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「プラウド山王」完成予想図

 野村不動産が1月下旬にも分譲を開始する「プラウド山王」を見学した。住居表示は「大田区山王3丁目」で、南傾斜の高台立地。1982年以降、山王高台エリアでは過去4番目の規模であることからも人気を呼びそうだ。

 物件は、京浜東北線大森駅から徒歩7分、大田区山王3丁目に位置する地下1階地上7階建て全63戸。専有面積は64.40~107.48㎡、価格は未定。竣工予定は平成28年2月中旬。施工は大末建設。

 現地は駐車場と住宅跡地。同社は一昨年夏に取得した。

 デザイン監修は南條洋雄氏。外構は「邸宅を取り囲む御屋敷の緑」の再生がテーマになっており、南傾斜の立地を生かし住戸プランは角住戸やルーフバルコニー付きを数多く配しているのが特徴。

 設備仕様レベルが高いのも特徴の一つで、共用部、専有部に自然石を多用。建具・ドア面材は鎌倉彫調仕上げ。

 1月10からモデルルームをオープンしており、既に来場総数150組超の来場があり、問い合わせ件数は約2,000件に達しているという。

◇       ◆     ◇

 坪単価について。実はこの「山王」を見学する前にもう一つ別のマンションを見学した。もちろん単価や来場者の反響なども担当者から聞いた。

 ところが、「現段階で坪単価を公表することは控えていただきたい」と要請された。

 業界紙の役割は業界とその顧客との橋渡しだ。記者は、「価格が未定」の記事では何の価値もないと思っている。価格が未定のダイコン、レタスを誰も買わないのと一緒だ。これまで単価(予想をむくめて)を書かないマンション記事などほとんど書いてこなかった。リリースを引き写す記事は記事ではない。単なるリライターにすぎない。

 ただ、営業マンの苦しい胸のうちも理解できた。価格がどんどん上昇し、これまでの相場とかけ離れた価格になっている。新価格、新々価格をユーザーに説得するのは大変なことだろうと思う。単価が独り歩きするのを恐れているのだ。

 そこで、記者も妥協することにした。価格を公表してもいい段階まで書かないことにした。よって、このマンションの記事は2月末になりそうだ。

 今回の「山王」も同様。マンションギャラリーの所長からかなり詳細な話を聞いた。坪単価については、記者は納得できる価格だったがやはりユーザーにその価値を認めてもらうにはしっかり説明しなければならないと話していた。

 なので、このマンションについても現段階では単価は書かない。人気になるはずだから、その段階で紹介する。

カテゴリ: 2015年度

 野村不動産アーバンネットは1月15日、2015年1月1日時点の首都圏「住宅地価格動向」「中古マンション価格動向」調査結果をまとめ発表。2014年10~12月期の「住宅地価格」・「中古マンション価格」ともに平均変動率は7四半期連続でプラスとなり、上昇幅は7四半期中で最大となった。

 住宅地価格の価格変動率はエリア平均で0.9%(前回0.4%)となり、エリア別では千葉県を除いてプラスとなった。152調査地点のうち35.5%(前回25.5%)が「{値上がり}した。

 中古マンションの価格変動率はエリア平均で0.5%(前回0.3%)となり、全エリアでプラスとなった。218調査地点のうち33.5%(前回21.7%)が「値上がり」した。

カテゴリ: 2015年度

 首都圏の分譲マンション単価がどんどん上昇している。不動産経済研究所の調査によると、2014年11月の1戸当り価格は5,224万円、1㎡当り単価は73.7万円(坪243万円)となり、2011年比で1戸当り価格は34.0%、1㎡当たり単価は35.7%それぞれ上昇している。

 同研究所の調査は、供給時点での調査であるから遅行指標だ。では、この先々単価はどうなるのか。業界内ではまだまだ単価は上昇するとみられているが、先行指標でもある国土交通省の住宅着工統計の工事予定額の推移を見た。

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 建築基準法15条第1項は、建築主が建築物を建築しようとする場合、建築場所、工事の予定期間、建築物の用途、建築物の使途、構造、床面積の合計、工事費予定額などを都道府県知事に届け出なければならないと定めており、数字は毎月、国土交通省の住宅着工統計で発表されている。別表は、統計数字のうち、鉄筋コンクリート造(RC)の分譲住宅(マンション)の工事予定額の推移を全国と東京都でみたものだ。マンションには鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)もあるが、今回は除外した。

 工事予定額とは、建物の建築に要する金額のことで、既存建物の除却費、造成費などは含まれず、あくまでも建築主が届け出た金額である。

 したがって、この工事予定額はおおよその目安を示すもので、実際の建築費とは乖離がある。しかし、どれくらいの乖離があるかはゼネコンもデベロッパーも建築原価を公表しないので分からない。当然のことながら、分譲価格には建築費と土地代、デベロッパーの販管費、利益などが上乗せされる。それが分譲坪単価だ。

 とはいえ、件数が多い大都市圏などの工事予定額の推移を見れば先々分譲単価がどうなるかが読める。マンションの分譲が許可されるのは、建基法の建築確認の許可が下りてからだが、一般的には工事着手してから数か月以降と考えてよい。ここ数カ月の工事予定額は間違いなく今後分譲されるマンションの分譲単価に反映される。先行指標として参考になるはずだ。(分譲価格は市場が決めるものであるため、必ずしも原価がそのままオンされるわけでもないが)

 前置きが長くなった。さて、その工事予定額の推移。それほどマンション単価の上昇が顕著でなかった2011年、2012年あたりの1㎡当たり単価は全国平均で18万円(坪59.4万円)、東京都は21万円(坪69.3万円)だった。

 2013年になると全国で19万円(坪62.7万円)、東京都で23万円(坪75.9万円)に上昇。はっきりと上昇傾向が見て取れる。業界内で「工事費が高くなってきた」という声が聞かれたころだ。

 そして翌年の2014年になると、デベロッパーが「工事を発注しようにも高くて発注できない」と悲鳴を上げた。いつもデベロッパーに叩かれてきたゼネコンはうっ憤を晴らすかのように、利益率の高い震災復興や公共事業、ビッグプロジェクトにシフトしたからだ。

 2014年4月以降の表をみれば、デベロッパーの悲鳴が裏付けられる。毎月のように金額が上昇しており、東京都は4月に27万円(89.1万円)を記録。その後は若干下がってはいるが、2011年、2012年比で2~3割上昇している。冒頭に紹介した不動産経済研究所の上昇率のほうが高いのは、売れ行き好調を背景にしたデベロッパーの強気な値付け設定にあると見た。

 注目したいのが、11月の東京都の1戸当たり工事予定額だ。1,377万円÷25万円­­­=55.1㎡、つまり1戸当たり平均の広さは1LDKか2LDKくらいの広さしかないということだ。これはたまたまコンパクトマンションが多かったための要因なのか、それとも〝いつか来た道〟だ。昭和50年代の〝60㎡の3LDK〟に逆戻りするのか。注視する必要がある。

 問題はまだある。この先どうなるかだ。10年間で200兆円とも言われる国土強靱化基本計画、リニアにオリンピックetc.…、ゼネコンが仕事に困ることはまず考えられない。分譲マンションにも単価上げ圧力がかかるのは間違いない。

 しかし、消費者の取得能力にも限界がある。富裕層やアッパーミドル向けはまだ余力があるかもしれないが、第一次取得層はもはや限界を超えている。専有面積圧縮も打開策にならない。都内の分譲単価は軒並み坪200万円以上になる。20坪で4,000万円以上だ。神奈川県、埼玉県、千葉県の遠隔地でも坪150万円以下はあり得ないのではないか。

 20坪で3,000万円以下のマンションが姿を消すのは何とも情けない。もう国にすがるしかない。とはいえ国も病んでいる。国家予算95.9兆円のうち歳出は社会保障費が31.5兆円、国債費が23.5兆円だ。双方で5割を突破する。

 この矛盾を一挙に解決するにはハイパーインフレしかないように思えるのだが、みなさんはどう考えるか。バブルに浮かれた経験がある記者は、二度とあの狂乱とその後の悪夢を見たくない。せめてもの救いはただ同然のローン金利くらいか。

カテゴリ: 2015年度

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マンション管理協の新年賀詞交歓会(帝国ホテルで)

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山根理事長

 マンション管理業協会(管理協)は1月14日、恒例の2015年新年賀詞交歓会を開き、マンション居住者の防災意識を高め、公共性が高いマンション共用部に対する抜本的な税制の見直しを要求し、マンション管理のプレゼンスを劇的にあげるために活動することを誓いあった。関係者ら約500人が集まった。

 冒頭、挨拶に立った山根弘美理事長(ダイワサービス会長)は、①節目の年②消費税対応③「マンションのWa」の三点について話した。

 節目の年については、今年は戦後70年、第一次マンションブームからは50年、阪神・淡路大震災からは20年の節目の年であるとし、「マンションは耐震性に優れ、災害時に多くの国民の命を守る、都市のシェルターでもある。そのマンションに暮らす住民の防災意識を高め、防災計画の策定、訓練の活性化、そしてハートの継承」が必要とし、「それを後押しする仕組み、制度、人材育成が必要」と語った。

 消費税対応については、消費税が10%に引き上げられたら、修繕積立金会計など管理組合収支が深刻な事態になるとし、「マンション共用部は歳運営の効率、インフラ効率の切り札であり、公共性の高いマンション共用部の維持管理に対する抜本的な税制見直しが必要」と、税率の軽減措置を求めた。

 「マンションのWa」では、「マンションストック600万戸、その9割以上の方々とわれわれは繋がっている。われわれは主人公の管理組合の方々と防災、防犯、建物の長寿命化、入居者の高齢化、環境エネルギー対策などの課題に果敢に取り組んでいるが、その輪を一層広げるために取り組んでいこう」と呼びかけた。

 来賓として招かれた太田昭宏国交相は、「地方創生の核心はコンパクト+ネットワークの構築であり、これに果たすマンションの役割は極めて大きい。建物の老朽化と入居者の高齢化という二つの課題に対処し、資産価値を高め、安全性を高めていくことが求められている。昨年はマンション円滑化法が改正されたが、今年は法改正による取り組みが本格始動する年になる」と挨拶した。

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太田国交相

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 山根理事長のあいさつはご自身がマンションの管理員を務めていただけに具体的で面白いが、今日はとくに力が入っていた。

 記者が注目したのは、マンションの共用部に対する税の軽減措置を訴えたことだ。

 山根氏は、一戸建ての開発道路(街路)などはほとんどが自治体管理となっており、当然ながら固定資産税や都市計画税の住民負担はなく、街路灯や樹木管理なども自治体負担であるのに対し、近隣住民が利用するマンションなどの舗道、公園は組合負担となっていることに疑問を投げかけた。

 これは説得力がある。例えば街路樹。自治体が管理する高木の街路樹は年間1本で約1万円の経費が掛かっているはずだ。マンション敷地内にある一般の人が通れる舗道にある樹木は補助があって当然だ。来賓としてあいさつした区分所有法・マンション管理のプロ、井上義久・公明党幹事長も「考え直す時」と、税の軽減について触れた。

 「マンションのWa」の「Wa」は、「輪」でもあり「和」でもあるのだろうが、これも今後の大きなテーマになるはずだ。山根氏は「事実は小説よりも奇なり! 泣き笑いのドラマが満載。これを世の中に紹介し、表彰し、できればドラマ化していきたい。今年はマンション管理のプレゼンスを劇的に上げる」と力を込めた。以下、会場内で拾った声を紹介する。( )内は記者。(順不同)

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黒住氏

 黒住昌昭・前マンション管理協理事長(現URコミュニティ社長) (手? どうされたんですか)現場主義ですよ。年末に名古屋の営業所を訪問したとき、転んじゃった。受身の技は心得ているつもりだったが、骨折しちゃった(黒住氏は寝業師。立ち技に弱いということか)

 関敏昭・副理事長(野村不動産パートナーズ社長) (マンションコミュニティの見える化を図り、中古市場で正当に評価されるシステムの構築はどうですか)先生方はいろいろ言われるが簡単ではない。オハナ(野村不動産のブランド)のような郊外型ではいいかもしれないが、都心の物件では無理(オハナは建築費の上昇で供給できなくなるのでは)僕に聞かれても答えられないよ

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川崎氏(左)と中村氏

 中村元宣・副理事長(東急コミュニティー会長) 情報発信を積極的に行なっていく(乾杯の音頭で)コミュニティの見える化? 具体的にはなっていないが、身内では議論が出ている(マンションコミュニティの見える化は今後も取材していきたい)

 川崎達之氏(平成3年5月から19年6月までマンション管理協理事長) 理事長を辞めてから7年になるが、様変わりしたねぇ。今? なにもやってないよ。歳? 今年4月で84歳だよ。俳句? 時々やるよ。ここで一句? 即興ではできなくなっちゃった(俳句の達人)

 小佐野台・副理事長(日本ハウズイング社長) コミュニティの見える化? 関さん(野村不動産パートナーズ)がよく仰ることで、われわれはその取り組みに積極的でなかったかもしれない。反省も必要

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山根氏らと談笑する菅義偉・自民党幹事長 

カテゴリ: 2015年度

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「パークタワー晴海」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルは1月9日、今秋に分譲開始する「パークタワー晴海」(1,084戸)の情報発信について、LINEが提供するマーケティングサービス「LINE ビジネスコネクト」を採用すると発表した。

 分譲マンションを対象とした「LINE ビジネスコネクト」を活用するのは今回が初めて。多くの企業が活用している情報発信がメインの「LINE 公式アカウント」ではなく、対話型コミュニケーションを主軸にしたもので、ユーザーは、LINE およびWEBサイト上で情報検索・閲覧から各種質問・お問い合わせまで、即座に完結できるようになるのが特徴。

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 そもそも「LINE」が何なのかさっぱり分からないのでコメントのしようもないが、意図はよく理解できる。1人ひとりの顧客対応を徹底しようということだろう。

 いよいよ同社が「晴海」を分譲する。いったいいくらになるのか。坪300万円を突破するのは間違いないが、記者は高値追求しないと見る。320万円でどうだろう。

 対岸の「ららぽーと豊洲」まで水上バスを運行すれば豊洲駅まで10分くらいでないか。いっそのこと日本橋まで遡上すれば30分で着くのではないか。かつて水上バスは公共の用以外は許可されなかったが、最近は随分緩和されたという。晴海から船に乗って都心へ通勤というのも優雅でいい。時化のとき以外は遅延もないはずだ。

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ラインアカウントに友だち登録するとクジラのスタンプがもらえるという(記者は今日、広告に絵文字を使ったらどうかという提案を行った。これも同じようなものではないのか。マンションもイメージで売る時代だ。この漫画を利用すれば、価格発表、登録開始、完売、キャンセル発生、モデルルーム販売、竣工など様々な場面で的確なメッセージが伝えられる)

 

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「ザ・プレミアスカイ品川中延」完成予想図

 三菱地所レジデンス(事業比率90%)と総合地所(同10%)の「ザ・プレミアスカイ品川中延」を見学した。ガスや電力を効率的に利用することでCO2の排出量を大幅に削減でき、環境にも優しいマンション用の「エネファーム」を搭載した物件で、リビング天井高を約3m(一部)確保するなど見どころの多いマンションだ。

 物件は、都営浅草線中延駅から徒歩5分、または東急大井町線中延駅から徒歩7分、品川区西大井6丁目に位置する15階建て全100戸の規模。専有面積は54.01~76.61㎡、価格は未定。竣工予定は2015年9月上旬。施工は長谷工コーポレーション。3月から分譲する予定。

 特徴の一つはマンション向け家庭用燃料電池「エネファーム」が搭載されていることだ。一昨年、東京ガスとパナソニックが〝世界初〟として発表した際、東急不動産と総合地所が採用するとされていた。

 その後、相次いで他のデベロッパーが採用したことから採用物件は9件に上り、世界初でも日本初でもなくなったが、エネルギーロスが少なく環境に優しい最新のシステムであるということに変わりはない。1600(幅)×959(奥行き)×高2200(高さ)とややスペースをとるが、メーターボックスに収まっているのであまり目立たないし、玄関周りをタイル仕上げにしており、違和感もない。

 それよりほかにこのマンションの見どころはある。12階以上ではあるが、リビング天井高が約3m確保されているのが特徴の一つだ。キッチン部分も約2400ミリある。他のフロアのリビング天井高は約2500~2800ミリ。

 敷地はチサンホテルの跡地。敷地内にケヤキの既存樹を残し、エントランス周りは天然石を配し、ラウンジにはフローリングを使用。住戸は東向き。インテリアデザインは「The SAZABY LEAGUE」が担当。直床でディスポーザも食洗機もついていないが、バックカウンターは標準で、水栓などはジーマテック。敷地西側に第2京浜が走っていることから、窓は2重サッシを採用。

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 肝心の価格は未定だが、三菱地所レジデンスが昨年末に発売し即日完売した「ザ・パークハウス品川荏原町」(47戸)は坪326万円だった。これよりは安くなるはずだ。都内城南のマンションはこれから軒並み坪300万円を突破する。

 事業比率が三菱地所レジデンスが90%で、総合地所が10%なのには驚いたが、双方の利害が一致したということだろう。商品企画は総合地所だが、モデルルームのインテリアなどは三菱地所レジデンスだ。

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エントランス(完成予想図)

カテゴリ: 2015年度

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「シティテラス草加松原」完成予想図

 住友不動産は1月10日、総開発面積54ha、約6,000世帯の埼玉県草加市の「草加松原団地」再生事業の一環として開発を進めている分譲マンション「シティテラス草加松原」(538戸)のマンションギャラリーをオープンした。

 物件は、東武伊勢崎線松原団地駅から徒歩6 分、草加市松原二丁目に位置する11階建て「シーズン」259戸と「ガーデンズ」279戸の合計538戸。専有面積は70.17~87.79㎡、価格は未定だが、坪単価は170万円台の後半から180万円になる模様。竣工予定は「シーズンズ」が平成27年10月、「ガーデンズ」が平成28年4月。設計・施工は三井住友建設。

 「草加松原団地」は、高度成長期に東京のベッドタウンとして日本都市公団(現在、UR 都市機構)が開発し、昭和39 年に完成した当時は総戸数5,926 戸、324 棟が建ち並び“東洋一”と謳われたマンモス団地。建物の老朽化などにより、平成15年、UR都市機構が団地の建て替えに着手。

 全体がA、B、C、Dの4街区にゾーン区分され、駅に近いA街区から順次整備が進められている。全体で従前と同じ約6,000戸が賃貸と民間による分譲マンションになる予定。A街区は約1,500戸の賃貸と分譲が整備済み。今後、B街区約1,500戸(住友不動産のマンション以外は賃貸の予定)、C・D街区はそれぞれ約1,500戸が建設避ける模様だが、詳細は未定。一部戸建ても検討されている。あわせて草加市による道路や公園、公益施設の整備なども進められている。

 建物はコの字型に配置。住宅専有部は南向き75㎡(3LDK)が中心で、キッチンには生ゴミディスポーザー、浴室ミストサウナ、リビング床暖房など。

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 このマンションについては、先に書いた記事を参照していただきたい。分譲単価170万円台の後半から180万円は建築費がどんどん上昇していることを考慮すると予想通りではあるが、これまで松原団地駅圏で分譲されたマンションより単価は3~4割上昇。東武伊勢崎線沿線の埼玉県前駅圏と比べても最高値圏にある。専有面積は最低でも70㎡であることから多様なニーズに応えられそうになく、「高い」という印象はぬぐえない。これほどの戸数でプランが5つくらいしかないのも最近では珍しい。ユーザーがどのような反応を見せるか。

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「シーズンパークアベニュー」完成予想図

約6000戸の松原団地 建て替え本格化 戸数(面積)制限はなぜ(2015/1/12)

カテゴリ: 2015年度

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「シティテラス草加松原」完成予想図

 住友不動産が東武スカイライン松原団地駅で約6,000戸の「松原団地」建て替え事業の一環として538戸のマンション「シティテラス草加松原」を分譲する。この記事を書く前に、分譲に際してURと草加市が協議してつけた要件について触れたい。建築費の上昇と厳しい面積要件によってサラリーマンのマンション取得は絶望的になってきた。

◇             ◆    ◇

 昭和30年代に建設された約40,000戸のUR賃貸の建て替えが決定されたのは昭和60年代の初めだった。松原団地も昭和39年に完成した総開発面積約54ha、全5,926戸の建て替え対象団地で、計画の概要がまとまったのは平成15年。この間、URと地元の草加市はなにをやってきたのだろう。

 「松原団地」という誰も知らないようなマイナーなイメージが、信じられないような時間的ロスを生んだのか。記者はマンションの取材などで「松原団地駅」には数回訪れているが、業界関係者も含めどこにあるかを知っている人は圧倒的少数だろう。獨協大学があることで知られている駅だが、駅名を「獨協大学」に変えて欲しいという地元住民の要求はあるようだが、具体的にはなっていないはずだ。スカイツリーラインの愛称をつけた時点で駅名を変えていたらまた違った展開になっていたのではないか。

 この問題はともかく本題に入る。すでにA街区の約1,500戸の分譲・賃貸はほぼ事業完了しており、これからB・C・D街区の開発が始まる。住友不動産が分譲するマンションはB街区に該当し、B街区のほかは全てURの賃貸になる模様だ。残りのC・D街区は未定で、戸建ても含め約3.000が建設される。

 建て替え事業が始まって10年間で約1,500戸だ。全て建て替えられるまで何年かかるか分からないが、これまでの事業スピードからして30年かかるのだろうか。これから少子高齢化が加速度的に進むことを考えれば、様々な問題を抱えているといえる。

 第一に指摘したいのが、今回、住友不動産にマンション用地を売却する際の条件だ。敷地面積約2haに対して、草加市とURが課した条件は1戸につき38㎡の土地を確保することだった。2ha÷38=526。同社はほぼ条件通りに建設することが分かる。

 敷地の容積率は200%だから、容積いっぱいに住宅を建設すると、4ha÷538=74.3㎡。同社のマンションの専有面積は約70~87㎡で、平均は約75㎡というから、これもほぼ売却条件通りだ。

 さて、業界関係者の皆さんはこの条件をどう思われるか。同業の記者は「一定の条件は必要。いやなら住まなければいい」と話した。

 なるほど、確かに住宅の質は「広さ」だ。広いほうがいいに決まっている。しかし、先立つのはお金だ。いったいどれくらいのサラリーマンがお金の心配なしに自由にエリアを選ぶことができるだろうか。低中所得層が東京23区内で購入できるマンションはほとんどない。「広さ」は当然入居する人の家族構成によって変わる。単身者なら40㎡でも十分な広さではないか。一律に網をかぶせるなんて暴挙だ。

 よって、記者はURと草加市が付した条件は納得ができない。駅から徒歩6分だ。「松原団地」がマイナーなイメージしかないとはいえ、市民やその他沿線の多様なニーズが期待できる。子育てファミリーだけでなく単身者、DINKS、高齢者の需要もあるはずだ。戸数条件を設けたことは、こうした多様な需要に背を向け、商品企画の自由度を奪うものでしかない。URはこれまでも住宅用地の売却には同様の条件を付してきたが、記者はまったく理解できない。行政もURの意向にどうして沿うのかこれもまた理解できない。

 問題はこれだけにとどまらない。戸数制限(面積要件)は分譲価格に大きな影響を与える。同社は価格は現段階で未定としているが、記者は最低で175万円、アッパーで180万円と読んだ。マンションの建築費がどんどん上昇しているので、他と比べ割高ではないとおもう。

 しかし、「松原団地」駅圏のこれまでのマンションと比べればとんでみない単価になりそうだ。草加駅圏ではリーマン・ショック前に駅近で同社の物件(93戸)と東京建物の物件(63戸)が坪185万円で分譲された。東建のほうは立地条件がよく戸数も少なかったことから早期完売したが、同社は完売まで3年くらいかかったのではないか。

 草加でも坪185万円というのは限界価格だと思う。南越谷の駅近マンションもアッパーは180万円だ。

 松原団地でいえば、これまでは坪130~140万円が相場だ。今回はこれらから3~4割のアップだ。単価が上昇する分だけ専有面積を圧縮すればまた展望が開けるが、今回はそれがない。同社はこの厚い壁を打ち破れるのか。

 住宅ローン金利はただ同然まで下がったが、容易に超えられる壁ではない。街はお金持ちも低所得者も年よりも若者も住んで生き生きしたものとなる。都市計画のイロハだ。URはそれをやってこなかったから解体されようとしている。十分学習したはずだと思っていたが、まだ固陋にしがみつこうとしているのか。

 批判的なことばかり書いてきたが、一つだけ突破口になりそうな「切り口」もある。草加市は財政的に健全だが、市民の施策に対する満足度は水環境、緑環境、景観、防犯など20~30%台で決して高くない。しかし、「松原団地駅西口」の都市計画に対する満足度は57.9%で、「草加駅東口」の55.1%より高く市内でもっとも評価が高い。今後、住宅、公園などが整備されれば、「草加」を上回る住みよい街になる可能性はあるとみた。

住友不動産 全6,000戸の「松原団地」建て替えエリアで538戸のマンション(2015/1/13)

カテゴリ: 2015年度

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「(仮称)品川ベイサイド大規模プロジェクト」完成予想図

 住友不動産は1月8日、東京ガスのマンション向け家庭用燃料電池「エネファーム」と「停電時発電機能」を「(仮称)品川ベイサイド大規模プロジェクト」に搭載すると発表した。

 「停電時発電機能」を導入することで停電時に「エネファーム」が発電停止中でも、自立起動して発電し、停電時使用可能コンセントを通じて電力を家庭内に供給することができる。同社は51戸に採用する。

 物件は、JR 山手線品川駅からバス4 分・「天王洲アイル」バス停徒歩5分の全254戸。竣工予定は平成28 年2 月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。

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 マンション向け「エネファーム」は、東急不動産が昨年分譲開始した「ブランズ品川勝島」に採用されたのが第一号で、これまで三菱地所レジデンス・総合地所「ザ・プレミアスカイ品川中延」、サンケイビル「ルフォン石神井公園」、東京建物「Brillia東小金井」、同「Brillia山手動坂」、積水ハウス「グランドメゾン上原コート」、伊藤忠都市開発「クレヴィア小竹向原」の7件に採用されている。「停電時発電機能」を搭載しているのは今回が初めて。開放廊下側に設置するためかなりのスペースが必要で、コンパクト化が課題。

 

 

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「グランスイート神楽坂ピアース」完成予想図

 丸紅(事業比率60%)とモリモト(同40%)の初のJVマンション「グランスイート神楽坂ピアース」を見学した。昨年10月からモデルルーム見学を受け連れているが、平日も含めほぼ予約でいっぱい。人気必至だ。

 物件は、東京メトロ東西線神楽坂駅から徒歩3分、新宿区矢来町に位置する10階建て北棟61戸と南棟57戸の2棟全118戸。専有面積は42.56~107.07㎡、価格は未定。施工は大和小田急建設。竣工予定は平成28年1月下旬。管理は三菱地所丸紅住宅サービス。販売代理はモリモト。販売開始は1月中旬予定。

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 これまで、モリモトは丸紅の物件の販売代理をいくつか行っており記者も見学してきたが、JVは今回が初めてだ。5日からマンションが見学できてラッキーだった。

 建物のデザイン監修はアーキサイトメビウス(今井敦氏)が、インテリアコーディネートは鈴木ふじゑ氏がそれぞれ担当しているように、モリモトが全体的な商品企画を担当していることが分かる。同社のこれまでの物件と同様、デザインが秀逸で設備仕様レベルが高いのが特徴だ。

 建物の外観は端正なライムストーンの白が基調。インテリアは玄関床、キッチン・洗面・トイレ天板に天然石、建具面材に高級材のマホガニーを、床に突き板を採用(一部除く)。一方で、リビングドアには丸紅が分譲して好評だった「グランスイート広尾」と同じものが採用されているように、双方の〝いいとこ取り〟のデザインでもある。

 問題の価格。立地条件からして坪単価は400万円を突破するのは間違いない。かといってすべてが億ションになるような敷地形状ではない。敷地西側は道路を挟んである銀行の中層の社宅が建ち並んでおり、住環境もまずまずだが、北棟は自己日影を受けそうな住戸や北向き住戸もある。

 したがって、高層住戸やワイドスパンの南向き住戸の10戸くらいは坪500万円以上の億ションになりそうだが、40~50㎡台は坪300万円台の後半でグロス価格も抑えられるはずだ。その意味で、シングル層向けでもあり富裕層向けでもある。建具ドアにマホガニーを採用するマンションなど最近はほとんどない。

 昨年10月にモデルルームをオープンしたが、平日も含め予約はほぼ満室で、10人くらいのスタッフでも対応するのがやっとだという。両社が組むことによる相乗効果も期待できると見た。

カテゴリ: 2015年度
 

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