歩6分、横浜市中区住吉町6丁目に位置する14階建て全130戸の規模。第1期70戸の専有面積は44.6374.68㎡、価格は3,338万~6,978万円(最多価格帯4,300万円台)、坪単価は268万円。竣工予定は平成271月中旬。施工はフジタ。販売代理は東急リバブル、ワールドレジセリング831日に抽選分譲される。

 現地は商業地域だが、道路を挟んで川が流れており、開放感も確保されている。建物デザインは白と黒が基調の印象的なものだ。1階から4階までがホテルというのも特徴で、マンション居住者はホテルライクなサービスも受けられる。設備・仕様もキッチンや洗面質のカウンターに自然石が用いられており、食洗機は標準装備。トイレの把手は壁面から出っ張らないようセットバックされている。

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 横浜市都心機能誘導地区建築条例では、住宅などの容積率を300%に制限する一方で、事務所・店舗などの商業機能を誘導することで住機能と業務・商業機能の調和を図ろうという「商住共存地区」制度がある。例えば指定容積率が600%の場合、住宅部分の容積率は300%で、業務・商業施設を150%確保すれば、この150%を住宅部分の容積率300%に上乗せして450%にしてもいいというものだ。このマンションもその適用を受けており、1階から4階までがホテルになっているのはそのためだ。

 この「商住共存」がいいか悪いか、記者は判断できない。一般的に商業地域は何を建てても可能な地域だ。その地域で住宅建設を抑制するのはいかがなものかと思うが、用途規制は自治体の自由裁量に任せてもいいという考えも分からないではない。

 ただ、「商住共存」の言葉からは、空洞化した都心部の商業エリアに住機能を誘導しようという政策を思い浮かべる。「職住近接」もそうだろう。住宅を抑制して業務・商業施設の誘導を図ろうというのは横浜市以外ではそれほどないのではないか。市ではこれまで10件ぐらいがこの制度の適用を受けているという。この制度により既存不適格建築物になった建物は相当あるのではないか。

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 売れ行きがいいのに驚いた。5月に取材した関内駅から徒歩10分の三井不動産レジデンシャル「パークホームズ横濱山下公園」79戸は坪250万円で即日完売したのは納得だが、今回は坪268万円だ。やや高いのではないかと思うが、これは関内と桜木町の差か。それともマンションの近接地が、老朽化した関内の横浜市庁舎の建て替え候補地になっているのも影響しているのか。6月15日にモデルルームをオープンして以降、来場者は約450件にのぼっている。

参入障壁が低く報酬額が守られているのが要因 

 

 国土交通省が平成24年度の宅地建物取引業の施行状況をまとめ発表した。調査によると、平成25 年3月末(平成24 年度末)現在の宅地建物取引業者数は大臣免許が2,137 業者、知事免許が120,373 業者で、全体では122,510 業者となっている。監督処分は免許取り消しが129件、業務停止や指示処分を含めた全体は258件で、全体の処分件数は平成15年度と比較すると28.3%減となっている。

 業者数は平成15年度と比較すると大臣免許が5.3%増、知事免許が6.2%減、合計が6.0%減。過去20年間で業者数は13.8%減少している。

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 一般の方も読まれるので、宅地建物取引業(宅建業)について少し説明しよう。

 宅建業法は、宅建業の健全な発展と消費者保護を主な目的とする法律で、免許を受けなければ業として宅建業を営むことは禁止されている。免許を申請する際、1つ以上の都道府県に事務所を設ける場合は大臣免許を、1つの都道府県内に事務所を設置する場合は知事免許を受けなければならない。知事免許が多いのは、いわゆる「街の不動産屋」さんが業者の数としては圧倒的に多いからだ。

 免許基準のハードルはそれほど高くない。もっとも重要なのは、一定の宅地建物取引主任者(宅建主任者)を置かなければならないことだが、宅建主任者の資格は高校卒業程度の学力があり一生懸命勉強すれば取得できる。試験範囲は民法、建築基準法、宅建業法などに限られており、他の国家資格と比較して範囲は広くない。

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 さて、この全国で約12.3万の業者数が多いか少ないか。判断材料として総務省の「平成18年事業所・企業統計調査」を紹介する。この調査はわが国の全ての産業の事業所、企業の数や従事者をまとめたものだ。

 これによると、不動産業の事務所は全国で約32.0万、従事者は約101万人となっている。これは全産業(約591万事業所、従事者約5,863万人)を16に分けた大分類では事業所数としては7番目、従事者数としては11番目で決して多いほうではない。

 ところが、事業所を420の小分類に分けた数字では、いわゆる街の不動産屋さんと呼ばれる「不動産賃貸・管理業」は約25.5万にのぼりトップに君臨する。

 いかに多いかを他と比較してみよう。次いで多い「食堂・レストラン」が約23.5万で、以下、「医療業」23.3万、「教育・学習支援業」23.2万、「総合工事業」22.5万と続く。「美容業」17.6万、「バー・キャバレー」15.2万、「酒場・ビアホール」15.2万、「理容業」11.7万、「喫茶店」8.1万、「書籍・文房具小売店」5.1万などをはるかにしのぐ。

 事業所の減少スピードも緩やかだ。「不動産賃貸・管理業」は平成13年と比べて2.9%減少しているが、これは全産業の減少率6.9%と比較しても少ない。「医療・福祉」や「ネット関連」の事業所以外の製造業や小売り・サービス業が激減しているのと対象的だ。比較が適当かどうかは分からないが、規制が強化されて激減している「貸金業」(約0.7万)は39.4%減少しているし、「野菜・果実業」(約2.6万)もスーパー・コンビニに押されてか19.4%も減少している。

 注目すべきなのは、事業所の数が多いのに比べて従事者の数が少ないことだ。「不動産賃貸・管理業」の従事者は68.1万人だから、1事業所当たり約2.7人だ。「食堂・レストラン」の1事業所あたり従事者は約7.8人だ。いかに「不動産賃貸・管理業」は零細・個人業が多いかが分かる。

 少人数でも業として不動産業を営むことができるのは、事業参入障壁がほとんどないこともあるが、取引額が400万円以上の場合、報酬額は「取引価格」×3%+6万円として法律で守られていることと無関係ではないと思う。

 今回の調査で処分には至らない「勧告等」が848件で、15年度比34.8%増えているのは気になる材料だが、処分件数は平成15年と比べ約28%減少しているのはせめてもの救いだ。

 

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