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橋本和子さんのろうけつ染め「ちやほや」

 スウェーデンハウスと東京藝大は12月14日、同社の豊洲のモデルハウスで「東京藝術大学染織専攻作品-jul(ユール)」レセプションパーティを行った。

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 記者は終了後の18:00過ぎに駆けつけたので、主催者の東京藝大染織研究室教授・菅野健一氏やスウェーデン大使館 広報文化担当官アダム・ベイエ氏、スウェーデンハウス取締役営業本部長・鈴木雅徳氏のあいさつやアーティスト・トークがどのようなものだったかわからないが、大急ぎで作品を見て回った。

 作品は傑作ぞろいだ。展示は12月25日(金)まで行われるので、スウェーデンハウスの住宅を見るのもいいし、作品をもみるのもいい。豊洲のクリスマスの夜もいいかもしれない。

 記者の一押しは、修士1年生の橋本和子さんのろうけつ染めの子ども用の襦袢「ちやほや」と、修士1年生の阿部蕗子さんのシルクスクリーンのカーテン「ユールの夜に」だ。

 「ちやほや」の語源は「蝶よ花よ」だそうで、魔除けを施し、こどもの健やかな成長を願う気持ちを作品に込めたという。カラフルな染の技を見て、同じ東京藝大名誉教授の洋画家・絹谷幸二氏の一連の作品と重ね合わせた。

 阿部さんの作品は木綿ビロード(ベルベット)でできており、冬寒くて暗いスウェーデンハウスの自然と、家の中を温かく過ごす家庭の対比を柄に入れ込んだそうだ。「蕗子」は、記者の好きな作家・水上勉の娘さんの名前と一緒だ。いい名前だ。

 もう一つ挙げると、修士1年生の佐々夏実さんのシルクスクリーンのタペストリー「宵」だ。クリスマス(ユール)のでサンタの役割を担ったのは黒い服にヤギの顔を持つ「ユールボック」で、それをモチーフにしたという。これを見て、イギリス人作家トム・ロブ・スミスのスウェーデンを舞台にした最新作「偽りの楽園」(新潮文庫)を思い出した。家族の再生がテーマのミステリ小説で、保守的で暗い一面もあるスウェーデンハウスのコミュニティが描かれている。怖い妖精「トロール」も頻繁に登場する。

 同社の催しは、住宅もさることながらいつもスウェーデンの自然や歴史、文化を想像させてくれる。だからいい。

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阿部蕗子さんのシルクスクリーン「ユールの夜に」

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佐々夏実さんのシルクスクリーン「宵」

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菅野教授のタペストリー「ユールトムテゴートX.ユールトムテゴートY」

スウェーデンハウス 豊洲モデルハウスで藝大染織専攻学生の作品展(2015/12/1)

 

カテゴリ: 2015年度

 既報の通り国土交通省は12月8日、「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(第4回)を開催し、会合後、深尾精一・委員長(首都大学東京名誉教授)と小澤一雅・副委員長(東京大学大学院教授)が記者会見を行なった。

 会見は、国交省記者クラブに所属する報道陣向けだったが、そろそろ何らかの方向性が出るだろうと、事前に記者クラブの幹事新聞社の了解を得て会見を取材した。了解していただいた幹事新聞社に感謝したい。

 記者も質問したかったのだが、そこは遠慮することにし、席も最後方に座った。以下、委員長・副委員長と記者団の一問一答の要旨(質問内容は質問が要領を得ないのか、記者の耳が悪いのかよく聞き取れなかった)。

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 -多重下請け構造が問題の背景にあるのでは

 深尾委員長 専門でないわたしが意見をいうのは適切ではないかもしれないが、この問題は大きな根源的な問題。長期的にどうあるべきかしっかり腰をすえて(杭打ち問題と)分けて取り扱うべきではないか。

 専門的な立場から言えば、杭打ちは元請でないところがしっかりと行うのは技術が進歩していくうえで必然、自然なこと。

 小澤委員 杭の品質を管理することについては、(元請と下請けが)どういう役割分担をしているのか、契約がどうなっているのか、最終的に誰が責任を取るのか、その体制が曖昧になりがちになっており、契約がどうなっているかを分析して再発防止、対策を考えていきたい。

 もう一つの問題は、建設業法、派遣法などで、そこに配置されている人がどういう立場で関わっているのかチェックする必要があるという意見があった。これについては法律的判断になるので、専門的な立場の方の判断を待って、どう対応するのかもう少し検討しなければならない。

 -問題を起こした人は出向社員だったが

 深尾委員長 出向だか派遣だか、いろいろな言葉が飛び交っているが、実態がどうだったのか、しっかり検証したい。

 -杭打ちの実態について

 深尾委員長 杭に関してはやはり慣れというか、管理されていない風潮があったと思う。データ確認が形式的になっていた。データはチェックするために出すものなのか、仕組みがあるから出すのか、データ確認を軽視する風潮があった。

 -ヒューマンエラーについて

 深尾委員長 機械も故障することがあるし、人もミスをすることがある。そうした場合、どういう措置をとるのかルール化されていない。これが一番問題。われわれ委員会もそう認識しているし、日建連さんも同様に考えていらっしゃる。データ管理の仕組みが不完全だった。ルール化がされていない。これは改善が簡単にできることかも知れないし、ぜひともやるべき。

 -地盤調査などについて

 深尾委員長 掘ってみないと分からない部分があるし、追加の工事が必要になる。それをきちんと対応すべきなのに、(責任が)不明確なまま元請がかぶらざるを得ないというのであれば適切な工事が進められないだろう。そういうところも見直すべき。

 -横浜のマンションの元請責任は

 深尾委員長 これは委員会が(責任の所在を明らかにする)責任を負っているわけではない。横浜から追加報告が出ていないのは、個人的には残念に思っている。横浜の契約関係がどうなっていたのか再発防止策に重要なので、報告を待って再発防止策を検討したい。

 -横浜のマンション問題について

 深尾委員長 われわれも(報告がでないので)困るところ。どういう状況で、どこに問題があるか。状況証拠的にはかなり複合的になっていると思うが、これを明らかにするのはわれわれの責任ではない。(報告が)出てきたら前に進みたい。(中間とのまとめは)年内にという要望ですので、分かった範囲内で取りまとめる。

 -再発防止について

 深尾委員長 現段階で公表できないが、日建連さんはかなりいろいろ検討されているという感触を得ている。具体的にどうするかは、業界全体でやるべきこと。われわれが言うより、工事を担う業界がやるほうが実効性があるし、十分に応えていただいていると思う。

 小澤委員 事前にマニュアルを作成して人の配置とかチェックするシステムをつくっているところもある。これがヒントになるはず。日建連の指針もあわせいい方向性が出るのではないか。

 -中間取りまとめについて

 深尾委員長 中間取りまとめは、国民の不安を解消するということ、それと信頼を回復することが重要な目的。その部分に関しては、ある程度とりまとめができる。

 繰り返しになるが、かなり業界団体も全体の改善策、再発防止策を検討していただいているので、今までと比べはるかに信頼が置ける工事が行われることにもなる。

 もちろん、横浜の問題をどう解決するか、(事故が)起きないようにどうするかは少し別の次元かもしれないが、類型が起きない再発防止策は十分立てられると考えている。

 今までの検討結果で、データ流用が直接施工不良に結びつくものでないことが判明して、われわれも嬉しいというかほっとしている結果となった。しかし、そういうことが分かったということは、逆にデータ確認を明らかに軽視している実態が明らかになったと委員全員がそう思っている。

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 一問一答を読んでいただければ方向性は明確だ。「データ流用が判明した物件のほとんどが施工不良には結び付いていないので、データ流用と(横浜のマンションの)施工不良との関係性は低い」(深尾委員長)ことから、杭打ち工事の指針(国交省から告示として発表されそうだ)ははっきりした形で示されるはずだ。

 深尾委員長や小澤委員のコメント「ルール化は簡単にできることかも知れない」「日建連の指針もあわせいい方向性が出る」「今までと比べはるかに信頼が置ける工事が行われる」「類型が起きない再発防止策は十分立てられる」から判断すれば、言葉は悪いが「大山鳴動…」だ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け繁忙期を迎える建設業界にとって、早々に幕引きし、問題の長期化を避けようという意向が働いたのだろう。

 問題は、横浜のマンションを施工・監理した三井住友建設が「施工・監理に瑕疵はない」と会見で語ったことが事実そうであるならば、だれが責任を取るかだ。マスコミ報道では、この監理(「さらかん」という法的行為)と管理(「たけかん」と呼ぶ仕事の流れを管理する法的には罰則がない仕事)の区別がほとんどされていないのが極めて残念。

 深尾委員長も話したが、罰則事項がないからデータ改ざんを行なった旭化成建材の技術者(どのような立場の人かは不明だが)に違法性を問うことはできない。被害者(横浜の例では入居者、三井不動産レジデンシャル、あるいは三井住友建設も入るのか)は誰にどのような理由で責任を追及すればいいのか。旭化成建材に損害賠償など責任を問えるならば、他の杭打ち業者もそうなる。

 記者は杭打ち業者に責任を追及することはできないとしても、やはり施工・監理責任は問われるべきだろうと考える。

 データ流用・施工不良に対する責任が施主や施工・監理会社に及ばず、その下請けのみに「責任転嫁」される仕組みを温存するならば、やはり多重下請け構造が不正を生む温床になるのではないか。対策委員会が魑魅魍魎のこの業界の宿痾にどのような処方箋を用意するか注目したい。

杭打ちデータ流用 再発防止にメド 多重下請け構造は継続課題 深尾・対策委員長が会見(2015/12/8)

 

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「ららぽーと海老名 キッズプレイエリア『ウッド キューブ』」

  林野庁が後援し、ウッドデザイン賞事務局(活木活木森ネットワーク・国土緑化推進機構・ユニバーサルデザイン総合研究所)が主催する今年度に新設された 「ウッドデザイン賞2015(新・木づかい顕彰)」で、住宅。不動産業から三井不動産他「ららぽーと海老名 キッズプレイエリア『ウッド キューブ』」、ナイス「住まいの耐震博覧会」、LIXIL「連続開口設計サポート」、積水ハウス「積水ハウス シャーウッド~純国産プレミアムモデル~」が林野庁長官賞(優秀賞)を受賞した。また、ポラス「POLUS学生・建築デザイン コンペティション」、住友林業「木の内装と間接照明を組み合わせた寝室環境による睡眠の質改善効果と疲労軽減効果」が審査委員長賞(奨励賞)を受賞した。

 農林水産大臣賞は、西粟倉・森の学校(岡山県西粟倉村)の「『みんなの材木屋』発 森と暮らしを創る六次産業化モデル」が受賞した。

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 「グッドデザイン賞」の向こうを張るわけではないだろうが、「ウッドデザイン賞」とはなかなかいい名称を付けたものだ。

 「ウッドデザイン賞」は、「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの視点から、デザイン性が優れた製品・取組等を表彰する今年度初めて創設されたアワード。

 初年度となる今年は、建築家の隈研吾氏、プロダクトデザイナーの益田文和氏、アーティストの日比野克彦氏、慶應義塾大学大学院教授の伊香賀俊治氏ら各分野の第一線で活躍されている方々が審査委員を務めた。

 初年度は応募があった882点から二次審査を通過して「ウッドデザイン賞」を受賞したのは397点。今回、農林水産大臣賞(1点)・林野庁長官賞(9点)・審査委員長賞(30点)として40作品が発表された。

 「グッドデザイン賞」の今年の応募3658件にははるかに及ばないが、質では互角だと胸を張れるアワードになってほしい。

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「第3 回ACEフォーラム・表彰式」(イイノホールで)

 一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(略称:ACE = Accessibility Consortium of Enterprises、代表理事:橋本孝之・日本アイ・ビー・エム副会長)は12月8日、「第3 回ACEフォーラム・表彰式」を行った。

 清水建設代表取締役社長・宮本洋一氏、日本アイ・ビー・エムフェロー・浅川智恵子氏、慶應義塾大学教授・中島隆信氏がそれぞれインクルーシブな社会づくりに向けた企業の取り組みや経済学的に見た障がい者雇用について講演。会員企業に在籍する障がいのある社員の中からロールモデルとなるべき人材が表彰された。

 会員企業である積水ハウスからは総合住宅研究所・上野政一氏が準グランプリを受賞した。

 ACEは、「障がいというダイバーシティを活かした新たな価値の創造と企業風土の変革、そしてインクルーシブな社会の実現を目指し、企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立と、企業の求める人材の社会に対する発信を目的」とする法人で、設立は2013年8月。会員企業は26社。

 冒頭のあいさつで橋本氏は「われわれの活動はコンプライアンスやCSRといった従来の枠を超えた活動。みんな手弁当で論議し、社会のあり方、雇用のあり方の知見を広め、情報を発信し、日本を変える原動力になろう」と語った。

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準グランプリを受賞した積水ハウス・上野氏(左は橋本氏)

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 積水ハウスからの誘いで、存在すら知らなかったACEの取材をする機会を得た。

 宮本氏は自らの経験として、視覚障がい者の音に対する豊かな感性に触れ「目からうろこ」と話したが、浅川氏や中島氏の講演を聞いて、まさに「目からうろこ」だった。と同時に、障がい者に対して少しは理解があると思っていたが、余りにもの無知に恥じるばかりだった。

 ぐさりと胸を衝かれたのは中島氏が語った「差別とは何か」だった。中島氏は偏見による「ベッカー型」の差別や統計的な差別(問題行動を起こす確率が高い)のほかに、間接的差別があると指摘した。例えばわれわれが当たり前と考えている長時間労働は、子育てファミリーや障がい者を間接的に差別しているというのだ。

 また、改正された障害者雇用促進法は、福祉を「利用」する企業が出てくることや、施設化する恐れがある特例子会社の問題、効率的経営との矛盾などからいずれ大きな壁になり、立ち行かなくなる可能性を指摘。障がい者を配慮するコストが全然考慮されていないと批判した。

 さらに中島氏は、「すべての人が何らかの障がいがある。障がいは社会を映す鏡である。国民一人ひとりが自らが負担すべき配慮の経済的コストを自覚するべき」と話した。

 宮本氏と浅川氏は、双方が連携して点字ブロックのデメリットを解消する音声ナビケーションの開発・実用化に取り組んでいることを報告した。

 たしかに点字ブロックはなくてはならないものだろうが、健常者にとっては転ぶ障がいになりかねないし、点字ブロックそのものもつながって意味があるのにそうなっていない。試しに目をつぶって新宿駅周辺を歩いてみたが、10mも歩けなかった。最新の情報通信技術による音声ブロックの開発は劇的にわれわれの生活を変えるかもしれない。

 それにしても、ACEは障がい者の立場から自らの企業をしばるかもしれない障がい者雇用の問題を考えようとしている。大企業は経済合理性だけを考えるものだと思っていたが、考えを改める必要があると痛感した。

 ACEの会員は、住宅・不動産業界からは積水ハウスのみで、関連では清水建設、LIXILが、その他ではアサヒビール、KDDI、セコム、TOTO、日産自動車、富士ゼロックス、堀場製作所、明治安田生命保険、ヤマトホールディングス、リクルートホールディングスなどが名を連ねている。

 積水ハウスのサステナビリティレポート、ダイバーシティページは次の通り。

https://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/diversity/index.html
https://www.sekisuihouse.co.jp/sustainable/diversity/disabled/1/index.html
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建築中の「花畑あすか苑」

 三井ホームは12月9日、延べ床面積約9,800㎡という規模と5階建てという階数でわが国初の2×4工法による特別養護老人ホームが上棟したのに伴い、プレス向けに内覧会を実施した。建物は1階がRC造で2階から5階が2×4工法。平成26年度の国土交通省「木造建築技術先導事業」として採択されている。

 施工にあたっては、地震時の横揺れに有効な新技術としてカナダで開発された木造中層向けの「ミッドプライウォールシステム」を初めて採用。さらに建物強度を確保するため独自金物を用いたタイダウンシステムを採用したほか、個室はユニット組立方式とした。

 事業主の聖風会・近藤常博理事長は、「介護施設の報酬は3年ごとに見直され、その都度減額されている。建物の建築費は鉄骨などでは坪120万円というのがざらだが、これではイニシャルコストが回収できなくなってきている。その点、木造はそれより低くて減価償却も鉄骨の50年に対して17~20年で短いので、その分のメリットがある。

 さらに、木造は入所者の感染症の発生が少ないとか、素足であるいてもやわらかくて暖かいとか、ぬくもりがあるとか、環境面でもやさしいなどの特徴がある。地域の方にも区の事業にも貢献しようと新しい試みにチャレンジした。私どもの理念である〝最高に価値あるものをすべての人に〟の実践です」と語った。

 建物の所在地は足立区花畑4丁目で建築主は社会福祉法人聖風会。名称は「花畑あすか苑」。設計者はメドックス。構造設計は日本システム設計。施工は三井ホーム。敷地面積は約4,551㎡、延べ床面積約9,789㎡。特別養護老人ホーム140室と短期入所生活介護施設20室のほか、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所、地域交流スペースが設置される。竣工予定は2016年6月。同社の落札価格は約27億円。

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完成予想図

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近藤氏

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 この施設が「木造建築技術先導事業」として採択された段階から、どこが施工を担当するのかずっと注目していた。木造ファンの記者にとって約9,800㎡という規模と5階建て(1階はRCの混構造だか)の木造建築物ができるということはとてもうれしい。

 毎度のことだが、残念なことが一つある。当然ではあるが、建物は青いシートで覆われていた。同社関係者も「コンクリートと同じではないか」と思わず口にしたように、木なのか鉄なのかコンクリートなのかさっぱり見分けがつかない。

 内部はもちろん美しい。福島産のスギ材を一部使用するなど林野庁もよろこびそうな配慮をしている。ところが、このままの現わしで事業主に引き渡すわけではない。表面は耐火認定を取るためにボードなどで覆われることになる。

 工事関係者にも聞いた。「ここに入所される方は木でできていることが見て分かりますか? 」と。その関係者は「無理でしょうね。我々プロでも一見して木造か鉄なのかの区別はつかない」と答えた。

 いまさら木造の良さについて書かないが、今の耐火・防火基準は全て木の良さを覆い隠すイチジクの葉っぱだ。木が恥部のように扱われるのにものすごく腹か立つ。

 この日から向こう3日間は、われわれ記者も含めて業界や行政関係者など1,000人くらいが見学に訪れるそうだ。せっかく美しい木の建物を造って、それを覆う愚かしさに気づいてほしい。耐火・防火基準はわが国の文化の否定だとも思う。

 外観も少しは木造らしい仕上げをしており、完成するのが楽しみだが、わが国初の記念すべき木造建築物が鉄やコンクリと同じ姿なのを見せつけられるのだろうか。

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「ミッドプライウォールシステム」を採用した壁

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シートで覆われた建物

三井ホーム 国内初の2×4工法による大規模木造5階建て受注(2015/4/3)

 

 

 

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会見に臨む深尾委員長(左から2人目)

 国土交通省は12月8日、横浜傾斜マンション問題に端を発した「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(第4回)を開催。会合のあとで深尾精一委員長(首都大学東京名誉教授)らが会見を行い、データ流用の再発防止策については要因分析、業界の取り組みなどから年内に防止案をまとめるめどが立ったことを明らかにした。建設業界の多重下請け構造が背景にあるのではという問題については、根源的な問題であり、今回の事件と直接的な因果関係が不明であるとし、腰を据えて継続的に検討していく必要があるとした。以下、深尾委員長の発言要旨。

 旭化成建材によるデータ流用があった物件の中から先行調査した82件のうち調査確認中の10件を除き、傾斜、ひび割れなどの不具合はなく、72件は安全性が確認できた。データ流用が判明した物件のほとんどが施工不良には結び付いていないので、データ流用と(横浜のマンションの)施工不良との関係性は低いと判断した。

 再発防止については、喫緊の課題であり、建設業界全体の構造的な課題を含めて広く意見交換した。かなり熱の入った論議ができた。個人的な考えだが、多重下請け構造問題は、長期的にどうあるべきかを考えるべきで、今回の問題とは分けて考えるべきだ。

 論議は①「安心・安全」②業界の風潮・風土、個人の意識③責任体制④設計と施工⑤ハード(機器、装置など)の5つの論点を委員間で共有した。

 ただ「安心・安全」については、国民の信頼を取り戻す必要があり、「安全・安心・信頼」というような捉え方で防止策を考えるべきとの意見があった。

 具体的な再発防止については、日建連が指針の検討を精力的に進めておられるようで、それらの取り組みを踏まえて再発防止策を検討する。杭打ち工事は、地盤調査、設計、施工のそれぞれの段階で責任・役割の分担を明確にし、施工に支障が起きたときやデータ取れなかったときなどの対応策などを明確化すべきという意見がかなり出た。

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深尾氏

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「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」

 三井不動産は12月10日(木)、立川市に西東京エリア初のリージョナル型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」を開業する。7日(月)、開業に先立ってプレス・関係者に公開された。

 同施設は、JR中央線立川駅から多摩モノレール線で2駅の立飛(たちひ)駅と新設の連絡ブリッジで直結した西東京エリア最大級のショッピングセンター。敷地面積は約9.4ha、建物は鉄骨造3階建て延べ床面積約15.4ha。駐車台数は約3,100台。いつも訪れたくなる“居心地のよい空間“を目指す。

 モールには高感度ショッピングからデイリーユースまで、幅広くカバーする250店舗が出店。「音楽」「文化」「子育て」の3つをキーワードに、新たなサービスの提供やショップ間のコラボレーションに取り組んでいく。

 10日には、8時25分から清水庄平・立川市長も出席してオープニング テープカットセレモニーを行うほか、様々なイベントやキャンペーンが行われる。 

 公共交通機関の利用を促すこともあり、12月10日から来年の1月11日までの毎週土曜・日曜日は立飛駅やバスを利用して訪れた人には買物券500円がプレゼントされるほか、先着100名限定で宅配サービスやクロークサービスの半額チケットが当たる抽選もある。

 初年度売り上げ目標は330億円。3,000人を超える雇用が生まれる。

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「テラリウム」(直径10m、中にはシラカシが植わっていた)

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武蔵野美大生によるスペースデザイン プロジェクト

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スペースデザイン プロジェクト

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 立川市に本社を構える「いなげや」の旗艦店「blooming bloomy by Inageya」が、これまでにない売り場や、地元直送野菜や多摩地産を集めた〝さんさん市〟を開くというのでどのようなものか見に行くことにした。

 しかし、ここ10年以上、ほとんどスーパーで買い物をしたことがないので、〝これまでにない〟売り場とはどのようなものかさっぱり分からず、売られている生鮮食品が高いのか安いのかも全く分からず、とりあえず「紅化粧」という名の皮が赤い128円の大根を買い右往左往していたら、「どうですか? おいしいピザを一緒に食べませんか」と声を掛けられた。

 一瞬躊躇した。ピザは好きではないからだ。しかし、断るのは失礼と思い、話を聞くことにした。頂いた名刺には「いなげや専務取締役 営業統括 木村博尚」とあった。しめた!(もちろん「ピザは嫌いでして」などとは口にしなかった)

 木村氏は「わたしがここの責任者。このピザは桜島の溶岩窯で焼いたからおいしいですよ。フレッシュジュースもどうぞ。ここは〝くつろぎスペース〟と呼びまして、買っていただいたものを自由に食べていただくとか、パソコンの利用も可能にします。酒? もちろん結構です。デリカッセンやフレッシュジュース売り場なども新しい試みで、チラシも基本的にまきません。お客さまがお客さまを呼んでくれる店舗づくりをめざします」と話した。

 スーパーがチラシをまかないでどうして集客するのか分からないが、いなげやも含めてこの「ららぽーと立川立飛」は〝今日は何があるかしら〟と行きたくなるような店舗づくりをしているのかもしれない。社に戻って女性に聞いたら、最近の大手スーパーはそのような店舗づくりをしているとのことだった。

 「紅化粧」はあきる野産で、赤いのは皮だけで中身は普通の大根と同じ。皮ごと漬物やサラダにしたらカラフルなものになる。そのままおろしたら、辛くない〝紅葉おろし〟になるかも。普通の大根は1本158円だった。

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いなげや専務取締役・木村氏(久々にピザを食べたが、ネギが入っており美味しかった。キウイのジュースもおいしかった。1杯200円で、ほかより100円は安いとか)

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〝さんさん市〟(手前の赤いのが「紅化粧」。大きさは普通の大根の半分くらいか。その手前のネギは128円、その奥の白菜は250円)

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三越伊勢丹「エムアイプラザ」(買い物かごを持って商品が買えるカジュアルな店ということだった)

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「マンションの豊かな未来への提言」(日比谷コンベンションホールで)

 マンションコミュニティ研究会(廣田信子代表)が11月14日、設立5周年記念のフォーラム「マンションの豊かな未来への提言」を開いた。

 同研究会は、「人の生死に関わる場面、大きな災害時に機能するコミュニティのセーフティネットをマンションに築いていくための活動をする」のが目的で、今回は千葉大学大学院教授で日本マンション学会前会長の小林秀樹氏、全国マンション管理組合連合会(全管連)会長・山本育三氏、弁護士・篠原みち子氏、有明マンション連合自治会会長でブリリアマーレ有明理事長・星川大輔氏らがそれぞれの立場からマンションの未来について提言をおこなった。

 小林氏は、マンション管理を①テリトリアリティ②ガバナンス③軽い相互扶助-の3つの観点から持続的管理とは何かを解き明かした。

 山本氏は、全管連が提唱する「マンション再生法(仮称)」の概要を紹介。マンション建替え円滑化法では欠けている長寿命化の視点から持続可能な社会の構築を目指そうと訴えた。

 篠原氏は、これまでのマンションの歴史と課題について触れ、マンション管理会社が管理組合のよきパートナーとして提案力を持つ重要性を説いた。

 星川氏は、ほとんど住民のいなかった有明地区で初代の管理組合理事長を務めながら近隣のマンション管理組合と連携しながら地域の自治会を設立。〝日本一住みたいマンション〟にするべく活動していることを報告した。

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 ここでは各氏の講話を一つひとつ紹介しないが、いずれも興味深い話ばかりだった。この4氏とコーディネーターとしてパネルディスカッションに参加した廣田氏の話題は当然マンション標準管理規約の改正にも及んだ。それぞれパネリストの声を紹介する。

小林氏 管理組合と自治会の混同を避けるべきというのは当然。役割のちがいをよく認識して客観的に説明できることが肝要。基本的には管理に必要なコミュニティ活動はやっていい。問題が生じたら篠原さんのところに駆け込めばいい(爆笑)

山本氏 あれ(改正案)をそのまま論議なしにコミュニティ条項を削除するところはないのではないか。改正案は経済合理性だけを念頭に置いており、広く合意形成を図るための十分条件ではない。区分所有法の改正も考えていい。再生法をおおいに広めていただきたい

篠原氏 改正されても今まで通りでいい。〝共有は紛争の母〟という言葉があるが、きちんと問題を整理してコミュニティも淡々とやればいい。マンションの価値は交換価値だけで計れない

星川氏 多くの管理組合はコミュニティ条項のことなど知らない。われわれはわれわれの方法でコミュニティ活動を行っていく。楽しくやろうということです(一連の活動でブリリアマーレ有明は中古市場で地域ナンバー1の評価だとか)

小林氏 千葉市は、自治会に加入したくない人を名簿から外して届け出れば管理組合を自治会として認めている

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 記者は、マンションコミュニティ研究会の趣旨に賛同してこれまで何回か勉強会にも参加してきた。研究会のホームページの紹介には次のような文章がある。

 「『村八分』という言葉があります。村の約束事を守らなかった家との付き合いをやめ孤立させるという、農村社会における濃いコミュニティの残酷な一面を表すものです。と同時に、どんなに仲間はずれの状況でも、二分は例外で助けるという決まりだったのです。その二分とは、お葬式と火事の時です。

 現在は、周りと共同しなくても生活できる便利な社会ですが、しかし、どんなにがんばっても人は一人では生きられないし、最後の後始末も自分ではできません。

 核家族が当たり前、単身者も増加し、高齢化、高齢独居も今後ますます増える状況で、マンションにも、二分のお付き合いは絶対に必要です。

 現代の二分は、『孤独死を防ぐ』『大災害時の助け合い』ではないでしょうか」

 誤解を恐れないで書く。「村八分」は権力者が住民を統治する手段として利用してきた側面が大きいのだろうが、住民もまたそれで自治(コミュニティ)を学んだ。地域それぞれの冠婚葬祭が独自の文化も育んできた。みんなが決めたことを守らなければ、その組織からはじき出されるのは当然だ。

 その地域の住民がよしとした社会規範は住民の自決権として認めるべきで、国が関与すべきでないと考える。

 マンション標準管理規約からコミュニティ条項の削除に対してどのようなパブリックコメントが寄せられるかものすごく興味がある。国交省はパブコメを「聞きおく(参考にさせていただく)」にとどめるのだろうか。

 

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 大和ハウス工業は12月21日(月)、創業60周年記念「Daiwa Sakura Aid コンサート」を東京新国立劇場 中劇場で行う。同社は社会貢献活動の一環として2008年から「吉野山の桜を保全する活動」を行っており、今回もその一つ。収益の一部は桜の保全活動に充てられる。詳細は次の通り。

  〈公演日〉2015年12月21日(月)18:00開場 18:30開演

  〈出 演〉KAN / K / ジュスカ・グランペール(opening act)

  〈ゲスト〉佐藤竹善

  〈会 場〉東京新国立劇場 中劇場

  〈入場料〉前売り5400円(全席指定、未就学児童入場不可)

  〈主 催〉大和ハウス工業株式会社

  〈後 援〉TOKYO FM / 奈良県吉野町

 

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久光氏

 1日2~3社、月にして約45社の不動産会社の社長・役員クラスと情報交換している、業界の名物男でマンションコンサルタント会社トータルブレイン・久光龍彦社長に話を聞いた。

 まだ1年を振り返るには早いが、久光氏は「価格競争に走らないで、安価で良質な住宅供給に力を注いではどうか」とデベロッパーに注文し、その一方で、ユーザーには「3P(プレイス、プラン、プライス)のうち今日ほどプレイスが重視される時代はない。立地にこだわらなければもっと快適な暮らしができる」と選択の幅を広げてはとアドバイスした。

 業界で久光氏を知らないというのは〝もぐり〟だろうが、その経歴を少し紹介する。久光氏は現在75歳。17年前に同社を立ち上げたのだが、それまで長谷工コーポレーション専務-長谷工不動産社長-長谷工アーベスト社長-長谷工コミュニティ社長を歴任している。

 いかに業界広しといえども、マンションの川上から川下まで、しかも先頭に立って活躍してきた人というのは久光氏以外にいない。「業界の名物男」と書いたのはそのためだ。

 75歳になって月に45社も回るというのもこれまたすごい。このうち定期的に回るのは15社くらいで、あとは2~3カ月に1回、半年に1回くらいのローテーションで回るのだという。「そりゃ情報の十字路に立っているわけですから神経は使いますし、いい加減な話はしません」という。

 多忙を極める久光氏に業界とユーザーに一言アドバイスを求めた。

 「デベロッパーには、価格競争に明け暮れているのはいい加減にしたらどうかといいたい。金利は安いが、景気はよくないし土地も建築費も高止まり。安価で良質住宅を供給するのが業界の使命のはず」と、もっと商品企画に力を入れるべきと話した。

 ユーザーに対しては、「プレイス、プラン、プライスの3Pが重要なのはわかりますが、50年この仕事に携わってきて、いまほどみんな立地に走っている時代はない。立地にこだわるから価格も上昇する。視点を変えれば快適な住宅が手に入る」と語った。

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◇       ◆     ◇

 久光氏を知らない業界人は〝もぐり〟と書いたが、久光氏の趣味が〝もぐり〟というのを知っている人はそれほど多くないかもしれない。しかも、潜っていなければとっくに〝鬼籍〟に入っていたかもしれないという〝奇跡〟の人でもある(このような失礼な駄洒落が通用するのも、久光氏がいたって元気だからだ)。

 正確に言えば、〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。

 久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。

 この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。

 奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。

 着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。

 このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」

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◇       ◆     ◇

 この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。

 「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。

 1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」

 「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」

 -「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。

 「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」-こんな話も久光氏はデベロッパーの幹部の人と話しているのだろうかと考えると、楽しくなってくるではないか。

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カテゴリ: 2015年度
 

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