東急リバブル 仲介店舗「ときわ台」「新浦安」「札幌北」開設 全国176店舗に
東急リバブルは3月23日、売買仲介店舗「ときわ台センター」(東京都板橋区)、「新浦安センター」(千葉県浦安市)、「札幌北センター」(北海道札幌市)の3店舗を4月1日(土)に開設すると発表した。
今回の出店により、売買仲介と賃貸仲介をあわせた全国のリバブルネットワークは176カ所となる。
同社の過去5年間の4月1日現在の店舗数は次の通り。
2017年 176店舗
2016年 167店舗
2015年 162店舗
2014年 148店舗
2013年 137店舗
この5年間で39店舗、28.5%増やしていることになる。
事実の報道とは何か 絶対的、客観的事実はあるのか
住宅ジャーナリスト・櫻井幸雄氏が3月20日付「週刊住宅」のコラム「先端を読む」で、「住友不動産が週刊誌の記事に対して抗議を行い…事実に反する記事内容を正し、デジタル版にも掲載されていた記事を削除させた」と書かれている。
独断と偏見に満ちた際どい記事を書いている記者はドキリとし、早速、件のマンションについての同社の告知を読んだ。同社はそのマンションが値下げされたかのように書かれた記事を「何の裏付けもないにも関わらず読者の耳目を集めようとした悪質な記事」として、「誤報」した週刊誌に抗議し、該当部分の記事を削除させたとしている。
同じような週刊誌の「誤報」は過去にもあったような気がする。週刊誌の記者が値下げの有無を確認していればよかったのに、それを怠ったために「誤報」となった。初歩的なミスを週刊誌記者は犯したということだ。「悪質」と言われても仕方ない書き方だ。
この問題はそれで一件落着なのだが、ジャーナリズムのはしくれとして毎日記事を書いている記者としても見逃せない問題を孕んでいるので私見を述べたい。
櫻井氏は「マスコミは本来、間違った情報を流さないよう努力しなければならない。その努力が弱まったのであれば、(住友不動産のように)強い姿勢も必要ということだろう」と結論づけている。
確かにそうだ。問題は「事実」とは何かということだ。多くの方も指摘されているように、あらゆる事象は事実にもなるし誤報にもなりうる。右から見ればアカで、左から眺めれば暗黒社会になった時代もあるように、記事には書く本人の考え方、思想が色濃く反映される。みんな色眼鏡でものを見ている。自分のモノサシでしかものを測れない。無色透明などあり得ない。その意味では、われわれは間違った記事を書き続けているともいえる。
つまり、絶対的な客観的な事実は結局ないということだ。記事は脚色せず事実だけを書かなければならないとすれば、官報のようなものばかりになる(官報も正確に事実を伝えているかどうか疑問だが)。ニュースリリースはコピー&ペーストで済む。しかし、そんなものが果たして読まれるか。書いた本人の視点、フィルターを通して書くから記事は読まれる。それを否定するのはファッショだ。
ただしかし、先にも書いたように記者の色眼鏡によって「事実」がゆがめられることもある。ジャーナリズムに身を置く者は耐えず自らの立ち位置を検証し、日々生起する事象をしっかり分析して伝えないといけない。ペンは凶器にもなる。
分かりやすい事例を示そう。かつて一般新聞(全てではないが)は銀座のクラブのママさんが殺害されると決まって「銀座の美人クラブママ」と美人という代名詞をつけて書いた。絶対的美人がいないように美人であるか否かはひとそれぞれによって異なり絶対的美人などいないのに、異論を唱える人はいなかった。事実とか常識などというものはそのような危うさもあるということだ。
かく言うわたしも同じような記事を書いた。ついこの前、三井不動産レジデンシャル「パークコート一番町」のモデルルームの美しさにほれ込んだのだが、ボキャブラリーの乏しい記者は困り果て、異論・反論があるのを承知で「女優に例えるなら吉永小百合さんか八千草薫さんクラスだ」と書いた。今のところ三井さんからも吉永さん、八千草さんからも、モデルルームをコーディネートした芦原弘子さんからもクレームがない(もちろん吉永さん、八千草さんには了解は得ていないが、芦原さんの事務所には「ぜひ読んでください」と伝言を頼んだ)。これは事実ではないが、これくらいの脚色は許されると思う。
これはわたしも含め同業の記者が考えなければならないのだが、われわれは正確に「事実」を伝えているかという問題だ。正直に言えば、これははなはだ怪しい。
例えば各社が行う見学会のルポ記事。その際、心掛けなければならないのは記者の目から読者に何を伝えるかだ。主催者の発信する情報(事実)だけを伝えるだけでは、読者が知りたい情報(事実)を伝えることにはならない。無色透明の何のポリシーも持たず書く記事は読者の共感を呼ぶことはできない。記者は〝記事はラブレター〟をモットーとしているが、いつも意識している読者とは恋人のような存在だ。
マンションの記事であれば、読者が一番知りたいのは価格だ。ところが、価格を未定として公表しないデベロッパーは多い。その主催者の語るあれやこれやの特徴をそのまま伝えたところで、「価格は未定」の記事はただのプロパガンダに過ぎないと思う。
読者が知りたいということではネガティブ情報もそうだろう。これは難問だ。いかに優れたマンションであれ難点はある。これを伝えないのは客観報道にならないとも考えられる。われわれ業界紙の記者はその点で〝落第〟かもしれない。この問題については機会があればまた書きたい。
「値下げ」についても一言。かつて不動産は「値下げ」について厳しい規制が設けられていたが、現在は旧価格に×印をつけて新価格を表示するいわゆる二重価格表示が一定の要件付きで認められている。
いまだに「値下げ」記事が売れると考えているマスコミがいることにあきれるのだが、そんな記事に飛びつく読者も読者だ。自分の人生を左右しかねない一生に一度の大きな買い物になるかもしれないのに、素人記者のいい加減な記事など参考にすべきではない。売れなければ値を下げるのは当たり前ではないか。価格は市場が決める。
デベロッパーにも注文したい。櫻井氏も指摘しているのだが、以前は良くも悪くも各社の広報担当とマスコミは持ちつ持たれつ親密な関係にあったように思う。かの浜渦氏が強調したように「水面下の交渉」が良好な人間関係を生み、ことを穏便に済ませてきた。
その是非は差し置くとして、記者を育てる意味でデベロッパーはどんどんマンション見学会・懇親会などを行うべきだ。記者もまた現場に足を運ぶべきだ。現場を見ると見えないものが見えてくる。
東急不動産他 日比谷公園近接ビル「日比谷パークフロント」に名称決定
「日比谷パークフロント」
東急不動産は3月22日、ケネディクス、日本政策投資銀行と共同で立ち上げたグリーンアセットインベストメント特定目的会社を通じて建設中のビルの名称を「日比谷パークフロント」に決定したと発表した。5月に竣工する。
ビルは日比谷公園に近接する霞ヶ関エリアに位置し、地下では隣接ビルを通じて霞ヶ関駅と内幸町駅に直結。「公園の中のオフィス」をコンセプトに、日比谷公園の眺望だけでなく、建物の中まで公園のような快適さに包まれた働きやすさを提供する新しいオフィスビルとする。
物件は、東京メトロ霞ヶ関駅から徒歩3分、都営三田線内幸町駅から徒歩5分、千代田区内幸町二丁目に位置する敷地面積6,089.61㎡、地下4階地上21階建て延べ床面積67,000㎡。施工は鹿島建設。竣工予定は2017年5月31日。
ガーデンプロムナード
三井不動産レジデンシャル 学生寮事業に参入 「平和台」全179室 入居前95%申し込み
「カレッジコート平和台」
三井不動産レジデンシャルは3月21日、学⽣寮事業に参⼊し、第⼀弾の「カレッジコート平和台」が2017年3⽉に竣⼯したと発表した。竣⼯後は全国に学⽣寮を展開する毎⽇コムネットが⼀括賃借・運営する。⼊居は4⽉1⽇開始予定で、すでに95%以上の⼊居申し込みを受けている。
物件は、東京メトロ有楽町線・副都⼼線平和台駅から徒歩6分、練⾺区平和台4丁目に位置する7階建て全179室。専用面積は15.76〜16.88㎡。24時間セキュリティ。専有部はバス・トイレ別、独⽴洗⾯台、エアコン、家具家電付き、2ドア冷凍冷蔵庫、ベッド、デスク、チェアなど。設備はオートロック、ランドリールーム、防犯カメラ、⾷堂など。
伊藤忠都市 学生マンション第1弾「武蔵小杉」 好調スタート 〝至れり尽くせり〟
「クレヴィアウィル武蔵小杉」
伊藤忠都市開発の学生専用住宅第1号「クレヴィアウィル武蔵小杉」が完成し3月18日から入居が始まった。入居申し込み受付から8カ月でテンプル大学(2階)、青山学院大(3~4階)のフロア単位の申し込みがあるなど全390室に対して約8割の申し込みがあるなど極めて好調なスタートを切った。入居開始の前日(17日)、報道陣に公開された。
物件は、JR武蔵小杉駅から徒歩12分、川崎市中原区市ノ坪に位置する7階建て全390室。専用面積は11.51~12.0㎡。月額賃料は6.5万~7.5万円。
1階に約385㎡の「カフェテリア」「ラウンジ」「テラス」や80収容可能な「マルチルーム」、トレーニングマシンを備えた「ジムスペース」を設置したほか、各フロアに約77㎡の「キッチン付きリビングスペース」を配置。国際交流を促す共用施設を整備。
安心・安全の設備・サービスとしては、フロア別セキュリティ、24時間有人管理、入退館管理システム、食事付きサービスなど。
また、館内キャッシュレス・キーシステム」を導入することで食券購入ができ、家具(ベッド・机・椅子)が備えられているほか、アイロン、掃除機、布団乾燥機などがレンタル可能。
ソフトサービスでは、全国約20万か所以上の施設やサービスが受けられる「CREVIAWILLクラブオフ」に入会できるほか、「東急でんき」を一括受電することから「TOKYU ポイント」が2倍貯まる特典付き。伊藤忠人事総務サービスによる就職活動支援サービス、各種交流イベントなども用意している。
同社総合開発本部の賃貸事業第一課長補佐・片岡賢治氏は、「用地は分譲用として取得したが、分譲事業に偏重している当社の売り上げ構成を変える狙いもあり学生寮とした。竣工時に8割の入居が決まったのは想定外だが、残りも3月末までに決めたい。地方の親御さんの関心が極めて高い。同業のデベロッパーや外資の参入もあるが、当社は40年前から日吉で920戸の慶大生を対象とした学生寮を運営してきた実績・ノウハウがあるのが強み。年間2~3棟くらい供給するのが目標。伊藤忠アーバンコミュニティが運営し、当社は一定期間所有したのちグループのリートに売却するというスキーム」などと語った。
食堂
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同じような施設では、イヌイ倉庫の社会人向けマンション「月島荘」を見学したことがあるが、学生向けは初めてだ。
レンタブル比率が約65%であることからも分かるように共用施設が充実しており、親の側からすれば至れり尽くせりだと思った。子どもの入退館が捕捉され、〝お友だち〟が侵入することはほとんど不可であることも記者は確認した。セキュリティが万全で、男装しようが女装しようが、入居者以外の人が居室に入ることはまず無理だ。部屋ではタバコも禁止。
しかし、学生の側からすれば〝大きなお世話〟ではないかと思った。われわれの世代はアパートで夜を徹して友だちと語り合ったりするのが普通だった。酒だろうがタバコだろうが禁止などされなかった。友だちなどを泊めることは契約上禁止されていたアパートが多かったと思うが、守る者などいなかったはずだ。行動が全て捕捉されてまっとうな人間に育つのか、腑抜けの人間ばかりにならないか心配にもなった。片岡氏の「入居期間は1~2年が多い」という言葉に救われた。
ただ、日本人にとっても外国人にとっても国際交流ができるのは最大のメリットだと思う。記者は英語が全く話せず、中国に取材に行ったとき、北京大付属小学校4年生から「Can you speak English」と聞かれ、「I don't speak English」と答えるしかなかった。英語や中国語が話せないとこれからは生きていけない。
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外資のGSA(ジーエスエー)が「白山」に全175室の学生寮を建設中で、東急不動産も学生寮事業に参入すると先に発表した。三井不動産も参入する模様で、大学の国際化の流れに乗ろうというのが各社の戦略のようだ。約100万人の学生がいる首都圏は世界的にも巨大マーケットのようだ。
木住協 2時間耐火構造の大臣認可取得 木造5階建て以上が可能に
日本木造住宅産業協会(木住協)は3月15日、木造軸組工法(在来工法)による2時間耐火構造大臣認定を取得し、5階建て以上の建築が可能になったと発表した。RCや鉄骨しかできなかった非住宅大規模建築物にも対応できるとして普及に期待している。
建築基準法では、耐火建築物にするためには最上階から数えた階数が5以上で14以内の階では通常の火災で火熱が2時間加えられても壁、柱、床、梁が変形、溶融、破壊されないことを求めている。
木住協はこれまで間仕切壁、柱、床、外壁について2時間耐火構造認定を受けており、このほど「梁」についても性能評価試験に合格し、5月にも認定を受ける予定。
各部位の耐火被覆材としてせっこうボードなどを採用。屋内壁、床などは強化せっこうボードの3枚重ね張りを行い、外壁については外装材に軽量モルタルの重ね張りを使用する。今後、2時間耐火建築物設計マニュアル講習会を実施し普及を図っていく。
木住協によると、耐火大臣認定建築物は年々増加しており、平成27年度は388棟だったものが28年度は439棟(2月末現在)と大幅に伸びており、年度末には480棟くらいになると予想している。
東京ミッドタウン10周年 来街者は年間3,000万人 売上げは290億円(2015年度)
「江戸富士」オープニングイベント
中村氏
東京ミッドタウン(事業者代表:三井不動産)は3月16日、今年3月30日で開業10周年を迎えるのにあたりプレス説明会を開き、三井不動産東京ミッドタウン事業部長兼東京ミッドタウンマネジメント社長・中村康浩氏がこれまでの街づくりの歩みやイベントスケジュールなどについて語った。
中村氏は、「用地は元防衛庁施設跡地で、当社をはじめとする6社コンソーシアムが2001年に落札した。当社としてもすべての力を注ぎ込んだプロジェクト。開業10周年を迎え、2015年度の来街者は延べ約3,000万人、商業店舗の売り上げは過去最高の290億円を達成した。場所を貸すという新たな収益源を生み出し、安心安全の街づくりやアートの街としても認知されるようになってきた。今後は、『経年優化』の街づくりに一層努める」などと語った。
夕方には、スペシャルゲストに市川染五郎氏を招いた10周年記念「江戸富士」オープニングイベントを行った。
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東京ミッドタウンは記者生活40年の中で、もっとも思い入れのあるプロジェクトだ。同社などが1,800億円で用地を落札したが、その半年前、「落札価格は1,850億円」という全10段の予想記事を書いた。的中したときは快哉を叫んだ。
開業の初日には幸運にもリッツの予約が取れ、感動的なホスピタリティ(クレド)を体験した。もちろん宿泊費は自腹。
そこで、中村社長に①いま振り返って用地は高い買い物だったのか安かったのか、安かったとすればどれくらい安かったか②投資資金はどれくらい回収できているか③同じような競争となる施設・街は今後出てくるか-について聞いた。
中村社長は「数字は勘弁してほしい」と言いながら、「投資家の皆さんには非常に満足してもらっている。今後は、このようなまとまった土地が出てくるか難しい」と話した。
もう一つミッドタウンが街の活性化にどれだけ貢献したか、その波及効果を金額で換算したらいくらかについても聞いたのだが、分からないということだった。記者は年間にして1,000億円超だと考えている。
比類なきホスピタリティの高さリッツカールトン 記者も初体験(2007/4/2)
ナイス 階段室にRCを用いた日本初のハイブリッドCLT建築物竣工
仙台物流センター事務所棟
ナイスは3月16日、東日本大震災で6m超の大津波によって壊滅的な被害を受け、震災直後より仮設事務所にて業務を行ってきた仙台物流センターの事務所棟について、CLT(直交集成板)を用いた新築工事が竣工したと発表した。宮城県の木材産業の振興に寄与すると共に復興のシンボルとなるよう、宮城県初のCLT建築とした。
CLTのラミナ(挽き板)には「優良みやぎ材」の認定を受けた宮城県産スギ材を使用。室内はCLTの特長を生かした木質感あふれる空間になるよう現しになる内装とした。現しとするために室内側に接合金物が露出しないプレートを考案すると共に、断熱材も室外側から施工する外張り断熱工法を採用したのが特徴。
また、CLT建築物の大型化や高層化に役立ちたいとの思いから、階段室を鉄筋コンクリート造とする平面混構造を採用。平面上でのCLTと鉄筋コンクリート造との混構造は日本初。建築物省エネルギー表示制度「BELS」で最高ランクとなる5つ星を取得している。
建物は木造(CLT)+鉄筋コンクリート造2階建て、建築面積187.65㎡、延べ床面積356.70㎡、CLT使用材積146.82㎥(全て宮城県産スギ材)。
「女性が輝く社会」へつなげるトイレ環境は整うか 国交省 トイレ協議会
国土交通省は3月13日、第3回「女性が輝く社会づくりにつながるトイレ等の環境整備・利用のあり方に関する協議会」(座長:大森宣暁・宇都宮大学教授)を開催し、最終取りまとめ案について論議した。「トイレは女性活躍の象徴」(長井総和・国交省総合政策局安心生活政策課長)という観点から、外出先で利用するトイレ、授乳・調乳スペースやおむつ替えスペースのあり方について参考となるよう望ましい姿を示した。今年度末までに取りまとめが行われる予定。
多くの不満が寄せられている女性トイレの行列解消については、用足し以外の目的で利用する人が多いことから、便器数を増やすとともに個室便房とは別のフィッティングルーム、パウダーコーナーを整備することも有効としている。
トイレの清潔性・快適性の向上については、定期的な清掃の回数を増やし、快適性を向上させるための設備の充実が有効としている。
安心・安全の確保では、死角をつくらないこと、個室便房内に防犯ブザーを設置するとともにキャリーケースなど荷物を置くことができる広さを確保することなどが望ましいとしている。
授乳・調乳スペースの設置については、絶対的なスペース不足を解消するため他の既存のスペースを一時的に提供し、また、家族で使える個室スペースなどを整備して多様なニーズに対応することを提案している。
おむつ替えスペースについては、男性トイレにも設置したり、ベビーカーや荷物などの置き場所を確保したりすることを求めている。
大森氏は、「トイレは用足しの目的だけでなく多様な機能が求められている。とりまとめは公的な拘束力があるわけではないが、豊かな社会の実現に貢献できるよう期待している」と語った。
◇ ◆ ◇
女性トイレに特別関心があるわけではない。ただ、マンション建設現場のトイレを見たり、現場で働く女性に話を聞いたりして、女性の建設現場への進出を阻む要因の一つにトイレの問題があることを知り傍聴した。
その結果、建設現場だけではなく駅や公園、職場のトイレ環境が劣悪であることを知った。
国交省のアンケートで職場のトイレを「ほとんど利用しない」「利用しない」女性が30.5%(男性は12.4%)もいることにショックを受けた。同省はその理由として「就労の有無が影響していると考えられる」としているが、これは意味不明というか認識不足だ。職場のトイレを利用しないというのは、自らが勤務する会社のトイレを利用しないと解するべきだ。それだけプライバシーが守れず、快適性に欠ける職場のトイレが多いと考えるべきだ。
もう一つ。たくさん不満があるにも関わらず、女性委員が取りまとめ案に対して寛容な態度を取ったのは意外だった。
取りまとめ案は16ページにわたるものだが、文末はほとんど「望ましい」「考えられる」「有効である」「必要がある」「意見がある(多い)」「留意する必要がある」という述語で締めくくられている。
また、「各施設管理者には、トイレ等の質・量を向上させるためのスペースを確保するのが困難であることや、費用対効果等経営上の観点からコスト的な制約があることに留意すべき」という文言が何度も出てくる。
一方で「女性が活躍できる」「女性が輝く」環境を整備すべきと言いながら、他方では管理者のコストに留意すべきだという。つまり、快適なトイレ環境を整備するかどうかは管理者に委ねられているとも受け取れる。協議会には建設業、鉄道会社、民鉄協、ショッピングセンター業界からも多数参加しており、これらの業界に配慮したものだろうが、これでは「女性が輝く社会づくり」が実現できるのか心もとない。
女性委員から「最近の新幹線はきれいになった」とJRを喜ばせる声もあった。通常の列車よりはるかに料金が高く、航空会社とも争っている新幹線のトイレがきれいなのは当然ではないか。むしろ、38.4%の女性が駅のトイレをほとんど利用しないことを問題視すべきではないのか。コスト優先のためにトイレ整備が後回しになっても女性は耐え忍ぶのか。トイレは尊厳の問題でもある。それが費用対効果の対象になるのはどういうことか。
この種の報告書によくある〝玉虫色〟の域を今回も出ていないというのが率直な印象だ。
女性輝けないトイレ「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言
東急不動産グループ記者懇親会(ザ・キャピトルホテル東急)
金指会長
3月9日行われた恒例の第38回東急不動産ホールディングス記者懇親会。宴もたけなわどころか、お開きの場面だった。記者は取材を終え、沖縄のホテルプロジェクトや震災支援の活動について話を聞き、お薦めの酒を飲んでいるときだった。
金指潔・同社会長が閉会の辞でいきなりブラッシングボールを投げた。「業界紙に『住宅新報』『週刊住宅』があるが、合併して一緒になったほうがいい。このままでは生き残れない。〝週刊住宅新報〟とでもしたほうがいい…。とにかく情報が大事…」と。(この通り話されたかどうか自信はないが、それほど間違っていないはず)
この言葉の真意を聞こうと思ったが、金指会長は会場袖の出入り口からすぐ退出されたようで、話を聞くことはできなかった。周囲にいた同社関係者や同業の記者に聞いたが、「あれは冗談でしょう」「記者の方の対応をしていましたのでよく聞き取れませんでした」「どういう意味でしょうかね」という答えしか返ってこなかった。
金指会長をご存じない方に分かりやすく伝えるためにプロ野球投手に例える。金指会長は大谷投手やマー君のように力任せで相手を牛耳るタイプではない。基本はストレートだが、内角をえぐる際どいシュートや人を食ったような緩い球を投げる。
これだと並みの変化球投手だが、金指氏はそうではない。〝ブラッシングボールを投げるぞ、よけきれなければ俺は知らんぞ、お前の責任だぞ〟と予告し、その通りに投げるタイプだ。
その意図を読み切ればものすごくわかりいいが、深読みしすぎるとまともに死球を食らい、または絶好球を見逃してしまう。
この日、金指会長はなにを伝えたかったのか。ただの受け狙いの冗談を飛ばしたはずはない。かなり辛辣な問いを投げかけたと受け止めるべきだ。慈愛に満ちたブラッシングボールだと理解しないといけない。
名指しされた「住宅新報」も「週刊住宅」も、さらにわたしも含めたすべての記者も〝あなたたちはきちんと情報を伝えているか〟と問われていることくらい分かったはずだ。
しかし、この「情報」が曲者だ。情報にどのような価値があり、何のための誰のためかを見極める力がないと、みんな集まっても烏合の衆になってしまう。金指会長のこの日の言葉はずしりとこたえた。酔いはいっぺんに醒めた。
◇ ◆ ◇
昨夜に書いた記事が気になり、今日(10日)は早く起き、信頼できる同業の記者に聞いた。いくつか間違いもあるようなので追加する。昨夜の記事はそんなに的外れでもないのでそのままとする。
金指会長が投げたブラッシングボールは、それまでのメディアの人との懇親、歓談の流れの中で飛び出したもので、おおよそ次のような意味のようだ。
つまり、われわれ業界紙の記者は、これまでの時代をどう生きてきたかという根本的な問いを金指会長は〝危険球〟のようなジョーク交じりで発したのだ。あなたたちは自力で流れをつくり、あるいは流れに逆らって言うべき主張をしてきたのかと。それがジャーナリズムの使命ではないかと。
そうではなくて、病葉のように時代に流され、右に左にぶれやがて勢いをなくした大河のよどみに沈み汚泥、ヘドロとなり、やがて腐臭を発し、あぶくとなってぷかぷかと浮かび上がり、スギ花粉かPM2.5のような有害物質となって空気中に害毒を垂れ流す存在になっていないかと。もしそうならば、老害は去るべしと。
もう一つ、金指会長は「情報」と言ったのではなく、「上司」と言ったそうだ。上司次第で組織のよどみを一掃し、アユが遡上できるような清流を取り戻すこともできるという意味のようだ。
ブラッシングボールどころか、金指会長はものすごく重要なことをわれわれに語ったということだ。