看過できない国交省「TSUNAG」有識者発言〝緑地制度は先進的〟〝委員の負担大〟

「BLUE FRONT SHIBAURA」に植えられているヒトツバタゴ
昨日(3月9日)、槇総合計画事務所の創立60周年記念展覧会 「Vernacular Humanism/人と社会と建築と」プレス内覧会で、「BLUE FRONT SHIBAURA」のランドスケープデザインについて同社代表取締役・亀本ゲーリー氏としばし話し、その後、駅までの植栽計画などをみて回った。〝なんじゃもんじゃ〟の木として知られるヒトツバタゴの成木が植えられているのを発見した。最近か、巣箱もあちこちの樹木に設けられていた。
記事化は考えていなかったのだが、家に帰り、国土交通省の優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG:ツナグ)のホームページを見て、いささか腹が立った。看過できない。稿を改めて以下に書くことにした。
〝腹が立った〟というのは、同省が昨年12月に開催した「TSUNAG」の評価基準の見直しについて「優良緑地確保計画認定制度における評価の基準に関する有識者会議」(座長:柳井重人千葉大学大学院園芸学研究院教授)での各委員の発言についてだ。
問題発言の第一は、「確認しなければならない資料が膨大であるため、審査委員の負担になっている」だ。これは笑止千万。この発言からは、各委員は審査に当たって、現地を確認していないことをさらけ出しているし、そもそも負担を感じるのであれば委員など受けなければいいではないか。早川和男「権力に迎合する学者たち――『反骨的学問』のススメ」(三五館、2007年)を思い出した。
第二の「日本は緑地の評価については世界に先駆けて取り組んでいる」-この発言もまたひどい。その根拠を示すべきだ。大都市圏の公園など緑地面積はどんどん減少しているではないか。世界的潮流である樹冠被覆率を採用する動きはいまのところないし、i-Tree Ecoシステムの採用も限定的だ。
まだある。「SEGESは常に上を目指し、最後殿堂入りとなる制度設計としている。安易にトリプルスターが取れるような設計だと事業者がわざわざ取りに来なくなる」-これはいったい何を言いたいのか。「TSUNAG 認定」第1号に認定された14件のうち記者は8件を見学しているが、「TSUNAG」制度の認定を受けるために設計したプロジェクトなど一つもないはずだ。国のお墨付きをもらうためにデベロッパー各社は街づくりを行ってなどいない。極めて不愉快な発言だ。
しかし、納得できる発言もある。「シンガポールの例では敷地面積の140%が緑化されている物件もある」という。これはおそらく、壁面緑化、屋上緑化が施されているからだろうが、わが国でもどんどん壁面緑化、屋上緑化に取り組むべきだ。
このほか、「現状は申請書類から審査委員がアピールポイントを読み取り、妥当性を評価する必要があるが、良質な緑地を評価するという観点からも、申請者が自らのアピールポイントを説明するというスタンスであるべきではないか」「目標設定およびそれに対するモニタリングに関しては、科学的根拠が不明確であり、指標設定の妥当性についての検討が不十分」「沿道からの景観など地域側の視点をより一層取り入れた評価基準とすべき」というのはその通りだと思う。
冒頭、ヒトツバタゴを紹介したが、この樹木は神宮外苑の再開発で伐採・移植が注目されている。「BLUE FRONT SHIBAURA」に植えられているのは、「グラングリーン大阪」や「赤坂グリーンクロス」に植えられているのとほぼ同じ太さで、成木だった。樹木一本一本に各社は「心」を込めている。問題発言した委員の方はリテラシーに欠ける。

緑道


この小鳥の名前は知らないが、人の動きには無関心な様子だった
◇ ◆ ◇
国土交通省昨年3月、令和6年11月に施行された都市緑地法に基づく優良緑地確保計画認定制度(TSUNAG:ツナグ)の「TSUNAG 認定」第1号に14件を発表した。認定ランクは★3つから★1までで、★3つには「大手町タワー」(東京建物)、「赤坂インターシティAIR」(日鉄興和不動産など)、「麻布台ヒルズ」(森ビル)、「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」(東急不動産)、「グラングリーン大阪」(三菱地所など)、「新梅田シティ」(積水ハウスなど)の6件と、★2つに「大丸有地区 ホトリア広場・一号館広場・丸ビル外構」(三菱地所)、「BLUE FRONT SHIBAURA」(野村不動産、東日本旅客鉄道)の2件が認定された。
記者は、「TSUNAG 認定」が発表された時も書いたが、どうして「BLUE FRONT SHIBAURA」が★2なのか、★5の6件と比べどこが劣るのか理解できない。全体計画からして「BLUE FRONT SHIBAURA」の進捗はまだ半分くらいだろうが、完成したら★3つにまず負けないと思う。浜松町駅を中心に「旧芝離宮恩賜公園」-「新浜公園」-「BLUE FRONT SHIBAURA」に至る広場・公園面積は10ha近くになる。面積的には「グラングリーン大阪」の次だ。
いずれにしろ、制度の見直しにより「BLUE FRONT SHIBAURA」と「大丸有」(仲通りはわが国を代表するウォーカブルでウェルビーイングの街づくりが行われていると思う)が★3つに格上げされることを期待したい。
槇総合計画事務所創立60周年展覧会「人と社会と建築と」3/10~4/5(2026/3/10)
国交省「TSUNAG 認定」トリプル・スター 東京建物/三菱地所など/積水ハウス(2025/3/19)
国交省「TSUNAG 認定」に異議あり「BLUE FRONT SHIBAURA」★2つはなぜ(2025/3/18)
槇総合計画事務所 創立60周年展覧会 「人と社会と建築と」3/10~4/5


展覧会について説明する亀本氏(BLUE FRONT SHIBAURA TOWER Sで)
槇総合計画事務所は3月10日~4月6日、創立60周年を記念し、展覧会 「Vernacular Humanism/人と社会と建築と」 を「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」で開催する。開催日の前日、プレス内覧会を実施し、同社代表取締役・亀本ゲーリー氏は、創業社長の故・槇文彦氏(享年95歳)の処女作から2024年6月に亡くなる直前まで元気だった様子などを語りながら、主だった作品について説明した。
「Vernacular Humanism(ヴァナキュラー・ヒューマニズム)」は、地域の文化や日常の営み、人々の実体験を重視し、その場所固有の条件と人間のふるまいに根ざした建築のあり方を問い続ける、同社の根幹となる考え方で、期間中、国内外の145作品(1965–2025)を、模型・パネル・図面・写真・映像などを通じて紹介する。会場の「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER」は2025年3月竣工した同社の集大成となる作品。
内覧会で亀本氏は、「当社は今年2月、還暦を迎えた。展覧会では145作品を幅約72mにわたり時系列、絵巻風にまとめた。一つひとつ説明したら1週間かかるし、作品に詳しい説明文を添えていないのは、作品を見ながら考えていただきたいから」と断り、創業前の槇氏の処女作セントルイス・ワシントン大学スタインバーグホール(1960年)から、千里中央地区センタービル(1970年)、代官山ヒルサイドテラス(1969~1999年)、在ブラジル日本大使館(1972年)、トヨタ迎賓館(1975年)、自邸(1978年)、京都国立近代美術館(1986年)、幕張メッセ(1989年)、東京体育館(1990年)、テレビ朝日本社ビル(2003年)、横浜アイランドタワー(2003年)、横浜市役所(2020年)、鳥取県立美術館(2025年)、シンガポールランドタワー(2025年)、フィリピンプロジェクト(進行中)などを紹介した。
展覧会の会期は2026年3月10日(火)– 4月5日(日)、会場はBLUE FRONT SHIBAURA TOWER S 3階 オフィスロビー・ラウンジ、入場料は無料。主催は槇総合計画事務所、冠協賛は野村不動産、特別協賛は清水建設/竹中工務店/小松ウオール工業/LIXIL。

展覧会場

右から創業前の3作品

進行中のフィリピンの商業・オフィス・住宅のプロジェクト(住宅のユニットは320㎡とか)

3階ラウンジ(木も観葉植物もみんな本物)

BLUE FRONT SHIBAURA模型
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皆さんは、日本財団の「THE TOKYO TOILET」プロジェクトをご存じか。〝誰もが快適に使用できる公共トイレ〟をテーマに著名な建築家16人が設計した公衆トイレを2020年、渋谷区内の17か所、1か所当たり1億円の費用をかけて設置し、渋谷区に寄贈したものだ。
記者は、そのうちの一つ、槇氏が設計した「恵比寿東公園」トイレを見学したとき「立ち去りがたいほどの感動を覚えた」と書いた。その後、17の公園トイレをすべて見学取材した。好き嫌いはあるだろうが、槇氏の公園トイレが断トツだと思う。
トイレの目的外利用としては食事をする、本を読む、仮眠を取る、休憩する、着替えをする、化粧をする、SEXをする…いろいろあるようだが、特に女性がもっとも利用したくないというのが公園トイレだそうだ。男性の小生だってよく分かる。汚いし、無防備になる。
しかし、恵比寿トイレは全然異なる。とにかく一度利用していただきたい。公園トイレのイメージを一新するはずだ。外観は白が基調で、ウェーブが掛っているので美しい。用を足してから外周部のベンチに座って(そういうデザインになっている)、本を読むとかタバコを吸うとかゆっくり休憩するとかしたくなるトイレだ。〝予約が取れない〟公衆トイレは困ったものだが…。
建築家・隈研吾氏は槇氏への追悼文として2024年6月14日付朝日新聞に「槇の建築だけは、まったく別の、さわやかで控えめで、しかも周囲の街と融(と)けあう、開放的な空気感をたたえていた。今から思い返せば、槇の建築はひとつの大きな転換の予兆であった」「槇は国際人であったからこそ日本人になれたのであり、日本人であったからこそ国際人になれたのである」「槇が造った街や建築は、専門家をうならせるだけではなく、実際に明るく、軽やかで楽しかった。独善的建築家と社会との分断というモダニズムの課題も、槇は見事に乗り越えてみせてくれたのである」などと寄稿している。
「恵比寿東公園」トイレは〝明るく、軽やかで楽しい〟槇氏の設計思想が注ぎこまれている。外観にウェーブが掛っているのは、槇氏の処女作に相通じるものがある。

「恵比寿東公園」トイレ(日本財団ホームページから)

「恵比寿東公園」トイレ(日本財団ホームページから)
「唯一無二」新たな街づくりの嚆矢へ 野村不他「BLUE FRONT SHIBAURA」開業(2025/9/1)
自然と人と街をつなぐ「BLUE FRONT SHIBAURA アートツアー」 野村不動産(2025/8/7)
〝表と裏をひっくり返し世界一の街に〟野村不「CULTURE FRONT」トークイベント(2024/11/26)
野村不&JR東日本 芝浦PJ「BLUE FRONT SHIBAURA」イメージは寄り添う夫婦(2024/5/11)
芝浜小学校4年生93人 自然、環境、遊び場、交通テーマに発表会 芝浦エリマネ(2025/3/18)
「トイレは経営の問題」哲学の一端を垣間見た「ラスカ平塚」 トイレ考Ⅲ-4(2021/4/19)
素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏 日本財団 渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)
約8,700人を対象とした地域ぐるみの防災訓練 三菱地所レジなど「津田沼奏の杜」

「津田沼奏の杜(かなでのもり)」防災訓練(三菱地所レジデンス提供)
三菱地所レジデンス、三菱地所コミュニティ、エリアマネジメント組織一般社団法人奏の杜パートナーズの3者は3月8日、習志野市「津田沼奏の杜(かなでのもり)」エリアで地域居住者約8,700人を対象とした防災訓練を開催した。第1回を2015年に開催してから今回が11回目。大勢の人が楽しみながら防災訓練を行った。訓練は2026年2月、「第30回防災まちづくり大賞」総務大臣賞を受賞している。
イベント対象者は、三菱地所レジデンスが分譲したマンション居住者だけでなく、周辺の戸建て、他他社分譲マンション居住者など約8,700人。
テーマは、「共生(ともに生きる)~多様な人が主体的に動けるまちへ~」。災害時に一人ひとりが地域を支える存在として、主体的に行動できる体制づくりを目指そうというもので、「まちの防災ソングづくりワークショップ」を実施したほか、アップデートした「そなえるアクション」「防災バックパックバトル」「アイラップをつかった防災食ワークショップ」などを実施。児童・生徒・学生等18人がボランティアとして参加し、運営に携わった。
訓練は、午前9時から始まり、各マンション・戸建にて安否確認訓練、避難訓練を行い、10時から谷津奏の杜公園に集合し、全体訓練と総評を行い、①【Update】そなえるアクション~7つのミッションから防災を体験する~②そなえる探検~谷津奏の杜公園の防災設備を学ぶ~③そなえるドリル~自宅の備えを考える④【NEW】まちの防災ソングをつくろう⑤災害用伝言ダイヤル171体験⑥AED・心肺蘇生訓練⑦水消火器体験⑧公園内マンホールトイレの組立訓練・フタ開け体験⑨起震車による地震体験⑩煙体験ハウス⑪【NEW】防災ワークショップ(防災バックパックバトル)⑫【NEW】アイラップをつかった防災食ワークショップ-の12の訓練を行った。
今後は、三菱地所レジデンスなどが分譲した「津田沼ザ・タワー」(総戸数759戸)にも参加の呼びかけを行っていくそうだ。

マンションの安否確認

備えるアクションの様子

備えるアクションの様子

備えるアクションの様子

「そなえるドリル」ワークショップ

アイラップをつかった防災食ワークショップ

習志野市による万ホールトイレ組み立て

習志野市による万ホールトイレ組み立て

災害用伝言ダイヤル

起震車による地震体験(10数組が並んでいた)

起震車による地震体験

非常用トイレ体験

「まちの防災ソングを作ろう」

防災ワークショップ

会場に当てられていた「谷津奏の杜公園」

左が「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(721戸)、右が「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(869戸)
◇ ◆ ◇
このイベントを取材するのは今回で4回目。これまでの取材でどのようなことが行われるか分かっているので、途中から参加し、一通り見て回って帰ってきた。海に近いからか、とても寒く、海風が強く何度も吹き飛ばされそうになった。最悪の状態だったが、多くの家族連れが楽しみながら防災訓練を行っていた。継続は力なり。いざという時に大きな効果をもたらすはずだ。
訓練が「第30回防災まちづくり大賞」総務大臣賞を受賞したのは、地域ぐるみで継続して行ってきたことが評価されたのだろう。三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティのボランティア組織「三菱地所グループの防災倶楽部」は現在約170人の規模に達しており、これまでに三菱地所コミュニティが管理するマンション180 物件・61,799 世帯を対象とした防災訓練をサポートしている。
昨日は、長谷工総研の「CRI」の〝月8時間は集合住宅活動に充てよう〟という特集記事を紹介した。各社が連携すれば素晴らしい活動ができるはずだ。いったいこの防災訓練の記事をどれくらいの人が読んでくれているのか調べたら、アクセスは第1回目は4,000件以上あり、「津田沼ザ・タワー」の約3,500件より多い。

そなえる探検

「ここに、地下40mに40tの水が溜められる貯水槽があって、断水したときはポンプでくみ上げて生活用水として使えるの」(小学4年の女の子に教えられるまで、こんな巨大な防災井戸があることを知らなかった。発電機もあった。日常的に利用できるようにしたらどうか)
長谷工総研CRI最新号〝月8時間は集合住宅活動に〟ぜひ実践を(2026/3/7)
安否確認イベントに過去最多65%参加三菱地所レジ・コミュニティ津田沼「奏の杜」(2021/3/14)
三菱地所レジ他「津田沼ザ・タワー」第1期は半数以上の340戸絶妙の値付け(2018/3/23)
安否確認47%⇒64%に伸ばす「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」防災訓練(2016/4/18)
初の防災訓練に350人習志野市の「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」管理組合(2015/3/1)
長谷工総研 CRI最新号〝月8時間は集合住宅活動に〟ぜひ実践を

CRI
長谷工総合研究所の「CRI(Comprehensive Real-estate Information)」№571(2026年3月3日発行)のCRI REPORT「集まって住むこと~都市居住の『機能』と『意味』のバランスとは~」と、CLOSE UP「都市中心部で広がる住まいの新しい選択肢『買う/借りる』以外の選択肢を模索~」を興味深く読んだ。特に「集まって住むこと」では、筆者の豊田可奈子氏が「従業員個人が、まちのことや自ら住む集合住宅に関わる活動に充てられるよう、月8時間までは就業時間内で活動してもよいといった社内ルールやその成果を会社内で発表共有し合える場」を設けてはどうかという提案を行っているのに、記者も大賛成だ。労働生産性は向上し、街のコミュニティ醸成に効果があり、行政コストも間違いなく下げられると思う。
豊田氏は、経済合理性や利便性を追求する都市の「機能」が進化すればするほど、「意味」-すなわち、そこに住むことの価値やアイデンティティが失われつつあるのではないかと問題提起し、都市の「機能」と「意味」の二つの側面から今後のよりよい都市居住について考察している。
続いて豊田氏は、様々なデータから1970年代までの全ての住宅に占める共同住宅(≒集合住宅)の割合は17.5%だったのが、2023年9月では44.6%に上昇し、大都市圏で概ね55%以上が共同住宅であるとし、一方で、1980年代では核家族世帯が狩猟で会ったのが、2025年には全世帯の約4割が単身世帯であると指摘。
こうした社会の構造変化の過程の中で、経済合理性や利便性、効率性ばかりが注視されてきた結果、金太郎飴のような(記者はこれが悪だとは思わないが)画一化した景観や人々の生活パターンが生み出され多とし、「機能(ハード)」と「意味(ソフト)」の不均衡が生じ、「意味」の希薄化と孤立が進行していると述べている。
さらにまた、高度経済成長期からバブル期にかけて大量の集合住宅が供給された結果、建物の老いと居住者の老いという「2つの老い」だけでなく、「支える側」のマンション管理員などの高齢化という「3つの老い」を見逃してはならないという。
しかし、豊田氏は都市の「機能」と「意味」を二項対立的に捉えるのではなく、両者を統合的に再構築する必要が不可欠と述べている。
そして、ソフトの部分である「意味」を育てるには、不動産や建設・建築に関わる人の協力失くして進まないとし、「例えば、組織としてのまちづくりマネジメント会社を作るのではなく、従業員個人が、まちのことや自ら住む集合住宅に関わる活動に充てられるよう、月8時間までは就業時間内で活動してもよいといった社内ルールやその成果を会社内で発表共有し合える場があることで、関心はあっても時間や自信がない人の後押しができる仕組みになるのではないか」と提案している。
◇ ◆ ◇
皆さん、いかがか。この提案は学者先生ではなく、長谷工グループの社員が行っていることに意味がある。記者も大賛成だ。そこで、記者の提案だ。「隗より始めよ」だ。長谷工総研の全てのスタッフで試験的に実行してはいかがか。小生は間違いなく有意な結果が得られると思う。そうなったら、長谷工グループ全体に広がり、さらに業界全体に広がると確信する。
ものはついでだ。都市の「機能」と「意味」について、豊田氏が触れていないことを少し言い添える。小生は「機能」と「意味」が分離・不均衡をきたした根源は、1960年代のエネルギー革命にあると見ている。小生が10代のころだ。皆さんは信じられないだろうが、それまでのエネルギー源は薪炭だった(都会は知らないが)。それまでは、農業の生産性が低いから「意味」がないと生きられなかった時代だ。それが、経済白書で「もはや戦後ではない」と明記されたのも、〝明るいナショナル〟〝光る東芝〟のCMが発表されたのも1956年だった。NHKの「明るい農村」が始まったのは1963年。小生も熱心な読者だった「家の光」は当時180万部発行されていた。早熟の小生は、恋愛小説をむさぼり読んだ。小学6年生の卒業作文は「大人になったら農林大臣になって、農家の暮らしを楽にしたい」だった。
その後、都市と農村の対立が激化し、都市が圧倒的勝利を収めたのは豊田氏の指摘する通りだ。
いまはどうかというと、「意味」が軽んじられた結果、様々な都市問題が発生した。生物多様性、森林・林業、農漁業の現状は言うまでもない。1960年ころから問題が浮上した不登校は全児童生徒の3.2%に当たる約30万人もいるというではないか。精神疾患患者も615万人、20人に1人の割合だという。自殺者は年間約2万人、孤独死は年間約7.6万人だという。地球温暖化を阻止しないと、人間も動物も生存が危ぶまれる時代だ。これらが全て「意味」を喪失したからだというつもりはないが、相関関係は間違いなくあると思う。
「都市中心部で広がる住まいの新しい選択肢」も興味深い。記者は、コスモスイニシアや野村不動産、三菱地所、三井不動産などのこれまでと異なる賃貸マンションを取材してきたが、「住まいは人を縛るものではない。生活に合わせて組み替えられる『道具』として再設計されるほど、都市中心部での暮らしは続けやすくなる。価格や立地といった条件だけでなく、自分が大切にする価値観を起点に『自分は何の固定をほどきたいのか(場所・関係性・費用など)』を言語化する。そこから住まいを選ぶ視点が、これから重要になる」とする筆者・島村和也氏の意見は一考に値する。
◇ ◆ ◇
同誌が毎号公表している首都圏のマンション市場データについて。記者が注目しているのは完成在庫の数値だ。これまでも何度も書いてきたが、マンション着工戸数と供給戸数の乖離が大きすぎで、完成在庫数をどう捉えていいのかよくわからないのだが、2026年1月末の首都圏の完成在庫は3,453戸だ。2025年の着工戸数40,305戸に対する在庫率は8.5%なのでまずまずとも受け取れるが、供給戸数21,962戸に対する在庫率は15.7%だ。これは危険ラインを突破している。
しかし、一方で、大手デベロッパーのマンション事業は絶好調だ。粗利益率は軒並み30%を突破しており、完成在庫率はみんな数%どまりだ。積水ハウスはわずか8戸という。
にも拘わらず完成在庫が増加傾向にあるということは、好調と不調の企業間格差が広がっていると読み取れる。ある郊外部のマンションをチェックしたら、分譲開始当時の坪単価より20%以上値引きされて分譲されていた。バブル期のように〝根雪〟にならなければいいが…。
2025年末の完成在庫率〝最悪〟の16% マクロデータでは見えないマンション市場(2026/2/23)
AIレコメンド・カメラ解析 PPMを可視化 robot home 一橋大・清水教授招き発表会(2026/1/20)
オープンハウス婚活イベント「婚家Party2026」57人参加 8組のマッチング成立

〝皆さん、マンション派? 戸建て派? 〟(マンション派のほうがやや上回ったか)
オープンハウスグループが2月27日に行った婚活イベント「婚家Party2026」を見学取材した。イベントは20~40代の未婚の男女が参加条件で、当日は男性31人、女性26人が参加。8組のマッチングカップルが誕生した。
イベントは、2024年に開始した同社のマッチングサービス「婚家結」への登録数が300名を超え、〝理想の生活スタイルが似通っている相手を先に見つけ、共に理想の住まいを実現する〟ことを応援するのが狙いで、2025年5月に続き第2回目。
会場に当てられたのは、表参道駅に近い結婚式場。開始は19時から。受付で仮面を受け取りパーティ会場へ-同社のそれぞれ戸建て・マンションの〝プロ〟によるプレゼン-2択クイズによる移動-マンション立地派・戸建て立地派・マンション間取り派・戸建て間取り派の4グループに分かれて2択ゲーム-パーティ会場に戻りフリートーク-結果発表、マッチした人への贈呈品プレゼントまで終了は21時。
マッチングが成立したカップルの1組で、同社が会場内に設けた特別相談所で具体的な戸建て物件の説明を受けていた、IT関連会社に勤務する大阪市出身の女性(31)は、「海が大好き。サーフィンをやってます。海に近いところか海が見えるところに住みたい。茅ヶ崎がいい」と話した。都内の25㎡、家賃12万円の賃貸に住んでいるという。一方の広告代理店に勤務する、都内の1LDKの賃貸(広さは分かっていない様子)山形県出身の男性(32)は「サーフィンは練習します」と話し、二人は意気投合しているように感じられた。
また、イベントに参加した家賃12万円(25㎡)の賃貸住宅に住むテレビ局勤務の男性(30)は「恋人? いない。住まいを自分ごととして考えるきっかけになった」と話した。

〝住宅ローンは35年以下? 35年超? 〟(35年以下が圧倒的に多かった)

特別相談を受けるカップル
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仮面をかぶりパーティを行うのは、賛否両論が飛び交った中世ヨーロッパの「仮面舞踏会」を連想させるものがあり躊躇したのだが、分譲も賃貸も値段・賃料がどんどん上がり、未婚の人の住まい選びがかつてないほど厳しくなっているので、住まいと結婚をどのように考えているか、率直な声を聞きたくて取材を申し込んだ(小生も仮面をかぶって酒を飲みたかったのだが、取材者はそのような形での参加はできなかった)。
イベントの開始から終了まで様子を眺めることはできたが、参加者と一緒に会話することはできなかったので、〝老人の冷や水〟を浴びせかけることができなかったのは残念だったが、2択ゲームで〝「完済」までの人生設計(ローンは35年以下か、35年超か)、どっちが現実的? 〟〝洗濯物に求める「正解」はどっち? 〟〝玄関に並ぶ「靴」、どこまで許せる? 〟など相性を測るうえで重要な設問が設けられていた。
〝一人口では食えぬが、二人口は食える〟-小生は自慢じゃないが、これまで約50年間、大手と中小を差別などせず公平に、分譲と賃貸のマンション・戸建てを年間にして100~200件見学してきた。少なく見積もって年100件として5,000件だ。マンションの坪単価を的中させられるのもそのお陰だ。マッチングが成立した二人が相談した茅ヶ崎の物件は、現在の市況から考えると、割安で求めやすい物件だと思う。
異性と付き合うのは多いほうがいいと思うが、結婚は速いほうがいいとも思う。大切なのは「愛」だ。
千葉県でマンション着工激増 2か月で令和6年度の3割占める 令和8年1月住宅着工
国土交通省は2月27日、2026年1月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は55,898戸(前年同期比0.4%減)となり3か月連続の減少となった。利用関係別では、持家は14,418戸(同6.6%増)と10か月ぶりの増加となったが、貸家は24,032戸(同1.5%減)と3か月連続の減少、分譲住宅は17,035戸(同4.8%減)と先月の増加から再びの減少となった。分譲住宅の内訳は、マンションは7,370戸(同18.6%減)、一戸建住宅は9482戸(同8.8%増)となった。
地域別では、首都圏は総戸数22,17戸(前年同月比0.9%増)で、持家は3,296戸(同10.1%増)、貸家10,752戸(同12.8%増)、分譲住宅8,048戸(同14.0%減)となった。
首都圏マンションは総戸数3,656戸(同33.7%減)で、都県別では東京都1,149戸(同67.9%減)、神奈川県914戸(同6.0%増)、埼玉県316戸(同26.9%増)、千葉県1,277戸(同54.6%増)となった。千葉県は先月の434戸(同236.4%増)と合わせ1,711戸となり、令和6年度の着工戸数5,543戸の30.9%を占めている。昨年の供給戸数は同年の着工戸数を上回っており、今後の動向が注目される。
首都圏戸建ては総戸数4,392戸(同13.4%増)で、都県別では東京都1,561戸(同29.9%増)、神奈川県1,068戸(同12.2%増)、埼玉県846戸(同10.5%減)、千葉県759戸(同19.5%増)。
井桁は具合悪い 「三菱」の菱形が最強 「Torch Tower」ダイヤグリッド(DG)見学会

ダイヤグリッド(DG)架構
三菱地所、三菱地所設計、清水建設は2月27日、日本の新たなランドマーク「TOKYO TORCH」の「Torch Tower」低層部ダイヤグリッド(DG)架構が完工したのに伴うメディア向け現地説明会を行った。高さ385m×100m四方の世界的にも珍しいプロポーションを支える、三菱地所の特許でもないダイヤグリッド(DG)構造なるものを目の当たりにし、〝モンスター級〟のビッグプロシェクトの一端を知ったような気がした。「TOKYO TORCH」の敷地内の沈丁花は満開で、甘い香りが鼻腔を満たした。
「ダイヤグリッド(DG)架構」とは、高さ385mの日本一の高さを誇る「Torch Tower」の低層部(1~9階、高さ52m)に採用されている中枢構造で、建物外周を巨大な斜め鉄骨柱と梁で構成される三角形の骨組みのこと。地震時の揺れを効果的に抑制し、建物全体を一本の強靭なチューブ状構造とすることで、タワー重量の約4割強を支える国内最大級の構造体。設計者の三菱地所設計、施工者の清水建設のそれぞれの構想力・技術開発力を結集して実現させたもの。
1枚のDG鉄骨板は最大1600mm×1400mm×90mm×90mmで、全体鉄骨重量は11,267t(1~9階)、全体溶接長さは456,156m。
鉄骨を運ぶのにタワークレーン1050t×4台、1000t×1台、クローラクレーン×4台を用いた。タワークレーンの巻き上げ速度は180m/分(他の一般的な工事は120m/分)で、吊荷25t、300m揚重に要した時間は5分(同14分)に短縮するなど、国内最速・最強の威力を発揮したという。
溶接工事に当たっては、全国の工事現場溶接(AW)資格者1,343人(関東圏内は700人)のうち120人/日が関わった。現場溶接の効率化を図った結果、当初予定工期より20日間工程を圧縮できたという。
施工を効率化するエレベータは、長さ5.8m×奥行き2m(同は4.6m×1.75m)で、一度に運べる人数は76人(同46人)、昇降速度は110m/分(同100m/分)。
三菱地所設計TOKYO TORCH設計室・デザインスタジオチーフアーキテクト・永田大輔氏は事業概要について説明。「Torch」の言葉が持つ「希望」「灯り」「つなぐ」というイメージをデザイン化するにあたっては、デザインアドバイザーに藤本壮介氏、福岡孝則氏、永山祐子を起用し、〝唯一無二〟の建物・空間を実現すると語った。
同社TOKYO TORCH設計室・構造設計部ユニットリーダー・石橋洋二氏は構造計画について、建物を支える耐震要素や設備機器、階段などを複雑に集約しなければならない従来の「コアの集中配置」ではなく、外周を構造に利用する「ダイヤ形状」を採用し、高さ385m×100m四方の世界的にも珍しいプロポーションとし、「東京ならでは」の耐震性能設定では建基法が定める耐震性能の2倍超の性能にし、「頑丈な構造ではあるが、〝いなし〟の要素も取り込んだ」と語った。
清水建設常盤橋プロジェクト建設所副所長・平野秀明氏は施工について説明。「逆打ち工法」「花びら拡底杭」「ニコントリンブル」など初めて聞く専門用語を多発し、「何かにつけモンスター級」と締めくくった。
「TOKYO TORCH」は、東京駅北口から徒歩数分の千代田区大手町に位置し、2009年から開発が進められている敷地面積約31,400㎡、総延面積約740,000㎡のビッグプロジェクト。「Torch Tower」は、地上63階建て、高さ385m、延床面積約553,000㎡のわが国最高峰の事務所、賃貸住宅、ホテル、ホール、店舗などを備える複合ビル。2023年9月に着工し、2028年度に竣工予定。設計監理は三菱地所設計、施工は清水建設。

左から永田氏、石橋氏、平野氏
◇ ◆ ◇
ダイヤグリッド(DG)構造は何となく分かる。三角形が一番強度が高いのは中学生のころに学んだような気がする。迫で考えた。つまり、三井の「井桁」では具合が悪く、三菱の「菱形」でないといけないということだ。(両社の創業の由来などからして、井桁と菱形のどっちが強いかを競ったわけではなさそうだ=記者注)
DC構造は、清水建設が施工した2008年竣工の「モード学園コクーンタワー」にも採用されているという。三菱地所設計の特許技術ではないようだ。
3氏の説明時間は約40分。前半部分は、資料も配布されていたのでまずまず理解できたのだが、平野氏の話は全然理解できなかった。「Shimizハイブリッド逆打工法」「中央順打ち」「花びら拡底杭」など難しい言葉が飛び交い、「外周部が斜め架構かつ外周へ傾いている」に至ってはパニック状態に陥った。(建物は頭頂部に向かって広がっているという意味か)分かったのは「モンスター級のプロジェクト」(平野氏)らしいということだ。
工事に投入されている工事関係者の人数も桁違いだ。DC工事は1,100人/日で、上棟後の内装工事が入る段階では7,000人/日に増えるという。全工程に関わる工事関係者は数万人ではきかないという。
工事現場を見学して、清水建設の「深海未来都市構想OCEAN SPIRAL」を思い出した。発表されたのは2008年、総工費は数兆円。ここにもDG構造が多用されている。現場説明者に実現性を聞いたら「わたしからは言えないが、ありえない話ではない」と語った。記者は近い将来、具体的プロジェクトが発表されるとみた。

ダイヤグリッド(DG)架構

大きさを比較していただきたい

約10メートルおきに設置されている柱の太さは約1m(太いのか細いのか分からないが、これで階高約6mの空間を支えるのだから凄いのかもしれない)

柱

模型(記者も試してみた。井桁は横から押すと曲がったが、DGはびくともしなかった)

沈丁花

工事中の現場

知る人は懐かしく、知らない人は行きたくなる地所「TOKYO TORCH」仮囲いアート(2022/11/15)
ウルトラ・スーパーラグジュアリーホテル三菱地所「Torch Tower」に誘致(2022/11/9)
国産材多用し、狭小地の施工課題にも対応 三菱地所ホーム 木造「PRISMⅡ」

「PRISMⅡ(プリズム ツー)」
三菱地所ホームは2月25日、「令和6年度優良木造建築物等整備推進事業」に採択されている耐火木造4階建共同住宅「PRISMⅡ(プリズム ツー)」竣工見学会を開催した。事業主の「ぜひ木造で」という要望に応えた社員寮で、国産材を多用することで森林・林業振興に寄与するとともに、カーボンニュートラルにも貢献している。UA値は0.39で、ZEH-M Orientedを取得している。
設計のポイントは、UA値を0.39とするなどZEH-M Oriented認定を取得。スギ材をアプローチ天井や共用部に用い、外構やサインに木材を使用し、塗り壁(櫛引き)や木調ルーバーを多用。施工面では、前面道路の幅員が狭いことから資材搬入や作業スペースの確保などに課題があったが、ガーターリフト(足場上に小型走行クレーンを設置)を採用することで、現場労働時間をRC造の949人工から671人工へ約30%削減。この結果、補助金を含めた建築コストは、RC造と同等とした。UA値は0.39で、ZEH-M Orientedを取得している。
竣工見学会で同社代表取締役社長・細谷惣一郎氏は、「事業主の近代産業さんから〝ぜひ木造で〟という要望を受け、三菱地所グループの三菱地所設計、三菱地所ウッドビルド、MEC Industry などと連携して国産材を多用することで森林・林業振興に貢献した社会的意義の大きいプロジェクト。4階建て以上の建築物の木造化率はわずか0.1%だが、木造への期待は高まっており、大きな可能性を秘めている」と語り、これまでの主な取り組み事例を紹介し「当社グループは川上から川下まで流通-施工-販売までのシステムを構築し、木材への期待に応えていく」と述べた。
物件について説明した同社常務執行役員都市木造技術推進部長・越川喜直氏は、 「構造材の国産材率は57%だが、ツーバイフォー工法の全国平均の20.1%を大きく上回る。CO2排出量削減約170tは、車の走行距離にして地球19周分の約76万キロ、炭素貯蔵量約98t-CO2はスギノキ約200本分に相当する」と説明した。
物件は、西武池袋線氏椎名町駅から徒歩6分、豊島区長崎一丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60=耐火建築物により70%、容積率200%)、準防火地域に位置する敷地面積約202㎡の木造枠組工法4階建て延床面積約389㎡。事業主は近代産業。設計・施工・監理は三菱地所ホーム、監修・アドバイザーは三菱地所設計、木材調達は三菱地所ウッドビルド。

現地

エントランスは櫛引仕上げの塗り壁

サイン

左から細谷氏、越川氏、横須賀氏(赤のジャケットは還暦祝いでプレゼントされたのではなく、同社のスタッフレッドだそうだ)
◇ ◆ ◇
同社広報担当・横須賀直人氏は「いつも通り、分かりやすく説明しますので大きく取り上げていただきたい」と話したので、細谷氏と越川氏が紹介した三菱地所グループのこれまでの代表物件の記事を添付する。
ほとんど取材しているのだが、2019年に竣工した「池袋西口公園GLOBAL RING」は知らなかったので、取材後、見学することにした。
雨が降っており、次の取材もあるので外観だけにしようと思ったら、横須賀氏が「酒も飲める」とそそのかしたので、白のグラスワインを飲んだ。消費税込みで550円。安いのだがグラスはプラスチック製。ワインだけはワイングラスで飲みたい。デザインは最高。さすが三菱地所設計だ。土木学会デザイン賞2024優秀賞、第37回都市公園等コンクール/日本公園緑地協会会長賞を受賞したのもうなずける。

「池袋西口公園GLOBAL RING」カフェ棟

「池袋西口公園GLOBAL RING」カフェ棟

「池袋西口公園GLOBAL RING」
容積率800%の元町の一等地 10坪の狭小敷地に木造2階建て店舗三菱地所ホーム(2025/2/15)
山梨県北杜市の青空オフィスで植樹活動開始三菱地所ホーム(2024/5/28)
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア三菱地所ホーム「江北小路」完成(2023/9/28)
容姿端麗・眉目秀麗三菱地所×隈研吾「CLT PARK HARUMI」14日運用開始(2019/12/5)
凄い!外階段に本物の木ルーバー自然素材多用した東建「Ave.Takanawa」完成

「Ave.Takanawa(アベニュータカナワ)」
東京建物は2月26日、品川駅高輪口から徒歩4分に位置するオフィスビル「Ave.Takanawa(アベニュータカナワ)」が完成したのに伴う記者発表会を開催し、3月2日に開業すると発表した。従前建物の歴史を継承し「まちのようなオフィス」をコンセプトに、人やまちとのつながりを重視した共用ラウンジや屋外テラスを設け、本物の木による大階段や観葉植物、アートを多用した空間を演出しているのが特徴。約7割が契約済み。
物件は、従前建物である「アベニュー高輪前川ビル」の建替えプロジェクトで、敷地は南北軸が約70mある細長い敷地で、敷地西側は国道15号(第一京浜)に接道。道路を挟んだ西側にはトヨタの東京本社ビルや京急のラグジュアリーホテルが予定されている再開発エリア。
1階エントランスホールは、外と内を緩やかにつなぐアルミメタル・パネル、レンガタイル、木製格子壁、観葉植物など自然素材を多用。屋外を通じて各階をつなぐ大階段は、手摺や上裏ルーバーに国産天然木(九州木材のエコアコールウッド)を採用。全フロアに執務室から気軽に出入りできる屋外バルコニーを設置。屋上階にはルーフトップテラスを設置。芝生や高木(リンボク)を植え、木製カウンターなども設置している。
オフィス基準階は1フロア約920㎡(約280坪)、最大4分割まで対応可能。スケルトン天井を採用することで、スラブ下で約3.8m、大梁下で約3mの天井高を実現。
5階には、館内ワーカーが自由に利用できる共用ラウンジ・テラスを備えた、1名利用から複数名利用まで多様なニーズに対応するシェアオフィスを設置。ラウンジとテラスは緑(ヤブニッケイなど)と木(オーク材のフローリング、ヒノキの本棚、レンガのテーブルなど)を取り入れた開放的な空間とし、貸会議室やドリンクサービス、ミニコンビニなども備えている。
6階には、セットアップオフィスおよびカスタムオフィスを用意。運営は東京建物グループのエキスパートオフィスが担当する。最大8分割が可能。
設計は、MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOとともに基本計画段階から建物構想を作り上げ、建物全体としては、南北に長い敷地形状を生かし、南北にエレベーターや設備の中心となるコアを分散するスプリットコアの計画とし、両面採光・両面通風を実現するとともに、基準階執務室の奥行きを確保した。
1階と5階には世界的に著名な美術館に作品が収蔵される松山智一氏のアートワークを複数展示している。
1階には「THE CITY BAKERY」のほか、企業イベントやセミナー、交流会などに対応する多目的イベントスペース「グレイドパーク品川」が入居予定。
環境配慮・ウェルビーイングの取り組みとしては、BELS最高ランク(★5)、ZEB Ready(事務所部分)、CASBEE ウェルネスオフィスSランク、国産木材利用など。
施設は、JR・京急線品川駅から徒歩4分(JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩8分)、港区高輪三丁目に位置する敷地面積約1,778㎡、鉄骨造・一部鉄筋コンクリート造10階建て延床面積約11,782㎡。事業主は東京建物と前川。設計はMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO(デザイン監修含む)、安井建築設計事務所・戸田建設設計共同企業体。施工は戸田建設。

大階段

標準階フロア

大階段

屋外テラス

5階アート

1階アート

中村氏「入居率約7割は、想定以上の進捗です」
◇ ◆ ◇
書かなきゃならない記事は他にもあるのだが、〝後入れ先出し〟だ。上段はほとんどリリースのコピペだ。施設にいて説明した同社都市開発事業第二部課長代理・中村真悠子氏と質疑応答の声はほとんど聞こえなかったが、見るべきものはしっかり見た。添付した外観写真(国道に面した西側)を見ていただきたい。
凄いの一言だ。同社とデザイン監修・設計を担当したMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO(原田真宏・原田麻魚)による「くの字」の外階段には、本物の木が採用されている。高層オフィスビルの外階段に本物の木が採用されているのを初めて見た。
担当者に「何の木ですか」と聞いたら、「九州産のエコアコールウッド」と返ってきた。「いゃ、木の名前、日本語に訳して」と聞き返したが、返事はなかった。取材後、ネットで調べた。「エコアコールウッド」という木はなく、九州木材の特許製品「エコアコールウッド」の名前だった。〝アコール〟はフランス語で「調和」という意味だ。耐久性に優れた木材保存注入薬剤を使用しており、厳島神社、出雲大社などの寺社仏閣のほか、ガードレールにも採用されているという。
建基法の改正により、大規模建築物を木の「現し」で表現することが可能になった。どんどん採用してほしい。記者は階段は滑り台にしたら大ヒットすると思うがどうか。
更に拡大して、隈研吾氏が設計し、同社が分譲・整備した「豊島区役所」のように、せせらぎを流したらどうか。

大階段

1階エントランス

1階エントランス

5階ラウンジ
屋上に里山とせせらぎ 格子デザインも美しい 豊島区新庁舎が完成(2015/3/26)
凄い、凄い、凄い-ZEHリノベの有意性証明 東建・慶大・YKK AP 実証実験報告会

「Brillia ist東雲キャナルコート」
凄い、凄い、凄い-東京建物、慶應義塾大学、YKK APは2月24日、わが国初の「既存賃貸マンションのZEHリノベ実証実験」結果報告会を開催した。通常リノベとZEH仕様のマンションでは快適性、健康性、知的生産性、省エネルギー性でどのような差異があるかを科学的に検証したもので、あらゆる面でZEH仕様が有意性があることを証明した。
実験は、東京建物が開発し保有する築20年、総戸数423戸の大規模賃貸マンション「Brillia ist東雲キャナルコート」を対象に、同じ方位、同じ間取りの専有面積66㎡の6階住戸をZEHリノベーション、11階住戸を通常リノベーションに設定し、室内環境測定と被験者(慶大生、夏季、冬季各16人、合計32人)の実証データを比較検証したもの。
通常リノベ住戸をZEH仕様とするため、外壁・バルコニー・開口部には吹付け硬質ウレタンフォームA種1H(厚さ35mm)、一重窓Uw=2.11W/(㎡・K)、アルミ樹脂複合サッシ、Low-E 複層ガラス(G15)を採用し、設備改修には節湯A1(手元止水)、節湯B1(小流量吐水)を採用。
その結果、UA値は通常リノベの0.74W/(㎡・K) (断熱等性能等級4) からZEH仕様は0.27W/(㎡・K) (断熱等性能等級6)へ、BEI値は通常リノベの0.94(一次エネルギー消費量等級4)からZEH仕様は0.73(一次エネルギー消費量等級6)へ改善した。
被験者は、5泊6日の宿泊日程で、4名を1グループ、1週間で2グループがZEH改修住戸と通常改修住戸を1泊ずつ交互に宿泊して模擬作業を行い、通常リノベvs ZEHリノベ比較による効果検証を行った。
報告会の冒頭、東京建物執行役員 住宅エンジニアリング部長・遠藤崇氏は、同社のZEH-Mの取り組みとして経済産業省「高層ZEH-M実証事業」に認定された2018年の「Brillia弦巻」、2019年の「Brillia Tower 聖蹟桜ヶ丘BLOOMING RESIDENCE」、そして、大規模建築物として日本初の「ZEH-M」を2024年に竣工した「Brillia 深沢八丁目」などの事例を紹介。「Brillia ist 東雲キャナルコート」の物件概要と、今回の実証実験概要を発表した。
国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付建築環境推進官・宮森剛氏は、わが国の住宅ストック(約5,400万戸)のうち省エネ基準に適合している住宅は令和5年度時点で約19%、無断熱の住宅は約23%と推計されること、2008年から2024年の間、既存住宅流通量のシェアは29.6%から43.6%に増加していること、住宅リフォーム市場規模は約8.3兆円(2024年)と推計されていることなどを報告し、ZEHに対する優遇策を紹介した。
検証の結果、作業効率は6.3%(夏季)、睡眠効率は4.8%(同)、それぞれZEH水準が上回ることが分かった。検証実験を行った慶応大学理工学部システムデザイン工学科・川久保俊氏は、ZEHリノベ仕様は快適性(温熱環境・居住性)、健康性(睡眠・疲労感)、知的生産性(作業効率・集中)、省エネルギー性(消費電力)に有意であると報告した。
YKK APビル統括本部開発営業部長・大作健司氏は、同社が開発した集合住宅用の断熱窓の効果などについて説明した。

遠藤氏

宮森氏

川久保氏
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大作氏

左から大作氏、遠藤氏、川久保氏、宮森氏
◇ ◆ ◇
先の記事にも書いたように、報告があることを失念していた。この記事は、同社から送られた報告会の内容データを読んで書いたものだ。酒もかなり入っており、72ページもある資料を読みこなすのは大変だったが、何とかまとまったのではないか。これまでこの種の取材を何回か行っているので、その記事も添付する。
一つ質問もある。これに内装材をケミカル製品と木質に分け、さらに観葉植物をフェイクと本物にしたらデータはどうなるのか。




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