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2019/12/26(木) 14:41

記者が選んだ 2019年「話題のマンション」 28物件(1~10)

投稿者:  牧田司

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 記者が選んだ今年(2019年)の「話題のマンション」28物件を紹介する。例年は30物件以上紹介しているが、「ベスト3マンション」の記事でも書いたように、今年見学した物件は72物件で、前年の86物件より10物件以上も減少したことも考慮し、この数字にした。選定は記者の独断と偏見によるものだが、誰かさんのように相手によって記事内容を変えるような器用なことはできないし、極力公平に務め、大手中小の別なく選んだつもりだ。記事は直近のものから紹介し、随時更新します。

ポラス中央住宅「ルピアコート稲毛」74戸

来場者「ここのモデルが一番いい」

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「ルピアコート稲毛」ホームページから

トータルで約3,000戸 大激戦の総武・京葉線 ポラス「稲毛」 第一期が即日完売(2019/12/13)

 〝全74戸のうちの第1期9戸が即日完売したくらいで話題のマンションとは馬鹿にするのも程がある〟-などと叱声、罵声を浴びせられそうだが、記者は大まじめにこのマンションの健闘を褒めたい。ポラス中央住宅が12月上旬に分譲開始した「ルピアコート稲毛」74戸だ。

 詳細は別掲の記事を読んで頂きたい。ご存じのように総武・京葉線沿線の「稲毛」エリアではトータルで約3,000戸ものマンションが分譲中か今後分譲されることが確定している。〝駅近〟マンションでは竣工してなおかつ2割くらい売れ残っている物件がある。

 そんな大激戦地で、戸建てならいざ知らず、マンションではほとんど無名に近いポラス中央住宅が、価格は安いとはいえ稲毛駅から徒歩15分もある、しかも土砂災害特別警戒区域に指定されている致命傷になりかねない海食崖の崖下という三重苦マンションを分譲した。

 それでも、来場者は一様に「ここのマンションのモデルルームが一番いい」と評価したという。素顔が見えなくなるほどの厚化粧(オプション)を施したからではない。模型などは他社と比べてもっとも貧相かもしれない。

 何が評価されたか。少なくとも百万円はするキッチン収納とダイニングテーブル付きの「ピアキッチン」タイプを約7割に採用し、他社が70㎡の3LDKなのに対して7割以上を73・75・83㎡にしたのが支持されたのだ。

 この物件だけでは掉尾を飾るには物足りないかもしれないが、2018年6月から分譲開始され、2018年「ベスト3マンション」にも選んだ同社「ルピアグランデ浦和美園」340戸は残り20戸という。2020年1月の竣工までに売る気のようだ。これは奇跡だ。

 ――とまあ勢いに任せて「話題のマンション28」について書き始めたのだが、ここまで約1,000字。このペースで進めれば400字原稿用紙にして約70枚。これでは誰も読んでくれない。なので、以下は最小限にとどめたい。

小田急不動産他「リーフィアレジデンス橋本」425戸

坪単価150万円 これ以上安いマンションはない

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「エガオガオカ プロジェクト(リーフィアレジデンス橋本)」

小田急不他「橋本」 坪単価は150万円か 敷地の3分の1が里山 自然派の心捉えるか(2019/10/7)

 小田急不動産(事業比率50%)・積水ハウス(同40%)・神鋼不動産(同10%)の3社JV「エガオガオカ プロジェクト(リーフィアレジデンス橋本)」の第1期55戸が即日完売した。

 全体で425戸もあり、京王相模原線橋本駅から徒歩19分(バス3分、徒歩3分)の立地なので前途は容易ではないが、引き続き第1期2次45戸を追加供給し、第2期15戸を2020年初に分譲するというからまずまずの船出だ。

 特筆できるのは価格の安さだ。記者は取材した10月の段階で坪単価は150万円かと書いたが、それほど狂いはないはずだ。

 いま首都圏で分譲中、あるいは直近に分譲されるマンションの中でこれほど安い物件は皆無のはずだ。敷地はもともと小田急電鉄が所有していたからできたことだ。〝安かろう悪かろう〟では決してないと断言できる。

 敷地の3分の1は里山。これをどう活用するか。大化けがあるかもしれない。

 記者は京王ファンだが、エリアの活性に小田急が貢献してくれるのに拍手喝采。同じ開発地にある戸建てもいい。

三井不動産レジデンシャル「パークホームズ駒沢二丁目」53戸

アール状の外観 流行る予感

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「パークホームズ駒沢二丁目」

星野裕明氏がデザイン 柔らかな曲線が美しい外観 三井レジ「駒沢二丁目」(2019/12/5)

 今秋行われた三井不動産グループの記者懇親会で三井不動産レジデンシャル・藤林清隆社長から「皆さん、話題のマンションだけでなくしっかり造りこみをした『パークホームズ』を見ていただきたい」と言われた。

 このマンションを取材したのは、その商品企画の確かさを確認するのと、外観デザインに惚れたからだ。

 記者は、同社が3年前に分譲したアール状の外観が特徴の「パークコート青山ザ タワー」を始め、2018年には「東京ミッドタウン日比谷」と、オーバル状の野村不動産「プラウドシティ東雲キャナルマークス」に感動し、今年は大和ハウス工業「プレミスト東銀座築地」を取材した。これは流行するかもしれない。

 「パークホームズ」の商品企画はもう10数年前に一変したのを確認している。「駒沢二丁目」も変わっていない。第1期の売れ行きは把握していないが、アール状のバルコニー付きの価格が1億円を超える北向き住戸は間違いなく売れたはずだ。

日鉄興和不動産「リビオレゾン月島・勝どき」7996

〝世界一〟目指す〝鉄〟の会社 熱くて堅い決意みなぎる

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「リビオレゾン勝どき」モデルルームambientum(アンビエンタム)

〝バラバラでアンバランス〟 ミレニアル世代に受けるか 日鉄興和不「勝どき」(2019/11/28)

高くて狭いコンパクトに飽き足りない需要 取り込む戦略か 日鉄興和「月島」(2019/11/27)

テーマは「モロッコブルー」「西日暮里」に旅好き女子のインテリア 日鉄興和不(2019/10/22

 いま各社が血眼になっているコンパクトマンションの最多供給会社は、データがないので確認のしようがないのだが、ひょっとしたら日鉄興和不動産かもしれない。同社はもう十数年前からコンスタントに供給している。

 へそ曲がりの記者は、ただただ利回り優先のこの種の〝全員参加型〟のコンパクトに飽き飽きしているのだが、「リビオレゾン西日暮里」を取材して、同社の見方を変えた。とても〝総合力世界No.1の鉄鋼メーカーへ〟をスローガンに掲げる〝鉄(記者は「鐵」のほうが好きだが)〟の会社の子会社とは思えない、いや、だからかもしれない大胆なモデルルームに圧倒されたからだ。

 「勝どき」と「月島」のモデルルームを同じ事務所に設置し、それぞれ異なる需要層を独り占めしようという強かな販売戦略に、鉄のように熱くて堅い本気に気圧された。既存のデベロッパーを凌ぐのは同社のような異業種だと思う。ちょっと差があるが…。

東京建物「Brillia上野Garden」98戸

〝獅子奮迅〟勢い止まらぬ業績象徴

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「Brillia上野Garden」

大激戦の「築地」尻目に空白区で圧勝か 東京建物「Brillia上野Garden」(2019/11/11)

 記者はかつて東京建物を〝眠れる獅子〟と揶揄したことがある。わが国最古の歴史を誇るのに他の大手デベロッパーに大きく水をあけられていた頃だ。

 ところが、どうだ。ここ数年の同社のマンション事業は絶好調。まさに獅子奮迅の大活躍だ。記者が選んだ「ベスト3マンション」も、2012年の「多摩ニュータウン」から「池袋」(2013年)「目黒」(2015年)「「大山」(2017年)「一番町」(2018年)までこの8年間で5物件を数え、今年の「晴海」を含めれば6物件となり、三井不動産レジデンシャルとほぼ肩を並べている。

 2019年12月期第3四半期決算段階で計上戸数は1,053戸となり、期初予想の1,000戸を上回り、完成在庫はわずか83戸(うち17戸は契約済み)しかない。計上予定戸数は三井不動産の約3分の1だが、利益率は上回っているかもしれない。

 そんな好業績を象徴するのがこの「Brillia上野Garden」だ。第1期1次の販売戸数は全77戸のうち5割強の40戸だった。坪単価も上野駅圏最高値となる430万円を突破したようだ。

 RBA野球大会でも惜しくも東京ドームを逃したが、〝頑張れベアーズ〟は雲散霧消した。

ナイス「ノブレス新横浜エスアリーナ」83戸

愚直に貫く〝免震〟に高い評価

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「ノブレス新横浜エスアリーナ」

ナイス 免震「新横浜」 好調スタート 第一期35戸完売へ(2019/10/31)

 10月末に分譲開始した第1期35戸と追加販売した10戸に申し込みが入った。2カ月足らずで半分以上が売れたので、極めて好調なスタートを切った。

 取材したときは、有価証券報告書虚偽記載で前会長、前副会長ら3名が逮捕(うち一人は不起訴)されたあとだったので、お客さんへの影響を心配したが、そのようなことはなく、〝免震〟と立地条件が高く評価された。

 現地は、以前はラブホテルなどが林立していたエリアだが、マンション化が進んでおり、周辺にはそのような施設は1カ所くらいしかなかった。

大成有楽不動産「グランツオーベル中野」62戸

第1期34戸完売 モデルの出来出色

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「グランツオーベル中野」

希少立地で人気呼ぶか 大成有楽不動産「中野」駅圏最高値での販売なるか(2019/10/5)

 全住戸の半数以上の第1期34戸が完売するなど、予想通りの好発進。

 見学する前は、駅北口から徒歩5分と近いので、飲食店など雑居ビルばかりではないかと思ったら、そうではなかった。まずまずの住宅・中層ビル街だ。

 敷地形状を巧みに利用したランドスケープもよかったし、コスモスモアが担当したモデルルームのインテリアデザインは出色の出来だった。予定坪単価は465万円だったが、実際は456万円となった。

 それにしても同社の商品企画はどんどんよくなっている印象を受ける。暮れに分譲することになっていた「築地」を他社に売却した。どこが買ったか分からないが、価格を上げる可能性が出てきた。全体的なレベルは競合物件に全然引けを取らない。カギを握る旭化成不動産レジデンスも坪500万円台に乗せる可能性が高いと見た。

大京「ライオンズ川口並木グランゲート」120戸

信じられない安さ 坪単価214万円!

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「ライオンズ川口並木グランゲート」

坪単価214万円 信じられない安さ 大京 西川口駅から徒歩5分「川口並木」好調(2019/8/27)

 7月に同社の好調マンション「ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス」88戸を取材したとき、担当者から「西川口がよく売れている」と聞き、この「ライオンズ川口並木グランゲート」を取材した。

 「西川口」は、ソープランドなど風俗系の店舗が〝排除〟され、そのあとに中国系の店がたくさん建っていると聞いていたので、果たして売れるのかと疑心暗鬼だったが、単価が214万円と知り、あまりにもの安さにびっくりした。少し前に取材したタカラレーベン「上尾」は坪190万円だった。

 現地の「川口並木」エリアにいかがわしい店は全くなかった。住めば都。

伊藤忠都市開発・東建「クレヴィア上野池之端」62戸

「凄くいい」来場者が感嘆

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「クレヴィア上野池之端」

「凄くいい」来場者が感嘆 モデルルームの出来出色 好調の伊藤忠都市「上野池之端」(2019/8/11)

文京区の駅近 「小石川後楽園」&「本郷春日」 好調スタート 伊藤忠都市開発(2019/5/7)

高単価エリアだからこそ生きる「HITO-TUBO(ヒトツボ)」 伊藤忠都市開発「池袋」(2018/12/5)

 伊藤忠都市開発はいい会社だ。分譲するほとんどの物件のニュース・リリースを発信し、しかも各物件に新しい取り組みを盛り込む。だから、記者もほとんどの物件を見学することにしている。広報担当者もすぐ対応してくれる。

 今年は6物件くらい見学したか。販売担当は伊藤忠ハウジングのRBA野球大会に出場している選手も多いので楽しい。

 商品企画でよかったのは「クレヴィア池袋West」「クレヴィア池袋East」池袋」に採用した「HITO-TUBO(ヒトツボ)」だ。物件としては「クレヴィア小石川後楽園」もよかったが、「クレヴィア上野池之端」のモデルルーム提案が素晴らしかったのでこちらを選んだ。双方とも売れ行きは好調。

住友不動産「シティタワー銀座東」492戸(うちSOHO88室)

〝業界のイチロー〟目指す

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「シティタワー銀座東」

〝業界のイチロー〟目指すのか 絶好調の住友不 マンション「銀座東」竣工(2019/5/23

 唯我独尊、独立独歩。わが道を行くのが住友不動産だ。今年5月、同社は「シティタワー銀座東」492戸(うちSOHO88室)の竣工見学会を行った。この段階で契約住戸は約6割で、SOHOは約3割。他社なら真っ青になるのに同社は全然動じない。

 そこで西武ファンの記者は、同社が中期計画で分譲事業は「量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく」「競争激化の用地取得環境が続く中、『好球必打』で着実に確保する方針は継続する」と打ち出したので、「好球必打」とはどう意味か、それぞれロッテ、阪神ファンの同社広報担当者に次のように質問した。

 「西武の山川は本塁打をよく打つが、三振も多い。秋山も打率はせいぜい35分。いったい誰に例えればいいか」

 返ってきた答えが面白い。「イチローさんは自分が好きなコースはボールでもヒットにする。それと同じ。うちが『好球』と判断した土地を『必打』するということ。三振? ありだと思います」

 どうだ、皆さん。同社は業界のイチロー氏を目指すというのだ。

 

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