住友林業 京都府京丹波町の「森林資源量解析化システム事業」稼動
「森林資源量解析システム」イメージ図
住友林業は3月25日、京都府船井郡京丹波町からシステム構築と運用のコンサルティングを請け負っている「森林資源量解析システム」が3月から本格稼働すると発表した。
京丹波町は林業全般の諸課題を解決する手段として、また地域の森林管理の効率化・高度化に資する重要な情報基盤の整備として「森林資源量解析システム化事業」を実施することになり、事業の一環として同システムが導入されるもの。同社が公募によって事業者として選定された。
航空写真とレーザ測量を組み合わせた航空測量技術を用いて、精度の高い森林資源情報(樹種、樹高、立木本数、蓄積量等)を取得することが可能となり、それらのデータを分析・活用することにより、森林の資源量を的確に把握し、適正な森林管理に繋げることを目指す。
また、京丹波町と京丹波森林組合を結ぶネットワークシステムの導入により、対象区域内の民有林、公有林の森林資源情報の共有が可能となり、実効性の高い伐採計画や林道開設計画の立案・実施に寄与する。
平成27年度のリフォームの契約金額は平均626万円 リ推協が調査
住宅リフォーム推進協議会(リ推協)は3月25日、「平成27年度 第13回 住宅リフォーム実例調査」結果をまとめ発表した。
①リフォーム工事の契約金額の平均は626.2万円(前年度は756.7万円)②リフォームを実施した住宅の取得方法は、戸建てでは「親からの相続など」が前年から5.3ポイント増加③工事の内容は、〝内装の変更〟がトップで、前年度トップだった〝住宅設備の変更〟と入れ替わった④目的は、高年齢層では「老後の備え」、若年層では「中古住宅の購入」の割合が高い⑤契約金額が1,000万円を超えるリフォームのうち3割以上が資金の借り入れを行っている⑥事業規模が大きくなるほど人手が不足している割合が高くなる-などの結果が出た。
調査は、平成26年9月~8月の施工完了物件が対象で、アンケートにより事業者が施主に代わり回答したA票(アンケート送付は9,522件で、有効回答数は2,119票)と、リフォーム事業者が税制優遇策について回答したB票(同6,516件で、有効回答数は1,066票)からなる。
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各社が行うリフォーム、リノベーション、リファイニング見学会などは極力参加するようにしているが、「リフォーム」については素人だ。しかし、「実例調査」報告書を読むと素人だからこそ見えてくるものもある。以下、率直に疑問に思うことなどを記す。
まず、「リフォーム業」とは何ぞやという疑問だ。そもそも「リフォーム業」の定義はなく、全体像はだれも把握していないようだ。国の統計基準として採用されている日本標準産業分類では建設業の中に「建築リフォーム工事業」があり、「主として各種建築物の改装又は軽微な増・改築工事を総合的に行う事業所をいう」とある。
この分類に従った総務省の調査によると、「建築リフォーム工事業」は平成26年7月現在、21,226業者で、従事者数は112,430人、全体の売上高は約9,427億円だ。単純に割ると1業者当たり売上高は約4,441万円、従事者は約5.3人、従事者1人当たりの売上高は約838万円となる。
では、これが正確な「リフォーム業」を捉えた数値かといえばそうではなさそうだ。一般的にリフォーム市場は数兆円とも10兆円ともいわれている。「建築リフォーム工事業」はその一部しか捕捉していないことになる。「建築リフォーム工事業」が「軽微な増・改築工事を総合的に行う事業所」ということであれば、大手の建設業やフォーム会社はこの範疇には入らないのかもしれない。
リ推協や総務省のデータでもわかるとおり、リフォーム業は大手中小が入り乱れ、それこそ玉石混交の世界であることがうかがわれる。
アンケート送付に対する有効回答率は高いほうではないかと思うが、圧倒的多数の無回答の業者を含めたリフォームの実態を反映しいるのかどうかはやや気になる。
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リフォーム工事に関する税制優遇措置についてリ推協は尋ねているが、「あまりよく知らない」「知らない」は45.2%にも達する。税制優遇措置の活用状況でも、「活用するつもりはない」「わからない」が34.5%もある。税制優遇措置の効果については、「あまり効果はない」「わからない」が55.41%あり、その理由として「住宅ローンを利用する施主が少ない」が57.5%というのはともかく、「手続きが面倒で経費がかかるため、使いにくい」が37.4%、「内容が複雑で理解しにくい」が33.3%ある。
いま流行りのインスペクションについては、国交省の「ガイドラインを知らない」業者が31.4%にものぼり、リフォーム瑕疵保険の利用が少ない理由として「施主からの要望がないため」が48.8%あり、「保険費用の負担軽減」を求める声が49.0%あった。
この調査結果はリフォーム業の現状を如実に物語っていると思う。税制優遇措置を知らないとか、手続きが面倒などというのは業(と呼べばだが)ではない。「ガイドライン」の存在を知らずして、どうしてまっとうなリフォームが行えるのか。ユーザーが知らないからこそプロとして提案営業を行い、1件当たりの受注単価を引き上げようとするのが普通の業者だ。それがまたストックの質の向上にもつながる。住宅は社会財ということを業界の方々に考えてほしい。
と、ここまで書いて、先日、優良ストック住宅協議会会長・和田勇氏(積水ハウス積水ハウス会長兼CEO)が「中古住宅という呼び名はイメージが悪い。もっと素敵な名前に変えようではないか」と呼び掛けたのを思い出した。呼称変更は「中古住宅」もそうだが、「リフォーム」こそ変えたほうがいいのではないか。
同床異夢の実態まざまざ 野村アーバン「定年退職後の夫婦の生活」調査
野村不動産アーバンネットが「定年退職後の夫婦の生活」と題する意識調査結果をまとめ公表した。
厚生労働省「2015年 高年齢者の雇用状況」集計では、60歳定年の企業の定年到達者のうち、継続雇用された者は82.1%に達している一方で、役職定年制を導入する企業も増えており、50代から働き方が大きく変わりつつある家庭に焦点を当て調査したもの。調査対象は首都圏、関西圏に在住するサラリーマン・元サラリーマン世帯の50代~60代の夫婦。有効回答数は2,060人。
①定年後のイメージについて、妻は夫よりも、定年退職後の生活にネガティブなイメージを持っている②夫婦円満の秘訣について、夫婦生活の幸福を実感できる3つの習慣は「できるだけ会話をする」「一緒にご飯を食べる」「相手を尊重する・思いやる」③定年準備について、退職準備の3つのお役立ちキーワードは「住まい」「趣味」「健康」④定年後の住まいについて、定年したからこそ住みかえたくなる3つの理由は「バリアフリー」「子供との近居」「今の家が広すぎる」-などが詳細に報告されている。
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レポートは10ページに上るもので、まず、ポジティブな項目では14項目のうち13項目で夫の回答が妻よりも多い結果となったと報告。定年後「自分の趣味や楽しみを第一に生活を送れそう」は夫の48.5%がイメージしているのに対し、妻は27.7 %となり、「自分の夢や目標に思う存分チャレンジできそう」とイメージする夫が37.2%なのに対し、妻 は18.6%となっている。
一方、ネガティブな項目では、16項目のうち14項目で夫より妻のほうが多くイメージしている。
「親の介護など時間が増えそう」と妻の40.0%が答えたのに対し、夫は23.9%で、「病気や体力の衰えなど健康面での不 安が増えそう」は妻の71.2%がイメージするのに対し、夫は57.4%となった。
レポートは、この差について「長いサラリーマン生活から一転、新たな生活への期待感を感じている男性に対し、女性は、より現実的な心配事が頭に浮かんでいる」としている。
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ズバリ記者自身のわがまま、身勝手を突かれているようで読み進むのが結構つらいレポートだ。同床異夢とはこのことを言うのだろう。
調査結果の詳細は、60歳からの住みかえサイト「ノムコム 60→」(http://www.nomu.com/60/survey/vol02_1.html)で紹介されているのでそちらをどうぞ。
三井不動産 ロジスティクス事業 22棟開発 累計投資額は3000億円に
事業について説明する三木氏(ミッドタウン東京で)
三井不動産は3月24日、新たなロジスティクス事業として5棟の開発を行うと発表。2014年に同事業に参入して以来、開発・運営する施設は稼働施設が10棟、開発中が今回の5棟と合わせ12棟になり、合計で22棟、総延べ床面積は約200万㎡となった。これまでの総投資額は約3,000億円に達する見込み。
同社執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏は、「4年前は4人でスタートしたが、現在のスタッフは50名。竣工済みの施設は100%稼働している。 今後も年間3~4物件を目安に開発していく。業界では供給過多で空室率の上昇が懸念されているが、確かに4年前と比較して入札物件の土地代はほぼ倍増して いる印象を受けている。物件によっては空きが出てくると思われる。当社の物件は全て稼働率100%になっており、今後も利便性を重視した戦略エリアを絞り 込み、高値落札されるような入札には参加しない。わたしどものような空調設備付きエリアを用意(茨木)したり、デザインにこだわったりする施設は全体で 5%くらいしかない」と、他社との差別化をアピールした。
昨年10月に竣工した「三井不動産ロジスティクスパーク日野」では、約20,000 ㎡の緑地を整備し、地域の皆さまがくつろげる広場や遊歩道を備えた開発を行い、今年4 月には敷地内に認証保育所を開園する予定。また、今年9月に竣工する「三井不動産ロジスティクスパーク船橋Ⅰ」では、JR 京葉線や東関東自動車道からの景観を意識し、海に面した船橋地域のダイナミックな「SKY(空)」をイメージしたデザインを壁面に採用する。
ロジスティクス事業のあるべき姿や思いを表現するために、事業ステートメント「ともに、つなぐ。ともに、うみだす。」を策定した。
コスモスイニシア 五重奏の新座「CUBE17」が完成
「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」
コスモスイニシアは3月23日、同社がプロデュースした埼玉県新座市のコミュニティ形成支援付賃貸住宅「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」のメディア向け竣工見学会を行なった。外構工事が遅れており、この街の最大の特徴であるランドスケープデザインは完成していなかったが、同じ形状の建物をランダムに配し、各住戸の垣根を取り払うことでオープンスペースにしたプランが素晴らしい。いまのところ入居が決まっているのは5戸だそうだ。
リビング
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この住宅については既報の記事をぜひ読んでいただきたい。
まず、ランドスケープデザイン。敷地の形状はL型で、この形に添って幅6mの道路(中央側溝)を整備し、その周囲に全17棟の形状が同じ建物をランダムに配している。空いたオープンスペースにはシマトネリコなど40本以上の樹木を植え、300株以上の低木も採用する。電線は地中化し、建物の外壁はカラマツの下見板を、配管などのドレーンも同じカラマツを貼ることでアクセントとしている。
建物の専用面積は全て約75㎡。1階の天井高を約2.8m確保し、天井と床のフローリングはヒノキの無垢材、天井は国産材の集成材のあらわしを採用している。
前回は、四重奏(カルテット)、五重奏(クインテット)のかつてない賃貸戸建てと書いたが、敷地内の緑が成長する5年、10年先にどのような姿になっているか想像するだけで楽しくなってくる。同社はしっかりタクトを揮うはずだ。
建物外壁
周辺の畑
コスモスイニシア オーナー、建築家、施工、入居者と五重奏の賃貸戸建て「新座」(2016/12/6)
内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上 慶大・伊香賀教授が実証
講演する伊香賀教授(スウェーデン大使館で)
スウェーデン&スウェーデンハウスのイベントで報告
スウェーデン大使館は3月7日~20日、森林をテーマとするイベント「Treasures of the Forest ~森のタカラ、未来のチカラ~」を開催したが、その一環として16日に行われた、わが国で唯一「スウェーデン」を企業名に用いているスウェーデンハウスの協賛イベンドを取材した。
当日は、スウェーデン大使館駐日大使 マグヌス・ローバック閣下がご来席。開会の祝辞として「木の家に住むことで健康になる元気になることは明らか。重要なのは森林を大切にし、木の家を都会に普及させること。その点で、わが国の森の恩恵を一番受けているのはスウェーデンハウスにお住まいの方ではないか。セミナーの成功を願っている」と話された。
スウェーデンハウス社長・岡田正人氏は、「スウェーデンから名前をいただいている日本で唯一の会社としてイベントに参加させていただき、このような施設(Alfred Nobel Auditorium)を使わせていただいてとても感謝している。大使閣下からはお褒めの言葉をいただいたが、住みよい心地よいスウェーデンの住宅を供給するのがわが社の使命。これからも頂いた宿題に応えていく」と挨拶した。
Alfred Nobel Auditorium
スウェーデン大使館駐日大使 マグヌス・ローバック閣下
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イベントは2部構成で、1部では同社取締役営業本部長・三宅英仁氏、開発部副部長・織田茂氏、開発部グループリーダー・内藤佳之氏が同社の事業概況、ZEHの取り組みなどを紹介し、2部では慶大教授・伊香賀俊治氏が「データで読み解く健康な住まい」と題して講演を行った。
1部の内容については省略する。同社が建てた千葉・大多喜のサ高住は素晴らしい。「2016オリコン日本顧客満足度ランキング」で2年連続してトップになったのもよくわかる。
百聞は一見に如かず。同社の住宅・建築物がどれだけ快適であるかを肌で感じさせることができるかが成長のカギを握っている。
その後押しをしたのが伊香賀氏だ。伊香賀氏は1時間30分の間に、長年にわたって研究されてきた貴重なデータを示した。10はくだらなかったと思う。これを一つひとつ紹介したら記事を書くのに半日どころか1日でも足りない。
エッセンスだけ紹介する。もっとも新しい調査・研究の成果は、伊香賀氏とナイス、横浜市の共同プロジェクト「スマートウェルネス体感パビリオン」での実験テータだ。伊香賀研究室は内装を木質化することで熟睡時間が木質化ゼロの室内より13~17分(木質化ゼロを100とした場合12~16%増)長くなり、知的生産性も7.0~8.2ポイント(同16~18%増)もアップすることを実証した。
このほか、高断熱住宅が健康寿命を4歳延伸すること、断熱と暖房使用で身体活動が1日当たり約1400歩促進された新居浜市の実証実験結果、断熱工事に100万円投資すれば、光電熱費だけでなく健康維持の便益を考慮すれば16年で投資は回収できることなどを報告した。
スウェーデン大使館中庭(外壁には木材が用いられている)
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伊香賀氏が示した「日本でも温暖な県ほど冬の死亡増加」というタイトルのデータには異論を唱えざるを得ない。
伊香賀氏は冬の寒さに備える高気密住宅の普及力を示しながら説明したもので、冬季の死亡率が47都道府県でもっとも低い北海道や2位・青森、4位・新潟、5位・秋田などの普及率が高く、温暖エリアの広島(7位)は県の医師会の寒冷に対する注意喚起の取り組みも大きいとした。沖縄が3位というのは、そもそも冬季でも寒くないからだろう。岩手県が中位くらいなのも、青森などと比較して高気密住宅の普及は進んでいないのだそうだ。
一方で、冬季に中央山脈の影響を受ける栃木県(ワースト1)や茨城県(同2位)、山梨(同3位)というのもよくわかる。栃木の冬の寒さは身に染みている。掻巻(かいまき)を着ないと冬は眠れない。朝起きるとトイレ、水道の水が氷る。それだけ冬の寒さに対する対応がされていない住宅が多いということだ。栃木、茨城、山梨は火災が多い県でもある。寒さ対策、火災予防をあまり考えない県民性のようなものがあるのかもしれない。
ではわが故郷・三重県がワースト5位にランクされているのはなぜか。静岡県もワースト7位だ。これは合点がいかない。「伊勢乞食」と言われるように気質が穏やかなのは間違いないが、冬の寒さに耐えられないほど体力がないとも思えない。ならば「近江泥棒」の滋賀県もどうしてワースト8位なのか。「泥棒」も「乞食」も寒さには弱いということでは一緒なのか。
さらに不思議なのは、居住水準がもっとも高い北陸3県では、石川県が8位で、富山県は24位、福井県は35位だ。この差もわからない。沖縄とは環境が異なるのだろうが、鹿児島がワースト6位というのも解せない。
そんなこんなの疑問から、「先生、わたしは室内温度もあるかもしれないが、それより食生活、労働などからくるストレスなどの複合的要因が大きいのではないか」と質問した。
伊香賀氏は「おっしゃる通り、塩分の取りすぎなども影響があることが分かっている。今後、医学的な知見も踏まえ研究を続けていく」と話した。栃木県の冬がものすごく寒いことでは意見の一致を見た。
伊香賀氏が示したデータ
左から町田ひろ子氏、マグヌス・ローバック閣下、岡田社長
ナイス、環境・健康が学べるパビリオン 「木造のよさ医学的に証明する」(2015/10/29)
三井不リアルティ さいたま市と環境配慮・非常時対応型駐車場整備で協定
協定書を交す三井不動産リアルティ執行役員・片岡純市氏と清水勇人さいたま市長
三井不動産リアルティは3月18日、さいたま市が進めている環境配慮・非常時対応型駐車場の整備・拡大、利活用の取り組み「E-KIZUNA Project(イー・キズナ・プロジェクト)」を共同で推進していくことで合意し、協定を締結した。
協定の締結に伴い、災害時にも電力供給が可能で、商用電力の電源供給ができない場合でも運営を持続可能な「レジリエンス対応型駐車場」を武蔵浦和駅前に開設した。
通常の「三井のリパーク」事業地より高性能かつ大規模なソーラーシステムを使用することで、事業地内の全ての機器(自動販売機を除く)への電力供給を可能とし、災害時に商用電力が途絶えた場合でも蓄電池内の電気を使うことで駐車場運営を継続することができる。
さらに、場内に設置されている電気自動車充電器を用い、災害時にも電気自動車への充電および電気自動車による電気の持ち運びが可能になる。また、事業地の前面道路が災害時等に「緊急輸送道路」となるため、緊急車両通行時などには、ゲートを開放することで路上車両の一時移動先として利用できるようにする。
「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」
清水市長を中心に左から3人目が風間氏、4人目が品川氏、右から3人目が宮沢氏(さいたま市役所で)
さいたま市は3月18日、市のコンペに採択された埼玉県住まいづくり協議会の「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区発表会」を行なった。
「モデル街区」は、「低炭素・レジリエンス・コミュニティ」を核とした「美しく、安全・安心で、快適・便利な街づくり」を「公民+学」が連携して進めていく「美園」エリアのキックオフプロジェクトとして位置づけられており、市のコンペに当選した同協議会の会員である中央住宅が21戸、アキュラホームと高砂建設がそれぞれ6戸を建設する。
発表会にはさいたま市長・清水勇人氏、埼玉県住まいづくり協議会会長・風間健氏(高砂建設社長)、中央住宅社長・品川典久氏、アキュラホーム社長・宮沢俊哉氏が出席。
清水市長は、「『美園』をきっかけにスマートシティさいたまモデルを全市内に広げ、近い将来には国内外で展開していきたい」と話した。
品川社長は「これまで美園エリアで400棟の分譲実績があり、地域を熟知している。スマートホーム、コミュニティ支援にも力を入れており、入居後もしっかりサポートしていく」と自信をみせた。
宮沢社長は「創業以来37年間、埼玉県で事業を行なっており、ここで育てられた。わたしの自宅もさいたま市。わたしどもはものづくりの観点から連携していいものをつっていく」と、「さいたま」をアピールした。
風間社長は「地元でコツコツやってきてチャンスを与えていただき感謝している。誰よりも地元に愛着がある。いろいろ教えてもらいながら街づくりに貢献したい」と抱負を述べた。
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以下は怒りに任せた文章なので、不愉快に思われる方もいらっしゃると思いますので、ご興味のある方だけお読みください。
発表会は冒頭の清水市長による事業説明から、事業パートナー3社社長の挨拶まで約20分(動画除く)。この間「日本初の電線地中化」「全市内にとどまらず、近い将来、国内外にさいたまモデルを展開していく」「日本一の街づくり」「先導的取り組み」「世界に誇れる」などの威勢のいい言葉が飛び交った。数えたわけではないが全体で10回くらいはあった。
「スマートシティさいたまモデル」「美園タウンマネジメント」「アーバンデザインセンターみその」「HEAT20さいたま版グレードⅡ」「レジリエンス」などの固有名詞、専門用語もたくさん登場したが、資料配布もなく、具体的中身が示されなかった。
美園のキャラクターらしい子どものクロネコをナビゲーターにした動画もいまひとつだった。子ども視線で街を紹介するのはいいが、どうして子ネコが「コモンスペース」「縁側」「フットパス」「雨水利用」「低炭素」「レジリエンス」などの言葉を使い、「時間がゆったり流れている」などとしゃべるのか。日本初の電線地中化については、「詳しいことは近くの大人に聞いてよ」と突き放した。親ネコとの対話の形にすればまだよかった。
これだけではない。発表会のあと三井不動産リアルティ執行役員・片岡純市氏と清水市長の「E-KIZUNA Project協定」締結式が予定されていたが、発表会が終ってすぐ報道陣は別室に誘導された。記者は随分失礼なことをするなと思ったが、誘導に従った。そのあと再び会見場に戻るよう促されたのだが、戻った記者は最初のときの半分以下だった。
これには堪忍袋の緒が切れた。国会議員じゃあるまいし、こんな失礼なことがあるか。怒りはそのあとの質疑応答の場で爆発した。
「日本初だとか日本一だとか、国内外で展開するなどの言葉の裏づけ、根拠を示して欲しい。そうでなければ記事は書けない。不動産広告に根拠を示さず『日本初』『日本一』とやったら完全にアウト」と迫った。
記者は、質疑応答でいつも心がけているのは①どのような答えが返ってくるか分からない質問はしない②出席者が話したい、聞いて欲しいことを引き出す③同業の記者にも知ってほしいしいことを聞く-この3点だが、質問に対して返ってきた答えは「時間がなかった」だった。(開発が始まってから十数年が経過する。コンペに手を挙げたのはこの3社だけというのが全てを物語っていると思う)
唯一「日本初」の根拠が示されたのは、公有地、公道ではなくコモンスペースを利用した民地の地下に電線を敷設することが「日本初」なのだそうだ。
そんなこんなで、「美園地区スマートホーム・コミュニティ整備事業」が「日本一」になるか、「国内外に展開できる」事業かどうかは保留する。今秋にはモデルハウスなどを分譲するというから、しっかり見学してレポートしたい。
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私憤をぶちまける内容になったが、記者だって暇じゃない。昼食も食べていなかった。夜、新宿で食事をしたが、医者から「日本酒は飲むな」と言われているので、「南部美人」を1合だけ注文した。女性店員は「1号? 2号? 」と気に障る言葉を吐いた。食事はかみさんが「梅」を2人分注文した。店員は「梅でよろしいんですか」と2度押しした。周囲の人に聞こえる大きな声だった。(慇懃無礼者!)「中古住宅」もそうだが、「松竹梅」の呼称を改めるべきだ。
開発スピードを上げる起爆剤へ ポラス「ボゥ ヴィラージュ浦和美園」1期は即完(2016/2/29)
「マンション適正化指針改正は大きな前進」 管理協・山根理事長
中央が山根理事長(マンション管理協で)
国土交通省が3月14日公表した「マンションの管理の適正化に関する指針」(告示)及び「マンション標準管理規約」(局長通知)のマンションコミュニティ条項に対してマンション管理業協会・山根弘美理事長は3月18日、「指針に区分所有法第30条に則りという文言が盛り込まれたのは大きな前進。コミュニティ活動についても、われわれは管理組合に寄り添い粛々と行っていく」と述べた。
また、大島宏志専務理事も「管理組合が主体的に判断してコミュニティ活動を推進していくということでは標準管理規約との齟齬もない」と語った。
同法第30条では、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」としており、「指針」では「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」という文章が盛り込まれた。
いま問題になっている「民泊」について、山根理事長は「民泊に反対しているわけではないが、管理規約で『専ら居住』となっている組合は、少なくとも規約を改正するなどの適正な手続きを経るべき」と話した。
大山鳴動…コミュニティ条項は玉虫色決着 国交省が大岡裁き(2014/3/15)
国土交通省 「マンション適正化指針」と「標準管理規約」改正を公表(2014/3/14)
「中古住宅」呼称変更を 和田勇・スムストック会長が提案 国交省も動き出す
「中古住宅」の呼称変更に動き出す-優良ストック住宅協議会会長・和田勇氏(積水ハウス積水ハウス会長兼CEO)が「中古住宅という呼び名はイメージが悪い。もっと素敵な名前に変えようではないか」と3月15日に行われた同協議会主催のシンポジウムで提案したが、国土交通省も呼称変更に本気に乗り出す姿勢を見せている。
和田氏の発言は、「スムストック レポート2016 ~既存住宅流通に新しい流れをつくれたのか~」のシンポジウムの開会あいさつや、その後の懇親会で出たもので、来賓としてあいさつした国交相も経験している金子一義衆院議員は、「確かに中古住宅という呼び名は汚い古いというイメージがある。プレミアム住宅はどうか」と応えた。和田氏は「プレミアムも悪くはないが、やはり日本語の冠がいい」とつぶやいた。
また、由木文彦・国交省住宅局長も「省内では27年度から中古住宅を既存住宅にするようにしたが、もっといいネーミングは民間で考えていただきたい」発言した。
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冗談だろうと聞いていたが、スムストックの旗振り役で積水ハウスの会長がみんなを笑わすためだけに発言したとは思えない。
そこで国土交通省住宅局に聞いてみたが、呼称変更はあり得ない話ではなさそうだ。
由木氏も話したように、26年度まで用いていた「中古住宅市場活性化…」などの「中古住宅」という文言をを27年度では「既存住宅・リフォーム市場の活性化」など「既存住宅」に変更している。同省は、「今後呼称や愛称などを含め論議していただいて流通市場の活性化につなげていきたい」としている。
民間の不動産流通経営協会(FRK)でも、平成17年度までは報告書などで「中古住宅」としていたものを18年度から「既存住宅」に変更している。
ただ、不動産流通大手の各社のホームページでは「中古マンション」「中古一戸建て」などとなっており、「既存マンション」「既存一戸建て」にはなっていない。
記者は「新築」も「中古」も一緒だと思う。「中古」がいやなら賃貸など借りられないだろうし、ホテルにも泊まれないではないか。使い古すほどに味が出るのは人間も住宅も一緒だ。意識をどう変えるかだ。
昭和24年に施行された盗品を防ぐのが主目的の「古物営業法」の対象には「住宅」は含まれない。「住宅」は盗むのが難しいと判断されたのだろう。昭和27年施行の「宅建業法」にも「新築」「中古」の文言はない。「新築」「中古」の区別などあまりなかったのではないか。