トイレ、車庫、犬(舎)小屋…情けない国の木材利用状況
国土交通省と農林水産省は3月7日、平成27年度の木材の利用状況をまとめ発表した。
木造化を促進する低層の公共建築物110棟のうち60棟を木造で整備(前年比187.5%)したほか、内装等の木質化を行った公共建築物は186棟(前年比108.1%)となった。
平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、国が率先して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体にも働きかけ、木材全体の需要拡大を推進している。
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件数が大幅に伸びたので嬉しくなったので中身を調べた。基本方針で積極的に木造化を促進するとされている低層(3階建て以下)の公共建築物が全体で110 棟、合計延べ面積10,402㎡が整備されたが、木造で整備を行った公共建築物は60棟、合計延べ面積3,708㎡とある。
確かに平成26年度は32棟だから大幅に増えた。ところが延べ面積は逆に8.4%減少している。つまり1棟当たりの延べ床面積は平均すると61.8㎡、18坪しかない。もっとも広いものは国交省の公園施設で1,080㎡、次が農水省の公務員宿舎で554㎡。この2棟で全体面積の約半数を占める。この2棟を除く58棟の平均延べ床面積は約36㎡。
用途は休憩所、公衆便所などの公園施設がもっとも多く30棟で半数を占めている。他では自転車置き場、トイレ、車庫などで、警察庁の犬舎兼倉庫もある。
これを見てがっくり。国は2020年までに木材の自給率を50%に引き上げようと取り組んでいるのに、これはどういうことか。犬舎といえばつまり犬小屋ではないのか。どうして駅舎、官舎、校舎、寄宿舎(厩舎もあるが)のようなもったいぶった呼び方をするのか。棟数は大幅に増えたが、中身が乏しい。
木質化を行った公共建築物のうちもっとも多かった省庁は防衛庁で84棟と全体の45%を占め、最高裁判所と国土交通省が各18棟、法務省が17棟、財務省が13棟となっている。
木材の使用量は全体で2,327㎥で前年比14.0%減、一昨年比で65.2%減となっている。
こういう数字を見せられると、2020年までに木材自給率を50%(平成27年度末で33.3%)にするという〝202050〟目標は、「社会のあらゆる分野において2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という政府目標〝202030〟よりはるかかなたのような気がしてくる。やる気があるのかと問いたい。情けない。
震災から6年 被災39市町村の人口 再び減少に転じる 増加は5市町のみ
震災から6年。別表は震災被害を受けた太平洋岸39市町村の人口動態を見たものだ。今年2月1日現在の人口は約254万人となり、昨年同月比で約1万人、0.4%減少した。昨年2月の時点では前年比1.3%増(推計人口調査の数値は平成27年10月に実施された国勢調査の数値をもとに変更されており、実際は微増にとどまっている)になり、人口減少傾向に歯止めがかかったかと思われたが、再び減少に転じた。人口が昨年比増加したのは仙台市、名取市など5市町にとどまり、昨年の19市町村から大幅に減少。増加傾向にあったいわき市も減少に転じた。
各県別にみると、岩手県は12市町村すべてが減少。合計は約24.9万人で、昨年同月比約4,000人、1.5%減少。震災前と比較して約3.3万人、10.3%減となっている。
宮城県は仙台市、名取市、多賀城市、岩沼市で増加した。ただ、仙台市の増加率は0.2%増にとどまり、前年の0.8%増と比較して伸び率は鈍化した。
震災前との比較では、利府町が5.4%増で、名取市の5.0%増を上回り39市町村の中でトップ。同町は仙台市の北東に位置し、津波被害エリアが小さく、内陸部では仙台駅へ電車で30分圏と便利であることから最近は住宅開発が進んでいる。町の人口は、都市計画マスタープランによれば平成32年に38,400人に増加するとしている。
逆に、女川町が37.7%減となっているほか、南三陸町が30.6%減、山元町が26.6%減とそれぞれ大幅に減少している。
福島県では、増加したのは新地町のみ。これまで増加していたいわき市も0.6%減と減少に転じた。市は自然減が社会増を上回ったのが大きな要因と見ている。
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国はこれまで集中復興期間(H23~27年度)に25.5兆円を注ぎ、復興・創生期間(H28~32年度)に約6.5兆円、合計で32兆円規模の対策費用を見込んでいる。
今後は、事業ごとの精査・年度ごとの進行管理を重視し、自治体が持続可能なまちづくりを自ら進めていくためにも一定の自治体負担を求めていく方針だ。
こうした方針と人口動態はどのような関連があるのか。これほどの国費を投入しても人口減少傾向に歯止めがかけられないのをどう考えればいいのか。これからどんどん完成する土地区画整理事業の宅地や公園、その他の施設に対する維持・管理費はだれが負担するのか。
福島原発事故による避難指示区域のうち、解除の見込みが立ったという「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」はともかくとして、「帰還困難区域」の住民の未来はあるのか。直近の住民意向調査によると、「帰還の意向」について大熊町、富岡町、双葉町、浪江町は住民の5割以上が「戻らない」と回答している。「帰還困難区域」はいよいよ「帰還不能地域」の様相を呈してきた。
復興庁によると、今年2月28日現在、震災による全国の避難者の数は全国で約12万3千人に上っている。
ナイスが事業参画 隈研吾氏が設計した南三陸町「さんさん商店街」オープン
全景
ナイスが事業参画し、隈研吾氏が設計した南三陸町の復興プロジェクト「さんさん商店街」が3月3日オープン。当日は橘慶一郎・復興副大臣、佐藤仁・南三陸町町長、隈氏、平田潤一郎・ナイス専務らがオープンセレモニーに参加して完成を祝った。
「さんさん商店街」は、震災後の仮設商店街「さんさん商店街」が8.3mにかさ上げされた高台造成地に本設商店街として移転新築されたもので、建築家の隈研吾氏が設計を担当。約2万㎡の敷地に木造の店舗7棟(延べ床面積約3,085㎡)からなる施設。店舗は仮設からの移転が23店舗、新規が5店舗の合計28店舗が出店した。
同社は、地元の建設会社である志津川建設と山庄建設と組成した「ナイス・志津川・山庄特定建設工事共同企業体」の代表として事業参画したほか、木質化企画や材料調達、構造躯体のプレカット加工、施工に携わった。
オープンセレモニー テープカット
オープニングイベント
さんさんコート
縦格子ルーバー
内装
東急リバブル 賃貸物件の顧客サービスにVR内見システム導入
東急リバブルは3月6日、賃貸物件のお客様向けサービスとしてVR(バーチャルリアリティ)内見システムを賃貸仲介店舗「青葉台センター」「三軒茶屋センター」「横浜センター」に導入すると発表した。営業開始は3月10日から。
VR内見システムは、自身の動きに連動し、室内を移動しながら周囲全方向の空間をリアルに閲覧できる。店頭で複数物件をVR内見して選別し、現地内見をする物件を絞り込むことで、家探しに費やす時間を短縮することが可能になる。
導入する店舗は順次拡大していく予定。
細田工務店 住まいの相談窓口「西荻窪駅前館」オープン
細田工務店は3月6日、住まいの相談窓口「家と暮らしの相談所 細田工務店 西荻窪駅前館」をオープン、3月18日(土)から営業を開始すると発表した。
新店舗となる「西荻窪駅前館」はJR中央線の西荻窪駅南口より約100m(徒歩2分)。システムキッチンや洗面化粧台などの水回り設備などを備え、ワンストップで対応できるリフォームショップを目指す。ショップは「阿佐ヶ谷パールセンター館」「浜田山駅 前館」「中杉通り本館・ショールーム」に続く、杉並区内で4店舗目となる。
不動産鑑定のあり方が問われている 「士」を安売りすべきでない
「セカンド・オピニオン」を売りにしているあるWebサイトを見ていたら、たまたま記者が取材し、記事にもした公園に隣接するマンションについて、ユーザーの方が「このマンションを評価するうえで有利と言えますか」という質問をしていた。
この質問に対して、不動産鑑定士が次のように回答している。
「公園など緑が豊富な場所が近くにあるということは、一般的に環境面で優れていると評価され、価格形成要因としてプラスになると言えるでしょう。
ただし、公園が近くにある場合でも、幹線道路を渡らないと公園にいけないとか、公園まで坂道や階段があるなど立地やアプローチの内容や、特に夜間における防犯上の懸念など、実態を踏まえて評価の度合いを考える必要があります。
また、公園が近くても、最寄駅からバス便である場合やスーパーなど利便施設が近くに無い場合などは、プラスとマイナスが作用することになり、ほかの項目との相関の程度も踏まえて判断する必要があります」
さて、この不動産鑑定士の回答は質問者の意図する回答になっているか。ほとんどの方は「ノー」というはずだ。質問者は物件名をあげて「このマンション」と具体的な物件の価値について聞いている。回答者は「このマンション」の価値について答えないといけないのに、一般論で終始している。
このマンションについていえば、幹線道路もないし、近くにスーパーはあるし、駅にも近い。学校も隣接している。夜間の防犯上の懸念は知らないが、申し分ない立地条件だったためほとんど即日完売しているのをよく覚えている。SOHO的な利用も可能とする先駆的なマンションでもあった。いまの中古市場での評価も高いはずだ。
Webの不動産鑑定士は質問者と契約を交わし報酬を得て回答しているわけではないが、こんな「回答」は逆効果だ。質問者を失望させるだけだ。「士」を安売りしてはいけない。(かといって、きちんと契約を交わせば数万円のフィーが伴うだろうし、しかも回答まで時間がかかる)
記者に言わせれば、こんなことは何も不動産鑑定士に聞かなくとも近くの不動産業者に聞いたほうが早い。ほとんど瞬時に売買事例をはじき出し、適切なアドバイスをしてくれるはずだ。しかも無料で。
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中古住宅のインスペクション(住宅診断)に建築士や不動産鑑定士を介在させることが決まった。安心・安全の取引のためには結構なことだ。
しかし、当然のことながら報酬も伴う。仲介手数料にその費用を上乗せできるのか。記者は宅建士、建築士、鑑定士の3人の「士」(大手ハスウメーカーで構成する優良ストック住宅推進協議会には「スムストック住宅販売士」もある)を不動産取引に介在させないと「安心・安全」が担保されない、何の役にも立たない「セカンド・オピニオン」士が徘徊する市場をなんとかしなければならないと思う。屋上屋を架すことになりはしないか心配だ。
不動産鑑定士でいえば、国交省は先に不動産鑑定士の業務や魅力を紹介した動画「不動産鑑定士という選択」をホームページで公開した。へそ曲がりの記者などは〝それだけ人気がないのか〟と読んでしまう。
難しい試験を突破するために寸暇を惜しんで勉強に励んでも30歳、40歳にならないと受からず、その割に報酬が少なく〝仕事がない〟と愚痴らざるを得ず、法律を犯すと厳しい罰則もあり、弁護士ほどの称賛を得ることもなく、絶えずクライアントのプレッシャーにおびえなければならない不動産鑑定のあり方を考えないといけない。
しかし、〝武士は食わねど高楊枝〟-鑑定士の皆さんには気位を高く保ち、自らを貶めるセカンド・オピニオンなどに手を染めるべきではないと思うがいかがか。
米国ランドバンクの事例報告 みずほ情報総研・藤井氏 国交省 空き地活用検討会
国土交通省は3月2日、第2回「空き地等の新たな活用に関する検討会」(委員長:山野目章夫・早稲田大学大学院教授)開催。空き地所有者と自治体を対象に行ったアンケート調査結果と、空き地の考え方について同省から報告が行われたほか、みずほ情報総研・藤井康幸氏が「米国のランドバンクの動向について」、千葉大学大学院准教授・秋田典子氏が「空き地等の管理と活用の実態-地域のコモンズとしての管理-」と題する事例報告をそれぞれ行った。
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配布された資料・アンケート調査結果は全体で約170ページに及ぶ読み応えのあるものだった。アンケートは予想通り、空き地所有者も行政も問題であることを認識はしているものの何もしていない実態が浮き彫りになった。事例紹介では藤井氏のランドバンクについての報告が興味深かった。
藤井氏によると、ランドバンクとは、空き家・空き地・放棄地、税滞納差押物件などを利用物件に転換することに特化した政府機関で、市場(マーケット)が見捨てた物件への対処が基本で、物件の譲渡、利活用を進めるために滞納された資産税や課徴金はランドバンクの物件取得時に帳消しされるうえ、ランドバンクの保有物件は非課税扱いとなる。
2010年の人口がピーク時より61.4%減の約71万人にまで減少しているデトロイトでは約38万区画の市内全域のうち約10万件がランドバンク保有物件だという。
クリーブランドの事例ではリーマンショック前の2004年に77,000ドルで取引された物件は、2010年にゼロドルでランドバンクに譲渡され、2012年には1ドルで個人4人に譲渡された。個人4人は自宅の庭として利用しているという。
藤井氏は「Center for Community Progress」(本部:フリント市)が説く「成功するランドバンクに共通する特性」として①ランドバンクと税滞納差押過程が結び付けられること②再生計画や土地利用計画に基づいた事業③物件の取得、譲渡などの考え方、優先順位などが透明性を有し、市民の信頼を得ていること④コミュニティ諮問委員会の設置、住民団体との協働⑤コミュニティプログラムとの整合性-などをあげている。
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以下、各委員の主な意見を紹介する。
中川雅之氏(日本大学教授) 高い地価・地代期待があるわが国ではマーケット価値がないとして〝ゼロ円〟に選別する仕組みができるかどうか
藤原徹氏(明海大学准教授) わが国では何もしない、放ったらかしにすることのコストが低いという問題がある
高村学人氏(立命館大学教授) コミュニティガーデンを支援する保有機関、財源、都市計画などの位置づけ整理が必要
小泉秀樹氏(東京大学大学院教授、臨時委員) 都市計画ではコミュニティガーデンなどへの用途変更が難しい。街づくり、土地利用へ介入する仕組みが必要
秋田典子氏(千葉大学准教授) 時間と空間をまとめてコミュニティガーデンなどの一時所有する仕組みを考えている
山野目章夫委員長 (秋田氏が所有機関を「公社のようなもの」と発言したことに対し)土地開発公社というイメージがよくないものもあるが…(国交省関係者らも苦笑した)
浅見泰司・委員長代理(東京大学大学院教授) 緑地といっても生産緑地もあれば里山もあり様々。整理する必要がある
大橋弘氏(東京大学大学院教授) 所有権と利用権をきちんと整理して利活用につなげていくべき
山野目章夫委員長 行政が汗をかいているのは理解できるが、都市計画は禁止事項が多い。何かをやってほしいという道具立てが足りない
小林秀人氏(大和リース新規事業推進室室長) 不動産は利活用を阻む私的権利が大きい。価格ゼロなど誰が決めるのか(この国では国有地がただ同然で売却される事例もある=記者)
亀島祝子氏(東急不動産鑑定企画部参与) コミュニティガーデンなどの担い手を育てていくことが求められる
母袋創一氏(長野県上田市長) 地方都市はさまざまな異なった事情があるが、ランドバンクの考え方は面白い。一石を投じる意味はある。これからは行政主導ではなく、民間の力を主体に考えていくべき
山野目章夫委員長 この検討会では地方税のあり方も検討課題に入れないといけない
空き家対策、不動産流通業はどうかかわれるか 国交省審議会が会合(2014/2/10)
インテリックス 小口化商品第2弾「アセットシェアリング横濱元町」が完売
インテリックスは2月28日、不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品「アセットシェアリング」の第二弾「アセットシェアリング横濱元町」(総口数1,050口)を完売したと発表した。
「アセットシェアリング横濱元町」は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分の「MID横濱元町」(B1・1F・2F・3F)。募集総額(総口数)は10.5億円(1,050口)、申込単位は1口100万円単位(5口以上250口以下)。収益分配金(支払月) は年2回(7月及び2月)。運用期間は30年間。予定利回りは5.2%。
購入者の概要は平均年齢約70歳、平均口数約20口、出資者数52名(うち法人2名)。
シリーズ第三弾「アセットシェアリング青山」、第四弾「アセットシェアリング新横浜」も近日発売する予定。
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この物件の4階以上の一般分譲マンションについては昨年2月に取材している。坪単価は330万円の高額だったが、こちらも早期完売している。
ポラス 越谷市の中心市街地活性化に一役 築120年の古民家でイベント
「はかり屋クリエイターズ ヴィレッジ」
ポラスグループの中央住宅は2月25・26日、越谷市の「日光街道越ヶ谷宿 春の宿場まつり」に合わせ、同社が所有している築120年の旧日光街道に面した「旧大野家住宅」でイベント「はかり屋クリエイターズ ヴィレッジ」を開催。版画、木工、家具、漆器、和菓子、カフェなど13のブースにものづくりクリエイターが集結、街ゆく人を楽しませた。
施設は今年の秋から冬にかけて多目的複合施設として利活用することになっている。
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同社からイベント案内が届いたとき、かちりと知恵の輪が解けたような気がした。同社は別掲の「蔵のある街づくりプロジェクト~ことのは 越ケ谷~」を数年がかりで完成させた。
用地を取得したのは平成25年だった。わざわざメディアを呼びプロジェクト説明会を開いた。蔵や古民家などの歴史的建造物を残したいという熱意がひしひしと伝わってきた。その後、紆余曲折があり4戸の分譲住宅を引き渡すまでに3年かけている。記者はこの間、5度くらい現地取材を行っている。
わずか4戸の分譲住宅を売るだけなら同社は数カ月もかからない。メディアを呼びもしない。
なぜ、これほどまでに時間とお金をつぎ込み、メディア向けに情報を発信するのか。その理由がはっきりした。越谷市の意向に呼応するためだ。
市は平成25年、越谷駅東口の約78haを対象とした「越谷市中心市街地活性化基本計画」を策定した。計画の中には蔵や古民家などの利活用も盛り込まれている。平成32年までに商業活性化、福祉施設の整備、街なか居住促進事業などを進めていく。
そして今年2月13日、高橋努市長と品川典久社長も出席して市と同社は「まちづくりについての連携・協力に関する基本協定」を結んだ。蔵、古民家などを活用した地域の賑わい創出や地域の街づくり・景観向上などに関して定期的に協議し、地域活性化に取り組むという内容だ。
今後、中心市街地活性化法に基づき具体的な施策が打ち出されるはずだ。地区計画などで私権を制限する一方で固定資産税、都市計画税の減免措置も講じ、あらゆる補助金・助成金制度を駆使すればどこにも負けない街になるのではないか。
同社はこの事業にどこまで貢献できるか。主力事業の戸建て商品企画は大手に負けない。足りないのは再開発など複合的な街づくり事業だ。しっかり腰を据えて取り組んでほしい。
女性用の越中ふんどし(かみさんにプレゼントしようとも考えたが2500円の値段に驚いてやめた。手書きの値札もどうか。若い人は読めないし、これでは売れるものも売れない)
細かな組子細工に最初はプラスティックかとも思った
廊下
土台(築120年とは思えない。まったく狂いがない)
蔵の入り口に貼られていた注意書き(スタッフに「履物」はひらがなにすべきと注文してそうなった。松岡正剛の「いやよして」と同じ。こういう遊び心が必要)
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息子さん、娘さんと5人の孫とで訪れた草加市に住む女性(53)は、「初めて建物を見たが、街ぐるみ賑わっているのがいい」と満足そうだった。「旧大野家住宅」は材木商だったそうで、黒檀、花梨など銘木や一枚板の廊下、微細な組子細工などが用いられているのが目を引いた。
対面には同じように古い商店「会田金物店」があった。店頭に誰が買うのか昔懐かしい1,380円のブリキの湯たんぽが無造作に掲げられていたので、ご主人に声を掛けた。
ご主人は「家は江戸時代に建てたものそのまま。わたしは昭和15年生まれ。戦争? もちろん、東京方面が真っ赤になったのをよく覚えている。ジュラルミンのB29がきらきら光り、わが日本の高射砲は全然届かない。アメリカがまいたビラ(降伏を進める内容か)も残っているかも。跡継ぎ? どうなるか」と話した。店の中には年代物の手斧の柄や昔の秤など〝お宝〟が埋もれていた。
明治32年の大火のあとに建てられたという「木下半助商店」も訪ねた。「空襲? 当時は仙台に住んでいましたが、よく覚えていますよ」と、昭和5年生まれの経営者の女性は語った。店のスタッフは「登録有形文化財に指定されましたが、補助金などはなし。税制で少し優遇されているだけ」と不満そうだった。
旧日光街道には15もの蔵・古民家が現存している。
「会田金物店」
「旧大野家住宅」から撮った「会田金物店」
ご主人
秤
手斧の柄(何の木かは不明だとか)
「木下半助商店」(間口はそれほどでもないが、表の店から土蔵、石蔵、釘蔵、奥蔵、母屋、お稲荷さんがあり、奥行きは60mくらいあった)
ポラス「ことのは 越ケ谷」戸建て4棟も完成、分譲へ(2016/4/1)
酒とさくらに染まる 日本橋 見事なバトンタッチに乾杯 丸の内 プレミアムフライデー
歓談する吉田常務(左)と杉山社長(三菱一号館美術館)
コレド室町を中心とする「プレミアムフライデー in 日本橋」の会場に着いたのが午後2時30分。呑み助の記者は〝プレミアムフライデーから3日間限定! 桜のアート空間で日本酒飲み比べ〟のチラシにつられて「FLOWERS by NAKED」へ早速取材を開始。
生け花、映像、香り、飲食など五感で体験する人気イベントで昨年は2回通算15万人を動員したという。今回は草月流の勅使河原茜氏やファッションデザイナー丸山敬太氏などの演出で〝日本で一番早いお花見を、日本橋で。〟というのがコンセプト。鑑賞+飲み比べセット券で3,400円(飲み比べ券2,000円)。
いくら何でもこの時間に飲む人はいないだろうとは思ったが、男性と女性の比率は1:10くらいか。ほとんどがプレミアムフライデーどころか〝毎日が日曜日〟のような女性二人連れが圧倒的に多い。やはり〝花見〟が主目的のようだった。
それでも薄暗い中で酒を飲んでいるカップルがいたので声をかけた。34歳の男性会社員は「うちは(プレミアムフライデーは)まだなので有休をとってきました。仕事を調整して使えるときに使いたい。始めてきましたが、飲み比べ券も買いました」と話した。隣の女性に「妹さん? 」と聞いたら「いえ、学生です」だった。
「これからどうするんですか」「一緒に食事でもと…えっ、安倍総理の奥さんが来られるんですか、初めて知りました」
二人は酒のせいか桜のせいか、ほんのりとピンク色に染まっていた。(憎たらしい!)
主催者のNAKED Incは、「現段階で来場者は昨日より200名増。プレミアムフライデーの効果はあります」と手ごたえを感じていた。
安倍昭恵・総理大臣夫人がゲストとして三井不動産・菰田正信社長らとともに行った「プレミアムフライデー 東京エキマチ乾杯」は、他の会場と異なり周辺のオフィスワーカーや来街者と一緒に祝った演出が奏功したのか(ほかの目的があったのか)報道陣も入れきれないほど賑わったとか。
幻想的な世界が広がる「FLOWERS by NAKED」
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東京駅での「プレミアムフライデー 東京エキマチ乾杯」の取材が空振りに終わった記者は、そのあとすぐ丸の内エリア会場に向かった。着いたときは宴たけなわ。ゲストの小池百合子・東京都知事の姿はなく、三菱地所・杉山博孝社長と吉田淳一常務は社長交代のバトンタッチもうまくいったためか上機嫌。ワイングラス片手に関係者らと歓談していた。
杉山社長は「フレックス勤務は4時までだが、今日は3時に繰り上げた。仕事? どこでもできる」とワークライフバランスの取り組みに自信を見せた。
吉田常務は、「頼みますよ、空と土プロジェクト。今度、新たに酒粕の香りがするカステラを作った。体験ツアー? 行きたいが、仕事が…」と、記者にまた同社の北杜市での「空と土プロジェクト」の取材をけしかけた(常務、わたしは稲刈りが本職じゃないですからね、マンション。田植えも稲刈りも取材したから、今度は果実=「丸の内」のお酒の飲み会を取材したい。この酒は「獺祭」に負けない)。
関係者にも声を掛けた。三菱地所アジア事業部長・菊川嘉彦氏らに気の利いたコメントをお願いしたら、菊川氏は言い淀む部下に割って入って「いいアイデアは 会議室では 生まれない。長い会議 意味がない。どうです。ちょっと字余りですが、わたしはみんなに5・7・5・7・7くらいで説明しなさいといっている。ハハハハ」 傍の女性は「部長、大好き」とほれ込んでいた。
菊川部長、この日の見出し「日本橋 桜と酒に 染まる1日 トップ交代 見事に決まる 丸の内」-これはどうでしょう。
右から2人目が菊川氏
この日が最終日だが、「第15回キラキラっとアートコンクール優秀賞作品展」が丸ビル1階で行われていた。記者は一度取材したことがあるが、みんな力作ばかりだ。
「ぼくのヒーロー〜体操日本〜」(まえのいっけい、13歳)
榊原経団連会長は直接国民に呼びかけてほしかった プレミアムフライデー 東京駅(2017/2/24)
大和ハウス プレミアムフライデー 午後有休スタート 遠足気分のグループも(2017/2/25)
2月24日プレミアムフライデー 大和ハウス役員は「仕事」派が優勢(2017/2/23)