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「SHIN TOKI ヴィレッジ 流山おおたかの森」

 ポラスグループのポラスガーデンヒルズは6月20日、分譲戸建て「SHIN TOKI ヴィレッジ 流山おおたかの森」のメディア向け見学会を行った。従前は林地の全48戸で、隣接する同社の既分譲「楽家RAKUYA 流山おおたかの森」(全18棟)とともに緑をふんだんに盛り込んだランドスケープと、それぞれ個性的な住戸プランにしているのが目を引いた。

 物件は、東武アーバンパークライン豊四季駅から徒歩9~10分(流山おおたかの森駅から徒歩20~22分)、流山市長崎1丁目・野々下三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する開発面積9,992㎡の全48戸、土地面積は135.61~160.88㎡、建物面積は91.70~103.15㎡、価格は4,990万~6,890万円。建物は2025年5月完成済。構造は木造スレート葺2階建て。施工はポラテック。

 〝「時」の流れ、「木」の質感を取り込んだ「気」もちの良い空間〟をコンセプトに、街区全体を第1期から第3期に分け、第1期の「楽家」(16戸)は、シンプルライフ研究家マキさんとLIXILのバックアップのもと、様々な工夫を盛り込んだ住空間をデザインしている。第2期「TOKI-TO-KI」(23戸)は、デザイン性の高い深い軒や落ち着きのある素材を設えた住宅が連なる街並みを演出。第3期「デザイナーズ街区」(9戸)は、同社の社内コンペによって選ばれた〝唯一無二〟の個性的なプランにしているのが特徴。以下、各氏のコメント。

 同社設計部企画設計課主任・西村馨氏 第1期の「楽家」は、「豊四季」(3棟)「流山おおたかの森」(18棟)「松戸・高柳」(全28棟)に次ぐ第4弾で、新しいものも取り入れて進化、ブラッシュアップさせている

 同社設計部企画設計課課長・工藤政希氏 第2期の「TOKI-TO-KI」は、緑と庭をつなぐデッキを配するなど森を取り込む気持ちのいい空間づくりに力を注いだ。アレクサなどIOTも採用し、快適な空間を提案している

 同社ガーデンヒルズ事業部設計部企画設計課2係主任・樋上周作氏 デザインコンペには12名25件の応募があった。

 同社設計部街並デザイン室エステリアデザイン係デザイナー・阿佐美直也氏 全体としてオンとオフ、内と外など多様な空間を演出したデザインにした。流山市のグリーンチェーン戦略の認定を申請する予定

 同社ウッドガーデン事業所用地二課課長・髙島彰氏 従前は全体で2万㎡以上ある山林。隣接する18棟と少し離れた3棟現場を同じ地主さんから取得したことがあり、今回は造成後の土地を事業主から2020年1月に取得した。流山市の開発行為に適合させるため開発面積を9,992㎡にしたのがポイント。工事期間は予定していた3年間から1年延びたが、この間の地価の上昇により建築費の上昇を吸収できた。地主さんとも良好な関係を築いており、今後の開発につなげたい

 販売担当の藤井氏 現段階の問い合わせ件数は329件で、うち来場は209件。約3分の1が市内居住者。子どもいる世帯は約7割。土地面積が広く、価格を抑制したのが高い評価を頂いている。注文住宅を考えている方が多く、競合する分譲戸建てはほとんどない。現在、当社グループは280物件を分譲しているが、ネットによる閲覧数はベスト3に入っている

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左から樋上氏、西村氏、松井氏、工藤氏、阿佐美氏

   ◇      ◆     ◇

 豊四季駅から徒歩10分の表示に十分間に合うよう20分前に駅に降りたのだが、道を間違え、着いたときは10分以上経過していた。同社設計部シニアマネージャー兼街並デザイン室室長・松井孝治氏の冒頭の挨拶が終わっており、上段で紹介した髙島氏か用地取得の経緯について説明する段階だった。

 髙島氏の話の中で、記者が注目したのは開発面積を9,992㎡にしたことだった。ピンときた。

 平成22年10月1日施行の「流山市開発事業の許可基準等に関する条例」によると、市街化区域での開発行為の1区画当たり最低面積は135㎡以上で、開発区域が5,000㎡以上の場合は1区画150㎡以上(ただし予定建築物の敷地面積の合計の70%を超えない範囲内において135㎡とすることができる)、開発面積が5,000㎡~10,000㎡未満の道路幅員は6m、開発面積が10,000㎡~30,000㎡未満は9m、公園面積は事業区域の面積の6%以上と定められている。

 つまり、開発面積が10,000㎡を超えると、敷地面積、道路幅員、公園面積など規制が厳しくなるのを避けるために頭を悩ましたということだ。開発申請したのは多分、条例が施行される前だろう。「TOKI」には〝時との戦い〟の意味もあるか。

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髙島氏

◇        ◆     ◇

 以下は、記者の好みによる判断であり、好みによっては全く違った結果になるし、デザイナーズ街区は9棟のうち2棟しか見学していないことを最初に断っておく。

 モデルハウス見学は4棟。最初に見学した10号棟は、「楽家街区」の「成長の家」「自由の家」「両立の家」「効率の家」の4プランのうち「自由の家」を採用。敷地面積は約136㎡。南西の角地。1階のLDK(17.8帖)に隣接して玄関ともつながる「土間」(3帖)の提案が素晴らしく、家事動線に配慮した洗面所とその隣のパントリーは多目的(自由)に使えるようにしている。白を基調に下デザインも秀逸だった。この時点で、この住戸を上回るものはないと判断した。

 次いで見学したのは43号棟の「TOKI-TO-KI」の一つ。敷地面積は約150㎡。企画意図がすぐ分かった。明らかに子育て世代の入居を想定したもので、LDK(18.7帖)の横に収納にも子どもの〝隠れ家〟にもなるスペースと、その上部にSkip Floor(3.7帖)を設け、1層を2層にしているのが特徴。ただ、〝隠れ家〟は、こどもが成長したら夫婦喧嘩のときの夫か妻の〝隠れ家〟にはなりそうもないので評価を下げた。

 3番目は、44号棟の「デザイナーズ街区」。敷地面積は約135㎡。北道路に接道。デザインウォール囲まれた玄関を開けるとすぐ、広々とした玄関・ホールと、その先に6帖大はありそうなテラスが目に飛び込んできた。玄関・ホールとテラスの天井パネルは一体となる仕上げにもなっていた。まず、郊外の分譲戸建てにはないプランだ。これまた素晴らしい。ただ、敷地の南側は隣地の高さにして約3mの駐車場になっており、テラスの先はコンクリの擁壁。これをどう評価するか悩ましい(2階がほぼ駐車場面)。

 4番目は、45号棟の「デザイナーズ街区」。敷地面積は約150㎡。やはり北道路。このころには早く見学が終わらないかと考えていた。

 ところが、豈図らんや。玄関に入った途端、10号棟もその他のモデルハウスもすっ飛んだ。目もくらむ真っ白な世界が記者を有頂天にした。建具・建材、設備仕上げに至るまで全て白。白が基調の戸建てやマンションは数えきれないほど見てきているが、それらをはるかに凌駕する。夫婦二人の居住を想定しているためか、1階全体が回遊できるプラン(洗面は2ボウル)と、2階は居室の壁を取り払えば15.2帖(他にクローゼットなど)の大空間になる提案もいい。4棟の中でここが一番いいと結論づけた。白は人の好みにも空の青にも海の青にも染まる。

 いったい、このプランは誰が提案としたのか聞いた。設計監理課の櫛野さんだった。

 全体的な感想としては、幅員6mの道路をクランクさせ、カーポート、庭などとの空間演出が街並みを美しく見せ、各棟は分譲戸建てにはあまりない個性的なプランが多いのが印象に残った。

 従前が山林・林地の分譲戸建ては、この2週間でポラスの「ビー・グレイス柏 未来隣区」(92区画)、リストと東急リバブルが販売代理の「マークヒルズ新横浜」(172区画)に次いで3物件目だ。

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10号棟モデルハウス

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10号棟モデルハウス

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43号棟モデルハウス

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43号棟モデルハウス

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44号棟モデルハウス

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45号棟モデルハウス

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45号棟モデルハウス

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現地

南ひな壇の全172区画ランドスケープ生かすブラン秀逸リスト&リバブル「新横浜」(2025/6/16)

ポラス柏駅圏で全92区画の分譲戸建て好調スタート集会所は法人化して寄付(2025/6/6)

「成長する家」「両立の家」などシンプルで心地よい暮らし5提案ポラス「高柳」好調(2024/4/26)

 

カテゴリ: 2025年度

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「マークヒルズ新横浜」

 リストグループと東急リバブルが販売を担当している分譲戸建て「マークヒルズ新横浜」を見学した。新横浜駅から徒歩22~27分とやや距離はあるが、南ひな壇造成の全172区画の大規模開発で、比高差にして10~20mのランドスケープを巧みに利用したプランが秀逸。極めて好調な売れ行きを見せている。

 物件は、新横浜駅から徒歩22~27分(横浜線小机駅から徒歩16~21分)、横浜市港北区鳥山町の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率80%)に位置する開発面積約45,489㎡の全172区画。現在先着順で分譲中の住戸(5戸)の敷地面積は125.89~159.17㎡、建物面積は100.19~103.68㎡、価格は6,480万~7,480万円。構造規模は木造2階建て。事業主(売主)はあさひハウジングセンター。販売代理はリストインターナショナルリアルティ、東急リバブル。

 今年2月から契約を開始しており、これまで年内供給予定の87区画のうち44区画が販売済み。建物建築停止条件付き宅地分譲も可能。

 現地の従前は山林。横浜市内の100区画以上の戸建て分譲としては、2017年分譲の野村不動産「プラウドシーズン横濱洋光台」(203区画)以来8年ぶり。比高差にして10~20mの南ひな壇造成地を生かし、各住戸の日照・通風・プライバシーを確保し、四つ角のない街区構成にして安全性にも配慮しているのが特徴。

 主な基本性能・設備仕様は、長期優良住宅認定、リビング天井高2500ミリ、食洗機、床暖房、Low-E複層ガラスなど。

 同社グループのリストサザビーズインターナショナルリアルティ販売営業部係長で、同社野球チームの主砲でもある岩島誠氏は、「全172区画のうち年内供給予定は87区画。残りは造成中で、全体完成予定は2027年3月。当社の受託する戸建て開発規模としては過去最大。周辺の分譲戸建てと比較して価格は1,000万円以上の乖離がありますが、月間平均11区画が成約できているように、南ひな壇の立地と、長期優良住宅認定、同じ間取りが一つもない企画が評価されています」と話した。

 また、東急リバブルアセット事業本部営業統括部契約コンサルティンググループ主任で同社野球チームの監督を務める大槻俊彦氏は、「リストさんの『辻堂』の販売代理を当社も担当した縁で、今回の物件も契約後から引き渡しまでの多岐にわたるサポートをさせていただいていますが、わくわくするプランがお客さんに高く評価されていると思います。私自身がこれまで担当してきたレベルの高い分譲戸建てと比べてもそん色ありません」と、太鼓判を押した。

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インナーガレージ付き(階段の先)

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中庭付き

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岩島氏(左)大槻氏

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 この前書いたポラス「ビー・グレイス柏 未来隣区」(全92区画)の記事と合わせて読んでいただきたい。とてもよく似ている物件だ。「柏」は駅から徒歩22~23分、従前は林地で高低差10mはありそうな大規模開発。今回の「新横浜」も駅から徒歩22~27分の従前は山林で、高低差にして10~20mの大規模開発。

 常識的に考えたら、年間30区画売れればいいほうだろうが、いずれも好調なスタートを切った。購入者は、駅まで徒歩あり、自転車あり、車ありというのもよく似ている。価格も、駅近のマンション(柏駅は坪単価400万円以上、新横浜は500万円突破か)と比べればかなり安い。片や埼玉県、一方は神奈川県をホームグラウンドにしている。地域を熟知しているからこそ土地を仕入れられたのだろう。その目利き力の確かさに脱帽するほかない。

 今回の「新横浜」は、従前が山林だった地形を生かしたプランがいい。モデルハウスは2棟。一つは、エントランス-キッチン-リビングの間にパティオ(中庭)を設け、階段下からも採光できている。もう一つは、インナーガレージ付きで、リビングから愛車を眺められるようにしている。大槻氏が「わくわくするプラン」と語ったのもよくわかる。分譲戸建てにはあまりないプランだ。

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中庭を通じ階段下から採光しているモデルハウス

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インナーガレージ付き(その先はシンボルツリー)

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シンボルツリーのヤマボウシ

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「マークヒルズ新横浜」エントランス

ポラス柏駅圏で全92区画の分譲戸建て好調スタート集会所は法人化して寄付(2025/6/6)

坪単価400万円突破か森田恭通氏の白の外観デザインがいいリスト「湘南辻堂」(2024/2/23)

BELS★5つ獲得多目的コミュニティ施設も整備全160区画のリスト「ノココタウン」(2020/3/3)


 

 

カテゴリ: 2025年度

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「ビー・グレイス柏 未来隣区」1期・2期(完成予想図)

 ポラスグループの中央グリーン開発は6月6日、全92区画の分譲戸建て「ビー・グレイス柏 未来隣区」のメディア向け見学会を行った。柏駅からは距離がややあるが、大規模開発であることを生かし、コミュニティを醸成する集会所を設け、居住者が街づくりを行う仕掛けを施している。集会所とデルハウスは出色の出来だ。

 物件は、JR常磐線・東武アーバンパークライン柏駅から徒歩22~23分、バス12分バス停から徒歩9分(自転車で柏駅から約8分)、柏市篠籠田の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する開発面積約16,000㎡、全92区画。1期(13戸)・2期13戸の土地面積は120.28~137.22㎡、建物面積93.57~98.12㎡、価格は3,990万~5,690万円(中心価格帯は4,000万円台後半から5,000万円台前半)。建物は2025年4月完成済。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。

 現地の従前は林地。コロナ禍の最中に42区画を取得し、その後隣接地の50区画を取得。全92区画として開発した。公道の入り口から最大比高差は約10mの高台立地。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH水準、リビング天井高2700ミリ、食洗機・浴室乾燥機・電動シャッター・床暖房・宅配ボックス・エコワン・雨水タンクなど。共用施設として平屋建て木造集会所(延床面積56.51㎡)を設け、かまどベンチ、シェアサイクルを備えている。

 同社千葉支店取締役支店長・小林亮一氏は「この規模の住宅地開発は当社グループとして10年ぶり。希少性が高いので、知恵を出し合い、ハード・デザインに加え、集会所を設けるなどコミュニティも重視し、災害時の共助を育む『未来輪区』とネーミングした。今年3月28日から第1期13戸を販売開始し、これまでに12戸を成約、5月に分譲開始した第2期13戸も4戸が成約の見込み。7月に第3期を分譲する予定で、それまでは成約したい」と語った。

 同社設計部企画設計課課長・剣持翔太氏は、「設計のポイントはサステナブルを形にしたこと。コミュニティを醸成する施設として集会所を設置し、各住戸のLDKを美南が゛羽ではなく道路面に配した。景観協定を結び、街並みを入居者の方々が創りやすいような仕掛けも施している」と話した。

 同社開発千葉支店流山事業所営業課2係チームリーダー・伊香龍人氏は、「売れ行きは好調に推移している。検討者は近くのマンションや、駅の反対側の停止条件付土地分譲や、その他周辺の分譲戸建てと比較されている。購入者の半数は柏市内、子育て世代が中心なのはメインターゲットとして設定した通り。好立地ではないが、集会所を設置した理由などをきちんと伝えており、総合力として他には負けない。高い評価を頂いていることにそれが表れている」と語った。

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モデルハウス(マンションに標準装備しているピアキッチン付き)

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集会所

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左から剣持氏、小林氏、伊香氏

◇        ◆     ◇

 価格は予想した通りだった。同社の物件の手前には、総合地所などの「ルネ柏ディアパーク」(389戸)のマンションが分譲開始された。坪単価は250万円前後だ。当然、マンションとも競合しているはずだ。どちらがいいかは検討者が判断することなので、記者はコメントしない。

 ただ、今回の分譲戸建ての特徴である集会所はとてもよくできている。なによりいいのは、床と壁にニュージーパインと呼ばれる本物の木が使われており、床はナグリと浮造りの中間くらいの仕上げになっている。素足で歩くととても気持ちがいい。集会所は法人化して、柏市の管理団体に寄付することになっている。共用施設のままだと区分所有の問題が発生するからで、入居者は管理費として2,500円/月負担する仕組み。

 3棟のモデルハウスは、同社グループのそれと同じようにふんだんに本物の木を多用しているのは変わらないが、それぞれリビング階段、小上がりスペース、縁側デッキ、ピアキッチン(同社のマンションに標準装備)、中二階、銘木壁付きSTAIR LIVINGなど、企画意図を明確に伝えている。同等の価格帯の戸建てやマンションと比較して出色の出来だと思う。

 駅からの距離、戸数の多さなどからして常識的には完売まで2~3年かかるはずだが、そんなに時間をかける予定ではないようだ。

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モデルハウス
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デッキ付きモデルハウス

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モデルハウス

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集会所(左は提供公園)

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ニュージーパインの床

柏駅圏最大389戸 18坪(62㎡)の新型3LDKに注目総合地所「ルネ柏ディアパーク」(2025/2/16)

 

 


 

 

カテゴリ: 2025年度

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「KATARITSUGI」プロジェクトモデルハウス 

小田急不動産は531日(古材の日)、新潟県阿賀町の築約160年の古民家の構造材を再利用した、エシカル消費を提案する「KATARITSUGI」プロジェクトの平屋モデルハウスを神奈川県開成町にオープンする。オープンに先駆けた29日、メディア向け内覧会を行った。

モデルハウスは、小田急線開成駅から徒歩12分、神奈川県足柄上郡開成町みなみ3丁目に位置する土地面積約246㎡、建物面積約130㎡。木造平屋建て(建基法では木造2階建て)・在来工法。建築はロックフィールズ、外構はランドフローラ。坪単価は140万円の予定。

外構には中高木や芝生など緑をふんだんに施し、外壁は国産の杉板と一部屋根には新潟の安田瓦を採用。玄関とLDKの間には天井高4m超の土間を設置。24.5帖のLDKの天井高は5m超で、天井には井桁状の古材の梁を配置。床は厚さ30ミリの浮造り仕上げのスギ材を用いているほか、内装材はすべてスギ材。ZEH水準(太陽光パネル設置も可)。

事業スキームは、同社が顧客に土地を仲介・販売し、古民家所有者は全国古民家再生協会の加盟事業者に古材を提供し、再生協会事業者と顧客が建築請負契約を結ぶのというもの。年間5棟の販売を予定している。

同社仲介事業本部仲介営業部企画推進グループリーダー・山尾正尭氏は、「わが国には現在、約900万戸の空き家があり、古民家は102万戸と推定されている。オーナーの方は何とかしたいという切実な思いがある。当社はその思いを受け継ぎ、良質な古民家の古材活用を小田急沿線で提案していく。鎌倉、箱根など小田急線にはエシカル志向の方も多く、相性がいい」と経緯と展開について説明した。

全国古民家再生協会室長(瑕疵保険推進室)・井上幸一氏は「この種の移築・再生の取り組みは当協会として初めて。古民家を次世代へ継承していくため協会としても市場をつくり上げていく」と、同協会理事・大沼勝志氏は「モデルハウスに活用された古民家は築160年の60坪。構造材はすべてオーナーが所有する裏山の樹齢100年超のスギで、オーナーは解体費用の問題と、先祖代々から受け継がれてきた本家を壊すことに対する親族の反対もあり、悩んでいた。モデルハウスには梁材26本が使用されている。解体・再生事業はモノづくりの面白さを若手の職人にも伝えることにもなり、5年後には当たり前になるようサポートしていく」とそれぞれ語った。

阿賀まちづくり代表取締役・高橋眞也氏は、「阿賀町は新潟県で最も高齢化が進んでいる自治体。このところ人口は年間300人が減少しており、現在は9,000人弱。1,200棟が空き家になっていると推定される。古材が新しい家に活用されるのはとてもうれしい。全国に広がることを期待している」と話した。

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左から山尾氏、井上氏

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左から大沼氏、高橋氏

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 外観に一部瓦が使用されているデザインはどうかと思ったが(人それぞれ好みがある)、LDKの天井に配された樹齢100年超、築後160年の黒光りする井桁状の梁(塗装仕上げ)は悠久の時を刻んだ存在感がある。白と黒のコントラストがまた美しい。

 そして何よりいいのが、床から建具・家具に至るまですべてが学名Cryptomeria japonica(隠された日本の宝)のスギ材であることだ。このようなすべてがスギの住宅は初めて見た。新潟県は梁も柱もスギを利用していたようだ。

 同業の記者の方からは「エシカル志向を考えればもっと古材を活用してもよかったのではないか」という質問が飛んだ。同社は、顧客の要望に応じ、レトロ建具を提案することも考えていると答えた。

 記者もそうしたほうがいいと思う。昭和レトロをテーマにしたコスモスイニシアのリノベマンション「ステーションプラザ代田橋」は素晴らしかった。世の中はサーキュラーエコノミーが広がり、古材・古家具は流通しているとも聞く。SDGsは小学生だって知っている。

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テーマは昭和レトロ 簀戸、サイル麻、組子…コスモスイニシアのリノベ「代田橋」(2023/8/2

 

 

カテゴリ: 2025年度

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「パークナードテラス南荻窪 景邸(けいてい)」

パナソニック ホームズが近く分譲する戸建て「パークナードテラス南荻窪 景邸(けいてい)」(23区画)を見学した。従前地は日銀社宅で、23区内の中央線沿線で20区画以上の戸建て住宅は2013年以来となる大規模開発。パナソニックの水まわり住宅設備の最上位シリーズ「L-CLASS」が随所に採用されているのが特徴。

物件は、中央線西荻窪駅から徒歩13分~14分(荻窪駅から徒歩1617分)、杉並区南荻窪2丁目の第1種低層住居専用地域/第1種中高層住居専用地域(建ぺい率50%/60%、容積率100%/200%)に位置する開発面積約2,870㎡の全23区画。第1期販売予定7区画の土地面積は105.00105.05㎡、建物面積95.56104.24㎡、価格は未定。建築構造は軽量鉄骨2階建て(軸組工法)。建物は20254月・5月完成済み。

現地は、閑静な住宅街の一角で、同社は2年前にも南荻窪1丁目の日銀社宅跡地で12区画を分譲している。

主な基本性能・設備仕様は、Nearly ZEHにしたほか、同社オリジナルの60年長期保証延長システム、家まるごと断熱・エコナビ搭載換気システムHEPA+(へパプラス)を採用。ほかには、太陽光発電システム、リビング天井高2700ミリ、ウルトラファインバブル、パナソニックのL-CLASSキッチン・洗面室、アラウーノ、スピーカー付きダウンライト、パナソニックドア、ガス衣類乾燥機・乾太くん、スマートHEMSIOTなど。

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        ◆     ◇

荻窪駅圏では先月、コスモスイニシアの3階建て分譲戸建て「イニシアフォーラム南荻窪」5戸を見学取材した。コモンスぺースを囲むように住棟配置し、リビング天井高を4m確保するなどの商品企画が優れていた。

今回のパナソニック ホームズの物件は、戸数が23戸の大規模開発というのが特徴だ。現段階で完成建物は7棟。各棟の外壁には、汚れが落ちやすく耐久性に優れた光触媒タイルや親水性のある焼きものタイルを採用。外構にも自然石やオリジナルタイルを多用している。

HEPAフィルター」搭載の住宅用換気システムは、花粉対策製品認証を取得しており、0.3μmの微粒子に対して99.97%の捕集率を有する「HEPAフィルター」を通して、外気よりきれいな空気を取り込むことができるスグレモノだ。

見学したモデルハウスの内装は白が基調で、間接照明が多用されており、とても美しい。設備仕様では、パナソニック製の機器がたくさん採用されているのは当然だが、L-CLASSのキッチンと洗面室を見たのは今回が初めてだった。クォーツストーン天板のキッチンは、大容量のフルオープン食洗機を採用、横1列の3つ口ガスコンロは調理スペースも広く使いやすい。洗面室の三面鏡は時計付きで、用途に応じて化粧できる調光調色LED照明「美ルック」は女性に人気とか。浴室の浴槽、カウンターは水や汚れをはじく素材が使用されており、床もカビが生えにくい仕上げになっている。一つだけ驚いたのは、リンナイの人気商品・乾太くんが標準装備されていたことだ。

 肝心の価格だが、平均価格は1億数千万円台になると思われるが、ひょっとしたら2億円超の住戸も分譲されるかもしれない。事前の反響も上々とのことだ。

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コモンスペース中央に全5 差別化できている コスモスイニシア「南荻窪」(2025/4/19

カテゴリ: 2025年度

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「ザ・リーフィア世田谷喜多見」

 小田急不動産の最高峰グレード「ザ・リーフィア」を冠した初の分譲戸建て「ザ・リーフィア世田谷喜多見」を見学した。喜多見駅から徒歩3~4分の1低層・風致地区に位置する全3棟で、2008年から展開している「リーフィア」はもちろんそれ以前の「コートアベニュー」戸建てを含めてトップクラスの戸建てであるのは間違いない。

 物件は、小田急線喜多見駅から徒歩3~4分、世田谷区喜多見9丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全3戸。土地面積は133.57~147.25㎡、建物面積111.27~119.26㎡、価格は未定。建物は木造2階建て(2×4工法)で、2025年2月下旬に完成済み。施工は三井ホームエンジニアリング。

 現地は、風致地区に指定されている1低層の閑静な住宅街。従前は賃貸アパート。主な基本性能・設備仕様は、全棟〈Nearly ZEH〉、BELS認定、エネファーム、太陽光発電システム、蓄電池、全館空調、ボッシュ製深型食洗機、磁器タイル仕上げ玄関ホール、アイアン玄関門扉(1号棟)、ガラス製階段手摺、フィオレストーン天板、1620サイズの浴室など。

 同社は4月28日に物件ホームページを立ち上げ、これから集客を本格化させる予定。

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1号棟リビング(吹き抜け部分の天井高は5m弱)

◇       ◆     ◇

 駅から現地までの道に迷ったため、20分くらい周辺を歩いた。野川を超えた隣の成城学園の邸宅街には負けるかもしれないが、間違いなく喜多見駅の一等地の住宅街だ。

 3棟のうち幅員5.8mの西道路に面した1号棟の外観を見て、価格をすぐはじいた。3億円の値をつける自信はないが、2億5,000万円くらいではないかと。その通りになるはずだ。

 なぜ、価格予想が的中するか。現地の少し先には、記者が取材した2021年分譲の積水ハウスと清水総合開発のJVマンション「世田谷喜多見ザ・テラス」134戸が建っているが、分譲時の坪単価は375万円だった。マンションと戸建てを単純に比較はできないが、その後の価格上昇を考えると、同駅圏のマンション坪単価は600万円くらいではないか。30坪で1億8,000万円だ。「ザ・リーフィア」の1号棟の敷地面積は約45坪だ。2億5,000万円でも安いかもしれない。

みなさんはご存じないだろうが、三井不動産らは2001年、防衛庁檜町庁舎跡地を1,800億円で落札したが、記者はその半年前に落札価格は1,750万円になると予想記事を書いた。最近では、「三田ガーデンヒルズ」の坪単価は1,300万円になると分譲の半年前に書いたが、その通りとなった。現場主義を徹底させると先が読めるようになる。

 建物のデザイン、基本性能・設備仕様は上段で書いた通り、素晴らしい。唯一不満だったのは階段ステップは15段あったのだか、幅はメーターモジュールではなかったことだ(同社はかつて30坪の建物でも積極的にメーターモジュールを採用していた)。

 そこで考えた。急いで売ることはない。同社は「ザ・リーフィア」のシリーズ化も考えているというから、多くのお客さんに見てもらうことを優先させるべきだと思う。そして、価格はお客さんに判断してもらうことだ。オークションにかけたら、3億円で落札される可能性もあるとみた。

 幅員5mの東道路に面した2・3号棟は1号棟よりやや設備仕様が劣るので価格は低くなりそうだが、インターロッキング舗装の私道部分がたっぷり取られており、駅からの近道は車が通行できない歩道であるため、来場者の評価も高いという。これらも2億円を突破するはずだ。

 記者はこれまで同社の小田急線沿線の分譲戸建てをかなり見学しており、2年前には野村不動産「プラウドシーズン成城五丁目」、今年3月には価格が10億円超の諸戸の家「代々木上原」、4月にはコスモスイニシア「イニシアフォーラム南荻窪」の高額戸建てを見学している。これらと比べて今回の「喜多見」は全然引けを取らない。

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現地(1号棟)

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現地(2・3号棟)

コモンスペース中央に全5棟差別化できているコスモスイニシア「南荻窪」(2025/4/19)

価格10億円超分譲戸建ての歴史を変えた諸戸の家「代々木上原」完売(2025/3/6)

野村不「高額建売戸建」第2弾「プラウドシーズン成城五丁目」も即日完売(2023/10/7)

稀有な駅近で大規模な1低層積水ハウス・清水総合開発「世田谷喜多見ザ・テラス」(2021/1/16)

建ぺい40%、容積80%の邸宅跡地に21区画売れ行き好調の小田急不「狛江」(2020/2/11)

ヴェール脱ぐ全185区画、敷地170㎡以上の小田急不「リーフィア南大沢ガーデンズ」(2019/4/17)

三井不動産他「東京ミッドタウン」3月30日オープン

 


 

 

 

カテゴリ: 2025年度

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「ミライネス柏の葉キャンパス」(北道路側から)

 ポラスグループのポラスガーデンヒルズは5月9日、分譲戸建て「ミライネス柏の葉キャンパス」のメディア向け見学会を行った。戸建ての開発が今後加速するとみられる区画整理事業地内に位置する全5戸で、樹木やウッドデッキを配した中庭を取り囲むように配棟し、協定によりフェンスをなくしコミュニティの醸成を図っているのが特徴。

 物件は、つくばエクスプレス柏の葉キャンパス駅から徒歩15~16分、柏市正連寺字出山の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全5戸。土地面積は170.00~172.00㎡、建物面積は102.71~112.39㎡、価格は7,490万~7,990万円。構造・規模は在来工法2階建て。建物は5月に完成済み。施工はポラテック。

 昨年9月から予定広告を開始し、今年3月までの問い合わせ件数は約100件、4月から契約を開始し、3戸が成約済み。来場者は約30件で、6割が千葉県居住者。うち半数が柏市内。残りは流山市のほか東京、埼玉、神奈川など。

 現地は、千葉県が施行している約272.9haの柏北部中央地区一体型特定土地区画整理事業地内に位置。周辺は戸建て住宅地で、地区計画により最低敷地面積は150㎡(45坪単価)以上に定められている。

 主な特徴は、全戸敷地面積が50坪以上、全棟ZEH、長期優良住宅、離れ(2戸)、「小路」、「ウッドデッキ」など。

 企画意図について同社設計部シニアマネージャー街並デザイン室室長・松井孝治氏は、「当社グループは街並み景観を大事にしており、それぞれがしのぎを削っている。当社は千葉エリアを担当しており、今回はプラスαの取り組みとして家と外を一体的に設計し、コミュニティを育む境界レスとしたほか、『離れ』を2戸設けるなど豊かな空間を演出した」と語った。

 また、同社ガーデンヒルズ事業部設計部企画設計室1係係長・水野貴裕氏は、「用地は2年前に取得。テーマは光と緑とコミュニティ。南側の3戸は前建の視線を気にされる方もいるので、中庭はあえて中央に配し、住戸間のフェンスもなくしコミュニティに配慮した」と話した。

 販売担当の同社ガーデンヒルズ事業部ウッドガーデン事業所営業課課長・石田和広氏は、「周辺はハウスメーカーの停止条件付宅地分譲が多く、土地代だけで5,000~6,000万円している。建売りは差別化を図れるかどうかが課題。価格は値ごろ感があり、完全ZEHとし、中庭や『離れ』の提案がお客さまから高い評価を頂いている」と語った。

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中庭

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南道路の住戸から

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中庭

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離れ

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ウッドデッキ空間

◇        ◆     ◇

 ポラスグループの〝コモン〟を演出した分譲戸建てはかなり見学している。今回も差別化は図られていると思う。気になったのは、同社の建売りとは真逆の、街並みの統一感などまるでない周辺の停止条件付きと思われる住宅街だった。敷地面積だけでも100坪はありそうな豪邸もあれば、敷地全体がコンクリで固められている住宅もあった。

 購入した土地にどのような建物を建てようと勝手ではあるが、建物と外構・街並みは不可分だ。柏市の地区計画では1低層の敷地面積は最低150㎡(45坪)確保するよう求めているが、緑化基準はまったくない。ハウスメーカーもまたそれに倣ったのだろう。

 今後、区画整理事業地内では大量の住宅が建設されるのだろうが、てんでんばらばらの街にならないか心配になった。行政もハウスメーカーも美しい街並み形成にもっと力を入れるべきだ。

 

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「リーズン新鎌ヶ谷 きときと未来PROJECT」ワークショップ

ポラスグループは426日、昨年分譲し2カ月で完売した「リーズン新鎌ヶ谷 きときと未来PROJECT」(全14棟)の外構・内装に採用した大阪杉材(モリアン)、埼玉桐材(厚川産業)、信州志賀石(メイク)と、富山野菜(too・シテン)の協力を得て、入居者を対象としたワークショップを開催。ゴールデンウィークに入ったことからか、参加者は5組だけだったが、〝石のソムリエ〟が制作した希少な志賀石の作品はジャンケンによる争奪戦となり、2歳児くらいの子どもが落札するなど盛り上がった。

「リーズン新鎌ヶ谷」は、東武アーバンパークライン・新京成電鉄・北総鉄道・京成成田スカイアクセス線新鎌ヶ谷駅から徒歩1718分(京成電鉄初富駅から徒歩910分)の全14区画。価格は3,490万~4,890万円。建物全体竣工は20252月末。昨年8月に分譲開始し10月までわずか2カ月で完売。歩留まり率は36%だった。

イベントを企画した中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課主任・小瀧愛美氏は「人・モノ・地域をつなぐこの種のイベントは昨年の『浦和』に続く第2弾。協力してくださった皆さんに感謝します。今後も継続して行っていきます」と締めくくった。

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KIRINOKA」モデルハウス

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SUGINOKA(杉の香)」モデルハウス

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信州志賀石が多用されている「石の教会 内村鑑三記念堂」

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小瀧氏

        ◆     ◇

「トーニョー、トーニョー」と連呼する二人組の男性がいた。もう二十数年前から糖尿病治療のため病院に通っている記者にとって、共倒れ共食いを暗示されているようで心中穏やかならざる響きがあった。

こん畜生、負けてなるものかとにらみつけた。二人組とは、tooの社員・大石和氏(32)と瘧師(ぎゃくし)光一郎氏(30)だ。二人の前のテーブにはわが家では食べたことがない「豆苗(トウミョウ)」が置かれていた。二人の語りといえば、もう絶えて久しい講釈師の〝ガマの油売り〟〝バナナのたたき売り〟そのものだ。

豆苗はエンドウ豆の若葉で、再生栽培が簡単にできる特徴がある。葉っぱを食べ、根っこの部分を水に浸けておけば1週間から10日後にはまた食べられるようになるという。グリコと同じ2度おいしい。キッチンに置いておくだけで目の保養にもなる。

大石氏については記者の過去記事を読んでいただきたい。瘧師氏は、持続可能な農業のために様々な事業を行っている富山県射水市のシテン営業担当で、地元の小中学校などに食育教育の講師として食や農業などについて話しているという。講釈師そのものと書いたのは、難しい問題をわかりやすく話す話法を習得したのだろう。

その一幕を紹介する。瘧師氏は「農家は野菜のほか何をつくっているでしょうか。小中学生に戻ったつもりで答えてください」と呼び掛けた。「幸せ」「世界平和」「夢」などと答えた大人もいた。

瘧師氏はまた、農業従事者の推移について質問した。誰も正解しなかった。2005年から今日まで富山県の人口約100万人をはるかに上回る約120万人が減少している。(農水省のデータによると農業従事者は20052,241万人から2020年には1,363万人へと約4割減少している。「幸せ」「世界平和」「夢」をもたらす農業がここまで衰退している理由をみんな考えないといけない)

記者の取材の目的の一つはトマトを買うことだったが、2粒試食させてはもらったが、いざ買おうと思ったら1つも残っていなかった。富山のミニトマトは抜群においしい。

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大石氏(左)と瘧師氏(息もぴったり、まるでお笑いコンビ)

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「SNSをとても大事にしています」瘧師氏

        ◆     ◇

 〝石のソムリエ〟のグローバルストーンマテリアル代表取締役・井出寛氏によるワークショップも最高に面白かった。仕事柄、御影石、トラバーチン、大理石、フィオレストーンなどのほか、たまに庵治石、鉄平石、大谷石なども目にするが、岩石の生成、特徴、用途などについて講義を受けるのは中学以来か。安山岩の一種の信州志賀石(玄武岩と花崗岩の中間の性質を持つという)の原石を墓石のようにつるつるに研磨する作業・技術を観るのは初めてだった。

 研磨方法は、水を流しながら研磨する湿式が一般的だそうだが、この日は水を使わない乾式で、ダイヤモンドの粒子をちりばめた工具を使って、原石の石目にくさびを打ち込んで割る場面から磨き上げまでの工程を井出氏は披露した。

 驚いたのは、石を磨く丸い研磨パットは50番から200番、400番、800番、1,500番、3,000番まで6枚使ったことだ(番号が増えるごとに光沢が増し色味も濃くなる。6,000番もあるそうだ)。これほど手間暇かけて仕上げるのはミクロンの世界のカンナと同じだ。人間も同じかもしれない。

 井出氏の話は含蓄に満ちていた。「木と異なり、扱いは難しい」「美しい自然形状に値打ちがある」「柔らかいのは光沢が出ない」-人間界そのものだ。

 「私は墓石はやらない」というのも合点がした。この前、久しぶりに田舎に帰り、墓参りもした。昔からの墓石は実家くらいで、みんな新しいものに変わっていた。これはもう完全に死者のためというより、生者の見栄っ張り、虚勢だ。生者のために生きる井出氏の矜持をみた。

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「私が石のソムリエ・井出です」

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「扱いは、木よりは難しい」(記者のかみさんと一緒。一つ間違えると修復が難しい)

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末広がりの富士山をイメージした作品をジャンケンの結果、ゲットしたお子さん(相当の額になるはず)

        ◆     ◇

 埼玉県吉川市に本社がある厚川産業の「KIRINOKA」はポラスの戸建てにたくさん採用されている。代表取締役・厚川雅信氏と同社取締役兼Kiri-Life事業部・三村裕加氏からもいろいろ話を聞いた。

 葉っぱが大きく、日射を遮るのに大きな効果ある桐はかつて日光街道の街路樹として多用されていたそうだ。生育が早い樹種もあり、10年もすれば製品になるという。

10年で成木になるのなら用途は限りない。同社は429日、「GX推進プロジェクト~早成桐植樹祭~」を春日部夢の森公園で開催する。桐が街路樹として採用されているところはほとんどないはずだ。

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KIRINOKA」ワークショップ

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厚川氏

        ◆     ◇

 ポラスの戸建てのデザインウォールに用いられている「SUGINOKA(杉の香)」は、大阪・岸和田市に本社を構えるモリアンの製品だ。スギの香り成分は癒し・リラックス、熟睡効果があることが実証されており、東京大学の香りの研究チームによる共同研究でグッドデザイン賞を2020年に受賞している。

 岸和田から車で駆け付けた同社代表取締役社長・森庵充久氏の説明を受け、参加者はくぎなどを使わずに組み立てられるプランター(お盆にもなりそう)をその場で組み立てた。周囲にはスギ独特の香りが漂った。

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SUGINOKA(杉の香)」ワークショップ(右が森庵氏)

        ◆     ◇

これほど面白くてためになるイベントはない。そこで、ポラスに提案だ。居住者限定にするのはもったいない。地域の人や自治体に声を掛けて自由に参加できるようにしてはどうか。

森林・林業・農業の再生・活性化は国土強靭化の肝であり、食料自給率の向上は喫緊の課題の一つだ。趣旨をきちんと説明すれば、町内会や自治体の賛同は得られるはずだ。

「きときと未来PJ」第2 歩留まり率36 2か月で完売 ポラス「新鎌ヶ谷」(2024/11/8

抜群においしいミニトマト ポラス「浦和」街びらき+富山マルシェワークショップ(2024/7/6

ポタジェ(家庭菜園)活用したワークショップ ポラス「北浦和みのりプロジェクト」(2024/4/23

抜群に美味しい「ザファーム」のミニトマト 「ららテラスHARUMI FLAG(2024/3/1

「桐の街・春日部」匠の技を未来に繋ぐ ポラス+地元企業連携 建材・インテリア開発(2022/10/25

 

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「花小金井35邸プロジェクト(仮称)」(手前は提供公園)

 ポラスグループ中央住宅は4月24日、「花小金井35邸プロジェクト(仮称)」のメディア向け見学会を行った。エリアでは数十棟の戸建てが分譲されている激戦地で、同社物件は「東京ゼロエミ住宅」と「認定低炭素住宅」の認証を受けており、提供公園、ホワイエ、クルドサックによる街づくり、天井高2.7m、天然木のデザインウォール、挽き板フローリング、ソフトクローズ機能付き開き戸などで差別化を図っている。分譲開始は5月下旬。

 物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩15分(バス8分徒歩5分)、西東京市芝久保町5丁目の第二種中高層住居専用地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する全35戸。第1期(13戸)の土地面積は110.02~123.31㎡、建物面積は88.07~104.66㎡。価格は6,000万円台~。モデルハウス2戸は完成済み。構造・規模は木造2階建(2×4工法)。

 敷地の従前は畑。東京ゼロエミ住宅(水準B)、認定低炭素住宅認定を取得しており、「太陽光発電システム」「蓄電池」「HEMS」、ハイブリッド給湯器、樹脂+Low-E複層ガラスなどを採用。このほかリビング天井高2.7m、無垢材のアクセント壁パネル、挽板フローリング、マルチラウンジ、DENなどを装備している。

 同社マインドスクェア事業部東京西営業所営業課課長・井上鋭氏は「このエリアで供給を開始してから7件目の案件。これまで年間100棟くらいを供給している。当社初の『東京ゼロエミ』認証を受けた『東久留米』(6戸)は半年で完売した。今回の物件の反響は2カ月で約40組。地元居住者は24%で、広域からの反響が多い。これだけのスペックを搭載しているのは〝稀有〟だと思う」と自賛した。

 用地担当の同営業所用地開発課係長・斉藤繁樹氏は「従前は畑。地主さんから2年前に取得した。周辺で宅地化が進み、管理するのが難しいということだったが、これだけの広さの土地は希少価値が高く、再用船して取得を決断した。競合も多いが、当社の認知度を上げ、供給シェアを上げる戦略的な意味も大きい」と語った。

 また、ポラス暮し科学研究所住環境G課長・野田将樹氏は「今回の物件を供給する事業部は当社グループの中でも圧倒的に省エネ開発に熱心な部署。全棟を『東京ゼロエミ』にしたのは凄い。施工したのは注文住宅のグローバルホームなので〝注文仕様の分譲住宅〟でもある。ハイブリッド給湯器も搭載しており、当社の光熱費シミュレーションでは新省エネ基準の約55万円より半分以下の約17万円に抑えられる」とアピールした。

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モデルハウス

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モデルハウス

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井上氏(左)と野田氏

◇                 ◆     ◇

 各氏が自画自賛したように、基本性能・設備仕様レベルは高いと思う。問題は、周辺にはエリアでの実績豊富な兼六ホームの「パークタウン花小金井第33期」(42戸)など数社数十戸の戸建てが分譲中で、価格も4,000万円台から7,000万円台まであり大激戦の様相を呈しており、今回の同社の物件レベルがよくわからないことだ。

 天井高2.7m(階段ステップ15段)、ソフトクローズ機能付き引き戸、天然木を多用した仕上げなどはないはずだが、他社物件を見ていないので何とも言えない(小生を含めたメディアもまたデベロッパーの物件を取材しない。物件を観ないとレベルが高いのか低いのか判断できない)

 「東京ゼロエミ」について。「水準B」(UA値0.46以下)の威力は凄いと思うが、〝見える化〟ができていないのは課題だ。光熱費が半分以下と説明は出来ても、快適性を体験できるようににし、その価値をお金に換算する仕組みを構築すべきだ。

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「花小金井35邸プロジェクト(仮称)」完成予想図

2か所に花粉対策施したポラス「花小金井」涙が出るほどうれしくなり、鼻水も止まる(2025/2/20)

自由学園卒の造園学博士・神藤氏監修緑地率30%確保ポラス「東久留米・学園町」(2025/2/6)

UA値0.46 ポラス初「東京ゼロエミ住宅」最上位認証(旧基準)の「東久留米」(2024/12/26)

都心外周部で増える予感ボラスのコンパクト「東久留米」は坪420万円(2024/12/14)

 

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「イニシアフォーラム南荻窪」2階リビング

コスモスイニシアが分譲中の戸建て「イニシアフォーラム南荻窪」を見学した。JR荻窪駅、西荻窪駅からそれぞれ徒歩14分の1低層エリアに位置する、コモンスペースを取り囲むように配棟されている3階建て。周辺は良好な戸建て住宅街。商品企画の差別化はできていると思う。

物件は、JR荻窪駅・西荻窪駅から徒歩14分、杉並区南荻窪2丁目の第一種低層住居専用地域(建ペい率50%、容積率100%)に位置する全5棟。土地面積は100.11110.44㎡、建物面積は92.25121.43㎡、現在先着順で分譲中の住戸の価格は13,780万円。建物は竣工済み。構造・規模は2×4工法3階建て。施工は三井ホームエンジニアリング。315日から3戸の分譲を開始しており、2戸は契約済み。

現地は、閑静な第一種低層住居専用地域の閑静な住宅街の一角。道路を挟んだ敷地北側は中学校と神社に隣接、南側は低層住宅街。主な特徴は、全5棟がコモンスペースに面している住棟配置のほか、ZEH水準、ゆとりある玄関・ホール、2階リビング天井高4m以上、ふるまい本棚、ロフト、ルームバルコニーなど。

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ルーフバルコニー

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玄関・ホール

        ◆     ◇

現地に着いたとき、すぐ思い出したのは2016年に見学取材した同社の「グランフォーラム石神井公園」だった。コモンスペースを中央に配した住棟配置が同じだったからだ。敷地全体を無電柱化し、インド砂岩による植栽桝やゲート、斑岩による舗装などもほとんど同じだった。

驚いたのは、同社の物件を含め周辺には完売済みの戸建てを含め十数か所で戸建て分譲現場があることだった。価格帯もみんなよく似ている。1億円は超えるが、2億円以上は少ないようだ。

同社の分譲戸建ては上段で紹介したように差別化は出来ていると思うのだが、他社物件を見ていないので何とも言えない。物件をたくさん見ないといけないということだ。

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現地

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現地

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植栽帯

井の頭公園に2 地も公園 リビング天井高4m超 コスモスイニシアの戸建て(2024/10/23

価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2016/12/3

 

 

 

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