「先義後利」をキーワード ポラスグループ代表 中内晃次郎/年頭所感
消費者目線ではあまり実感はありませんが、政府の景気判断よると約5年間に及ぶ好景気が続いております。北朝鮮の核ミサイル開発など、不安定要素が存在する国際情勢ではありますが、突発的な事象や大きな変化などが無ければ、本年も引き続き景気の良い年となりそうです。
しかし、来年2019年は消費税の10%への増税や東京五輪に向けた一つのピークの年になると考えられ、その後は厳しい状況が訪れると予想されます。
ですから当社では、来たる増税による反動減などのマイナス局面に備え、しっかりとした土台作りをする年にしたいと思います。
本年は「先義後利」をキーワードとして事業運営を行います。「当然あるべき道、商売における正しい道を優先させ、利益を後回しにする」という意味ですが、社訓や経営理念等の考え方にも通じるもので、当社の原点を再認識することともいえます。
これを推進することで、創業時から培ってきた「地域密着」・「顧客密着」・「社員密着」を徹底し、①お客様に喜んでいただき、②地域から感謝され、③世の中全体に感謝され、④社員がいきいきと働ける、存在価値の高い企業グループとして成長を遂げたいと考えております。
そして来年に控えた創業50周年、さらにはその先の半世紀をも、持続的に発展する強固な企業基盤を全社一丸で構築してまいります。
新しい価値を常に生み出す 三井不動産リアルティ社長 山代裕彦/年頭所感
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の日本経済は、米国との金利差拡大の影響を受けて円安で安定した為替相場と、堅調な世界経済がもたらす外需による好調な企業業績が、株価の上昇や企業の設備投資に繋がり、昨年10月の有効求人倍率が1.55倍と高水準になるなど、緩やかな回復基調となりました。
不動産仲介マーケットは、上向きになる日本経済のもと、住宅ローン金利が低水準で継続し、都心部での好調を維持しながら、郊外、地方への波及が進みました。当社においても売買仲介取扱件数が前年を上回り、物件価格も上昇し、良好な業績をあげることができました。
駐車場事業においては、運営管理台数が22万台を突破し順調に拡大しました。また、カーシェアリング事業は、昨年4月にカーシェアリング・ジャパン株式会社を吸収合併し、首都圏・関西を中心に駐車場事業との相乗効果で事業を拡大しました。
人口減少や少子高齢化などの社会の変化により、不動産との関わり方が多様化しています。当社は、社員一人ひとりが、お客さまの高度で複雑な課題と誠実に向き合い、プロとしての知見により、最適なソリューションのご提供に努めてまいります。また、デジタル活用が進む中で、ICT技術を活用して、多様なニーズに対し多くの物件から最適な情報をリアルタイムにご提供する仕組みや、当社とのやりとりを円滑に進めることができる新しいコミュニケーションツールをご提供してまいります。駐車場やカーシェアリングの分野においては、デジタル活用を進めることで、お客さまの利便性を向上させる先進的な取り組みやサービスのご提供に積極的に挑戦してまいります。
当社は“すまい”や“くらし”といった事業フィールドで、人や社会に必要とされるような新しい価値を常に生み出し、質の高いサービスを提供してまいります。
不動産業そのものをイノベーション 三井不動産社長 菰田正信/年頭所感
2017年を振り返りますと、北朝鮮などでの地政学的リスクの高まりや、欧州 における不安定な政治状況とは裏腹に、世界経済は底堅い成長を続けました。日本経済は緩やかな回復が続いており、9月には景気拡大局面が戦後2番目のいざなぎ景気を超え、11月には日経平均株価が約26年ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新するなど、比較的好調に推移した一年であったかと思います。
そうした中、当社グループでは、国内外で進めていた事業が昨年も着実に進展しました。国内では「ららぽーと甲子園」、「ジャズドリーム長島」をリニューアル・増床オープンしたほか、秋に3物件が開業した新ブランド「ザ セレスティン ホテルズ」については、宿泊者から大変ご好評いただいております。また昨年は、このような街づくり事業に加えて、多様化する働き方に対応した法人向け多拠点型シェアオフィス「WORKSTYLING」や、リアル施設とも連携するECサイト「&mall」の開設など、新しいサービスも開始いたしました。
海外においても米国マンハッタン最大級のオフィスビル開発となる50ハドソ ンヤードへの参画を決定したほか、欧米・アジアで新たな商業施設、住宅、ホテルの事業機会を獲得し、海外事業の飛躍的な成長という目標に対しても、確かな手ごたえを感じております。
今年は、ミクストユース、ハードとソフトの融合、周辺地域・施設との共生、 そして「経年優化」という当社の街づくりの理念の象徴ともいえる「東京ミッドタウン日比谷」が2月に竣工、3月にグランドオープンを迎えます。2018年3月には現在の中期経営計画「イノベーション2017 ステージⅡ」が最終年度となりますが、まずはその目標を確実に達成し、それを基盤として新しい未来を切り拓いていく年にしたいと思っております。
事業環境は変化していますが、当社グループは顧客の価値観やニーズの変化を捉え、またICTの活用を徹底的に進めながら、既存事業を進化させるとともに、 新しいビジネスを開拓し、不動産業そのものをイノベーションしてまいります。
フルラインナップで積極的に展開 三菱地所レジデンス社長 脇英美/年頭所感
2017年の分譲マンション市場は、堅調・軟調の二極化が鮮明となる中で、交通利便性を基礎条件として、好環境・大規模・タワー・複合開発等の特徴を備えた物件を中心に堅調に推移し、当社においては3,300戸超を供給した。
直近で集客を開始した「ザ・パークハウス 恵比寿南」「グレーシアタワー三鷹」「ザ・ パークハウス オイコス 赤羽志茂」などの新規物件の引き合いも順調で、都心郊外を問わず立地とニーズに適う物件を提供すれば堅調な需要が存在することを感じている。
資産形成コンパクトマンション事業として展開している「ザ・パークワンズ」ブランドでは、好評裏に完売した第1弾物件に続き、今年は同ブランド初の港区での供給となる「ザ・パークワンズ 芝公園」を販売する。既に反響を多く頂いているが、今後も様々なニーズに応える商品を提供することで、消費者に選ばれ続ける存在となることを目指す。
2018年度が2年目にあたる三菱地所グループの中期経営計画では、「時代の変化を先取りするスピードで、競争力あふれる企業グループに変革する」ことを目指している。
昨年は、お客様のニーズを商品企画にダイレクトに反映させる為、職制や業務フローの見直しを行ったが、グループとして成長しバリューチェーンを強化すべく、住宅事 業各社と密に連携しながら、今後の事業戦略を策定し、変革への歩みを進めていく。
「一生ものに、住む。」というモノづくりにおける当社の原点に今一度立ち返り、「ザ・ パークハウス」ブランドの供給・サービスの提供を通じて、引き続き、魅力的なまちづくりに貢献していきたい。
また、国内分譲住宅事業のみならず、賃貸マンションブランド「ザ・パークハビオ」の開発、リノベーション事業、タイでの住宅事業が10,000戸を突破した海外事業、 再開発事業や建替え事業など、フルラインナップで積極的に事業展開を進めていく。
グループ競争力一層高める 三菱地所社長 吉田淳一/年頭所感
昨年は、金融緩和が下支えとなり、民間企業設備投資と個人消費が対前年比で緩やかながら上向くなど、堅調な経済成長を辿った。日経平均株価についても年間を通じて上昇基調を維持し、10月には歴代最長の16営業日連続上昇を記録するなど、改めて景気回復を実感する1年であった。米国大統領選挙やBrexitなどによる世界経済への影響が懸念されていたが、結果的に比較的良好なトレンドで、2018年においても東京オリンピック需要も相まって引き続き堅調な経済成長が期待されている。
オフィス賃貸市場は、東京都心5区の空室率は約3%を維持しており、賃料も2016年から引き続き緩やかに上昇を続けるなど、堅調であった。今年も好調な企業業績や、生産性向上を目的とした事業所の拡張・移転ニーズを背景に、引き続き堅調に推移していくことが予想される。
分譲マンション市場は、交通利便性を基礎条件として、好環境・大規模・タワー・複合開発等の特徴を備えた物件は堅調に推移している。消費者の物件を選別する目が厳しくなっているなか、「立地の見極め」や「当社グループならではの企画力」がより重要になっていると感じている。
訪日外国人客の増加は今後も継続することが想定されるが、消費動向は「モノ消費」から「コト消費」へ移行しつつあり、選好が多様化している。当社グループの商業施設・ホテル事業は堅調に推移しているが、こうしたニーズをしっかりと掴み、高品質な商品・サービスを提供していきたい。
三菱地所は新年より新本社へ移転し、社内コミュニケーションを活性化させ一層イノベーティブな職場環境づくりを目指していく。さらに、新本社を通じ、当社自ら先端オフィスの在り方を考え・発信していくことで、他社にはない当社ならではの強みを発揮するだけでなく、社会のニーズや環境変化を先取りし、グループとしての競争力を一層高めてまいりたい。
今年のキーワードは〝謹厳実直〟 長谷工コーポレーション社長 辻範明/年頭所感
新年明けましておめでとうございます。
昨年を振り返ると、2012年12月から続いているとされる景気回復局面が高度経済成長期の「いざなぎ景気(1965年11月~1970年7月)」を超え、戦後2番目の長さとなりました。少子高齢化や人口減少に伴う国内市場の縮小などにより景気回復の実感が乏しいとの声もありますが、五輪関連工事なども含めて建設投資額は高水準で推移しており、長谷工グループにとっては良好な環境だったと思います。
マンション市況も、立地・商品・価格等の条件で売れ行きにばらつきがあるものの、新規供給戸数は概ね昨年並みとなっており、全体的に堅調だったと思います。その中でも、夫婦共働き世帯やシニア世代などのニーズをしっかり捉えたマンションについては、販売も順調だったと思います。
このような状況下、当社の連結経常利益は16/3期に673億円、17/3期に888億円、そして18/3期も950億円(予想)と3期連続の最高益を見込んでおります。単体の受注についても期初目標の4800億円達成のための材料も揃い、さらに受注の先行指標であるオプションも高水準で推移しております。これは、営業、技術が一体感をもって業務に取り組んでいるからこその結果だと思います。
今年のキーワードは“謹厳実直”とします。辞書には「きわめて慎み深く、まじめで正直なさま」と記載されておりますが、ここ数年の好業績は、謹厳実直に一人ひとりが真摯に業務に取り組み、積み上げてきた結果が形として現れたもので、皆さんを大変誇りに思います。また、昨年は誰もが知っているような大手企業の不祥事がたびたび報じられました。決して他人事ではなく、これらを他山の石とし、過信・慢心などによる安全・品質の問題やサービス低下がおこらないよう、謹厳実直に、最良の品質と最善のサービスを提供するための絶え間ない努力を怠らず、取引先・顧客・協力会社との信頼関係を構築していく必要があります。
昨年、長谷工グループは創業80周年を迎えましたが、次の節目の90周年、100周年と発展し続けるために、常々「大企業ではなく、大いなる中小企業を目指そう」と言っています。「経営方針・経営状態に関心をもち、その上で自分のやるべきことを考える」、「組織・会社の壁を越えて、グループ全体のために行動する」、こうしたことを全グループ社員が実践できれば創業100周年への道が拓けてくると考えています。大きく時代が変わり始めていることを実感しています。新しいことにも積極的に挑戦していきましょう。
最後に、忙しい状況が続いていますが、心身の健康管理に十分に留意し、皆が明るく元気な毎日を過ごせるよう、今年一年も頑張っていきましょう。
変化対応型の企業として着実に前進 野村不HD社長 沓掛英二/年頭所感
私は2018年の年頭に当たり、3点申し上げたいと思います。
第一には多くのエコノミストが予想するように好調な企業業績をベースに適温経済・適温マーケットが継続、堅調な経済・不動産市況が続くと考えられます。
世界経済では欧米の金融政策の正常化の進展、原油・金利・為替の安定が予想されます。それらを受けて日本経済は、結果として堅調な株価や資産効果、賃金上昇、デフレからの脱却の方向性が強まってくるものと思われます。
この環境認識のもと我々はしっかりと目標設定を行い、ビジネスに戦略的に向き合っていきたいと思います。
二番目は安定した自民党・安倍政権のもとで日本が構造転換に向かう機運が強まり、様々な法案、政策が決定され、進捗していくと考えられます。
IR法案をはじめ、2019年10月からの消費税のアップ、2019年5月からは、平成から新たな元号のもとで新しい時代が動き出します。そして、19年のラグビーワールドカップ、20年のオリンピック・パラリンピックへの期待値は更に高まるものと予想されます。また、長期的にポストオリンピックに関しての不安と議論の高まり、少子高齢化や課題大国と言われるような、様々な202X年問題が活発に議論されると想像されます。
私たちは、イベントはもとより、政策や制度変更のみならず、その背景や構造的な変化、それらが与える、経済やライフスタイルへのインパクトに、しっかり目を向け準備と対応、ビジネスへの落とし込みをしていく必要があります。
三番目はリスク認識です。
まず、大きなリスク要因の一つは、北朝鮮を中心とした地政学的リスクとトランプ政権の運営に象徴されます。また金融緩和のもとで、世界経済が同時に拡大し成長した昨年に比べ、アメリカ経済における金利上昇、欧州経済の堅調な回復は、いわゆる金融緩和の出口政策に関しての議論がより進む環境となり、FRB、欧州共に難しいかじ取りを強いられ、大きなリスクトリガーとなりえます。世界は日本の変化よりかなり速いスピードで動いていると自覚すべきです。
現時点でリスクに関して過剰に反応する必要は少ないものの我々はこうした時期こそ可能な限りグループの英知を結集し、国内外の不動産ビジネス上のリスクを見据えて、中長期でのビジネス戦略を構築し実践していくことが重要となります。
2018年、野村不動産グループは「社会の変化や将来を見据えた変化対応型の企業」である意識を更に強く持ち中長期経営計画フェーズ1の締め括りの本年、目標達成に向けて、着実にて前進したいと考えています。
多様化するニーズに応えて 三井ホーム社長 市川俊英/年頭所感
平成30年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年の国際経済は、地政学的リスクや中国・アジア新興国の経済の先行き、金融資本市場の変動等に対する警戒感は存在したものの、全体としては緩やかな回復基調となりました。
国内景気も好調な企業業績を背景に緩やかながら回復基調が継続し、株価についても、 概ね上昇傾向で推移しました。
このような状況下で個人消費も底堅く推移する一方、注文戸建て市場では未だ住宅に対する需要は力強さを欠いた状況に終始し、賃貸住宅市場においても、空家問題や将来への供給過剰懸念などによるマインド低下の影響が生じたことで、全般的に厳しい受注環境となりました。
このような事業環境の中、当社は強みであるオーダーメイドの家づくりを引続き推進し、ブランド力の向上に努めるとともに、優れた建物性能を訴求する事で、更なる競争力の強化を図りました。
本年は、当社の強みである「デザイン力」に更なる磨きをかけるとともに、高い耐震性や耐久性、高気密・高断熱などの優れた基本性能をより一層訴求し、お客様の多様なニーズに応えていくよう努めてまいります。
また、木の持つ様々な優れた特性から「木造建築」に対する評価は高まっており、住宅以外の医療・福祉・文教・商業施設等の木造大規模建築の拡大が進んでいます。更にはツーバイフォー工法における2時間耐火構造の大臣認定取得を経て、木造建築は新たなステージを迎えつつあります。新たな技術の研究や性能の進化を通じて、地球環境と人に優しい木造による大規模施設系事業の一層の拡大に努めてまいります。
環境変化へ盤石の備え 積水ハウス社長兼COO 阿部俊則/年頭所感
新年明けましておめでとうございます。
今後、数年を見通しますと、消費増税、東京五輪開催に向けたインバウンド需要の拡大等、国内経済、住宅産業を取り巻く事業環境は大きく変化するものと考えられます。そうした変化への備えを盤石のものにしてまいります。
近年、ESG経営に注目が集まっており、「環境経営」「社会性向上」「ガバナンス」が企 業価値を測る重要な材料になると考えております。
当社はネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「グリーンファースト ゼロ」の普及に取り組み、既に戸建住宅に占める割合は74%を超え、同時に省エネリノベーションにも注力しています。これらを通じて、温暖化防止だけでなく、ヒートショックなどの家庭内事故の予防や健康寿命の延伸にもつなげます。また、当社は2040年までに事業活動に使用する電力を100%再生エネルギーにすることを目指し、世界の主要企業が参画する国際イニチアチブ「RE100」に加盟しました。
当社の強みである「技術力」「顧客基盤」「施工力」の“中身”を改めて見直すと「働き方改革」と大きく関係しています。企業の成長は、それを支える人の成長なくして成り立たちません。お互いの成長、みんなの幸せのために「働き方改革」はあると考えています。労働時間や労働生産性という表面的な数字だけに目を奪われず、「わくわく ドキドキ 心躍る職場づくり」をテーマに掲げて、本年も強力に「働き方改革」を推進してまいります。
積水ハウスグループは、2017年3月、「BEYOND 2020に向けた“住”関連ビジネスの 基盤づくり」を基本方針に、2020 年を最終年度とする第4次中期経営計画を発表いたしました。「請負型」「ストック型」「開発型」そして新たに「国際事業」を加えた4つのビジネスモデルを軸とし、地球温暖化や高齢化などの社会課題に対応。また成長戦略の核としてインバウンドに対応するホテルの建設など、新たな事業領域の拡大にも、グループ一丸となり積極的に取り組んでまいります。構造改革やグループ連携強化により、各事業の収益 基盤が確立してきた結果、利益成長を4つのビジネスモデルでバランスよく支える体制が整い、第4 次中期経営計画初年度も過去最高の決算が視野に入ってきました。本年もさらなる成長へ向けて前進する所存です。
野村不動産 裁量労働制を廃止へ 労働基準監督署の勧告受け
野村不動産は2017年12月25日付で本社及び地方4事業場(関西支社、名古屋支店、仙台支店、福岡支店)を管轄する労働基準監督署から、一部職員に適用している企画業務型裁量労働制(裁量労働制)に関する是正勧告・指導を受けたことに伴い、12月26日、対象者の労務時間について精査のうえ適切に対応すると発表した。また、裁量労働制の廃止を決定しており、速やかに実施していくとした。
是正勧告・指導を受けたのは、同制度に基づく「みなし労働時間」が適用されない結果として、時間外労働に関する協定(36協定)を超えた時間外労働が発生し、当該時間外労働にかかる賃金を支払っていないと判断されたため。
◇ ◆ ◇
このニュースが12月27日付の朝日新聞朝刊トップで報じられびっくりした。朝日の特ダネかと思ったが、他紙も同様に扱ったようだ。実態がどのようなものであったかは報じられていないのでコメントのしようがない。
一つだけ言えることは、裁量労働制そのものは働き方改革を進めるうえで極めて有効な手段であるということだ。この制度とフレックス制、自宅勤務制などを組み合わせれば、労働時間そのものは大幅に縮小できるはずだ。「みなし労働時間」と認められなかった同社の業務がどのようなものだったのか気になる。
というのも、会社も労働者も労働時間とは何かを明確に把握していたのかどうか、さらにまた労働の質についても労使双方でどのような合意がなされていたのか、報道ではわからないからだ。働く側が「働かされている」「やらされている」というようなプレッシャーを感じるような労働はなくすべきだ。対企業であれ一般の顧客であれ、顧客のための労働が喜びに転化するような環境を整えるべきだ。同社の「プラウド」でいえば、営業マンが四苦八苦しなくても済む商品企画の優れたマンションを供給するということだ。
参考までに。われわれ記者のような仕事は「専門業務型裁量労働制」が採用されているケースが多い。記者にとって労働時間はあってないようなものだからだ。取材し記事を書くのが仕事ではあるが、移動のための時間、頭の中で構成を考える時間を労働時間に含めれば、おそらく記者という仕事は四六時中がそうだろう。
記者などは「残業」という概念がほとんどないが、仮に計れば1週間150時間というのはざらかもしれない。RBA野球の取材では炎天下で食事もとらず8時間くらい動きっぱなしで、帰ってから翌朝までぶっ続けで記事を書いたことがある。朝8時から翌朝の8時まで24時間働いたことになる。
しかし、これを「やらされている」と感じたことは一度もないし、そもそも会社がそのような指示・命令を出すはずがない。もちろん、この「労働」に対して残業の申請(概念がないのだから申請のしようもないのだが)などしたことがない。
それでは、全く休憩を取らないのかといえばそんなことはない。普通の会社員以上にしっかり休憩を取っている。例えば喫煙タイム。記者は記事が一段落すると必ずタバコを吸う。1時間に1回くらいの割合だ。仮に1回につき10分とすると、8時間に80分。労基法で定められている1時間はしっかり休息をとっていることになる。
喫煙は歌唱や水泳の「ブレス」(息接ぎ)と一緒だ。世の中全体が喫煙者を締め出す挙に出ているが、これは〝百害あって一利なし〟と言っておく。喫煙は文化だ。