日本綜合地所 流山セントラルパーク駅圏初のマンション49戸
日本綜合地所が千葉県で「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央Ⅱ」(206戸)、「ヴェレーナ松戸」(47戸)、「ヴェレーナ流山セントラルパーク」(49戸)の3物件を販売すると発表した。
リリースを引き写し紹介しても何の価値もない。記者が注目しているのは「流山セントラルパーク」の物件だ。駅から徒歩11分の区画整理事業地内のファミリーマンションだ。つくばEXが開業してからほとんどの駅に降りてマンション、戸建てを取材しているが、この駅だけはマンションは1物件も供給されていないからでもあるが、降りたことがない。
隣駅の「流山おおたかの森」では2,000戸くらいは供給されており、坪単価は駅近だと200万円前後もする。流山セントラルパーク第一号は果たしていくらになるのか。坪単価を150万円くらいに抑えてほしいと思うが、そこまで安くなるか。現地を見学してレポートしたい。
女性役員の〝こだわり〟盛り込む サンケイビル「ルフォン柏 ザ・レジデンス」
「ルフォン柏 ザ・レジデンス」完成予想図
サンケイビルが分譲中の「ルフォン柏ザ・レジデンス」を見学した。昨年10月から分譲開始し、これまでに供給した31戸のうち29戸が販売済みで、順調な売れ行きを見せている。
物件は、JR常磐線柏駅から徒歩5分、柏市柏五丁目に位置する13階建て全51戸。2月中旬に分譲する第二期(戸数未定)の専有面積は67.40~83.09㎡、予定価格は3,870万~5,270万円(最多価格帯4,300万円台)、坪単価はおよそ200万円。竣工予定は平成27年7月下旬。施工は不二建設。販売代理は住友不動産販売。
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同社のマンションは、先に「浜松町」を見学したが、今回は郊外型。取材の目的は、このところ急速に供給戸数を伸ばしている同社のマンションをしっかり見ておくことが必要と感じたからだ。もう一件「船橋日大前」を近く見学する予定だ。
建物は近隣商業立地だが、前面道路は12mあり、全戸南向きで、その割に交通量は多くない。前面も開けている。坪単価もリーズナブルなものだ。1フロア4住戸だが、まんべんなく売れており、極めて順調に売れているという印象を受けた。
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初めて知ったのだが、同社には2人の女性役員がいる。デベロッパーには女性の役員が極めて少ない。記者の知る限り上場会社で女性役員がいるのはコスモスイニシアが3人(一人は監査役)で、ヒューリック、フージャースホールディングスがそれぞれ1人(非常勤監査役)くらいだ。ゴールドクレストに1人いたが、一昨年退任している。
従って、女性役員2人というのは特筆すべきことだ。そのうちの一人が上席執行役員・佐々木ゆかり氏で、マンションの商品企画担当だというのがうれしいではないか。女性がマンションの商品企画にもっともふさわしいとは記者がずっと思ってきたことだ。きめの細やかさでは、男性は女性にかなわない。
佐々木氏がこだわっているのはキッチンだそうで、強いメッセージが込められていることは伝わってくる。キッチンの天板に御影石を採用していることだ。坪200万円くらいの郊外型に天然石を採用するデベロッパーは少なくなってきているはずだ。
もう一つは食洗機。これも働く主婦(主夫)には必需品だ。約2畳大のクローゼットの提案もいい。主寝室のドアは全て引き戸にしているのも佐々木氏の小さなこだわりだと理解した。
同社が「ルフォン」ブランドを立ち上げて10年。年間500戸ペースに到達したという。これほどの量をコンスタントに供給できるデベロッパーは20社くらいか。
これからが正念場だ。大手には普通の商品企画では勝てない。マンション業界に〝フジ・サンケイ旋風〟を巻き起こす覚悟で取り組んでほしい。さらに期待したいのは、やはり自前の販売部署を立ち上げることだ。顧客と相対するからこそ微妙な嗜好が読み取れる。同社は「行動指針」で謳っているではないか。「小さくまとまってはいないか? 大胆に、大きく描け」「夢中でやっているか? 乗り越えた先の景色を楽しみに走れ」と。
佐々木氏はもちろん「女性が活躍」できる会社を応援したいし、女性に負けない男性をアピールするためにもRBA野球にも復帰してほしい。
「めざましテレビ」そのまま朝から元気サンケイビル「ルフォンリブレ浜松町(2015/1/20)
国分寺崖線の借景、「5本の樹計画」もいい 積水ハウス「グランドメゾン仙川」
「グランドメゾン仙川」完成予想図
都内に初めて雪が積もった1月30日の夕刻。国分寺崖線の雑木林はすっかり雪景色に変わっていたが、春を告げるウグイスとホトトギスが「ほーほけきょ」「おとおと、きたかー」と鳴き交わしていた。記者は舞い上がり「ここはいいぞー、弟、来たぞー」とエールを送った。積水ハウス「グランドメゾン仙川」の販売事務所だった。
物件は、京王線仙川駅から徒歩19分、または仙川駅から徒歩5分、バス停からバス3分、バス停から徒歩4分(都合12分)、調布市入間町2丁目に位置する4~8階建て8棟全305戸の規模。近く分譲する第2期3次(戸数未定)の専有面積は66.97 ~90.64㎡、予定価格は3,700万円台~5,700万円台(最多価格帯4,400万円台。竣工予定は平成28年6月中旬。施工は長谷工コーポレーション。昨年11月から契約が始まっており、現在まで約3分の1が契約済みだ。
現地はNTTの社宅跡地。国分寺崖線のライン上にあり、敷地面積は約16,000㎡。敷地の南側には敷地の数倍はありそうなNTTが管理する森が広がっている。
住棟はA~E棟が南向きや東向きで林の借景が望める。
住戸プランは、横入り玄関タイプを多用し、メーターモジュールの廊下幅、花台付き、トイレドアを含めたドアノブの壁面までのセットバック、二重床・二重天井、天井までのカーテンボックスなど。都の「マンション環境性能表示」で5項目満点の星15個のうち「建物の長寿命化」のみ1つ欠ける14個を獲得している。
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京王線仙川は、わが街多摩センターと同じくらいよく知っている。永住も考えたくらいだ。いまも飲み屋によく通っている。
駅周辺の再開発が行われた結果、劇的に変わった。急行が停まる千歳烏山やつつじヶ丘よりいい街だ。安藤忠雄氏が設計したマンションは坪単価300万円もするし、野村不動産の「プラウド」も270万円だ。先日書いた大成有楽不動産「オーベルグランディオ吉祥寺Ⅱ」との競合は避けられないが、この単価は割安感がある。「5本の樹計画」も盛り込まれるので、素晴らしいマンションになるのは間違いない。
どちらがいいかはユーザーが判断することだから何もコメントしないが(双方ともいい)、双方合わせて589戸もある。この2物件よりは価格は安いが、近く見学することになっている京王相模原線の野村不動産「プラウドシティ南山」も412戸ある。3物件とも長谷工コーポの施工だ。単価・グロス価格ともサラリーマンの取得限界にきているだけに、売る側の営業マンも大変だろう。
3物件に共通するのは価格が安いということだ。多摩センターもそうだが、どうして京王線のマンションの単価は他の沿線と比べて割負けするのか。城東や城北エリアより圧倒的に安いし、緑も豊富だ。
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ホトトギスが「おとおときたかー」と鳴くと書いたのは、昔々、おばあちゃんの膝の上で教わったのを思い出したからだ。ホトトギスの昔話など若い人はだれも知らないだろうから紹介する。次の通りだ。
兄弟のホトトギスがいた。兄は目が見えなかった。心やさしい兄思いの弟は山でおいしい食べ物を採っては兄に与えた。自分はまずいものばかり食べていた。
兄は、「いつも俺はこんなにおいしいものを食べている。弟はどんなにおいしいものを食べているんだろう」と考え、弟を殺して腹の中を調べたところ雑穀ばかりが出てきたのだ。
悔やみきれない兄は「弟よ、ごめんね」「弟よ、来たか」とのどを絞り出すように泣いたという物語だ。(記者が優しい心根の人間に育ったのはおばあちゃんの教育による。記者は悪がきだった兄の弟だ)
「トッキョキョカキョク(特許許可局)」なんて東京に出てきて初めて知った。ついでに、「うさぎ追いし」は「うさぎ美味しい」ではありませんから。おいしいのですが。
根づくかシニア向け分譲マンション 年間500戸の市場へ
「デュオセーヌつくばみらい」(写真右。左はファミリーマンション。手前にもう1棟マンションが建設中)
フージャースコーポレーション
「デュオセーヌつくばみらい」竣工見学会
挨拶する藤井社長
フージャースコーポレーションは1月23日、開発を進めている高齢者向け分譲マンション「デュオセーヌつくばみらい」が竣工したのに伴い、関係者向けに見学会を行った。約130人が集まった。
物件は、つくばエクスプレスみらい平駅から徒歩7分、茨城県つくばみらい市陽光台二丁目に位置する9階建て全150戸。現在分譲中の4期(18戸)の専有面積は51.19~70.95㎡、価格は2,698万~4,248万円(最多価格帯2,800万円台)、坪単価170万円。管理・修繕費は約5万円。食事代は1カ月利用した場合約5万円。建物は平成26年12月11日に竣工済。施工は長谷工コーポレーション。事業主は同社とダイヤモンド地所。
物件の特徴は、①入居条件として満50歳以上で、自分で身の回りの世話ができること②共用部に天然温泉浴場、娯楽室、カラオケパーティルーム、健康管理室、訪問看護・介護事業所が併設されているほか一般も利用できるダイニング・レストラン付き、専有部は引き戸を多用、人感センサー付き③地元の医療機関と提携して医療サービス、看護・介護サービスが受けられる-ことなど。
一昨年から分譲開始されており、これまでにこれまで約7割が分譲済み。購入者の平均年齢は70最弱。夫婦は約5割、親子、姉妹入居が各1組。女性と男性の割合は6:4。要介護者は1割弱。前居住地は東京が35%、千葉県が20%、茨城県・埼玉県・神奈川県が各15%。居住形態は戸建てが8割、マンションが2割。全体の2割が自宅を売却して入居する意向。
竣工パーティ
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この物件については、昨年見学しており記事にしているので、そちらも参照していただきたい。
まず、驚いたのは売れ行きだ。隣接地では同社が坪単価130万円のマンション130戸を分譲しており約100戸が売れているが、同じくらいの売れ行きということだ。坪にして40万円の差があるが、温泉付き、医療、看護・介護サービスが受けられる、居室面積が広い、転売ができることなどが高い評価を受けたということがうかがわれる。サ高住と決定的に異なる点だ。
もう一つ驚いたのは関係者の関心の高さだ。三井不動産レジデンシャルが10人くらい参加していたほか、東京建物不動産販売、NTT都市開発、大成有楽不動産、モリモト、アズパートナーズ、銀行関係者などが参加。三井不レジ関係者は「賃貸として検討している」と話した。同様の物件はコスモスイニシアが「武蔵浦和」で開発を進めている。
見学会に臨んだ同社・藤井幸雄社長は、「同様のマンションは『柏の葉』『「町田』でも計画を進めており、他のシニア事業を含め全体に占める事業比率を20%くらいに高めていく」と話した。
パイオニア的な存在のダイヤモンド地所・外所行則社長は、「平成17年に『ダイヤモンドライフ湘南』198戸を分譲開始して以来、『森の里』128戸と今回の『つくばみらい』150戸を供給した。他社も参入するので年間500戸くらいの市場になる」と話した。
問題は、有料老人ホーム、サ高住などと競合するのかしないのか。また、中古市場でどのような評価をされるのか、要介護度が高くなったらどうするかだが、外所氏は「生活に飽きて自宅に帰る人もいる。売却事例が少し出てきているが、それほど価格が下がっているわけではない。近く専門のサイトも立ち上げる。介護については、みなさんはすぐ車椅子生活を連想されるが、実際は8割くらいの方は普通の生活を続けられる」と語った。
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記事とはあまり関係ないが、ダイヤモンド地所の外所氏とお会いして懐かしさがこみ上げた。同社はかつてマンションを分譲していた「丸善建設」のOB会社で、バブル崩壊後、丸善建設のブランド「ダイヤモンド」をそのまま引き継いで事業を展開してきた。
もう時効だろう。記者はバブルがたけなわのころ、西新宿で地上げを派手に行っていた最上恒産の動向を探る目的もあってよく丸善建設に取材に行っていた。坪200~300万円から始まった買収価格は最終的には坪3,000万円まで跳ね上がったこと、接道するところは坪1億円で取引されたことなど、最上の動きが手に取るようにわかった。幹部からよくうな重をおごってもらった。その方は3年前亡くなられたことを外所氏から聞いた。
ダイヤモンド地所がシニア向け分譲マンションのパイオニアとして再び脚光を浴びるのがとても嬉しい。
外所氏
グロス価格はやや張るが坪単価は〝旧価格〟 大成有楽「吉祥寺Ⅱ」
「オーベルグランディオ吉祥寺II」完成予想図
大成有楽不動産が2月下旬に分譲開始する「オーベルグランディオ吉祥寺II」を見学した。JR中央線三鷹駅、あるいは吉祥寺駅からのバス便ではあるが、坪単価は〝旧価格〟の205~210万円。2年前に分譲された隣接の第一弾「オーベルグランディオ吉祥寺Ⅰ」(177戸のうち分譲は131戸)は4カ月で完売している。今回は面積が広くなるのでグロス価格は張るが、再び人気になるか。
物件は、JR中央線・総武線、京王井の頭線吉祥寺駅からバス12分徒歩2分、またはJR 中央線・総武線三鷹駅からバス13分徒歩2分、三鷹市牟礼六丁目に位置する8階建て全284戸。専有面積は72.27~93.68㎡、予定価格は4,100万円台~6,200万円台(最多価格帯4,,900万円台)、坪単価は205~210万円。竣工予定は平成28年1月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は大成有楽不動産販売。
現地は昭和30年代に入居が開始された旧日本住宅公団「牟礼団地」の建て替え事業地の一角。賃貸棟は全て建設済み。分譲棟は第一弾として同社が2013年初頭に109戸を分譲。間取りプランが1DK(35.87㎡)~4LDK(87.65㎡)と豊富で、価格帯も1,800万円台から5,100万円台(坪単価181万円)と、商品性と価格のバランスがよかったことからわずか4カ月で完売している。
今回はその第2弾で、専有面積は最低でも72㎡台、平均で約78㎡と広くなっているのが第一弾と異なるのが特徴。坪単価も約10%高くなる。
販売を担当する大成有楽不動産販売のプロジェクトリーダー・沢信吾氏は、「第一弾は価格を抑制気味にし、プランも多彩だったことからお客さんが殺到した。今回は価格が若干上昇するが、当初の予定から設備仕様レベルを上げた。間取りプランも50種揃えた。この価格が浸透すれば、地元はもちろん広域から集客できるのでは」と期待を寄せている。
「ファミリーラボ」(左)と「マルチ シューズ シェルフ」
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「牟礼団地」のことはよく知っている。吉祥寺、三鷹からのバス便だが、運行本数は多い。いつものように単価を予想した。同じような立地のマンションは坪単価260万円だが、同社はそんなに高くないと踏んだ。アッパーは250万円で、平均すると240万円くらいではないかと読んだが、結果は大外れ。それより30万円以上も安かった。
205~210万円という単価は、23区内では皆無で郊外部でも駅近物件はこんな安値ではまず供給されない。埼玉、千葉方面でも都内寄りでは無理だ。
価格が低いからレベルが低いわけでもない。モデルルームの提案はよくできている。同社の最近のマンションについてはかなり書いてきたので省略するが、「オーベルオリジナル収納」は〝ここまでやるか〟と思うほどきめが細かい。多目的に利用できる「ファミリーラボ」の提案もいい。
単価は低くても面積が広いからグロス価格は張るが、この物件特性をアピールできれば、第一弾と同様圧倒的な人気を呼ぶ可能性を秘めている物件だ。
上下前後可能ハンガー
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沢氏と歓談し、意見の一致をみたのはデベロッパーはなるべく予定価格を早く公開することだった。最近は各社とも価格にはナーバスになっており、記者の取材などでも坪単価を公開することを渋るところが激増している。
どこも〝新価格〟であり、サラリーマンの取得限界にきていることが分かっており、予定価格が速く知れ渡ったら敬遠されるのではないかと恐れているのだ。その一方で、同業他社が高値をつけるのを待って、後だしジャンケンのようにおっとり刀で駆け付けようとしている。
いま、記者の手元にある1月中旬号の住宅情報誌を調べてみたら、「予告広告」のマンションが約380件あるうち、「予定価格」を表示しているのは4割以下の150件弱だ。分譲開始が1月下旬でも価格は「未定」になっているのも少なくない。記事風広告も「分譲中」を除けば、予定物件の半分は「価格未定」だろう。ひどいのになると、もう半年以上前からずっと「資料請求受付中」のマンションもある。
この情報誌は「価格ゼロ」だからみんな読むのだろうが、有料だったらまず読まない。
判断が付きやすいよう予定価格(坪単価)は堂々と早めに公表すべきではないか。価格を公表しないのは顧客に対して失礼だし、売る側の営業マンもかわいそうだ。
スーパーの店頭に「価格未定」の野菜を並べたら明日からお客さんはまず来なくなる。それとも高級すし店のように「時価」商売をやろうとしているのか。売れる値付けをできないのはデベロッパー失格といっては失礼か。
三菱地所レジデンス 「西新宿タワー60」 第1回コミュニティ支援イベント公開
「西新宿CLASS in the forest」(マンションギャラリーで)
三菱地所レジデンスは1月20日、マンションとしてはわが国最高階数60階建て全954戸の「ザ・パークハウス西新宿タワー60」のコミュニティを支援する活動の一環として、第一回目のエリアコミュニティイベント「西新宿CLASS in the forest」を開催。マンション購入検討者約10名を含む約50名が参加した。
第1回の今回は、HITOTOWA INC.代表・荒昌史氏がファシリテーターを務め、三菱地所レジデンス開発事業部・柴田純氏、東京おもちゃ美術館館長・多田千尋氏、一般社団more trees事務局長・水谷伸吉氏、Community Crossing Japan研修ディレクター・吉高美帆氏、一般社団アスリートソサエティかけっこマイスター・秋本真吾氏がそれぞれの立場でプレゼンテーションを行ったほか、パネルトーク、ワークショップを含め3時間近くにのぼる盛り沢山なイベントになった。
50歳代のゼネコンに勤務する参加者の一人は、「人のつながりの大切さ、ハードだけでなくソフトの仕組みの大事さ、人間の可能性が探れた」と話した。
今後は①触れる自然②共助の防災減災③国際先進としての多様性-などについて入居前の15回(残り14回)、入居後2020年までの45回と合わせ60回行う予定。
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似たようなものでは、昨年暮れ、三井不動産レジデンシャルがマンションコミュニティの未来像を語るシンポジウム「Mirai Mansion Meeting」を行ったが、具体的なマンションを対象にしたイベントを報道陣に公開するのは珍しい。とても興味があった。
開始は19時。全体で3部構成になっており、第一部の6氏のプレゼンテーションは一人持ち時間約10分で合計60分。必死でメモを取ったが、ぶっ続けで中身の濃い話を聞くのはしんどい作業だった。
休憩をはさみ、柴田氏を除く5氏のパネルトークは30~40分。各氏の話は簡潔明瞭、都心のコミュニティのあり方を示唆するフレーズが各氏の口からほとばしった。これだ!と思った。
全体を通じて各氏が話したことを紹介しよう。順不同。
秋本真吾氏 僕は走ることが得意。スポーツで元気にできる。このマンションで全国一駆けっこが速い子どもを育てたい(アスリートソサエティの代表は為末大氏。秋本氏は福島県大熊町出身の200mハードルアジア最高記録保持者のプロ陸上選手。2012年に現役引退。震災後、地元福島の復興支援活動を行っており、「地元のためにもう一度頑張ろう」と2013年に現役復帰宣言)
吉高美帆氏 ホームタウンにするためのキーワードは〝とにかく参加してみる〟。社会問題解決型マンションにしたい(吉高氏は福島県相馬市出身。震災関連死をゼロにするプログラムを作成するとか)
多田千尋氏 キーワードは〝ファーカンダ〟。これは沖縄にしかない言葉で、祖父母と孫が幸せに暮らす様子を表現したもの。葉っぱとつた、切っても切れないという意味。木育をコンテンツに多世代の交流を進める(多田氏は新宿区出身。廃校となった小学校校舎を体験型ミュージアム「東京おもちゃ美術館」として再生。徹底して国産材を使用したのがヒット、現在、来館者は年間12万人を超えるという。うち赤ちゃんは2万人)
水谷伸吉氏 都市と森をどうしてつなげるが大きなテーマ。堅苦しくならないよう、例えば鹿肉をシビエとして食べることで自然とつながることもできる(more treesの代表は坂本龍一氏。水谷氏は戦後、建築学会が〝木造禁止〟などと言い立てたことに、「過剰に反応しすぎ。日本の木の文化を継承したい」とも語った)
荒昌史氏 デベロッパーに7年勤務した後、環境問題やコミュニティ、防災に取り組みたくて2010年にHITOTOWAを立ち上げた(イベント全体をプロデュース。デベロッパーとはコスモスイニシア当たりかと思ったが、その通りだった。同社には企画マンが揃っていた)
柴田純氏 このプロジェクトに関わって1年半。職人の街として栄え、コミュニティも育まれている居住者のおもいをバトンでつなげていきたい。「森のタワー」を核に他の地域ともつながっていく
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興味深い分譲坪単価について。起工式が行われた昨年5月には「坪単価310~320万円」と書き、同社が記者発表会を行った昨年11月の段階では「330~340万円」に上方修正した。そして今回。その後のマンション単価の上昇、関係者の口ぶりから判断して「350万円以上」にさらに上方修正する。まず間違いないはずだ。湾岸に負けるようでは副都心の名が泣く。
このあと続く住友不動産と三井不動産レジデンシャルの再開発マンションを含めるとトータルで2,500戸くらいの街になる。この将来像を描き切れるかどうかが単価設定のかぎを握る。コミュニティ支援の役者も揃った。この日のプレゼンターの声をどうユーザーに届けるか。
左から秋本、吉高、水谷、多田、荒の各氏
主役は参加者マンションコミュニティを考える三井レジのシンポに340名(2014/11/27)
ここも唯一無二かわが国最高階数「ザ・パークハウス西新宿タワー60」(2014/11/7)
1階は花屋 坪270万円は安い 伊藤忠都市開発「クレヴィア練馬中村橋」
「クレヴィア練馬中村橋」完成予想図
伊藤忠都市開発が2月中旬に分譲開始する「クレヴィア練馬中村橋」を見学した。単身者・DINKS向けで坪単価は270万円。新価格ではあるが、リーズナブルな価格だと思う。これが売れなければ、コンパクトマンションは今後相当販売に苦労するとみた。
物件は、西武池袋線中村橋駅から徒歩4分、練馬区中村北三丁目に位置する10階建て37戸。専有面積は31.22~58.10㎡、予定価格は2,500万円台~4,900万円台(最多価格帯3,100万円台)、坪単価は270万円。竣工予定は平成27年10月下旬。施工は松尾工務店。販売代理は伊藤忠ハウジング。
現地は、サクラ並木が美しい千川通りに面した3方道路。建物は南東向きの58㎡の2LDKと東向きの31~42㎡のコンパクト3タイプの1フロア4戸構成。
商品企画は、セキュリティを重視しているほか、二重床・二重天井、ミストサウナ、三口コンロ(一部除く)、洗濯物干しポールなど居住性にも細かな配慮がなされている。
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見学する前、坪単価は300万円を突破するのではないかと思ったが、270万円と聞いてうれしくなった。記者が6年前に見学した野村不動産の「中村橋」は坪240万円弱だった。相場よりやや高かったが、瞬く間に売れた。それよりさらに高くなっているが、これは致し方ない。単身女性にとってはぎりぎりの取得限界に収まっているのではないか。
廊下面積を少なくする一方で、玄関を広く取り、収納も増やし、浴室も広めのものを採用しているのがいい。バルコニーも広い。ワンルーム専業が分譲するものよりはるかにレベルは高い。
1階に花屋が入居する予定というのもいい。仲良くなれば毎日のように格安で買うことができるのではないか。そうすれば、花の香りで満たされたマンションに住めるはずだ。
モデルルーム
「めざましテレビ」そのまま 朝から元気 サンケイビル「ルフォン リブレ浜松町」
「ルフォン リブレ浜松町キャナルマークス」完成予想図
サンケイビルが1月31日にモデルルームをオープンする「ルフォン リブレ浜松町キャナルマークス」を見学した。フジテレビの朝の情報番組「めざましテレビ」のスタジオセットをイメージした住まいを提案しており話題を呼びそうだ。
物件は、JR山手線・京浜東北線浜松町駅から徒歩10分(ゆりかもめ「日の出」駅から徒歩2分)、港区海岸二丁目に位置する14階建て全52戸。専有面積は37.52~67.25㎡、販売予定価格は3,700万円台~7,000万円台。販売代理は三井不動産レジデンシャル。施工は木内建設。竣工予定は28年2月中旬。
現地は準工地域。敷地東側に高速道路が走っているが、その先は東京湾。お台場などが一望できる。住戸は西向きで、眼下には運河。その先は都心部。三井不動産レジデンシャルなどが分譲して人気になっている「GLOBAL FRONT TOWER」が目と鼻の先に見える。
モデルルームは2通り。一つはオーソドックスなもので、設備仕様レベルは高い。ディスポーザー、食洗機、御影石のキッチン・洗面カウンター、ハンズグローエの水栓(洗面カウンター)、ミストサウナなどが標準装備。二重床・二重天井。
もう一つはフジテレビの朝番組「めざましテレビ」のスタジオセットをイメージした住まいを提案しているハーフモデル。視聴者層は物件の顧客イメージと一致しているから採用したという。
フジテレビデザイナーとコラボしたモデルルーム
◇ ◆ ◇
2つのモデルルームのうち一つはなかなかいい。玄関を入ってすぐ多目的に利用できるDENのような空間提案が目を引いた。
もう一つのハーフモデルには度肝を抜かされた。記者は朝番組をあまり観ないが早速「めざましテレビ」を観てみた。せわしない番組だが、朝から元気なのがいいのだろう。遊び心満載で、夜も眠れなくなりそう。
しかし、こんな風変わりなモデルルームを提案するのも一方で理解できる。分譲マンションもないわけではないが、「日の出」は倉庫街。ありきたりの万人受けするプランではユーザーの心をとらえることはできない。思い切ったプランで強烈な印象を与えるのは正解だ。フジサンケイグループだからできることだ。
利便性からすればこれほど恵まれた物件は少ない。六本木、麻布十番、品川、銀座、築地、汐留、台場などがタクシーでも数分から10分圏。「アジアヘッドクォーター特区」、田町駅東口北地区土地区画整理事業、浜松町二丁目4地区都市計画など再開発もある。
目の前の運河で泳ぐことはできないだろうし、ファミリーにはお勧めできないが、朝も夜も忙しい放送関係者やタレントなどにお勧めだ。
元気と言えば、同社の業績も元気そのものだ。平成26年3月期決算は売上高501億円(前期比21.7%増)、経常利益45億円(同28.7%増)、当期純利益20億円(同463.2%増)。分譲マンションはそれぞれターゲット層に合わせた「ルフォン」「ルフォンリブレ」「ルフォン ソレイユ」3ブランドを掲げ、供給を伸ばしている。
「ルフォン」を立ち上げたころに見学した「上鷺宮」ではあの「ドムス」マンションの設計を担当した建築家・小松崎常夫氏が設計総合監修を担当していたのに驚いたことがある。既存のデベロッパーとはまた違った商品企画を提案してほしい。
モデルルーム
来場総数150組超 野村不動産「プラウド山王」
「プラウド山王」完成予想図
野村不動産が1月下旬にも分譲を開始する「プラウド山王」を見学した。住居表示は「大田区山王3丁目」で、南傾斜の高台立地。1982年以降、山王高台エリアでは過去4番目の規模であることからも人気を呼びそうだ。
物件は、京浜東北線大森駅から徒歩7分、大田区山王3丁目に位置する地下1階地上7階建て全63戸。専有面積は64.40~107.48㎡、価格は未定。竣工予定は平成28年2月中旬。施工は大末建設。
現地は駐車場と住宅跡地。同社は一昨年夏に取得した。
デザイン監修は南條洋雄氏。外構は「邸宅を取り囲む御屋敷の緑」の再生がテーマになっており、南傾斜の立地を生かし住戸プランは角住戸やルーフバルコニー付きを数多く配しているのが特徴。
設備仕様レベルが高いのも特徴の一つで、共用部、専有部に自然石を多用。建具・ドア面材は鎌倉彫調仕上げ。
1月10からモデルルームをオープンしており、既に来場総数150組超の来場があり、問い合わせ件数は約2,000件に達しているという。
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坪単価について。実はこの「山王」を見学する前にもう一つ別のマンションを見学した。もちろん単価や来場者の反響なども担当者から聞いた。
ところが、「現段階で坪単価を公表することは控えていただきたい」と要請された。
業界紙の役割は業界とその顧客との橋渡しだ。記者は、「価格が未定」の記事では何の価値もないと思っている。価格が未定のダイコン、レタスを誰も買わないのと一緒だ。これまで単価(予想をむくめて)を書かないマンション記事などほとんど書いてこなかった。リリースを引き写す記事は記事ではない。単なるリライターにすぎない。
ただ、営業マンの苦しい胸のうちも理解できた。価格がどんどん上昇し、これまでの相場とかけ離れた価格になっている。新価格、新々価格をユーザーに説得するのは大変なことだろうと思う。単価が独り歩きするのを恐れているのだ。
そこで、記者も妥協することにした。価格を公表してもいい段階まで書かないことにした。よって、このマンションの記事は2月末になりそうだ。
今回の「山王」も同様。マンションギャラリーの所長からかなり詳細な話を聞いた。坪単価については、記者は納得できる価格だったがやはりユーザーにその価値を認めてもらうにはしっかり説明しなければならないと話していた。
なので、このマンションについても現段階では単価は書かない。人気になるはずだから、その段階で紹介する。
住宅地、中古マンションとも7四半期連続でプラス 野村アーバン調査
野村不動産アーバンネットは1月15日、2015年1月1日時点の首都圏「住宅地価格動向」「中古マンション価格動向」調査結果をまとめ発表。2014年10~12月期の「住宅地価格」・「中古マンション価格」ともに平均変動率は7四半期連続でプラスとなり、上昇幅は7四半期中で最大となった。
住宅地価格の価格変動率はエリア平均で0.9%(前回0.4%)となり、エリア別では千葉県を除いてプラスとなった。152調査地点のうち35.5%(前回25.5%)が「{値上がり}した。
中古マンションの価格変動率はエリア平均で0.5%(前回0.3%)となり、全エリアでプラスとなった。218調査地点のうち33.5%(前回21.7%)が「値上がり」した。