〝2Lで60㎡台〟新たな需要喚起するか 野村不「プラウド日本橋人形町パサージュ」
「プラウド日本橋人形町パサージュ」完成予想図
野村不動産が6月中旬に分譲する「プラウド日本橋人形町パサージュ」を見学した。同社初の共働き世帯に特化したマンションで、これまで周辺で分譲した顧客ニーズを商品企画に反映しているのが特徴。駅から徒歩2分、無駄を省いた2LDKで60~65㎡のプランが光る。圧倒的な人気を呼ぶ予感がする。
物件は、日比谷線人形町駅から徒歩2分(他に5駅が利用可)、中央区日本橋人形町三丁目に位置する敷地面積約364㎡の14階建て全39戸(非分譲3戸含む)。専有面積は60.43~65.76㎡、価格は未定だが、坪単価は430万円くらいになる模様。施工は新日本建設。入居予定は平成30年8月中旬。
現地は北側道路の100坪強の敷地。敷地南側は同社が分譲した14階建て「プラウド日本橋人形町ディアージュ」(38戸)が建設中。
建物は1フロア3住戸で、プランは60.43㎡、61.55㎡、65.76㎡。65㎡のタイプは主寝室を約7.3畳大、リビングダイニングキッチンは約15.2畳大確保しているほか、廊下幅は1280ミリ(約1.2
畳大)と広めで、収納も多くしているのが特徴。このほか、大理石の玄関、キッチンカウンター、洗面化粧室、浴槽のカウンターはインド産サファイアブラウンの御影石、食洗機、リビングドアは框ドア、ドア把手はコロンボ製、ガスコンロはショット社製、エアコンは2基、奥行き2mのバルコニーなどが標準装備。
販売担当者は、「周辺で分譲した当社のマンションのお客さまの声を企画に反映した物件。人形町界隈ではたくさん供給されているが、2LDKといえば50㎡台しかなかった。60㎡台にすると主寝室やリビングを広くし、収納も増やせることがお客さまによく伝わっている。設計をはじめとするトータルな評価がものすごく高く、お客さまの滞在時間も長い。朝から晩まで4名のスタッフはてんてこ舞い」と話している。
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モデルルームを見て企画意図がすぐ理解できた。細々と紹介しないが、主寝室を7.3畳大確保したこと、玄関・廊下を広くし、収納をきちんと確保していること、仕様レベルを落としていないことなどがストレートに伝わってきた。
もう一つは、単価とグロスの設定だ。同社がプレス・リリースしたとき、「坪単価は420万円でどうですか」と同社に尋ねた。答えは返ってこなかったが、ほぼ予想した通りだ。
同社が3年前、「プラウド日本橋三越前」(88戸)を分譲したとき問い合わせの多さとレベルの高さに驚いたが、その後、周辺物件の単価はどんどん上昇し、坪400万円どころか、東日本橋、馬喰横山あたりでも軒並み400万円を突破した。
その後市況が変化し、各社とも価格修正を余儀なくされた。プレス・リリースを読み、北側道路であること、狭小敷地であること、南側にマンションが建つことなどを考えて、「高値挑戦はしない。面積を圧縮し、グロスも抑える」と読み、坪420万円を導き出した。
予想より坪10万円高かったが、仕様レベルを考えたらこれは納得の価格だ。ローン金利がただ同然とはいえ、アッパーミドル層にとって〝20坪で1億円〟というのは購入に抵抗があるはずだ。同社はそうしたユーザー心理を巧みに読み企画に反映した。
いまのところ第2弾、3弾の具体的な物件は上がっていないが、〝プラウド〟がコンパクトマンション市場に参入すればそれこそ全員参加型の市場になる。広めの2Lで新たな需要を創造するかもしれない。
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同社は前期決算で654戸の完成在庫(うち402戸は未販売)を出し減益となった。遠い昔のことは分からないが、少なくとも〝プラウド〟では過去になかったことだ。
在庫が増えていることに対して、記者は絶対に同社はてこ入れをすると思っていた。今期は6,000戸を計上する予定だ。在庫を減らすのはもちろん新規物件も完全に売り切る策に出るはずだ。
今回の「プラウド日本橋人形町パサージュ」は同社の積極姿勢を示すマンションになるのは間違いない。「日本橋三越前」同様、瞬く間に売れるのではないか。一つだけ気になったのは浴室サイズが1317だったことだ。これはやむをえないのか。いずれにしろ、同社の今後の動きに注目したい。
野村不動産 共働きをターゲットにした「プラウド日本橋人形町パサージュ」分譲(2017/4/27)
驚!問い合わせ4500件突破 「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)
〝世界のトヨタ〟〝世界のTOKYO〟へ2駅12分の「アネシア東京尾久」
「アネシア東京尾久」完成予想図
トヨタホームとミサワホームが近く分譲するマンション「アネシア東京尾久」を見学した。首都圏での〝アネシア〟ブランドは初で、マイナーな「尾久」ではあるが、〝世界のトヨタ〟が〝世界のTOKYO〟へ2駅12分のアクセスのよさをどうアピールするか、分譲価格も気になるところだ。
物件は、JR上野東京ライン尾久駅から徒歩2分、北区昭和町二丁目に位置する14階建て全78戸。専有面積は65.79~70.78㎡、価格は未定。竣工予定は平成30年10月下旬。設計・監理は協立建築設計事務所。施工は埼玉建興。デザイン監修は建築家の船田徹夫氏、ランドスケープデザインは庄島正興氏。販売代理は住友不動産販売。
現地は東京駅から2駅目の尾久駅から徒歩2分。3方道路で全戸南向き。敷地北側が明治通り。
建物はマリオンとフィンによって端正な姿が強調されたシンメトリックな外観で、明治通りに面したエントランス部分に植栽をふんだんに採用しているのが特徴。
商品企画では、トヨタの車と一緒、鍵をかざすことなく玄関ドアを開くことができ、収納は全てソフトクローズ機能付きで、収納扉の裏も塗装されている。二重床・二重天井、御影石キッチン天板、食洗機、ディスポーザ、クリア網戸、スロップシンクが標準装備。標準階のリビング天井高は2450ミリだが、12~14階は2600ミリ。
現地の担当者によると、来場者は地元中心だが、中広域からも集客できているという。
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問題は価格がどうなるかだ。東京駅から12分、上野駅から5分のアクセスのよさだけなら坪400万円をはるかに突破しても不思議ではないが、「尾久」駅は特に用がなければだれも降りないマイナーな駅だ。駅前には喫茶店すらない。これまで中堅デベロッパーを中心に分譲されていたマンションのアッパーは坪単価270~280万円だ。
しかし、駅から徒歩2分の全戸南向きの立地と〝世界のトヨタ〟ブランドからして、坪単価は300万円台に乗るとみる。グレードも水準以上だ。
いったいどれだけの上積みがあるかだが、「晴海」や「有明」「品川シーサイド」の大規模物件は坪300万円を超えるが坪350万円どまり。「尾久」もこの単価を超えるのは難しいと読んだ。
東京駅では三菱地所の〝世界に誇れる〟常盤橋の再開発プロジェクトが着手された。〝世界のトヨタ〟だ。力は間違いなく入っている。安値では売らない。かといって「尾久」では高値追求も難しい。いくらに落ち着くか興味深い。
エントランス
東急不動産 「世代循環型」の街づくり「世田谷中町プロジ ェクト」一部完成
「グランクレール世田谷中町」エントランス
東急不動産は4月25日、認知症の研究が豊富な英国スターリング大学認知症開発センター(DSDC)のケアデザインを取り入れた「世代循環型」の街づくり「世田谷中町プロジ ェクト」の「ケアレジデンス」が完成したのに伴うDSDCプレスセミナー・内覧会を行った。
DSDC のケアデザインとは、「転倒の危険性や、ストレス、興奮、混乱、不穏、見識障害など本人が不安や混乱する状態を減らすもの」で、これまでの事例から①廊下での転倒が71%減少②体重減の割合が13%から3%に改善③暴力行為が60%減少④薬による鎮静行為が週20 回から週1回に減少⑤スタッフが居住者と質の高い時間を過ごせるようになった⑥トイレを探すのに手助けが必要だった人が自立してトイレにいけるようになった-などが実証されている。
また、同社は2015 年10 月、順天堂大学と「包括的連携協力」の協定を締結し、「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)の予防に向けたプログラムを導入している。
「世田谷中町プロジェクト」は、東急田園都市線桜新町・用賀駅から徒歩15分、世田谷区中町五丁目に位置するNTT社宅跡地で開発中の全252戸の定期借地権付きマンション「ブランズシティ世田谷中町」と、「シニアレジデンス」(176戸)と「 ケアレジデンス」(75戸)からなる「グランクレール世田谷中町」(251戸)との複合開発。マンションの一部を除き建物は竣工済み。
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記者は他の取材があり、駆け付けたときセミナーは終わっており、内覧会も予定時間いっぱいだった。関係者の好意でケアレジデンスを案内してもらった。
たくさん驚いたことがあったのだが、分譲マンションにも採用できる商品企画があった。
一つは、居室の床は直貼りなのだが、二重床とほとんど同じ機能を発揮する永代産業の「セーフケアダイレクト」を採用していた。床がまったくふかふかしない。
もう一つは、内廊下の居室の玄関ドアの位置をずらすことでお見合いを避けていることだ。
地域包括ケアの拠点となる「ナースケア・リビング世田谷中町」のキッチンには、事故防止のため訪朝入れなど収納はマグレットを使用しないと開けられないようになっていた。これもスグレモノだ。
そして何より素晴らしいのが植栽計画だ。歩道には既存樹の見事なサクラが植わり、差し渡し1mはありそうなケヤキも植わっている。総延長100mの緑の遊歩道も分譲マンションエリアに設置されている。
舗道
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昨年9月、分譲マンションのモデルルームを見学したとき「東急不動産の記念碑的マンション」と書いた。間違っていなかったことを見学して確認した。
街づくり、ユニバーサルデザイン、環境共生、シニア住宅分野で同社は先駆的な役割を果たしてきた。今回のプロジェクトには消化できないくらいの様々な取り組みが行われている。
一つ腑に落ちないのは、分譲マンションの販売進捗がいま一つであることだ。これまで100戸を供給して契約済みは80戸。今夏までに全戸が完成する。
坪単価308万円はやや高い気がしないではないが、定借がネックになっているとは思わない。圧倒的な緑の量と認可保育所、子どもの無料遠隔医療相談、シャトルバス、多世代交流拠点、買い取り保証などをアピールできれば販売スピードは飛躍的に高まるはずだ。
「ブランズシティ世田谷中町」
野村不動産 共働きをターゲットにした「プラウド日本橋人形町パサージュ」分譲
「プラウド日本橋人形町パサージュ」完成予想図
野村不動産は4月25日、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅圏で同社としては第3弾の「プラウド日本橋人形町パサージュ」(全39戸、非分譲住戸3戸含む)の予約制モデルルーム案内会を今週末より開始すると発表した。
共働き世帯にターゲットを絞り、プラウドシリーズでは首都圏エリア初の「全戸2LDK」とし、専有面積を全戸60㎡超確保するほか、EV着床制限システムの導入、アマゾン最小サイズの郵送物も入れられる大型郵便物対応ポストを設置して差別化を図る。
物件は、東京メトロ日比谷線・都営浅草線人形町駅から徒歩2分、中央区日本橋人形町三丁目に位置する14階建て39戸(非分譲3戸含)。専有面積は60.43~65.76㎡。施工は新日本建設。竣工は2018年5月下旬。
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同社は2003年、コンパクトマンション「プラウドジェム幡ヶ谷」を分譲し、その後、数件「ジェム」シリーズを供給したがやめてしまった。賃貸に切り替えたようだ。記者はどうして継続して分譲しないのかとずっと思っていた。
今回の物件は、共働きをターゲットにしたという点で面白い。この界隈ではコンパクト、ファミリー、投資用が入り乱れて乱売合戦が展開されている。どのような商品企画が改めて取材してレポートしたい。
三井レジ他「パークタワー晴海」 「有明」と競合必至 価格はいくらになるか
「パークタワー晴海」完成予想図
三井不動産レジデンシャルは4月25日、今後の市場動向を占う意味で注目されるマンション「パークタワー晴海」の記者見学会を行った。残念ながら取材不足。核心に触れることができなかった。
物件は、東京メトロ有楽町線・都営地下鉄大江戸線月島駅から徒歩12分、中央区晴海2丁目に位置する48階建て全1,076戸(他に保育施設1区画、店舗1区画)。専有面積は42.53~121.16㎡、価格は未定。竣工予定は平成31年05月下旬。売主は同社のほか近鉄不動産、JX不動産、新日鉄興和不動産、住友商事。施工は大林組。
現地は、晴海2丁目の3方が運河、対面が豊洲。2010年に太平洋セメントの工場跡地を取得し、隣接する都が所有していた土地と合わせ開発するもの。隣接地には三菱地所レジデンスと鹿島の「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」(全1,744戸)がある。
建物は大林組の日本初のDFS・ハイブリッド免震構造を採用。デザイン監修は光井純アンドアソシエーツ建築設計事務所。外構コンセプトデザインはオリエンタルランド。
約19,000㎡の敷地の外構部を「イマジネーションランド」、屋内共用部を「イマジネーションランド」と見立て、内と外をつなぐ不思議な空間をデザインしているのが特徴。アウトドアメーカーのスノーピークス、遊具メーカーの「ボールネンド」とコラボしたソフトサービスを用意するほか、月島駅へのシャトルバスも運行する。
モデルルームは4タイプ。それぞれ明確なコンセプトが特徴。シアターは映像に合わせて座席が動く360°体験型シアター。
昨年9月からの問い合わせは約6,000件、3月18日から4月2日までの事前案内会来場者は約1,200件。サロンのキャパシティいっぱいの反響だという。モデルルームは5月3日に一般公開する。
360°イマジネーションシアター
水憩テラス
冒険の森
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まず価格。2~3年前から坪単価は最低で330万円、アッパーで350万円と読んでいた。いまもそれは変わらない。しかし、競合必至の住友不動産「(仮称)東京ベイ トリプルタワープロジェクト」(全1,539戸)がどうなるかが読めない。こちらはゆりかもめ有明駅から徒歩3分、江東区有明の商住複合開発だ。強気な値付けをするのは間違いない。坪300万円をはるかに突破するはずだ。
モデルルームは4タイプ。スノーピークスが提案している67㎡のタイプはコンセプトが明確でなかなかいい。床、壁などは無垢材を使用しており、オプション仕様は総額500万円くらいだそうだ。
この他、「海」「光」「森」をテーマにしたモデルルームもそれぞれ思い切った提案がなされている。バックカウンター・吊戸棚も標準仕様だ。シャトルバスの詳細は未定だが、かなりインパクトがあると思う。
ユーザーは駅からややある中央区晴海の三井不動産レジデンシャルを選ぶか、駅から3分の住友不動産を選ぶか。価格次第だろうが、これは相当悩ましい選択になる。中央区が江東区より安い値付けはありえないと思うが…どうなるか。三井VS住友の引くに引けない押すに押せないメンツをかけた綱引きもまた見ものではあるが…。
住友不動産も記者発表会を行うと聞いているのでしっかり取材したい。
スノーピークモデルルーム
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完全に取材不足。余裕をもって出かけたが、アクセスを間違って結局1時間近くさまよった。現地についてすぐシアター。これがいけなかった。
シアターの座席数は32席もある大きなもので、ディズニーの仕掛けと同じように映像に合わせて座席が上下に動き、空を飛ぶクジラの背中に乗って物件の共用部分などを見て回るようになっていた。映像が360度回転するので、クジラに自在に操られ、浮遊しているような感覚を覚えた。
普段ならどういうこともないのだが、記者は先週の土曜日と日曜日、3.11で900名を超える犠牲者を出した宮城県名取市で行われたポラスの復興支援阿波踊りを密着取材してきたばかりだ。もっとも被害が甚大だった閖上地区の被災画像や語り部の生々しい話をきいた。取材の疲労で月曜日は1日寝込んだ。
シアターの座席がガタンと動いたとき体が反応した。逃げ出したくなった。気持ちが悪くなった。ずっと避難口を探していた。もう落ち着いて見ていられなくなった。
シアターから解放された後も、渡された端末タブレットもまったく使い方が分からない。すごい情報が盛り込まれているのは容易に想像がついたが、操作できないので記事にしようがない。片手にタブレットを持っているとメモも取れない。
さらにまた、同じ時間帯に東急不動産の「世田谷中町プロジェクト」の見学も予定していたので、気もそぞろ、1時間で取材を切り上げた。
シアターに翻弄され、タブレットに気を取られ、なんだかしどろもどろの記事になってしまった。申し訳ない。
「海」がテーマのモデルルーム
「光」がテーマのモデルルーム
「森」がテーマのモデルルーム
住友不動産 「有明北3-1」容積率1種当たり42万円の安値で取得(2012/12/22)
「ザ・パークハウス 晴海タワーズ」完成・完売(2016/4/14)
三菱地所レジデンス 全1744戸の「ザ・パークハウス晴海タワー」(2013/5/30)
全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」
「グラン レ・ジェイド渋谷富ヶ谷」(12階相当から渋谷方面を望む)
日本エスコンがゴールデンウィーク明けに分譲する「グラン レ・ジェイド渋谷富ヶ谷」を見学した。東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、1フロア2戸の全25戸(但し最上階は住戸連結プランの選択もでき24戸に変更の可能性あり)だが、敷地南側に富ヶ谷-神山町-松濤の第一種低層住居専用地域が広がる恵まれた立地を最大限に引き出したプランが光る好物件だ。
物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩5分、小田急小田原線代々木八幡駅から徒歩5分、渋谷区富ヶ谷1丁目の第一種低層住居専用地域・第二種住居地域に位置する地上12階・地下1階建て全25戸(最上階住戸連結時は24戸)。専有面積は47.71~125.55㎡(最上階住戸連結の場合)。坪単価は下層階と上層階ではかなり差があるが、平均すると500万円前後か。竣工予定は平成30年2月末。設計・監理は創建築設計事務所。施工は奈良建設。
現地は、代々木公園駅からの商業系用途と、渋谷方面からだと松濤-神山町-富ヶ谷と続く高級住宅街の間に位置する。敷地南側は第一種低層住居専用地域。
建物は1フロア2戸で、40㎡台後半の1LDKと50~60㎡台の2LDK、70㎡台後半の3LDKで構成される。用途が第一種低層住居専用地域にある敷地南側にゆったりしたアプローチを設け、両脇の植え込みに孟宗竹などを植え高級感を演出。全戸に5.11㎡(1.54坪)~8.85㎡(2.67坪)のホワイエ(屋内廊下)が付くのが特徴。
住戸プランは、小規模ながらディスポーザを標準装備し、天然御影石キッチン・パウダールームカウンター、食洗機、ミストサウナ、グローエ水栓、ハーマン製コンロなどを採用。
同社開発事業本部東京開発事業部東京企画販売グループサブマネージャー・畑山秀樹氏は「おかげさまで資料請求は1,800件を突破。4月8日にモデルルームをオープンして以来、来場は70組を超える。ギャラリーは4卓しかありませんがゴールデンウィークまでの週末は全て満席。2駅2路線利用可能な駅近の利便性や、山手通りから一本奥に入り車の音も聞こえづらく南面に第一種低層住居専用地域が広がる良好な住環境、拘りの設備仕様もお客様から評価が高く早期完売への手応えを感じている。」と話している。
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昨年は同社の「グラン レ・ジェイド若松河田」の商品企画に驚いたが、今回は1フロア2戸の小規模宅地物件ながら、立地条件とその価値を最大限に引き出している企画力が光る。
エレベーターは両開きの”2戸1”で住戸の玄関前に専用使用権付きのホワイエを設置したのがいい。セキュリティーがかかったエレベーターで直接アクセスするエレベーターホールとして、住戸の独立性とプライバシー性を高める空間となっている。
住戸プランもいい。1LDKタイプは北向きや下層階に限られるケースが多いが、5階以上の1LDK(約47.71㎡)は柱型がでず、開口・採光窓は6カ所もある。3LDKは全居室開口窓付き。
大手デベロッパーの寡占化が進んでいるマンション市場では、中堅デベロッパーはなかなか好立地の大規模用地を取得できないだろうが、反面、大手が手を出しづらい今回のような小規模宅地物件でマンションに求められる理想を具現化できるのは柔軟な発想力を持つ日本エスコンならではと言えるだろう。
ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4)
「神楽坂」と「蔵前」で第2弾同時発売 西鉄の〝ブラントン〟
「ブラントン神楽坂」完成予想図
西日本鉄道の「ブラントン神楽坂」と「ブラントン蔵前」を見学した。同社の首都圏マンション事業強化の第2弾でコンパクトプランが中心。
「神楽坂」は、東京メトロ東西線神楽坂駅から徒歩5分、新宿区東五軒町に位置する7階建て全20戸。専有面積は34.05~85.20㎡、価格は未定だが坪単価は450万円くらいになる模様。竣工予定は平成30年2月下旬。施工はライト工業。設計・監理はスタイレックス。販売代理は伊藤忠ハウジング。販売開始は6月中旬。
「蔵前」は、都営浅草線蔵前駅から徒歩1分、台東区蔵前2丁目に位置する15階建て全45戸。専有面積は 26.93~65.77㎡、価格は未定だが坪単価は300万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成30年7月下旬。施工は加賀田組。販売代理は東急リバブル。分譲開始は6月中旬。
前者はいつも〝住みたい街〟の上位にランクされる神楽坂のマンションなどが多く建ち並ぶ一角。建物は標準階1フロア3戸で、角住戸比率は60%。東南向き。
後者は蔵前駅から徒歩1分(13m)。建物は江戸小紋をイメージさせる格子デザインの外観が印象的。1フロア3戸の東南向き。3方接道の角住戸比率は60%。
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同社の首都圏本格進出第一弾のマンション「ブラントン日本橋小伝馬町」を昨年の今頃に見学した。その立地のよさとよく考えられたプランに驚き、第2弾、第3弾も必ず見学しようと決めていた。
今回の2物件はいずれもコンパクト系なので、モデルルームはかなり女性を意識したデザインであるのが特徴だ。
どこがいいのかよくわからないのだが、女性が化粧しやすい-うまく化ける三面鏡が設えてあった。鏡の境、つまり縦2列にLED照明が組み込まれていた。調光機能もついていた。使い方は聞かなかったが、おそらく宴会用、出社用、デート用とそれぞれ用途に応じて朝用、昼用、夜用などと光の加減(化粧の映え具合)を変えられるものに違いない。浴室にも同じようなLED照明がついていた。
全体的な設備仕様は他社のコンパクトマンションとそれほど変わらなかった。価格は「蔵前」に注目したい。今のところ未定だが、価格次第では早期完売するかもしれない。「神楽坂」は妥当な価格だ。
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記者が西鉄⇒西武ファンであることは「小伝馬町」の記事でも書いたが、同社のブランド〝ブラントン〟については訂正しなければならない。記者はてっきり英語の〝bright〟(輝くなど)から取った造語だと思っていたが、そうではなくてフランス語の「白」を意味する「blanc」と英語の「town」(街)を組み合わせた造語のようだ。
いずれにしろ、大手デベロッパーに引けを取らない響きのいいブランドであることには変わりはない。
「ブラントン蔵前」
2年間の成約戸数814戸 近畿圏№1の野村不ほか「プラウドシティ塚口」最終分譲
「プラウドシティ塚口」
野村不動産・JR西日本不動産開発・長谷工コーポレーションは4月19日、兵庫県尼崎市のJR宝塚線塚口駅前複合再開発の「ZUTTOCITY(ズットシティ)」内にある「プラウドシティ塚口」(1,200戸)の最終街区となる「マークスカイ」のモデルルームを4月29日(土)よりオープンすると発表した。
「プラウドシティ塚口」は2015年3月から分譲開始し、これまでに814戸を成約しており、成約戸数の多さでは近畿圏№1だという。
最寄り塚口駅からJR大阪駅まで約10分、総開発面積約8.4haの関西最大級となる駅前複合再開発プロジェクトで、尼崎市認定のスマートコミュニティへの取り組み、2017年4月にオープンした民間保育施設などが子育て世帯を中心に評価されているという。
「プラウドシティ塚口マークスカイ」は15階建て全366戸。専有面積は69.00~94.80㎡、入居時期2018年3月下旬。施工は長谷工コーポレーション。
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近畿圏のマンション市場は全くわからない。2年間の成約戸数814戸は№1と言われても、そんなものかというほかない。坪単価は170万円くらいか。埼玉県の大宮駅以遠、千葉県の千葉駅以遠でやっと供給されるような単価だ。その単価で大阪駅へ10分とは…。
三井不レジも〝再配達ゼロ〟の取り組み 小型BOXを開発 従来比1.5倍増
⇒
従来型BOX8個(左)と新構成BOX12個
三井不動産レジデンシャルとフルタイムシステムは4月17日、マンションの宅配ロッカーの利用効率を向上させることで“再配達ゼロ”を目指す取り組みを開始したと発表した。
宅配ロッカーの利用効率の向上を図るため、①利用状況に適した宅配ロッカーの新構成によるBOX数の増加②宅配ロッカーの入出庫回転率の向上を図る③宅配ロッカーへの入庫数の減少を図る④「宅配ロッカーの利用情報閲覧サービス」-この4つの対策を取る。
今年6月下旬に販売開始する大規模分譲マンション「パークタワー晴海」より順次導入する。
取り組みに当たって同社は、「宅配ロッカーの設置スペースは、容積率算入の対象となるため必要最低限の数のBOXを設置することしかできないのが現状」とし、数量が増加している一方で、サイズは小型化していることから、小型荷物に最適な新サイズ「SS」(内寸法:W411×D546×H108mm)BOXを開発する。例えば総戸数50戸のマンションの場合、従来のロッカー構成では、BOX数は8個で、総戸数に対する割合は16%なのが、新構成ロッカーではBOX数が12個に増え、総戸数に対する割合は24%になり、従来比で1.5倍増加させることができるとしている。
また、三井不動産レジデンシャルが300 戸以上のマンションのうち27 棟に設置された宅配ロッカーを調査したところ、ロッカーに空きがないことを示す「満杯警報」の受信数は1年で合計11,490件、1棟のマンションで1日平均約1.2回発生している計算になることから、フルタイムシステムが運用する「FTS コントロールセンター」によってメール・FAX・自動電話による滞留通知を改良しより早い荷物の取り出しを促す。
さらに、キーメーカー各社に開発を依頼し、メインエントランスだけでなく、キーシステムが設置されている全てのセキュリティーゲートでも着荷を通知するシステムを順次導入する。「メール便対応ポスト」も投入口を流通数の多いメール便サイズ(W340×D260×H35mm)が投函できる大型のサイズとする。
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〝再配達ゼロ〟を目指す取り組みは先に大京とフルタイムシステムが記者発表会を行った。その記事も参照していただきたい。
間違いなく付置を義務付ける方向で動くはずだ。ただ、その際、容積率算入の緩和を行うとか、設置率の高いものについては容積の割り増しを行ってもいいのではないか。大京・落合専務が話したように利用率が下がっている駐車場の付置義務の緩和も図るべきだ。それより緑化率を引き上げるべきだ。
〝再配達ゼロ〟宅配ボックス発表会に記者殺到 大京・フルタイムシステムが新商品(2017/4/10)
野村不動産 東池袋の木密地域不燃化10年プロジェクト着工
「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」
野村不動産は4月17日、同社が参加組合員として参画する「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」を着工したと発表した。
都市計画道路補助第81号線の整備に合わせ老朽化建築物の建替えや、防災機能を備えたまちづくりの気運が高まったことを受け、2010年9月準備組合の設立、2014年8月の都市計画決定、2015年6月に再開発組合の設立認可を受けた。
物件は東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩5分の20階建て延べ床面積約14,700㎡。住宅は132戸(地下1階~20階)。施工は前田建設工業。竣工は2019年3月予定。
東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」不燃化特区制度先行実施地区のコア事業と位置付けられている。
事業地