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「(仮称)井の頭ビルリファイニング工事」(シートがかかっている建物、北側から写す)

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青木氏

 青木茂建築工房は12月21日、事業主のレーサムの協力により、三鷹市にある築44年の寄宿舎をリファイニング手法によって賃貸住宅に用途変更する「(仮称)井の頭ビルリファイニング工事」の現場解体見学会を行った。100名を超える見学者が集まった。

 建物は、JR三鷹駅から徒歩15分、三鷹市下連雀2丁目の紫橋通りに面した近隣商業地域(建蔽率80%、容積率200%)と第一種低層住居専用地域(建蔽率40%、容積率80%)にまたがる敷地面積約459㎡、建築面積約296㎡、延床面積約2,478㎡の鉄骨鉄筋コンクリート造9階建て。確認申請は昭和47年。設計監理は青木茂建築工房。施工は日本建設。建築主はレーサム。

 建物は検査済証がないため、国土交通省のガイドラインに基づいて既存不適格建築物の証明を得て、さらに現行法の高さ規制(25m)、日影規制、容積率などの集団規定、構造耐力や階段などの単体規定の法規には適合しないが、建設当時の法規は満足していることの証明を行い、特定行政庁との協議を重ねて実現したもので、現行法による新たな確認済証を取得する。

 具体的には、既存階段を撤去し、新たに特別避難階段を設置。寄宿舎部分を共同住宅に用途変更し、耐震補強も行い、耐震評定所を取得する。

 また、一連の工事と合わせ内外装、設備の一新し、現在の市場にマッチした共同住宅にプラン更新する。

 見学会で挨拶した同工房・青木茂代表は「リファイニングを知ってもらうには工事途中の現場を見てもらうのが一番。不適格部分を残しながら、商品性を高めたのが特徴」と述べた。

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南西側から写す(建物の東側は第一種低層住居専用地域)

◇       ◆     ◇

 建築のプロの方なら、前段の記事を読まれてよく理解できるかもしれないが、そうでない方はまったく何のことだかわからないのではないか。

 かく言う記者も解体工事を見ても何もわからない。むき出しのコンクリを見るだけだ。なので、早々に退却した。

 しかし、このリファイニング工事がどのようなものであるかは容易に想像がつく。つまり、この敷地を更地にして、用途が何であれ建物を建てたら、建蔽率、容積率、高さ規制、日影規制などから判断して現在の建物の半分も建たないのではないか。

 また、現在の建物の高層階の平面図を見ると、1フロアは25㎡くらいの10室と2室分相当の待合室、洗面室、便所、浴室を備えた共用部分があるが、現在では社員寮としても使用にたえないものであることがわかる。

 それをリファイニング手法によってエレベータを付け替え、1室分を特別避難階段にする一方で、居室は1フロア11室を確保。各部屋(25㎡くらいか)にはバス・トイレ・洗面・キッチンを設置する。

 どうだろう。従前はまったく商品価値のない建物だ。〝たこ部屋〟(記者はしらないがおそらくこんなものだろう)同然だったものを、市場性のあるものに一新する。仮に分譲マンションにすれば、最低でも坪単価は250万円で、グロスでは2,000万円を突破する。賃貸でも利回りは4%くらい確保できるはずだ。

 それにしても、この日はそんなに寒くはなかったが、暮れの忙しい日に完成お披露目ではなく解体工事に100人も見学者を集めるとは。〝建築の魔術師〟青木氏の人気度をまざまざと見せつけた。

 これまで書いた青木茂氏の記事は、「千駄ヶ谷」「笹塚」「竹本邸」「再生建築学」などの語句と「RBA」で検索していただくと5つ6つはヒットするはずだ。

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見学者でごった返す工事現場

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東松島市立宮野森小学校

 住友林業が施工した東松島市立宮野森小学校が12月20日に竣工する。同社が手がけた初の木造小学校校舎で、施工を担当した中大規模木造建築物の中でも最大規模の施設。構造材にはヒノキ、スギの無垢材を使用。地元東北材を活用し、全面的に木の現しとすることで木質感あふれる空間にした。

 校舎は、東日本大震災により移転地として高台に造成された新しい街区の里山と寄り添う敷地に立地、木造平屋建て(一部2階建て)、延床面積は約4,000㎡。施工費は約18 億円(電気・設備工事含む)。 約5,000本の無垢材を使用。校舎・屋内運動場がともに木造の小学校は宮城県初。

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教室

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屋内運動場

 

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「Good Morning Building(グッド・モーニング・ビルディング)」

 フージャースコーポレーションは12月19日、東京都渋谷区のコンバージョンシェアオフィス「Good Morning Building(グッド・モーニング・ビルディング)」をオープン、報道陣向けに公開した。「創業期のスタートアップの朝を応援する」をコンセプトに、築44年のビルをシェアオフィスとしてコンバージョンしたもの。

 1階にコーヒースタンド「ampere」、共用施設としてラウンジ・ミーティングルームを設置し、入居者同士の交流が生まれやすい設計とした。2階~5階がオフィスフロアで、全12区画のうち11区画がスタートアップ企業などで契約済み。今後も、最寄り駅から徒歩7分以内、築20年以上などを条件に5億円から30億円(首都圏)などの投資事業を強化していく。

 物件は、渋谷駅から徒歩10分、渋谷区渋谷2丁目に位置する6階建て。延べ床面積632㎡。事業企画は数多くのシェアオフィスの企画・運営実績を持つツクルバが担当した。

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エントランス(左がコーヒーショップ、右が共用ラウンジ)

◇       ◆     ◇

 同社はまた、先に分譲を開始した、JR飯田橋駅から徒歩8分のコンパクトマンション「デュオヴェール飯田橋」(28戸)の約8割が契約済みであることを明らかにした。坪単価は335万円で、期間50年の定期借地権付き。

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「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議 街づくり分科会(第5回)」(海運ビルで)

 「ユニバーサルデザイン2020関係府省等連絡会議 街づくり分科会(第5回)」が12月19日、開催された。同会議は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、ユニバーサルデザイン化・心のバリアフリーを推進し、大会以降のレガシーとして残していくための施策を実行するために設置されたもの。今年2月から「街づくり分科会」と「心のバリアフリー分科会」に分かれて論議されてきた。「街づくり分科会」は今回が最終会合となり、近く行われる「心のバリアフリー分科会」の最終会合ののち、最終とりまとめとして発表される予定。

 この日、参加したのは座長を務める秋山哲男・中央大学研究開発機構教授をはじめとする有識者、障がい者団体、関係事業者、関係府省、オブザーバーなど56名(他に欠席者7名)にのぼった。関係府省は平田竹男・内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局長のほか、内閣府、警察庁、総務省、スポーツ庁、経済産業省、文部科学省、国土交通省などに及んでいる。

◇       ◆     ◇

 会議は、「街づくり分科会」と「心のバリアフリー分科会」に分かれているように、「文化・言語・国籍の違い、老若男女といった差異、障害・能力の如何を問わずに利用することができる施設・製品・情報の設計(デザイン)をいう」(ウィキペディア)本来の意味のユニバーサルデザイン(UD)とは若干趣旨が異なる。

 これは、平田氏が説明したように「広い範囲で論議するより、今回はピンポイントを『障がい者』に絞り、クリアカットで方向性を示そうという官房長官の意向」が働いているようだ。

 これに異論はない。記者はユニバーサルデザイン(UD)という言葉が一般に知られる前から取材を行ってきており、「オリンピック・パラリンピック」が動機・契機というのは情けないと思うが、あらゆる府省、関係団体が一堂に会してUDを普及させようという取り組みは大歓迎だ。画期的なことではないか。配布された資料は、工程表も含めA4で75ページにも上る。確実な実行を望みたい。

 一つだけ気になる、というか承服しかねるのが「街づくり分科会」と「心のバリアフリー分科会」の両者で予定されている「共生社会の実現に向けた行動に関する共同宣言(案)」の「差別」についての現状認識だ。

 宣言(案)の書き出しは次のようにある。

 「過去において、障害のある人が受けてきた差別、虐待、隔離、暴力、特別視などは、わたしたちの社会において、決して受け入れられない。そして、今もそれらが存在するとすれば、断じて許されない」

 みなさんは、この文章を読んでどう思われるか。記者はわざわざ「過去において」と断っているのが理解できない。障がい者に対する差別などは過去も今も行われているのは歴然とした事実だ。「わたしたちの社会は」というのも何だか変だ。これは「他の社会」では差別が行われているというほのめかしの意味で用いられているのだろうか。さらにまた、「(差別などが)存在するとすれば」という仮定形の意味も不明だ。

 全体として、野蛮な国はともかくとして、日本には障がい者に対する「差別」など存在しないと言っているようにも聞こえる。

 差別を行ってきたのが歴然であるからこそ、障害者権利条約にわが国は批准(2007年)したのではないか。そして、今も差別が行われているからこそ、なくそうとしているのではないか。

 宣言(案)の文中に出てくる「人の命の重さに思いを馳せ」「障害者権利条約の理念を思い出し」というのも何だか変だ。人の命の重さは思い馳せるものではなく、自覚・認識するものだと考えるがどうだろう。

 この宣言そのものについては、全国重症心身障害児(者)を守る会副会長・髙木正三氏が「どこかから引用して作り上げたような文章。しっかりしたものにしていただきたい」と発言した。「理念を思い出し」については、髙橋儀平・東洋大教授が「理念を踏まえか、理念を基本にか、というように改めるべき」と発言して、了承が得られた。

 考えてみれば、「心のバリアフリー」も何だかわかるようで分からない言葉だ。障がい者に対する差別意識は、歴史的社会的、後天的に植え付けられたのではないか。人間は生来、そのような差別意識を持っているのだろうか。

 

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UR賃貸の新TV-CM

 都市再生機構(UR都市機構)は12月16日、UR賃貸住宅の「春のお部屋探しキャンペー ン」と「4つのメリット」を紹介する新TV-CMを全国で放映開始した。

 CMは女優の吉岡里帆さんを起用。15秒という短い秒数の中で「UR」をいかに印象的に伝えるかを考え、「URであーる。」という韻を踏んだキャッチフレーズで展開する。

 UR賃貸住宅は12月16日(金)から平成29年3月31日(金)までの期間、「春のお部屋探しキャンペーン」を実施する。期間中に対象物件を申し込むと、最大2カ月分の家賃が無料になるフリーレントや、最大5年間家賃が割引となるキャンペーン家賃を適用する。

 詳細はURの窓口、もしくはWEBサイトhttp://www.ur-net.go.jp/sumai/campaign/ へ。

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 業界紙「週刊住宅」12月12日号に「中古住宅市場は未成熟? 」という見出しのコラム記事が掲載されていた。不動産コンサルタント・畑中学氏の連載記事で、見出しには「?」マークがついているように、畑中氏はそうではないと仰っている。それでも正面切って「?」を突きつけられると、改めて考えざるを得ない。それだけこの記事はインパクトがあった。

 以下は、中古住宅市場に疎い、門外漢の記者の的外れの指摘かもしれないが、だからこそ見えてくる市場の問題点・課題について率直に書いた。

 いったい誰が「中古住宅市場は未成熟」と言っているのか。すぐわかった。

 「日本の中古住宅流通やリフォーム市場は欧米に比べて未成熟であり、住宅流通に占める中古の割合は13.5%、住宅投資に占めるリフォームの割合は27.2%に過ぎない」(住宅の長寿命化に向けた研究の取り組み)のように、あらゆる中古住宅市場データにこのような文言が見つかる。流通量が少ない=未成熟という意味で使われている。

 「未成熟」は「未熟」「稚拙」を連想させる。記者の取材フィールドは新築市場だが、仮に「新築市場は未成熟」などとレッテルを張られたら黙っていられない。〝玉石混交〟くらいは許せるし、記者もそう思っているが、そんなことを言われたら徹底抗戦する。

 なのに、畑中氏は別として、この「未成熟」に異論を唱える中古市場関係者は意外と少ないようだ。全国10万会員を擁する全宅連は「未成熟」と言われてなんとも思わないのか。

 流通量が少ない­­=未成熟という短絡的な決めつけは、一方では、建築後20年で建物の価値がほぼゼロになる「新築」の粗製乱造市場を「成熟市場」とみなすことにつながらないか。中古の未成熟だけを問題視し、新築の問題に目をつぶるのは山を見て森を見ないのと一緒だ。

 では、本当に中古住宅市場は未成熟なのか。記者は全くその逆だと思う。

 少なくとも「不動産業」が業として成立したのは100年以上も前だ。「周旋屋」時代を含めれば江戸時代にさかのぼるはずだ。当初は新築販売、中古仲介、貸家・貸間あっせんなどに区分する認識はなく、不動産に関するすべてを業として扱うのが不動産屋だったはずだ。

 記者は座学者でないからわからないが、この不動産屋が扱う商品によってデベロッパー、仲介業者、賃貸管理業者などに分化されたのは、消費者側からの要請というより商品供給サイドの都合によるものではないか。

 その流れを作ったのは間違いなく高度成長期の大量供給・大量消費だ。絶対的な住宅不足を解消するため、日本住宅公社は郊外に大量の賃貸マンションを建設し、大小のデベロッパーが入り乱れてマンションや建売住宅を供給した。

 悲劇的だったのは、海外から〝ウサギ小屋〟と揶揄されたように質が二の次にされたことだ。土地神話が「新築」偏重を加速させた。

 質に耐えないものは取り壊され、また装いを新たにして「新築」が供給されてきた。住宅市場の歴史はその繰り返しではないか。この構図を確固たるものにしたのはデベロッパーそのものだ。その過程で「中古」は「新築」より劣るとイメージづけされてきたのではないか。

 この構図を補強したのが、「新築のほうが気持ちいい」「中古は問題が多そう」「中古は心理的に抵抗感がある」などのアンケート調査だ。

 記者は、そもそもこの種の二者択一的な設問の仕方に賛成しかねる。高額で人生を左右しかねない商品選択の問題なのに、「好き」とか「嫌い」とかで選択を迫るのはあまりにも乱暴だ。どのような階層の人がどのような立場で答えるかが問題で、足してその数で割って数値化したところで問題をえぐり出したことにはならない。

 不思議なのは、「気持ちがいい」とか「心理的に抵抗感がある」という答えをどうして深く掘り下げないのかということだ。「新築のほうが気持ちいい」という言葉は、果たして「中古は気持ちが悪い」につながるのか。入退去が頻繁に繰り返される「賃貸」はどうなるのか。「気持ちが悪くなる」ものを造り続けているのではないか。

 いま、国土交通省と一部の業界ではイメージが悪い「中古住宅」の呼称を変更しようとする動きがある。この問題について、あれほど宅建取引主任者の呼称変更に多くのエネルギーを注いだのに、メディアは冷ややかで等閑視している。

 記者はとことん論議すべきだと思う。なぜ中古はイメージが悪いのか、消費者の深層心理に深く踏み込んで解明し、打開策を探るべきだと思っている。

 卑近な例で申し訳ないが、「新築」「中古」の対比は、男社会からみた「処女」「非処女」の考えと通底すると見ている。いずれも強い立場の側が勝手につくり出した構図ではないか。先にも書いたように、新築住宅を売るために、何の根拠もないのに「中古」=「非処女」と同じようにデベロッパーがシナリオ、幻想を描いたのではないか。その幻想を消費者はずっと刷り込まれてきた。

 この呼称問題について、三井不動産リアルティ会長・竹井英久氏らが「新築があるから中古になる。新築の呼称をやめ、中古住宅の中古を取ればいい」と語った。これは正鵠を射る。そうなれば、新築も中古も分譲も賃貸も同じような選択肢になる-これこそが望ましい社会ではないか。

 「新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換」は、これまでのわが国の住宅政策をきちんと総括しないと、「新築」のツケを消費者と仲介業者に払わせることにならないかと危惧する。

 いまこそ、中古(または既存=キゾン)住宅市場関係者は総反撃を開始すべきだ。

◇       ◆     ◇

 以上、取り留めなく書き連ねてきた。記者のこの考えを補強したのか、逆に誤っていることを指摘したのかよくわからないが、不動産流通業界通の記者が「まともな仕事をしている仲介営業マンは、新築営業マンよりもレベルははるかに上です。なぜなら、新築営業マンは『そのマンションを売る』のが仕事ですが、仲介営業マンは一人ひとりのお客さんの事情に合わせ、市場にある数多の物件から、ふさわしいものを選び出す。しかも、それらは一物一価で程度もまちまち、売主もまちまちです。そこを調整し、瑕疵を調べ上げ、説明し、納得して買っていただくわけですから。中古市場が国の思惑通りに拡大してこないのは、何も中古流通市場の仕組みが前近代的なわけではなく、日本人の行き過ぎた『新築至上主義』にある」と語った。

 なるほど。しかし、この「新築至上主義」こそ曲者で、前述したようにこれは日本人の文化でもない。極めて意図的に仕組まれた社会的所産だと思う。鶴田浩二さんの「古い奴ほど新しいものを欲しがるもんでございます」の「もの」は、決して建物や女性など具体的な「物」「者」を指しているのではない。考え方、道理を指すのだ。

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 不動産情報サービスのアットホームがまたまた興味深い、男性にとっては恐ろしいアンケート結果をまとめ発表した。

 今回は、子どもがいる共働き夫婦の〝家の居心地〟に関するもので、男女各312名、計624名が対象。自宅が「癒しの場」であるかどうかを中心に聞いている。

 この結果、家にいて癒されると思う時は、男性は1位「家族でご飯」、2位「家族で会話」、3位「家族とテレビ」となり、女性は1位「家族で会話」、2位「一人でお風呂」、3位「一人でボーッとする/家族でご飯」となった。

 仕事が終わっても「家に帰りたくない」と思うことがあるのは全体で約3割に達し、帰りたくない理由として女性は1位に「家事などやることがたくさんあるから」と答えた。

 共働き女性にとって「家事が大変」は74.0%で、家事分担比率の最多回答は「夫:妻=1:9」だった。

 たまに一人暮らしがしたいと思う問いに対しては、男女とも半数以上がそう思うと答え、仕事とウソをついて寄り道をする男性は約4割に上った。

 夫婦の仲良し度を100点満点として自己採点で聞いたところ、全体では63.4となり、自宅が「癒しの場ではない」人は38.2点にとどまった。

 夫婦の1日の会話時間は平均68分、自宅が「癒しの場」でない人は36分だった。

◇       ◆     ◇

 この種のアンケートはこれまでもたくさん行われているが、自宅が「癒しの場」であるかどうかを問うアンケートは少ないのではないか。

 ここで一つひとつコメントするのは差しさわりがあるので書かないが、自宅が「癒しの場」でない人の割合が男性で13.1%、女性で18.9%あるのに驚いた。夫婦仲が全ての源泉だと思う。昔からよく言われるが、空気のような存在だ。傍にいてくれるだけで癒されるのが夫婦仲だ。同床異夢の夫婦がこれだけいるのはどう理解したらいいのか。

 また、女性は家にいて癒されるのは、一人(夫とではない)で風呂に入っているときとか、一人でボーとしているとき、一人でテレビを観ているとき、ペット(ベッドではない)と遊んでいるとき(夫とではない)などが結構ある-これは全く理解不能-女は理解しえない存在なのか。

 先日、東京都市大学特別教授・涌井史郎氏が、わが国の美しい自然とその災害が同居していることに例え、「うちのかみさんと一緒。美しいが扱いを間違えると大変なことになる」と絶妙の洒落を発し会場から爆笑を誘ったが、そのうちにゆでガエルと一緒、取り返しのつかない事態に男性は追い込まれるかもしれない。

 「あなた、いくら口で愛していると言っても、やってることはまるで逆」-みなさんはそんなかみさんの反撃を食らったことはないか。

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第2回「東京サステナブル会議」(ベルサール東京日本橋で)

 日経BP社は12月12日、第2回「東京サステナブル会議」を開催した。会場には約700名が参加し、関心の高さをうかがわせた。

 わが国はCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)を前に温室効果ガスを「2030年度に2013年度比26%削減」することを決定し、さらに長期的には2050年に現在よりも80%削減する目標を掲げており、環境先進国として世界に先駆けたモデルを示せるようその英知を結集する場として開催されたもの。

 山本公一・環境大臣が「脱酸素社会に向かう世界~パリ協定がもたらすチャンス~」と題する基調講演を行ったほか、協賛会社に名を連ねる積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏が「サステナブル社会の構築に向けて~住まいから実現する環境共生」をテーマにした講演を行った。

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山本氏

 山本氏は平成9年12月、自らが環境政務次官として京都会議(COP3)に参加したことが環境問題に取り組む出発点になったことを話し、先の「パリ協定」が先進国、発展途上国の別なく「持続可能な開発目標(SDGs)」に世界が合意したことに対して何度も「感慨深い」「感動している」と語った。

 世界の環境先進国として、セルロースナノファイバー、窒化バリウム、LEDの普及、水素エネルギー、フロン対策などの取り組みに期待を寄せた。

 続いて登壇した和田氏は同社の環境に対する取り組みとして、1999年に他社に先駆けて「環境未来計画」を発表し、エコ・ファースト企業として「5本の樹」計画をはじめ、現在では同社が施工する一戸建ての7割以上がネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)であること、良好な既存住宅を流通させる「スムストック」の取り組みを強化していること、住宅の「健康寿命」を延ばすリノベーションを推進していることなど、一つひとつ話せば数時間かかる中身の濃い内容を約40分にまとめて熱弁をふるった。

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和田氏

◇      ◆     ◇

 パネルディスカッション①では、日経エコロジー副編集長・斎藤正一氏をモデレーターに、セイコーエプソン ペーパーラボ事業推進プロジェクト部長・市川和弘氏と八十二銀行総務部環境室室長・坂本智徳氏による「紙の未来を変える。乾式のオフィス製紙機『PaperLab』」と題するディスカッションが行われた。

 「PaperLab」はエプソンが開発した製品で、使用済みの機密文書を機械に投入すると繊維状に粉砕し、約3分で1枚目の紙を、しかも水を全く使わないで再生するというものだ。1時間にA4の紙を約720枚生み出すという。紙の厚み、白色度、色付加も可能だという信じられないスグレモノだ。

 製品の価格は2,000万円くらいするそうで安くはないが、環境への負荷を考えればすごい価値があるのではないか。コンパクト化を進め、処理能力を高め価格を下げられるようになれば爆発的にヒットすると思った。

 それにしても水を使わないで紙をつくるなんて信じられない。購入を決めた八十二銀行の坂本氏も「信じられない。エプソンじゃなくて偽物ではないか」と最初に話を聞いたときは〝詐欺師〟ではないかと疑ったそうだ。一般的にはA4の紙1枚を作るのにコップ1杯の水を使用するそうだ。

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「紙の未来を変える。乾式のオフィス製紙機『PaperLab』」

◇       ◆     ◇

 11日(日曜日)に行われた読売新聞社主催の「新しい木の時代」シンポジウムに約400名が集まり、この日(月曜日)の日経BP社主催の「東京サステナブル会議」には約700名が集まった。休日と平日、会場のキャパシティの問題もあるのだろうが、2日間でこれほどの人が集まった。ともに地球温暖化防止にとって欠かせないテーマで、その取り組みに期待が高まっていることを証明した。

 どうでもいいことなのだが、先日の記事で「読売は読まない」と書いたが、この日(13日)、三井不動産のイベントを紹介する読売の記事「去る『申』、来る『酉』…癒やしの引き継ぎ式」が12:45にヤフーのネットに配信された。

 記者はそれより早く、12:40くらいに「〝今年はまさかの年でござるが、来年はいい年をとりましょう〟」の見出しの記事をネットに配信したのだが、写真は完全に読売に負けた。これは相当悔しい。まあしかし、記事はスピードが命。速さは完勝したし、記者はカメラマンではない。これは負け惜しみか。

「新国立の図面は1年間に四千数百枚描いた」隈研吾氏 「新しい木の時代」シンポ(2016/12/12)

涌井・都市大特別教授 「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」(2016/12/11)

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〝さる者は追わず〟〝いい年をとりましょう〟(霞が関ビルで)

 三井不動産と三井不動産ビルマネジメントは12月13日、霞が関ビルディング前広場「霞テラス」で「ゆく年くる年!霞が関にサルとトリがやって来る!!」イベントを行った。

 今年の干支である「申」、来年の干支である「酉」にちなみ、かわいいサルとヒヨコに触れ合える機会をつくった。

 霞が関のワーカーに癒しの時間を提供するという試みで、今年で4回目。

◇       ◆     ◇

 今年を象徴する漢字は「金」に決まったが、記者はとてもそんな気分になれない。三井不動産の菰田社長は「想定外」と言い、岩沙会長は「まさか」の年と言ったが、記者は漢字一文字に表すと、いい意味の「共」もあるが、「驚」「狂」「凶」の年だと思う。そんな年が去れば、サル、去れと言いたいのだが、この日のリスザルは記者を完全に無視した。敵もサルもの。

 そして、来年こそはいい歳をとり、ひとりひとりの心に響く記事にとり組んでいきたいと、ひとり密かに願っている。「オトリ」広告だけはとりやめていただきたい。

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(縮小率はとりかえております)

「想定外が沢山起きた年」(菰田社長)「まさかの年」(岩沙会長) 三井不の記者懇(2016/11/26)

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故南敬介氏

 平成28年11月6日に80歳で死去した東京建物特別顧問・南敬介氏(元会長・社長)の「お別れの会」が12月12日、都内のホテルで行われた。同社関係者や親族、各界の代表者ら約1,200人が参列した。

 東京建物・佐久間一社長、喪主で妻の南美智子さんらに続き、参列者が献花をして故人との別れを惜しんだ。参列者に対する佐久間氏の「御礼」には、故人の業績について「短期間での弊社事業の建て直しを行い、弊社第2世紀に向けての基礎固めを行いました」と称えられていた。

◇      ◆     ◇

 南氏が同社の社長に就任されたのは平成7年。バブル崩壊後の最悪期は脱し、バブルの痛手を被っていない若年層の購入意欲の高まりの中でマンション・戸建て市場が元気を取り戻しつつあったころだ。

 あれはいつだったか。社長就任直後だったと思う。記者が年始あいさつ回りをした時だ。広報室にあるマイクを通じて南社長の年頭訓示が流れていた。同社の置かれている厳しい環境、克服すべき課題、目指すべき方向などを諄々と説かれた。

 その話に感動した記者は、「これは業界全体の人に聞いてほしい」と思い、同社にお願いして全文を頂き、業界紙に紹介した。その時感じたのは、「眠れる東建は必ず目を覚ます」だった。

 それからの同社の展開はご存じの通り。平成10年、SPC法に基づく不動産証券化第1号登録を取得。官庁整備にPFIを導入する先駆的事業「霞が関コモンゲート」でも中心的な役割を果たした。

 そして何より、南社長の最大の功績は平成15年のマンション新ブランド「Brillia」の立ち上げだろうと思う。

 その翌年、効果がてき面する。セイコーグループの錦糸町の工場跡地再開発「オリナス」の一環である「Brilliaタワー東京」を分譲して圧倒的な人気を呼んだ。イメージキャラクターに親日家のジャン・レノ氏を起用して話題も呼んだ。その後もマドンナ、オダギリジョーなど大物を起用して、同社のマンションイメージを劇的に向上させた。

 平成18年に同社会長に退かれたが、記者に「向こう10年くらいは当社も安泰。その分の投資をした」と語った。

 茶目っ気もある方だった。その翌年の4月、同社のリゾート「羽鳥湖高原レジーナの森」のリニューアルオープンイベントが行われた。

 南氏は「僕のところにはてんぷらでもお茶でも、ヤーコンは何でもある。僕はここに住んでいるんだ。年間40日は利用している。ここには尾瀬に負けない湿原があって、日本一といわれるほど豊富な植物が生える。最高に素晴らしい。住民税も安い」と、リゾートがある天栄村と施設を自画自賛した。

 その後、糖尿病と仲良く付き合っている記者は南氏に会うたびにヤーコン論議をした。「ヤーコン」とは、タロイモやレンコンに似た糖尿病に利くという南米原産の野菜だ。

 しかし、その後の業績は順風満帆とはならなかった。リーマン・ショックが同社を襲った。平成23年12月期決算で、同社は720億円にも上る赤字を計上。南会長は経営の責任を取り相談役に退いた。そのときの感想はついに聞くことはなかったが、それでも不動産協会の新年賀詞交歓会には必ず顔を出され、しばし歓談した。業績もV字型回復を見せた。

 そして来年末、南氏が用地取得に関わった「目黒駅前地区」の再開発マンション「Brillia Towers 目黒」が完成する。全661戸の坪単価が600万円超、平均価格1億1,434億円をわずか4カ月で完売させた歴史的な物件だ。完成したときのコメントが聞きたかった。「そら見ろ、〝10年は安泰〟と僕の言った通りだろ。君は何も分かっちゃいない」と高笑いするのが目に浮かぶ。

 安らかにお眠りください。

合掌

 

 

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