首都圏マンションは年間4~5万戸が常態 落ち込む住宅着工
国土交通省は9月30日、平成26年8月の住宅着工動向をまとめ発表。新設住宅は73,771戸で、前年同月比12.5%減、6か月連続の減少となった。利用関係別の内訳は持家が24,250戸(前年同月比22.7%減、7か月連続の減少)、貸家が28,435戸(同3.8%減、2か月連続の減少)、分譲住宅が20,669戸(同10.3%減、7か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンションが10,188戸(同6.8%減、7か月連続の減少)、一戸建住宅が10,299戸(同14.1%減、4か月連続の減少)。
首都圏マンションは4,940戸(同20.3%減)で、都県別の内訳は東京都が3,577戸(同16.3%減)、神奈川県が747戸(同45.0%減)、埼玉県が520戸(同63.5%増)、千葉県が96戸(同61.9%減)。
国交省は、持家は昨年10月からの受注減が続き、分譲マンションは都心部でのマンションの適地が少なく、建築費の上昇など複合的な要因が着工減に影響を与えているとしている。
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これほど住宅着工が落ち込むとは思っていなかったが、中長期的な視点からすれば、首都圏マンションは年間4~5万戸(25年度は67,012戸)というのが適正な戸数ではないかと思う。大手デベロッパーの寡占が加速しており、中小デベロッパーはジリ貧の一途をたどっている。今後もこの図式は変わらない。
大手がカバーできないエリアは中古マンションなどがフォローする市場に移行するのではと記者はみている。
独身男性が家を買う時代 フージャース「府中多摩川」で見た不思議
「デュオヒルズ府中多摩川」
フージャースコーポレーションは9月26日、同社の分譲戸建て「フージャースアベニュー八王子グランドスクエア」と分譲マンション「デュオヒルズ府中多摩川」の記者見学会を行った。「府中多摩川」では驚くべきことが販売担当者から聞かれたので、こちらから紹介する。
このマンションについては、昨年の今ころ記事にしているのでそちらも参照していただきたい。物件は、京王線聖蹟桜ヶ丘駅からバス7分・徒歩6分、府中市四谷5丁目に位置する8階建て全187戸の規模。専有面積は65.44~91.18㎡。価格は2400万円台から。坪単価は138万円。竣工は平成26年2月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。昨年7月から分譲されており、現在、残りは約30戸。
バス便であるにも関わらず全187戸のうち残りは30戸という販売スピードに好調さがうかがえるのだが、記者が注目したのは単身者、とくに男性の購入が目立つという点だ。同社によると、購入者の14%が単身者で、このうち男性は15~16人。つまり単身者の約7割が男性だということだ。
物件概要でも分かる通り、同社は単身者をターゲットにしているわけではない。あくまでもファミリー世帯が対象だ。でなければわざわざ食洗機など標準装備しない。
にもかかわらず、ネットユーザーは「価格の安さと広さ」を求めてこのマンションを選んだということだ。
記者は昨年の記事でも「決してアクセスに恵まれているわけではない。しかし、価格が圧倒的に安い。普通のサラリーマンでもそれこそ〝家賃並み〟で取得できる価格帯だ」と書いた。坪単価138万円は、野村不動産の「オハナ」でも今後は供給できないと記者はみている。つまり土地代がただでも建たない価格だ。
だから、価格の安さを求める単身男性の考えはよく分かる。しかし、失礼ながらどうしてわざわざ聖蹟桜ヶ丘駅からバス便の物件を選ぶのか。これが理解できない。購入者は地元に縁もゆかりもない人が多いというからなお不思議だ。とりあえず二人でも住める広さの住まいを確保して、それを武器にして結婚相手を見つけようということなのか。
記者は郊外マンションを武器に結婚相手を探そうという戦略はやや甘いとも思う。独身女性は「駅近」「防犯」「商業施設」を最優先するはずだ。換金性・経済・資産性を最優先するのが女性だ。このミスマッチに双方とも結婚したくともできない理由があるのではないか。さらに言えば、〝家はかすがい〟にはならない。家以外にも何かが欠けているということだ。同社の女性担当者がドキリとすることを言った。「女性が男性に求めるものは思い遣りと計画性」だと。
まあ、しかし、単身者が住まいを確保するのは大歓迎。男性の女性化、女性の男性化が進んでいることや老後を国にも親にも頼れない将来不安と、独身男性が家を買うことは無関係ではないと思う。「女性のための快適住まいづくり研究会」が4年前、初めて「男子専科マンション購入セミナー」を行ったが、その後どうなったのか。こちらも興味がある。
昨年同様、この日も隣接する緑地には彼岸花がたくさん咲いていた
三井不動産レジデンシャル、女性向けサイト「モチイエ女子web」(2014/7/29)
フージャースコーポ 女性・子どもに優しい「府中多摩川」(2013/9/19)
大正解の初の「男子専科マンション購入セミナー」女性のための快適住まいづくり研究会(2010/3/26)
強まるバルコニーでの禁煙 「共同の利益」に反しないのか
最初に断わっておく。記者は1日に1箱だからヘビースモーカーではないが、酒と同様、タバコなしでは生きられないと思っている一人だ。他人に迷惑を及ぼさないようマナーには気を付けなければならないが、基本的に喫煙は人権だと思っている。そういう立場で、専用使用が認められているマンションのバルコニーなどでの喫煙の是非について書くことをご了承いただきたい。
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マンション管理業協会(管理協)が「平成25年度 苦情解決事例集」(A4判20ページ)を発行した。その中に「バルコニーでの喫煙と管理規約等との関係について」の所見が掲載されている。
そこには「喫煙は個人の趣味・嗜好であり個人の自由に委ねられるべき事項とする考えがある一方、タバコの煙が喫煙者のみならず、周辺で煙を吸い込む者の健康にも悪影響を及ぼす恐れがあること、一般的にタバコの煙を嫌う者が多くいること、喫煙場所を限定するビルや施設がかなり多くなっていること等は公知の事実でもあり、(管理規約)使用細則で制定するには不合理と解することは困難であろう」とし、「喫煙者からは強い反対も予想される…慎重に検討を進めるなど丁寧な対応が望まれる」としている。
つまり、バルコニーなど専用使用権があるバルコニーや専用庭などの共用部分での禁煙条項を盛り込むことは、しっかり対応すれば可能という立場だ。
管理協が管理受託している全国のマンションは約107,000棟、約551万戸だ。全ストック約601万戸の約92%を占める。この業界がこのような判断を下したとなると、今後バルコニーなど共用部分での禁煙が加速するのは間違いない。
さらに問題なのは、マンションを分譲するデベロッパーが原始規約で「禁煙条項」を盛り込んでいることだ。
記者はいくつかのデベロッパーに、原始規約にバルコニーなど共用部分での禁煙条項を盛り込んでいるかどうかを聞いた。
いやな結果を導き出すのは目に見えていたが、やはりその通りだった。「答えられない」とするデベロッパーもあったが、「共用部分等において喫煙をしてはならない」「火器使用禁止」としているところがほとんどのようだ(ライターが火器かどうか疑わしいが)。その是非をめぐって社内で激論が交わされたところもあるが、容認派は否認派に押し切られたようだ。
区分所有法における「共同の利益」とは、タバコを吸う人も嫌いな人も双方の権利を最大限に生かすことで、規制でもっていずれかの権利を抑制することではない。本来的に多数決論理はなじまないはずだ。賛否両論が存在する場合は、原始規約などで定めず、居住者の判断に委ねるのが筋ではないか。
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マンションデベロッパーも管理会社も「コミュニティ支援」「絆」が大きなテーマになっている。大変結構なことだ。しかし、その一方でコミュニティを分断し、無縁社会を助長してきた責任の一端もあるのではないかと記者は考えている。
端的な例はペット条項だ。かつてほとんどのマンションはペット飼育不可だった。20数年前、記者は「横浜ペット裁判」を取材したが、共同住宅でもペット飼育は可能と考え、「ペット飼育を認めるべき」と主張した。しかし、当時の大手管理会社各社は「規約」を盾に首を縦に振らなかった。その後、「ペット不可は人権問題」という批判の高まりや、販売促進のためにペット飼育を可とした。ペット飼育者の人権を考えてではなかったことを指摘したい。
苦情に対する対応もしかり。上下階の音、ピアノの音、風鈴の音、スズムシの音、新聞配達の音、廊下を歩く音、ハイヒールの音などがうるさいという苦情に対して管理組合(管理会社)は「ルールを守りましよう」としか言わない。事なかれ主義を貫いている。結果、〝向こう三軒両隣〟〝秋深き 隣は何をする人ぞ〟は完全に死語と化した。
このままではマンションはそれこそ息をひそめなければならず、息がつまることになりはしないかと危惧している。
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嫌煙運動に対する反論もしておく。まず「健康」について。タバコががんなど疾病の原因になりうることは承知している。しかし、厚労省などの「疫学」を基にした指摘は納得できない。吸う人と吸わない人の病気の発症率は根拠が希薄だ。車の排気ガス、大気汚染、酒の飲みすぎ、甘い物の食べ過ぎ、ストレス、遺伝などの要因もあるからだし、そもそも閾値(いきち)など存在しないではないか。
そんなに健康を考えるのなら、車の排気ガスの規制強化、食品・清涼飲料水の砂糖の含有量規制や課税も行ってはどうかと思う。
「受動喫煙」について。これは喫煙者も気を付けなければならない。病気との因果関係がはっきりしないにしろ「嫌い」と言われればそれまでだ。嫌われないようマナーは大事にしなければならない。マンションなどでは喫煙者と非喫煙者が日常的に気楽に話し合える場を確保すべきだろう。クレームの原因のほとんどはコミュニケーション不足にある。
もう一つ、タバコの税金について。税率は国税と地方税、消費税込で約65%。1日に1箱420円のタバコを吸うと年間では約10万円の税金を納める計算だ。平成26年度の税収予算額は2兆1,385億円だ。住宅メーカー大和ハウスの売上高2兆7,000億円(26年3月期)には及ばないが、農水省の26年度予算額2兆3,000億円とそれほど変わらない。
こんなことを書くと、喫煙による経済損失を言う人もいるが、全然説得力がない。屁理屈としか思えない。最近、宮崎駿監督の「風立ちぬ」に喫煙シーンがあるとクレームをつけた日本禁煙学会は単に目立とうとしただけではないのか。
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視点を変えてタバコは文化について。チャーチルやマッカーサーのパイプ姿に屈辱感や劣等感を感じたのは記者だけではないだろうが、吉田茂のパイプは様になっており、チェ・ゲバラ、カストロは当時の時代の空気を映した。タバコをくわえる松本清張は絵になった。
小説・エッセーでは、開高健には「たばこの本棚」というアンソロジーがあるし、團伊玖磨は「パイプのけむり」を何年にもわたって書き続けた。同世代作家、白川道氏の小説には必ずと言っていいほど喫煙場面が登場する。
映画もそうだ。わが国の昔の映画もハリウッド映画も小道具として必ずタバコが使われた。オードリー・ヘップバーンは名作「ティファニーで朝食を」でタバコを吸ったではないか。これはガムでは具合が悪い。絵画もしかり。江戸時代の美人画にはキセルが粋な姿として描かれているし、セザンヌ、ルノワールもパイプをくわえた人物画を描いている。
このようにタバコは、良し悪しはともかくわが国にしっかり根づいている文化だ。度を越した禁煙・嫌煙運動は日本文化の否定につながる。マンションデベロッパーや管理会社はその流れに乗ろうというのか。
市街化区域編入から44年 稲城・南山の区画整理で分譲開始
「スカイテラス南山」全景
市街化区域に編入されてから44年、開発をめぐって賛成、反対の論議が繰り返されてきた稲城市の「南山東部土地区画整理事業」地内のマンションがいよいよ分譲開始される。9月24日、最先端の都市生活のトレンドを話し合う「GOOD DISTANCE東京メディアセッション」で野村不動産の担当者などが参加して同区画整理地内の「スカイテラス南山」の新しい街づくりが提案された。
「南山東部土地区画整理事業」は、京王相模原線の稲城駅と京王よみうりランド駅のほぼ中間にあり、稲城市の南東部に位置する丘陵地。開発面積は約87ha。平成18年に組合の設立が認可された。総事業費は408億円。組合員は260人。減歩率は68%。宅地は約2,500区画の予定。「スカイテラス南山」は区画整理事業の愛称。野村不動産は参加組合員としてマンション・戸建て約1,000戸を分譲する。
同セッションには、野村不動産・東伸明氏、稲城市役所都市建設部市街地整備課長・吉岡博文氏、一般社団エリアマネジメント里山・宇野健一氏、首都大学東京都市環境学部准教授・川原晋氏、ファッションディレクター・千場義雄氏などが参加。
東氏は、開発まで複雑な経緯をたどってきたことから「周回遅れのトップランナーとして、また、社会の基盤になる街づくりを行うソーシャルデベロッパーとして市民活動を支援するクラブハウスの設置や、新しい形の自治を形成することを提案していく」と語った。
宇野氏は、「ボランティア・スピリットだけでは限界がある」とし、エリアマネジメント手法をつかって緑化事業、地権者の土地活用支援、木質バイオマスの採用、コミュニティ支援活動などを行い事業として街の価値を高める活動を行っていくと話した。
吉岡氏は、稲城市が「主婦が幸せに暮らせる街ランキング」(学研パブリッシング発行の雑誌「aene」)で全国2位になったことを報告。市民参加型のいい先例となるよう街づくりを支援していくと語った。
「プラウドシティ南山」完成予想図
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この区画整理事業については、これまで数回取り上げてきたのでそちらの記事を参照していただきたい。マンション「プラウドシティ南山」は京王相模原線稲城駅から徒歩6分の全412戸。80㎡台が中心で、価格は未定だが坪単価は180万円前後に落ち着く模様だ。9月28日には街づくりを紹介するイベントでモデルルームも公開されるので見学してレポートしたい。
どうでもいいことかもしれないし、稲城市にケチをつける気は毛頭ないが、稲城市が「主婦が幸せに暮らせる街ランキング」で全国2位になったことについて一言言いたい。稲城市が全国2位なら、どうして隣接するわが街・多摩市はそれを上回らないのか。全国上位50にも入っていない。
ランキングは、「主婦の幸せ度を『HQ(=Happy Quality)』と名付けて数値化。そして『暮らし』『家族』『お金』『食費・健康』『モノ・趣味』の5つの指標に関する幸せ度を全国の市ごとに偏差値化し、『主婦が幸せに暮らせる街』を導き出したという」(同誌)が、そんなものが数値化できるはずはない。「偏差値教育」に毒された人のやることだ。
もう一つ。同セッションは二部構成で、一部で行われた「ファッションと住まいからみたライフスタイルの変化と最新のライフスタイル」がいま一つよく分からなかった。
それぞれ1920年代から現代までの変遷をたどり、2020年の未来を予測するものだが、文化やファッションが住まいにどのような影響を及ぼし、また逆に住まいや住宅設備機器は文化やファッションをどう変えたかの関係性があまり語られなかった。
そこで提案された「都市と距離感を保ったイマドキな家族」像も紹介されたのだが、夫は気持ちの良いLA風のTシャツに高級腕時計、スウェット腰巻き、腰ではくタイプのデニム、PRADAのスリップオープンスニーカー、妻はラルフローレンのシャツ、カルティエのサントス、エルメスのバーキン、ユニクロのjeans、todsの靴という姿だ。
記者はブランドにまったく興味がないが、エルメスのバーキンは100万円以上、カルティエのサントスも数十万円から数百万円するという。一般サラリーマンが購入できる住宅は4,000~5,000万円が限度だ。
まさか「南山」のマンションはそのような家族がメインターゲットではないだろうが、ひょっとするとそのような層も取り込もうという狙いはあるかもしれない。
「都市と距離感を保ったイマドキな家族」像
「GOOD DISTANCE東京メディアセッション」参加者
街は一変するか 相鉄不動産他「グレーシアシティ川崎大師河原」
「グレーシアシティ川崎大師河原」完成予想図
相鉄不動産(事業比率50%)、ジェイアール西日本不動産開発(同20%)、西日本鉄道(同10%)、長谷工コーポレーション(同20%)の4社JVマンション「グレーシアシティ川崎大師河原」を見学した。一般には馴染みのない京急大師線産業道路駅から徒歩4分の全558戸の大規模物件で、坪単価は168万円。再開発の将来性をどこまでアピールできるかが販売のカギを握っている。
物件は、京急大師線産業道路駅から徒歩4分、川崎市川崎区大師河原二丁目に位置する15階建て全558戸。1期(100戸)の専有面積は68.70~90.12㎡、価格は2,938万~5,168万円(最多価格帯3,400万円台)、坪単価170万円。竣工予定は平成28年4月中旬。引き渡し予定は同年6月末日。施工は長谷工コーポレーション。9月19日から販売が始まっている。
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記者はこれまで首都圏の300駅くらいはマンションや戸建ての取材で降り立っているはずだが、今回の「産業道路」駅は初めてだった。現地は正直に言えば、駅名そのもの産業道路や高速道路が走り、工場街そのもの。現地はマンションの跡地。
弾いた坪単価は170万円だった。160万円くらいだったら飛ぶように売れるだろうと思ったが、最近の建築費の上昇をかんがえるとやはり160万円台では無理だと結論付けた。坪単価168万円は心憎い価格設定だ。
最大の特徴は再開発による将来性だ。市の「多摩川リバーサイド地区整備構想」の一環として約3.4haの「産業道路駅駅前地区計画」が都市計画決定されており、駅舎は平成30年度までに地下化が予定され、駅前も交通広場として整備される予定になっている。具体的な計画は未定だが、隣接する住宅やビルなどが混在する「C地区」も再開発の予定地になっている。
そうなれば街は一変するはずだ。現在の「徒歩4分」の広告表示も「徒歩1分」になるのではないか。マンションの敷地内には都市型小型スーパー、認可保育所も開設される予定。
この利便性をどこまでアピールできるか。1期は大量の100戸。販売担当者は「竣工まで完売? もちろん」と自信を見せていた。90㎡台で価格が5,000万円台の住戸(15戸)が人気だとか。
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京急大師線など全然知らないという方に少し沿線のマンション市場について紹介する。
その一つ、「産業道路」駅より1駅手前の「東門前」駅は、これまで結構取材している。リーマン・ショック前の2008年に分譲された「フォレシアム」(777戸)は坪単価180万円だったが瞬く間に売れた。当時、業界でも話題になったほどだ。
2010年には「鈴木町」駅前の「パークホームズグランファースト」(308戸)がわずか3か月で完売した。
「川崎」駅から1つ目の「港町」駅前では京浜急行と大和ハウスによる大規模マンション「リヴァリエ」も3年前から継続して分譲されている。
これらの記事と合わせ読んでいただければ、沿線の市場が少しは分かっていただけるはずだ。
それにしても「産業道路」という駅名はいかがなものか。住民からも名称変更の要望があるようだが、京浜急行はどうするか。駅員に「地下化されたら駅名も変わるんですか」と聞いたら、「変わりません」というつれない返事が返ってきた。本社広報に聞こうとしたが、受付で「申し訳ございません。そのようなことは聞いておりません」と言われた。そこで「花月園前はどうですか。競輪場はなくなりましたよね」と聞いたが、やはり答えは同じだった。
期待通りの京急・大和ハウス「Riverie(リヴァリエ)」(2011/6/3)
大成有楽不など プロ野球観戦イベント コミュニティがテーマの「横浜鶴見」
「オーベルグランディオ横浜鶴見ナイター」
大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社は、現在販売中の新築分譲マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(横浜市鶴見区・総戸数553戸)の契約者160人を無料招待し、地元の横浜DeNAベイスターズを応援するプロ野球の冠試合「オーベルグランディオ横浜鶴見ナイター」を8月31日(日)に横浜スタジアムで開催した。
現在販売中の「オーベルグランディオ横浜鶴見」はマンションコミュニティを重視して、「交流の輪を、入居者に地域に都市に広げ、ともにコミュニティを育むこと」をテーマに、これまでの集合住宅にはなかったコミュニティ支援プログラム「マチトモ」プロジェクトを企画。地域の団体・企業の協力のもと、入居者間の交流に加えて地域との交流、多世代間の交流を実現することを目指している。
今回のイベントは「マチトモ」プロジェクトの一環で、協賛企業の一社である横浜DeNAベイスターズと共同で開催した。
マンション入居後も、横浜DeNAベイスターズとのコラボによる入居者対象の「プロ野球観戦ツアー」や、マンション内で開催する横浜DeNAベイスターズのマスコットとオフィシャルチアチームによるイベントを予定している。
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デベロッパーのプロ野球の冠試合観戦イベントは、三菱地所レジデンスが東京ドームで昨年と今年行なったのを取材している。
野球ファンの記者も、こうしたイベントをどんどんやって野球ファンを増やしてほしいと思う。もちろん入居者同士の交流を促し深めるためにも有効だろう。
横浜DeNAベイスターズのスタメン選手からユニフォームにサインをもらう「スタメンキッズ」
マンション購入者による選手への花束贈呈
マンションの玄関ドアに引き戸は採用できないか
先日、ポラス中央住宅が分譲する板橋区のマンションを見学したが、玄関ドアはリモコンで開閉できるようになっており、カギ穴なしが採用されていた。これまでもカギ穴なし玄関ドアは見たような気がするが、そこで今回は玄関ドアについて考えてみた。
カギ穴なしの玄関ドアの是非はさておくとして、1964年完成の「川口アパートメント」(83戸)や1976年に建設された全892戸の「ニューステートマナー」、高級賃貸の「ホーマット」シリーズなどの玄関ドアは内開きだったように、現在はほとんど100%と言っていいくらい外開きになっていることの是非についてだ。
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外開きか内開きかを考える前に、建築基準法など現行法ではどのような規定になっているか見てみた。
建築基準法施行令第百二十五条2には「劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない」とある。
また、東京都の火災予防条例第五十四条三では、「避難口又は地上に通ずる主たる通路に設ける戸は、容易に開放できる外開き戸とし、開放した場合において、廊下、階段等の幅員を有効に保有できるものとすること。ただし、劇場等以外の令別表第一(マンションなどの共同住宅を含む)に掲げる防火対象物について支障がないと認められる場合においては、内開き戸以外の戸とすることができる」となっている。
このほか、高齢者や身体障害者などが円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)に関して東京都はQ&Aの形で「共同住宅の出入口は開閉動作の難易度からみると、引き戸が開き戸より簡単である。一般的に推奨される順位としては、1自動式引き戸、2手動式引き戸、3開き戸の順である」「共同住宅の住戸は利用居室に該当しないため利用円滑化経路に係る規定は適用されない」としている。
つまり法律では、不特定多数の人が利用する施設は避難方向にドアが開くようにしなければならないよう定めているが、マンションなどの共同住宅の専有部への出入口となる玄関ドアについては規定がない。建築物の適合性を審査する建築主事や建築基準適合判定資格者の判断に委ねられているのが現状だ。
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以上みたようにマンションの玄関ドアを外開きにしなければならない法律上の規制はない。ある自治体の担当者は「常識」といい、別の担当者は「外開きは避難時に有効で、防犯上は内開きがいい」と話した。
つまり、劇場や映画館と同様、建築基準法施行令や火災予防条例などに準拠して施主や設計者が自主判断で外開きにしているのであって、管轄する行政担当者なども「常識」に従ってそう指導しているということになる。ホテルがほとんど内開きになっているのは、防犯・安全性を考慮したというより、欧米の様式をそのまま取り入れたのに過ぎないのではないかと思う。
ここでは、ドアは引くより押すほうが力を入れなくて済む、内開きにすると外から雨やほこりが浸入しやすい・沓脱スペースが有効に使えない、外開きは通行・避難の邪魔になるなど巷間言われていることについては触れない。いちいちごもっともだし、どちらに軍配を上げるような問題でもない。
最近のマンションの玄関にはアルコーブが付いているので、外廊下を歩いている人に怪我をさせるようなことはほとんどない。では内開きがどうかだが、ドアの機密性が高まっているので内開きでも雨水やほこりが室内に入ってくる心配もしなくていい。むしろ、戸建てなどは水害時にドアが開かないというニュースを見ると、内開きがいいともいえる。記者はもう20年以上も昔、千代田区の高級マンションで内開き玄関ドアが採用されていたのを見ている。
そんな内か外かではなく、高齢者や身体障害者はもちろん大人も子どもも使い勝手がいい引き戸がいいのではないかということをいいたい。
実際、積水ハウスは今年1月発売した自宅や賃貸住宅、店舗などの多様な用途に対応する4階建て複合型多目的マンション「BEREO PLUS(ベレオプラス)」に引き戸を提案することを盛り込んだ。記者はそのとき〝これは分譲マンションにも採用できる〟と考えた。
ユニバーサルデザインの視点からも玄関ドアについて考えてみる価値はあるのではないか。引き戸にすればアルコーブ-玄関がパブリック、プライベートの中間的な空間として利用できるのではないか。横入りタイプにすれば玄関を開けたらリビングが丸見えということも防げる。「常識」を疑ってみることも必要だ。
高齢者向けはともかく集合住宅向けの玄関引き戸はないのかと思ったが、そうではないようだ。三和シャッターが14年前から「BL玄関引き戸」を販売している。開き戸と比べて単価は高いようだが、最近は月間30枚くらい売れているそうだ。
ポラスの新ブランド「ルピアコート光が丘公園」〝新価格〟でどう挑む
「ルピアコート光が丘公園」完成予想図
ポラスグループの中央住宅マインドスクェア事業部は9月4日、同社の分譲マンションの新ブランド〝LEPIA COURT(ルピアコート)〟の第一号物件「ルピアコート光が丘公園」の見学会を行った。光が丘公園に徒歩3分の立地で、価格は未定だが〝新価格〟になるのは間違いない。
物件は、東武東上線成増駅から徒歩10分、東京メトロ有楽町線成増駅から徒歩8分、板橋区赤塚新町に位置する5階建て全50戸。専有面積は59.81~84.60㎡、価格は未定だが70㎡台で5,000万円を超える予定。完成予定は平成27年3月上旬。設計・監理はジェイ・ディ-・エス。施工は川村工営。販売代理は東京中央建物。10月中旬から販売開始する。
「LEPIA COURT」とは、フランス語の定冠詞「Le」と「Utopia」(理想郷)を繋いだ造語で、「宮廷」を意味する「COURT」を合わせ「理想の空間」をコンセプトにしたもので、木の温かみを盛り込んでいる。
商品企画は、50戸のうち54%にあたる27戸が角住戸タイプで、実用新案取得のピアキッチン、ライトコート付き、奥行き3mのテラス付き、新しい提案を盛り込んだ中和室付きなどが特徴。食器棚は標準装備、引き戸は開閉ともソフトクローズ機能付き。
また、スマートキーシステムを採用し、カギ穴がない玄関ドア、不在でも玄関まで食品を届けるサービスも盛り込む。
発表会で同社マインドスクェア事業部長・金児正治氏は、「従来のブランド〝ライフピア〟を残しながら、あるべき姿を提案するために新ブランドを立ち上げた。戸建て採用している木の素材を取り入れた。まだまだ足りない部分があるか今後進化させたい。3年後には現在30億円のマンション事業を100億円に、主力の戸建て事業を150億円にして合計250億円にしたい」などと意気込みを語った。
「ピアキッチン」
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金児氏は冒頭、「挨拶は5分間の予定になっているが、それじゃ終わらない」と前置きし8分にわたってマンション、戸建て事業のほかジョイント・ベンチャー、リノベーション・リファイニング、再開発、建て替えなどについて語った。
ここでは一つひとつについて触れないが、ポラスが本格的な戦いを挑むという意思表明と受け取ることができる。だからこそマンションブランドに定冠詞「Le」をつけたのだろう。ここ数年、同社がアピールしているピアキッチン。これに似たものは億ションのモデルルームで採用されていたようにスグレモノだ。モデルルームにはないが中和室の提案もなかなかいい。引き戸、鍵穴なしの玄関ドアもしかり。問題はこれらの商品企画をどうユーザーにアピールするかだ。
「価格は未定」と担当者が強く言ったのでここでは書かない。2~3年前に成増駅前で分譲されたマンション坪単価より高いということにとどめておく。
ポラスだから言うのだが、あえて注文もつけたい。気のぬくもりがコンセプトになっているはずだが、本物の木が採用されているのはピアキッチンのみだ。床のフローリングは無垢材と見まがうほどではあったが、シート張りだった。同社の戸建てでは無垢のフローリングは常識だ。それなのにマンションはどうしてそれをやらないのか。「傷がつかないから」というのは、本物が採用できないデベロッパーの言い訳だ。
さらにもう一つ。これは他のデベロッパーも考えてほしい。モリモトのマンションについてだ。同社は8月8日付で「ディアナコート本郷弓町」(分譲40戸)が完売したとホームページで公開した。販売開始から2カ月くらいしかたっていないはずだ。
詳細は別掲の記事を参照していただきたいが、徒歩4分で坪単価は410万円。4年前、野村不動産が東大赤門前で分譲したマンションの坪単価は360万円だった。
分譲時期は異なるが、「プラウド」と互角以上の勝負をモリモトはやった。しかし、モリモトがここまで来るまでに20年かかっている。建築費を価格に転嫁しただけではユーザーを納得させることはできないということだ。
「中和室」
あっぱれ!モリモト階数を2層分減らし天井高2.7m確保「本郷弓町」(2014/5/23)
大成有楽不動産「オーベル志村城山」全67戸が2カ月で完売
「オーベル志村城山」完成予想図
大成有楽不動産は9月2日、都営三田線志村坂上駅から徒歩3分のマンション「オーベル志村城山」(全74戸のうち分譲67戸)が5月29日の販売開始から約2カ月で完売したと発表した。
専有面積は62.29~101.68㎡、価格は3,690万~7,490万円(最多価格帯3,800万円台・5,000万円台・5,100万円台)。問い合わせ件数は約1,100件、総来場者は約500件。
同社は人気の要因として、「『志村坂上』周辺エリアにおける一等地にふさわしいハイスペックな商品企画を採用した」ことを上げている。
契約者の属性は、現居住地は板橋区が44.8%、年齢は30歳代が44.8%、40歳代が25.4%、家族構成は夫婦と子ども52.5%、夫婦27.1%、居住形態は賃貸マンションが49.2%、社宅・官舎が28.6%、自己資金は1,000万円以上が53%、年収900万円超が37%。
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早期完売は当然だと思う。アッパーミドルをターゲットにしたのが大正解だろう。
このマンションについては4月に取材しているので、その記事を参照していただきたい。記事では「モデルルームは100㎡のオーダータイプ。同社のオリジナル商品を開発していく取り組み『O-range LABO(オレンジラボ)』から生まれた『オレンジ収納』をフル装備しているほか、大理石、御影石をふんだんに用いている。キッチンシンクはユーティリティシンクを採用。ドア把手は壁面から出っ張らないようセットバック。物干しポールをリビングに取り付けている」と書いた。
「立川」に続き「京急蒲田」 駅直結の威力まざまざ野村不動産
「プラウドシティ蒲田」完成予想図
野村不動産・住友商事の「プラウドシティ蒲田」を見学した。野村不動産のマンションでは先に驚異的な売れ行きを見せた「プラウドタワー立川」と同じ、駅とペディストリアンデッキで結ばれた「駅直結」の再開発マンションで、単価も人気も同じ展開になりそうだ。
物件は、京浜急行線京急蒲田駅から徒歩1分、大田区蒲田4丁目に位置する20階建て全320戸(分譲は161戸)。専有面積は38.25~101.50㎡、1期(予定120戸)の予定価格は3,599万~11,999万円(中心は5,000万円台半ばから7,000万円台)。設計・監理はアール・アイ・エー。施工は東急建設。竣工予定は平成27年12月下旬。第1期分譲は9月13日(土)の予定。
再開発計画が持ち上がったのは1996年。京急線の連続立体交差事業計画に伴って地元、行政が一体となって「けいかまみらい2025」を提案。2009年に再開発事業の都市計画決定がなされ、野村不動産が参加組合員に決定。その後、2013年に住友商事が参加組合員に加わった。
4層からなる駅舎とは2階部分のペディストリアンデッキで結ばれ、建物の地下1階から3階までは生活利便施設が整備される。
建物はコの字型で、南東向きと北西向きが中心。スケルトン・インフィル(SI)、制震構造が採用されている。
商品企画では、キッチンカウンターは御影石、ディスポーザー、食洗機が標準装備。浴室の床は畳のように柔らかく、ヒヤッとしないTOTOのマンションでは初採用の「ほっカラリ床」が採用されている。
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見学に出かけるとき、同行してもらう同社の広報マンと新宿駅でばったり出くわした。その道すがらマンション市況やら景気のことやらを話したのだが、「蒲田」の物件にふさわしく広報マンに「カマ」を掛けた。「蒲田と言っても京急ですからね。私はJRと必死で戦っている京急が好きですが、まさか坪300万円はしないでしょうね」と。広報マンは「そんなに安くない」と記者を一蹴した。
現地の販売担当者からは「坪単価は書かないで」と言われたのでここでは書かないが、坪単価は300万円をはるかに突破し、「立川」の340万円よりは安いととどめておく。
しかし、京急蒲田が国際空港・羽田と5分でつながり、品川へ6分、リニアが開業すれば名古屋へも1時間くらいになると考えれば、この単価はあり得ない単価ではない。
今から4年前、JR大森駅から徒歩6分、京急大森海岸駅から徒歩3分の「免震」と「外断熱」の両方を兼ね備えたナイス「アルシア大森」(36戸)は坪単価279万円だったが瞬く間に売れた。それとの比較からしても第1期で120戸供給というのも納得できる。
それにしても「立川」に続き「京急蒲田」でも野村不動産は「駅直結」の威力をまざまざと見せつけた。これはすごい。