東京ミッドタウン10周年 来街者は年間3,000万人 売上げは290億円(2015年度)
「江戸富士」オープニングイベント
中村氏
東京ミッドタウン(事業者代表:三井不動産)は3月16日、今年3月30日で開業10周年を迎えるのにあたりプレス説明会を開き、三井不動産東京ミッドタウン事業部長兼東京ミッドタウンマネジメント社長・中村康浩氏がこれまでの街づくりの歩みやイベントスケジュールなどについて語った。
中村氏は、「用地は元防衛庁施設跡地で、当社をはじめとする6社コンソーシアムが2001年に落札した。当社としてもすべての力を注ぎ込んだプロジェクト。開業10周年を迎え、2015年度の来街者は延べ約3,000万人、商業店舗の売り上げは過去最高の290億円を達成した。場所を貸すという新たな収益源を生み出し、安心安全の街づくりやアートの街としても認知されるようになってきた。今後は、『経年優化』の街づくりに一層努める」などと語った。
夕方には、スペシャルゲストに市川染五郎氏を招いた10周年記念「江戸富士」オープニングイベントを行った。
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東京ミッドタウンは記者生活40年の中で、もっとも思い入れのあるプロジェクトだ。同社などが1,800億円で用地を落札したが、その半年前、「落札価格は1,850億円」という全10段の予想記事を書いた。的中したときは快哉を叫んだ。
開業の初日には幸運にもリッツの予約が取れ、感動的なホスピタリティ(クレド)を体験した。もちろん宿泊費は自腹。
そこで、中村社長に①いま振り返って用地は高い買い物だったのか安かったのか、安かったとすればどれくらい安かったか②投資資金はどれくらい回収できているか③同じような競争となる施設・街は今後出てくるか-について聞いた。
中村社長は「数字は勘弁してほしい」と言いながら、「投資家の皆さんには非常に満足してもらっている。今後は、このようなまとまった土地が出てくるか難しい」と話した。
もう一つミッドタウンが街の活性化にどれだけ貢献したか、その波及効果を金額で換算したらいくらかについても聞いたのだが、分からないということだった。記者は年間にして1,000億円超だと考えている。
比類なきホスピタリティの高さリッツカールトン 記者も初体験(2007/4/2)
ナイス 階段室にRCを用いた日本初のハイブリッドCLT建築物竣工
仙台物流センター事務所棟
ナイスは3月16日、東日本大震災で6m超の大津波によって壊滅的な被害を受け、震災直後より仮設事務所にて業務を行ってきた仙台物流センターの事務所棟について、CLT(直交集成板)を用いた新築工事が竣工したと発表した。宮城県の木材産業の振興に寄与すると共に復興のシンボルとなるよう、宮城県初のCLT建築とした。
CLTのラミナ(挽き板)には「優良みやぎ材」の認定を受けた宮城県産スギ材を使用。室内はCLTの特長を生かした木質感あふれる空間になるよう現しになる内装とした。現しとするために室内側に接合金物が露出しないプレートを考案すると共に、断熱材も室外側から施工する外張り断熱工法を採用したのが特徴。
また、CLT建築物の大型化や高層化に役立ちたいとの思いから、階段室を鉄筋コンクリート造とする平面混構造を採用。平面上でのCLTと鉄筋コンクリート造との混構造は日本初。建築物省エネルギー表示制度「BELS」で最高ランクとなる5つ星を取得している。
建物は木造(CLT)+鉄筋コンクリート造2階建て、建築面積187.65㎡、延べ床面積356.70㎡、CLT使用材積146.82㎥(全て宮城県産スギ材)。
「女性が輝く社会」へつなげるトイレ環境は整うか 国交省 トイレ協議会
国土交通省は3月13日、第3回「女性が輝く社会づくりにつながるトイレ等の環境整備・利用のあり方に関する協議会」(座長:大森宣暁・宇都宮大学教授)を開催し、最終取りまとめ案について論議した。「トイレは女性活躍の象徴」(長井総和・国交省総合政策局安心生活政策課長)という観点から、外出先で利用するトイレ、授乳・調乳スペースやおむつ替えスペースのあり方について参考となるよう望ましい姿を示した。今年度末までに取りまとめが行われる予定。
多くの不満が寄せられている女性トイレの行列解消については、用足し以外の目的で利用する人が多いことから、便器数を増やすとともに個室便房とは別のフィッティングルーム、パウダーコーナーを整備することも有効としている。
トイレの清潔性・快適性の向上については、定期的な清掃の回数を増やし、快適性を向上させるための設備の充実が有効としている。
安心・安全の確保では、死角をつくらないこと、個室便房内に防犯ブザーを設置するとともにキャリーケースなど荷物を置くことができる広さを確保することなどが望ましいとしている。
授乳・調乳スペースの設置については、絶対的なスペース不足を解消するため他の既存のスペースを一時的に提供し、また、家族で使える個室スペースなどを整備して多様なニーズに対応することを提案している。
おむつ替えスペースについては、男性トイレにも設置したり、ベビーカーや荷物などの置き場所を確保したりすることを求めている。
大森氏は、「トイレは用足しの目的だけでなく多様な機能が求められている。とりまとめは公的な拘束力があるわけではないが、豊かな社会の実現に貢献できるよう期待している」と語った。
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女性トイレに特別関心があるわけではない。ただ、マンション建設現場のトイレを見たり、現場で働く女性に話を聞いたりして、女性の建設現場への進出を阻む要因の一つにトイレの問題があることを知り傍聴した。
その結果、建設現場だけではなく駅や公園、職場のトイレ環境が劣悪であることを知った。
国交省のアンケートで職場のトイレを「ほとんど利用しない」「利用しない」女性が30.5%(男性は12.4%)もいることにショックを受けた。同省はその理由として「就労の有無が影響していると考えられる」としているが、これは意味不明というか認識不足だ。職場のトイレを利用しないというのは、自らが勤務する会社のトイレを利用しないと解するべきだ。それだけプライバシーが守れず、快適性に欠ける職場のトイレが多いと考えるべきだ。
もう一つ。たくさん不満があるにも関わらず、女性委員が取りまとめ案に対して寛容な態度を取ったのは意外だった。
取りまとめ案は16ページにわたるものだが、文末はほとんど「望ましい」「考えられる」「有効である」「必要がある」「意見がある(多い)」「留意する必要がある」という述語で締めくくられている。
また、「各施設管理者には、トイレ等の質・量を向上させるためのスペースを確保するのが困難であることや、費用対効果等経営上の観点からコスト的な制約があることに留意すべき」という文言が何度も出てくる。
一方で「女性が活躍できる」「女性が輝く」環境を整備すべきと言いながら、他方では管理者のコストに留意すべきだという。つまり、快適なトイレ環境を整備するかどうかは管理者に委ねられているとも受け取れる。協議会には建設業、鉄道会社、民鉄協、ショッピングセンター業界からも多数参加しており、これらの業界に配慮したものだろうが、これでは「女性が輝く社会づくり」が実現できるのか心もとない。
女性委員から「最近の新幹線はきれいになった」とJRを喜ばせる声もあった。通常の列車よりはるかに料金が高く、航空会社とも争っている新幹線のトイレがきれいなのは当然ではないか。むしろ、38.4%の女性が駅のトイレをほとんど利用しないことを問題視すべきではないのか。コスト優先のためにトイレ整備が後回しになっても女性は耐え忍ぶのか。トイレは尊厳の問題でもある。それが費用対効果の対象になるのはどういうことか。
この種の報告書によくある〝玉虫色〟の域を今回も出ていないというのが率直な印象だ。
女性輝けないトイレ「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言
東急不動産グループ記者懇親会(ザ・キャピトルホテル東急)
金指会長
3月9日行われた恒例の第38回東急不動産ホールディングス記者懇親会。宴もたけなわどころか、お開きの場面だった。記者は取材を終え、沖縄のホテルプロジェクトや震災支援の活動について話を聞き、お薦めの酒を飲んでいるときだった。
金指潔・同社会長が閉会の辞でいきなりブラッシングボールを投げた。「業界紙に『住宅新報』『週刊住宅』があるが、合併して一緒になったほうがいい。このままでは生き残れない。〝週刊住宅新報〟とでもしたほうがいい…。とにかく情報が大事…」と。(この通り話されたかどうか自信はないが、それほど間違っていないはず)
この言葉の真意を聞こうと思ったが、金指会長は会場袖の出入り口からすぐ退出されたようで、話を聞くことはできなかった。周囲にいた同社関係者や同業の記者に聞いたが、「あれは冗談でしょう」「記者の方の対応をしていましたのでよく聞き取れませんでした」「どういう意味でしょうかね」という答えしか返ってこなかった。
金指会長をご存じない方に分かりやすく伝えるためにプロ野球投手に例える。金指会長は大谷投手やマー君のように力任せで相手を牛耳るタイプではない。基本はストレートだが、内角をえぐる際どいシュートや人を食ったような緩い球を投げる。
これだと並みの変化球投手だが、金指氏はそうではない。〝ブラッシングボールを投げるぞ、よけきれなければ俺は知らんぞ、お前の責任だぞ〟と予告し、その通りに投げるタイプだ。
その意図を読み切ればものすごくわかりいいが、深読みしすぎるとまともに死球を食らい、または絶好球を見逃してしまう。
この日、金指会長はなにを伝えたかったのか。ただの受け狙いの冗談を飛ばしたはずはない。かなり辛辣な問いを投げかけたと受け止めるべきだ。慈愛に満ちたブラッシングボールだと理解しないといけない。
名指しされた「住宅新報」も「週刊住宅」も、さらにわたしも含めたすべての記者も〝あなたたちはきちんと情報を伝えているか〟と問われていることくらい分かったはずだ。
しかし、この「情報」が曲者だ。情報にどのような価値があり、何のための誰のためかを見極める力がないと、みんな集まっても烏合の衆になってしまう。金指会長のこの日の言葉はずしりとこたえた。酔いはいっぺんに醒めた。
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昨夜に書いた記事が気になり、今日(10日)は早く起き、信頼できる同業の記者に聞いた。いくつか間違いもあるようなので追加する。昨夜の記事はそんなに的外れでもないのでそのままとする。
金指会長が投げたブラッシングボールは、それまでのメディアの人との懇親、歓談の流れの中で飛び出したもので、おおよそ次のような意味のようだ。
つまり、われわれ業界紙の記者は、これまでの時代をどう生きてきたかという根本的な問いを金指会長は〝危険球〟のようなジョーク交じりで発したのだ。あなたたちは自力で流れをつくり、あるいは流れに逆らって言うべき主張をしてきたのかと。それがジャーナリズムの使命ではないかと。
そうではなくて、病葉のように時代に流され、右に左にぶれやがて勢いをなくした大河のよどみに沈み汚泥、ヘドロとなり、やがて腐臭を発し、あぶくとなってぷかぷかと浮かび上がり、スギ花粉かPM2.5のような有害物質となって空気中に害毒を垂れ流す存在になっていないかと。もしそうならば、老害は去るべしと。
もう一つ、金指会長は「情報」と言ったのではなく、「上司」と言ったそうだ。上司次第で組織のよどみを一掃し、アユが遡上できるような清流を取り戻すこともできるという意味のようだ。
ブラッシングボールどころか、金指会長はものすごく重要なことをわれわれに語ったということだ。
トイレ、車庫、犬(舎)小屋…情けない国の木材利用状況
国土交通省と農林水産省は3月7日、平成27年度の木材の利用状況をまとめ発表した。
木造化を促進する低層の公共建築物110棟のうち60棟を木造で整備(前年比187.5%)したほか、内装等の木質化を行った公共建築物は186棟(前年比108.1%)となった。
平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行され、国が率先して木材利用に取り組むとともに、地方公共団体にも働きかけ、木材全体の需要拡大を推進している。
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件数が大幅に伸びたので嬉しくなったので中身を調べた。基本方針で積極的に木造化を促進するとされている低層(3階建て以下)の公共建築物が全体で110 棟、合計延べ面積10,402㎡が整備されたが、木造で整備を行った公共建築物は60棟、合計延べ面積3,708㎡とある。
確かに平成26年度は32棟だから大幅に増えた。ところが延べ面積は逆に8.4%減少している。つまり1棟当たりの延べ床面積は平均すると61.8㎡、18坪しかない。もっとも広いものは国交省の公園施設で1,080㎡、次が農水省の公務員宿舎で554㎡。この2棟で全体面積の約半数を占める。この2棟を除く58棟の平均延べ床面積は約36㎡。
用途は休憩所、公衆便所などの公園施設がもっとも多く30棟で半数を占めている。他では自転車置き場、トイレ、車庫などで、警察庁の犬舎兼倉庫もある。
これを見てがっくり。国は2020年までに木材の自給率を50%に引き上げようと取り組んでいるのに、これはどういうことか。犬舎といえばつまり犬小屋ではないのか。どうして駅舎、官舎、校舎、寄宿舎(厩舎もあるが)のようなもったいぶった呼び方をするのか。棟数は大幅に増えたが、中身が乏しい。
木質化を行った公共建築物のうちもっとも多かった省庁は防衛庁で84棟と全体の45%を占め、最高裁判所と国土交通省が各18棟、法務省が17棟、財務省が13棟となっている。
木材の使用量は全体で2,327㎥で前年比14.0%減、一昨年比で65.2%減となっている。
こういう数字を見せられると、2020年までに木材自給率を50%(平成27年度末で33.3%)にするという〝202050〟目標は、「社会のあらゆる分野において2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待する」という政府目標〝202030〟よりはるかかなたのような気がしてくる。やる気があるのかと問いたい。情けない。
震災から6年 被災39市町村の人口 再び減少に転じる 増加は5市町のみ
震災から6年。別表は震災被害を受けた太平洋岸39市町村の人口動態を見たものだ。今年2月1日現在の人口は約254万人となり、昨年同月比で約1万人、0.4%減少した。昨年2月の時点では前年比1.3%増(推計人口調査の数値は平成27年10月に実施された国勢調査の数値をもとに変更されており、実際は微増にとどまっている)になり、人口減少傾向に歯止めがかかったかと思われたが、再び減少に転じた。人口が昨年比増加したのは仙台市、名取市など5市町にとどまり、昨年の19市町村から大幅に減少。増加傾向にあったいわき市も減少に転じた。
各県別にみると、岩手県は12市町村すべてが減少。合計は約24.9万人で、昨年同月比約4,000人、1.5%減少。震災前と比較して約3.3万人、10.3%減となっている。
宮城県は仙台市、名取市、多賀城市、岩沼市で増加した。ただ、仙台市の増加率は0.2%増にとどまり、前年の0.8%増と比較して伸び率は鈍化した。
震災前との比較では、利府町が5.4%増で、名取市の5.0%増を上回り39市町村の中でトップ。同町は仙台市の北東に位置し、津波被害エリアが小さく、内陸部では仙台駅へ電車で30分圏と便利であることから最近は住宅開発が進んでいる。町の人口は、都市計画マスタープランによれば平成32年に38,400人に増加するとしている。
逆に、女川町が37.7%減となっているほか、南三陸町が30.6%減、山元町が26.6%減とそれぞれ大幅に減少している。
福島県では、増加したのは新地町のみ。これまで増加していたいわき市も0.6%減と減少に転じた。市は自然減が社会増を上回ったのが大きな要因と見ている。
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国はこれまで集中復興期間(H23~27年度)に25.5兆円を注ぎ、復興・創生期間(H28~32年度)に約6.5兆円、合計で32兆円規模の対策費用を見込んでいる。
今後は、事業ごとの精査・年度ごとの進行管理を重視し、自治体が持続可能なまちづくりを自ら進めていくためにも一定の自治体負担を求めていく方針だ。
こうした方針と人口動態はどのような関連があるのか。これほどの国費を投入しても人口減少傾向に歯止めがかけられないのをどう考えればいいのか。これからどんどん完成する土地区画整理事業の宅地や公園、その他の施設に対する維持・管理費はだれが負担するのか。
福島原発事故による避難指示区域のうち、解除の見込みが立ったという「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」はともかくとして、「帰還困難区域」の住民の未来はあるのか。直近の住民意向調査によると、「帰還の意向」について大熊町、富岡町、双葉町、浪江町は住民の5割以上が「戻らない」と回答している。「帰還困難区域」はいよいよ「帰還不能地域」の様相を呈してきた。
復興庁によると、今年2月28日現在、震災による全国の避難者の数は全国で約12万3千人に上っている。
ナイスが事業参画 隈研吾氏が設計した南三陸町「さんさん商店街」オープン
全景
ナイスが事業参画し、隈研吾氏が設計した南三陸町の復興プロジェクト「さんさん商店街」が3月3日オープン。当日は橘慶一郎・復興副大臣、佐藤仁・南三陸町町長、隈氏、平田潤一郎・ナイス専務らがオープンセレモニーに参加して完成を祝った。
「さんさん商店街」は、震災後の仮設商店街「さんさん商店街」が8.3mにかさ上げされた高台造成地に本設商店街として移転新築されたもので、建築家の隈研吾氏が設計を担当。約2万㎡の敷地に木造の店舗7棟(延べ床面積約3,085㎡)からなる施設。店舗は仮設からの移転が23店舗、新規が5店舗の合計28店舗が出店した。
同社は、地元の建設会社である志津川建設と山庄建設と組成した「ナイス・志津川・山庄特定建設工事共同企業体」の代表として事業参画したほか、木質化企画や材料調達、構造躯体のプレカット加工、施工に携わった。
オープンセレモニー テープカット
オープニングイベント
さんさんコート
縦格子ルーバー
内装
東急リバブル 賃貸物件の顧客サービスにVR内見システム導入
東急リバブルは3月6日、賃貸物件のお客様向けサービスとしてVR(バーチャルリアリティ)内見システムを賃貸仲介店舗「青葉台センター」「三軒茶屋センター」「横浜センター」に導入すると発表した。営業開始は3月10日から。
VR内見システムは、自身の動きに連動し、室内を移動しながら周囲全方向の空間をリアルに閲覧できる。店頭で複数物件をVR内見して選別し、現地内見をする物件を絞り込むことで、家探しに費やす時間を短縮することが可能になる。
導入する店舗は順次拡大していく予定。
細田工務店 住まいの相談窓口「西荻窪駅前館」オープン
細田工務店は3月6日、住まいの相談窓口「家と暮らしの相談所 細田工務店 西荻窪駅前館」をオープン、3月18日(土)から営業を開始すると発表した。
新店舗となる「西荻窪駅前館」はJR中央線の西荻窪駅南口より約100m(徒歩2分)。システムキッチンや洗面化粧台などの水回り設備などを備え、ワンストップで対応できるリフォームショップを目指す。ショップは「阿佐ヶ谷パールセンター館」「浜田山駅 前館」「中杉通り本館・ショールーム」に続く、杉並区内で4店舗目となる。
不動産鑑定のあり方が問われている 「士」を安売りすべきでない
「セカンド・オピニオン」を売りにしているあるWebサイトを見ていたら、たまたま記者が取材し、記事にもした公園に隣接するマンションについて、ユーザーの方が「このマンションを評価するうえで有利と言えますか」という質問をしていた。
この質問に対して、不動産鑑定士が次のように回答している。
「公園など緑が豊富な場所が近くにあるということは、一般的に環境面で優れていると評価され、価格形成要因としてプラスになると言えるでしょう。
ただし、公園が近くにある場合でも、幹線道路を渡らないと公園にいけないとか、公園まで坂道や階段があるなど立地やアプローチの内容や、特に夜間における防犯上の懸念など、実態を踏まえて評価の度合いを考える必要があります。
また、公園が近くても、最寄駅からバス便である場合やスーパーなど利便施設が近くに無い場合などは、プラスとマイナスが作用することになり、ほかの項目との相関の程度も踏まえて判断する必要があります」
さて、この不動産鑑定士の回答は質問者の意図する回答になっているか。ほとんどの方は「ノー」というはずだ。質問者は物件名をあげて「このマンション」と具体的な物件の価値について聞いている。回答者は「このマンション」の価値について答えないといけないのに、一般論で終始している。
このマンションについていえば、幹線道路もないし、近くにスーパーはあるし、駅にも近い。学校も隣接している。夜間の防犯上の懸念は知らないが、申し分ない立地条件だったためほとんど即日完売しているのをよく覚えている。SOHO的な利用も可能とする先駆的なマンションでもあった。いまの中古市場での評価も高いはずだ。
Webの不動産鑑定士は質問者と契約を交わし報酬を得て回答しているわけではないが、こんな「回答」は逆効果だ。質問者を失望させるだけだ。「士」を安売りしてはいけない。(かといって、きちんと契約を交わせば数万円のフィーが伴うだろうし、しかも回答まで時間がかかる)
記者に言わせれば、こんなことは何も不動産鑑定士に聞かなくとも近くの不動産業者に聞いたほうが早い。ほとんど瞬時に売買事例をはじき出し、適切なアドバイスをしてくれるはずだ。しかも無料で。
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中古住宅のインスペクション(住宅診断)に建築士や不動産鑑定士を介在させることが決まった。安心・安全の取引のためには結構なことだ。
しかし、当然のことながら報酬も伴う。仲介手数料にその費用を上乗せできるのか。記者は宅建士、建築士、鑑定士の3人の「士」(大手ハスウメーカーで構成する優良ストック住宅推進協議会には「スムストック住宅販売士」もある)を不動産取引に介在させないと「安心・安全」が担保されない、何の役にも立たない「セカンド・オピニオン」士が徘徊する市場をなんとかしなければならないと思う。屋上屋を架すことになりはしないか心配だ。
不動産鑑定士でいえば、国交省は先に不動産鑑定士の業務や魅力を紹介した動画「不動産鑑定士という選択」をホームページで公開した。へそ曲がりの記者などは〝それだけ人気がないのか〟と読んでしまう。
難しい試験を突破するために寸暇を惜しんで勉強に励んでも30歳、40歳にならないと受からず、その割に報酬が少なく〝仕事がない〟と愚痴らざるを得ず、法律を犯すと厳しい罰則もあり、弁護士ほどの称賛を得ることもなく、絶えずクライアントのプレッシャーにおびえなければならない不動産鑑定のあり方を考えないといけない。
しかし、〝武士は食わねど高楊枝〟-鑑定士の皆さんには気位を高く保ち、自らを貶めるセカンド・オピニオンなどに手を染めるべきではないと思うがいかがか。