2030年の家具はサーキュラー デザイン(CD)が標準に 三井デザインテック セミナー
左から三上氏、田中氏、堀内氏(椅子などはCD家具)
三井デザインテックは12月3日、恒例の「プレスセミナー&懇親会」をジョサイア・コンドルが設計した大正2年建設の迎賓館「綱町三井倶楽部」で開催した。セミナーで「家具の買取再販は2030年にはサーキュラー デザイン(Circular Design)のスタンダードになる」と聞いたのにいささかショックを受けた。わが国の家具製造業市場は2兆数千億円のようだが、その市場は激変するということだ。
セミナーの冒頭、今年4月に同社代表取締役社長に就任した村元祐介氏はこれまでオフィス事業と住宅事業領域でそれぞれ半分ずつ携わってきたことを紹介し、「社長に就任して8か月、三井不動産グループの中でとても個性的な会社であることを改めて感じている。当社は空間創造を手掛ける会社ではあるが、意匠性だけでなく、ものごとを根本的に捉えなおすことをデザインの対象にしており、これまで幅広い領域で培った知見や実績を掛け合わせた、事業領域を超えたクロスオーバーデザインを強みに、今後とも豊かな暮らしと魅力ある社会づくりに貢献していくい」とあいさつした。
同社フェロー・見月伸一氏は、最近同社が手掛けた主な作品20事例くらいを紹介した(このうち小生が取材見学したのは「HARUMI LLAG」「東京ドーム」「ららアリーナ 東京ベイ」くらいしかない)。
今回のセミナーのテーマは「三井デザインテックの考えるサーキュラーデザインの現在と未来」で、資源循環コンサルティングなどの取り組みで実績のあるモノファクトリー常務取締役・三上勇介氏をゲストに迎え、同社クリエイティブデザインセンター長・堀内健人氏と同社デザインディレクター/グループ長・田中映子氏がトークセッションを行った。
3氏は、わが国のサーキュラーデザイン(CD)の取り組みは欧州と比べ遅れており、脱炭素社会を実現するためには法整備を含め官民が一体となり、資源⇒素材建材⇒政策施工⇒利用⇒解体回収⇒再資源化の循環を推進すべきとした。
同社は、3年半前からCDのプロトタイプ家具の実証実験を行っており、「MINI BAR」「NICHI TABLE」「BENCH SOFA」「BENCH」「CHAIR」などを開発した。
これらの成果を踏まえ、同社は「サーキュラーデザイン構想」としてまとめ、⓪ロングライフ①CO2削減量の見える化②循環がしやすい③分解がしやすい④再利用材(再生可能)⑤認証材/推奨材⑥国産材/国内製作⑦製品製材トレーサビリティ-の「8つのポイント」を挙げている。
同社は2026年度内にCDインテリアサービスを開始し、2030年度には家具の買取再販がスタンダート゜になるとしている。開発されたプロトタイプ家具も展示された。
村元氏(左)と見月氏
全て本革製の「CHAIR」(左)とプラスチック由来の「BENCH SOFA」
このカウンターはジーンズ素材だそうだ
◇ ◆ ◇
小生は、年に1回のこの同社のセミナー&懇親会を楽しみにしている。何が楽しみかといえば、何といっても〝記者〟というだけでジョサイア・コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」にただで入れることだ。ロダンの彫塑、ターナー、ト一マス・ローレンスなどの西洋絵画や日本画、山水画などが至るところに展示されており、懇親会場はマンションの天井高の2倍はありそうな宴会場で、床は無垢材によるヘリンボーン仕上げ、細かな刺繍が施されたカーテンタッセル…これだけで金持ちになったようで、飲む前に酔うことができるからだ。
この日、供された料理の一部を紹介する。食器類はみんなブランド物に違いなく、料理そのものが美しい。記者は、いつものように白ワインを何杯もお替りし、食べ物といえば〝名物〟と言われるビーフカレーとワカサギのカルピオーネ(甘酢漬け)しか食べなかった(供されたワイン、ウイスキーなどの酒類は、この施設を日常使いされている方々が飲まれる酒とは明らかに異なる-これだけが唯一惜しまれる)。
宴もたけなわ、酒が飲めない、記事も〝甘い〟同業の記者は昨年同様、性懲りもなく意地汚くケーキをほおばっていた。勧められるままに1つ食べてみた。まろやかな甘みが口腔を満たした。ケーキが病みつきになるのも分かるような気がしたが、〝辛口記者〟の小生は絶対そのような甘い誘惑には屈しないぞと誓った。
記者の一押しの作者不詳の18世紀の絵画(50号くらいか)
カーテンターセル
供された料理の一部
同業の記者が食べていたデザート
食べ放題のデザート
コルク・食品廃棄物をオーナメントに三菱地所「サーキュラーシティ丸の内」第5弾(2024/12/8)
リサイクル部材だけの「循環する家(House to House)」 2050年に発売積水ハウス(2024/12/8)
「協創」促す機能と美の融合オフィス「出社率高まる」三井デザインテック(2024/11/3)
Well-Being叶える「クロスオーバーデザイン3.0)」発表三井デザインテック(2023/12/7)
ウッドデザイン賞2024 地方作品が上位賞独占 「木は熟した」AQ Group宮沢社長
「阿蘇くまもと空港 新旅客ターミナルビル」
日本ウッドデザイン協会(会長:隈研吾氏)の「ウッドデザイン賞2024」の上位賞が発表された。応募総数366点のなかから入賞作226点が先に発表され、最終審査を経て「社会課題の複合的な解決をもたらし、イノベーション・新産業創出に寄与する作品」 として「最優秀賞」4点、「特別賞」3点、「優秀賞」9点、「奨励賞」15点の計31点が選出された。12月4日~6日、「エコプロ2024」(東京ビッグサイト)の特設ステージで「受賞作品展示」が行われる。
ウッドデザイン賞2024審査委員長・赤池学氏は「今年で栄えある10回目の開催となったウッドデザイン賞だが…年々、応募作品のクオリティがあがり、今年も非常に高いレベルでの審査となった。上位賞作品はいずれも、生活者や街づくりの視点とウッドデザインが見事に調和したものであり、『木材を使った先にあるもの』を明確に示してくれている点が特徴的である」と講評している。
◇ ◆ ◇
記者に受賞のメールが届いたのは、三菱地所グループの「江北小路」「丸の内北口ビルディング 丸北ラウンジ」「Marunouchi Bloomway」と、三井ホームの「阿蘇くまもと空港 新旅客ターミナルビル」「パークアクシス北千束MOCXION」「学校法人Rugby School Japan」「キャンパスヴィレッジ生田」「KNOCKS ゆめが丘」「在来軸組構法用の構造製材を使用した国産杉ネイルプレートトラスの開発」「『木の空間は身体に良い』を科学的に証明する~木材を用いた空間が睡眠に与える影響について~」、野村不動産の「『森を、つなぐ』東京プロジェクト」「オウカス 世田谷仙川」「野村不動産溜池山王ビル」、AQ Groupの「純木造本社ビル」だった。
このうち、見学した作品は「江北小路」「丸北ラウンジ」「北千束」「生田」「ゆめが丘」「溜池山王」「本社ビル」の7作品で、みんな素晴らしかった。残念ながら上位賞には一つも選ばれなかったが、それだけ上位賞(一つも見ていない)は優れていたのだろう。
お金と時間があったら、この31点のうちいくつかを見学したいのだが、多分無理だろう。都内の作品は「meet tree GINZA」のみだ。ネットで調べたら化粧品とスイーツの店だった。縁がないのであきらめた。
まあ、しかし、地方発の取り組みが上位を独占するというのも面白い。記者は国土強靭化のカギは森林・林業が握っていると思うし、日本再生の、無限の可能性を秘めているような気もする。AQ Group宮沢俊哉社長の「木は熟した」の言葉を借りよう。
相鉄グループ初の木造賃貸三井ホーム最大級の「モクシオン」「ゆめが丘」に完成(2024/5/23)
「木は熟した」街並みを木造化するビルダー組織化へAQ Group新社屋は坪145万円(2024/4/22)
RCと木造の住み心地比較を東急不&三井ホーム混構造学生マンション「生田」(2024/3/27)
〝美は現しにあり〟木と鉄骨のハイブリッド実現野村不&清水建設「溜池山王ビル」(2023/11/21)
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア三菱地所ホーム「江北小路」完成(2023/9/28)
三井不動産グループ初木造4階建てカーボンゼロの賃貸「北千束MOCXION」完成(2023/9/6)
持家が35か月ぶりに増加 分譲戸建ては24か月連続の減少 10月の住宅着工
国土交通省は11月29日、令和6年10月の新設住宅着工統計をまとめ発表。総戸数は69,669戸で、前年同月比2.9%減、6か月連続して減少した。利用関係別の内訳は、持家は19,705戸(前年同月比9.0%増、35か月ぶりの増加)、貸家は29,541戸(同6.7%減、先月の増加から再びの減少)、分譲住宅は19,577戸(同9.3%減、6か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション8,837戸(同 13.1%減、3か月連続の減少)、一戸建住宅10,511戸(同7.5%減、24か月連続の減少)。
建築工法別では、プレハブは7,323戸(同13.4%減、17か月連続の減少)、ツーバイフォーは9,007戸(同0.7%増、5か月連続の増加)。
建築用途別では、宿泊業、飲食サービス業用が434棟で、延べ床面積は380千㎡(同64.3%増)となった。
首都圏マンションは4,863戸(同4.0%減)で、都県別内訳は東京都2,569戸(同33.4%増)、神奈川県1,512戸(同4.1%減)、埼玉県666戸(同26.2%減)、千葉県116戸(同82.4%減)。
首都圏一戸建ては4,719戸(同8.2%減)で、都県別内訳は東京都1,453戸(同4.0%増)、神奈川県1,278戸(同6.4%減)、埼玉県1,104戸(同17.7%減)、千葉県689戸(同32.0%減)。
全国に19人しかいない「宅建マイスター・フェロー」の一人 森下智樹氏(42)に聞く
森下氏
読者の皆さん、次の2024年1月に行われた「宅建マイスター」の試験問題を解いていただきたい。
【コンプライアンスに関する問題】
宅建マイスターTが、部下の宅地建物取引士Xから報告を受けた内容に関する次の文章を読み、下記の問題に答えなさい。
宅建業者甲社の担当者Xは、売主Aが所有する自宅マンションについて、売却希望価格4,500万円で専任媒介契約を締結した。
その後の営業活動の結果、自社が依頼を受けている購入希望者Bから4,250万円で購入申込があった。
また、その直後、宅建業者乙社の客付けで、数日前に内見をしていた購入希望者Cから4,300万円で購入申込が入った。
Bは、このマンションの購入に当たり、所有する自宅マンションを売却して、買換え資金に充当する予定である。なお、自宅マンションの売却活動はこれからであるが、甲社の営業エリア内にあり、過去に同マンション内の別住戸の専任媒介を受託し、早期に成約に至ったことのあるマンションである。
Cの購入資金は、購入申込書の記載によると現金とのことであった。
Bとの契約を成立させれば、売主、買主両方から媒介報酬が受領でき、さらにBの自宅マンションの専任媒介も得ることができることがこれまでのBとの交渉でわかっている。
乙社の客付けだとAからの媒介報酬しか得られない。
そのためXは、Aへの報告に際しては、Cから申込があったことは伏せ、自社での両手取引を成立させることを第一に商談を進めようと考えている。
この報告をXから受けた上司の宅建マイスターTは、Xの行動に対してコンプライアンス上の問題点を指摘し、商談の組み直しを具体的に指示した。
【問題】
宅建マイスターTが、担当者Xに指摘した①コンプライアンス上の問題点と、②それに基づいた具体的な商談の組み直しの指導内容を、それぞれ100字から150字程度で解答欄に記入しなさい。
◇ ◆ ◇
「宅建マイスター」とは、不動産流通促進センターが2014年にスタートさせた認定制度で、①顧客の信頼感を得る幅広い知見②広範な実務知識の深掘り③コンプライアンス意識の醸成-の3つの能力を身につけた「宅建士」を「宅建マイスター」とし、顧客利益の最大化と取引件数の拡大・収益の拡大の両方を合致させようとするものだ。
当初は、通信講座と集合研修を受講した上で、修了試験に合格した人を「宅建マイスター」と認定していたが、2017年8月から試験制度に移行した。これまで約670人が認定されている。
そして同センターは2018年、宅建マイスターに認定されてから3年以上が経過した人の活動状況などを勘案してポイント「★」を付与し、「★」3個以上を取得した人を対象に試験を実施し、審査に合格した人を「宅建マイスター・フェロー」として称えることにした。これまで「宅建マイスター・フェロー」は全国で19人認定されている。
◇ ◆ ◇
記者は、全国の宅地建物取引士(宅建士)の登録者数約118万人、証交付者約57万人(令和4年度末)のうち19人しかいない「宅建マイスター・フェロー」の一人に話を聞く僥倖に恵まれた。
宅地建物取引業の都知事免許番号(11)の永幸不動産代表取締役・森下智樹氏(42)だ。
森下氏は、立教大学大学院社会学研究科を修了後、25歳で不動産会社に入社。入社3年目で宅建士の資格)取得。不動産売買・仲介、賃貸住宅仲介、賃貸マンション管理会社勤務を経て、平成24年4月、同社で勤務を開始し、現在に至っている。
「宅建マイスター」の資格を取得したのは2017年。試験制度がスタートしたその年に一発で合格した。「受験勉強を始めたのは3か月くらい前でした。妻が宅建士に挑戦するというので一緒に勉強しました。妻もその後、無事に合格しました」
その後、2020年に「宅建マイスター・フェローの資格を取得。論文テーマは「改正民法施行後の契約不適合責任について」(記者は読みだしたが、難しすぎて途中てあきらめた)。
宅建マイスターの資格については「不動産売買と賃貸住宅仲介の両方の知識が必要ですし、消費者契約法も必須科目になります。やる気さえあれば、独学で取得することも可能です」と話した。
記者がもっとも興味がある報酬については、「売買も仲介も一般のお客さま、とくに投資家はセカンド・オピニオンとして意見を求められます。一方で、宅建マイスターの資格を取得したからといって、コンサルティング報酬規程などは現段階ではありません」とのことだ。
森下氏
同社の書棚(専門書がぎっしり詰まっていた)
森下氏が宅建マイスター取得を目指した当時の受験ノート(小さな字でびっしり埋まっていた)
◇ ◆ ◇
冒頭に戻る。「宅建マイスター」の問題を解いてみた。記者は40年くらい前、宅建試験にチャレンジしたことがある。3か月くらい勉強した。得点は33点で、合格点に2点足りなかった。宅建業法と法令上の制限は取材にも必要なのである程度は知っていたし、試験でもまずまず得点できたのだが、民放関係がぜんぜんダメだった。
宅建業法は消費者を保護するのが目的の法律だから、この問題は基本のコンプライアンスが問われている。出題者の意図はよくわかる。一方で、コンプライアンスを守らない、逸脱を誘う誘惑が満ちている売買仲介の現場が透けて見えるようだ。
記者は、XがCの購入申し込みがあることを上司に伏せるのは宅建業法上問題があると思うが、果たして何条に抵触するかはわからない。これで試験は不合格だろうが、「宅建マイスターTは、XにはA、B、Cに正直に事情を説明し、丸く収めるよう指示する(つまりBと契約するよう誘導する)」とでも解答する。
正答は次の通りだ。
① 購入価格が高く資金計画も有利なCの存在をAに伏せたままBと商談を進めることは、自社の利益を優先して売主の利益を毀損することとなり、宅建業法第31条に定める信義誠実の原則に反する行為である。また、乙社に対し事実と異なる内容で断ることは、同法第15条の公正誠実義務にも反する行為である。
② まず、Bと乙社に対し、既に別の購入希望者がいることを伝え、最終的にはAの判断になることを伝える。Aに対しては、B及びCの申込内容とそれぞれの契約条件のメリット、デメリットを説明の上、どちらの購入希望者を選択するか、Aの判断を仰ぐように指導した。
◇ ◆ ◇
皆さん、いかがか。Bと契約し、Bの自宅の売却の専任媒介を受託できれば数百万円の売り上げになるのに、Cだったら135万円だ。Xが勤務する会社の給与体系が歩合給なら、XだけでなくだれもがCの申し込みを伏せるのではないか。
それを了としない宅建マイスターはなんて倫理観が高いのだろう。だが、しかし、徹底して消費者利益を追求することが、やがてはXもその会社も社会的信頼を得て社業の発展につながるということはよくわかる。
全国の宅建士の皆さん、宅建マイスターを目指していただきたい。会社も応援すべきだし、報酬に関する規定・ガイドラインも示してほしい。
宅建マイスター過去問題集を手に取る森下氏
1人当たり売上高6.2億円 「他社には負けない」能村氏 大和ハウス環境エネルギー事業
能村氏
大和ハウス工業は11月27日、メディア向け「2024年度 環境エネルギー事業計画説明会を開催し、同社常務執行役員環境エネルギー事業本部長・能村盛隆氏が業界を取り巻く事業環境と、同社の環境エネルギー事業について説明、質疑応答にも応えた。
同社の環境エネルギー事業は、戸建て、賃貸、マンション、商業施設、事業施設とともに6セグメントの一つで、太陽光・風力・電力小売・発電・省エネ・蓄エネを中心としたエネルギーソリューション事業。能村氏は今年4月に担当役員として就任した。
業界の事業環境について能村氏は、2015年のパリ協定によって世界の常識は「低炭素」から「脱炭素」に大きく舵が切られ、わが国をはじめ世界125か国が2050年までのカーボンニュートラルを表明しており、再エネの取り組みは喫緊の課題であるが、わが国のエネルギー自給率は12.1%で、主要国でもっとも低いことを説明した。
同社の事業の柱は、「EPC(Engineering Procurement and Construction)」(設計・調達・建設)と「PPS(Power Producer and Supplier)」(特定規模電気事業者)、「IPP(Independent Power Producer)」(独立系発電事業者)の3つ。
2024年度上期の実績は、売上高629億円(前年同期比14.4%減)、営業利益71億円(同12.7%増)、営業利益率11.4%(同2.8ポイント増)となり、PPSの利益率改善効果が大きく増益となった。通期見通しは売上高1,480億円(前期比6.0%増)、営業利益100億円(同9.9%増)、営業利益率6.8%(同0.3ポイント増)。2026年度目標は売上高1,700億円、営業利益120億円(社内見込み)、営業利益率7.1%(同)。
事業別取り組みでは、再生可能エネルギー需要の高まりを背景に、「オフサイトPPA」(電力需要場所から離れた場所にPPA事業者が太陽光発電所を設置⇒発電した電気を小売電気事業者を経て送電⇒発電した電気を企業などが購入)を主力事業として強化していく。同社の強みである全国拠点を生かした土地情報収集力を武器にする。
「EPC」は、2024年9月末の累計接続検討の申し込みが1,045MWに対して、回答済みが703MWとなっている。
「PPS」は、リスク対策を講じながら、事業の安定化に取り組んでいく。2024年6月のPPS電力販売ランキングでは、電力会社やガス会社が上位を独占している中、同社は31位にランクされている。
「IPP」は、グループ全体で730MWが稼働中で、今後はオフサイトPPAによるIPP案件を拡大し、早期に1,000MWの稼働を目指す。
新規事業として、実証実験を行いながら蓄電池ビジネスに参入する。
海外では、タイでのPPA事業を皮切りにベトナム、オーストラリアなどでの事業展開を探っていく。
最後に能村氏は創業者・石橋信夫の「21世紀は『風と太陽と水』に挑戦せよ」の言葉を紹介し、「わたしが聞いたのは30数年前。卓越した声だった」と締めくくった。
◇ ◆ ◇
小生の最大の課題である「脱アルコール」と同じように「脱炭素」の取り組みはとても重要だという認識はあるのだが、これがなかなか難しい。能村氏の話もちんぷんかんぷんだった。
一つだけよくわかったのは、他社にはない同社の強みについてだった。どこかの記者の質問に対して能村氏は「当社の事業スタッフは240名で、そのうち営業スタッフは100名弱。スタッフには適地がなくなるのではないかという不安を抱えている者もいるが、一般的に言われている最低限の面積といわれる1ha以下でも、当社が発注者になれば十分採算ラインに乗る。営業スタッフは全国津々浦々を回っているわけではない。フィールドはまだまだ広い。当社の強みを発揮すれば他社には絶対負けない」と応えた。
今期売上高1,480億円をスタッフの数で割ると、1人当たり売上高は約6.2億円だし、営業スタッフに限ると1人当たり約14.8億円だ。これはかなり高い数値だ。
〝表と裏をひっくり返し世界一の街に〟野村不「CULTURE FRONT」トークイベント
左から野村不動産芝浦プロジェクト企画部部長・四居淳氏、鈴木氏、亀本氏、小林氏
野村不動産は11月26日、第一回「CULTURE FRONT」トークイベントを開催。「BLUE FRONT SHIBAURA」を設計する槇総合計画事務所代表・亀本ゲーリー氏、街にアート作品を展開するアーティスト・鈴木康広氏を招き、街づくりのアート&カルチャープロデューサーを務める小林裕幸氏とトークセッションを行った。その後は、会場からベイエリアの魅力を体感できる船上ツアーを実施した。
トークセッションで亀本氏は冒頭、「みなさん、この地の歴史をご存じの方いらっしゃいますか」と問いかけた。手を挙げたメディア関係者は一人もいなかった。
亀本氏は「そうですよね。実は2015年10月31日に初めて訪れた私自身もよく知らなかった。400年以上前の江戸時代は海になっており、世界最大の海運都市だった。旧芝離宮と浜離宮は大名屋敷だった。一帯は三業地となり、昭和の初めには貨物船が海側に整備され、倉庫などが建設された。戦後は東京湾を背にして発展し、1984年、東京芝浦電気は社名を東芝に変更し、本社ビル『東芝ビルディング』が完成した」などと当地の歴史について説明した。
そして、今回プロジェクトについては、建物は鈴木春信の「雪中相合傘」に見立て、駅と街を木漏れ日あふれる遊歩道にし、街全体を市民公園のようにし、運河を利用して水辺の広場にし、アーティストの鈴木さんなどともコラボし、東京の新しい玄関口にする」などと語った。
鈴木氏は、これまでの自らの作品「まばたきの葉」「りんごとけん玉」「空気の人」「ファスナーの船」などを紹介。「海と人をどうつなげるか。この都市が大自然とどうつながっているか、自らが感じられるような世界をつくっていきたい」などと語った。
小林氏は、今年6月、95歳で亡くなった槇文彦氏についても触れ、「先生はいつも凛としたたずまい。それが建築にも表現されていた。公共性も大事にされており、今回のプロジェクトでは、『再開発』ではない、新しい場所をつくる、インターラクションが生まれる世界の中心にしたいので手伝っていただきたいとの連絡を頂いた」などと話した。また、小林氏は「今回のイベントにとどまらず、今後、トークセッションやワークショップを継続して行っていきたい」と語った。
左から小林氏、亀本氏、鈴木氏
◇ ◆ ◇
この種のトークセッションは数えきれないほど取材しているが、とても面白かった。亀本氏が紹介した槇文彦の言葉である「建築は発明ではなく発見」をはじめ、鈴木氏が語った「都市に潜んでいる自然の魅力を見つけ、共生する新たなキュレーションにつなげていく」などわくわくするようなフレーズが各氏から飛び出した。
亀本氏は、かつてこの地は「三業地」だったと話したが、2020年に取材した都内に唯一現存する木造見番建造物(「見番(けんばん)」とは「置屋」「料亭」「待合」からなる「三業」を取りまとめ芸者の取次ぎや遊興費を精算する施設)のリファイニング建築物を取材しているので、なるほどと理解した。槇氏はまさかそれから「雪中相合傘」を連想したのではないと思うが…これは謎だ。槇氏の作品については、日本財団の17か所の「THE TOKYO TOILET」の「恵比寿東公園」の記事を添付する。これほど美しいトイレはない。小林氏が話した「凛としたたずまい」そのものだ。
亀本氏はまた、「都市の裏になっている(当地を)ひっくり返し、表にしたい」と、小林氏は「東京一、日本一、世界一の街にしたい」とそれぞれ語った。鈴木氏は具体的なアートについては触れなかったが、記者はツインタワーにプロジェクトマッピングによって「雪中相合傘」が映し出されると確信した。
-表と裏をひっくり返し世界一の街にする-これが実現したら、それこそ世の中がひっくり返る-だが、しかし、これは容易ではないと思う。前回の記事でも書いたし亀本氏も語ったように、これまで街は川や海と「分断」し、背を向けて開発が行われてきた。これをどう転換するのか。今後の「CULTURE FRONT」の展開に期待したい。何が飛び出すか。「HARUMI FLAG」のツインタワーも「東京の新しい玄関口」を目指すとしている。どちらに軍配が上がるのかも興味深い。
参加者にプレゼントされた「槇文彦 ことばと場所」(エー・アンド・ユー「建築と都市」2024年10月臨時増刊)
槇文彦氏の「恵比寿東公園トイレ」
世界の水辺の再生・街づくりに学ぶ野村不「BLUE FRONT SHIBAURA」セミナー(2024/11/19)
行動習慣を可視化 駆けつけ防犯サービス開始 月額4600~5600円 積水ハウス
積水ハウスは11月22日、博報堂とALSOKと連携し、世界初となる在宅時の行動や家の状態から防犯に関する行動習慣を可視化し価格に反映する同社の「PLATFORM HOUSE touch(プラットフォームハウス タッチ)」の駆けつけ防犯サービス「駆けつけホームセキュリティ」を12月13日から受付開始すると発表した。
「PLATFORM HOUSE touch」の設備(窓鍵センサー・玄関ドア錠・火災警報器)が異常検知をALSOKに自動通報し、ガードマンが駆けつけるもので、専用設備が不要なため初期費用なしでサービスを開始することができる。
また、窓や玄関ドア、照明の操作など防犯に関する日々の行動習慣をAIにより分析・可視化し、アドバイスをアプリに提示する。「PLATFORM HOUSE touch」+「駆けつけホームセキュリティ」の月額費用は4,600~5,600円。
積水ハウスは、221年12月からスマートホームサービス「PLATFORM HOUSE touch」の発売を開始し、これまで4,100邸を超えるサービスを提供し、さまざまなデータを蓄積してきた。
2023年9月からは、博報堂と協力し、「生活モーメント」(生活ログから見える住まい手の特徴的な生活意識が現れる瞬間)をAIで解析し、住まい手が認識している自身の防犯意識と実際の行動習慣に乖離があることがわかったとしている。
そして今回、サービス提供者としてALSOKを迎え、データ活用により可視化された、住まい手の行動習慣に準じて価格が変動するサービスを開始するもの。
記者発表会で積水ハウス常務執行役員プラットフォームハウス推進部長・吉田裕明氏は、「当社のグローバルビジョンである〝人生100年時代の幸せ〟の実現を目指し、2021年に『PLATFORM HOUSE touch』を発売開始したが、現在、4,100戸を超える顧客にサービスを提供している。この間、集積したデータをIoTを駆使してデータ蓄積エコシステムを実現した。3社が連携することで、各社のサービスより安く提供できる。今後は、運輸、小売り、ヘルスケアとも共創を図り、暮らし解析プラットフォームを構築する」と述べた。
博報堂常務執行役員コマースデザイン事業ユニット長・青木雅人氏は「生活者インターフェースはこれから予想をはるかに超えるスピードで爆発的に拡大する。今回のプロジェクトでは、玄関錠のかけ忘れや家族と過ごす時間など『自覚している意識』と『行動の実態』との差分として『つもりギャップ』があることが分かった。ここに着目してアラートを発出したり、家族と一緒に過ごせるプログラムを作成したりしていく」と語った。
ALSOK常務執行役員・宮島裕氏は「住宅への侵入窃盗の約45%は施錠されていない窓や玄関ドアから侵入されているデータが示す通り、これからは住まい手自身の行動習慣を変え、こまめな行動や警備対策が求められる」と話した。
左から宮島氏、吉田氏、青木氏
◇ ◆ ◇
「PLATFORM HOUSE touch」+「駆けつけホームセキュリティ」の月額費用が4,600~5,600円(年間55,200~67,200円)が〝価格に反映できる〟サービスかどうか、素人の記者は全然わからないが、同社の請負住宅の1棟単価は51,844万円(2024年度2Q)だ。金持ちにとっては微々たるものだろう。現在の「PLATFORM HOUSE touch」の利用者の数からしたら、飛躍的に伸びる可能性はあるのではないか。
しかし、記者は今回のサービスはほんの序の口だと見ている。博報堂・青木氏が話したように生活者インターフェースは爆発的に拡大する。すでに設備機器の作動、室温調整などは常識になっており、今後、空気環境、音・音楽環境、住宅内事故防止、医療・健康管理、家計簿・資産管理分野が急成長するのではないか。夫、または妻の異常行動はすべて捕捉され〝異常です、異常です〟と大音量でアラートを発出する時代になる(記者などはスマホがまともに扱えない。幸せだ)。
「スラップ訴訟」「ひこばえあるうちはあきらめない」街路樹守る会・愛氏ら会見
西川氏(左)愛氏(都庁会見室で)
ChatGPTに聞いた。「重さ10キログラムのA4のコピー紙は枚数にするとおおよそ何枚でしょうか。また、この紙を製造するのにどれくらいの樹木が必要で、水、その他CO2排出量はどれくらいでしょうか」
瞬時に次のような答えがはじき出された。「A4コピー用紙の重さは通常、1枚あたり約4.5グラム(80g/m²の紙の場合)です。計算式は以下の通りです(略)10kgのA4コピー紙=約2,222枚。製造に必要な資源:樹木(1本高さ約12m):0.03本、水:22,220リットル、CO2排出量:9.3kg」
重さ10キログラムのA4のコピー紙とは、11月21日行われた「神田警察通りの街路樹を守る会」の記者会見で、千代田区がイチョウ並木の街路樹伐採工事区域内への立ち入り禁止を求めた「立入行為禁止仮処分命令申立」を受けた愛みち子氏(一般社団法人「街路樹を守る会」代表)と西川直子氏(「建築ジャーナル」編集長)にそれぞれ送られた段ボール箱に詰められた訴訟資料の量だ。コピー用紙約2,222枚といえば、400字原稿用紙にして約6,666枚。「源氏物語」の約3倍だし、消費する水の量は浴槽の100日分もあり、CO2排出量はイチョウが半年間かけて吸収する量になるのではないか。(間違っていても記者は責任を取らない。ChatGPTの答えをそのまま紹介したにすぎない)
何の前触れもなく書類が届けられたときのショックを愛氏も西川氏も隠せなかったようだ。言葉は悪いが、臨家に糞尿をぶちまける行為に近い。
両氏はまた、昨年11月の8名と今回10月の2人の訴訟を合わせ弁護士費用は626万円(区民1人当たり約1万円)に上ることを明らかにした。上記の訴訟資料作成にはいくらの費用が掛かっているのか。
記者は、区の代理人弁護士の名前など明かしたくないのだが、愛氏も西川氏も名前を明らかにし、写真撮影も許可した。公平性を勘案して、担当している南木みお氏と外ノ池佳子氏の両弁護士の名前を出すことにした。
弁護士も因果な仕事だ。どのような経緯があったかは知らないが、このような仕事を受けることに何の痛痒も感じないのだろうか。自らの弁護士としての経歴に汚点を残さないのか。
「立入行為禁止仮処分命令申立」とは、「神田警察通りの道路整備工事において、午後8時から翌日午前8時までの間、赤色カラーコーンとコーンバーで区切った作業帯の設置を開始した時点から撤収するまでの間、同作業帯に立ち入り禁止の決定を裁判所に求めるもので、区はイチョウの下に座っている2人を取り囲み、写真を撮影し、インターネットで執拗に調査し、特定するという作業を千代田区環境まちづくり部道路公園課の職員が行った」(会見での配布資料)というものだ。
職員もまたかわいそうだ。仕事だから断れないのだろうが、〝お父さん、イチョウの木に抱きついているあの人たちってそんなに悪人なの? 〟と子どもに尋ねられてきちんと答えられる人はいるのだろうか。
送られてきた段ボール箱を紹介する愛氏
隠し撮りの写真
書類の一部(タバコは記者のもの)
◇ ◆ ◇
記者会見場で資料として配布された「第17回神田警察通り沿道整備推進協議会議事要旨」(令和2年12月2日)を読んで、「街路樹の味方」の記者は怒りがこみあげてきた。〝伐採ありき〟の論議しか紹介されていないからだ。各委員の声を紹介する。
●学識経験者の保存案に対する意見の中に「倒木の可能性がある」とある。台風で倒れて、人や物に何らかの被害を与えた場合、どこが責任を取るのか(担当者貴「区の責任になる」と答弁)
●何より怖いのは倒木によって避難路が維持できなくなること。倒木の恐れがあるならは、この際切った方がいいのではないか
●倒木の恐れがある樹木は街路樹に適さない。街路樹は緑陰を兼ねているというが、今は高いビルが多いため、陰を保っている
これら委員の方は街路樹や樹木に関して素人だろうし、何を発言しようが自由だろうが、町内会を代表しているのだろうから(選出方法に問題があり、異論もあるが)、少しは勉強して臨むべきだ。以前記事にも書いたが「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」(ジョージ・オーウェル「一九八四年」)-為政者がもっとも好むのはこのような方々だ。
実際はどうか。国土交通省の調査によると、国・都道府県・自治体が管理する道路における街路樹(高木)約720万本のうち、年平均の倒木本数は約5,200本で、倒木による被害は、直轄国道で人身1件、物損34件が確認されたとある。
比較するのが適当かどうかはわからないが、近年の年間離婚件数は約18万件、孤独死は約3万人、特殊詐欺は2万件弱、家庭内事故死は約16,000人、交通事故死は年間約3,500人、強盗は約1,500件、殺人は1,000件弱…。
車道を逆走する車が日常茶飯で、空から人が降ってくる時代だから、確率として0.0007%の倒木を恐れるのは理解できないわけではないが、〝天が落ちてきたらどうしょう〟〝空からミサイルが飛んでくる危険性があるから防衛力を高めよう〟という考えと同じといったら失礼か。緑陰の代わりにビルの陰を期待する意見にはもうなにもいうことはない(そもそも神田警察通りは日影は全く考慮されない商業地域だ。沿道居住者には住環境を叫ぶ権利はない。税務署、神田警察署、正則学園、錦城学園も敷地いっぱいに建物を建てていように、都市計画に問題がある。だからこそ街路樹は貴重なのだが…)-2時間もかけてこんな論議に終始していたのか。学識経験者とは誰だ。
◇ ◆ ◇
神田警察通りの街路樹問題について、記者会見で愛氏、西川氏らは概略について次のように示した。
千代田区の神田警察通りは、一ツ橋から神田駅までの1300m余りの区道で、200本近い街路樹が植わっています…2016年に地元などから反対がでて、32本のイチョウは残りました。しかし2020年、残りすべてを伐採する方針をたてました。
住民たちは「神田警察通りの街路樹を守る会」をつくって、区長などに再三話し合いを求め、解決策としての代替案も提示してきました。
しかし千代田区は話合いや調整をしようとしません。仕方なく、住民たちはイチョウの街路樹を守るため、夜を徹した見守りを始めました。これまで720日以上続いています。
すると千代田区は、大量の警備員を雇い深夜に大音量で脅すなど強引な伐採工事を10回近く行い、計18本のイチョウを伐採しました。まるで戦争のような有様は区の行政からかけ離れ、常軌を逸しています。
また、異常な工事に対して、①地域住民への周知・協力の欠落②工事車両の危険な使用③現場の市民への非人道的な対処④異常な工事動員数(令和5年4月11日は合計50名で、総額500万円を超える金額が関係者に支払われた)-などの問題点を指摘した。
愛氏らは、今回の訴訟は樋口高顕区長からの「スラップ訴訟」だとして、「私たちはひこばえがあるうちはあきらめない」と締めくくった。
◇ ◆ ◇
第20回神田警察通り沿道整備推進協議会 議事録」(令和4年3月10日)から、「神田警察通りの街路樹を守る会」の推薦として、母が錦華小学校出身で、自らは一橋中学校に通ったという明治大学教授が述べた意見の一部を以下に紹介する。
「明治大学の●●●●と申します…明大通りの歩道の拡張に伴う、街路樹問題についての2年を超える沿道協議会の議論を経て、プラタナス並木の処遇をめぐる議論が輝かしい成果を獲得することができました…ほぼ2年、全部で9回の協議会を重ねたわけです。話がまとまった根本的な理由は、まさにまちづくりの学問的な専門家、そしてまた、民間企業におられて現実もよくご存知の法政大学の●●先生を座長に据えて、そして街路樹の、まさに専門家の千葉大の名誉教授の●●●●●先生をアドバイザーとして、つまり、専門家たちによって、このワークショップというものが、牽引されて、そして合意形成を促進していったということが、非常に重要なモーメントだったと思うわけです…会場には、全長5メーターに及ぶ、明大通りの模型を作りました。そして、この模型をめぐって、いわゆる反対派と、いわゆる賛成派が、このミニチュアの明大通りの街路樹や信号機などを自由に動かしながら、お互いが身を寄せ合って議論する。そうしたことやミニチュアの明大通りを御茶ノ水の駅から、或いは駿河台の下からを眺めてみる。そういったことを経験していきますと、お互いがあらかじめいだいていた不信感や疑心暗鬼は次第に解けていくものです…また年齢は違えども、出身の中学や高校や大学が同じだったり、共通の知人や友人がいたりすれば、お互いに氷は溶けていくというわけです…地域社会に根づいている、或いは生きている緑と、それを慈しむ人々の心を軽んじる傾向に加担することは、二酸化炭素の削減において、技術的な解決を模索しつつも、地域開発と称して、地域社会にビル風の公害やヒートアイランド現象を引き起こす企業の活動が、実は環境配慮の偽装であるといったことと変わらないと思います…最後に本日は、私の祖父と祖母が焼け出された3月10日でございます。民主主義があからさまに踏みにじられているこの世界において、まさに民主主義とは何かという根源的な問いがここ神田警察通りの問題にはあります」
議事録は、行政担当者を除きすべて伏字。個人情報保護がその主な理由だ。しかし、この種の会合での発言は区民に責任を持つはずで、名前を公開するのが基本だと思う。いやなら辞退すればいい。伏字ばかりの文章は暗黒時代の小説や昔の「チャタレイ夫人の恋人」を読むようで、気分がよくない。堂々と名乗った明大教授にも失礼だ。
「まちづくりとはなんだ」専大生によるドキュメンタリー「変わりゆくまち神田」(2024/5/8)
「アレ」を「暗黒社会」「ファッショ」に置き換えた…千代田区の仮処分申立書(2023/12/2)
〝やめてくれよ区長さん千代に千代田のイチョウが泣いている(20230/12/1)
「約束を反故。許せない」住民怒る健全木のイチョウ新たに4本伐採千代田区(2023/2/7)
健全な街路樹を「枯損木」として処分問われる住民自治千代田区の住民訴訟(2022/11/12)
「苦汁」を飲まされたイチョウ「苦渋の決定」には瑕疵続「街路樹が泣いている」(2022/5/14)
民主主義は死滅した千代田区のイチョウ伐採続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)
千代田区の主張は根拠希薄イチョウの倒木・枯死は少ない「街路樹が泣いている」(2022/5/12)
ぶった斬らないで神田警察通りのイチョウの独白続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)
なぜだ千代田区の街路樹伐採強行またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)
世界の水辺の再生・街づくりに学ぶ 野村不「BLUE FRONT SHIBAURA」セミナー
右から四居氏、高野氏、内田氏(浜松町ビルディングで)
野村不動産は11月19日、「世界の水辺の街と、最新の街づくりトレンド~“TOKYO”の経済重心が都心からベイエリアへ~」と題したメディアセミナーを開催し、日本総合研究所リサーチ・コンサルティング部門プリンシパル高野寛之氏をゲストに迎え、同氏がニューヨークとシドニーの水辺の先進的な再開発を紹介するとともに、野村不動産芝浦プロジェクト企画部課長・内田賢吾氏とクロストークを行った。セミナーは二部構成で、記者が参加した一部は約20人のメディアが参加した。
冒頭、野村不動産芝浦プロジェクト企画部部長・四居淳氏は、「2013年に再開発の検討を開始し、今年5月にタウン名を『BLUE FRONT SHIBAURA』に決定し、来春には1棟目のS棟が完成する。全体完成は2030年だが、水辺の価値をどうとらえるべきか実証し、皆さんと一緒に考えていきたい」とあいさつした。
内田氏は、「BLUE FRONT SHIBAURA」の概要について説明。浜松町駅と緑のアプローチを整備し、バリアフリーな街づくりを行い、ラグジュアリーホテルを誘致し、観光拠点にもするとともに、再開発に際しては、水辺を再生し、他の大手町や日本橋、晴海などと連携させ、ベイエリア全体の価値をあげていくと語った。
高野氏は、ニューヨークのハドソン・ヤード再開発、hunter's Point South Park、ドミノパーク、Little Island、シドニーの港湾地区の再開発などについて説明。先進的な海外事例から得られる示唆として、「観光客、地元住民、ワーカーにとって魅力的な目的地としての水辺空間」「新たなライフサイクルの創出による街の魅力の向上」が都市の活性化・競争力の観点から重要とし、憩いの場となるパブリックスペースの存在、イノベーティブな体験を可能とする水辺開発のポイントとなり、水辺の拠点をつなぎ、人の回遊を促す水上交通は不可欠と話した。
◇ ◆ ◇
高野氏がニューヨークとシドニー、内田氏がアムステルダムの湾岸整備について話しているとき、海好きの記者はわが国の湾岸・港湾都市のことも考えていた。海と川に背を向けて発展してきたのではないかと。高野氏も内田氏も「(湾岸の)荒廃」「(街との)分断」「(開発と規制は)トレードオフ」などの言葉を何度も使った。言うは易く行うは難し-2008年に体験した日本橋川下りの記事を添付したので是非読んでいただきたい。「芝浦アイランド」の記事も添付したが、このころニューヨークでも湾岸の再開発が行われていた。
47都道府県のうち海に面していない県は栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、岐阜県、滋賀県、奈良県の8県あり、海に面していない、あるいは1級河川がない都道府県庁所在地は10都市くらいあるはずで、残りの約30都市は海があり、大きな川が流れている。
これらの都市の現状はどうか。一つひとつ調べる余裕はないが、今も人口が増え経済も発展しているのはその半分あるかどうかではないか。これらの都市でも湾岸エリアの再開発が課題になっている都市は少なくないはずだ。大阪もそうだろう。
なぜか。京浜、中京、阪神、北九州の四大工業地帯に象徴されるように、1960年代の高度成長期までに、原材料・製品の輸出入に便利な港湾が整備され、その後背地は原油タンク貯蔵庫や工場、物流施設などが整備されてきた。
代表的な例は、東京駅から電車で10分圏の江東区新木場一丁目、新木場二丁目、新木場三丁目及び辰巳三丁目の約151haのエリアだ。都は平成11年11月15日付で従前の工業専用地域から準工業地域に変更し、地区計画によって「木材関連をはじめとする多様な生産・流通機能と商業・業務機能などが共存できる複合地区の形成を図る」目的に適さない住宅や風俗系建築物、廃棄物処理場を不可とした(居住者は100人近くいるが…)。
一方、湾岸エリアで商業・業務・居住・観光拠点などとして発展している都市はいくつあるか。横浜、神戸、広島、福岡、那覇くらいしか記者は思いつかない(ほかの都市は行ったことがない)。
セミナー中、考えていたことはもう一つある。同社が芝浦プロジェクトのタウンネームを「BLUE FRONT SHIBAURA」とし、舟運「BLUE FERRY」の船上ツアーを実施した5月30日から1週間後の6月6日に、建物のデザインを監修した槇総合計画事務所名誉顧問の槇文彦氏が亡くなったことだ(享年95歳)。建物のイメージは〝寄り添う夫婦〟だそうだ。「BLUE FRONT SHIBAURA」は遺作となったのか。
野村不&JR東日本芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/31)
パークシステムの復活はあるか都市再生は可能か「川」を考える(2023/12/28)
期待の大きさの分だけ深い失望「渋谷川・古川の河川再生」現地を歩く(20222/10/5)
圧巻の眺望「メムズ竹芝」眼下の浜離宮-隅田川-ビル街…「ウォーターズ竹芝」(2021/7/1)
らしき建築物発見!住宅不可の151haの江東区・新木場に88人が住む不思議(2019/6/4)
これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)
街全体の資産性と割安感が人気 「芝浦アイランド」(2006/12/12)
ポラス 第6回「おえかきコンクール」表彰式 応募は過去最多の2,940作品
特別賞受賞者(ポラテック本社で)
ポラスは11月16日、第6回「おえかきコンクール」表彰式を開催し、全国から応募があった2,940作品の中から特別賞20作品、特別優良賞20作品、優良賞160作品、奨励賞500作品を発表した。表彰式には約90人が参加し、同社グループ・中内晃次郎氏が主催者としてあいさつしたほか、8つの後援自治体首長のメッセージも披露された。
中内氏は「今年もどのような作品が見られるかとても楽しみにしていたところ、全国各地から過去最多の2,940点と、大変多くのご応募をいただきました。どれもが大人では思いつかないような自由な発想で描かれたものばかりで、子どもたちの生き生きとしたエネルギーにあふれておりました。そのような作品に触れることで、私たちもたくさんの元気をいただき、とても温かい気持ちになりました」とあいさつした。
審査員を代表して若色欣爾・審査委員長(越谷市住まい・まちづくり協議会会長)は「応募は海外を含め3,000近くにのぼり、このうち2年連続の応募が702名、3年連続の応募が164名あった。大変ありがたい。連続応募者は特別に表彰してはいかがか。また、3歳未満の応募は約1割で、ほとんどが選外になるが、私は選外の作品も再度見るようにしている」などと講評した。
同コンクールは、同社グループ創業50周年記念事業として2019年に開始されたもので、0歳から6歳の未就学児を対象に「住んでみたい夢の家・街」をテーマに8切サイズの画用紙にクレヨン、絵具、水性ペンなどで描いた作品を募集。後援自治体には越谷市、さいたま市、草加市、松戸市、柏市、流山市、吉川市のほか、今回は野田市も加わった。
協力団体は、越谷市住まい・まちづくり協議会、越谷美術協会、埼玉大学教育学部 木材研究室、NPO法人木育・木づかいネット。、山崎正氏(越谷美術協会会長)、浅田茂裕氏(埼玉大学教育学部教授、NPO法人木育・木づかいネット理事長)、野村壮一郎氏(ポラスグループ社員グッドデザイン賞受賞ディレクター)、大湖正之氏(同デザイナー)。
入賞作品は越谷市、さいたま市、流山市、草加市、松戸市の公共施設で巡回公開・展示される。
中内氏(左)と若色氏
【以下、特別賞・特別優良賞受賞作品】
大賞 丸山舜葵さん(5歳)作品
金賞 阿部想也さん(5歳)作品
金賞 越前杏咲さん(6歳)作品
金賞 丸茂正虎さん(5歳)作品
金賞 横井大和さん(5歳)作品
越谷市長賞_ 松澤杏さん(4歳)作品
草加市長賞_ 篠﨑瑛斗さん(5歳)作品
さいたま市長賞_小泉悠さん(5歳)作品
松戸市長賞_堀江美伶さん(6歳)作品
流山市長賞_中村渚さん(6歳)作品
柏市長賞_平野葵香さん(5歳)作品
吉川市長賞_ S.Uさん(4歳)作品
野田市長賞_中村奏心さん(5歳)作品
越谷市住まい・まちづくり協議会賞_枝廣咲来さん(4歳)作品
越谷美術協会賞_荻田花恋さん(5歳)作品
森と木の住まい賞_今村圭佑さん(6歳)作品
ポラス審査員賞 宮崎桜さん(6歳)作品
ポラス審査員賞中山知香さん(6歳)作品
ポラスグループ55周年記念賞 西川結斗さん(6歳)作品
ポラスグループ55周年記念賞 K.Sさん(5歳)作品
◇ ◆ ◇
以下は、多少は絵を観る目はあると思っている記者の〝押しの絵〟だ。対象は優秀賞に選ばれた160作品とした。
どうして優秀賞にしたかといえば、そもそも子どもの描いた絵を(汚辱に満ちた世界に生きる)大人の目で評価していいのか、創造力が未発達の乳児とその萌芽期である4歳児以上と同じモノサシで測ることなどできないのではないかという疑問を持っており、他の作品を含めて視点を考えればみんな素晴らしい作品に見えてくるからだ。
記者は、会場の一番端っこに展示されていた0歳児のT.Hさんと2歳児の宮田さんの作品に目を見張った。3歳児の上条さんの作品にも不思議な魅力があるし、植草さんの作品は、他の作品がカラフルなものばかりなのに対して異彩を放っている。
写真は記者が撮影したのを当初はそのまま掲載したのだが、ポラスにお願いしてプロのカメラマンが撮影したものに変更した。ポラスにも感謝したい。読者の皆さんもこれらは上段の作品と比べて全然見劣りしないと感じられるのではないか(大人の目だが)。
そして強く思うのは、子どもたちの無限の可能性を秘めた想像力を育みより豊かにするのか、それともそれを削ぐのかはお父さん、お母さん、学校の先生、さらには地域の人たちだ…この日紹介された絵のように未来が明るくなるのを願うばかりだ。
H.Tさん(0歳児)の作品
宮田梛央さん(2歳)の作品
上条翠さん(3歳)の作品
岩渕恵子さん(4歳)の作品
中原朱亜さん(4歳)の作品
植草朔さん(5歳)の作品(ポラス提供)
表彰式
優良賞