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「プレミアムフライデー 東京エキマチ乾杯」(左から冨田社長、世耕大臣、榊原会長 東京ステーションホテルで)

 「プレミアムフライデー」の初日(2月24日)、東日本旅客鉄道、三井不動産、三菱地所の3社は東京駅、日本橋、丸の内エリアが連携した様々なイベント「東京エキマチ×プレミアムフライデー」を実施した。

 東京駅エリアは東日本旅客鉄道・冨田哲郎社長と榊原定征・日本経済団体連合会会長が、日本橋エリアは三井不動産・菰田正信社長と安倍昭恵・総理大臣夫人が、丸の内エリアは、三菱地所・杉山博孝社長と小池百合子・東京都知事がそれぞれ出席。働き方改革を進め、月末の金曜日は仕事を早めに終え、家族らと一緒に過ごす時間を増やそうと呼びかけた。

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 記者は日本橋も丸の内も取材したかったが、あちらを立てればこちらがたたず、結局はニュートラルの立場で東京駅を選択した。榊原会長が何を話すか興味もあったからだ。

 しかし、全くの期待外れ、肩透かし。榊原会長は冨田社長や世耕弘成・経済産業大臣らと壇上に上がりセレモニーを行い、3エリアを中継でつなぐ「東京エキマチ乾杯」を行って降壇した。発言は一言もなし。

 記念写真だけは何とか撮り帰ろうとしたら、何やら会場の中央に人だかりができた。三脚やら集音マイクを抱えた人ばかりだった。JR東日本の関係者だけで何かが始まるのだろうと思ったら、先の3氏がぶら下がり取材に応じた場面だった。

 後れを取った記者は外から眺めるしかなかった。声はほとんど聞き取れなかった。おまけに三脚のカメラマンの撮影の邪魔をしたらしく、やくざのような言葉でののしられた。たくさんのSPにも睨まれているような気がした。

 この日は、プレミアムフライデーが浸透することを願って12時から18時まで食事もとらずほとんど立ちっぱなしで取材した。とてもいい取材ができたが、ここだけが誤算だった。東京駅を外して三井か三菱かどちらかに行くべきだった。

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 取材前に、三菱地所の女性広報担当者から三菱地所のビルではなくサンケイビルにあるカキがおいしい店を紹介されていた。

 東京駅にも丸の内にも日本橋にもおいしいカキの店があるのは知っているが、ひょっとしたらもっとおいしい店かもしれないし、かみさんと〝プレミアム〟な1日になるかもしれないと淡い期待を抱いて、とにかく行ってみることにした。

 カキとワインは確かにおいしかった(年寄り向けではないが)。しかし、若い女性スタッフは「プレムアム? 全く効果がない。いつもと一緒。期待外れ」とあきれ返っていた。榊原会長はこの声にどう答えるか。

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プレミアムマルシェ(東京駅で)

酒とさくらに染まる 日本橋 見事なバトンタッチに乾杯 丸の内 プレミアムフライデー(2017/2/25)

大和ハウス プレミアムフライデー 午後有休スタート 遠足気分のグループも(2017/2/25)

2月24日プレミアムフライデー 大和ハウス役員は「仕事」派が優勢(2017/2/23)

カテゴリ: 2016年度

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「稜文舘」

 ブルースタジオと湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムは2月19日、地域価値の再生がテーマの共同プロジェクト「(仮称)街とともに生きる賃貸住宅」シリーズの第一弾、神奈川県大磯町のリノベーション賃貸住宅「稜文舘」が竣工したのに伴うお披露目会を行った。

 物件は、JR東海道線大磯駅から徒歩13分、神奈川県中郡大磯町東町に位置する鉄筋コンクリート造陸屋根2階建て全9戸(3戸は入居中)。専用面積は97.33㎡(1戸)と75.21㎡(8戸)。賃料は12.2万~14.5万円。建物は1988年9月竣工済みで、2017年2月リノベーション工事を実施。建築設計監理はブルースタジオ。事業主・貸主は湘南ユーミーまちづくりコンソーシアム。

 現地は、低層住宅が建ち並ぶ住宅街で、保存林を挟んで湘南の海がすぐそば。建物はオーナーが自ら住み、賃貸マンションとして利用されてきたが、6戸が空きのままで、湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムが昨年購入。ブルースタジオがリノベーションを担当して、今回完成させたもの。

 1階のエントランス部分に地域に開かれた約8畳大の「コモンライブラリ」を設置。ミニキッチンやTVを備えて入居者や地域の住民のコミュニケーションの場としているのが特徴。居室は、床材に岡山県の国産スギ材を採用し、1階にはデッキ付き専用庭を設けている。

 「コモンライブラリ」の立ち上げには、大阪を中心に全国約420カ所で展開している「まちライブラリー」が参加。「まちライブラリー」は礒井純充氏が提唱し、一般社団法人まちライブラリーが主宰するコミュニティ型ライブラリー。

 お披露目会でユーミーホールディングス常務・西山和成氏は「当社は設立から約40年。現在、湘南エリアを中心に約12,000戸の賃貸住宅を管理している。この物件はここしかない価値をつくり出すためブルースタジオさんと連携した。歴史・文化の香りがする立地を生かし、入居者と地域の方々が物語をつくる賃貸住宅にしたい」と語った。

 また設計監理を担当したブルースタジオのマネージャー・平宅正人氏は「街と共に生きることをコミットするのが我々の役割。入居者の方が将来戸建てに移り住むことも想定した〝トライアルステイ〟の場としても利用できるようモノ・コト・時間をデザインした」と話した。

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コモンライブラリ

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 わずか9戸の賃貸住宅だがコンセプトがいい。大磯町にはたくさんの政治家や財界人、文化人が居を構えていた。「コモンライブラリ」の趣旨に賛同する人は多いはずだ。稀覯本は難しいだろうが、ものすごく価値のある本が寄贈されるかもしれない。西山氏に聞いたらすでに300~400冊集まっているそうだ。

 この日、本棚には児童向けのほか村上春樹、池澤夏樹、司馬遼太郎、塩野七生、大岡昇平などの小説も並べられていた。

 湘南ユーミーグループのユーミーネットが管理する約12,000戸の賃貸住宅戸数は神奈川県トップで、全国でも30位にランクされているという。稼働率は平均95%に達するという。

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コモンライブラリ

 

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 経済産業省と東京証券取引所は2月21日、「健康経営銘柄2017」を選定、公表した。不動産業界から大京、建設業界から大和ハウス工業が選ばれた。

 「健康経営」とは、従業員などの健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に実践することで、従業員の活力や生産性の向上など組織の活性化がもたらされ、中長期的な業績・企業価値の向上の実現が期待され、企業価値を重視する投資家に対し、魅力ある企業として紹介するもの。第3回目となる今回は24業種から24社が選定された。

 また、経済産業省が今年度より開始した健康経営優良法人認定制度の「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)~ホワイト500~」には住宅・不動産業界からは住友不動産販売、住友林業、大京、大和ハウス工業、東急不動産ホールディングス、東急不動産、東急リバブル、平和不動産、三井不動産、三菱地所が選ばれた。

 

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 昨日(2月20日)、総理大臣官邸で第1回「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議」が行われ「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が決まった。内閣府のホームページによると、安倍総理は次のように述べた。

 「昨年、リオデジャネイロ大会が日本選手団の大活躍により幕を閉じました。檜舞台で圧倒的なパフォーマンスを見せるパラリンピアンの姿に、障害者スポーツには人や社会を元気にする力がある、改めてこう思いました。
 次は東京大会です。これを世界一の大会とすべく、準備を加速させる必要があります。
 さらに、東京パラリンピック競技大会を契機として、障害のある人もない人と同じように夢を追い可能性や能力をもっと生かすことができる社会、共生社会を実現し、大会の最大のレガシーの一つとしてまいります。
 (中略)
 行動計画においては、特に今後、障害のある人に関する施策の検討及び評価に当たって、障害のある人が委員等に参画し障害のある人の視点を施策に反映させること、学習指導要領改正を通じ全ての子供たちへの『心のバリアフリー』教育の実施、街づくりのユニバーサルデザインに関する法律を含む諸制度の見直しに着手していただきたいと思います。

 関係閣僚はリーダシップを発揮し、大会の成功、 そしてその後共生社会の実現に向けて、この行動計画に基づき施策を実施していただくようお願いいたします」

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 この閣僚会議の取材案内のメールが先週末内閣府から届いた。おかしいとは思ったのだが、事務局のメールには「『街づくり分科会』『心のバリアフリー分科会』をご取材いただきました報道関係者様で、お名刺を頂戴した方を対象に送らせていただいております」とあったので、間違いないのだろうと考え首相官邸に向かった。安倍総理がどのように話されるか興味があったからだ。

 ところが、行ってみると玄関で10数分待たされた挙句、門前払いを食らった。記者クラブに加盟している報道機関のみに配信するメールを誤って記者にも送ってしまったというのが広報担当の説明だった。喧嘩してもしようがないのですごすごと引き上げた。

 この問題については多くの方が指摘しているので書かないが、悪しき記者クラブ制度は撤廃すべきだ。隗より始めよ。ユニバーサルデザインどころか、取材のバリアすら官庁も報道機関も取っ払えないでいるではないか。

 会議の模様は動画も配信されたので見た。安倍総理が話されたのは3分間くらいか。その間、ハトがえさをついばむように何度も下を向かれた。自分の言葉で話してほしかった。

 一つ言いたいのは、取り組みの動機だ。東京オリンピックを契機というのはいかがなものか。総理ご自身が話したようにユニバーサルデザインは、障がい者も健常者も大人も子どもも老いも若きもみんなが使いやすい施設や商品、情報をデザインすることだ。オリンピックが終わったらみんな忘れないようにしていただきたい。

 もう一つ、肝心なことを言い忘れた。子どもたちへの「心のバリアフリー」教育を実施するとのことだ。これはこれで結構だが、そもそも子どもに障がい者を差別する「バリア」などあるのだろうか。バリアを築くのはわれわれ大人であり地域だ。ここから改善しないといけない。

共同宣言(案)は変 「ユニバーサルデザイン2020連絡会議」(2016/12/19)

 

 

 

カテゴリ: 2016年度

 東日本旅客鉄道、三井不動産、三菱地所の3社は2月24日(金)、東京駅、日本橋、丸の内エリアが連携した「東京エキマチ×プレミアムフライデー」を実施するが、3エリアを中継で繋いで同時に乾杯をする「東京エキマチ乾杯」の各エリアにゲストとして榊原定征日本経済団体連合会会長(東京駅エリア)、安倍昭恵総理大臣夫人(日本橋エリア)、小池百合子東京都知事(丸の内エリア)が出席することが予定されている。

 時間はそれぞれ16:00~16:15。場所は東京駅エリアが東京ステーションホテル ゲストラウンジ「アトリウム」、日本橋エリアが日本橋室町豊年萬福、丸の内エリアが三菱一号館美術館カフェ1894。

 東京駅エリアには東日本旅客鉄道・冨田哲郎社長、日本橋エリアには三井不動産・菰田正信社長、丸の内エリアには三菱地所・杉山博孝社長がそれぞれ出席する予定。

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 記者は当日午後からプレミアムフライデーを取材する予定だが、さてどこに行けばいいのか。一番行きたいのは榊原会長の東京駅だが、取材でお世話になっている三井も三菱も行かないわけにいかない。どうせなら3人一緒で3カ所を巡ってほしい。

JR東日本・三井不動産・三菱地所 プレミアムフライデー初日2/24(金)連携(2017/2/7)

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「グレイプス立石」

 東京建物の子会社・東京建物シニアライフサポートは2月16日、葛飾区最大規模となる総戸数96戸のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「グレイプス立石」を2月28日から開業すると発表。同日、報道陣に公開した。

 葛飾区内にある588室のサ高住のうち40㎡以上の広さを確保しているものは21戸しかないが、同社は40戸確保して差別化を図っているほか、身体の状態や介護の状況によってサービス内容を選択できる「ケアフロア(2F)」と「レジデンスフロア(3F-6F)」を設置し選択の幅を広げ、食事スペースもケアフロアとレジデンスフロア入居者で分けたのが特徴。日比谷花壇と連携し、身体や精神機能の維持・回復、生活の向上を図る園芸療法を導入する。また、1階には同社初の自社運営のデイサービス「グレイブスデイズ立石」を併設する。

 記者見学会に臨んだ同社・加藤久利社長は、「2009年の第一号以来これまで10物件837戸を供給し、予定物件を含めると1,000戸を突破する。昨年オープンした『辻堂西海岸』(158戸)も120室の申し込みがあるように、稼働物件はいずれも順調に推移している。これまでの経験からワンルームの稼働スピードを上げるとか、認知症入居者の退去・対応をどうするか、入居者の身体機能に応じたサービスをどう提供するかが課題で、『立石』ではその課題解決に向けた取り組みを行なう」と語った。

 物件は、京成押上線京成立石駅から徒歩10分、葛飾区立石二丁目に位置する6階建て全96戸(他に訪問介護事業所・居宅介護支援事業所・通所介護事業所)。専用面積は19.30~51.48㎡、月額賃料は45,730円~256,750円、月額管理費は36,350円(浴室あり)・41,350円(浴室なし)、基本サービス(税込)は38,880円(1人入居)・65,880円(2人入居)、見守りサービス費(税込)は59,400円(1人入居) 、食材費(税込)は朝食:324円・昼食:540円・夕食:540円・3食30日分:42,120円。共用部はフロント・ダイニング・プライベートダイニング・厨房・応接室・相談室・コミュニティラウンジ・屋上テラス・共同浴室・機械浴室・洗濯室・防災備蓄倉庫など。事業主は東京建物、貸主・管理運営は東京建物シニアライフサポート。医療連携は医療法人社団 悠翔会。設計・監理・施工はフジタ。

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エントランスホール

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エントランスホール

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グレイブスホール

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 居室を自立・軽介護の人向けの「レジデンスフロア」と、介護が必要な人向けの「ケアフロア」に分け、食事場所も分けたのは大正解だ。記者は特養と有料老人ホームに体験宿泊したのでよくわかるのだが、健常者が要介護度の高い方と一緒に食事するのは避けたほうがいいと思う。馴れればいいかもしれないが、まず食事がのどを通らない(要介護の人は自立型の人をどう思っているかわからないが)。

 こんなことを書くと〝差別〟だという人がいるかもしれないが、それぞれが落ち着いた環境と雰囲気で食事くらいしたい。

 設備仕様では、1階のホールには江戸組子や格子のデザインが施され、共用部分、食堂の床は突板仕様だったのが目を引いた。介護浴室はストレッチャーに横たわると浴槽が浮上するタイプで、ケアする人もラクではないかと思った。デイサービスの機械浴槽は按摩器のように腰かけたままで浴槽に入ることができ、四方八方から泡が飛び出すスグレモノだ。そのまま体を洗う機能はついていないのが残念。

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屋上テラス

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デイサービス浴室

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 これは業界全体の課題だろうが、住宅の質、設備仕様、サービス内容が一目瞭然となるような情報提供システムは開発できないかということだ。

 記者は分譲マンションならデベロッパーの名前や物件概要を見ただけでおおよその検討がつくが、玉石混交のサ高住の中から優れた物件を探すのは容易ではないはずだ。良否は皆目見当がつかないのではないか。居室以外の共用施設の広さ(いわゆるレンタプル比率)を明確にするとか、サービスの質の〝見える化〟を進めてほしい。格付けはどうだろう。

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モデルルーム(レジデンス)

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「大手町パークビルディング」(その隣が「大手門タワー・JX ビル」)

 三菱地所の最高級Sクラスビル「大手町パークビルディング」の竣工式が2月13日行われ、報道陣に公開された。オフィスワーカーをサポートする至れり尽くせりの機能を備え、大手町初の住機能・サービスアパートメントが併設され、さらに皇居に隣接する立地を考慮して自然・生物との調和を図った「ホトリア広場」の提案が素晴らしい。

 物件は、大手町駅直結の千代田区大手町一丁目に位置する敷地面積約9,300㎡、制振構造の地下5階地上29階建て延べ床面積約151,700㎡(容積率1400%)。用途は事務所・店舗・サービスアパートメント・地域冷暖房施設・保育所・駐車場など。設計監理は三菱地所設計。施工は竹中工務店。竣工は2017年1月31日。建物は「CASBEE」Sランク相当を確保している。

 ビルのことは詳しくないので間違っていたら〝ごめんなさい〟というほかないのだが、関係者も「そのつもり」と話したから、〝特上〟のビルであるのは間違いない。

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エントランスロビー

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サントリー・ミドリエの壁面緑化

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 何から書いていいか迷うのだが、まず「ホトリア広場」から。物件が皇居のほとりに位置するため名づけられたもので、2015年に竣工済みの「大手門タワー・JX ビル敷地と合わせて約3,000㎡のコミュニティ広場を整備。就業者や来街者の 憩いの場とし、生物多様性にも配慮しているのが特徴だ。また、コミュニティ活動の拠点として利用できるような仕掛けも施されている。

 広場を見て、すぐ「大手町の森」と比べた。約3,500㎡の「大手町の森」(オーテモリ)は素晴らしい「森」を演出しているが、四方八方ビルに囲まれているのに対し、こちらは規模こそ負けるが、緑被率を約45%確保し、皇居の緑と空間を取り込んでいる。総合的に評価すると「ホトリア」に軍配をあげたくなる。

 そればかりか、積水ハウス「新梅田シティ」の約8,000㎡の「里山」ともいい勝負だ。「ホトリア」はコンセプトも違うし規模的には圧倒的に負けるが、皇居の緑と一体としてとらえるとそんなに引けを取らない。

 市民参加型の「生き物モニタリング」で何が起きるか楽しみだ。ホタルブクロを咲かせるというが本当だろうか。

 皇居の緑・水・生き物との調和の取り組みとしては、お濠水(予定浄化量約50万㎥)の濠水浄化施設がすでに稼働しており、その効果がてき面であることも証明さている。アオコの発生はほとんどないそうだ。

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「ホトリア広場」

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 22階~29階に130室を設置したサービスアパートメント「アスコット丸ノ内東京」について。所有・運営はシンガポールが本拠のアスコットが行い、その最高級ブランド「アスコット」が日本初進出する。

 22階ロビーの天井高は約7mで、このフロアにはトレーニングルーム、プール、ラウンジ、ミーティングルーム、レストランなどがある。

 客室は38㎡からのスタジオタイプから163㎡のスイートまで7タイプ。オープニングプレミアムパッケージ料金は39㎡のスタジオタイプが1泊35,000円~(1カ月45万円~)、91㎡の1ベッドプレミアムが1泊55,000円~(1カ月75万円~)。

 写真撮影が許されたのは2部屋のみだったが、眺望、設備仕様、サービス(ワイン、食事など)を計算すると、これは泊まる価値がある。パレスホテルよりかなり安く、宿泊特化型のホテルと比べはるかにレベルが高い。(以前の記者だったら体験宿泊するが、いまは余裕がない)

 ビジネスとしてならホテルよりこのようなサービスアパートメントを好む人が少なくないことは十分理解できる。ホテルはプライバシーが確保されない欠点がある。

 デザインは全体としてすっきりしており、あの無国籍というか多国籍というか中途半端なアジアンテイストでないのがいい。

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「アスコット丸ノ内東京」客室

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  オフィスフロアについて。日比谷通りに面した広場には、2020 年東京オリンピック公式エンブレムをデザイン した野老朝雄氏によるパブリックアート作品 “TOWER OF CONNECT”を設置。エントランスロビーは高さ約12m。高さ約12mと約7mの壁面緑化「サントリー・ミドリエ」を設置、アロマの香りを漂わせることによって日比谷通りから皇居に向かって緑のつながりを意識させるデザインになっている。

 1フロアは約1,030坪。皇居に面した側は約50mのワイドスパンを採用。7階にはサービス機能付小規模オフィス「The Premier Floor Otemachi」18室を整備。小規模ながらSランクビルを望む国内外企業のニーズに応える。

 そして何より素晴らしいのが、2階のオフィスサポートフロアだ。皇居の緑が眺められるラウンジのほか、テナント企業向け保育所、フィットネス、シャワールーム、仮眠室などを備える。

 シャワールームがあるのがとくにいい。記者は独身の頃、毎週土曜日、仲間と皇居を1周していた。約5キロを約25分で走ったから早いほうだった。走ってからみんなと飲むビールが格別だった。困ったのはシャワーが浴びられなかったことだ。ホテルを利用しようにも金がなかった。このビルに勤務する人はそんな心配がない。同社のビルでもシャワールーム付きというのはほとんどないようだ。

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オフィス標準階の眺望

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パークラウンジ

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 気になったこともないわけではない。皇居が丸見えだったことだ。このビルだけではないが、これはいかがなものか。

 同社の「千鳥ケ淵」マンションでも書いたが、皇居を眼下に見下ろすのは抵抗がある。中国では絶対あり得ないことだし、アメリカだって国の重要施設のあるところは土地所有・利用に厳しい規制があると聞く。

 単なるデザインだけでなく、少なくとも皇居内が視認できないよう窓はスモークガラスにするなど法律で規制してもいいと思うがどうだろう。

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2階ラウンジ

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“TOWER OF CONNECT”

 

 

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 国土交通省は2月10日、第30回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会(部会長:中田裕康・東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開き、増大しつつある空き家等の現状を踏まえ、不動産流通の観点からどのような対応が望まれるかについて審議した。

 総務省の調査によると2013年の全国の空き家は約820万戸に達し、そのうち木造一戸建てや共同住宅などのその他住宅が約318万戸(賃貸は約429万戸)に上り増加率が高まっていること、全住宅ストックに占める空き家の割合は全国平均で5.3%(賃貸を含めると13.5%)で、昭和55年以前の建物は約210万戸あること、また、駅から1㎞以内で、簡易な手入れにより活用可能な住宅は全国で約48万戸あることなどが国交省から報告され、空き家にしておく主な理由としては「物置として必要」(44.9%)「解体費用をかけたくない」(39.9%)などがあげられた。

 空き家対策としては、空家対策特別措置法が平成27年5月全面施行されたことにより、全国107市町村が空家等対策計画を策定済みで、管理不十分で放置することが不適切な空家等(特定空家等)に対する措置として勧告137件、命令7件、代執行22件に上っているとした。

 今後、所有者情報の活用、全国版空き家・空き地バンクの構築、小口資金を活用した不動産特定共同事業制度の創設や、高齢者、低額所得者、子育て世帯向け賃貸住宅に空き家等を活用したり地域関係者の連携による流通・利活用を促進したりしていくことが報告された。

 また、地方自治体の取り組みとして長野県上田市・母袋創一市長が、NPOの取組みとして特定非営利活動法人空家・空地管理センター事務局長・上田福三氏がそれぞれ事例報告した。

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 空き家対策は、国土交通省土地・建設産業局不動産業課長・中田裕人氏が「わたしどもの部署にとどまらず住宅局はもちろん厚労省、消費者庁など横とも連携して霞が関の垣根を越えて取り組んでいく」と話したように、あらゆる行政と民間、大学などが連携しないと解決できない社会的課題だ。

 今回の部会では、宅建業界がどのような役割を果たせるかが主な論点になっている。

 興味深いのは、上田氏が「田舎では(仲介手数料収入だけでは)持ち出しが多く、ただでもやりたくないという業者がいる。宅建業法で定められている手数料収入の上限を『3%+6万円または50万円以下』に改正することも検討していただきたい」と発言したことだ。業界関係者によると、その方向での業法改正の可能性は高いという。(〝それでは消費者は困る。固定資産税くらいの収入があれば貸してもいいという所有者がいるかもしれないし、借りるほうもいるかもしれない〟という声を聞いた。なるほど、賃貸はいいかも)

 さらに上田氏は、良好な宅地を増やす一方で、他方では供給を減らす政策もとるなど都市計画にメリハリをつけるべきと話した。

 母袋・上田市長は、上田市が大河ドラマ「真田丸」の舞台になったことが支援材料になり、平成28年には中心市街地の定点22地点の1日当たり歩行者数が3万人になるなど過去最高を記録し、人口の社会増減は平成23年度からプラスに変わり、28年度は542人増(自然増減はマイナス659人)と大幅に増加したこと、女性の創業や就労を支援する取り組みでも大きな成果をあげているなどと語った。

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

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 東日本旅客鉄道、三井不動産、三菱地所の3社は2月7日、官民が連携して推進する「プレミアムフライデー」の趣旨に賛同し、東京駅、日本橋、丸の内エリアが連携した様々な取り組みを行うと発表した。

 「プレミアムフライデー」初日となる2月24日(金)は、当該エリアが連動し、企業の早上がり時間に合わせて、周辺ワーカーにドリンクを提供し、各エリアを中継で繋いで同時に乾杯をする「東京エキマチ乾杯」(無料)と、各エリアが提案する体験や魅力に触れてもらえるように各エリア間を走行・回遊するリムジン「東京エキマチプレミアムリムジン」(無料)を運行する。

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埼玉県住まいづくり協議会 設立20周年記念式典(埼玉県県民健康センターで)

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上田知事

 埼玉県住まいづくり協議会は2月6日、設立20周年記念式典を開催、関係者ら約120名が集まった。

 同協議会は平成8年10月、「埼玉で、がんばる! 埼玉を、創る!」を スローガンに、県内の住宅関連企業と行政・公益団体とが一体となり、優良な住宅供給やまちづくりを行うことで、県民の生活基盤の安定とその住環境の向上を図ることを目的に設立された。現在、会員は153に上っている。

 式典では、風間健会長(高砂建設社長)が挨拶を述べたあと、上田清司・埼玉県知事が来賓として登壇、挨拶するとともに、県の住宅政策に対する貢献を称える感謝状を同協議会に贈った。

 また、東京大学名誉教授・有馬孝禮氏が「大きなうねりの中の木材利用について」と題する講演を行った。

 以下、上田知事の挨拶を紹介する。

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 20周年を迎えられた埼玉県住まいづくり協議会が、県の住宅政策にこれまで多大な貢献を頂いたことに改めて厚くお礼申し上げます。

 住宅メーカーの宣伝ではありませんが、気持ちのいい家に住んでいれば家に戻っても気持ちいいというのは間違いのないことであります。住宅は仕事を終え、次の英気を養う大変重要な空間であります。その空間をもっとよくできないかと、大手だけでなく新進気鋭の若い社長さんたちが集まってできたのがこの協議会であります。

 協議会メンバーが供給される住宅は、いつ訪ねても〝なるほど〟というコンセプトが盛り込まれております。環境や教育などに配慮した特色のあるものを提供されておられる。

 玄関にはベビーカーが置け、お父さんのゴルフバッグも置けるように工夫されている。屋根裏はミニシアターとか子どもが遊べるような空間にしておられる。様々な制約のある中でよく見せる工夫・方法を考え、ぎりぎりの線でちゃんとつくっておられる。

 県はそうした皆さんの住宅づくりに応えなければならないと常に意識しております。

 埼玉県には海はありませんが、河川面積は日本一であります。しかし、ヘドロの川であっては何にもならない。平成20年から『水辺再生100プラン』に取り組んでおります。県の政策の中でもっとも成果をあげているのがこの川の再生であります。

 アユが棲める河川の割合はわたしが知事に就任した平成15年は52%でしたが、最近は89%にまで改善しました。ヘドロの川は清流になりつつあります。

 東京都にもっとも近い朝霞市に黒目川(荒川の源流)が流れています。この川にアユが遡上するようになりました。

 わたしはこのような顔をしておりますが、意外と虚弱体質でして変なものは食べられない。嫌だったんです、黒目川のアユなどを食べるのが。しかし一昨年〝大丈夫だ〟と勧められて塩焼きを食べたら、これがおいしい。何ともなかった。

 このような環境改善の政策に協議会の皆さんが呼応され、質の向上に取り組んでおられるのはありがたい限りであります。

 残念ながら、時として価格に見合わない質の低い住宅が提供されているのも事実です。しかし、少なくとも協議会メンバーが供給される住宅は、中古住宅市場で高い評価を受け、リフォームなどを経て生き延びることができると信じております。空き家も増えておりますが、健康長寿人生が全うできる、いろんな住み替えができる住宅であってほしいと思っております。

 皆さんがこれからも質の高いコンセプトの優れた住宅を供給され、その先進事例が埼玉に根づき、全国に展開できるよう願っております。

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上田知事(左)と風間会長

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 上田知事の挨拶は約10分間で、文章にすればこの倍くらいはあるのだが、要点を紹介した。記者は県の職員が書いた原稿をそのまま読み上げるのではないかと思っていたが、すぐに〝これは知事の自らの言葉〟ではないかと判断した。

 紹介した記事を読めばオリジナルであることがすぐわかるはずだ。積水ハウスのCMの〝紹介〟から始まり、玄関や屋根裏部屋の工夫に言及され、驚いたことに「価格に見合わない(実際は「価格以下」と知事は話した)住宅が供給されている」と語ったのだ。県の職員は「価格以下の住宅…」は口が裂けても言えないはずだ。記者だって面と向かって言えないし書けない。

 協議会のメンバーの皆さん、風間会長、住宅業界全体に対して鋭い指摘をされたが、これほどうれしい温かい言葉はないはずだ。知事の言葉に応えないといけない。

 記者も同協議会の先進の活動(「住まい協モデル浦和美園」がまさにそう)が全国に広がるよう期待したい。

カテゴリ: 2016年度
 

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