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さすが日土地 土地の魅力を最大限引き出す

「ラヴィアンヴェール高井戸」 第1期が即日完売

 


「ラヴィアンヴェール高井戸」

 

 日本土地建物販売が先に第1期8戸を即日完売した建売住宅「ラヴィアンヴェール高井戸」を見学した。高井戸駅から徒歩3分の高台立地で、由緒ある土地の魅力を最大限に引き出した好物件だ。並木道や神田川沿いの緑が美しい街だ。

 物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩3分、杉並区高井戸西1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%・50%、容積率80%)に位置する全12戸。第1期(8戸)の敷地面積は125.19~140.25㎡、建物面積は98.12~104.12㎡、価格は7,480万~9,100万円。建物は2×4工法2階建て3月下旬に竣工済み。施工は細田工務店。5月25日に抽選した結果、最高5倍、平均2.3倍で即日完売した。来場者は135件、問い合わせは60件にのぼった。引き続き第2期(4戸)が6月8日に分譲される。

 

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 高井戸駅を降りると直ぐに現地が分かる。見たとたん即日完売を納得した。駅から現地まで神田川沿いの緑道を通り、高さ約5mの階段を上ったところが現地だ。法面の高木がいかにも歴史のありそうな敷地であることをうかがわせる。

 販売担当者によると、地元の社会福祉法人浴風会の社員寮跡地とのことだった。浴風会についてネットで調べたら、発祥は「関東大震災の被災老人の援護を目的として皇室の御下賜金を含む義捐金を基として内務省社会局の手により財団法人として設立…内務省社会局によって90,750平方メートル(約27,500坪)のこの地(当時は東京府豊多摩郡高井戸村)に、本館・入居棟・付属建物合わせて54棟の建物…の施設を設置したのが浴風会の始まり…浴風会本館は、大正15年に内田祥三(うちだよしかず)氏並びに土岐達人氏により設計されました。中央に塔を配置し、両翼を広げた姿は、内田氏が手掛けた『東京大学安田講堂』と共通する表情を見せています」とホームページに書かれていた。

 ランドプラン、建物外観は由緒ある土地にふさわしい風格、気品のあるものだ。基礎には地震エネルギーを約46%吸収する次世代制震装置SSダンパーを採用したほか、外壁は写真のように日射を遮りながら通風・採光も確保する遮蔽壁を採用しているのが特徴だ。その他設備仕様レベルも高い。


坪庭

 

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 他のデベロッパーも喉から手が出るほど欲しい土地だろう。同社の用地取得の経緯は聞いていないが、さすが日土地。数は多くはないが、バブル崩壊後も継続してレベルの高い建売住宅を供給してきたからこそ、この土地の魅力を最大限に発揮したといえる。

 価格もリーズナブルだ。現地を見て、さすがに1億円は越えないだろうと読んだが、2期も最高価格は8,880万円だ。同社は隣接地でも用地を取得しており、戸数は今回の物件より少なくなりそうだが建売住宅になるのは間違いない。

  細田の施工もいい。創業以来60余年、ずっと戸建ての分譲、施工を続けてきた技術力・デザイン力がうかがわれる。今回の建物は2×4だが、これもなかなかいい。記者がこれまでたくさん見てきた自社、法人受注物件のうち2×4はどれぐらいの比率なのだろうか。自社物件は軸組が圧倒的に多いはずだが、法人受注では2×4も意外と多いような気がする。

現地の法面 神田川沿いの緑道から現地を望む

 

カテゴリ: 2013年度

細田工務店 「本物の気のよさ」を提案した

新商品「木ここち杢(きここちもく)」発売

 


「木ここち杢(きここちもく)」

 

 細田工務店は6月1日、注文住宅の新商品「木ここち杢(きここちもく)」の販売を開始する。発表に先立ち5月18日、「木ここち杢」を体感できるショールームを杉並区の同社本社内にオープンした。

 「木ここち杢」は、創業以来60余年、「木造軸組工法」「直営責任施工」を貫いてきた木造住宅のエキスパートとしてその伝統と技術を世に問うもの。「杢」は「木を扱う匠」と「木目の中でも特に美しい紋様」を表す言葉。「本物の木のよさ」に、最新の「安全・安心」の技術を加え、珪藻土クロスなど自然素材を用いた「ここちよい空間」を提供する。

 130mm巾広の無垢材を床に使用したほか、「ウォールナット」「ブラックチェリー」「メープル」の3タイプを厳選。同社の耐震住宅(6面体構造)に制振装置「ガーディアン・フォース」を搭載した。また、書斎やキッチン、リビングなど、家族一人ひとりにあるお気に入りの場所、絆を深めながら個を尊重する心地いい場所を提案している。

 参考価格(標準仕様)は61.5万円/坪(延床面積30坪、税別)。販売目標は20棟(平成25年度目標)。

カテゴリ: 2013年度

旭化成ホームズ 富裕層向けの新商品「フレックスレジデンス」

 


外観

 

 旭化成ホームズは5月21日、先に「ABCハウジング 成城住宅公園」(世田谷区成城、東宝スタジオ内)にオープンした富裕層向けの新商品「ヘーベルハウス FREX RESIDENCE (フレックス レジデンス)」のモデルハウスの見学会を行なった。同社の都市型3階建て住宅のトップブランドである「ヘーベルハウス フレックス」シリーズ」(重量鉄骨システムラーメン構造)に「邸宅」スペックを装備したもので、ブランド強化と市場シェアアップを狙う。

 これまで同社は富裕層向けの商品は設定していなかったが、年間50棟ぐらいの受注があることから、ブランドを強化する狙いで75坪か ら100坪ぐらいの単世帯を想定した今回の新商品となった。富裕層向け市場のサーベイの狙いもあり、本社内に設計業務を支援する体制を整えた。

 新商品は、外壁ヘーベル版の新デザイン「PT目地」や大空間設計を支える22mm厚の鉄骨柱、天井高バリエーションを拡充する床下げ 仕様などを導入。内部空間は白を基調にチークの無垢材、大判のタイル、大理石、ガラスなどを多用して「邸宅」と呼ぶに相応しい佇まいとした。延床面積は約 456㎡(138坪)。販売目標は年間100棟で、販売単価は坪200万円。

ラウンジ リビング

 

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 同社を含めプレハブメーカーはこれまで富裕層向け商品をあまり展開してこなかったと聞いてやや驚いた。マンションではかつてバブル期 には10億円超のスーパー億ションがたくさん供給され、1戸(1棟ではない)43億円の物件も供給された(1戸43億円というのはわが国のマンションの最 高価格記録で、海外のコンドミニアムを含めてもトップクラスだと言われている)。さすがにバブル崩壊後はそのような物件は供給されなくなったが、それでも 坪単価にして500万円超の数億円から10億円ぐらいの物件は結構供給されている。

 個人住宅も相当数の豪華な建物が建てられているはずだが、施主としては〝プレハブ〟のイメージを嫌い専門の建築事務所に依頼するほうが多いのだろうか。

 しかし、今回、同社のモデルハウスを見学して、十分富裕層向け商品として訴求できると思った。先日見学した東急ホームズの富裕層向けモデルハウス同様、坪単価200万円も驚きはしなかった。価格以上に価値のあるモデルハウスだと思う。

エンスイート ベランダ(ハンギングチェアは50万円とか)

 

 スペックそのものは目を見張るような豪華なものは採用されていないが、空間デザインの提案が抜群だ。従来の鉄骨柱は標準で9㎜、厚めのもので12㎜なのを22㎜にしたことで大無柱空間を実現した。鉄骨柱の重量は1本900キロぐらいで、20本採用。サッシは幅2300㎜、高さ2700㎜のものもある。天井高もスキップフロアを多用することで最大5.27m確保している。

 ガレージ、リビング、階段などに使用されているタイルは1枚3m四方のものを1m×1.5mぐらいに切って使用しているが、薄くても傷が付きにくく車を載せても割れない強度があるという。アルコールを燃料とする暖炉つきのラウンジは約43.1畳大。天井高は2700㎜。大型サッシを開放すればテラスと一体となった大空間が広がる。チーク材を張った玄関ドアは内開き。

 3階のパウダールームはガラス越しにベランダが眺められるようになっており、自然採光も取り込む工夫がされている。

主寝室(14畳) ドレスルーム(建具はチーク材)

 

 

東急ホームズ新商品「ミルクリーク」前代未聞の来場(5/17)

カテゴリ: 2013年度

三井不動産 VS 野村不動産

熾烈な戸建て分譲マッチレースに突入

 

 この前、三井不動産レジデンシャルが今期戸建てを過去14年間で最多の950戸を売上げ計上する予定と書いた。対する野村不動産はどうか。

 5月21日の「プラウドシーズン船橋森のシティ」の記者発表会に臨んだ同社戸建事業部長・市原幸雄氏は、「今期は700戸強。来期は1,000戸超を目指す。(三井さんを)意識しているわけではないが、結果的に超えることになるかもしれない。これまで大規模を中心に展開してきたが、今後は幅を広げて3,000万円台の郊外型から1億5,000万円ぐらいの高額までメニューを増やす。ただ、街並みを重視するのが基本で、10戸未満の小規模まで手掛ける考えはない」と話した。

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 野村不動産が三井不動産レジデンシャルを超えそうだという情報は1年前ぐらいから聞いていたが、市原氏は公式の場で「来期は1,000戸超を目指す」と明言した。

 一方の三井不動産レジデンシャルは「他社と戸数を競っているわけではない。一つひとつ積み上げてきた結果」(経理部経理グループ長・富樫烈氏)と、本心はともかく受け流した。

 これまで大手デベロッパーの戸建て事業は三井不動産が独走、〝一人勝ち〟の状況がずっと続いてきた。野村不動産が来期に1,000戸超ともなれば、両社の熾烈なトップ争いが演じられる。両社のマッチレースは見ものだが、2強に続くところがなかなか出てこない。影すら踏めない情けない状況が続く。

野村不戸建てパイロット事業「船橋 森のシティ」竣工(5/21)

三井不動産 今期戸建分譲 過去14年間で最多950戸(5/13)

カテゴリ: 2013年度

野村不動産「プラウドシーズン船橋 森のシティ」

戸建てのバイロットプロジェクトの位置づけ

 


「プラウドシーズン船橋 森のシティ」
(一部に太陽光パネルが見えるが、屋根勾配を緩くすることで見えにくくする工夫も行っている)

 

 野村不動産は5月21日、千葉県船橋市で開発を進めている駅前大規模複合開発「ふなばし 森のシティ」内の戸建住宅「プラウドシーズン船橋 森のシティ」(全42戸)が竣工したのに伴い、記者見学会を行なった。先ごろ策定したコンセプト「プラウドスマートデザイン ~ SMART&GROWING ~」を戸建住宅に初採用した次世代スマートハウス。1カ月ですでに約1,000件の反響があり、人気になるのは必至だ。モデルハウスは6月15日から予約制で公開する。

 「プラウドスマートデザイン ~ SMART&GROWING ~」は先進設備、環境との共生をテーマとした「スマートデザイン」と、生活の安らぎを育み、持続的な不動産価値の維持を目指す「グローイングデザイン」で構成されており、「スマートデザイン」として全42戸に約3.0kwの大型太陽光充電パネルを設置したほか、電気・水道・ガスの使用状況の「見える化」、 HEMS (ホームエネルギーマネジメントシステム)を採用した<アクティブデザイン>と、通風や採光など環境共生の工夫で快適な住まいを実現する<パッシブデザイン>の考えを商品に具現化した。

 また、「グローイングデザイン」として採用した「グリーンシェア」はそれぞれ一戸一戸で緑豊かな庭を所有しながら、住民の方同士で共同管理を行う植栽を配することで豊かな景観と心地よい気候を実現した。

 物件は、東武野田線新船橋駅から徒歩5分、千葉県船橋市北本町1丁目に位置する全42戸の規模。敷地面積は135.00~151.67㎡、建物面積は95.69~108.48㎡、予定最多価格帯は5,000万円台の後半。建物は2×4工法2階建て。施工は東急建設、西武建設、細田工務店。造園は石勝エクステリア。販売開始は7月下旬。物件は環境省の「平成25年度 節電・CO2削減のための実践促進モデル事業」に採択されている。

 

 
全戸電気自動車対応(パソコン、タブレットなどで徹底した「見える化」も進めている)と外構の植栽

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 これまで同社の戸建てはたくさん見学してきたが、同社が「今後の戸建てのパイロットプロジェクト」と位置づけているようにこれまでの「プラウドシーズン」ブランドの到達点を示すものであり、今後の同社の展開を探る意味でも極めて示唆的な物件だ。

 <アクティブデザイン>については各社も積極的に取り組んでいることだが、記者がとくに注目したのは<パッシブデザイン>と<グリーンシェア>の考えだ。

 アクティブデザインでは、カード式開閉方式を採用した玄関ドアは通気口付となっている。マンションとはまた異なったもので、記者は建売住宅では初めて見た。リビングの電動シャッターもまたスグレモノだ。電動式そのものは珍しくないが、ブラインドのようになっており、電動で日射や視線をコントロールできるようになっていた。 2 階天井には天窓もきちんと付けられていた。

 <グリーンシェア>の考えを取り入れたランドスケープデザインがまた秀逸だ。驚いたのは駐車スペースだった。一般的に駐車スペースは道路面と直角に配されるが、多くの住棟では斜めに配されており、写真のように植栽スペースを設けていた。これは、北側にある背割り住戸のリビングから自宅の庭先、さらにはその南側の緑の借景を取り込もうという考えだ。このような駐車スペースもまた初めて見た。同社住宅事業本部副部長兼推進一課長・大澤広明氏が「住棟配置より先にみどりの景観を決めた」と話したのには絶句した。

 さらに驚いたのは団地全体で19種80本の中木を各住戸の敷地内外に植えているが、これを維持管理するために「グリーンシェア憲章」を定め自治会で運営することにしていることだ。グリーンゾーンを管理組合を設立してグリーンゾーンを管理するのは他の事例でもあるが、ここまで徹底しているのはないと思う。同社住宅事業本部戸建事業部推進一課長・小島光弘氏は「当社の従来の戸建て団地と比較して約1割から1割5分増ぐらいはコストをかけているが、みんな(価格が)高い樹木ではない。樹木は総勢14人で1本1本選んできた」と話した。1本1本に心が込められているということだ。

    
外構のグリーンポケット                   樹木には名札

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 「みどり」の効用については、当欄でこれまでもかなり書いてきた。自分も樹木剪定をする。樹は知れば知るほど難しい。カシ類は切ると枝が荒れるし、サルスベリはコブを作るべきかどうかで悩む。モミジは「刃物を嫌う」とかで指で折ったりする。ハナミズキも下手をすると枯れてしまう。

 そうならないよう自治会で管理するのは大正解。そのうちみんな樹木のプロになるのではないか。みどりが団地や戸建ての価値の維持向上に大きな役割を果たすのはいうまでもない。

 同社の今後の戸建ての展開については稿を改めるが、今期は約700戸だが来期は1,000戸超を目指すという。これまで書いたようなキメ細かな商品企画であれば十分目標達成は可能だとみた。

 

駐車スペースの植栽ゾーン
(分かりづらいが、普通の駐車スペースは手前の植栽ゾーンはない。
奥の北側住戸の庭とみどりがつながっている)

隣り合う住戸の駐車スペースの中央にも植栽帯 通風機能付き玄関ドア

 

カテゴリ: 2013年度

東急ホームズ 輸入住宅の「ミルクリーク」新商品

ゴールデンウィークに前代未聞の来場者400組

 


「ミルクリーク マスターズ グレイス」

 

 東急ホームズは5月16日、開業したばかりの渋谷区の住宅展示場「TBSハウジング渋谷 東京ホームズコレクション」に出展した輸入住宅<ミルクリーク>の新商品「ミルクリーク マスターズ グレイス」のモデルハウスを報道陣向けに公開した。

 インテリアコーディネーターの第一人者である町田ひろ子氏のプロデュースのもと、伝統と革新を融合させた英国の都市型住宅をモチーフに、英国の高級ファブリックブランドであるデザイナーズ・ギルドや英国・欧州のアンティーク家具を用いた3階建て。機能面では、「美・防災」をテーマに組込型防火シャッターと木製サッシの組合せによる防火・防犯性能や、東日本大震災の1.5倍の水平力にも耐える約4.3畳大の「パントリーシェルター」も提案している。

 モデルハウスは延床面積約408㎡(123坪)、坪単価は130万円。ゴールデンウィーク期間中に通常の2~3倍の約400組が来場した。関係者は「前代未聞」とその数を形容した。

 

 

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 記者内覧会には町田氏のほか、同社・金子健彦専務、設計を担当した同社ミルクリーク事業本部商品開発部商品開発課課長・佐藤崇氏などたくさんの関係者が出席。同社広報は「これまで新商品は資料配布だけだったが、当社のスマートハウスを体験していただくために内覧会を行なった」と説明し、町田氏や佐藤氏がそれぞれ熱っぽく語ったように今回の新商品にかける意気込みがうかがわれた。

 モデルハウスの仕掛け・提案に見学者から〝素敵〟の歓声があがったというのもうなづける。外観は彫りの深い窓周りの陰影や「キーストーン」が印象的だ。バルコニーに植えたゼラニウムはわざわざスイスから種を取り寄せたという。

 内装は、デザイナーズ・ギルドの壁紙が圧巻。20色も使っているそうで、ビニールクロスでは味わえない手触り感と微妙な文様や色使いに記者も驚いた。幅53センチしかないその壁紙を寸分の狂いもなく張った職人の技術も相当なものだ。

 照明は、地震による転倒を避けるためフロアスタンドではなく壁掛けにし、シャンデリアも紙製のペンダントにするなどの工夫を凝らしている。主寝室のカーテンは王室の御用達と同じ刺繍製。床はコルク材を多用、リビング床はウォールナットのヘリンボーン仕上げ。階段はサーキュラー階段。電気式の暖炉も提案している。

 パントリーシェルターは、通常は60本が貯蔵できるワインセラーなどとして利用できるが、非常時には10日分の食料などが保管でき、テレビ、蓄電池、金庫、寝るためのマットなども備えられるものだ。

町田氏 佐藤氏

 

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 記者は初めて同社のモデルハウスを見学したが、「ミルクリーク」そのものは、20数年前に東急不動産の大規模団地「あすみが丘」で建売住宅として分譲されたのを見学している。圧倒的な人気を呼んだ。

 その後、東急不動産も同社も建売住宅の供給を減らしており、見る機会はあまりなかった。同社の2012年度の売上高は362億円、注文住宅の契約戸数は569棟、法人建売住宅他が221棟だ。この売上高、契約戸数が多いのか少ないのかは判断が難しいが、〝街づくりの東急〟の看板からして記者はこの2倍はあってもいいと思う。今後伸ばすのではないかとみている。先に東急不動産が分譲し、人気になった淵野辺の建売住宅も同社の施工だった。

 今回のモデルハウスの坪単価は富裕層向けとしてはむしろ安いぐらいだと思う。坪200万円のモデルハウスを見たことがあるし、マンションだって豪華なものは建築費だけでも坪200万円はする。

建築中のパントリーシェルター

 

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三井不動産 今期戸建て分譲 過去14年間で最多の950戸


同社が昨年分譲した「ファインコート目黒」

 三井不動産の平成25年3月期決算は、「賃貸」「分譲」「マネジメント」の主要3セグメントで増収増益となったことから売上高は過去最高の1兆4,456億円、前期比1,075億円(8.0%)の増収、営業利益は1,481億円、同比221億円(17.6%)の増益、経常利益は1,230億円、同比205億円(20.1%)の増益、当期純利益は594億円、同比93億円(18.6%)の増益となった。

 次期は売上高1兆5,300億円(前期比5.8%増)、営業利益1,600億円(同8.0%増)、経常利益1,320億円(同7.3%増)、当期純利益650億円(同9.3%増)を予想している。

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 同社の売上高が過去最高となったのは、ここ10年ぐらい賃貸ビルや商業施設を積極的に増やし、マンションや戸建て分譲もコンスタントに販売してきたので当然の数字だと思う。有利子負債は2兆1,202億円と2兆円を突破したが、金利安が続いており業績を圧迫するまでにはいたっておらず、首都圏オフィスビルの空室率も3.8%(前期末4.4%)と低下しており、分譲住宅の完成在庫もマンション223戸、戸建て57戸の合計280戸(前期末404戸)と大幅に減少している。

 売上高の過去最高は平成21年3月期の1兆4,189億円で、営業利益と経常利益の過去最高は平成20年3月期のそれぞれ1,792億円、1,628億円だ。このまま推移すれば来期あたりに営業利益、経常利益とも過去最高を達成しそうだ。

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 記者が注目したのは戸建ての収益と戸数だ。当期は464億円(前期比30億円増)、795戸(同9戸減)で、戸当たり単価は5,848万円(同450万円増)となったが、次期の戸数は950戸(同19.5%増)を予定している。

 以下に同社の戸建の収益と戸数を紹介する。

・ 2000年3月期  475億円  821戸
・ 2001年3月期  432億円  769戸
・ 2002年3月期  462億円  900戸
・ 2003年3月期  469億円  921戸
・ 2004年3月期  396億円  841戸
・ 2005年3月期  330億円  676戸
・ 2006年3月期  355億円  706戸
・ 2007年3月期  354億円  707戸
・ 2008年3月期  353億円  713戸
・ 2009年3月期  301億円  572戸
・ 2010年3月期  444億円  829戸
・ 2011年3月期  502億円  925戸
・ 2012年3月期  434億円  804戸
・ 2013年3月期  464億円  795戸

 つまり950戸という戸数は過去14年間で最多になる。2000年3月期以前の数字は把握していないが、同社はバブル崩壊後、自社開発による面開発は行なっておらず、あるいはバブル崩壊後でも最多となるかもしれない。

 マンションほど戸建ての販売戸数はマスコミも注目しないが、一建設グループを筆頭とするいわゆるパワービルダーやハウスメーカーを除いたデベロッパーの中では同社が断トツの多さだ。2位の野村不動産は2013年3月期で売上高353億円、638戸を計上し、三井不動産を追撃する態勢を敷いているようだが、この差は詰まるのかつまらないのか。他のデベロッパーも戸建てを増やす意向で、戸建て市場が面白くなる。

〝オール三井〟の記念碑的都市型戸建 三井レジ「目黒」(2012/5/25)

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京都・けいはんな学研都市の戸建て分譲モデルハウスオープン

 


けいはんな学研都市の街並み

 

 京阪電気鉄道、京阪電鉄不動産、三井不動産、三井不動産レジデンシャル、野村不動産の5社は5月3日、京都府・関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)の精華・西木津地区で開発中のけいはんな公園都市戸建新街区「MiraiPa!」の建売分譲戸建1期40戸の「ローズプレイスけいはんな公園都市」「ファインコートけいはんな公園都市」「プラウドシーズンけいはんな公園都市」のモデルハウスをそれぞれ公開する。

 けいはんな公園都市は平成 11 年の入居開始以来、約1,350世帯が入居済みの157万㎡の街。新街区として誕生する5社の街づくり「MiraiPa!」は、環境にやさしい緑豊かな街づくりがテーマで、暑熱環境の緩和、長寿命機器の採用、居住者の環境活動及び環境教育の支援などハード&ソフト両面から CO2 削減に取り組んでいる。

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積水ハウス キッズデザイン体験施設 多摩NT「東山」にオープン

 


「コドモ里山ラボ東京森都心(とうきょうしんとしん)」

 

 積水ハウスは5月3日、キッズデザインの見学体験施設「コドモ里山ラボ東京森都心(とうきょうしんとしん)」を多摩ニュータウン内の681区画の分譲地「東京森都心 多摩ニュータウン東山」にオープンする。コドモの心理学や事故事例から得た知見を生かした生活提案「コドモイドコロ」に基づいて、異業種5社とのコラボレーションで設計・開発したキッズデザインを体験できるモデルハウス。オープンに先立つ4月30日、報道陣に公開した。

 施設は、クルドサックの中央に植えられた大木をそれぞれ眺められる4区画から構成されており、モデル棟は敷地面積約231㎡、建物延床面積約136㎡。子どもにとっていい住まいとは何か〟について考案され、引き出された解答「生きる力を育む家」を実大モデルで実現したもの。ポイントは①イドコロづくりと②危険をコントロールすることの2点。イドコロづくりでは、子どもの感性、知性、社会性を発達させるためのハード・ソフトを盛り込み、危険のコントロールではスマートユニバーサルデザインの考えに基づき、危険を子どもが学習できるようにしているのがポイントとなっている。

 土間収納、ピットリビング、ベンチソファ、マドベ、間仕切るーむ、ビーンズテーブルなどが提案されており、キッズデザイン・アイテムでは、ドア指はさみ防止スクリーン、ビーンズ型ダイニングテーブル、空気環境配慮仕様、フルフラットバルコニー、指はさみ防止引き戸などが採用されている。

 「コドモイドコロ」は、キッズデザイン協議会が10月1日から開始する、子どもの安全向上のための業界横断型ガイドラインを適用し、デザインプロセス評価と企業が実施した製品評価の確認を主体とした認証制度「CSD認証」のプレ認証第一号として合格している。施設について、キッズデザイン協議会専務理事・小野裕嗣氏は「この7年間の取り組みの成果が凝縮されている施設。〝どこがどこなのか分からない〟のが秘訣」と話した。

 現地は、京王相模原線京王堀之内駅から徒歩12分(セカンドステージ)、八王子市堀之内に位置する全681区画の団地の一角。土地売主は同社と大和ハウス工業。昨年4月から分譲が始まっており、これまでに100区画以上が分譲済み。同社が建売住宅(9戸)を分譲するのは今回が初めて。価格は5,400万円台~6,100万円台。


1階リビング

2階こども室

 

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 今から20数年前、記者はユニバーサルデザインと出会ったときから「これからの住宅は人に優しい、環境に優しいが大きなテーマになる」とずって思ってきたが、それを実践しているハウスメーカー・デベロッパーのトップランナーが同社だ。

 今回の施設も見所が一杯だ。全部は紹介しきれないがいくつか紹介しよう。まず2階の「フルフラットバルコニー」。居室とバルコニーのまたぎ部分を解消したものだが、建売住宅のモデルハウスで見学したのは初めてかもしれない。国交省も30年も前から研究してきたものだが、これを採用するハウスメーカー・デベロッパーはほとんどないのが現状だ。同社も2~3年前に提案しだしたばかりだと言う。〝ゲリラ豪雨〟などによる室内への防水対策が難しかったという。またぎ部分がないとどれだけストレスが解消されるかは言うまでもない。これは大人でも子どもでも同じだ。

 「ビーンズテーブル」もグッドアイデアだ。 座ったとき正対しなくてもいいようにテーブルの天板を豆型にしたものだ。これについては最近、室町時代から伝わるという「小笠原流礼法」の講義を受けたのだが、講師の方も同じことを話した。つまり、正対すると部下などはどうしても気後れしてしまい、なかなか自分の思いを伝えられないのだそうだ。確かに大人も子どもも正対すると、「塾、サボったでしょ」「飲み代、過少申告したでしょ」などと目上から全て見透かされているような気持ちになるものだ。

 「マドベ」も、外の景色を眺めながらコーヒーを飲むのもよし、本を読むのにも最適なデスク付きだ。チャイルドロック付の浴槽、引き戸、玄関ドアなどもよく考慮されたもので、倒れてもやけどをしない電気ケルトもあった。記者は独身時代、小さな子どもを預かった際、電気ポットを子どもが倒して大騒ぎとなり、病院に駆け込んだことがある。幸い、指に水膨れが出た程度で済んだが、医者から「君とお子さん、奥さんの関係は何だね」といわんばかりに睨まれ、肝を冷やしたことがある。子どもは一瞬たりとも目が離せないことを学んだ。

 記者はユニバーサルデザイン・アイテムの多くを知っているが、同社の東山プロジェクトリーダー・川口悟氏によると、「先日からすでに見ていただいているお客さまもいらっしゃるが、みんな目を輝かせて見学される。たくさんのお客さまの声をデータ化し、企画に反映していこうという気持ちがわれわれにはある。お蔭さまて販売も極めて順調」と話した。

 同業にも見学をお勧めだ。全部とは言わない。キッズデザインの一つでも二つでも商品企画に採用してほしい。これほど徹底した提案を行なっているものは他にない。


フルフラットバルコニー

指つめ防止玄関ドア

指つめ防止引き戸

 

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ポラス 「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ大会

 


「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ大会

 ポラスが「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ大会を4月26日、同社が分譲中の戸建て団地「パレットコート六町」で行なった。地元の「NPO子育てパレット」と共同で立ち上げたプロジェクトで、「パレットコート六町」を舞台に9人の現役ママが 4 チームに分かれ「子育てママの理想の家」づくりに挑戦、プロの設計士の手を借りながら最優秀賞を競うものだ。

 審査員は、バンビ保育園長の鈴木圭子氏ほか、足立区の職員、足立区在住のカリスマ・ママ、育児情報誌「miku (ミク)」やマタニティ誌「ninps (ニンプス)」、住宅情報誌「suumo (スーモ)」の編集長など6人。ひとりも建築のプロがいないもの珍しいが、審査基準もなし。それぞれの活躍フィールド目線で評価するというもの。

 プレゼンテーションの持ち時間は約10分。子どもを抱えながらの説明で、中には母親の胸の中でぐっすり眠っている子どももいたが、ほとんどは1~2歳児。まるでスズメの学校か七つの子状態。この数十年というもの、小さな子どもがたくさんいる環境など経験したことがない記者はパニック状態に。このような記者見学会を主催したポラス広報に悪態をつきたい気分で早々に退却しようと思ったが、会場の広さは20畳もない。最前列に審査員やポラス関係者がずらっと並んでいる。最後尾の記者席からみんなの前を通って逃げ出す勇気はさすがになかった(ひとりの記者が最初のプレゼンのすぐ後に退席したのを記者の目はしっかり捕らえた)。


各グループのママさんたち


プレゼンするママさん

   
最優勝賞を獲得した宮下さん(左)と加藤さん

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 厳正な審査の結果、賞金10万円の最優秀プラン賞を射止めたのは1階を「華」に見立て、おもてなしの空間とし、2階を「癒」のプライベート空間とした「Give &Take」を提案した宮下記子さんと加藤圭さんのチーム。

 記者はこのお二人の提案も含め、子どもの泣き声にすっかり集中力を欠いていたので中身はさっぱり分からなかったが、このお二人のプレゼンは群を抜いていた。宮下さんが母親役となり、加藤さんが6歳の子役となって演じたコントが冴え渡っていた。プラン説明はメモをみながら説明したが、親子を演じるのは地のままでいいからプロの役者も顔負けの親子を演じきった。2歳という加藤さんの娘さんは、頭に赤いリボンを付けすっかり子ども言葉に戻ってしまったお母さんを不憫に思ったのか、それとも感服したのかぽかんとしていたのが印象的だった。


戒能氏

 

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ポラスは決しておちゃらけのイベントとして今回のコンペを実施したのではない。共催した子育てパレットも地元足立区の行政と連携して虐待防止活動を積極的に展開しているNPOのようだ。昨秋当たりから企画を立て、それぞれのチームが設計士の協力を得ながら最低でも4回、多いところは10回の研究会を経て今回のプレゼンまでこぎつけた。

 同社はビッグなサプライズも用意していた。コンペの最後に挨拶した事業主のポラスグループ・中央グリーン開発事業部長・戒能隆洋氏は「審査員の意見が分かれたほどみんな優れたプランばかり。優秀賞のプランはそのままこの街で建てさせていただくし、他のグループのプランも基本コンセプトを頂いて建てる」と話した。各グループには実際の分譲戸建てとして建設することははっきりとは知らされていなかったようで、会場からは「ワッ」と歓声が上がった。

 同社は優秀賞プランをそのまま建設し、10月にモデルハウスとして公開する予定。

 「パレットコー六町」は、つくばエクスプレス「六町」駅より徒歩17分、足立区東六月町に位置する全206戸の団地。昨春から分譲開始されており、現在まで93戸が販売済み。


「パレットコート六町」の街並み

 

ポラス CASBEE「Sランク」取得した206戸の「六町」(4/27)

カテゴリ: 2013年度
 

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