今年のベスト3マンション 野村・立川 三井不・三田綱町 イニシア・武蔵新城
「プラウドタワー立川」
記者が選んだ今年の首都圏ベスト3マンションは野村不動産「プラウドタワー立川」、三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町」、コスモスイニシア「イニシア武蔵新城ハウス」-前職を含め30年以上も記者の独断と偏見で「話題のマンション」「ベスト3マンション」を選んでいるが、今年のベスト3マンションは最後の1物件を選ぶのに悩んだが、商品企画が素晴らしかったコスモスイニシアの創業40周年記念物件「イニシア武蔵新城ハウス」を選んだ。見学したマンションは前年とほぼ同じ95物件だった。
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野村不動産「プラウドタワー立川」
最初の1物件はすんなり決まった。誰が選んでも野村不動産「プラウドタワー立川」は必ず入るだろう。駅前の再開発タワーマンションは同社が最近力を入れている分野で、最近では「相模大野」「武蔵浦和」「大泉学園」「京急蒲田」などを供給し、ことごとく早期完売している。他のデベロッパーを大きくリードしている。
ベスト3の一つに選んだ最大の理由は、記者の予想をはるかに上回る坪単価342.5万円だ。断っておくが、価格に見合う価値がないと言っているのではない。あの「立川」のポテンシャルを最大限に引き上げる同社の商品企画力には恐れいったし、それがまた売れるのだから言うことなしだ。
物件と駅をペディストリアンデッキで結び、新たに改札口を設置して広場も整備し、階高3.3m、リビングの天井高約2.6m、SI、オーダーメイド、間取り変更無償の「ライフスタイルセレクト」、設備仕様レベルなどは多摩エリアではかつてなかったものだ。
シアター画面では「誰が想像しただろうか」「想像を超える未来」などの文言を用いて意想外の物件であることを強烈に印象づけた。その巧みなイメージ戦略にも脱帽した。多くのマンションシアターには「頂点を極める」だの「邸宅」だの「静謐」だのと手あかにまみれた、見ているほうが恥ずかしくなるような空疎な言葉が氾濫しているが、しっかりと物件の中身の「見せる化」を行っている同社を見習った方がいい。昨年の「TOMIHISA」でも「第九」が登場して仰天した。
野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円早期完売必至(2014/7/10)
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三井不動産レジデンシャル
「パークマンション三田綱町 ザ フォレスト」
「パークマンション三田綱町ザフォレスト」
もう一つのベスト3もすんなり決まった。三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町ザフォレスト」だ。販売戸数97戸で、すべてが億ション。バブル期はともかく、バブル崩壊後でこれほどの規模ですべて億ションとしいのは記憶にない。記者がこれまでの億ションの最高峰と思っている「麻布霞町パークマンション」は92戸で、1戸は1億円を下回っていた。単価も「麻布霞町」は630万円で、今回は725万円(予想)。単純な価格比較などできないし、これより高いマンションは数えきれないほど供給されている。
驚くのはその販売スピードだ。瞬く間に売れた。3カ月くらいしかかかっていないのではないか。こんな芸当は他社ではできない。「完売」のリリースなど出さないのがまた同社らしい。
物件の特性などは別掲の記事を読んでいただきたい。三井倶楽部やイタリア大使館の森などを眺められる都心の借景が素晴らしいはずだ。
いまでもよく分からないのが、モデルルームに使用されていた家具・調度品、冷蔵庫に入っていたビールやミネラルウォーターの銘柄だ。「ヴォルヴィック」でも「エビアン」でも「ペリエ」でもなかった。お金持ちは日本のビールや水を飲まないだろうか。これは謎だ。記者が見学したときも、ヨーロッパ人らしき外国人の女性が見学していた。身なりからして富裕層であることはすぐわかった。大使館関係者は買える値段なのだろうか。日本製はTOTOのトイレくらいしかなかったのではないか。
「麻布霞町」を超えるか三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町ザフォレスト」(2014/7/4)
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コスモスイニシア「イニシア武蔵新城ハウス」
「イニシア武蔵新城ハウス」
さて、最後のベスト3。〝鹿島ファン〟の記者が最初に考えたのは「勝どきザ・タワー」だった。これも見学したときの記事を読んでいただきたい。素晴らしいマンションだ。非の打ちどころがない。
なのになぜ選ばなかったか。それは価格設定だ。記事を書いたときは、坪単価は臭わせただけで書かなかったが、予想した単価は坪350万円だった。東側の眺望は劣るが、北側の浜離宮を見下ろせる立地を高く評価した。しかも、浜松町駅も橋ができれば徒歩圏になる。今でも単価予想は間違っていなかったと思う。
ところが、第1期の単価は310~320万円くらいだったようだ。当然のごとくよく売れた。戸数が多いため価格を抑えたようだ。これはこれで嬉しいのだが、やはりこの物件は高値挑戦してほしかった。そうでないと他の物件と釣り合わない。鹿島ファンだからこそ、記者の期待に応えてくれなかったというその理由のみで選外とした。
そこで浮上したのがコスモスイニシアの「イニシア武蔵新城ハウス」だ。これも記事を参照していただきたい。創業40周年記念というだけあって商品企画が秀逸。
リビング、居室、コーナー、天井、壁などの面に一切柱型や梁型が出ていない。カーテンボックスも埋め込み型にし、廊下と居室ドアの引き戸の高さは2400ミリ。下足入れには業界初と思われる窓を設けている。坪単価230万円というのもぴったりの値付けだ。もっと高くしても売れたかもしれない。
売れ行きも好調のようで第1期60戸が即日完売、引き続いて分譲した第1期2次16戸も好調に推移している。
三井不レジ 良好なマンションコミュニティの価値は250万円!?
良好なマンションコミュニティの価値は250万円!?-三井不動産レジデンシャルと三井不動産レジデンシャルサービスが面白くて、マンション商品企画にとって示唆に富んだアンケート結果をまとめ発表した。
先月26日に行ったマンションの未来について語るシンポジウム「Mirai Mansion Meeting」の参加者を対象に「2020年のマンションコミュニティ未来予測」に関して行ったもので、19歳から63歳まで225名(男性119名、女性35名)から回答を得た。
コンビニなどが近隣にないと仮定し、調理中に醤油を切らしていることが分かったとき「近所に借りられるか」という問いに「YES」と答えた人は62%、近所から醤油を貸してほしいと言われたらという質問には96%の人が「YES」と答えた。
また、2020年ころ、今よりもコミュニティが豊かになっているとしたら、近所の人とどこまでシェアできるか聞いたところ、選択肢の中からもっとも多かったのは「調味料」で58%、次いで「調理器具」47%、「キッチン」30%、「ダイニングテーブル」24%などが多く、「風呂」15%、「寝室」4%、「寝具」4%などもあった。
さらに、良好なコミュニティができることによって実現できそうなことについて聞いたところ、「サークル活動」17名、「共同ペット」3名など趣味や娯楽を住民同士で〝共遊〟いるという回答が多く、「子ども/ペットの預かり」15名、「看取り」1名などもあった。
3,000万円のマンションを購入すると仮定した場合、「良好なコミュニティがあるとしたら追加でいくらまで出してもいいか」という問いには、「~250万円」がもっとも多く26%で、第2位は「~500万円」24%。全体の2人に1人が物件価格の10%程度を良好なコミュニティの「価値」として評価することが分かった。
「理想とする居心地のいいコミュニティイメージを漢字1文字で表すとどうか」という問いには「楽」28名、「和」14名、「快」8名、「優」8名などとなった。
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読者の皆さんはこのアンケート結果をどう受け止めるか。面白半分で聞き、面白半分で答えたと考える人も少なくないはずだ。現在のマンション生活ではまずあり得ないことだからだ。よほど親しい関係なら醤油などの貸し借りは日常茶飯に行うだろうし〝共遊〟を行っている人もいるだろう。
記者が小さいころは、醤油に味噌、砂糖などの貸し借りは当たり前で、風呂も隣同士で貸したり借りたりした。店は徒歩で10数分のところしかなかった。味噌、醤油、酒などは量り売りだった。親につり銭を飴玉に変えてもいいという条件でよくビンを抱えて買いに行った。頭の中は飴玉しかないから、途中で醤油なのかソースなのか分からなくなることもしばしば。間違ってまた買いに行かされた。そうして我々の世代は育った。
世の中は変わった。無縁社会だ。5年先だろうが10年先だろうが、コミュニティは益々希薄になるのではないかとみんな考えている。しかし、近所から醤油を貸してほしいと言われたらという質問に96%の人が「YES」と答えた。みんな意識の底には「群れて生きたい」という願望があると記者は考える。そのほうが「楽」に決まっている。そのきっかけがなかなか見つからないだけだ。
だれがそのきっかけづくりを行うかだ。先日、マンション管理協がコミュニティに関する研究調査結果をまとめ発表した。ここで佐々木誠・日本工業大学淳教授はコミュニティの価値の「見える化」を図り、マンションが目指す方向性を「コミュニティポリシー」として公開すれば、マンション購入者の購入行動に大きな影響を与え、マンションの資産価値を高めることも可能と話した。
佐々木氏の提案は説得力がある。今回のアンケートを行った三井不動産レジデンシャル市場開発部商品企画グループは決して面白半分でやったわけではないはずだ。ひょっとしたらコミュニティポリシーの実践を考えているのではないか。どこよりも早くやったら三井のマンションが圧倒的な人気を呼ぶと思う。ただ、まさか250万円を価格に上乗せはしないだろう。価値は認めてもユーザーはない袖は振れない。
マンション管理協 2年間に全4冊1,630枚の研究調査報告書
「住生活総合サービスの需要の明確化に関する研究」研究報告会(TKP八重洲カンファレンスセンターで)
マンション管理業協会(管理協)は12月14日、「『住生活総合サービスの需要の明確化に関する研究』研究報告会」を行った。同研究はA4判150ページにのぼるもので、筑波大学教授・花里俊廣氏を代表とする研究グループが管理協から受託されて、マンションの管理組合のコミュニティとしてのあり方や管理会社が行う問題解決などについて役割や意義、有用性を明確にしてまとめたもの。昨年発刊された「『マンション管理における顧客需要の明確化』に関する研究」(A4判130ページ)に次ぐもの。会員会社、マンション管理組合、一般等から約60名が参加した。
花里氏
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管理協は別掲のように11月26日にも有識者への研究委託を進めている「マンション管理業の将来展望に関する研究」(代表研究者・大橋弘東京大学大学院教授)のうち、平成25年度に実施した「マンション管理業の実態調査 結果報告書No.2」(A4判、94ページ)が刊行したのに伴う調査結果報告会を行っている。
原稿量はA4で464ページ、400字原稿用紙にして約1,630枚。長編小説数冊分だ。研究に関わった大学の先生は7名。2年間でこれほどの量で、しかも、マンション管理の現場担当者や購入者へのアンケート・聞き取りを行い過不足なくまとめたものはおそらく過去にないはずだ。マンション管理の〝バイブル〟として今後研究者や管理の現場で読まれると確信する。
記者もすべて読んでいるわけではないので、ここで一つ一つ紹介できないが、興味のある方は管理協・電話03-3500-2721へ問い合わせていただきたい。無料というわけにはいかないだろうが、実費で購入できるはずだ。
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今回の報告会でとくに記者が注目したのが、日本工業大学建築学科准教授・佐々木誠氏が担当した「コミュニティサービス:コミュニティの価値とサービスのニーズ」に関する論文だ。33ページにのぼりコミュニティの定義から視点、価値、支援サービスの可能性まで踏み込んでいる。ここまでマンションのコミュニティに踏み込んだ論文はまず過去にないはずだ。
コミュニティの価値と評価については、多様なニーズがあることから例えば数値的に示すのは難しく、「中古の不動産情報へのコミュニティ情報の新設」提案は「断念」せざるを得なかったと佐々木氏は語ったが、新たなコミュニティサービスの提案はマンション管理組合-居住者-居住者複合体-マンション自治会が何らかのきっかけで複合的に結合し、単なる単棟のマンションだけではなく地域を巻き込んだより高次の地縁コミュニティの社会的意識化が可能となるとしている。
花里氏は、様々な分析手法を用い、耐震改修を行った江戸川区のマンションは70㎡平均で139万円/戸(坪6.5万円)高く取引され、耐震改修に200万円/戸かかるとすると、公的補助が3分の1くらい出るので。元が取れると報告した。
佐々木氏
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花里教授をはじめ研究に携わった方々の講義をいちいちごもっともだとうかがった。花里氏の報告については中古市場がいま一つよく分からないのでコメントは保留する。新築市場は、その時々の市場が判断するので、質の高い・単価が高いマンションが売れるわけではない。
一つだけ記者のくりごとを聞いていただきたい。管理会社だけではないマンション業界全体の「問題解決に取り組む姿勢」の問題についてだ。わが業界は「問題解決」に対していつも後ろ向きで、それが販売促進につながるかどうかという視点でしか考えてこなかったのではないかと思うからだ。
そのいい例がマンションマナーだ。現在、「ペット飼育可」は常識になっているが、各社が「ペット飼育不可」から「可能」にしたのはせいぜいこの10数年前のことだ。バブルが崩壊しマンションの売れ行きが悪化していたときに、販促の手段として各社が採用したのがはじまりだ。記者はそれ以前に、「ペット飼育を認めるべき」と大手の管理会社に取材というより直談判したが、ほとんど門前払いだった。
「ペット不可」から「ペット可能」へ180度の転換を図ったのと真逆の転換を図ろうしているのが、人権を無視するような禁煙ルールの規約化だ。
ここ数年、デベロッパーは専用使用権があるバルコニーを含めてマンションの共用部分での禁煙条項を原始規約に盛り込むようになった。
平成14年に施行された健康増進法が法的な根拠になっており、医学的根拠が希薄でもあるにも関わらず、タバコを吸わない人より吸う人のほうがガンの発生率が高いなどとする疫学的な理由でもって、そしてそれだけでは説得力がないとみると「受動喫煙」を持ち出して吸わない人の恐怖心をあおり、さらには「タバコのポイ捨て」などという理由にもならない理由を持ち出して、有無を言わさず禁煙に乗り出した。記者はこれが怖い。タバコも酒も嫌ったヒトラー的発想ではないか。
ペットを飼う人も飼わない人も、タバコを吸う人も吸わない人もそれぞれの権利を認めあい共存するのが民主主義であり、集合住宅でのルールであるはずだ。一方の側の権利のみを振りかざすのでは絶対に快適なマンションライフは保障されない。
マンション管理会社は、親会社のマンションデベロッパーのこの暴挙に何ら反抗しない。そのような業界団体が、本気で「コミュニティサービス」を実践するかどうか注視したい。
もう一つは、マンションの「コミュニティ」についてだ。
今でこそデベロッパーは「コミュニティ」の大切さをアピールし、支援の取り組みを活発化させているが、以前はそうでもなかったし、最近は〝販促の手段〟としての意図が見え隠れする。本気度が試される。コミュニティ支援活動が正当に評価され、フィーとして報われるのが理想だと思う。佐々木氏が研究論文に記載することを断念した「中古の不動産情報へのコミュニティ情報の新設」はどこか実施に踏み切ってほしい。
さらに、マンションの「自治」「管理組合」について。
かつて戦前の自治会・町内会は戦争推進の役割を担わされた歴史がある。今でも地方自治や大学自治をめぐっては国などの干渉、支配が問題になるケースが少なくない。だから「自治」に対して政治的な匂いをかぎ、嫌悪する人もいるのではないか。記者は英語嫌いだが、英語ではself‐government、あるいはマンションなどの集合住宅の自治会などはresidents' associationと訳されるのだろうが、自らが治める-なかなかいい和訳だ。
「管理組合」もまたしっくりこない言葉ではないか。「組合」という語彙はわが国にはなかったのではないか。「結」とか「講」に戻せとは言わないが、すんなり受け入れられる気が利いた言葉はないのか。
安田不動産「レフィール参宮橋ヒルズ」 立地よく割安の単価415万円
「レフィール参宮橋ヒルズ」完成予想図
安田不動産が12月13日に抽選分譲する「レフィール参宮橋ヒルズ」を見学した。最近はほとんど供給事例がない参宮橋駅圏でヒルトップの一等地、坪単価も超割安の415万円。設備仕様レベルも高い。第1期26戸は即日完売必至と見た。
物件は、小田急線参宮橋駅から徒歩3分、渋谷区代々木4丁目の第2種低層住居専用地域に位置する5階建て(建基法では地上4階地下1階建て)全51戸。第1期の専有面積は43.65~111.65㎡、価格は5,080万~15,980万円(最多価格帯5,080万円・5,380万円・6,580万円・7,780万円)、坪単価は415万円。施工は飛島建設。販売代理は東急リバブル。12月6日から登録申し込みが始まっており、締め切りは12月13日17:00。
現地は旧興銀の社宅跡地。エントランス部分からもっとも高いところまで約6mの高さがある傾斜地に位置しており、建物は内廊下方式で住戸は南向きと北向き。
外構や外観デザイン、設備仕様レベルが極めて高いのが特徴。道路に面した敷地南側の擁壁は石貼り。建物外観の基壇部は御影石、柱のタイルは縦張りとし、バルコニーの室外機を隠すために横ルーバーを配し、バルコニー天井は木目調のシート仕上げ。
住戸内の設備仕様は極力オプション仕様を少なくしているのが特徴。玄関・廊下床、巾木は大理石、キッチン・洗面カウンタートップ・トイレ手洗いカウンターは御影石かフィオレストーンの選択制。キッチンはユーティリティシンクを採用。三面鏡下のモザイクタイルも標準。浴室のカウンターにも御影石を採用。ドア把手は本革巻き仕上げ。
エントランスホール
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マンション単価が信じられないくらいどんどん上昇している。このマンションも高値追求するのかと思ったが、そうではなかった。その逆だ。さすが旧安田財閥といいたい。浮利を追わないデベロッパーがあっていい。
実は、この物件の存在は先週、別の取材で参宮橋駅に降りて初めて知った。一等地であるのはすぐわかった。もともとこの街が好きで、ひょっとしたら単価は500万円くらいするのではないかと思った。
モデルルームで同社の開発事業本部開発第四部第一課課長代理・渡辺淳氏に単価を聞いてその安さにびっくりした。確かに北向きの住戸の3階部分あたりまでは日照や眺望が期待できず単価は400万円以下というのは納得できるが、南向き住戸は、立地の希少性、設備仕様レベルの高さからいって坪500万円の価値は十分ある。
第1期26戸にはほとんど登録が入っており、抽選になる住戸もあるという。即日完売すると見た。
車寄せ
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正直に言うと、記者はもともと芙蓉グループが好きだ。マンション、ビルも(RBA野球も)トップグループから離されているが、欲を出さずマイペース。たまにドジも踏むが時としてとんでもないヒットも飛ばす。そんなところが憎めず好きなのだ。
同社もマンションの供給は多くないが、「ワテラス」では老舗の存在感を示した。今回の「参宮橋」は、新しいマンションブランド「レフィール」にしてから11棟目の物件で、ロゴ・デザインも一新したそうだ。どこかの一流ホテルに似ており、しっかり造りこみを行っているのにもその意気込みが伝わってくる。「参宮橋」のランドマークになるのは間違いない。
参考までに。芙蓉を含むみずほグループのデベロッパーの直近の売上高は同社が350億円、東京建物が2,300億円、ヒューリックが1,084億円、大成有楽不動産が1,037億円、日本土地建物が732億円。トータルで約5,500億円。野村不動産ホールディングスと同じくらいだ。
モデルルーム リビング
マンション管理協 居住者と管理組合の活動支援サイト立ち上げ
山根理事長
マンション管理業協会(管理協)は12月10日、マンションライフを豊かにしていく居住者や管理組合の様々な工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンを27年1月14日から開始すると発表した。
より良い管理やコミュニティ活動などを紹介するサイト「マンションのWa」を立ち上げる。
マンション生活で遭遇した感動的な体験や管理・コミュニティの重要性を考えさせる体験「マンションいい話」を管理組合や居住者から募集し、顕彰するコンテストを実施する予定。
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管理協は10日、恒例の年末記者懇親会を行ったが、「マンションのWa」を立ち上げた狙いは、冒頭に挨拶した山根弘美理事長の言葉にすべて込められていた。
山根理事長は「先日の大橋先生のお話にあったように〝管理業が分かりづらい〟実態が明らかになった。これは我々の責任。管理業をよく知っている居住者の方々は満足度が高く、より高次の管理を求めている。管理業を分かっていただける、プレゼンスを高める努力をしないといけないし、世間に対してもプレゼンスを高める活動を来年は行っていく」と挨拶した。
「大橋先生のお話」は別掲の記事を参照していただきたい。
植栽計画が見事 三菱地所レジデンス「追浜」全棟が完成
「ザ・パークハウス追浜」(右下は駐輪場の屋根緑化)
三菱地所レジデンスは12月9日、「ザ・パークハウス追浜」の全棟が完成したのに伴い完成披露内覧会を行なった。ランドスケープデザインが素晴らしいマンションで、現在分譲中の住戸の坪単価は120~130万円。土地代がただでも建たない安さだ。
物件は、京浜急行線追浜駅から徒歩10分、横須賀市追浜東町2丁目に位置する第一街区(A・B棟)・第二街区(C・D棟)・第三街区(E棟)の7階建て709戸の規模。専有面積は71.40~95.39㎡。企画・建築・設計・監理は安宅設計。開発設計・監理はクレアリア。施工は第一街区が三井住友建設、第二・三街区がフジタ、開発土木・エレベータタワーがフジタ・大豊建設。
2011年10月から第一街区のA棟(119戸)B棟(159戸)を分譲開始。2012年9月に建物は完成。引き続いて2013年3月から第二街区のC棟(128戸)D棟(207戸)を分譲開始。2014年1月にC棟が完成。同年6月にD棟が完成。同年7月から第三街区のE棟(96戸)を分譲開始。同年10月にE棟が完成。
これまでに709戸のうちA、B、C棟の全戸を含め664戸が完売・申し込み済み。E棟は12月18日から入居が始まる。
駐車場の上を緑化した中庭の庭園
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同社は分譲開始時にも見学会を行なっているので、そのときの記事を参照していただきたい。
完成した現地を見学してランドスケープデザインが優れているのに感心した。中庭に149台分の駐車場を設置しているのだが、その上約1,700㎡を緑化し庭園としていた。また、駐車場の壁面緑化をはじめ駐輪場や管理棟の屋根・屋上も緑化を図っている。 サクラ、メタセコイア、シラカシなどの樹木も成木を植えており、入居段階から街並みを整えている。
さて、売れ行き。追浜では同社のほか総合地所も総戸数420戸の「ルネ追浜」をほぼ同時期に分譲開始しており、双方で約1,130戸の戸数になる。常識的に考えてこのエリアの年間の需要量は200戸多くても250戸くらいが限度だろうと思っていたので、大健闘だろうと思う。
単価的にもここにきて相当の割安感がでてきた。完成したばかりのE棟は坪単価120万円だ。他の住棟が海や富士山、中庭など眺望がいいのに対して、E棟は南向きだが眺望が劣るので低い単価設定になっている。これから分譲されるマンションで、この単価より低い物件は首都圏では皆無だろう。D棟は残りわずかだが、単価は130万円。こちらは海の眺望が期待できるのでやや高い単価設定になっているようだ。
横須賀市の公認キャラクター「スカリン」も応援に駆け付けた
NTT都市開発他「ウェリス南流山」 半年で5割以上分譲済み 販売順調
「ウェリス南流山」完成予想図
NTT都市開発(事業比率55%)、大成有楽不動産(同40%)、長谷工コーポレーション(同5%)3社共同のマンション「ウェリス南流山(PROJECT D.N.A マンション街区)」(345戸)を見学した。7月の分譲開始からこれまで182戸を分譲済み。売れ行きは順調に推移している。
物件は、つくばエクスプレス線・JR武蔵野線南流山駅から徒歩8分、流山都市計画事業木地区一体型特定土地区画整理事業地内に位置する14階建て全345戸。専有面積は70.15²~91.97㎡、現在分譲中の住戸の最多価格帯は3,500万円台。坪単価は170万円。街並監修は南條設計室。竣工予定は平成27年8月下旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は住友不動産販売。
現地は約68.3haの区画整理事業地内の一角で、NTT都市開発が分譲することになっている分譲戸建て102区画との複合開発。戸建て街区にはマンションとの交流ができるクラブハウスを建設し、保育園を誘致する予定。
敷地に隣接して大型スーパー、ホームセンター、家電量販店が出展予定。小・中学校は徒歩1~4分。流山市が行っている駅前送迎保育ステーションも利用できる。
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売れ行きが気になっていた物件だ。つくばエクスプレス線では、三郷中央駅や流山おおたかの森駅、柏の葉キャンパスでは多くのマンションがこれまでも分譲されてきたが、この南流山駅圏ではほとんど見るべきものが供給されてこなかった。
現地は、千葉県住宅供給公社がバブル崩壊の影響を受けて財政破たんしたのに伴って千葉県が肩代わりして区画整理事業を行ってきたもので、柏の葉や流山おおたかの森などと比べ駅からやや距離があったため開発が遅れていたが、ようやくマンションなどが建設されることになった。
坪単価170万円というのはどんぴしゃり。もう少し着工が遅れていたらこの単価ではできないはずだ。おおたかの森とは単価差にして20万円はあり、その分価格が安く、広い住戸が買えるのが評価されているという。月に30戸のペースだから販売は極めて順調のようだ。
東京建物 目黒駅前の再開発タワーは坪単価600万円になるか
東京建物が来年のゴールデンウィークに分譲を開始するJR目黒駅前の再開発ツインタワーマンションはいったいいくらになるか-東京建物と東京建物不動産販売は12月3日、恒例の記者懇親会を開いた。記者の最大の関心事は「目黒」の坪単価がいくらになるかだったが、関係者は口をつぐみ言質を与えなかった。記者はアッパーで530万円くらいと見ているが、帰り際、何と業界紙の社長から「坪600万円で食事を賭けよう」と挑発された。賭けに勝ったためしはないが、ここで降りたら記者の沽券に係わる。賭けに乗った。坪600万円はありえないと思うが…。自信がなくなってきた。
このマンションの単価予想は別掲の記事を参照していただきたい。同社などが今年8月に起工式を行ったときに書いたもので、「記者がはじき出した坪単価は最低でも500万円だ。550万円と聞いても驚かない。さすがに600万円はないと判断した」とした。当時、坪単価について触れたジャーナリストや業界紙はないはずだ。
懇親会で記者は住宅担当の柴山久雄専務や花田務執行役員に正攻法では正解を引き出せないと判断し、からめ手から攻めた。しかし、両氏はにやにや笑うのみで一切ヒントになりそうな言葉は口にしなかった。
ところがだ。会が終わりになるころ、ある不動産ジャーナリストは「俺はもともと550万円と読んでいた」と確信的に話した。そして、冒頭の業界紙社長の挑発だった。柴山氏か花田氏かあるいは別の幹部がリークしたのか。謎だ。
資料請求受付から1週間で約7,000件に達しているというから、反響はものすごい。同社は八丁堀駅前の「Brilliaザタワー東京」も分譲する。「目黒」と「東京」で旋風を巻き起こすかもしれない。賭けに勝ったら最高級の酒を注文しよう。負けたら居酒屋で済まそう。
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懇親会で東京建物・佐久間一社長も種橋牧夫社長も業績や不動産市況などについては全然触れなかった。
佐久間氏は、ローレンス・クラウス著「宇宙が始まる前には何があったのか?」と、日本製紙の石巻工場が震災から操業再開までのドキュメンタリードラマ「紙つなげ!」しか話さなかったし、種橋氏は来年の干支「乙未(きのとひつじ)」について薀蓄を披露しただけだった。
東京建物 目黒駅前の再開発マンション坪単価は500万円超か(2014/8/22)
三井レジ他「パークコート渋谷大山町」 低層住宅街の大規模 単価は470万円
「パークコート渋谷大山町ザプラネ」完成予想図
三井不動産レジデンシャル(事業比率50%)と大林新星和不動産(同)JVマンション「パークコート渋谷大山町ザプラネ」を見学した。供給事例がほとんどない「渋谷区大山町」の第二種低層住居専用地域に位置する大規模マンションで、坪単価は470万円。アッパーミドル・富裕層の人気を集めるか。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急小田原線代々木上原駅から徒歩9分、または京王線幡ヶ谷駅から徒歩10分、渋谷区大山町に位置する敷地面積約6,000㎡の地下1階地上4階建て全131戸。専有面積は61.46~160.69㎡、予定価格は7,600万円台~3億6,900万円台。億ションは78戸。坪単価は470万円。入居予定は平成27年10月下旬。施工は大林組。デザイン監修は光井純&アソシエーツ建築設計事務所、植栽計画監修は愛植物設計事務所。敷地は日本生命の社宅跡地。12月6日から第1期1次の申し込みが始まる。
最大の特徴は立地条件のよさ。松涛、神山町、南平台、広尾、西原など渋谷区内でも数少ない低層住宅街の一角で、代々木上原駅との比高差約15mのヒルトップに位置している。代々木大山公園に近接しており、消防庁やJICAなどの独立行政法人の施設に隣接。幡ヶ谷駅へのアクセスは桜並木の旧玉川上水緑道が利用できる。
代々木上原駅圏でのマンション分譲はこの2年間で500~600戸くらいあるが、大山町では皆無。この20年間でも1~2棟しかなく、規模的には最大。
第二の特徴は、規模とデザイン。「パークコート」シリーズとしては今回が初の低層大規模物件で、同社の記念碑的マンション「パークシティ浜田山」でもコンビを組んだ光井純氏がデザイン監修を、愛植物設計の山野秀規氏が植栽計画をそれぞれ担当。
外壁には様々なオリジナル二丁掛タイルを貼り、植栽にはソメイヨシノや既存樹を取り込む。
建物は3棟構成。「悠邸」は全51戸のうち50戸が億ション。インテリアを担当した三井デザインテック・小野京子氏の3億6,900万円のモデルルーム提案が圧巻。リビングドアなどはオークの名栗仕上げ。玄関エントランスとモダンな「Chashitsu」ドアには天然石をスライスし、金や銀の箔を挟み込んだものを採用。幽玄な世界を演出しているのが目を引く。その他建具・面材にも自然石や突き板を多用しており、設備仕様レベルは「パークマンション」とそん色ない。
モデルルーム
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代々木上原駅圏のマンションは結構見学しており、ここ数年では野村不動産「プラウド上原」と、モリモト「ディアナコート代々木上原」が極めて好調な売れ行きを見せた。今回の物件は規模といい坪単価といい比較にならないほど大きくて高い。
これが懸念材料でもあるのだが、「パークコート」「パークマンション」は別格だ。「パークコート千代田富士見ザ・タワー」(505戸のうちうち分譲は425戸)は坪単価475万円で、平均は1億円だったにも関わらず瞬く間に売れたし、今年の「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(97戸)は坪単価725万円で、すべて億ションだったが、こちらも圧倒的な人気になった。
今回のマンションも、代官山や松濤などと比較すれば坪で100~200万円は安い。「パークコート」のブランド力を測る物差しとしては絶好の物件だ。
近くの旧玉川上水緑道
明和地所「クリオ横浜セントラル」 駅1分で坪単価は260~280万円
「クリオ横浜セントラルマークス」完成予想図
明和地所の「クリオ横浜セントラルマークス」を見学した。横浜市営地下鉄ブルーライン高島町駅から徒歩1分の全65戸で坪単価は260~280万円くらいになる模様だが、販売は好調に推移するか。
物件は、高島町駅から徒歩1分、またはJR・みなとみらい線・京急線・ブルーライン線横浜駅から徒歩10分、横浜市西区戸部町7丁目に位置する10階建て全65戸(分譲は57戸)。専有面積は55.78~82.74㎡、価格は未定だが、坪単価は260~280万円になる模様。入居予定は平成28年3月下旬。施工は大勝。
現地は駅から徒歩1分。敷地南東側にはマンションと同等の高さの建物が建っており、住戸プランは、南西向き、または北東向き。北東向き住戸は6階以上からはみなとみらいが展望できる。一部タイプはプレミアム仕様で、ミストサウナ、食洗機、食器棚が標準装備。キッチン天板はフィオレストーンを採用。
販売開始は来年の1月上旬。来年はみなとみらいで坪単価にして380万円くらい(400万円はなさそう)の物件も分譲される。みなとみらいとの比較はできないが、みなとみらいより坪100万円も安い駅1分の利便性がどう評価されるか。岸谷か3年前に取材したオリックス不動産の近接マンションは坪単価230万円くらいだった。
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リーマンショックの影響で業績が低迷していた同社がようやく負の資産処理を終えたようだ。同社は今年10月、平成27年3月期の業績予想を修正し、売上高は引き渡し物件が来期にずれ込むことから3.2%減の458億円となるが、マンションの販売が好調に推移していることなどから営業利益は5.9%増の36億円、経常利益は20.0%増の30億円、当期純利益は14.3%増の24億円に上方修正した。
中間期決算でも、今期の不動産売上高目標に対する進捗率は95.7%を確保するとともに、翌期引き渡し物件の契約残高も149億円積み上げることができたと発表。最後まで残っていた負の資産であるビルの売却も高値で売却できたようだ。
マンションの販売については、従来の全営業マンによる全物件の販売体制から各プロジェクトの販売体制に移項したことで、効率的な営業ができるようになってきたという。