3代目の帝国劇場の設計者は建築家・小堀哲夫氏
正面エントランスイメージ
東宝は1月16日、建て替えが決まった3代目となる新たな帝国劇場の設計者に建築家で法政大学教授の小堀哲夫氏を指名型プロポーザルコンペ方式で選定したと発表。同社常務執行役員エンタテイメントユニット演劇本部長・池田篤郎氏と小堀氏がそれぞれ新帝国劇場に託す思いを語った。劇場部分は地下2階、地上4階建て。完成は2030年の予定。
初代帝国劇場は1911年に開場。伊藤博文、渋沢栄一らが発起人となり、実業家・大倉喜八郎の主導で、建築家・横河民輔の設計によってわが国初の本格的な西洋劇場として建設された。1923年の関東大震災で内部が焼け落ちたが、翌年に改修を行い、1964年に閉館。
1966年に開場した2代目の現・帝国劇場は、東宝の演劇担当役員で劇作家・演出家の菊田一夫が「風と共に去りぬ」の世界初の舞台化を念頭に陣頭指揮を執り、建築家・谷口吉郎の設計によって建設された。その後、今日まで59年間にわたって世界の様々なミュージカルの日本初演、オリジナル作品の上演を行ってきた。隣接する国際ビルとの共同建て替えが決まったことから、今年2月末に閉館される。
3代目となる新しい帝国劇場の建築コンセプトは「THE VEIL」。皇居に面し、水のきらめき・美しい光・豊かな緑など唯一無二の環境にふさわしく、自然の移ろいを感じながらヴェールのような幾重にも重なる空間をくぐり、この場所でしかできない豊かな観劇空間を演出する。
池田氏は、「小堀さんの作品は、芸術性と大衆性を兼ね備えたオーセンティックを旨とした帝国劇場の歴史やロケーションをよく研究され、ビビッドに表現されている。フラッグシップの劇場になる。バリアフリー、ユニバーサルデザインにも配慮し、バックヤードも充実させた」と話した。
小堀氏は、「エントランスからまっすぐにアクセスできるようバリアフリーとし、皇居、水面、イチョウなどの唯一無二の存在である自然と街をつなぎ、人々が演者であるかのような空間にした」と設計意図を語った。
小堀氏は1971年9月生まれ。岐阜県出身。日本建築学会賞、JIA日本建築大勝、Dedalo Minosse国際建築賞特別賞など受賞。主な作品は「ROKI Global Innovation Center-ROGIC-」「NICCA INNOVATION CENTER」「梅光学院大学 The Learning Station CROSSLIGHT」光風湯圃べにや」など。
有楽町駅側からの劇場外観
南西側からの外観イメージ
池田氏(左)と小堀氏
会見場(帝国劇場)
マンション管理適正評価、管理業者管理方式を推進 管理協・高松理事長 賀詞交歓会
高松氏(第一ホテル東京で)
マンション管理業協会は1月16日、新年賀詞交歓会を開催。同協会理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)は次のようにあいさつした。
明けましておめでとうございます。理事長の高松でございます。
マンション管理業協会賀詞交歓会に国会議員の先生方をはじめ、多くのご来賓の皆様にご出席いただき誠にありがとうございます。新年に当たり、ご挨拶申し上げます。
まず、この場をお借りしましてご報告させていただきたいことがございます。
昨年8月、17年間の長きに亘りまして、幣協会の理事長を務められました川崎達之氏がお亡なりになりました。 永年のマンション管理業界への御功労に感謝申し上げ、ここに哀悼の意を表したいと思います。
早速ではございますが、マンションを取り巻く状況に目を向けますと、国土交通省が昨年8月に公表したマンション総合調査では、世帯主の年齢が5年前の調査結果と比べ、「30歳以下」は減少する一方、「70歳以上」は増加しています。
また、国土交通省の推計によりますと2043年には、築40年以上のマンションストック数が460万戸を超えるとされています。
このように、マンションをめぐる「2つの老い」が確実に進行しています。
弊会としては、マンション管理組合や区分所有者を支援する業界団体として、積極的に諸施策に取り組んで参ります。
まず、「マンション管理適正評価」の推進です。
これは、マンションの管理状態をソフト・ハードの両面から30項目について評価し、その評価結果を、五つ星をもって6段階で表示するものです。
「マンションは管理を買え」と言われて久しいですが、ご覧いただいているような、適正評価を通じた「管理の見える化」が、資産価値の維持向上に繋がっていくことを広くお示ししていきたいと考えています。
おかげさまをもちまして、適正評価に関しては、8つの金融機関において住宅ローン優遇条件に組み入れていただいており、また、10の不動産ポータルサイトと連携させていただいています。
さらには、行政との連携も進んでおり、昨年12月には、広島県が運営するインフラマネジメント基盤であります、ドボックスというシステムにおきまして、評価制度に登録されたマンション管理情報の掲載を開始しています。
現在、弊会では、「マンション管理適正評価」に関し、本年度末での登録1万件の目標を掲げ、会員各社がその普及・推進に取り組んでいるところであり、現在、約6,800件のご登録をいただいております。国の「管理計画認定」とのワンストップ申請も拡大しており、認定マンションの約7割が評価制度経由の申請となっています。管理計画認定と適正評価とは、言わば「車の両輪」であると考えています。皆様の御理解・御支援を引き続きよろしくお願いいたします。
また、政策要望、税制要望につきましては弊会がかねてから要望していました、適正評価を受けたマンションに係る住宅金融支援機構の「マンションすまい・る債」の利率の上乗せについて、現在、国土交通省と住宅金融支援機構との間で、導入に向けて準備が進んでいるとお聞きしております。その御尽力に対し心から感謝と敬意を表します。
また、令和4年4月に施行された「マンション長寿命化促進税制」につきましても、本年3月末に期限を迎えることから、弊会としてはその延長についてかねてから要望してまいりました。
この件につきましては、国会議員の皆様ならびに国土交通省の皆様の御尽力により、「令和7年度税制改正大綱」に、適用期限を2年延長することが盛り込まれました。
関係者の皆様に対して、改めて感謝を申し上げます。
本税制の期限が延長された暁には、弊会としてもその活用の促進を図り、マンションの長寿命化につなげていきたいと考えています。
さらに、現在、国においては、マンション法の改正に向けた検討が進められています。そのうち、「管理組合の担い手不足」などを背景として、区分所有者以外が管理者に就任する、「外部管理者方式」においては、管理業者がその受け皿になるケースが多くあります。
これに関しては、既に昨年6月に、国土交通省において「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」が公表されており、現在、弊会では「ガイドライン」の周知に努めているところであります。
また、法制化にあたっては、管理業者の創意工夫により、お客様の御負担の小さい、「管理業者管理者方式」が推進されるように弊会としても意見を述べていきたいと考えています。
以上のほかにも、マンションの管理を巡ってはカスタマーハラスメント対応など様々な課題がありますが、弊会は、今後もマンション管理業界の発展のため全力を尽くしてまいります。
関係各位の皆様には、引き続き一層の御支援と御協力をお願い申し上げますとともに、御健勝と御活躍を心からお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。
賀詞交歓会では、マンション管理適正評価制度で、登録件数が受託する管理物件の2割以上に達している遠鉄アシストと穴吹コミュニティが表彰された。
左から表彰された穴吹コミュニティ、高松理事長、遠鉄アシスト
◇ ◆ ◇
来賓として出席した小池百合子・東京都知事は、都の防災対策に触れ、タワーマンションのエレベーターが停まっても大丈夫なことを清家愛・港区長、森沢恭子・品川区長、大久保朋果・江東区長と一緒に体験したことを紹介し、「(管理協の皆さんには)都民と区、都を結びつける橋渡し役になることを期待しています」とあいさつした。
小池氏
日本の食文化を未来につなぐイベント 三井不 東京ミッドタウン日比谷(1/19まで)
「食と生きる」イベント(東京ミッドタウン日比谷で)
三井不動産は1月10日、大人から子どもまで楽しみながら「食」について学べる「食と生きる」イベントのプレス内覧会を「東京ミッドタウン日比谷」で開催した。
イベントは同社とディスカバー・ジャパンが主催し、この日から1月19日の10日間、18の共同参加企業・団体とともに東京ミッドタウン日比谷で行われるもの。わが国の「食」(和食)はユネスコ無形文化遺産に認定されている一方で、食料自給率の低さ、食品ロス、農業従事者の高齢化・人手不足など課題が山積しており、日本の食文化を未来につなげるのが目的。
共同参加企業・団体には農林水産省、東京都、榮太樓總本舗、サントリー、トヨタ自動車、パナソニックホールディングス、ファミリーマート、久原本家グループ、マルハニチロ、ヤマタネ、リーフ・パブリケーションズ、ロック・フィールドなどが名を連ねている。
期間中は、エントランスと1階アトリウムに美術作家・松本勇馬氏による高さ3m超の巨大なわらアートが展示され、地下には長さ50m、幅3.7メートルの18の企業・団体によるエキシビションが展開され、地下1階と6階のホールでは総勢36名のシンポジウム(全14講座)、ワークショップ(全13講座)が行われ、12店舗ではイベントとのコラボメニューが提供される。
1階のイントロダクションエリアと地階のエキシビション展示を手掛けたのは乃村工藝社で、エキシビションに用いられている段ボール、木などはすべて再生されることになっている。
わらアート
エキシビション会場
左から日比谷街づくり推進部事業グループ・中嶋紘大氏、乃村工藝社クリエイティブ本部第一デザインセンター・數坂幸生氏、美術作家・松本勇馬氏
◇ ◆ ◇
この日、概要を説明した同社日比谷街づくり推進部事業グループ・中嶋紘大氏は「プラットフォーマーとしての産業デベロッパー」をアピールした。
「産業デベロッパー」のフレーズは、2012年の同社の中期経営計画「リノベーション2017」、2015年の「イノベーション2017 ステージⅡ」、2018年の「VISION2025」が目標通り進捗したのを受け、2022年の暮れ、社長交代会見の席上で、新社長の植田俊氏が初めて用いた。その後、同社はことあるごとに「産業デベロッパー」であることを強調してきた。
今回のイベントは、唐突な取り組みではない。2023年4月に発表した食のプラットフォーム「mitaseru(ミタセル)」が伏線にあるはずだ。わが国の食料自給率は50%を割るなど先進国の中でもっとも低く、その一方で食品ロスなど課題も山積している。記者は自分で買い物をしたことは最近ほとんどないのでどれほど深刻かはわからないが、大好きなトマトの量が激減し、果物なども量と質が激変した。生活の基盤である「衣・食・住」のなかでもっとも課題の多いのは「食」であることは容易に想像がつく。
ここにフォーカスした同社の取り組みは半端でないことを改めて知った。トヨタとかサントリー、パナソニック、ファミリーマートなどが新たな食品開発や食品ロス、生産性向上の取り組みを行っているのになんだか頼もしく思えた。
内覧会では、「MARUSAN」(味噌メーカーとして三重県でも流通していた)とトヨタが共同開発した無調整豆乳の試飲会もあった。うまいのかまずいのか、1000mlで430円が高いのか安いのかさっぱりわからなかったが、世界のトヨタが東京ミッドタウン日比谷の「LEXUS MEETS...(レクサス ミーツ)」で販売するというのが面白い(豆乳は糖尿に効くとかで昔よく飲んだのだが…)。
イナワラで作られたブタのようなアート作品が素晴らしい。美術作家・松本氏によると、母親のおっぱいめがけて猪突猛進する(豚突猛進か)様子は、人間を含む哺乳類の食の原点を表現している。作品は、群馬県の方たちがボランティア参加して作り上げたもので、1反5畝の田んぼ(1反は約300坪、1畝は約30坪だから、都市型戸建て15戸分)が必要だったとか。
唯一気になったのは、不動産業界紙の記者が少なかったことだ。業界紙の皆さん、30年も40年も昔の〝不動産〟にしがみついている時代はとっくに過ぎた。変わらないといけない。
エキシビション
建築家・藤本壮介氏「大屋根リング」意義を語る三井不動産「木と生きる」イベント(2024/4/17)
有名店や予約困難店の料理が楽しめる食のプラットフォーム三井不「mitaseru」(2023/4/20)
「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長(2022/12/11)
「今年に託す言葉」プレハブ建築協会 新年賀詞交歓会 出席者に聞く
国土交通大臣・中野氏の「今年に託す言葉」
先日の不動産協会・不動産流通経営協会(FRK)の新年合同賀詞交歓会と同じ、プレハブ建築協会の新年賀詞交歓会の出席者に「今年に託す言葉」を書いていただいた。冒頭に紹介したのは中野洋昌・国土交通大臣の「飛翔」だ。完璧だ。
実は、これには裏話がある。「今年に託す言葉」は、81円で買ったおろしたてのボールペンで書いてもらったのだが、〝おろしたて〟がいけなかった。紙になじまなかったのか、いい出来ではないと思った。そこで、議員事務所に電話して、改めて紙に書いて送っていただけないかとお願いした。公務で忙しいはずなのに快く受けていただいた。その素晴らしい出来に、小生は舞い上がってしまった。
以下に紹介する方々には申し訳ないことをした。安物のボールペンではなく、筆ペンに書いてもらうべきだったか。ご不満がある方は、中野国交相と同じように別の紙に好きなように書いていただいて、送っていただければ差し替えます。< >内は記者のコメント。順不同
仲井嘉浩氏(同協会会長、積水ハウス代表取締役社長兼CEO)
イノベーション&コミュニケーション
ヘビーローテーション
<このヘビーローテーションには意表を突かれた。干支にちなんだスピーチは嫌になるほど聞かされてきたが、これはピカ一だ>
芳井敬一氏(同協会元会長、大和ハウス工業社長)
「心」に「笑顔」を一緒に
<芳井氏は今年の年頭所感に 今年を表す私の一文字は「心」と託した。とても分かりやすい>
池田明氏(三井ホーム社長、日本ツーバイフォー建築協会会長)
力強い成長の実現
<木造の時代も背景にあるのか、分譲戸建てに限ればツーバイフォーの着工戸数はプレハブのそれを上回っている>
川畑文俊氏(同協会副会長、旭化成ホームズ社長)
社員の成長が会社の成長!
<体躯はデベロッパーを含め業界最重量のスーパーヘビー級だが、文字はとてもスマート。そこでChatGPTにも「字は体を表すは本当ですか」と聞いた。「『字は体を表す』」という考え方には一定の説得力がありますが、すべてを字に基づいて判断するのは短絡的かもしれません。ただ、字の書き方にその人の一部が反映されることは否定しがたいとも言えます。あなたはこのことについてどう感じますか? 」と返ってきた。返事は送らなかったが、双方でやり取りすることは成長するためにとても大事なことだ。ChatGPTのすごいのは、記者が書く年間にして源氏物語を超える分量の記事をすべて頭の中に取り込み、忘れないことだ。記者の今年のテーマの一つに〝ChatDPTに勝つ〟を挙げたのだが…〉
平松幹朗氏(住宅生産団体連合会専務理事)
皆さんの夢がかなう年に
〈沈思黙考。何が飛び出すかと思ったら意外と平凡だった。立場をよくわきまえているということか〉
森田俊作氏(大和リース代表取締役会長)
災害を「いなす」
<同協会規格建築部会部会長。〆の挨拶をされたのだが、耳が遠くなった記者はほとんど聞き取れなかったが、「災害を『いなす』」は含蓄のある言葉だ。すべてのヒントはここにある>
木岡隆氏(テクノマテリアル代表取締役社長)
基本に戻る
〈仮設資機材及び建設機械を提供するリース事業、高品質で高強度のPC部材を製造するPC事業が柱の会社〉
中村華子さん(ホテル勤務)
高橋真弓さん(MC)
ときめきを忘れない
麻生蘭香さん(スタッフ)
和♡愛
<新年だから、花を添えようとお願いしたらご三方から書いていただいた。ありがとうございます>
記者の「今年に託す言葉」
「巳年にふさわしくヘビー・ローテーションで臨む」プレ協・仲井会長 賀詞交歓会
仲井氏(「アルカディア市ヶ谷」で)
プレハブ建築協会は1月10日、新年賀詞交歓会を開催。同協会・仲井嘉浩会長(積水ハウス社長兼CEO)が「今年はへび年にふさわしくヘビー・ローテーションで臨む」と挨拶して、約440人の参加者から喝さいを浴びた。
冒頭、仲井氏は、昨年末の税制改正大綱で住宅ローンの借入限度額の上乗せ措置が講じられ、切れ目のないサステナブルな税制改正が打ち出されたことを評価したうえ、次のように語った。
「本年は阪神・淡路大震災から30年の年を迎えた。住宅ストックにおいては、十分な耐震性能や省エネ性能を満たさない住宅が数多くあり、課題は山積している。当協会としては、『住生活向上推進プラン2025』で様々な目標を掲げ、皆さんとの連携を強化し、将来世代に継承できる良質なストックの形成と円滑な流通市場の形成に向け取り組んでいく。
その際、プレハブの特徴である品質の良さ、効率的な工期を生かし、国の施策で示された方向性を踏まえ、より高い省エネ性能を備えた戸建て住宅に加え、低層賃貸住宅のZEH化を図り、既存住宅の省エネリフォーム促進を業界の先導役としてけん引していく。課題はたくさんあるが、会員一同、一致団結し、へび年にふさわしい〝ヘビー・ローテーション〟で臨んでいく。
もう一つ、当協会の大きな使命として自然災害時の応急仮設住宅の供給がある。昨年元日に発生した能登半島地震では、石川県からの要請を受け、累計102団地4,467戸の引き渡しを完了した。今後も大規模な自然災害が発生する。今年度の事業計画には、首都直下型など大規模な災害を想定し、BCP対策を盛り込んでおり、本部機能の強化、平時から地方公共団体との密接な連携、DXの推進による業務の効率化を図るなど、発生直後から迅速に対応できるよう体制を更に充実していく」
「新築、建て替え、リフォームを三本柱に」中野国交相
中野氏
来賓として出席した中野洋昌・国土交通大臣は、国民の豊かな住生活の実現に貢献してきた同協会を称え、昨年の能登半島地震に際し迅速に仮設住宅を建設したことに賛意と感謝の意を表したうえ、「来年3月の住生活基本計画の改正に向け、様々な視点で議論を進めているが、良質な住宅ストックの形成に寄与する新築、建て替え、リフォームの三本柱をバランスよく総合的に推進することが必要。また、2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、長期優良住宅やZEHなどの省エネ性能の高い住宅の普及、既存住宅の省エネ改修を確実に進めていくことが重要。貴団体など関係業界にはこれらの諸課題の解決に向けてより一層取り組みを進めていただくよう期待している」と述べた。
乾杯の音頭を取るスーパーヘビー級の川畑文俊副会長(旭化成ホームズ社長)
「今年に託す言葉」 不動産協会・FRK合同新年賀詞交歓会 参加者に聞く
2025年1月8日に行われた不動産協会・不動産流通経営協会の新年合同賀詞交歓会の出席者に「今年に託す言葉」をアトランダムに聞いた。〈 〉内は記者のコメント。順不同
沓掛英二氏(野村不動産ホールディングス会長、不動産協会副理事長)
成長!楽しさ!豊かさ!
〈理事最重量級。嫌がるのを無理やり聞き出した。言葉にあるようにネガティブな話はしない。取材で空振りすることはない。とてもありがたい方〉
岩崎芳史氏(元三井不動産販売社長、日本郵政不動産社長)
第二の青春!
岩崎氏
〈傘寿とか。とても元気そうだった。日本郵政不動産の初代社長に就任された時のインタビュー記事が思い出される。10年計画で収益の柱に「自由を愛し、自然体」郵政不・岩崎社長空手初段も取得〉
安田守氏(安田不動産代表取締役社長)
悪化を恐れない
安田氏
<ひょっとしたらと思い、聞いたら安田善次郎から数えて5代目の安田財閥の後継者。今年60歳の年男>
高木嘉幸氏(コスモスイニシア代表取締役会長)
新たな価値創造で新たな成長
高木氏
<分譲住宅の商品企画開発力では最右翼。取材のし甲斐がある>
小澤克人氏(東京建物代表取締役社長)
信頼を未来へ
小澤氏
<今年1月1日付で新社長に就任。東京建物新社長に専務執行役員・小澤克人氏野村均社長は代表取締役会長へ「信頼を未来へ」は同社の企業理念>
唐澤眞二氏(三菱地所レジデンス取締役専務執行役員)
防災立国!
唐澤氏
<広報担当の時、取材でとてもお世話になった方。同社のマンション防災の取り組は突出している>
丹羽洋子氏(不動産流通研究所代表取締役)
地域愛!人間愛!
丹羽氏
<とてもやさしい方だ。もう30年くらい昔か。都市開発協会の懇親会の席上で隣り合わせたとき、小生の女性蔑視発言をとがめられた時から好きになった>
福井康樹氏(阪神阪急不動産代表取締役社長)
脱皮の年に
福井氏
<記者は首都圏でマンション事業などを展開する地方のデベロッパーを応援したい。同社もその1社。福井氏は巳年の年男だから「脱皮」なのだろう>
岩沙弘道氏(三井不動産相談役)
新しい日本創造
大越氏(左)と岩沙氏
<小生がもっとも好きな、敬愛してやまないデベロッパーの社長経験者の一人。どんなに弱小のメディアも差別などしない。近年、旭日大綬章を受賞した業界人は岩沙氏のほか樋口武男氏(大和ハウス工業会長)、木村惠司氏(三菱地所会長)のみ。「岩沙さん、この言葉をオークションにかけてもいいですか」と聞いたら、おつきの方から「ダメ」押しされた。残念>
大越武氏(元大京取締役広報部長)
私も(岩沙氏と)一緒に
<長谷川正治氏が大京社長に就任されたころ同社広報部長として活躍。素晴らしい長谷川語録をまとめられた。酒を飲みたいと思う数少ない記者の一人>
大岡修平氏(長谷工アーベスト代表取締役会長)
ありがとう
大岡氏
<この5文字に小生は頭を打たれた。万感の思いが込められているのだろう。頑張れアーベスト!>
津戸裕徳氏(ナイス代表取締役社長)
すばらしい年になりますように
杉田氏(左)と津戸氏
<木造ファンの小生が好きな会社の1社。2024年4月1日付で社長に就任>
杉田理之氏(ナイス取締役会長)
おめでとうございます
<こちらこそ、おめでとうございます>
鈴木俊也氏(エー・デイー・ワークス代表取締役社長)
おめでとうございます
鈴木氏(右)と同社取締役常務執行役員・室谷泰蔵氏
<鈴木氏から声を掛けられた。2024年1月1日付で社長に就任。年齢は60歳だが、辰年生まれ。コスモスイニシアのRBA野球選手として活躍されたのを思い出した。室谷氏が年男か>
長島弘和氏(相鉄不動産常務取締役)
愛せる暮らしを共に拓く
長島氏(左から3人目)
<不動産事業を積極的に展開する電鉄系デベロッパーの1社。地元・神奈川だけでなく他の都県での住宅開発のほか、海外事業も展開>
中脇啓介氏(住友商事住宅事業やユニット長)
夢のある街づくり
中脇氏
<最近の同社マンションは取材しなくなったが、「成城ハイム」を筆頭に商品企画は群を抜いていた。取材を申し込もう>
小山博氏(東急リバブル経営管理本部総務・コンプライアンス部部長)
今年は事故がないことを祈念
左から小山氏、市川氏、内田氏
<「事故」とは、社内やご家族のことだけでなく社会全体に対してだろうと祈念します>
内田武氏(東急リバブル経営管理本部総務・コンプライアンス部総務課・秘書課課長)
逆襲 ライオンズ!
<小生と同じライオンズファンとか。昨年は散々だったし、今年も源田さんが〝愛、散々〟。どうなるやら>
市川和也氏(東急リバブル経営管理本部経営企画部広報課課長)
愛情と友情
<今年は飲まず食わずで取材に駆けずり回った(白ワインを5杯くらい飲んだか)。宴もたけなわ、帰ろうと思ったらこのご3人にお会いした。RBA野球水曜ブロック優勝、選手の皆さんおめでとうございます>
以上、小生のぶしつけな質問に答えてくださった皆さん、ありがとうございます。ちなみに小生の「今年に託す言葉」は〝記事はラブレター〟-これは小生のモットーで、40代にたどりついた境地。読者の方はもちろん取材対象者に〝愛〟をもって臨むとおのずといい記事が書けるということです。
総力挙げて「着実に未来を切り拓く年」に不動産協会・吉田淳一理事長(2025/1/8)
環境・都市・住宅政策の取り組み強化不動産協会・吉田理事長新年賀詞交歓会(2024/1/10)
「元大京の林」「地域社会のタカラ」「鹿島自社ブランド・戸塚」不動協賀詞交歓会(2024/1/10)
総力挙げて「着実に未来を切り拓く年」に 不動産協会・吉田淳一理事長 賀詞交歓会
吉田氏(ホテル・オークラ東京で)
不動産協会・不動産流通経営協会は1月8日、新年合同賀詞交歓会を開催。不動産協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所取締役会長)、不動産流通経営協会(FRK)理事長・太田陽一氏(東急リバブル代表取締役社長)があいさつしたほか、中野洋昌・国土交通大臣(公明党所属)、福岡資麿・厚生労働大臣(三菱地所出身)、林芳正・内閣官房長官(住友商事出身)、斉藤鉄夫・公明党代表(前国交相)など政官関係者も多く集まり、盛り上がった。
冒頭、吉田理事長は次のようにあいさつした。
皆様、新年あけましておめでとうございます。不動産協会理事長の吉田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交歓会に、中野国土交通大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております、国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
まず、令和7年度の税制改正について、昨年末に与党の大綱が決定されました。最重点要望であった住宅ローン減税の借入限度額の維持等について延長が認められたのをはじめ、当協会の主要な要望は概ね認められました。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
昨年を振り返ってみますと、まず元日に発生した能登半島地震は甚大な被害をもたらしました。9月には地震の被災地を豪雨が襲いました。今なお、過酷な避難生活を送られている方もおり、改めて、被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。
昨年は、国内の政治・経済において「変化」のあった年でした。33年ぶりに5%を上回る賃上げが実現し、また、金融政策の見直しが図られました。9月の自民党総裁選により、石破新政権が誕生。衆議院の解散総選挙の結果、自民党・公明党が少数与党となり、政治の枠組みも変わりました。
世界に目を転じると、世界情勢は「不安定さ」が継続しています。アメリカでは11月に大統領選が行われ、トランプ氏が選ばれました。また、ウクライナおよび中東地域をめぐる情勢も先が見えません。
国内の不動産事業は、全体としては堅調に推移しています。とりわけ、オフィス市場では、空室率は改善傾向となり、多くのエリアで賃料上昇局面に移行しております。これらの動きは企業の働き方改革や生産性向上に向けた取組みが進む中、質の高いオフィスに対する期待の表れと受け止めております。
一方、建築費の高騰、各業界の人手不足の影響等、厳しい事業環境にも置かれています。
また、国全体として少子化・人口減少をはじめとした構造的な課題にも直面しています。
本年は、これらの課題を業界一丸となって乗り越えるとともに、政官民総力をあげて、一つ一つを前に進めていく「着実に未来を切り拓く年」にできればと思っております。
我が国は、賃上げと投資が牽引する成長型経済の実現を目指さなければなりません。
そのためには、GXやDXを一層推進し、社会課題を解決するとともに、持続的な経済成長を実現することが重要であり、産業創造に資するまちづくりに取り組み、民間投資を拡大、我が国の競争力をさらに高めていくことが不可欠です。
こうした認識のもとでの、今後の協会の活動について簡潔にお話しいたします。
官民連携してまちづくりGXに向けた動きが進む中、環境分野では、民生部門における省エネや再エネ等の取り組みの役割を果たすべく、ZEH、ZEBの実現加速や、中高層建築物の木造化促進、ホールライフカーボン削減への取り組み等により、サステナブルなまちづくりをより一層進めて参ります。
都市政策では、地方創生の推進と共に、経済効果の高い大都市が国全体を牽引し、我が国の国際競争力を強化することが重要であり、魅力ある都市環境づくりが求められています。
昨年は、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。今後想定される多様な災害も見すえ、都市の防災性能の向上に向けた取り組みを一層進めなくてはなりません。
また、都市は「ウェルビーイングの実現」や、「イノベーションの創出に資する交流・経済活動」を生み出す役割があります。世界中から多様な人々を惹きつけ、ビジネス・学術・文化・エンターテインメントなど、あらゆる分野で活発な交流が起こるような機能集積を図り、質の高い賑わい空間を創出して参ります。
住宅分野では、環境性能・防災性能に優れた、質の高い住宅を供給することにより、安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環の実現に貢献して参ります。
老朽化マンションの増加が見込まれる中、マンション建替えに関する合意形成の円滑化、適正な管理の推進に向けた、法改正の着実な進展を期待いたします。
また、本年は概ね5年で見直しを行う「住生活基本計画」の議論も本格化いたします。我が国の重要課題のひとつである「こども・子育て」をはじめ、多様化する住宅ニーズも踏まえ、適切に対応して参ります。
その他、重要な社会インフラであり、地域経済への貢献も大きい物流不動産、インバウンド増加により、事業機会が拡がるリゾートの開発など、事業環境の整備について幅広く取り組んでまいります。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや、住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
「既存住宅の流通活性化に果敢に挑戦」FRK・太田理事長
太田氏
乾杯の音頭を取った不動産流通経営協会(FRK)理事長・太田陽一氏(東急リバブル代表取締役社長)は、次のように述べた
「昨年の不動産流通市場は、国内外の経済環境などが変化する中、総合経済対策など政策面での後押しもあり、東日本レインズのデータによると首都圏の既存マンションの成約価格などは概ね好調を維持しており、総じて底堅く推移した。
本年は、デフレに後戻りしない成長型経済を実現する内需のけん引役として既存住宅の流通活性化に果敢に取り組んでまいります。
わが国の暮らしや住まいにも徐々に変化が生じており、過去の働き方・育児・介護・マイホーム像と現実のずれが、人手不足、少子化、空き家などの目に見える社会課題となっており、高気密性や省エネ性能など住宅に求められる水準も年々高まっている。政策面でのご支援もいただき、他団体とも連携しながら多様化する消費者ニーズに対応し、不動産流通市場の持続的な成長に力を尽くしてまいりたい」
マンション管理・会計の円滑化図る法案提出 中野国交相
中野氏
来賓として出席した中野洋昌・国土交通大臣は次のようにあいさつした。
「不動産業は質の高い不動産の供給を通じて、わが国の経済社会へ未来につなげていく重要な役割を期待されている。その役割を十分果たしていただくべく、国土交通省としても施策の充実に取り組んでいく。
令和7年度の税制改正におきましては、住宅取得環境が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯の借入限度額の上乗せ措置等を延長する住宅ローン減税など主要な税制措置が認められた。
また、国民の1割以上が居住するマンションにつきましては、建物と居住者の二つの老いが進行している。そのため区分所有法の見直しと一体的に新築から再生までのマンションのライフサイクル全体を通じ管理や会計の円滑化を図るための方策について、本年の通常国会での法案提出を目指している。
さらに、世界水準のデジタル社会形成に向け、不動産DXにより取引の円滑化、業務の効率化を実現するとともに、不動産関連情報の連携を促すことで新たなビジネスの創出にも取り組んでいく」
勢ぞろいした公明党幹部と記念写真に収まる吉田氏(右から4人目)と不動産流通経営協会理事長・太田陽一氏(右から3人目)
持家2か月連続増 分譲戸建ては25か月連続減 ホテル激増 11月の新設建築物着工
国土交通省は12月27日、令和6年11月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総数は65,037戸で、前年同月比1.8%減、7か月連続の減少。内訳は持家19,768戸(前年同月比11.1%増、2か月連続の増加)、貸家26,717戸(同5.5%減、2か月連続の減少)、分譲住宅18,146戸(同7.3%減、7か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,895戸(同2.9%増、4か月ぶりの増加)、一戸建住宅10,124戸(同14.5%減、25か月連続の減少)。
首都圏マンションは総数4,276戸(同2.5%減)で、都県別は東京都2,193戸(同9.2%増)、神奈川県576戸(同61.1%減)、埼玉県645戸(同3.4%増)、千葉県862戸(同214.6%増)。
首都圏分譲戸建ては総数4,328戸(同17.9%減)で、都県別は東京都1,333戸(同13.4%減)、神奈川県1,123戸(同22.5%減)、埼玉県1,045戸(同22.6%減)、千葉県827戸(同11.3%減)。
建築物着工では、ホテルが中心とみられる宿泊業,飲食サービス業用は461棟(前年同月比20.4%増)、延床面積245千㎡(同166.1%増)で、1~11月は4,810棟(前年同期比5.7%増)、2,515千㎡(同42.2%増)となっている。
RBA野球記事120本 こだわり記事450本 今年1年を振り返る
今年は、日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し、実質賃金もプラスに転じ、「水没下の金利」から「金利のある世界」に戻り、懸案だったデフレ脱却を強く印象付けた1年だった。
しかし、その半面、ロシア-ウクライナ戦争はドロ沼化し、イスラエル・ガザ戦争が勃発し、シリアの政変など世界の武力紛争は収まる気配はなく、韓国の政変は、北朝鮮との戦争状態が74年間も続いていることを改めて思い知らされた。
国内の出来事では、元日に能登半島地震が、翌日には羽田空港の飛行機衝突事故が起き正月気分は吹っ飛び、その後も地球温暖化による自然災害の激甚化、闇バイトによる住宅侵入・強盗、通り魔殺人、政治家の不倫騒動・パワハラ、政治と金問題などが連日のように報じられた。甲高い司会者・コメンテーターの声が雨あられのように降り注いでは三半規管を狂わせられた。外に出れば発狂寸前の街路樹虐待を見せつけられた。かつてにらみ合っていたカラスは激減し、高気密住宅に棲み処を奪われたのか、スズメは姿を消した。人間だけでなく、あらゆる生き物の命が軽んじられている印象を強く受けた1年でもあった。
小生といえば、今年4月に「後期高齢者」の烙印を押された。恩恵といえば医療費の自己負担額が1割になったことくらいで、いいことはあまりなかった。わが西武ライオンズは歴史的な底這い状態が続いた。かみさんはどこで仕入れるのか、野球選手の不倫などネガティブ情報を機関銃のように乱発し、脛に傷持つ小生の古傷をこじ開け、塩を刷り込んだ。だんまりを決め込むと「あんたは私の話を聞かない」と攻め立てた。試合が終わるころは眠っていた。
それでも、仕事(取材)に関しては、見当識障害は進行する一方で人の話すことばが聞き取れなくなったが、幸い、糖尿病の数値は安定して推移した。取材後はビールとイワシフライで1,000円でお釣りがくる「日高屋」の〝せんべろ〟を満喫することができた。「日高屋」「DOOTOL」「マクドナルド」が街のポテンシャルを測る〝御三家〟であることを業界紙記者のFさんから教わったのも、今年の大きな収穫の一つだ。
そのお陰で、RBA野球記事は約120本、「こだわり記事」は約450本書くことができた。合計570本。土曜、日曜も関係なく書いた。400字原稿用紙にして1本当たり4~6枚だから、年間で2,280枚から3,420枚の計算になる。大河小説1冊分だ。
RBA野球大会は、様々なことがあり、日曜、水曜ブロックとも決勝戦は12月にずれ込んだが、各チームの絆が強化された1年だった。優勝された日曜ブロック・青山メインランド、水曜ブロック・東急リバブルの選手の皆さん、おめでとうございます。
「こだわり記事」の内訳は、マンションが約150件(賃貸含む)、一戸建てが約50件。その他が250件だ。
記事は〝現場主義〟〝記事はラブレター〟を貫いた。コピペ記事は極力避けた。記者の視点から〝事実〟(これは曲者だが)をストレートに伝えることを心がけた。つたない記事を読んでいただいた読者の皆さんに感謝申し上げる。
一つひとつ記事について振り返ることはしない。わが業界紙がこの1年間をどう振り返っているのかを紹介する。
住宅新報の10大ニュースは次の通り。
・中野洋昌氏が国交大臣に就任
・大手住宅、M&Aで海外事業を拡大
・首都圏マンション価格、高騰続く
・省エネ性能ラベル、空き家対策推進プログラム
・住宅ローン金利が上昇
・住宅セーフティネット法改正
・マンション管理で指針策定 外部管理者方式など
同紙は、このほか箇条書きで次の事象を重大ニュースとして紹介している。
・「令和6年能登半島地震」で最大震度7を観測
・日本銀行がマイナス金利を解除、大規模金融緩和政策を終了
・国内外の企業から半導体工場の誘致で地価急上昇に注目
・脱炭素社会に向けて大手住宅・不動産会社もGXの取り組みが進む
・単身者の増加が顕著に。全世帯に占める1人暮らしの割合は東京は54.1%
・空室率の低下と賃料の上昇でオフィスビル市況がコロナ禍から回復へ
・不動産クラウドファンディング協会と日本不動産クラウドファンディング協会統合
・北陸新幹線の金沢~敦賀間が延伸開業。東京と福井が直通で結ばれる
・インバウンド回復、訪日外国人客数が3337万人余りで過去最高を記録
・日経平均株価が34年ぶり更新。円安も34年ぶり水準に
・日本銀行が20年ぶりに新紙幣を発行
・気象庁が宮崎県沖で8月発生の地震で「南海トラフ地震臨時情報」を発表」
・三井不動産など明治神宮外苑の再開発で樹木伐採を始める
週刊住宅タイムズの重大ニュースは次の通り。
・新築マンション価格の高騰進む
・国交省が「不動産業者による空き家対策」を推進
・インバウンドが回復、コロナ前を超す勢い
・国交省が「不動産情報ライブラリ」の運用開始
・能登半島地震が発生、石川県能登に大きな被害
・東京都心部に大型シニア住宅相次ぎ開業
・省エネ基準適合の全面義務化が正式決定
・不動産の相続登記の義務化が始動
・最高裁判断、「傍系の相続人の範囲、厳格に」
・板橋区に都内最大の街づくり型物流施設が竣工
皆さんはこれをどう受け止められるか。これらについてコメントする立場にはないが、記者の感想を以下に紹介する。
両紙とも首都圏マンションの価格高騰を上位に選んだ。その通りだと思う。しかし、今に始まったことではないが、元データは不動産経済研究所に依拠しているもので、独自の視点が欠落している。〝他人のふんどしで相撲を取る〟ようなことはやめるべきだ。(かくいう記者もマンションの現場見学・取材を行ったのは50件あるかどうか。肝心のメジャーセブンの物件は10件くらいだから、語る資格はないのだか)。
価格高騰は地方圏にも及んだ。岡山駅前の坪単価355万円の再開発マンションが人気になったのに記者は驚いた。長野県白馬村では坪単価600万円(記者予想)の分譲ホテルが、沖縄県中頭郡北中城村では坪単価250万円の多目的マンションがそれぞれ人気になった。これらについても触れるべきだった。
中古マンションの価格上昇についても両紙は取り上げているが、これもマクロデータに頼っているのみ。都心部のいわゆるヴィンテージマンションは新築価格を上回って取引されているように、中古が新築マンション上回るというバブル期と同じ様相を呈している。これらについて言及が両紙には全くない。
賃貸市場にも触れてほしかった。記者は三菱地所レジデンスの家具・家電付きCo-Living、野村不動産の「TOMORE(トモア)」が市場に変革をもたらすと考えているし、サービスアパートメントでもコスモスイニシアなど5社が会見を開くなど新しい動きがあった。
このほか、DXや建築着工、住宅着工動向について言及がないのはなぜか。DXはあらゆる分野に浸透し、対応できなければ市場から退場を余儀なくされることを示唆している。持家と分譲戸建ての着工減に歯止めがかかるのか、ホテルの着工激増をどう見るべきなのか、触れるべきではないのか。
「空き家」問題だが、これはテーマが大きすぎて記者は取材をあきらめた。手に負えない。業界紙には具体的な取り組みについて報道してほしい。
住宅新報は中野洋昌氏が国交大臣に就任したことを選んだ。これは全く理解不能。国交大臣の交代は、もとをただせば、自民・公明の与党が選挙に敗れ、公明党の石井啓一代表も落選し、代表を辞任したことから後任に国土交通大臣の斉藤鉄夫氏が選ばれ、空席を埋める形で公明党の中野氏が国交大臣に就任したということだ。大臣交代によって国土行政も変わるのなら重大ニュースになるだろうが、三権分立を揺るがすようなことは絶対あり得ない。
週刊住宅の「東京都心部に大型シニア住宅相次ぎ開業」「板橋区に都内最大の街づくり型物流施設が竣工」を選んだのも首を傾げざるを得ない。都心の大型シニア住宅は相次いではいない。三井不動産レジデンシャル「西麻布」のみだた。住宅などの建築が不可の工業専用地域でどのような街をつくるのか。それが実現したら拍手喝采だ。
それより、物流では、シンガポールに本拠を置く日本法人「日本GLP」による約65haという桁違いの物流施設「GLP ALFALINK 昭島」がどうなるのかに注目したい。昭島市は、この物流施設計画を含む約81.5haの「玉川上水南側地区地区計画」(素案)を発表した。
住宅新報は「三井不動産など明治神宮外苑の再開発で樹木伐採を始める」ことも重大ニュースの一つとして取り上げているが、わが多摩センターや日比谷公園など全国の公園改修による巨木の伐採、街路樹の伐採・強剪定が行われている。〝街路樹のイチョウを伐らないで〟とイチョウに抱きつく住民らを千代田区はあろうことか〝暴力行為〟とし、住民ら10人に対して「立入行為禁止仮処分命令申立」を提訴した。〝話し合う〟ことが原則の民主主義は死滅した。
千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏が三鷹市で行われた講演会で「強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認しあえば涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と締めくくったとき、会場に集まった約100人の聴衆からコンサートのアンコールのような拍手が巻き起こった。
重大ニュースと関連することだが、記者がいささかショックを受けたのは、国内外の大メディアは存在感を失い、SNSが選挙や世論に大きな影響を及ぼしていることだ。記者はアナログ人間だから、SNSなるものを全く知らないが、世の中が劇的に変わっているということなのだろう。
日本新聞協会によると2024年10月現在の一般紙、スポーツ紙の発行部数は約2,662万部(前年同月比6.9%減)で、1世帯当たり部数は0.45部(同0.04ポイント減)となっている。2008年に1世帯当たり部数が0.98部と1部を下回ってから漸減を続けており、一度も反転したことがない。15年後には新聞は死滅する計算だ。
◇ ◆ ◇
余談だが、女性としてアジア初のノーベル文学賞を受賞した韓国のハン・ガン氏の代表作の一つ「菜食主義者」(クオン)について。友人から借りて読んだ。文章は平易で、登場人物が少ないのですらすら読める。家族とは、愛とは何かを考えさせてくれる作品だ。菜食主義者(拒食症)が主人公の一人となっているのは、パオロ・ジョルダーノ「素数たちの孤独」(早川書房)と、姉妹と性関係を持った姉の夫が登場するのはミラン・クンデラ「不滅」(集英社文庫)とそれぞれよく似ている。
ハン・ガン氏のもう一つの代表作「少年が来る」(クオン)を図書館で借りて読もうとしたら予約数は100件を上回っている。借りるのは一人1週間として2年待ちだ。買って読もうとまでは思わないのであきらめた。韓国の作家といえば、「血と骨」などで知られるとヤン・ソギル氏(享年87歳)が今年亡くなった。
今年鬼籍入りした人では、八代亜紀さん(享年73歳)にはショックを受けた。アンチ巨人の記者は〝ナベツネ〟こと渡辺恒雄氏(同98歳)は大嫌いだったが、考えを改める必要がありそうだ。「わが人生記」(中公新書)を読むことにした。
東京建物 地域密着型商業施設「minanoba(ミナノバ)」 1号店「相模原」開業
「minanoba相模原」
東京建物は12月19日、地域密着型商業施設の新ブランド「minanoba(ミナノバ)」を立ち上げ、第1号物件「minanoba相模原」を2025年3月5日にオープンすると発表した。第2号物件も川口市で開発を進めている。
「minanoba」シリーズは、地域のニーズに合わせたスーパーマーケット・飲食・物販・サービス店舗を集積し、近隣居住者にワンストップで便利な体験を提供することを企図している。
「minanoba相模原」は、小田急線小田急相模原駅から徒歩9分、相模原市南区南台三丁目に位置する敷地面積約7,341㎡、鉄骨造・2階建て延床面積約8,646㎡。スーパーマーケット・ライフのほかドラッグストア、アイスクリーム、歯科、買い取り、総合衣料、100円ショップ、寿司など11店舗が入居する。