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左から矢野、橋本、小島、樋口の各氏

 日本木造住宅産業協会(会長:矢野龍・住友林業会長)は5月28日、定時総会後に設立30周年記念の講演会・記念パーティを開いた。

 冒頭挨拶に立った矢野会長は「この10年来の取り組みで、木造は他の工法と同じレベルの性能ができてきた。さらに次の30年に向かって使命感を持って展開していきたい」と述べた。

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 面白かったのは、挨拶途中からの矢野会長の即興のリップサービス。用意してきたあいさつ文をスーツの内ポケットにしまうと、冬季オリンピックメダリスト葛西紀明氏(土屋ホーム所属)の記念講演に感動したことに触れ、「住団連の樋口さんもいらっしゃるから提案しますが、これからはジャンパーの住宅建設は土屋ホームさんに任せ、どこも営業活動をしないことを申し合わせてはどうか」と会場を笑わせ、「60、70は洟垂小僧、男ざかりは百からという平櫛田中さんの名言もある。われわれはまだまだ30。葛西さんに負けないようがんばろう」と挨拶した。

 口火を切った矢野氏に負けじと受けて立ったのが国交省・橋本公博住宅局長。「みなさんにざんげしなければならないことがあります。昭和55年に親父が退職してニュータウンの土地を買い、『どんな家がいいか』と相談されたとき、『そりゃコンクリートだろう』と答えてしまった。私の人生の最大の汚点です」と、爆笑を誘った。

 この乗りに遅れてはならじと登壇したのが林野庁・小島孝文木材産業課長。「私は高校まで愛媛県の新居浜市で育ったのですが、裏山はよく見ていたのに、その奥の別子銅山の炭鉱跡で再生活動が行なわれていたことなどまったく知らなかった。恥じ入るばかり」と、矢野氏に謝った。

 トリは住宅生産団体連合会・樋口武男会長(大和ハウス会長)だ。「これまでの皆さんの挨拶は37分」とそろそろ締めようと話し、「私は立場上話すのですが、鉄もコンクリも木造もみんなええと思う。自分の家は最初プレハブ、今は木造(戸建てをやっていた大和団地の社長も務めたためらしい)ですが、いまの住宅の品質性能は同じ。あとは好みと営業活動。とにかく内輪喧嘩はよしましょう。うち(大和ハウス)は木造もあるのにしっかりせなあかん」と、他社には牽制球を投げ、自社の木造にははっぱをかけ締めた。

 4人の掛け合い漫才のような挨拶の軍配はやはり矢野氏より2年先輩の77歳・樋口氏か。他社には内輪喧嘩をよそうと呼びかけ、自社の木造には檄を飛ばすあたり、関西商法の強かさがある。

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葛西氏(左)を交えた鏡割り

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 パーティの席上で木造ファンの記者は矢野氏に声を掛けた。「矢野さん、山林保有面積で三井物産さんを抜いておめでとうございます」と。矢野氏は満面に笑みを浮かべ、「国内はこれから増やすのは難しいが、2040年には世界一の森林会社になる。中身で勝負」と世界を見ていた。

 ポラスグループの中内晃次郎代表からも面白い話を聞きだした。パーティで本所の皆さんが「木遣り」を披露したのだが、これを見ていた中内氏は「越谷にも木遣り保存会がある。うちの職業訓練校受講生に覚えてもらい、上棟式などで木遣りがやれないか考える」と話した。施主から了解を得られるかどうかだが、これはいい。ぜひ実現していただきたい。

 

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本社内に設けられた無柱空間の構造模型 

 ポラスグループのプレカット事業を展開するポラテックは5月27日、設計者や工務店を対象に「ポラテック中大規模の会セミナー」を開催。設計者、工務店など関係者ら約100名が参加者した。

 ポラテック中大規模の会は、会員間での情報交換を活発化し、中大規模建築の「非住宅」の木造化を推進することを目的に発足した。

 セミナーの1部では、プレカット非住宅推進課・下山順氏が同社オリジナル商品を用いた木造建築の設計手法について実例で紹介。下山氏は、条件にもよるか鉄やコンクリートの従来工法と比べ3割くらいコストを抑制でき、最大12mスパンを実現できるなどと話した。

 2部では、一般財団法人ベターリビング住宅性能評価部長・青木健氏が平成27年6月1日施行建築基準法改正に関するポイントを解説。

 同社の専務取締役・北大路康信氏は挨拶で「着工件数が減少していく中で、当社の今年5月の非住宅の木造は前年同月比66.8%増。大幅に増えているのは2010年公共建築物等木材利用促進法の施行など木材の需要を拡大することが国主導で推進しているという背景的事情がある。また木造建物は地震や火災に弱いというイメージが世間的に蔓延しているが、国の実験結果からも、木は燃えにくく地震にも強いことが証明されている。木造では中大規模の建物ができないと考えられているが、そうではないということを、協賛してくださる皆さんとともに、世の中の常識を変える動きを作って行きたい」と述べた。

 同社のプレカット事業部の総生産量における「非住宅」の割合は5.8%となっており、今期末にはこれを10%まで引き上げることを目標にしている。

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(岡田寛子)

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FRK総会後の懇親会(ホテルオークラで)

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田中新理事長

 不動産流通経営協会(FRK)は5月28日開いた定時総会と臨時理事会で、竹井英久理事長(三井不動産リアルティ会長)の任期満了に伴う役員選任を行い、新理事長に田中俊和氏(住友不動産販売社長)を選任した。竹井氏は副理事長に就任した。

 総会後に行われた懇親会で挨拶した田中新理事長は、昨年度は消費増税の影響で中古マンション成約件数が前年度比1割マイナスとなったものの、今年度に入り底入れ感が広がり、価格は品薄感から5%強上昇していることに触れ、「2020年に市場規模を倍増」させる政府目標を達成するために着実に取り組んでいくと語った。

また、「喫緊の課題」として最近話題になっている「囲い込み」についても言及。「囲い込みの解決のため『ステータス管理の導入』に全面的に協力する」と、消費者の視点から問題の解決を図っていく決意を述べた。

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左から来賓として太田国交相の祝辞を代読した国交省土地・建設産業局長  毛利信二氏、田中氏、竹井氏

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「緑住農一体型住宅地 春風台」

 1区画が200坪(660㎡)という「平成の田園調布」とも言うべき街を見学した。茨城県つくば市の土地区画整理事業地の一角で3年前から分譲されている「緑住農一体型住宅地 春風台」(109区画)で、期間50~70年の長期定期借地権付き宅地分譲により初期投資を抑え、区画整理事業法、固定資産税法、都市緑地保全法など縦割り行政の隘路を巧みな手法で切り抜けたわが国に例のない街づくりだ。つくば駅から車で15分とややかかる難点を逆手に取った手法でもある。

 物件は、つくば駅の北東約2~4キロに位置する開発面積189.9ha、計画人口8,000人の「中根・金田台特定土地区画整理事業」(施行期間平成16年~31年)地内の一角。従前は自然林や畑だった台地状のところ。区画数は全109区画。地代は月額5~6万円。契約期間満了時に返却される保証金は250万円。

 全体計画は、住宅地の前に幅12mの景観緑地を配している「緑住街区」と、100坪の宅地と60坪の景観緑地、40坪の果樹・菜園からなる200坪の「緑住農街区」から構成されており、「村の記憶」「森の継承」「緑陰のまちづくり」がコンセプトとなっている。電線類の地中化を実現した。基本は定借だが、所有権分譲にも対応する。

 景観緑地には市の地上権を設定することで、その部分の地代を事実上非課税としているのが特徴で、緑地の整備・管理は地権者が行い、自治体は財政負担なしで市街地の緑地を確保できる〝三方良し〟の関係が保たれている。約60区画で住宅が建設されることが決まっている。

 地権者の一人でもある「桜中部地区まちづくり協議会」会長・酒井泉氏(66)は、「米国のオークパークやヴィレッジホームズ、わが国の伝統的な民家・集落のいいところ取りの街づくりを目指した。こんな街は他にないはず。里山の環境をつくり、緑陰で居住者が語り合えるような街にしたい」と話した。

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 現地についてすぐ、近くでウグイスが澄んだ美しい声で「ホーホケキョ」と記者を歓迎してくれた。酒井氏によると、絶滅危惧種に指定されている、かつては人間と共存していたオオタカもすぐ近くに棲んでいるという。

 どのような街であるかは写真を見ていただきたい。道路は日照や通風に配慮した南北軸で、ボンエルフの手法を採用。車道と景観緑地を分ける縁石の高さは数センチくらいに抑え、景観緑地にはヤマボウシやコナラなど近くの自然林の樹木が植えられている。

 各住宅はハウスメーカーが建てたものでまちまちだが、地区計画によって建築物や壁面位置、色、形状などガイドラインが定められている。

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「家庭菜園」 このお宅では小松菜、カボチャ、玉ネギ、ナス、トマトなどたくさん野菜が植えられていた

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 酒井氏の専門は物理学。昨年3月、定年で退職するまでの7年間は福井大の教授を務めていた。車中で少し話を聞いたのだが、まるで宇宙語、さっぱり意味が分からなかった。

 ここで酒井氏の経歴について少し触れたい。酒井氏は地元つくば市出身。東北大学工学部卒で、卒業後は民間の研究所で大容量送電システム、国の研究所で大強度陽子加速器の研究に携わり、「原子力と核融合エネルギーが人類の未来への希望と思っていた」が、チェリノブイリ事故に衝撃を受け、2007年に福井大学教授に就任してからは、当時の中川英之副学長の「核変換による核廃棄物処理は物理屋の使命」との言葉に共感して、大強度加速器の核変換技術への応用などの研究に比重を移していく。

 1988年頃からボランティアとしてつくば市の街づくりに関わるようになり、1996年以降は、東大法学部名誉教授・稲本洋之助氏の指導を仰ぐようになる。区画整理事業地の近くに実家があり、地主の一人でもある。

 「緑・住・農」などという大胆かつ奇想天外とも思える発想ができるのも、ここが生まれ育った故郷であり、自らの研究テーマである原子力と同様、動き出したら止まらない制度的特徴を持つ区画整理事業を同じ問題として捉えているからではないだろうか。他人事で済まされない、持続可能な地域社会を造るのだという不退転の覚悟がないとできないことだ。

 区画整理事業についてはたくさんガイドブックのようなものが出版されている。ほとんどが推進派からだ。住民サイドからのものもなくはないが、「反対」ありきで、理論的に深く掘り下げたものは記者はよくしらないし、記者は研究者でもない。

 その点で、酒井氏が区画整理事業について書かれた論文は正鵠を射るものであるのは間違いない。酒井氏が平成4年に書かれた「区画整理事業の改革に向けて 『複合型』区画整理事業の提案」と題する論文には次のようにある。

 「地価の動向や、どのような街を造れば人が集まるのか、正確なことはわからない。重要なことは、坪いくらで売れるという『にわか不動産屋』的発想ではなく、『自分達が住み続けたいと思える街を造ることである』。極言すれば、『自分たちが住んでいる集落を捨ててでも住みたくなる』ような、質の高い街をつくれば、地価の動向による損得を超えて、子や孫たちに、よい環境の街を残したいということで納得できるはずである。…中途半端な街づくりをして、他の開発に負けて、せっかくの優れた環境を台無しにする危険は犯したくないと思うのが普通だ。

 これまでの他の日本の都市には見られなかった、優れた環境の街を造ることができれば、地理的に不利な条件や厳しい財政事情を克服し、活路を見いだすことができるかも知れない」

 記者はこの論文の副題に「複合的」という文言が入っているのに注目した。がんじがらめの法律の網をかいくぐって問題を解決するトンボのような複眼の視点でものごとを考えることが必要と小林秀樹・千葉大大学院教授に教わった。同じ発想だ。酒井氏の論文にも小林教授の名が登場する。

 酒井氏の了解も得たので、その論文をそのまま添付する。今後の区画整理のあり方を研究する方々にはぜひ読んでいただきたい。

  桜中部地区まちづくり協議会のホームページアドレスはhttp://harukazedai.com/ 、連絡先電話番号は 080-4471-8566。

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酒井氏

 「区画整理事業の改革に向けて 『複合型』区画整理事業の提案」H4-2.pdf

 「常磐新線沿線開発・土壇場での解決策」H10.pdf

震災から4年「希望」はあるのか陸前高田に見る復興事業(2015/3/4)

これでいいのか 被災地復興土地区画整理事業(2014/2/13)

「区画整理の限界を超える」か スマートシティ「ビスタシティ守谷」(2013/2/22)

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「パークシティ大崎」全景

 北品川五丁目第1地区市街地再開発組合(業務受託者:三井不動産)は5月20日、東五反田地区にできた「パークシティ大崎」の完成披露説明会を行った。

 「パークシティ大崎」は、2棟の業務・商業棟、2棟の住宅棟、1棟の商業棟、地域交流施設棟、大崎の歴史を未来に承継する作業所棟の7棟の建物で構成。三井不動産、日本土地建物、大成建設、大和ハウス、新日鉄興和不動産、三井不動産レジデンシャルが再開発事業の参加組合員として参画。各建物の大半が竣工済み。

 商業棟(大崎ブライトプラザ)の1階にはスーパー、2階には医療関係の施設が入る予定。本年9月11日にグランドオープンする。

 完成披露説明会には、品川区長・濱野健氏、品川区地域振興部長・堀越明氏、北品川五丁目第1地区市街地再開発組合理事長・井上裕之氏、北品川五丁目第1地区市街地再開発組合 事務局長・松永健司氏らが出席。

 井上理事長は「着想から30年、再開発事業が品川区の支援の下、完成することができたことを誇らしく思う。うるおい、賑わいに溢れた地域になってほしい」と語った。

 また、今回の再開発事業を支援した濱中品川区長は「今回の開発に携わってきた方々に感謝したい」と述べるとともに、「元々目黒川周辺域は、製品を運ぶには打ってつけの場所で、品川は京浜工業発祥の地でもある。これからは、物だけでなく品川区の中小企業の人々を『SHIP(船)』に乗せて発展の海に漕ぎ出したい。そういう思いから『SHIP』と品川産業支援施設を名づけた」とブライトコア3,4階に開設された品川産業支援施設を紹介した。「SHIP」は中小企業のインキュベーション施設であり、ここを会社の住所地として登記することも可能。その他、3Dプリンターを設置した工房もある。施設利用料は、有料。

 住居棟の「パークシティ ザ タワー」は、地上40階、地下2階建て。共同住宅のほか、店舗や、子育て支援施設や地域コミュニティ施設も併設される。

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街区幹線道路

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大崎ブライトプラザ屋上

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 今回見学したのはブライトコアの3、4階と住居棟。

 パークシティ大崎は、緑豊かで潤いのある風景を創造するため、マスターアーキテクトとして日本設計が携わり、デザイン監修に光井純氏を、プランツディレクターには西畠清純氏を迎えた。街区内を東西南北に走る道路の街路樹は二重列植にすることで、より建物を引き立たせる工夫がなされている。

 街区を彩るシンボルツリーには、街の繁栄を願うオリーブの大樹8本が街区の中心部のほかにも植樹されている。樹齢は250年から600年。樹齢1年に対し1万円だそうだ。はるばるスペインから船で運ばれてきたのでそれほどの高価なものになったようだ。

 街のシンボルツリーや街路樹の1本1本にそれだけの費用と時間をかけていることを知り、驚いた。 

                                (岡田寛子)

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オリーブの木

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マンション エントランスホール

 

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植樹式

 積水ハウスは5月19日、同社の環境技術実証実験住宅3棟を結集した「積水ハウス エコ・ファースト パーク」を同社の関東工場(茨城県古河市)に新設、広く一般に公開していく。同日、和田勇・同社会長兼CEO、阿部俊則・同社社長兼COO、北村茂男・環境副大臣、楠田幹人・茨城県副知事、菅谷憲一郎・古河市長らが出席して開所式や植樹式・メダカ放流式が行われた。

 「エコ・ファースト パーク」は総面積2万8,000㎡。地球温暖化や生態系問題、資源問題などの〝学びの場〟として提供するもので、2006年に国立市に建設した「風の家」、2008年に洞爺湖サミットの環境ショーケースとして建設された「あしたの家」、2010年に横浜市に建設された「木の家」をそれぞれ移築、「いきものの庭」「資源の泉」などを加えた施設で構成。

 開所式で挨拶した和田会長は「後世に伝えられる設備を備えた住居つくりを99年から取り組んできたが、その活動の歴史の中で象徴的なモデル施設を一か所に集約できた。たくさんの人に若いうちから環境を学ぶ場所にしていただきたい」と述べた。

 来賓として出席した北村環境副大臣は、「行政、企業、市民が一体となり地域を盛り上げ、そして環境について学ぶ場として発展していくことに期待したい」、楠田副知事は「茨城はエコに積極的に取り組んでいるので、県民に親しみのある施設になるよう施設にしていただきたい」、菅谷市長は「行政としても環境に配慮した取り組みを行う心は積水さんの理念と同じ」などと語った。

 同社は、2008年に①家庭部門と事業活動に伴う二酸化炭素排出量制限の積極的推進②生態系ネットワーク復活の積極的推進③資源循環の徹底推進の3つを環境大臣と約束し、業界初の「エコ・ファースト企業」として認定を受けている。

 場所はJR宇都宮線古河駅から車で20分。開業時間は10:00~17:00。入場無料。見学の際はホームページで予約が必要。(岡田寛子)

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左から和田氏、北村氏、楠田氏、菅谷氏

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 全体の見学時間は2時間もなかったので、回りきれなかったのが残念だった。じっくり見学するには少なくとも5時間は必要だとおもう。それくらい中身の濃い「パーク」だと思う。

 今回、報道陣に公開された「エコ・ファースト・パーク」の「風の家」も「あしたの家」も「木の家」も記者は見るのが初めてだった。なにより嬉しかったのは、同社の「5本の樹計画」や木造住宅「シャーウッド」ファンの記者としては、主力の「鉄」ではなく、環境と親和性の高い「木の家」が移築されたことだ。

 もう一つ、2003年に開設された建設現場の廃棄物を分別し、100%資源化する流れを学べる「資源の泉」がいい。以前はそのまま廃棄されていた廃材が最初27種に分別され、最後は80種まで細かく、しかもタグ付きだからどこで廃棄されたかもトレースすることができる。これも素晴らしい。

 同社が消費者から圧倒的な支持を得られるのも、こうした地道な活動があるからこそだと納得もした。和田会長は「1999年に『環境未来計画』を発表したとき、業界からもマスコミからもばかにされた。今は、環境を語れない企業は存続できない」と話したのが印象に残った。

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メダカの放流式

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メダカの放流式

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 ひとつだけ、今回の見学取材で我慢がならなかったことがある。古河駅から同社が用意したバスで「「エコ・ファースト・パーク」が開設された同社の工場に向かったのだが、おそらくプラタナスだと思うが、道路の街路樹として植えられていたその樹木は変な選定をやったために瘤だらけになり、支柱がないせいかひん曲がり、無駄なヤゴやら幹ぶき、徒長枝だらけ。木は悲鳴をあげていた。きれいに選定され、樹木1本一本に名札が付けられた同社工場敷地内の樹木とは対照的だった。

 この日、古河市長もセレモニーには出席されていたので、このことを話そうと思っていたが、その機会はなかった。残念無念。(牧田 司記者)

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古河市の街路樹(左)と駅前広場のケヤキと思われる木

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 国立市議会は5月19日、先の市議選で上原公子元市長を支持する国立・生活者ネットワークの候補3名が全員落選したため議会勢力図が逆転したことを受けて、上原元市長に対する求償権の行使を求める決議を賛成13名、反対8名で可決した。

 議決では、これまでの経緯に続いて「さる4月26日に実施された統一地方選挙の結果、佐藤市長は、圧倒的多数に支持を受けて再選され、国立市議会の議員構成にも大きな変化が生じた。この選挙結果は、国立市における直近の民意を反映するものであることは言うまでもない。そこで、国立市議会は、改めて上記放棄決議に反対の意思を表明するとともに、佐藤市長に対して下記のような求償権の行使を求める」としている。

 「下記のような」とは、東京地裁平成21年(行ウ)第249号損害賠償請求事件(住民訴訟)のことで、上原元市長に3,123万円と金利分を支払うよう求めた判決。

国立「求償権裁判」被控訴人(上原元市長)側が弁論・意見陳述(2015/5/16)

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公判後の集会で挨拶する上原氏

 国立市が上原公子元市長に損害賠償金の「求償」を求めた裁判(東京地裁平成26年9月25日判決言渡し)の控訴審第2回口頭弁論が5月14日、東京高裁で行われ、被控訴人(上原氏)と代理人が意見陳述・弁論した。市側は「求償権に関する決議の採択がなされる予定で、これを書証として提出するには1カ月はかかる」とのみ答弁し、閉廷。次回は7月16日の予定。以下、被控訴人側の意見を紹介する。

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 中村晋輔弁護人は事実論として、先の住民訴訟判決について触れ、「このような裁判所の認定こそ、強引かつ異例な認定であり、証拠に基づくことなく、被控訴人(上原氏)に対する悪意や偏見に基づいた不公平かつ不相当のもの」と指弾。明和マンション訴訟についても、運動は「被控訴人が扇動したものではなく、住民が自主的・自発的に結成して、進められたもの」で、地区計画も同様に住民が主導したもので、また、「被控訴人は、明和地所という特定の企業の営業活動を狙い撃ち的に妨害しようとしたのではなく、あくまで景観保持という政治理念に基づいた行為」であり、「原判決は正当なものであり、本件控訴は棄却されるべき」と主張した。

 田中隆弁護人は違法性論に言及。上原元市長が行った地区計画・条例改正、市議会での答弁、東京都への要請など一連の行為には違法性がないと主張。さらに、「にもかかわらず、明和訴訟控訴審判決などは、それぞれの行為がいかなる意味で違法性を帯びるか明らかにできないまま、恣意的な3つの基準を持ち込んで、『全体的に観察すれば違法』と決めつけただけのもので、法的評価に値しない」と論じた。求償権の行使は、私利私欲による場合などに限定すべきという考えを示した。

 上原氏は、自らが取った一連の行為について、「市民の血のにじむような努力に応えて、議会を含めて、行政も『オール国立』の問題として全身全霊をかけて取り組んできました。そして、その結果が、『保護すべき景観利益』という最高裁判断と、『景観法』制定という形で、国を動かした…地方自治の成果に対して、後に、退職した市長に求償という形で責任を負わせることが認められるならば、今後、民意を一身に受けた首長の決断に大きな制約を生じることはあきらか…この裁判の判決如何によって、今後の地方自治のあり方に、大きな影響があることは間違いない…より個性的で価値あるまちづくりの模範的ケースである国立市の景観問題が、政治的圧力の事例にならないよう、裁判所の公正なご判断がなされるよう、切に希望します」などと陳述した。

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 裁判後の住民側の集会で、窪田之喜弁護人は「秋に行われそうな第2回目の裁判で結審となりそうだが、(市側から)どのような内容が出てこようが切り返す」と決意を述べた。

 また、国立市議会は先の求償権放棄決議に反対する新たな議決を準備していることが報告された。5月19日に行われる議会で決議される模様だ。

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 法廷で3名の弁護人の陳述に続いて、淡いグリーンの和服姿の眼鏡をかけた女性が立ち上がり、用意した文章を読み上げた。40席ある傍聴席はすべて埋まり、最後列に座っていた記者は顔がよく見えず、弁護人が上原氏の陳述を代弁しているのかと思った。

 その女性が着席し眼鏡をはずしてやっと上原氏だということが分かった。10数年振りにお会いする上原氏はずいぶんほっそりと見えた。

 記者がこれまで書いてきた一連の国立マンション問題の記事に対して、〝上原バッシング〟だとか、〝明和からお金をもらっているんじゃないか〟などといった批判もあるようだが、これはまったく的外れであることを断言しておく。

 記者は上原氏に対して個人的にはなんの恨みつらみもないし、むしろかわいい人だと思っている。市長として行った行動が、明らかに法律を逸脱していたからこそ書いているにすぎない。

 〝お金…〟については〝おほめ言葉〟として受け取る。記者は当時、この問題は「国立市対明和」ではなく「全国の自治体対不動産業界」の問題であると考え、「こんな違法な行為を許せば、全国いたるところで建物の絶対高さを規制する動きが始まる」と主張し続けた。明和問題がきっかけに燎原の火のごとく、建築物の絶対高さを定める条例が広まったのは周知の事実だ。「上原さんの暴走がなければ…」と今も悔しい思いをしている。その意味では上原氏は憎い。

 しかし、記者はこれまで40年近く、いかなるデベロッパーからもお金をもらってその企業を利する記事を書いたことはない。仮に明和からお金をもらって記事を書けるのなら、ほかのデベロッパーからもお金をもらって記事を書く。

 そんな記事を書いてきたら、田園調布は無理としても家の一つや二つは建つはずだ。上原氏の一連の行為は〝私利私欲〟に基づくものでないと主張されることと同様、記者はお金では動かない。そんなことをしたら自殺行為だ。自死する勇気は記者にはない。

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 以下は取材に同行した岡田寛子記者が書いたもの。ほとんど手を加えず紹介する。

 記者は、今回の国立市対元市長上原氏に対する求償事件の発端ともなった国立マンション事件(民集60巻3号948頁)から、一連の経緯について関心を持ってきた。

 先日、国立市議会議員選挙のあと、国立市役所へ取材に行くため、初めて駅に降り立ち、一橋大学まで続くイチョウや桜並木は素人目で見ても緑の芽は鮮やかで美しく、非常に綺麗な街並みを「みんなで守っている」ということが伝わってきた。

 また取材を受けてくださった市議の方々も、今後の活動について市民のための街つくり・環境つくりに取り組み、住民のための政治をしたいと口にする議員もいた。この街における「景観」を守ろうという意識の高さを感じた。

 そして、市民の方々にも今後の市政に対する期待や意見等を伺ったのであるが、当時の上原氏の政治活動については「きっと上原さんは、市民を思って行動してくれていたと信じていますよ」と。そして求償権については「もう終わったことだから、水に流していいんじゃないのですか」と非常に寛容な意見を頂戴した。

 記者は、原審の判決言渡しにある通り、上原氏の行為に「違法性」はなかったと考えている。

 確かに、当時(詳細は本HPの関連記事を参考にされたい)市長のとった一連の行為は、「明和地所を狙い撃ちにする行為であり、明和地所を街から排除するためのものだ」との強い批判も多くあった。

 しかし、今一度ここで考えてほしい。

 果たして、市長が「そこに住まう人のよりよい生活を確保するために」した公務を裁判所が“違法”と判断したことが、ただちに市長個人に直接の賠償請求を安易に認めることが民主主義のあり方なのだろうか。

 これがまかり通る社会になっては、市長の公務に委縮効果をもたらし、憲法92条に定める「地方自治の本旨」を絵に描いた餅にしてしまうのではないか。

 民主主義社会の実現のために市民と行政がパートナーシップを築くことで、より市民に配慮の行き届いた行政活動をすることが、市長の役割であり、望ましい市民自治のあり方なのではないかと考える。(岡田寛子)

国立市議会勢力図が逆転 どうなる上原氏への損害賠償請求(求償権)(2015/5/1)

上原・元国立市長への求償は当然 議会「決議」の法的効力は? (2015/1/31)

「求償権の放棄」は問題 国立市は上原元市長に賠償請求すべき(2014/10/1)

 

 

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 不動産協会は5月14日、第55回定時総会終了後に懇親会を行った。

 冒頭に挨拶した木村惠司理事長(三菱地所会長)は今年度の重点活動について4点を挙げ、「第一に、都市と住まいに関しては、2020年の先を俯瞰し、中長期的な視点から民間の役割、政策はどうあるべきかなどを提案し情報も発信していきたい。第二は大都市問題。国家戦略特区、規制緩和などについて行動していく。第三は豊かな住生活はいかにあるべきかについて。国交省も住生活基本計画の見直し作業に入った。スマートウェルネスシティなどについて考えていく。第四は税制問題。固定資産税や消費税の軽減税率などについて理論武装していく」と語った。

 また、海外からのインバウンドにどう対応していくか、エネルギー・資源問題も大きな課題であること、都市再生を地方創生につなげていくことも大事などと話した。

 乾杯の音頭を取った岩沙弘道会長(三井不動産会長)は、「今年はデフレからの脱却、強い経済を取り戻す正念場であり、成長戦略の道筋を構築しよう。明るさは見えてきている。2015年が日本再生元年になるようにしなければならない」などと語った。

 来賓として挨拶した鈴木馨祐・国土交通大臣政務官は、大都市圏での容積率の緩和にも言及した。

 

カテゴリ: 2015年度

 マンション管理業協会がマンション居住者や管理組合などによるマンションライフを豊かにする様々な工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンの第2弾として「マンションいい話コンテスト2015」を実施する。

 マンションを舞台に、管理組合や居住者がマンションライフを豊かにするための様々な工夫や活動を通して、人と人とのつながりの中から生まれた「よろずエピソード」を広く集め、これを顕彰することで、管理やコミュニティの重要さについて普及啓発をするのが目的。

 募集期間は平成27年5月1日(金)から7月31日(金)まで。9月に入賞作品を発表し、12月10日(木)の表彰式でグランプリの発表を行う予定。

 詳細は、「マンションのWa」ホームページ内の「マンションいい話コンテスト2015」特設サイトhttp://mansion-wa.com/へ。

 

カテゴリ: 2015年度
 

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