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「金沢シーサイドタウン」藤本昌也氏が担当した住宅

 横浜市立大学が3月12日行った「わが国の『すまい』と『まち』の関係を問い直す~横浜市金沢シーサイドタウン見学会&討論会~」を取材した。わが国を代表する建築家の槇文彦氏、藤本昌也氏、故・宮脇檀氏、故・内井昭蔵氏、故・神谷宏治氏などの斬新で意欲的な建築物に接し感動した。ランドスケープデザインも素晴らしく、こうした優れた街を次世代に継承する必要性を強く感じた。

 見学会&討論会では、同大学国際総合科学部国際都市学系まちづくりコース准教授・中西正彦氏がナビゲーターとなり、金沢シーサイドタウンの街づくりに関わった芝浦工大教授・中野恒明氏のほか、蓑原計画事務所・蓑原敬氏、東京大学准教授・中島直人氏が街の説明を行い、討論会でそれぞれ話し合った。

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左から中西氏、蓑原氏、中島氏、中野氏

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故・宮脇檀氏が担当した住宅

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故・内井昭蔵氏が担当した住宅

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岡本太郎の壁面アートがある「並木幼稚園」

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 「金沢シーサイドタウン」は横浜市金沢地先の埋め立て地約660haの一角約82haに神奈川県、横浜市、住宅公団などによって昭和50年代の前半に整備された約10,000戸の大規模ニュータウンで、建設後40年近く経過し居住者の高齢化・人口減少などか顕在化。需要ニーズの変化もあり、空き家の発生なども懸念されている。

 同大学は3年前に文科省の補助を受けてまちづくり拠点「並木ラボ」を設置。都市デザインの取り組みを振り返るとともに、地域のコミュニティ支援活動を行っている。

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タウンハウス内の歩道空間

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中野氏が担当した「4面開口のタウンハウス」

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 まず、写真を見ていただきたい。槇文彦氏が設計した「並木第一小学校」、岡本太郎の壁面アートがある「並木幼稚園」、中野氏が槇総合計画事務所時代に実施設計を担当した「4面開口のタウンハウス」、団地中央の塩水と淡水が交じりあうふなだまり、2戸1エレベータの高層住宅、建築家4氏の競演による低中層住宅など、いまよりはるかに優れたランドスケープデザイン、住宅ばかりだ。

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槇文彦氏が設計した「並木第一小学校」

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 これほど優れている団地(街)なのに、どうして人口が減り、高齢化が進み、街の活力が失われつつあるのか。「シーサイドラインは交通の便がよくないと思われており、実際に東京の都心に通うには少し遠い。また、そもそもこの街が地区外の方々に知られていない」(中西氏)のはなぜか。地先のある工場勤務者の「職住近接」団地になっていないのはなぜか。利用者減・人口減少を理由にバス路線が縮小されるのはなぜか。商売だからしようがないのだが、大型スーパーが撤退するのはなぜか。これほど景観が美しく、優れた住宅ばかりなのに人気が上がらないのか。仲介会社はちゃんと団地の価値を評価しているのか。記者にとっては謎だらけだ。

 中層にはエレベータがなく、コンビニなど商店が少ないのはマイナスだが、それらのマイナスを埋め、余りある特長があるこの団地は正当に評価されていい。見学会の途中、90㎡で2,380万円のオープンハウスの立て看板があった。金沢八景の新築マンションの3分の1くらいの評価だった。

 討論会では、中野氏が「環境価値をもっと評価すべき。こうした郊外住宅が若い人にどう評価されるのか、期待もしたい」と語り、蓑原氏が「中層にエレベータをつけよという話があるが、公的住宅ならいざ知らず、民間のマンションでは合意形成ができない。(わが国の絶対的な排他的な土地所有制度など)住宅・社会政策を変える時期ではないか」と話したのが心に残った。

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まちづくり拠点「並木ラボ」で団地について説明する中西氏

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ふなどまりと〝2戸1〟エレベータ(両面パルコニー)の高層マンション

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ふなだまりに集まっていた小鳥

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ランドスケープデザインもいい勤住協のマンション

カテゴリ: 2015年度

 玉虫色とはこのことを指すのだろう。国土交通省が示した「マンションの管理の適正化に関する指針」と「マンション標準管理規約」に関する「コミュニティ条項」がそれだ。右でも左でも、白でも黒でも、勝者でも敗者でもない、見方によってどちらとも解釈できるという意味だ。

 「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫政策研究大学院大学教授)がまとめた報告書では「マンションコミュニティ条項」は財産管理が目的の管理組合には相容れないとして排除することを求めていたのに対し、全国の管理組合や業界団体が「コミュニティ活動は車の両輪」として真っ向から反発。結局、国交省は双方の主張を取り込み、大岡裁きともいえそうな玉虫色の裁定を下した。

 ただ、マンション管理組合や管理会社の現場では解釈に迷いそうで、コミュニティ活動が委縮する可能性も否定できない。

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 検討会は平成24年1月に立ち上げられたが、その冒頭、委員がマンション管理会社をコピー機の納入業者に例え、安く納入してトナーの交換などで儲けるなどと揶揄して反発を買い、さらにはその後の会合で、委員の質問に答えられなかったオブザーバーを「落第生」呼ばわりするなど険悪な状態となる場面もあった。検討会は意見がまとまらず空中分解するかと思われたが、2年半の中断の末再開され、最終報告が昨年3月にまとめられた。

 パブリックコメントに対する質問が760件にも上ったことからも、問題の大きさ、関心の高さをうかがわせた。

 総務省の調査によると、平成20年度の行政手続法に基づく意見公募手続に対する1案件当たりの提出意見数は約24件で、内訳は「なし」が47.8%、「1~10」が36.5%、「11~20」が6.2%、「21~50」が4.7%、「51~100」が1.6%、「101~500」が1.7%、「501以上」が6件(0.6%)となっている。

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 「マンションの管理の適正化に関する指針」の告示では、コミュニティについて次の通り明快な指針を示した。

 「マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい」という文言が盛り込まれた。

 これを担保する法律として、「管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、『マンション標準管理規約』を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じ、その改正を行うことが重要である」としている。

 さらに、「マンションにおけるコミュニティ形成については、自治会及び町内会等(以下「自治会」という。)は、管理組合と異なり、各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意するとともに、特に管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用することが必要である。なお、このように適切な峻別や、代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない」としている。

 この「指針」だけを読めば、コミュニティ形成は極めて重要であり、法律に違反しない限り、「最高自治規範」として「自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない」としており、これまでよりさらに踏み込んでいると解釈もできる。

 しかし、「マンション標準管理規約」の改正では、〝行過ぎた〟コミュニティに釘を刺し、具体的に次のように改正ポイントを示した。

 「『地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成』との表現には、定義のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会費を管理費として一体で徴収し自治会費を払っている事例や、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった」とし、「自治会又は町内会等への加入を強制するものとならないようにすること」「自治会又は町内会等への加入を希望しない者から自治会費又は町内会費等の徴収を行わないこと」「自治会費又は町内会費等を管理費とは区分経理すること」「管理組合による自治会費又は町内会費等の代行徴収に係る負担について整理すること」などを求めている。

 このように、「指針」と「標準管理規約」はそれぞれが疑問を差し挟む余地がなくほぼ完ぺきである。しかし、組合活動と自治会活動を峻別するということは極めて難しく、どこで線引きしていいのかわからない。組合活動を経験すればだれでもわかることだ。

 その一方で、標準管理規約で行き過ぎにブレーキをかけている。これでは管理組合(居住者)が言葉は悪いがまた裂き状態に置かれる。正直に言えば罪作りな「指針」と「標準管理規約」だと思う。現場は混乱するのではという懸念が残る。

国土交通省 「マンション適正化指針」と「標準管理規約」改正を公表(2016/3/14)

カテゴリ: 2015年度

 国土交通省は3月14日、「マンションの管理の適正化に関する指針」(告示)及び「マンション標準管理規約」(局長通知)を改正し、公表した。「指針」「規約改正」に対するパブリックコメント(意見募集)は125の個人・団体から760件の意見があった。

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 午前中に記事を書いたように、マンション管理協が先週の金曜日に石井国交相に要望書をだしたので何かあると踏んだのだが、タイミングがいいのか悪いのか、この日(14日)、国土交通省から「マンションの管理の適正化に関する指針」に関する告示と、「マンション標準管理規約」の改正が公表された。現時点で内容は全く読んでいないが、コミュニティ条項(第27条、第32条等)に関する部分のみをコピー&ペーストする。

【意見】

・適正化指針に、初めて、管理組合がコミュニティ形成に積極的に取り組むことの重要性が明記されたことを評価する。

・標準管理規約において管理組合の業務からコミュニティ活動を削除しながら、適正化指針で良好なコミュニティ形成を積極的に展開すべきとするのは、一貫性を欠いている。

・適正化指針で良好なコミュニティ形成を積極的に展開すべきとしながら、標準管理規約において管理組合の業務からコミュニティ活動を削除するのは、一貫性を欠いている。

【国土交通省の考え】

・「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」報告書では、自治会費や飲食等への管理費の支出をめぐる訴訟などのリスクに鑑み、コミュニティ活動に係る条項を削除すべきと提言されています。

・国土交通省としては、同報告書に基づき、コミュニティ条項は削除する一方、防災・防犯や、美化・清掃、緑化・景観形成、生活ルールの調整など、居住環境の維持及び向上に資するコミュニティ活動には、支出可能であると考えています。

・管理費は強制徴収されるものであり、自治会費、主として親睦目的の飲み会、一部の者のみに対象が限定されるサークル活動に対して支出するのは、適切でないと考えています。

・他方で、マンション及び周辺の居住環境の維持及び向上に資する活動には、支出可能であると考えており、その範囲内におけるイベント等への支出の是非については、各管理組合での合意形成によるべきものと考えています。

・適正化指針と標準管理規約の記載に一貫性がないとの指摘を多くいただいたため、適正化指針の記載について、管理組合が行うコミュニティ形成は、区分所有法に則るものであることを明らかにし、その他重複記述の整理、住生活基本法等にあわせた表現ぶりの修正を行いました。(なお、「建物の区分所有等に関する法律に則り」と記載した点については、区分所有法第3条、第30条等の区分所有法の規定を全て指し示しているものです。

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 規約改正は、区分所有法第30条(規約事項)「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる」ことを追認したものとも理解できる。

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 マンション管理業協会(マンション管理協、理事長:山根弘美氏)は、3月9日、石井啓一国土交通大臣に対し要望書を提出。高経年化マンションに対する支援措置、外部専門家活用についてのガイドラインの提示、〝民泊〟に対する管理組合の意向尊重などを求めた。

 これに対して石井国交相は、「標準管理委託契約書の改訂及び外部専門家活用についてのガイドライン作成について、検討を進めていきたい。また“民泊”については、管理組合等の意向を尊重し十分な配慮をしていきたい」と発言した。

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 今回の要望書提出は、いま問題となっている標準管理規約からコミュニティ条項を削除することに対して行われたのかと早合点したが、まったくそうではなかった。山根理事長以下10人の理事が出席し石井大臣と話したが、管理協・広報によると生臭い話は一切出なかったそうだ。

 

 

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 東日本大震災から間もなく5年が経過する。仙台市を中心とする一部の市町を除き、一貫して人口が減り続いていた太平洋岸の被災地人口が初めて増加に転じた。2万人ともいわれる復興事業に従事する人と、その関連の関係者などが数値を引き上げた可能性も大きく、定住人口が増加に転じたと結論づけることはできないが、明るいデータではある。

 別表は、東北3県の推計人口調査をもとに太平洋岸の39市町村の人口動態をみたものだ。平成28年2月現在のエリアの総人口は約254.7万人で、昨年同月の約251.5万人より1.3%、3.2万人増加。一昨年の水準にほぼ戻した。

 市町村別では、39市町村のうち過半以上の22市町村で増加。昨年の調査では、人口が前年比で増えたのは仙台市とその周辺の多賀城市、名取市など4市にとどまったが、今年の調査では、減少したのは17市町村にとどまり、大きく様変わりしている。

 増加率が高いのは8.8%増の相馬市を筆頭に洋野町(7.5%増)、いわき市(7.1%増)、新地町(6.7%増)、大槌町(6.5%)など。減少率が高いのは広野町(14.0%減)、南三陸町(10.5%減)、南相馬市(9.3%減)、女川町(8.0%減)など。

 震災前との比較では、増加しているのは利府町(5.6%増)、名取市(5.1%増)、仙台市(3.5%増)、いわき市(2.2%増)など6市町。減少率が高いのは女川町(37.7%減)、南三陸町(30.6%減)、山元町(26.7%減)、広野町(20.8%減)、大槌町(18.9%減)など。13市町が2ケタ減少している。39市町村全体では震災前より1.9%、約4.8万人減少している。

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 推計人口は、国勢調査人口に住民基本台帳に基づく日本人及び外国人の自然増減、社会増減を加減して算出したものだ。表中の今年2月の推計人口は昨年10月に行われた国勢調査のテータがもとになっており、昨年2月の人口は平成22年の国勢調査のデータがもとになっている。もととなるテータが異なるので、正確な比較ではないことを断っておく。

 また、住民登録されている住民基本台帳人口(住基人口)とも異なる。学生などは住民票を移動せず、大都市に移り住むケースが多いので、大都市ほど推計人口が多くなる傾向がある。

 仙台市を例にとると、同市の今年2月の推計人口は約108.3万人だが、住基人口は約105.6万人となっており、その差は約2.6万人もある。 

 この約2.6万人がどのような人かはわからないが、震災復興にかかわる仕事で市外からの転入者が多数含まれることは容易に想像がつく。同じように、前年同月比7.1%増の約34.9万人のいわき市の昨年1月の住基人口は約33.3万人だ。約1.6万人の差がある。

 逆に郊外部の被災地は推計人口より住基人口のほうが多い傾向を示している。南三陸町の推計人口は約1.2万人だが、住基人口は約1.4万人だし、石巻市も推計人口が約14.7万人なのに対し住基人口は約15.0万人だ。

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 被災3県の沿岸地域の人口減少については、朝日新聞が1カ月くらい前の記事で、10年前の人口から大きく減少していると報じた。その記事を読んで、10年前と今を比較するのが適当かと疑問を覚えた。1年前と比較して増加に転じたことを証明(データをそのまま転記しただけだが)できたことがうれしい。転機には違いない。この動きを加速させることが大事だ。がんばれ被災地!

震災から4年、「希望」はあるのか 陸前高田に見る復興事業(2015/3/4)

震災から4年、人口減少止まらず 太平洋岸の39市町村(2015/3/11)

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「GEMS大門」

 野村不動産は3月4日、「EMS渋谷」(2012年10月開業)、「GEMS市ヶ谷」(2014年11月開業)に続く第三弾「GEMS大門」のオープニングレセプションを開き、プレス向けに事業概要説明、テナント説明、久住昌之氏によるトークショーなどを行なった。「GEMS大門」は3月7日にオープンする。

 レセプションの冒頭、挨拶に立った野村不動産都市開発事業本部副本部長 常務執行役員・片山優臣氏は、「当社グループは向こう10年間の中長期経営計画を策定したが、商業施設事業をプラウド(マンション事業)に次ぐ柱に育てていく」と語った。

 続いて登壇した同社都市開発事業本部商業施設事業部長・中野康光氏は、「オフィスワーカーの普通に利用したいというニーズにフォーカスし、店舗は和を意識したデザインにした。9店舗に対して30を超える申し込みがあり、1年前にテナントが決まった。今後も7月の神田、来年夏の恵比寿まで決まっている。このほか10棟まで計画があり、年間6棟の用地取得を進めていく。ターゲットエリアは50カ所くらいあり、店舗も700店ストック・ネットワークかある。開発-営業-運営-保有まで一貫体制で行っているのがこの事業の強み」などと、意気込みを示した。

 同社グループは向こう10年の中長期経営計画で、営業利益1,500億円、売上高1兆円超の目標を掲げ、商業施設など賃貸事業は期間中1.8兆円の投資を行うとしている。

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挨拶する片山常務

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 先月行なったオフィスビル事業「プレミアム・ミッドサイズ・オフィス(Premium Midsize Office)」シリーズ18棟目「PMO平河町」のオープニングイベントと同様、同社の商業施設事業に賭ける意気込みがひしひしと伝わってきた。

 「PMO」は2016年から2019年までに新規15棟を計画し、供給済みを含めてシリーズ累計で32棟、総貸床面積約28,000坪に拡大すると発表したが、今回の「GEMS」も今後年間6棟の用地取得を進めるという。

 「PMO」も「GEMS」も一つひとつの規模は小さいが、だからこそ他社が真似できないビジネスモデルだ。双方とも哲学・コンセプトがしっかりしている。

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1~2階の「トラットリア チッチ ファンタスティコ」(炭火と薪火で肉を焼くことで、ほのかな燻し香がつき、薪の水分で肉がしっかり焼けるのだそうだ)

野村不動産 着実に伸びるPMO 2019年までに倍増32棟に(2016/2/15)

野村不動産 2棟目の飲食特化型の商業施設「GEMS市ヶ谷」13日オープン(2014/11/12)

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「みなさん、このロール紙はどこまで伸びるでしょ」南平幼稚園・福嶋園長

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「宇宙まで! 」園児

RBAインターナショナル顧問

金畑氏(前野村アーバン社長)、平元氏(元東急リバブル専務)が贈呈式出席

 世界の子どもたちを対象に社会教育の推進、文化・芸術・スポーツの振興、国際協力推進に関する事業を行っているNPO法人のRBAインターナショナル(会長:久米信廣・第三企画社長)が、川口市内の市立幼稚園2園と小学校4校から感謝状を授与された。これは、第三企画の川口印刷工場(第三インプレッション)で発生した商品にならない「ヤレ紙」を有効に活用してもらおうと、「学用品」として贈呈したことに対してのもの。埼玉県と県教育委員会、市教育委員会が仲介役となり実現したもので、昨年、川口市と越谷市の県立特別支援学校3校に対しても寄贈しており、今回はその第2弾。贈られた園長・校長先生は「紙はいくらあってもありがたい」と異口同音に語り、RBA関係者は「普段捨てている紙。有効活用していただいてとても嬉しい」「今後も継続して行っていきたい」と応じた。

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左から久米氏、金畑氏、新郷南小校長・小濱治人氏、川口市教育局学校教育部指導課主幹・大竹伸明氏

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平山郁夫の絵画を背景に左から曽根原氏、平元氏、新郷小校長・浦谷信一氏、大竹氏

「宇宙まで!」紙の長さに子ども歓声 

 RBAインターナショナルが「ヤレ紙」を寄付したのは、川口市立の新郷南小学校、新郷東小学校、新郷小学校、東本郷小学校の4校と南平幼稚園と舟戸幼稚園の2園。印刷段階で詰まったものや折れ曲がった紙をきちんと整えて結束したA4判の白紙12,000枚と、ロール紙の端紙10本(長さにして数百メートルに相当)をそれぞれの小学校・幼稚園に贈呈したことに対し、校長・園長から感謝状がRBAに贈られた。

 川口印刷工場から歩いて数分の新郷東小学校の小沼和美校長は、「紙はいくらあってもあっという間になくなってしまう。財政難の折からとてもありがたい。わたしどもの学校は入り口が狭いため、校外学習のときなどに利用する大型バスが入らず、第三企画さんの敷地をお借りして駐車させていただいている」と述べた。

 また、工場から徒歩で20分くらいの東本郷小・吉田忠司校長は「子どもたちにも印刷物がどのようにして出来上がるのか学ばせたい。工場見学はできませんか」と、贈呈式に同席していた第三企画専務取締役・久米正一氏にたずね、久米氏は「もちろん、いつでも結構です。喜んでご案内します」と応えた。

 ヤレ紙は印刷業界用語で、印刷の工程で印刷機械にかけることが適さなくなった紙のことで、ロール紙の場合は芯に近い部分がこれに当たり、ヤレ紙として処分・廃棄されている。低炭素社会の実現のため、最近はリサイクル・再利用の取り組みを強化し、環境負荷の軽減に努めているところが多い。

 第三企画も川口印刷工場(第三インプレッション)で発生する大量のヤレ紙を再利用業者へ有価で処分しているが、社員がもっと有効な使い道はないかと考え、RBAが子どもたちに自由に使ってもらえるように埼玉県、県教育委員会に相談した結果、寄付が実現した。

 昨年は、埼玉県立草加かがやき特別支援学校、同越谷西特別支援学校、同川口特別支援学校の3校に対して寄贈されており、今回はその第2弾。贈呈式は2月9日(火)と10日(水)の2日間に分けて行われた。

 9日の感謝状贈呈式に臨んだRBAインターナショナル理事・金畑長喜氏(野村不動産アーバンネット前社長)は、「子どもたちの健全な発達・育成を図るRBAの目的によくかなったもの。余った紙を贈るのだから、受け取る側も気兼ねなく受け取れ、負担に思われないのではないか。南平幼稚園ではその紙の一部を使った作品を見せていただいた。こんなうれしいことはない」と話した。

 10日の贈呈式に出席した同・平元詢二氏(東急リバブル元専務)は、「ヤレ紙を学校などに寄付することこそもっともRBAの活動にふさわしい。贈る側も受け取る側も幸福な気持ちになれる。チラシを発注する不動産流通会社にも共感していただけるのではないか。市内のすべての保育園・幼稚園に寄付したいくらいだ」などと語った。

 第三企画の代表として贈呈式に出席した同社専務取締役・久米正一氏も、「みなさんに喜んでいただいてとてもうれしい。今後も継続して行っていきたい」と話し、工場の代表として出席した管理責任者の曽根原良弘氏も「普段捨てている紙をこのように使っていただくことに感謝します」と喜んだ。

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左から久米氏、金畑氏、東本郷小・吉田忠司校長、大竹氏

金子みすゞ、岩谷時子、平山郁夫…驚きの連続

 今回の取材の目的は、もちろん感謝状贈呈式を取材することだったが、もう一つ自らにテーマを課した。教育現場に少しでも近づき、何か新しい発見をすることだった。以下、各小学校・幼稚園で見聞したことを紹介する。

【新郷南小学校】小濱治人校長 児童数478

 校長室に招じ入れられたとき、真っ先に目に飛び込んできたのは額装された金子みすゞの詩「露」(吉安優子氏寄贈)だった。

「露」

誰にも言わずにおきませう

朝のお庭のすみつこで

花がほろりと泣いたこと

もしも噂が広がつて

蜂のお耳ヘはいつたら

悪いことでもしたやうに

蜜を返しにゆくでせう

 新仮名遣いでなく旧仮名遣いなのがいい。慣れれば子どもでも旧仮名遣いは読める。26歳の若さで自死した金子みすゞのやさしさがストレートに伝わってくる。児童はこの詩がずっと記憶に残るのではないか。

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金子みすゞの詩「露」(吉安優子氏寄贈)

【東本郷小学校】吉田忠司校長 児童数228

 児童数228名というのは市内でも少ないほうだそうだが、少ないからこその良さもある。吉田校長が率先して挨拶運動を行っており、ノーチャイムでも時間をみんな守るそうだ。ビオトープもあった。カブトムシを約200匹飼育しており、田植えを行い収穫もするそうだ。こんな小学校が首都近郊にあるのに驚いた。

 訪ねていったときはちょうど浦和レッズの関係者が児童にサッカーを教えていた。

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田んぼ(稲刈りのあとが残っていた)

【南平幼稚園】福嶋繁夫園長 定員140

 埼玉県南部では公立の幼稚園は数えるくらいしかないそうだが、そのうちの2園が川口にある。南平幼稚園と舟戸幼稚園だ。定員はともに140名でほぼ満員。入園希望が多い場合は抽選になることもあるという。

 南平幼稚園・福嶋園長は、遊戯室に集まった全園児に向かって「みなさん12,000枚ですよ。積み上げたらどれくらいになるかわかりますか?みなさんの肩ぐらいですよ。この継ぎ目のない紙(ロール紙)は全部伸ばすと、どれくらいあるでしょう」と呼び掛けた。園児たちは「地球一周」「宇宙まで!」と歓声を上げた。

 寄贈された紙はすでに園児のお絵描きに一部使用されており、遊戯室に掲示されていた。

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南平幼稚園

【舟戸幼稚園】井上千春園長 定員140

 荒川のスーパー堤防上に立地する素晴らしい環境にこの幼稚園はあった。 東西南北、遮るものがない。しかも舟戸小学校と南中学校と一体として建設されており、そのデザインがまた素晴らしい。井上園長は「小学校と中学校との交流もあり、何かあると生徒たちが手伝ってくれる。ロール紙は子どもたちがダイナミックな絵を描くのに最適。有効に活用させていただく」と話した。

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舟戸幼稚園

【新郷東小学校】小沼和美校長 児童数510

 学校を辞去するとき平元理事が玄関の壁を見て歓声を上げた。校歌が掲げられていたのだが、何と作詞が岩谷時子で作曲が中村八大というのに平元氏は驚き、感動したのだ。小沼校長によれば、初代校長(昭和48年開校)がPTA役員と中村邸を訪問して依頼したのだそうで、中村氏と岩谷氏はわざわざ学校を訪れ、作詞・作曲したという。小沼校長は「校歌は学校の誇りの一つです」と話した。

 中村八大は「上を向いて歩こう」「こんにちは赤ちゃん」「遠くへ行きたい」などの国民的なヒット作を世に送り出した。岩谷時子も越路吹雪の一連の作詞と、「恋のバカンス」「夜明けのうた」「君といつまでも」「恋の季節」などのヒット作を生み出した。

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岩谷時子作詞・中村大八作曲の校歌

【新郷小学校】浦谷信一校長 児童数836

 最後に訪れた新郷小の校長室に入ったとたんドキリとさせられた。平山郁夫そっくりの絵画が掲げられていた。記念撮影の段階で浦谷校長から寄贈品で本物であることを知らされびっくりした(失礼だが、小学校に本物があるとは露ほども思わなかった)。

 新郷小の開校は明治6年、142年の歴史を持つ。これほど古い歴史を持つ学校は市内でも数えるほどということだった。当時はもちろん「新郷小学校」ではなく、寺子屋が発展した形で「峯学校・榛松学校・蓮沼学校」のように呼んだそうだ。

 参考までに。RBAインターナショナルの芸術顧問でもある中国人画家常嘉煌氏は東京藝大の平山研究室で日本古代美術と日本画の模写の方法について研究したことがあり、東日本大震災では陸前高田市と名取市にそれぞれ「希望の一本松」、「祈願の櫻」を寄贈している。常氏の父で敦煌の石窟の保護と研究に尽力し、中国では「敦煌の守護神」として知られる故・常書鴻氏は平山氏と親交があった。

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平山郁夫の絵画

RBAインターナショナル 川口特別支援学校で学用紙贈呈式 「紙価を高めたい」小池校長(2015/9/3)

RBAインターナショナル 学用紙を埼玉県立草加かがやき特別支援学校に寄付(2015/8/3)

RBAインターナショナル 草加に続き越谷西特別支援学校へも学用紙寄贈(2015/8/18)

 

 

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 国土交通省は2月26日、既存住宅の流通の促進を図るための「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案」が閣議決定されたと発表した。

 不動産業者に専門家による建物状況調査(インスペクション)の活用を促すことで、売主・買主が安心して取引ができる市場環境を整備するのが主な目的。

 不動産業者が媒介して契約するとき、インスペクションを行う業者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付し、インスペクションを行った結果を重要事項説明書に記載することを求める。法律が成立してから2年後に施行する予定だ。

 国は、平成25年時点で4兆円の既存住宅市場を平成37年までに8兆円へと倍増させる目標を掲げており、このインスペクションの普及に大きな期待を寄せている。日本不動産鑑定士協会連合会(JAREA)も中古住宅の適正価格を査定するワンストップサービス「住宅ファイル制度」を武器に市場参入機会をうかがっている。

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 結構な法律改正だと思う。インスペクションが脚光を浴びることになってきた。

 問題は、法律案で「国土交通省令で定める者」となっているインスペクション業者をどう規定するかだ。現段階では建物診断のプロである建築士が想定されているが、建築士に限定することに対しては業界内からの反発も予想される。

 例えば、大手ハウスメーカー10社からなる「優良ストック住宅推進協議会」がそうだ。同協議会は2008年に立ち上げられたもので、①住宅履歴②長期点検メンテナンスプログラム③耐震性能-この3つを武器に確実に売買実績を積み上げてきており、独自の査定方式「スムストック査定」にも絶対的な自信を見せている。同協会が認定したスムストック住宅販売士は3,000名を超える。

 このスムストック住宅販売士をインスペクション業者から除外したら大混乱が起きる。同協議会こそがインスペクションの重要性を一貫して主張してきたからだし、戸建て流通のビジネスモデルを構築したのも同協議会だ。国会議員の先生たちも大手ハウスメーカーを敵に回すことはできないはずだ。

 だとすると、「国土交通省令で定める者」とは「建築士、又は国が同等の資格を有する者と認めた者」というような文言に落ち着くはずだ。

 もう一つ、見逃してはならないのが、重要事項の説明に関する宅建業法第35条六の二のロだ。宅建士は「設計図書、点検記録その他の建物の建築及び維持保全の状況に関する書類で国土交通省令で定めるものの保存の状況」について書面を交付して説明しなければならないことになっている。

 これは具体的に何を指すのか不明で、国交省も「これからの検討課題」としている。

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 中古住宅の流通促進を阻む大きな壁は、新築こだわり派の「新築のほうが気持ちがよい」という「気」だ。これがなかなか厄介だ。ベルリンの壁のようなものだったら壊そうと思えば壊せるが、なにしろ「気」は空気のように姿が見えない。この妄信・迷信・信仰・崇拝に似た「見えない壁」をぶち破らないと、中古市場の倍増はうたかたの夢に終る。インスペクションを武器に流通量を倍増させることなど絵空事だ。

 では、この「見えない壁」をどう打破するのか。残念ながらその手だてが見つからない。同じ土俵で戦えるようにするためには、関係者がコツコツと実績を積み上げていく以外にない。〝雨垂れ石を穿つ〟という諺もあるではないか。この変化の機会を捉えたい。不動産流通会社の出番だ。

 希望の光がないわけではない。消費者の意識は変わりつつある。国交省の住宅市場動向調査でもその変化はみてとれる。平成26年度と24年度の数値の変化に注目していただきたい。

 注文住宅、分譲戸建住宅、分譲マンション取得世帯が中古住宅を選ばなかった理由は、平成26年度では「新築のほうが気持ち良いから」が61.3%でもっとも多いのだが、これは平成24年度の73.2%(分譲派)から11.9ポイントも減少している。

 また、中古を選ばなかった理由として2番目に多い「リフォーム費用などで割高になる」は24年度の38.2%から26年度は27.6%へと10.6ポイント減少している。このほか「隠れた不具合が心配だった」は26.3%から24.5%へ、「給排水管などの設備の老朽化が懸念」は20.7%から17.4%へそれぞれ減少するなど、消費者の意識の変化がうかがわれる。

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 個人的な意見を言わせてもらえれば、インスペクションは、「瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵がないことを保証するものではない」(国土交通省・既存住宅インスペクション・ガイドライン)というのはよくわかるのだが、「検査結果がどの検査事業者が行ったかによらず同様の結果が得られるよう、現時点で得られている知見や一般的に用いられている検査技術等に基づいたものとすること」(同)というのがよく分からない。

 誰が行っても同じ結果しか出ないことを求めるということは、誰もが見て触っても発見できないような問題点を指摘する水準以上の専門家は必要ないということなのか。だとすれば、消費者には選択肢はない。インスペクションは単なる〝安心料〟というのも寂しい。(そんなに報酬はもらっていないという反論がありそうだが)

 さらに言えば、いったいぜんたい「宅建士」「建築士」「鑑定士」(ハウスメーカーが組織するスムストック住宅販売士もある)の「士」が3人も4人も揃わないと中古住宅の質が担保されない、安心・安全な取引ができないというのは考えてみれば情けない。みんなその費用を消費者に負担させようというは理解されないと思う。

不動産鑑定士業界、「住宅」評価に注力 不動産価値にお墨付き(2015/12/22)

「スムストックの認知度と販売士がカギ」 優良ストック住宅協・和田会長(2015/8/27)

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「縁木舎」

 ブルースタジオが企画・設計監理を担当した築32年の軽量鉄骨造2階建てアパートの1棟リノベーションプロジェクト「縁木舎」を見学し、植栽計画を担当したエーピーデザイン社長・正木覚氏から武蔵野の生態系を学ぶ「まち歩きトーク」に参加した。

 物件は、JR 中央総武線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩18分(小田急バス明星学園前停留所から徒歩3分)、三鷹市井の頭5丁目に位置する敷地面積520.37㎡、延べ床面積282.76 ㎡の軽量鉄骨造2階建て全9戸。専用面積は21 ㎡、33㎡、42㎡、53㎡。既存建物竣工年は1982年4月。リノベーション竣工年は2016年1月。企画・設計監理はブルースタジオ。施工は有限会社キューブワンハウジング。植栽計画はエービーデザイン。

 現地は、井の頭公園を抜けた中高級住宅が建ち並ぶ第一種低層住居専用地域の一角。従前の建物は1982年に大手ハスウメーカーによって建てられた1戸約21㎡のアパート。築年数が経過するとともに競争力を失い、約6万円だった賃料は約5万円まで下げざるを得ない状況になっていた。

 昨年、この状況をどうするかの検討が始まり、敷地内に自生したムクなどの樹木を残す環境に優しく人にも優しい同社の提案が受け入れられ、1棟リノベーションすることが決まった。

 リノベーションにあたっては、環境共生を重視するため敷地内のムクなどの既存樹を極力残し、新たにコナラ、シラカシの高木や草花を植栽。プランはニーズの変化に対応して2戸を1戸にした41㎡のタイプを増やし、床材・面材にクルミ、オーク、カエデ材を多用しているのが特徴。

 賃料は建築当初を上回る7万円くらいに設定したにもかかわらず、これまでに約8割の入居が決まっている。

 「まち歩きトーク」では、冷たい雨が降る中、正木氏の案内で入居者や若い人たちが春の芽吹きを体感した。正木氏は初代JAG ( ジャパンガーデンデザイナーズ協会) 会長で、「青豆ハウス」などブルースタジオの物件の植栽計画を数多く担当している。

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2部屋を1部屋にリノベーション

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庭(手前はウッドデッキの縁)

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 内覧会が始まったのは午前11時。「まち歩きトーク」は午後1時30分から。この間、喫茶店などないから冷たい小雨が降る中、街をさまようしかなかった。「帰ろうかな」とも思ったが、春の芽吹きを堪能し、香りを胸いっぱいに吸い込みたいという欲望が勝った。約1時間の「まち歩きトーク」で拾った話を紹介する。

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正木氏

「歩くことは半分仕事」

 「縁木舎」で正木氏から「春をさがしに」のテーマについて説明を受けたあと、井の頭公園に向かった。正木氏が背負っている大きなリュックからホタルのように明滅する光が漏れていた。何だろうと思い聞いた。「迷子にならないように…というのは嘘で、いつも外を歩くのでぶつかられないように」ということだった。

 「先生、そんなに出歩くんですか」「歩くことは半分仕事のようなもの。自分が植えた樹木などは一本一本、育ち方を確認している」「先生、記者の仕事も同じです。どれだけ歩くかです」

●「ミツバチグリを見て僕の世界観は変わった」

 井の頭公園に入ってまもなく、若い女性参加者が「春の芽吹きを感じますね、先生」と語りかけ、「そうですね」と正木氏は応じた。嗅覚まで老化した記者は「ただの落ち葉の匂いじゃないですかね」と余計なことをしゃべってしまった。

 もう一つ。すぐ側に玉川上水が流れる緑道で正木氏はドキリとする言葉を発した。

 「大学2年生のとき(正木氏は現在63歳)、黄色い可憐な花をつけた〝ミツバフグリ〟に出逢って僕の世界観が変わった。植物が話しかけてくるようで、人間とつながっていることを悟った」

 若い女性がたくさんいる中で、よくぞ堂々と恥ずかしげもなくそんな言葉を口にできるものだと驚いた記者は、先生より2倍も3倍も大きな声で「先生、ミツバフグリって何ですか」と聞いた。正木氏は「フグリじゃない。ミツバチグリ」「……」(家に帰ってミツバチグリを調べた。よく見る野草だった。見学者が二人の会話を聞いていなかったのを祈るのみだ)

 それにしても、20歳にもなって野の草花に心を奪われる正木氏はなんて繊細な心の持主なのだろうとうらやましくなった。記者などは10歳の頃に春の芽吹きを感じた。正木氏は単に晩生だったのか。

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ミツバチグリ

●「竹炭を土中に埋めるときは気持ちが浄化された」

 芝生と枕木を敷いた駐車場の土中には大量の竹炭が埋められている。炭は土中で腐ることもなく保水性が高いために樹木の根が寄ってきて地盤をスプリング状態にするので、駐車場をコンクリで固めなくてもいいことを証明するためにそうしたという。オーナーの意向とも一致したそうだ。

 「竹炭を改良材として土中に埋めるとき、職人さんの顔がどんどん晴れやかになっていった。わたしも気持ちが浄化されていくような体験をした」と正木氏は振り返った。

「自然林⇒落葉樹⇒常緑樹へ変る自然の摂理」

 「もともと自然林は人間の手が加えられないと鎮守の森のようになるが、その過程で成長の早い二次林、落葉樹が主体となる現象が起こる。里山では木を伐採し薪炭にしたり落ち葉を肥料として集めたりするので地力が衰え、やせた土地でも育つアカマツ林となる。江戸時代の浮世絵などは松ばかりが描かれているのはそのせい」

 なるほど。石油が薪炭に取って代わってから50年。これから植生はどうなるのか。大量に発生している松枯れとは関係あるのか。

●ドングリは子育てをしない?

 季節になるとドングリはたくさんの実を落とす。しかし、そのドングリの実は親のドングリの樹が元気なうちはほとんど発芽しないのだそうだ。親が伐採されたり倒れたりしたときにのみ発芽するという。親は子を育てない、子は親の死を待つ…これも自然界の摂理か、親子間の無駄な争いを避け共倒れにならないということかもしれない。

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玉川上水の緑道

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「第1回ホームステージャー交流会」(参院会館で)

 日本ホームステージング協会(代表理事:杉之原冨士子氏)は2月24日、「第1回ホームステージャー交流会」を参議院議員会館内で行い、これまでの活動報告、活用事例報告のほか、空き家問題に関する国交省によるレクチャーを受けた。定員50名を超える参加者が集まった。

 「ホームステージング」とは、同協会のホームページによると、「売却予定の自宅の資産価値を高め、より早くより高く売却するために専門のコーディネーターが家具や小物を含めたトータルコーディネートでインテリアを魅力的に演出し、不動産売買のお手伝いするサービス」のことで、「米国では、30年以上前から当たり前のように行われており、職業として社会的に定着しているという。

 同協会は2013年8月に設立され、1日の受講と認定試験に合格した「2級」と、より専門的な知識と実践的な提案力を養う2日間の講座と認定試験に合格した「1級」の「ホームステージャー」がこれまで191名誕生している。

 会では冒頭、杉之原氏が活動報告を行い、今後講習会を大阪、名古屋、川崎などで開催し、9月には世界規模のイベントを東京で行うことなどを発表。「アメリカと同じように活躍できる環境を整えていきたい」などと語った。

 活用事例では、有限会社アルテシテ代表取締役・小塚陽子氏とポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部主任・前田大樹氏がそれぞれ報告。小塚氏は横浜中華街の街づくりにかかわったことや、わが国でもっとも人口の少ない「町」の山梨県早川町の町おこしなどについて報告。前田氏は、同社の戸建て住宅のモデルハウスのコーディネートを担当し、ことごとく早期完売に結び付けたことなどを語った。

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杉之原氏

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 交流会では、企業会員としてホームステージャーの育成に力を入れているLIXIL住生活ソリューションの住まいと暮らしサービス部課長代理・岡秀昭氏や三井不動産リフォーム執行役員・池田冬彦氏など不動産流通会社関係者が参加。参院議員で公認会計士・税理士・行政書士の資格を持つ竹谷とし子氏(公明党)も2級ホームステージャーとして参加していた。以下、各氏のコメント。

 岡氏 これからソフトサービスを重視していく。講習会は3月の1回だけを予定していたが、全国から開催してほしいという要望が多く、地方でも開催していく。すべてが定員満席

 池田氏  野村さん(野村不動産アーバンネット)がすでに始めており、当社もリフォームを含めた中古住宅流通の促進に力を入れていく

 小塚氏 街づくりや住宅の仕事は多岐にわたっている。「ホームステージャー」は一言でその仕事の内容が言い表せるのがいい

 前田氏 (記者が「販促の達人」とほめたことに対して)とてもうれしい。私の出身地は空家等対策計画を策定する予定になっている東京都新島村。以前は3,500人くらいいた人口は3,000人くらいに減り、人口流出が止まらない。村とも連絡を取り何とかしたい

 竹谷氏 社会の課題を解決するため現場を知ろうと2級を取得した。空き家問題など課題をチャンスに変えていきたい

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前田氏

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1級ホームステージャーとして認定を受けた9名のうちの7名の方たち(前列左が小塚氏)

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竹谷氏

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 交流会後、会場を移した懇親会では、たくさんの料理のほかお茶、ジュース、コーラなどかテーブルに置かれていた。酒はなかった。女性参加者が多いのでそうしたのかと思ったが、そうではなく、会館の会議室は全て禁酒となっているからだった。交流会に参加していた竹谷議員にその理由を聞いたら、「前例がないから」ということだった。

 参院会館事務局にも確認した。「利用案内」パンフレットには、館内の飲食店・売店から持ち込んでいいのは「酒類を除くもの」と明記されている。

 もちろん会議中に酒を飲むのは問題だが、会議後の懇親会・交流会などでは酒くらい飲んでいいのではないか。酒がダメというのであれば、コーラだってジュースだって、ケーキ類、その他添加物だらけの食べ物だって体にいいはずがない。酒を飲むことで会をぶち壊すような人は参加する資格がないし、国民の代表たる国会議員の先生が集まる会館の会議室での禁酒を明記しなければならないのは情けない。出すか出さないかは会を主催する先生や団体の判断に任せるべきではないか。なんだか20歳未満の子ども扱いをされているようで気分が悪かった。

 酒によって(酔って)問題を起こしたくないという先生や官僚のことなかれ主義がそうさせているのだろうが、そんなことをやっているからどんどん政治から国民が離れていくのではないか。禁酒と言えば、マンション管理組合のコミュニティ活動の苦労さん会などに酒を出すなと主張した学者先生がいた。

日本ホームステージング協会 「ホームステージャー1級」第1期生6名誕生(2015/8/26)

 

 

 

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