UR賃貸 新TV-CMに女優の吉岡里帆さん 部屋探しキャンペーン
UR賃貸の新TV-CM
都市再生機構(UR都市機構)は12月16日、UR賃貸住宅の「春のお部屋探しキャンペー ン」と「4つのメリット」を紹介する新TV-CMを全国で放映開始した。
CMは女優の吉岡里帆さんを起用。15秒という短い秒数の中で「UR」をいかに印象的に伝えるかを考え、「URであーる。」という韻を踏んだキャッチフレーズで展開する。
UR賃貸住宅は12月16日(金)から平成29年3月31日(金)までの期間、「春のお部屋探しキャンペーン」を実施する。期間中に対象物件を申し込むと、最大2カ月分の家賃が無料になるフリーレントや、最大5年間家賃が割引となるキャンペーン家賃を適用する。
詳細はURの窓口、もしくはWEBサイトhttp://www.ur-net.go.jp/sumai/campaign/ へ。
「中古市場は未成熟」と言われて悔しくないか 中古市場関係者は反撃を
業界紙「週刊住宅」12月12日号に「中古住宅市場は未成熟? 」という見出しのコラム記事が掲載されていた。不動産コンサルタント・畑中学氏の連載記事で、見出しには「?」マークがついているように、畑中氏はそうではないと仰っている。それでも正面切って「?」を突きつけられると、改めて考えざるを得ない。それだけこの記事はインパクトがあった。
以下は、中古住宅市場に疎い、門外漢の記者の的外れの指摘かもしれないが、だからこそ見えてくる市場の問題点・課題について率直に書いた。
いったい誰が「中古住宅市場は未成熟」と言っているのか。すぐわかった。
「日本の中古住宅流通やリフォーム市場は欧米に比べて未成熟であり、住宅流通に占める中古の割合は13.5%、住宅投資に占めるリフォームの割合は27.2%に過ぎない」(住宅の長寿命化に向けた研究の取り組み)のように、あらゆる中古住宅市場データにこのような文言が見つかる。流通量が少ない=未成熟という意味で使われている。
「未成熟」は「未熟」「稚拙」を連想させる。記者の取材フィールドは新築市場だが、仮に「新築市場は未成熟」などとレッテルを張られたら黙っていられない。〝玉石混交〟くらいは許せるし、記者もそう思っているが、そんなことを言われたら徹底抗戦する。
なのに、畑中氏は別として、この「未成熟」に異論を唱える中古市場関係者は意外と少ないようだ。全国10万会員を擁する全宅連は「未成熟」と言われてなんとも思わないのか。
流通量が少ない=未成熟という短絡的な決めつけは、一方では、建築後20年で建物の価値がほぼゼロになる「新築」の粗製乱造市場を「成熟市場」とみなすことにつながらないか。中古の未成熟だけを問題視し、新築の問題に目をつぶるのは山を見て森を見ないのと一緒だ。
では、本当に中古住宅市場は未成熟なのか。記者は全くその逆だと思う。
少なくとも「不動産業」が業として成立したのは100年以上も前だ。「周旋屋」時代を含めれば江戸時代にさかのぼるはずだ。当初は新築販売、中古仲介、貸家・貸間あっせんなどに区分する認識はなく、不動産に関するすべてを業として扱うのが不動産屋だったはずだ。
記者は座学者でないからわからないが、この不動産屋が扱う商品によってデベロッパー、仲介業者、賃貸管理業者などに分化されたのは、消費者側からの要請というより商品供給サイドの都合によるものではないか。
その流れを作ったのは間違いなく高度成長期の大量供給・大量消費だ。絶対的な住宅不足を解消するため、日本住宅公社は郊外に大量の賃貸マンションを建設し、大小のデベロッパーが入り乱れてマンションや建売住宅を供給した。
悲劇的だったのは、海外から〝ウサギ小屋〟と揶揄されたように質が二の次にされたことだ。土地神話が「新築」偏重を加速させた。
質に耐えないものは取り壊され、また装いを新たにして「新築」が供給されてきた。住宅市場の歴史はその繰り返しではないか。この構図を確固たるものにしたのはデベロッパーそのものだ。その過程で「中古」は「新築」より劣るとイメージづけされてきたのではないか。
この構図を補強したのが、「新築のほうが気持ちいい」「中古は問題が多そう」「中古は心理的に抵抗感がある」などのアンケート調査だ。
記者は、そもそもこの種の二者択一的な設問の仕方に賛成しかねる。高額で人生を左右しかねない商品選択の問題なのに、「好き」とか「嫌い」とかで選択を迫るのはあまりにも乱暴だ。どのような階層の人がどのような立場で答えるかが問題で、足してその数で割って数値化したところで問題をえぐり出したことにはならない。
不思議なのは、「気持ちがいい」とか「心理的に抵抗感がある」という答えをどうして深く掘り下げないのかということだ。「新築のほうが気持ちいい」という言葉は、果たして「中古は気持ちが悪い」につながるのか。入退去が頻繁に繰り返される「賃貸」はどうなるのか。「気持ちが悪くなる」ものを造り続けているのではないか。
いま、国土交通省と一部の業界ではイメージが悪い「中古住宅」の呼称を変更しようとする動きがある。この問題について、あれほど宅建取引主任者の呼称変更に多くのエネルギーを注いだのに、メディアは冷ややかで等閑視している。
記者はとことん論議すべきだと思う。なぜ中古はイメージが悪いのか、消費者の深層心理に深く踏み込んで解明し、打開策を探るべきだと思っている。
卑近な例で申し訳ないが、「新築」「中古」の対比は、男社会からみた「処女」「非処女」の考えと通底すると見ている。いずれも強い立場の側が勝手につくり出した構図ではないか。先にも書いたように、新築住宅を売るために、何の根拠もないのに「中古」=「非処女」と同じようにデベロッパーがシナリオ、幻想を描いたのではないか。その幻想を消費者はずっと刷り込まれてきた。
この呼称問題について、三井不動産リアルティ会長・竹井英久氏らが「新築があるから中古になる。新築の呼称をやめ、中古住宅の中古を取ればいい」と語った。これは正鵠を射る。そうなれば、新築も中古も分譲も賃貸も同じような選択肢になる-これこそが望ましい社会ではないか。
「新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換」は、これまでのわが国の住宅政策をきちんと総括しないと、「新築」のツケを消費者と仲介業者に払わせることにならないかと危惧する。
いまこそ、中古(または既存=キゾン)住宅市場関係者は総反撃を開始すべきだ。
◇ ◆ ◇
以上、取り留めなく書き連ねてきた。記者のこの考えを補強したのか、逆に誤っていることを指摘したのかよくわからないが、不動産流通業界通の記者が「まともな仕事をしている仲介営業マンは、新築営業マンよりもレベルははるかに上です。なぜなら、新築営業マンは『そのマンションを売る』のが仕事ですが、仲介営業マンは一人ひとりのお客さんの事情に合わせ、市場にある数多の物件から、ふさわしいものを選び出す。しかも、それらは一物一価で程度もまちまち、売主もまちまちです。そこを調整し、瑕疵を調べ上げ、説明し、納得して買っていただくわけですから。中古市場が国の思惑通りに拡大してこないのは、何も中古流通市場の仕組みが前近代的なわけではなく、日本人の行き過ぎた『新築至上主義』にある」と語った。
なるほど。しかし、この「新築至上主義」こそ曲者で、前述したようにこれは日本人の文化でもない。極めて意図的に仕組まれた社会的所産だと思う。鶴田浩二さんの「古い奴ほど新しいものを欲しがるもんでございます」の「もの」は、決して建物や女性など具体的な「物」「者」を指しているのではない。考え方、道理を指すのだ。
「自宅は癒しの場でない」 共働き夫婦の女性18.9%(男性13.1%) アットホーム調査
不動産情報サービスのアットホームがまたまた興味深い、男性にとっては恐ろしいアンケート結果をまとめ発表した。
今回は、子どもがいる共働き夫婦の〝家の居心地〟に関するもので、男女各312名、計624名が対象。自宅が「癒しの場」であるかどうかを中心に聞いている。
この結果、家にいて癒されると思う時は、男性は1位「家族でご飯」、2位「家族で会話」、3位「家族とテレビ」となり、女性は1位「家族で会話」、2位「一人でお風呂」、3位「一人でボーッとする/家族でご飯」となった。
仕事が終わっても「家に帰りたくない」と思うことがあるのは全体で約3割に達し、帰りたくない理由として女性は1位に「家事などやることがたくさんあるから」と答えた。
共働き女性にとって「家事が大変」は74.0%で、家事分担比率の最多回答は「夫:妻=1:9」だった。
たまに一人暮らしがしたいと思う問いに対しては、男女とも半数以上がそう思うと答え、仕事とウソをついて寄り道をする男性は約4割に上った。
夫婦の仲良し度を100点満点として自己採点で聞いたところ、全体では63.4となり、自宅が「癒しの場ではない」人は38.2点にとどまった。
夫婦の1日の会話時間は平均68分、自宅が「癒しの場」でない人は36分だった。
◇ ◆ ◇
この種のアンケートはこれまでもたくさん行われているが、自宅が「癒しの場」であるかどうかを問うアンケートは少ないのではないか。
ここで一つひとつコメントするのは差しさわりがあるので書かないが、自宅が「癒しの場」でない人の割合が男性で13.1%、女性で18.9%あるのに驚いた。夫婦仲が全ての源泉だと思う。昔からよく言われるが、空気のような存在だ。傍にいてくれるだけで癒されるのが夫婦仲だ。同床異夢の夫婦がこれだけいるのはどう理解したらいいのか。
また、女性は家にいて癒されるのは、一人(夫とではない)で風呂に入っているときとか、一人でボーとしているとき、一人でテレビを観ているとき、ペット(ベッドではない)と遊んでいるとき(夫とではない)などが結構ある-これは全く理解不能-女は理解しえない存在なのか。
先日、東京都市大学特別教授・涌井史郎氏が、わが国の美しい自然とその災害が同居していることに例え、「うちのかみさんと一緒。美しいが扱いを間違えると大変なことになる」と絶妙の洒落を発し会場から爆笑を誘ったが、そのうちにゆでガエルと一緒、取り返しのつかない事態に男性は追い込まれるかもしれない。
「あなた、いくら口で愛していると言っても、やってることはまるで逆」-みなさんはそんなかみさんの反撃を食らったことはないか。
積水ハウス・和田会長兼CEOが熱弁ふるう 第2回「東京サステナブル会議」に700名
第2回「東京サステナブル会議」(ベルサール東京日本橋で)
日経BP社は12月12日、第2回「東京サステナブル会議」を開催した。会場には約700名が参加し、関心の高さをうかがわせた。
わが国はCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)を前に温室効果ガスを「2030年度に2013年度比26%削減」することを決定し、さらに長期的には2050年に現在よりも80%削減する目標を掲げており、環境先進国として世界に先駆けたモデルを示せるようその英知を結集する場として開催されたもの。
山本公一・環境大臣が「脱酸素社会に向かう世界~パリ協定がもたらすチャンス~」と題する基調講演を行ったほか、協賛会社に名を連ねる積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏が「サステナブル社会の構築に向けて~住まいから実現する環境共生」をテーマにした講演を行った。
山本氏
山本氏は平成9年12月、自らが環境政務次官として京都会議(COP3)に参加したことが環境問題に取り組む出発点になったことを話し、先の「パリ協定」が先進国、発展途上国の別なく「持続可能な開発目標(SDGs)」に世界が合意したことに対して何度も「感慨深い」「感動している」と語った。
世界の環境先進国として、セルロースナノファイバー、窒化バリウム、LEDの普及、水素エネルギー、フロン対策などの取り組みに期待を寄せた。
続いて登壇した和田氏は同社の環境に対する取り組みとして、1999年に他社に先駆けて「環境未来計画」を発表し、エコ・ファースト企業として「5本の樹」計画をはじめ、現在では同社が施工する一戸建ての7割以上がネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)であること、良好な既存住宅を流通させる「スムストック」の取り組みを強化していること、住宅の「健康寿命」を延ばすリノベーションを推進していることなど、一つひとつ話せば数時間かかる中身の濃い内容を約40分にまとめて熱弁をふるった。
和田氏
◇ ◆ ◇
パネルディスカッション①では、日経エコロジー副編集長・斎藤正一氏をモデレーターに、セイコーエプソン ペーパーラボ事業推進プロジェクト部長・市川和弘氏と八十二銀行総務部環境室室長・坂本智徳氏による「紙の未来を変える。乾式のオフィス製紙機『PaperLab』」と題するディスカッションが行われた。
「PaperLab」はエプソンが開発した製品で、使用済みの機密文書を機械に投入すると繊維状に粉砕し、約3分で1枚目の紙を、しかも水を全く使わないで再生するというものだ。1時間にA4の紙を約720枚生み出すという。紙の厚み、白色度、色付加も可能だという信じられないスグレモノだ。
製品の価格は2,000万円くらいするそうで安くはないが、環境への負荷を考えればすごい価値があるのではないか。コンパクト化を進め、処理能力を高め価格を下げられるようになれば爆発的にヒットすると思った。
それにしても水を使わないで紙をつくるなんて信じられない。購入を決めた八十二銀行の坂本氏も「信じられない。エプソンじゃなくて偽物ではないか」と最初に話を聞いたときは〝詐欺師〟ではないかと疑ったそうだ。一般的にはA4の紙1枚を作るのにコップ1杯の水を使用するそうだ。
「紙の未来を変える。乾式のオフィス製紙機『PaperLab』」
◇ ◆ ◇
11日(日曜日)に行われた読売新聞社主催の「新しい木の時代」シンポジウムに約400名が集まり、この日(月曜日)の日経BP社主催の「東京サステナブル会議」には約700名が集まった。休日と平日、会場のキャパシティの問題もあるのだろうが、2日間でこれほどの人が集まった。ともに地球温暖化防止にとって欠かせないテーマで、その取り組みに期待が高まっていることを証明した。
どうでもいいことなのだが、先日の記事で「読売は読まない」と書いたが、この日(13日)、三井不動産のイベントを紹介する読売の記事「去る『申』、来る『酉』…癒やしの引き継ぎ式」が12:45にヤフーのネットに配信された。
記者はそれより早く、12:40くらいに「〝今年はまさかの年でござるが、来年はいい年をとりましょう〟」の見出しの記事をネットに配信したのだが、写真は完全に読売に負けた。これは相当悔しい。まあしかし、記事はスピードが命。速さは完勝したし、記者はカメラマンではない。これは負け惜しみか。
〝今年はまさかの年でござるが、来年はいい年をとりましょう〟霞が関ビルでイベント
〝さる者は追わず〟〝いい年をとりましょう〟(霞が関ビルで)
三井不動産と三井不動産ビルマネジメントは12月13日、霞が関ビルディング前広場「霞テラス」で「ゆく年くる年!霞が関にサルとトリがやって来る!!」イベントを行った。
今年の干支である「申」、来年の干支である「酉」にちなみ、かわいいサルとヒヨコに触れ合える機会をつくった。
霞が関のワーカーに癒しの時間を提供するという試みで、今年で4回目。
◇ ◆ ◇
今年を象徴する漢字は「金」に決まったが、記者はとてもそんな気分になれない。三井不動産の菰田社長は「想定外」と言い、岩沙会長は「まさか」の年と言ったが、記者は漢字一文字に表すと、いい意味の「共」もあるが、「驚」「狂」「凶」の年だと思う。そんな年が去れば、サル、去れと言いたいのだが、この日のリスザルは記者を完全に無視した。敵もサルもの。
そして、来年こそはいい歳をとり、ひとりひとりの心に響く記事にとり組んでいきたいと、ひとり密かに願っている。「オトリ」広告だけはとりやめていただきたい。
(縮小率はとりかえております)
故南敬介氏(東京建物元会長・社長)のお別れの会に1,200人が参列
故南敬介氏
平成28年11月6日に80歳で死去した東京建物特別顧問・南敬介氏(元会長・社長)の「お別れの会」が12月12日、都内のホテルで行われた。同社関係者や親族、各界の代表者ら約1,200人が参列した。
東京建物・佐久間一社長、喪主で妻の南美智子さんらに続き、参列者が献花をして故人との別れを惜しんだ。参列者に対する佐久間氏の「御礼」には、故人の業績について「短期間での弊社事業の建て直しを行い、弊社第2世紀に向けての基礎固めを行いました」と称えられていた。
◇ ◆ ◇
南氏が同社の社長に就任されたのは平成7年。バブル崩壊後の最悪期は脱し、バブルの痛手を被っていない若年層の購入意欲の高まりの中でマンション・戸建て市場が元気を取り戻しつつあったころだ。
あれはいつだったか。社長就任直後だったと思う。記者が年始あいさつ回りをした時だ。広報室にあるマイクを通じて南社長の年頭訓示が流れていた。同社の置かれている厳しい環境、克服すべき課題、目指すべき方向などを諄々と説かれた。
その話に感動した記者は、「これは業界全体の人に聞いてほしい」と思い、同社にお願いして全文を頂き、業界紙に紹介した。その時感じたのは、「眠れる東建は必ず目を覚ます」だった。
それからの同社の展開はご存じの通り。平成10年、SPC法に基づく不動産証券化第1号登録を取得。官庁整備にPFIを導入する先駆的事業「霞が関コモンゲート」でも中心的な役割を果たした。
そして何より、南社長の最大の功績は平成15年のマンション新ブランド「Brillia」の立ち上げだろうと思う。
その翌年、効果がてき面する。セイコーグループの錦糸町の工場跡地再開発「オリナス」の一環である「Brilliaタワー東京」を分譲して圧倒的な人気を呼んだ。イメージキャラクターに親日家のジャン・レノ氏を起用して話題も呼んだ。その後もマドンナ、オダギリジョーなど大物を起用して、同社のマンションイメージを劇的に向上させた。
平成18年に同社会長に退かれたが、記者に「向こう10年くらいは当社も安泰。その分の投資をした」と語った。
茶目っ気もある方だった。その翌年の4月、同社のリゾート「羽鳥湖高原レジーナの森」のリニューアルオープンイベントが行われた。
南氏は「僕のところにはてんぷらでもお茶でも、ヤーコンは何でもある。僕はここに住んでいるんだ。年間40日は利用している。ここには尾瀬に負けない湿原があって、日本一といわれるほど豊富な植物が生える。最高に素晴らしい。住民税も安い」と、リゾートがある天栄村と施設を自画自賛した。
その後、糖尿病と仲良く付き合っている記者は南氏に会うたびにヤーコン論議をした。「ヤーコン」とは、タロイモやレンコンに似た糖尿病に利くという南米原産の野菜だ。
しかし、その後の業績は順風満帆とはならなかった。リーマン・ショックが同社を襲った。平成23年12月期決算で、同社は720億円にも上る赤字を計上。南会長は経営の責任を取り相談役に退いた。そのときの感想はついに聞くことはなかったが、それでも不動産協会の新年賀詞交歓会には必ず顔を出され、しばし歓談した。業績もV字型回復を見せた。
そして来年末、南氏が用地取得に関わった「目黒駅前地区」の再開発マンション「Brillia Towers 目黒」が完成する。全661戸の坪単価が600万円超、平均価格1億1,434億円をわずか4カ月で完売させた歴史的な物件だ。完成したときのコメントが聞きたかった。「そら見ろ、〝10年は安泰〟と僕の言った通りだろ。君は何も分かっちゃいない」と高笑いするのが目に浮かぶ。
安らかにお眠りください。
合掌
「新国立の図面は1年間に四千数百枚描いた」隈研吾氏 「新しい木の時代」シンポ
隈氏(東京コンベンションホールで)
昨日(12月11日)行われた「新しい木の時代 ~日本の森林再生と利活用~」シンポジウムで、隈研吾氏が約1時間にわたって基調講演した。数えたわけではないが、隈氏は内外の20プロジェクトを写真・画像を交えて話した。
ここで一つひとつ紹介する余裕はないので、隈氏が設計を担当した新国立競技場と新潟県長岡市の「アオーレ長岡」を紹介する。
まず新国立競技場から。隈氏はこの日起工式が行われた新国立競技場について「この1年間で新国立競技場の図面を約4,000数百枚描いた」と話した。
いったい図面を描くのがどのような仕事なのかさっぱりわからないが、一般的に図面はA3用紙を使うようで、重さにして30数キロ、厚さにして40数センチになる。これだけでは仕事量を紹介したことにはならないが、記者の知る限り、作家としては中国のノーベル文学賞作家・莫言氏は超大作「豊乳肥臀」1,200枚を3カ月で書き上げたというのが最近では記録的な多さだろうと思う。4,000数百枚の図面は隈氏だけが担当したわけではないだろうが、ノーベル賞ものの仕事なのかもしれない。
新国立について隈氏はまた、周辺環境と調和し溶け込むように建物の高さを抑えることに苦心し、「ザハ・ハディド案が75メートルだったのに対し、49メートルに抑えることができたので、(選ばれる)手ごたえはあった。剪定がいらない緑化、下から見上げる美しさ、わが国の伝統的な建築技法の採用、ハイブリッドの屋根、木と鉄やコンクリとの混構法、管理費の抑制などにも力を入れた」などと語った。
また、「世界中の木の建築に関わってきたが、やはり木の技術は日本が一番。住林さんはすごい」と住友林業を持ち上げることも忘れなかった。
「アオーレ長岡」外観(写真提供は全て長岡市)
ウェディング(左)と落成式典
次に「アオーレ長岡」について。地方再生・活性化、中心市街地活性化に資する事例として最適と思われるからだ。
同施設は、平成24年4月にオープンした地下1階地上4階建て延べ床面積約35,000㎡のナカドマ(屋根付き広場)、アリーナ、市民交流ホール、市民協働センター、議場、市役所本庁舎などが整備された多目的施設だ。総事業費は約132億円。
詳細は長岡市のホームページなどで調べていただきたいが、オープン以来の来館者は年間約140万人。人口が28万人の市だから驚きだ。単純比較はできないにしろ、従前施設の約4倍の来館者だ。施設は住民主導のイベントが多いのが特徴のようだ。施設がオープンして中心市街地の空き店舗が減少し、施設がある市の東側とその反対側の西との人の流れも生まれたという。
ホームページに掲載されている市民の声の一つに、「市役所機能のまちなか回帰に関する一連の整備が完了した今、まちなかに来る人々は楽しい顔をしている」とあった。
伊勢神宮 外宮(11月撮影)
伊勢市駅前のホテル二つ(左が三交不、右が伊勢外宮参道 伊勢神泉)
対照的な事例としてわが故郷・伊勢市を取り上げるのは心苦しいのだが、少し触れたい。〝日本人の心の故郷〟伊勢神宮に訪れる人は平成25年の遷宮では約1,400万人にも達した。その後、減少はしているが平成27年は約838万人だ。平年でも毎年600万人くらいの参拝者がある。
ところが、伊勢市に宿泊する観光客(だけでないが)は漸減しており平成27年は約40万人に過ぎない。外宮・内宮をお参りしてその足で鳥羽・賢島方面へ向かう観光客が圧倒的に多い。記者もたまに帰省すると、伊勢を通り越して鳥羽まで行って、カキやらサザエやらを食べに行く。伊勢市内ではありきたりの食べ物しかないし、観光客に勧められるホテルなどほとんどなかった。
ずっと空き地になっていた伊勢市駅前の空き地にホテルが数年前にでき、その対面にも三交不動産のビジネスホテルが今年11月にオープンしたが、駅前の一等地にホテル2つだけというのは情けない。伊勢が素通りされる流れは止められそうにない。
神宮の杉の大木
涌井・都市大特別教授 「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」(2016/12/11)
涌井・都市大特別教授 「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」
「新しい木の時代 ~日本の森林再生と利活 用~」シンポジウム(東京コンベンションホールで)
住友林業が協賛し、読売新聞社が主催するシンポジウム「新しい木の時代 ~日本の森林再生と利活 用~」が12月11日行われ、約400人が会場を埋めた。
この日は、2020東京五輪・パラリンピックのメイン会場になる新国立競技場の起工式が行われた日で、このタイミングを計ったように、シンポジウムでは建築家の隈研吾氏が基調講演をし、競技場の技術提案等審査委員会委員を務めている東京都市大学特別教授・涌井史郎氏、住友林業社長・市川晃氏、女優で戸板女子短期大学客員教授・菊池桃子氏、トヨタ自動車MS製品企画部主幹で「SETSUNA」開発責任者・辻賢治氏による「各分野で期待が高まる木の価値」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。
隈氏
◇ ◆ ◇
感動的なシンポジウムだった。記者は自らの勉強のためもあるが、主に取材のためにシンポジウムを年に数回こなす。だいたいが3~4時間ある。その内容を的確に伝えるのはとても難しい。読者の方々がどのような人なのかわからないからし、聴衆のレベルを無視して持論を一方的に話す学者先生が多いからだ。
この日のシンポジウムは違った。隈氏の特別講演では、20くらいの美しい作品事例が紹介された。シンポジウムでもそれぞれ皆さんの担当する分野の話が分かりやすく伝えられた。
それでもその中身の濃い話をここでは紹介しきれない。この日の模様は読売新聞が来年1月22日(日)付朝刊で発表するそうだから、それを読んでいただきたい。過不足なく伝えるはずだ。(記者はアンチ巨人なので読売新聞はほとんど読まないが、この日だけは買うか図書館でコピーして必ず読む。皆さんもそうしていただきたい。間違いなく料金の数倍の価値があるはずだ)
なので、ここではひょっとしたら読売が書かないと思われる、しかし、これこそが真髄をついた言葉だと記者が感じた涌井氏の話を紹介する。
涌井氏
涌井氏は、わが国の美しい自然とその災害が同居していることに例え、「うちのかみさんと一緒。美しいが扱いを間違えると大変なことになる」と話した。
この言葉を文字通り解釈すれば、上野千鶴子氏あたりから痛烈な反撃を食らうだろうし、読売も女性の読者層の反発=販売部数減を恐れ、この涌井氏の発言部分をカットするかもしれない。
しかし、記者は「かみさん」を「木」に置き換えた。これほど木(女性)と女性(木)の本質を文学的に的確に、男性の側から表現した言葉はないと思う。
これは菊池氏も市川氏も辻氏も話したことと同じだし、隈氏の考えにも通じるものがある。
菊池氏は自宅の椅子が壊れた話をした。椅子に使用されていた釘から木目に沿って木が割れたのだそうだ。市川市は「木の性質をよく知ることが必要」と語った。辻氏は「経年」「想い」「継承」をコンセプトに「SETSUNA」にたどり着いたことを話した。隈氏も、街がどんどん年を重ねるごとに価値を増すと話している。
女性も木も歳(年)に関係なく美しい。その美しさは不変だ。女性の梅干しのようなしわは、酒と同じようにそれだけ美に深みが増したと考えればより一層おいしく、いとおしく思える。そのしわにケチをつけるから険悪な関係に陥るのだ。
それにしても涌井氏の話は面白い。話すのが本業とは言えこれは神業だと思う。涌井氏から「木の名前と虫の名前と鳥の名前を覚えると、一歩、歩くごとに人生3倍楽しくなる」と教わったのは20数年前だが、今回の「かみさんの美しさ」は5年前にも聞かされている。その記事も参照していただきたい。涌井氏は次のように語った。
「私はもう66歳。美しいが、性格が厳しいかみさんとどうして折り合いをつけるのかという難問の答えを知ったのは20年ぐらい前だ。『いなす』『負けるが勝ち』 これこそが夫婦円満の極意だ」
あれから数え涌井氏は71歳。東京都市大学を「停年」になったそうだが、新たに「特別教授」の肩書がついた。
シンポジウム後、涌井氏に「先生、これは終身教授という意味ですか」と聞いたら「特別教授にしてくれ」ということだった。ノーベル賞を受賞した大隅良典氏の肩書は東京工大栄誉教授だが、「名誉教授」も「栄誉教授」も退役した「教授」に与えられる称号だ。涌井氏の「特別教授」には「死ぬまで現役で続けてほしい」という大学側の強い要請があったからだと受け止めたい。
左から市川氏、菊池氏、辻氏
司会を務めたアナウンサーの渡辺真理氏
今春、ミラノサローネで世界で初めて公開されたトヨタ+住友林業の木の車「SETSUNA(セツナ)」も1階で展示された
緑の都市賞を受賞した多摩グリーン森木会が記念講演会「エゴからエコ 緑の価値を再認識しよう」涌井・東京都市大教授(2011/11/29)
第2回「マンションいい話コンテスト2016」グランプリに梶原氏 マンション管理協
第2回「マンションいい話コンテスト2016」(すまい・るホールで。左から山根、梶原、成田、高橋、玉野、伊藤、児島、齋藤の各氏)
マンション管理業協会(管理協)は12月9日、マンションでの課題解決に向けた管理組合活動を支援すると共に、マンション活動における成功事例やノウハウなどの共有を目的とした第2回「マンションいい話コンテスト2016」を開催した。
全国から応募のあった806通の中から、グランプリ(賞金50万円)は、梶原洪三郎氏の「あるマンション理事会の情景」が選ばれた。認知症を発症している主人公の80歳の組合員が輪番制により理事に選任されたことから様々な問題が発生するのだが、主人公のぽつりと漏らした一言が行方不明になった子どもを救うストーリー。
受賞した梶原氏は「とてもびっくりしている。マンションが抱えている入居者の高齢化と建物の老朽化の問題解決に少しでも役立てることにつながれば光栄」と喜びを語った。
主催者の山根弘美・管理協理事長は「われわれはマンション居住者のみな様と一緒になって、より豊かで安心・安全なマンションライフが送れるようこれからのマンション活動をサポートしていきたい」とあいさつした。
審査委員長の齋藤広子氏(横浜市立大学教授)は「作品にはたくさん涙した。感動、勇気、希望を頂いた。これからもいい話を広めていきたい」と講評した。
準グランプリ(賞金5万円)は成田耕一氏、特別賞(賞金3万円)は児島秀樹氏、伊藤都氏、玉野鼓太郎氏、高橋恭平氏がそれぞれ受賞した。
表彰式のあと、「マンションにおける認知症高齢者への対応」を題材にしたミニドラマが上映され、大ヒット漫画「ヘルプマン!!介護起業編」で主役のモデルにもなったケアワーク弥生取締役・飯塚裕久氏の「マンションにおける認知症事例とその対応策」をテーマとした講演が行われた。
齋藤氏(左)と梶原氏
マンション管理協 「マンションいい話コンテスト2015」受賞作発表(2015/12/10)
防犯ガラスの過信は禁物 旭化成ホームズ・くらしノーベションが衝撃的な調査報告
第15回「くらしノベーションフォーラム」(AP東京丸の内で)
松本氏
知らなかったのは記者だけかもしれないが、防犯ガラスは普通ガラスと比べそれほどガラス割侵入を防ぐことができないことが旭化成ホームズの調査で分かった。同社くらしノーベション研究所所長・松本吉彦氏が12月8日行われた、「科学的根拠に基づいた犯罪予防~防犯環境設計について考える~」をテーマにした第15回「くらしノベーションフォーラム」で明らかにした。
松本氏は、過去10年間の戸建て侵入被害にあった同社施工の事案を様々な角度で分析した結果を報告。
この中で、1階窓の被害があったN=363例のうち、侵入経路について2カ所にロックが付いている防犯ガラス183例ではガラス割侵入が48%、他手段の侵入が29%、ガラス割未遂が16%、他手段の未遂が8%だったと語った。
一方、普通ガラスで被害があった180例では、ガラス割侵入が61%、他手段の侵入が22%、ガラス割未遂が9%、他手段の未遂が7%だったことを明らかにした。
この結果から、松本氏は「防犯ガラスはガラス割侵入防止の効果あり」としながらも、高窓やシャッター付き窓の被害が少ないことなどから、外出時にはシャッター窓を閉め、面格子のある浴室窓を開けたままにしないよう喚起した。
また、死角に侵入させないゾーンディフェンスやハードディフェンス、二世帯住宅や2階リビングなど建て方、さらには「みまもり型防犯設計」など総合的訪販対策を講じれば被害リスクは0.25倍(一般戸建ては0.43倍)に減ると語った。
フォーラムでは、明治大学理工学部建築学科教授・山本俊哉氏が「科学的根拠に基づいた犯罪予防~防犯環境設計の効用と限界~」と題する講演を行った。山本教授は講演の中で「安全教育(Education)」(≒自助)「法制度・システムの執行(Enforcement)」(≒公助)「環境整備(Environment)」(≒共助)の「安全の3Eアプローチ」が重要と力説した。
山本氏はまた、犯罪予防の視点からル・コルビュジエの思想に異論を唱える考えもあると話した。
山本氏
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皆さんは、防犯ガラスと普通ガラスの被害状況の数字をどう思われるか。記者は防犯ガラスの破砕実験を体験している。大きなハンマーで叩いても割れず、破砕するまでずいぶん時間がかかり、ものすごい音が出る。間違いなく向こう三軒両隣に音が響き渡る。
ところが、松本氏の報告では2枚の合わせガラスでも特殊な工具を使うためか約5分で穴があけられるというではないか。普通ガラスは1分間くらいだから効果があるといえばあるのだろうが、防犯ガラスの値段は普通ガラスの1.5倍くらいする。それほどコストをかけても数値は61%から48%にしかならないのであれば、単に気休めに過ぎないとも思える。過信はできない。むしろ、防犯センサーとか松本氏が強調した電動シャッターなどを取り付けたほうがいい。
なお、同研究所が2011年に発表した調査報告書では「普通ガラスの侵入率を1とすると防犯ガラスは0.39と約4割に減ることが分かりました」とあり、今回の調査データを2011年時と同じ計算式で侵入率を算定すると0.6倍くらいになるという。
これだけでは断定的なことは言えないが、防犯ガラス割りの〝技術〟が進歩しているとも受け取れる。防犯対策と泥棒とのいたちごっこは続いているということか。
松本氏によると、この種のデータはどこにもないようで、衝撃的な調査報告ではないか。
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松本氏は、報告の中で2013年を前後に「中部三県」(東海三県ともいい、愛知、岐阜、三重)で侵入被害が〝激増〟したと何度も「中部三県」を口にした。
三重県出身の記者は、被害が多かったのは愛知県で三重県ではないと思い、また温厚な人が多い三重県人の名誉のためにも、「松本さん、私は三重県出身。(近江泥棒、伊勢乞食という言葉はぐっとこらえて)三重県は泥棒が多いはずはない」と迫った。松本氏は「確かに(木曽・揖斐)川を渡るとぐっと侵入は少なくなる」と答えた。
してやったり。松本氏から1本取った。しかし、続編がある。取材を終え、ある忘年会に出席して夜中に帰ったのだが、田舎の身内に泥棒が入ったことを知らされた。
みんなが寝静まっている深夜にどこかから侵入され、リビングに置いていた財布から多額ではないが、忘年会の参加メンバー約40人の会費を賄えるくらいのお金を盗まれたそうだ。それだけではない。娘の下着もなくなったという。
犬も寝込んだのか、全然吠えなかったそうだ。駆けつけてきた警察官には大声で吠えたという。犬まで温厚になってしまったのか、それとも権力には拒否反応を示す県民性を反映したものかよくわからない。おそらく鼻薬をかがされたのだろう。袖の下に弱いのは全国共通だ。犬も一緒。なので記者は犬よりネコが好きだ。
それにしても泥棒の主たる目的は下着なのか金なのか。つかまるリスクとそろばんをはじくとどうなるのか。山本教授が話した、人間は損得の合理的計算のもとで行動を選択するという「合理的選択理論」(ロナルド・クラーク)に照らしあわせると、獲得する報酬はどうやって測るのか。私は人間は損得だけでは動かないと思う。女性の下着の価値は泥棒しかわからないはずだ。