都の新型コロナ感染者 拡大前期(before)から様相一変 解除後(after)の20代男性は6倍、20代女性は3倍増
東京都は6月27日、新型コロナ感染者が新たに57人判明したと発表した。うち71%に当たる41人が20~30代の若い人で、感染経路不明者も36人(63%)だった。感染者は5月25日に緊急事態宣言を解除してから最多で、5月5日の57人以来の数値となった。
また、年代・性別累計感染者数で617人となった20代女性が611人の40代男性を抜き、685人の20代男性、673人の30代男性に次いで3番目に〝浮上〟した。
この結果、新型コロナの感染状況を監視する「モニタリング指標」のうち新規陽性者数は44.1人/1週間平均(再要請基準50人/1週間平均)、感染経路不明率は48.2%/1週間平均(同50.0%)、週単位の増加率1.22(同2)。
◇ ◆ ◇
6月に入ってから連日のように〝夜の街〟〝歌舞伎町〟〝ホストクラブ〟などが報じられており、これに呼応するように20代男性の感染者数が増加している。
報道によれば、都は医療体制がひっ迫していた感染拡大期の3~4月とは状況が異なるとし、休業再要請は行わない模様だ。モニタリング指標も見直すという。
とすれば、われわれは現在のような状況がafter&withコロナの常態であることを容認しないといけないのだろうか。
医療体制はさておき、その心構えの参考にしていただくよう、3月末までの拡大前期(before)の感染者521人と宣言解除後(after)の感染者908人(6月27日現在)の属性の変化をみたのが別表・グラフだ。
beforeの男女比は男性347人(66.6%):女性181人(33.4%)となっており、年代・性別でもっとも多かったのが40代男性の77人(14.8)で、以下、30代男性の62人、70代男性の52人と続いていた。女性では41人の20代女性が最多だった。
afterはどうかというと、男女比は男性587人(64.6%):女性321人(35.4%)となっておりbeforeとそれほど変化はない。新型コロナは人種、性別、老若男女に関わらず平等に襲い掛かると仮定すれば、なぜ男女比で大きな差が出ているのか分析する必要がありそうだ。(記者はジェンダー性差が関係していると思う)
beforeと顕著な差は、20代男性が人数でも比率でも激増していることだ。20代男性の感染者はbefore 41人からafter262人へ6.4倍増。次位の30代男性の159人より100人以上も多く、全体に占める比率でも28.9%(beforeは4.8%)を占めている。
20代男性の増加の陰に隠れている形だが、30代男性もbefore62人からafter159人へと2倍以上に増加している。
一方で、beforeでは77人で最多だった40代男性はafterでは60人へと減少しているほか、50代以上の男性も全て減少、比率も低下している。
注視すべきなのは20代、30代の女性の数値だ。20代女性はbefore41人からafter131人へ3.2倍に増加。宣言解除前の5月15日から解除後の6月20日までは83人(1日平均2.2人)だったが、21日に11人と2ケタに乗ると、この1週間で60人(1日平均8.6人)と再び増加傾向を示している。30代女性もbefore33人からafter61人へ倍増している。
このように20代、30代の若い人の感染が目立つのは、この前も書いたように「死に至る病」ではなく〝絶望〟もしておらず、働かざるを得ない事情もあるからだろうか。これがafter&withコロナの常態となるのだろうか。
安倍首相は6月18日に行った記者会見で「今、感染予防と両立しながら社会経済活動を回復させていく。コロナの時代の新たな日常に向かって、一歩一歩、私たちは確実に前進しています」と述べた。この言葉を信じたい。
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吉本筋肉芸人100人もアキュラホームの最強壁に完敗 ZOOM中継に7,500人視聴
吉本の筋肉芸人100人もアキュラホームの最強壁に歯が立たず完敗-アキュラホームは6月27日(土)、同社が開発した業界ナンバーワンの壁倍率15倍の強靭壁「8トン壁(トリプルストロングウォール)」の壁の強さを証明するため、「吉本芸人軍団率いる100人vsアキュラホーム新世代木造」と銘打ったイベントをZOOMにより生中継した。約7,500人が視聴した。
「8トン壁」はマッチョな吉本軍団100人との綱引きにびくともせず完勝。同社関係者含めた125人でも微動だにせず、最後は8トンの重機で破砕された。
完敗した吉本軍団は「社長の顔が見たい!」「社長!社長」と〝挑発〟。視聴者から「素人ぼっいMCがとてもいい」と褒められた同社女性広報担当の「社長!」との呼びかけに、同社宮沢俊哉社長は本社社長室から出演。「みなさんありがとうございます。テレビCMを放映すると1億円くらいかかるが、この種のイベントは10分の1くらいで出来る。その他の無駄も省くことで30億円くらいの固定費を削減した。その分をお客さまに還元していく。コロナ前と比較して20%安く商品を提供していく」とコメントを寄せた。
同様のイベントを同社は5月30日にも行っており、今回は第二弾。前回の視聴者は約5,700人だったので、2,000人近く増えた。中継は予定では1時間になっていたが30分も延長。視聴者からは「とても楽しかった」などの歓声が上がった。
イベントでは、何人の吉本軍団が一般の最強壁を綱引きで破ることができるかのクイズも行われ、正解者2名に50インチテレビが贈呈された。
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一つ注文。同社の最強壁を採用した戸建てを「1,000万円台で提供させていただきます…さらに今回、全館空調と太陽光発電を加えると、光熱費がゼロになる…ちょっと頑張れば手が届く商品」などと同社担当者がアピールしたのはいいのだが、あのジャパネットの創業者・高田明氏の〝売り込み〟には勝てない。同社には三半規管をかき混ぜるテノール社員はいないのか。
東京都 新型コロナ累計感染者 年代・性別では20代男性が30代男性抜き最多に
東京都は6月25日、新型コロナウイルス感染者が新たに48人判明し、うち19人が感染経路不明・調査中と発表した。この結果、累計の感染者数は5,948人で、年代・性別では20代男性が前日(24日)から11人増加し657人となり、前日(24日)から5人増の30代男性の655人を抜き、初めて最多となった。また、20代女性は592人となっており、40代男性の601人にあと9人に迫っている。
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「青山ベルコモンズ」跡地 三菱地所 複合ビル「the ARGYLE aoyama」竣工
「the ARGYLE aoyama(ザ・アーガイル アオヤマ)」
三菱地所は6月24日、港区北青山二丁目で開発を進めてきたオフィス・ホテル・商業の複合ビル「the ARGYLE aoyama(ザ・アーガイル アオヤマ)」が2020年6月19日(金)に竣工したと発表した。
80年代のファッション業界の象徴的な建物として知られた「青山ベルコモンズ」跡地に建設されたもので、建物は地上20 階建て延床面積23,122.57㎡。5~15階のオフィスフロアは満室稼働。1~2階の商業ゾーンは7月1日(水)から順次オープン予定。19~20階の東京初出店となるPlan・Do・See 運営の「THE AOYAMA GRAND HOTEL」は8月に開業する予定。
ホテルは、「青山ベルコモンズ」が一世を風靡した80年代を意識したライフスタイル型ホテル。客室数は全42室、客室サイズは約30~60㎡。
ホテルエントランス
ホテル客室
レストラン
新型コロナは「死に至る病」でなく〝絶望〟とも無縁 若い人の感染者が多い理由
前回(6月22日)、緊急事態宣言解除後の東京都の新型コロナ感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟(〝三つ巴〟か)と書いた。
記者は専門家でも何でもないが、この〝三強〟が来るべき第二波、第三波でも主導権を握るのではないかと思う。
厚労省のデータでは、感染者のうち「死に至った」人は国民的なタレントの志村けんさん(70)や岡江久美子さん(63)、力士の勝武士さん(28)のように高齢者や基礎疾患の持ち主で、若い人は数%にとどまっている。プロ野球選手の藤浪晋太郎さん(26)、坂本勇人さん(31)、大城卓三さん(27)などはいつの間にか完治し、現場に復帰した。
われら高齢者で基礎疾患の持ち主にとって新型コロナは間違いなく「死に至る病」だと思うが、若い人はこの数カ月の間にそうではないことを学んだ結果、〝夜の街〟に繰り出し、あるいは生きるために働きだしたのではないか。〝withコロナ〟を若い人は実践していると考えれば、第二波、第三波の対応策も見えてくるし、希望も湧いてくる。
6月23日現在、東京都の新型コロナ感染者を年代別・性別で見ると、もっとも多いのが30代男性の641人で、以下、20代男性の621人、40代男性の592人、20代女性の576人の順。最近の動向からすれば、20代男性が最多になるのは時間の問題で、20代女性も40代男性を抜きそうだ。
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19世紀の哲学者キェルケゴールはその著「死に至る病」(岩波文庫・斎藤信治訳)の緒論で次のように述べている。
「キリスト教的な意味では死は決してすべてのものの終わりではない。それは一切であるものの内部におけるすなわち永遠の生命の内部における小さな一つの事件にすぎない。キリスト教的な意味では、単なる人間的な意味での生命におけるよりも無限に多くの希望が、死のうちに存在するのである、――この生命がその充実せる健康と活力のさなかにある場合に比してもそうである。
それ故にキリスト教的な意味では、死でさえも『死に至る病』ではない。いわんや地上的なこの世的な苦悩すなわち困窮・病気・悲惨・艱難・災厄・苦痛・煩悩・悲哀・痛恨と呼ばれるもののどれもそれではない」
そして、「死に至る病」とは「絶望」のことであると本論で説く。
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キェルケゴールがこの著を公にしたのは36歳のときだ。そして、「祖国の困窮時代が漸くその終わりに近づき、この年を前後して国内に政治的・経済的改革が相次ぎ、彼の祖国が新興デンマークとしての輝かしいスタートを切るほぼその年に当たる」(斎藤氏)1855年の42歳で死亡した。
いまキェルケゴールが生きていたら新型コロナも「死に至る病」ではないというかどうかは分からないが、いまの若い人たちは「死に至る病」でないことを確信しているからこそ〝夜の街〟に繰り出しているのであって、〝絶望〟とは無縁ではないか。
東京都 新型コロナ 感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟の争い(2020/6/22)
新型コロナ感染者 宣言解除後は20代男性が最多〝夜の街〟自粛呼びかけ 効果あるか(2020/6/7)
新型コロナ「東京アラート」発動 都知事〝夜の街〟強調/大阪府は20代の女性が最多(2020/6/3)
〝闇社会〟〝二重就業〟の記事アクセス1万件突破/北九州「第2波」 どこでも(2020/6/1)
新型コロナ 都の感染者5月は20代女性が突出 全体の14% 同世代男性の倍以上(2020/5/29)
〝闇社会〟〝二重就業〟の記事にアクセス殺到/目から鱗 「風テラス」坂爪氏の著作(2020/5/28)
社会的弱者に襲い掛かり、ジェンダー性差をあぶりだす 新型コロナの本性(2020/5/25)
〝不平等社会〟あぶりだす新型コロナ5月の感染者 年代・性別で最多は20代女性(2020/5/18)
新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因(2020/5/11)
東京都 新型コロナ 感染者は20代男性・30代男性・20代女性の〝三強〟の争い
東京都の新型コロナ感染者数は〝三強〟の争い-先月25日に新型コロナの緊急事態宣言が解除されてからほぼ1か月近くが経過する。解除後の都の感染者は633人(1日平均23.4人)で、感染経路不明者は285人(単純平均不明率45.0%)となっており、予断を許さない状況が続いているが、年代別・性別感染者では20代男性が179人(28.3%)と他を圧倒し、30代男性と20代女性の免疫力・再生力が勝る〝三強〟が全体の59.9%を占めている。
別表は、都のデータから緊急事態宣言解除後の感染者を年代別・性別に振り分けたものだ。
男女別では男性407人(64.3%):女性226人(35.7%)となり、宣言解除前の比率とそれほど変化はない。
宣言解除前と著しく変わっているのは、20代男性の感染者が断トツであることだ。宣言解除前の感染者と合わせると602人となり、最多の30代男性の632人に迫る勢いだ。勢いからすれば、30代男性を抜くのは時間の問題だ。
20代女性は82人で、女性の中では二番目に多い30代の43人のほぼ2倍に達している。
◇ ◆ ◇
6月に入って、小池都知事の一連の〝夜の街〟〝歌舞伎町〟〝ホストクラブ〟発言に乗りメディアも連日のように〝夜の街関連〟を報じている。
記者が懸念するのは、20代と30代の男性と対をなす層があるはずで、その層の人が爆発的に増えないかということだ。
〝君子危うきに近寄らず〟というが、記者のような馬鹿で高齢者、しかも基礎疾患の持ち主、さらには喫煙者、飲酒常習者(これはコロナ感染と因果関係はなさそうだが)はどうすればいいのだ。
唯一一つだけ新型コロナに感謝するとすれば、街行く女性が素晴らしく美人に見えることだ。桃色マスクに悩殺される。
三井不動産 新型コロナ対応支援 医療機関、大学、研究施設に寄付8億円
三井不動産は6月19日、新型コロナウイルス感染症の治療、検査、ワクチン開発のほか一般外来の診察継続などに尽力している三井記念病院をはじめ複数の医療機関、大学、研究施設に総額8億円を寄付すると発表した。
また、同社が保有していた防災備蓄品から防護服、マスクの提供、弁当の配布などを行い、安定した医療体制の継続に貢献していくほか、国内外の商業施設、自治体、飲食店などへの支援活動を行っていく。
三井不レジ 馬車道駅直結の商業・文化施設「横浜北仲ノット」完成
「YOKOHAMA KITANAKA KNOT(横浜北仲ノット)」
三井不動産レジデンシャルは6月18日、同社と丸紅が開発を進めてきたみなとみらい線馬車道駅直結の横浜北仲エリアの新たなランドマーク商業・文化施設「KITANAKA BRICK&WHITE(北仲ブリック&ホワイト)」が6月25日(木)にグランドオープンし、ランドマーク名称を「YOKOHAMA KITANAKA KNOT(横浜北仲ノット)」に決めたと発表した。
同施設は、横浜市の文化の発信拠点となる「KITANAKA BRICK(北仲ブリック)」と、分譲マンションや近隣居住者、ホテル宿泊者向けの物販・飲食・サービス店舗などからなる「KITANAKA WHITE(北仲ホワイト)」で構成される。
「KNOT(ノット)」は「結び目」を意味し、みなとみらい21地区-山下・関内地区である新旧横浜の結節点に位置することから名づけられた。
エリア内には横浜市最大規模・最高層を誇る分譲マンション「ザ・タワー横浜北仲」(総戸数1,174戸)の入居も3月から始まり、サービス付き長期・短期滞在型宿泊施設「オークウッドスイーツ横浜」(総客室数175室)が今秋開業する予定。
〝冬の時代ではない〟沢柳氏 「With & Afterコロナでのホテル戦略」セミナー
オータパブリケイションズは6月17日、「With & Afterコロナでのホテル戦略ウェビナー」と題するZOOMによるオンラインセミナーを開催した。オータパブリケイションズ マネージングディレクター・岩本大輝氏、キャブ代表取締役・苦田高志氏、tripla代表取締役・高橋和久氏がそれぞれ講演したほか、日本のホテル投資アドバイザーの先駆けと言われるジョーンズ ラング ラサール・沢柳知彦氏(立教大学大学院特任教授)がインタビュイーとして、宿泊施設のこれからの集客、オペレーションについての見解を述べ、参加者からの質問にも答えた。
視聴者は、ホテル、旅行業界を中心に一般の人も含め定員の500名いっぱいにのぼった模様で、関心の高さをうかがわせた。
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昨日は日本政府観光局(JNTO)が2020年5月の訪日外客数を発表した。訪日客は新型コロナの影響で4月の2,900人をさらに下回る1,700人(前年同月比99.9%減)となるなど、壊滅的な状況が続いている。
訪日客がほぼゼロになったことで、32兆円といわれる旅行市場はうち約15%を占める外国人による4.8兆円が消え、「かつてないマーケット」(岩本氏)となっており、ADR(客室単価)、RevPAP(客室1室あたり収益)の数値は急落、ホテル平均稼働率は10%程度と言われている。
こうした状況を受け、各氏は悲嘆に暮れているのではないかと思ったが、そうではなかった。前向きな発言が相次いだ。(苦境をどう乗り切るかがウェビナーのテーマだから当然と言えば当然だが)
岩本氏は、「需要の中心は国内。Afterコロナでビジネスユース、レジャーが期待でき、海外旅行消費分4.9兆円が国内消費へ向かうとポジティブに考えるべき。ホテルの本質は変わらない。〝魅力あるホテル〟〝勝つ定義〟を問い直し、ターゲットはどこか、武器は何か、自社のリソースを活用してデザインすることが重要。安易な過剰対策はむしろ逆効果」などと話した
苦田氏は、「コロナの影響を受けホテルサイトアクセスは25~27%落ち込んでいるが、ITリテラシーが高い余暇時間がある若者をターゲットにしたホテルは伸びている例もある。今後はマイクロツーリズムが増加するはずで、若い人が重視するSNSでの#ハッシュタグを活用すべき。重要なのはSIPS※」と述べた。
※(Sympathize=共感する)Identify(確認する)Participate(参加する)Share&Spread(共有・拡散する)
高橋氏は、同社が開発したAIを活用したtriplaチャットボットによって、サイト予約比率を大幅にUPさせ、収益率の向上につながっていることを語った。
沢柳氏は、「市場の8割は国内需要。旅行マグマは溜まっている。冬の時代でもない。本格的な需要回復は新型コロナのワクチンが開発される1~1.5年先だが、リモート・オンライン需要の増加は、旅行中でも仕事ができ、塾の授業などが受けられるようになる」などと新しい可能性を指摘した。
◇ ◆ ◇
ホテル・観光は門外漢だが、コロナ前はマンションデベロッパーが「欲しい土地はホテルと異業種のN社に全部持っていかれる」と嘆いていたので、今後の展開次第で適地は再びマンション用に変わるのではないかと考え視聴した。
「高値で仕入れられたホテル用地は、今回のコロナの影響でマンションデベロッパーに投げ売りされることにならないか」と質問もした。
沢柳氏は、「それはない。市況が回復するまで着工せず駐車場などにするのではないか。そもそも、資金を融資した銀行が損切り処分するはずがない」と否定した。
なるほど。リーマン・ショック後の銀行とはいまは違うということか。当時は手のひらを返すように融資を中止し返済を迫ったため、軒並み中堅デベロッパーが破綻した。
にわかホテル業者はそんな余裕はないような気もするが…。
◇ ◆ ◇
視聴者からは、「アパ直」限定で一泊2,500円(税サ込)で泊まれる6月末までの期間限定「新型コロナウイルスに負けるなキャンペーン」をアパホテルが全店(656ホテル101,402室)で行っていることは「不当廉売ではないか」という質問が飛んだ。
沢柳氏は「難しい問題だが、不当廉売には該当しないのではないか」との見解を示した。
この問題は記者も分からない。下記に公正取引委員会の考え方を示す。「不当廉売」は、①正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであって、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの②不当に商品又は役務を低い対価で供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあることで、「供給に要する費用」とは,廉売行為者の「供給に要する費用」であり、業界一般の「供給に要する費用」又は現実に存在する特定の競争者の費用ではないとしている。
5月の訪日外客数は1,700人(前年同月⽐99.9%減)前月よりさらに1,200人減
日本政府観光局(JNTO)は6月17日、2020年5月の訪日外客数は1,700⼈(前年同月⽐99.9%減)となり、8 か月連続で前年同月を下回ったと発表した。単月の訪日外客数としては、JNTOで統計を取り始めた1964年以降、過去最少となった。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの国において海外渡航制限や外出禁止等の措置が取られており、わが国でも検疫強化、査証の無効化などの措置が取られているためで、前月に続き22市場全てで訪日外客数がほぼゼロに近い数字となった。
100年前に逆戻り? 新型コロナ禍 4月の訪日客 前年同月比99.9%減の2,900人(2020/5/20)