RBA OFFICIAL
 

 国土交通省は3月2日、第2回「空き地等の新たな活用に関する検討会」(委員長:山野目章夫・早稲田大学大学院教授)開催。空き地所有者と自治体を対象に行ったアンケート調査結果と、空き地の考え方について同省から報告が行われたほか、みずほ情報総研・藤井康幸氏が「米国のランドバンクの動向について」、千葉大学大学院准教授・秋田典子氏が「空き地等の管理と活用の実態-地域のコモンズとしての管理-」と題する事例報告をそれぞれ行った。

◇       ◆     ◇

 配布された資料・アンケート調査結果は全体で約170ページに及ぶ読み応えのあるものだった。アンケートは予想通り、空き地所有者も行政も問題であることを認識はしているものの何もしていない実態が浮き彫りになった。事例紹介では藤井氏のランドバンクについての報告が興味深かった。

 藤井氏によると、ランドバンクとは、空き家・空き地・放棄地、税滞納差押物件などを利用物件に転換することに特化した政府機関で、市場(マーケット)が見捨てた物件への対処が基本で、物件の譲渡、利活用を進めるために滞納された資産税や課徴金はランドバンクの物件取得時に帳消しされるうえ、ランドバンクの保有物件は非課税扱いとなる。

 2010年の人口がピーク時より61.4%減の約71万人にまで減少しているデトロイトでは約38万区画の市内全域のうち約10万件がランドバンク保有物件だという。

 クリーブランドの事例ではリーマンショック前の2004年に77,000ドルで取引された物件は、2010年にゼロドルでランドバンクに譲渡され、2012年には1ドルで個人4人に譲渡された。個人4人は自宅の庭として利用しているという。

 藤井氏は「Center for Community Progress」(本部:フリント市)が説く「成功するランドバンクに共通する特性」として①ランドバンクと税滞納差押過程が結び付けられること②再生計画や土地利用計画に基づいた事業③物件の取得、譲渡などの考え方、優先順位などが透明性を有し、市民の信頼を得ていること④コミュニティ諮問委員会の設置、住民団体との協働⑤コミュニティプログラムとの整合性-などをあげている。

◇       ◆     ◇

 以下、各委員の主な意見を紹介する。

中川雅之氏(日本大学教授) 高い地価・地代期待があるわが国ではマーケット価値がないとして〝ゼロ円〟に選別する仕組みができるかどうか

藤原徹氏(明海大学准教授) わが国では何もしない、放ったらかしにすることのコストが低いという問題がある

高村学人氏(立命館大学教授) コミュニティガーデンを支援する保有機関、財源、都市計画などの位置づけ整理が必要

小泉秀樹氏(東京大学大学院教授、臨時委員) 都市計画ではコミュニティガーデンなどへの用途変更が難しい。街づくり、土地利用へ介入する仕組みが必要

秋田典子氏(千葉大学准教授) 時間と空間をまとめてコミュニティガーデンなどの一時所有する仕組みを考えている

山野目章夫委員長 (秋田氏が所有機関を「公社のようなもの」と発言したことに対し)土地開発公社というイメージがよくないものもあるが…(国交省関係者らも苦笑した)

浅見泰司・委員長代理(東京大学大学院教授) 緑地といっても生産緑地もあれば里山もあり様々。整理する必要がある

大橋弘氏(東京大学大学院教授) 所有権と利用権をきちんと整理して利活用につなげていくべき

山野目章夫委員長 行政が汗をかいているのは理解できるが、都市計画は禁止事項が多い。何かをやってほしいという道具立てが足りない

小林秀人氏(大和リース新規事業推進室室長) 不動産は利活用を阻む私的権利が大きい。価格ゼロなど誰が決めるのか(この国では国有地がただ同然で売却される事例もある=記者)

亀島祝子氏(東急不動産鑑定企画部参与) コミュニティガーデンなどの担い手を育てていくことが求められる

母袋創一氏(長野県上田市長) 地方都市はさまざまな異なった事情があるが、ランドバンクの考え方は面白い。一石を投じる意味はある。これからは行政主導ではなく、民間の力を主体に考えていくべき

山野目章夫委員長 この検討会では地方税のあり方も検討課題に入れないといけない

空き家対策、不動産流通業はどうかかわれるか 国交省審議会が会合(2014/2/10)

 

 

カテゴリ: 2016年度

 インテリックスは2月28日、不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品「アセットシェアリング」の第二弾「アセットシェアリング横濱元町」(総口数1,050口)を完売したと発表した。

 「アセットシェアリング横濱元町」は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分の「MID横濱元町」(B1・1F・2F・3F)。募集総額(総口数)は10.5億円(1,050口)、申込単位は1口100万円単位(5口以上250口以下)。収益分配金(支払月) は年2回(7月及び2月)。運用期間は30年間。予定利回りは5.2%。

 購入者の概要は平均年齢約70歳、平均口数約20口、出資者数52名(うち法人2名)。

 シリーズ第三弾「アセットシェアリング青山」、第四弾「アセットシェアリング新横浜」も近日発売する予定。

◇       ◆     ◇

 この物件の4階以上の一般分譲マンションについては昨年2月に取材している。坪単価は330万円の高額だったが、こちらも早期完売している。

元町仲通りの中心地、販売好調 インテリックス「リシャール横濱元町」(2016/2/28)

カテゴリ: 2016年度

IMG_9941.jpg
「はかり屋クリエイターズ ヴィレッジ」

 ポラスグループの中央住宅は2月25・26日、越谷市の「日光街道越ヶ谷宿 春の宿場まつり」に合わせ、同社が所有している築120年の旧日光街道に面した「旧大野家住宅」でイベント「はかり屋クリエイターズ ヴィレッジ」を開催。版画、木工、家具、漆器、和菓子、カフェなど13のブースにものづくりクリエイターが集結、街ゆく人を楽しませた。

 施設は今年の秋から冬にかけて多目的複合施設として利活用することになっている。

IMG_9932.jpg

◇       ◆     ◇

 同社からイベント案内が届いたとき、かちりと知恵の輪が解けたような気がした。同社は別掲の「蔵のある街づくりプロジェクト~ことのは 越ケ谷~」を数年がかりで完成させた。

 用地を取得したのは平成25年だった。わざわざメディアを呼びプロジェクト説明会を開いた。蔵や古民家などの歴史的建造物を残したいという熱意がひしひしと伝わってきた。その後、紆余曲折があり4戸の分譲住宅を引き渡すまでに3年かけている。記者はこの間、5度くらい現地取材を行っている。

 わずか4戸の分譲住宅を売るだけなら同社は数カ月もかからない。メディアを呼びもしない。

 なぜ、これほどまでに時間とお金をつぎ込み、メディア向けに情報を発信するのか。その理由がはっきりした。越谷市の意向に呼応するためだ。

 市は平成25年、越谷駅東口の約78haを対象とした「越谷市中心市街地活性化基本計画」を策定した。計画の中には蔵や古民家などの利活用も盛り込まれている。平成32年までに商業活性化、福祉施設の整備、街なか居住促進事業などを進めていく。

 そして今年2月13日、高橋努市長と品川典久社長も出席して市と同社は「まちづくりについての連携・協力に関する基本協定」を結んだ。蔵、古民家などを活用した地域の賑わい創出や地域の街づくり・景観向上などに関して定期的に協議し、地域活性化に取り組むという内容だ。

 今後、中心市街地活性化法に基づき具体的な施策が打ち出されるはずだ。地区計画などで私権を制限する一方で固定資産税、都市計画税の減免措置も講じ、あらゆる補助金・助成金制度を駆使すればどこにも負けない街になるのではないか。

 同社はこの事業にどこまで貢献できるか。主力事業の戸建て商品企画は大手に負けない。足りないのは再開発など複合的な街づくり事業だ。しっかり腰を据えて取り組んでほしい。

IMG_9936.jpg
女性用の越中ふんどし(かみさんにプレゼントしようとも考えたが2500円の値段に驚いてやめた。手書きの値札もどうか。若い人は読めないし、これでは売れるものも売れない)

IMG_9949.jpg
細かな組子細工に最初はプラスティックかとも思った

IMG_9948.jpg
廊下

IMG_9951.jpg
土台(築120年とは思えない。まったく狂いがない)

IMG_9947.jpg
蔵の入り口に貼られていた注意書き(スタッフに「履物」はひらがなにすべきと注文してそうなった。松岡正剛の「いやよして」と同じ。こういう遊び心が必要)

◇       ◆     ◇

 息子さん、娘さんと5人の孫とで訪れた草加市に住む女性(53)は、「初めて建物を見たが、街ぐるみ賑わっているのがいい」と満足そうだった。「旧大野家住宅」は材木商だったそうで、黒檀、花梨など銘木や一枚板の廊下、微細な組子細工などが用いられているのが目を引いた。

 対面には同じように古い商店「会田金物店」があった。店頭に誰が買うのか昔懐かしい1,380円のブリキの湯たんぽが無造作に掲げられていたので、ご主人に声を掛けた。

 ご主人は「家は江戸時代に建てたものそのまま。わたしは昭和15年生まれ。戦争? もちろん、東京方面が真っ赤になったのをよく覚えている。ジュラルミンのB29がきらきら光り、わが日本の高射砲は全然届かない。アメリカがまいたビラ(降伏を進める内容か)も残っているかも。跡継ぎ? どうなるか」と話した。店の中には年代物の手斧の柄や昔の秤など〝お宝〟が埋もれていた。

 明治32年の大火のあとに建てられたという「木下半助商店」も訪ねた。「空襲? 当時は仙台に住んでいましたが、よく覚えていますよ」と、昭和5年生まれの経営者の女性は語った。店のスタッフは「登録有形文化財に指定されましたが、補助金などはなし。税制で少し優遇されているだけ」と不満そうだった。

 旧日光街道には15もの蔵・古民家が現存している。

IMG_9953.jpg
「会田金物店」

IMG_9940.jpg
「旧大野家住宅」から撮った「会田金物店」

IMG_9956.jpg
ご主人

IMG_9955.jpg IMG_9958.jpg

IMG_9954.jpg
手斧の柄(何の木かは不明だとか)

IMG_9960.jpg
「木下半助商店」(間口はそれほどでもないが、表の店から土蔵、石蔵、釘蔵、奥蔵、母屋、お稲荷さんがあり、奥行きは60mくらいあった)

ポラス「ことのは 越ケ谷」戸建て4棟も完成、分譲へ(2016/4/1)

 

 

 

カテゴリ: 2016年度

IMG_9917.jpg
歓談する吉田常務(左)と杉山社長(三菱一号館美術館)

 コレド室町を中心とする「プレミアムフライデー in 日本橋」の会場に着いたのが午後2時30分。呑み助の記者は〝プレミアムフライデーから3日間限定! 桜のアート空間で日本酒飲み比べ〟のチラシにつられて「FLOWERS by NAKED」へ早速取材を開始。

 生け花、映像、香り、飲食など五感で体験する人気イベントで昨年は2回通算15万人を動員したという。今回は草月流の勅使河原茜氏やファッションデザイナー丸山敬太氏などの演出で〝日本で一番早いお花見を、日本橋で。〟というのがコンセプト。鑑賞+飲み比べセット券で3,400円(飲み比べ券2,000円)。

 いくら何でもこの時間に飲む人はいないだろうとは思ったが、男性と女性の比率は1:10くらいか。ほとんどがプレミアムフライデーどころか〝毎日が日曜日〟のような女性二人連れが圧倒的に多い。やはり〝花見〟が主目的のようだった。

 それでも薄暗い中で酒を飲んでいるカップルがいたので声をかけた。34歳の男性会社員は「うちは(プレミアムフライデーは)まだなので有休をとってきました。仕事を調整して使えるときに使いたい。始めてきましたが、飲み比べ券も買いました」と話した。隣の女性に「妹さん? 」と聞いたら「いえ、学生です」だった。

 「これからどうするんですか」「一緒に食事でもと…えっ、安倍総理の奥さんが来られるんですか、初めて知りました」

 二人は酒のせいか桜のせいか、ほんのりとピンク色に染まっていた。(憎たらしい!)

 主催者のNAKED Incは、「現段階で来場者は昨日より200名増。プレミアムフライデーの効果はあります」と手ごたえを感じていた。

 安倍昭恵・総理大臣夫人がゲストとして三井不動産・菰田正信社長らとともに行った「プレミアムフライデー 東京エキマチ乾杯」は、他の会場と異なり周辺のオフィスワーカーや来街者と一緒に祝った演出が奏功したのか(ほかの目的があったのか)報道陣も入れきれないほど賑わったとか。

IMG_9894.jpg

IMG_9888.jpg
幻想的な世界が広がる「FLOWERS by NAKED」

◇       ◆     ◇

 東京駅での「プレミアムフライデー 東京エキマチ乾杯」の取材が空振りに終わった記者は、そのあとすぐ丸の内エリア会場に向かった。着いたときは宴たけなわ。ゲストの小池百合子・東京都知事の姿はなく、三菱地所・杉山博孝社長と吉田淳一常務は社長交代のバトンタッチもうまくいったためか上機嫌。ワイングラス片手に関係者らと歓談していた。

 杉山社長は「フレックス勤務は4時までだが、今日は3時に繰り上げた。仕事? どこでもできる」とワークライフバランスの取り組みに自信を見せた。

 吉田常務は、「頼みますよ、空と土プロジェクト。今度、新たに酒粕の香りがするカステラを作った。体験ツアー? 行きたいが、仕事が…」と、記者にまた同社の北杜市での「空と土プロジェクト」の取材をけしかけた(常務、わたしは稲刈りが本職じゃないですからね、マンション。田植えも稲刈りも取材したから、今度は果実=「丸の内」のお酒の飲み会を取材したい。この酒は「獺祭」に負けない)。

 関係者にも声を掛けた。三菱地所アジア事業部長・菊川嘉彦氏らに気の利いたコメントをお願いしたら、菊川氏は言い淀む部下に割って入って「いいアイデアは 会議室では 生まれない。長い会議 意味がない。どうです。ちょっと字余りですが、わたしはみんなに5・7・5・7・7くらいで説明しなさいといっている。ハハハハ」 傍の女性は「部長、大好き」とほれ込んでいた。

 菊川部長、この日の見出し「日本橋 桜と酒に 染まる1日 トップ交代 見事に決まる 丸の内」-これはどうでしょう。

IMG_9922.jpg
右から2人目が菊川氏

 この日が最終日だが、「第15回キラキラっとアートコンクール優秀賞作品展」が丸ビル1階で行われていた。記者は一度取材したことがあるが、みんな力作ばかりだ。

915003200001.jpg
「ぼくのヒーロー〜体操日本〜」(まえのいっけい、13歳)

榊原経団連会長は直接国民に呼びかけてほしかった プレミアムフライデー 東京駅(2017/2/24)

大和ハウス プレミアムフライデー 午後有休スタート 遠足気分のグループも(2017/2/25)

2月24日プレミアムフライデー 大和ハウス役員は「仕事」派が優勢(2017/2/23)

 

カテゴリ: 2016年度

IMG_9909.jpg
「プレミアムフライデー 東京エキマチ乾杯」(左から冨田社長、世耕大臣、榊原会長 東京ステーションホテルで)

 「プレミアムフライデー」の初日(2月24日)、東日本旅客鉄道、三井不動産、三菱地所の3社は東京駅、日本橋、丸の内エリアが連携した様々なイベント「東京エキマチ×プレミアムフライデー」を実施した。

 東京駅エリアは東日本旅客鉄道・冨田哲郎社長と榊原定征・日本経済団体連合会会長が、日本橋エリアは三井不動産・菰田正信社長と安倍昭恵・総理大臣夫人が、丸の内エリアは、三菱地所・杉山博孝社長と小池百合子・東京都知事がそれぞれ出席。働き方改革を進め、月末の金曜日は仕事を早めに終え、家族らと一緒に過ごす時間を増やそうと呼びかけた。

IMG_9914.jpg

◇       ◆     ◇

 記者は日本橋も丸の内も取材したかったが、あちらを立てればこちらがたたず、結局はニュートラルの立場で東京駅を選択した。榊原会長が何を話すか興味もあったからだ。

 しかし、全くの期待外れ、肩透かし。榊原会長は冨田社長や世耕弘成・経済産業大臣らと壇上に上がりセレモニーを行い、3エリアを中継でつなぐ「東京エキマチ乾杯」を行って降壇した。発言は一言もなし。

 記念写真だけは何とか撮り帰ろうとしたら、何やら会場の中央に人だかりができた。三脚やら集音マイクを抱えた人ばかりだった。JR東日本の関係者だけで何かが始まるのだろうと思ったら、先の3氏がぶら下がり取材に応じた場面だった。

 後れを取った記者は外から眺めるしかなかった。声はほとんど聞き取れなかった。おまけに三脚のカメラマンの撮影の邪魔をしたらしく、やくざのような言葉でののしられた。たくさんのSPにも睨まれているような気がした。

 この日は、プレミアムフライデーが浸透することを願って12時から18時まで食事もとらずほとんど立ちっぱなしで取材した。とてもいい取材ができたが、ここだけが誤算だった。東京駅を外して三井か三菱かどちらかに行くべきだった。

◇       ◆     ◇

 取材前に、三菱地所の女性広報担当者から三菱地所のビルではなくサンケイビルにあるカキがおいしい店を紹介されていた。

 東京駅にも丸の内にも日本橋にもおいしいカキの店があるのは知っているが、ひょっとしたらもっとおいしい店かもしれないし、かみさんと〝プレミアム〟な1日になるかもしれないと淡い期待を抱いて、とにかく行ってみることにした。

 カキとワインは確かにおいしかった(年寄り向けではないが)。しかし、若い女性スタッフは「プレムアム? 全く効果がない。いつもと一緒。期待外れ」とあきれ返っていた。榊原会長はこの声にどう答えるか。

IMG_9927.jpg
プレミアムマルシェ(東京駅で)

酒とさくらに染まる 日本橋 見事なバトンタッチに乾杯 丸の内 プレミアムフライデー(2017/2/25)

大和ハウス プレミアムフライデー 午後有休スタート 遠足気分のグループも(2017/2/25)

2月24日プレミアムフライデー 大和ハウス役員は「仕事」派が優勢(2017/2/23)

カテゴリ: 2016年度

pj71639_02-thumb-780xauto-12391.jpg
「稜文舘」

 ブルースタジオと湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムは2月19日、地域価値の再生がテーマの共同プロジェクト「(仮称)街とともに生きる賃貸住宅」シリーズの第一弾、神奈川県大磯町のリノベーション賃貸住宅「稜文舘」が竣工したのに伴うお披露目会を行った。

 物件は、JR東海道線大磯駅から徒歩13分、神奈川県中郡大磯町東町に位置する鉄筋コンクリート造陸屋根2階建て全9戸(3戸は入居中)。専用面積は97.33㎡(1戸)と75.21㎡(8戸)。賃料は12.2万~14.5万円。建物は1988年9月竣工済みで、2017年2月リノベーション工事を実施。建築設計監理はブルースタジオ。事業主・貸主は湘南ユーミーまちづくりコンソーシアム。

 現地は、低層住宅が建ち並ぶ住宅街で、保存林を挟んで湘南の海がすぐそば。建物はオーナーが自ら住み、賃貸マンションとして利用されてきたが、6戸が空きのままで、湘南ユーミーまちづくりコンソーシアムが昨年購入。ブルースタジオがリノベーションを担当して、今回完成させたもの。

 1階のエントランス部分に地域に開かれた約8畳大の「コモンライブラリ」を設置。ミニキッチンやTVを備えて入居者や地域の住民のコミュニケーションの場としているのが特徴。居室は、床材に岡山県の国産スギ材を採用し、1階にはデッキ付き専用庭を設けている。

 「コモンライブラリ」の立ち上げには、大阪を中心に全国約420カ所で展開している「まちライブラリー」が参加。「まちライブラリー」は礒井純充氏が提唱し、一般社団法人まちライブラリーが主宰するコミュニティ型ライブラリー。

 お披露目会でユーミーホールディングス常務・西山和成氏は「当社は設立から約40年。現在、湘南エリアを中心に約12,000戸の賃貸住宅を管理している。この物件はここしかない価値をつくり出すためブルースタジオさんと連携した。歴史・文化の香りがする立地を生かし、入居者と地域の方々が物語をつくる賃貸住宅にしたい」と語った。

 また設計監理を担当したブルースタジオのマネージャー・平宅正人氏は「街と共に生きることをコミットするのが我々の役割。入居者の方が将来戸建てに移り住むことも想定した〝トライアルステイ〟の場としても利用できるようモノ・コト・時間をデザインした」と話した。

pj71639_03-thumb-780xauto-12392.jpg
コモンライブラリ

◇       ◆     ◇

 わずか9戸の賃貸住宅だがコンセプトがいい。大磯町にはたくさんの政治家や財界人、文化人が居を構えていた。「コモンライブラリ」の趣旨に賛同する人は多いはずだ。稀覯本は難しいだろうが、ものすごく価値のある本が寄贈されるかもしれない。西山氏に聞いたらすでに300~400冊集まっているそうだ。

 この日、本棚には児童向けのほか村上春樹、池澤夏樹、司馬遼太郎、塩野七生、大岡昇平などの小説も並べられていた。

 湘南ユーミーグループのユーミーネットが管理する約12,000戸の賃貸住宅戸数は神奈川県トップで、全国でも30位にランクされているという。稼働率は平均95%に達するという。

IMG_0162.jpg
コモンライブラリ

 

カテゴリ: 2016年度

 

健康経営銘柄2017.jpg 健康経営優良法人.jpg

 経済産業省と東京証券取引所は2月21日、「健康経営銘柄2017」を選定、公表した。不動産業界から大京、建設業界から大和ハウス工業が選ばれた。

 「健康経営」とは、従業員などの健康管理を経営的な視点で考えて戦略的に実践することで、従業員の活力や生産性の向上など組織の活性化がもたらされ、中長期的な業績・企業価値の向上の実現が期待され、企業価値を重視する投資家に対し、魅力ある企業として紹介するもの。第3回目となる今回は24業種から24社が選定された。

 また、経済産業省が今年度より開始した健康経営優良法人認定制度の「健康経営優良法人2017(大規模法人部門)~ホワイト500~」には住宅・不動産業界からは住友不動産販売、住友林業、大京、大和ハウス工業、東急不動産ホールディングス、東急不動産、東急リバブル、平和不動産、三井不動産、三菱地所が選ばれた。

 

カテゴリ: 2016年度

 昨日(2月20日)、総理大臣官邸で第1回「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議」が行われ「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が決まった。内閣府のホームページによると、安倍総理は次のように述べた。

 「昨年、リオデジャネイロ大会が日本選手団の大活躍により幕を閉じました。檜舞台で圧倒的なパフォーマンスを見せるパラリンピアンの姿に、障害者スポーツには人や社会を元気にする力がある、改めてこう思いました。
 次は東京大会です。これを世界一の大会とすべく、準備を加速させる必要があります。
 さらに、東京パラリンピック競技大会を契機として、障害のある人もない人と同じように夢を追い可能性や能力をもっと生かすことができる社会、共生社会を実現し、大会の最大のレガシーの一つとしてまいります。
 (中略)
 行動計画においては、特に今後、障害のある人に関する施策の検討及び評価に当たって、障害のある人が委員等に参画し障害のある人の視点を施策に反映させること、学習指導要領改正を通じ全ての子供たちへの『心のバリアフリー』教育の実施、街づくりのユニバーサルデザインに関する法律を含む諸制度の見直しに着手していただきたいと思います。

 関係閣僚はリーダシップを発揮し、大会の成功、 そしてその後共生社会の実現に向けて、この行動計画に基づき施策を実施していただくようお願いいたします」

◇       ◆     ◇

 この閣僚会議の取材案内のメールが先週末内閣府から届いた。おかしいとは思ったのだが、事務局のメールには「『街づくり分科会』『心のバリアフリー分科会』をご取材いただきました報道関係者様で、お名刺を頂戴した方を対象に送らせていただいております」とあったので、間違いないのだろうと考え首相官邸に向かった。安倍総理がどのように話されるか興味があったからだ。

 ところが、行ってみると玄関で10数分待たされた挙句、門前払いを食らった。記者クラブに加盟している報道機関のみに配信するメールを誤って記者にも送ってしまったというのが広報担当の説明だった。喧嘩してもしようがないのですごすごと引き上げた。

 この問題については多くの方が指摘しているので書かないが、悪しき記者クラブ制度は撤廃すべきだ。隗より始めよ。ユニバーサルデザインどころか、取材のバリアすら官庁も報道機関も取っ払えないでいるではないか。

 会議の模様は動画も配信されたので見た。安倍総理が話されたのは3分間くらいか。その間、ハトがえさをついばむように何度も下を向かれた。自分の言葉で話してほしかった。

 一つ言いたいのは、取り組みの動機だ。東京オリンピックを契機というのはいかがなものか。総理ご自身が話したようにユニバーサルデザインは、障がい者も健常者も大人も子どもも老いも若きもみんなが使いやすい施設や商品、情報をデザインすることだ。オリンピックが終わったらみんな忘れないようにしていただきたい。

 もう一つ、肝心なことを言い忘れた。子どもたちへの「心のバリアフリー」教育を実施するとのことだ。これはこれで結構だが、そもそも子どもに障がい者を差別する「バリア」などあるのだろうか。バリアを築くのはわれわれ大人であり地域だ。ここから改善しないといけない。

共同宣言(案)は変 「ユニバーサルデザイン2020連絡会議」(2016/12/19)

 

 

 

カテゴリ: 2016年度

 東日本旅客鉄道、三井不動産、三菱地所の3社は2月24日(金)、東京駅、日本橋、丸の内エリアが連携した「東京エキマチ×プレミアムフライデー」を実施するが、3エリアを中継で繋いで同時に乾杯をする「東京エキマチ乾杯」の各エリアにゲストとして榊原定征日本経済団体連合会会長(東京駅エリア)、安倍昭恵総理大臣夫人(日本橋エリア)、小池百合子東京都知事(丸の内エリア)が出席することが予定されている。

 時間はそれぞれ16:00~16:15。場所は東京駅エリアが東京ステーションホテル ゲストラウンジ「アトリウム」、日本橋エリアが日本橋室町豊年萬福、丸の内エリアが三菱一号館美術館カフェ1894。

 東京駅エリアには東日本旅客鉄道・冨田哲郎社長、日本橋エリアには三井不動産・菰田正信社長、丸の内エリアには三菱地所・杉山博孝社長がそれぞれ出席する予定。

◇       ◆     ◇

 記者は当日午後からプレミアムフライデーを取材する予定だが、さてどこに行けばいいのか。一番行きたいのは榊原会長の東京駅だが、取材でお世話になっている三井も三菱も行かないわけにいかない。どうせなら3人一緒で3カ所を巡ってほしい。

JR東日本・三井不動産・三菱地所 プレミアムフライデー初日2/24(金)連携(2017/2/7)

カテゴリ: 2016年度

①グレイプス立石外観.jpg
「グレイプス立石」

 東京建物の子会社・東京建物シニアライフサポートは2月16日、葛飾区最大規模となる総戸数96戸のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「グレイプス立石」を2月28日から開業すると発表。同日、報道陣に公開した。

 葛飾区内にある588室のサ高住のうち40㎡以上の広さを確保しているものは21戸しかないが、同社は40戸確保して差別化を図っているほか、身体の状態や介護の状況によってサービス内容を選択できる「ケアフロア(2F)」と「レジデンスフロア(3F-6F)」を設置し選択の幅を広げ、食事スペースもケアフロアとレジデンスフロア入居者で分けたのが特徴。日比谷花壇と連携し、身体や精神機能の維持・回復、生活の向上を図る園芸療法を導入する。また、1階には同社初の自社運営のデイサービス「グレイブスデイズ立石」を併設する。

 記者見学会に臨んだ同社・加藤久利社長は、「2009年の第一号以来これまで10物件837戸を供給し、予定物件を含めると1,000戸を突破する。昨年オープンした『辻堂西海岸』(158戸)も120室の申し込みがあるように、稼働物件はいずれも順調に推移している。これまでの経験からワンルームの稼働スピードを上げるとか、認知症入居者の退去・対応をどうするか、入居者の身体機能に応じたサービスをどう提供するかが課題で、『立石』ではその課題解決に向けた取り組みを行なう」と語った。

 物件は、京成押上線京成立石駅から徒歩10分、葛飾区立石二丁目に位置する6階建て全96戸(他に訪問介護事業所・居宅介護支援事業所・通所介護事業所)。専用面積は19.30~51.48㎡、月額賃料は45,730円~256,750円、月額管理費は36,350円(浴室あり)・41,350円(浴室なし)、基本サービス(税込)は38,880円(1人入居)・65,880円(2人入居)、見守りサービス費(税込)は59,400円(1人入居) 、食材費(税込)は朝食:324円・昼食:540円・夕食:540円・3食30日分:42,120円。共用部はフロント・ダイニング・プライベートダイニング・厨房・応接室・相談室・コミュニティラウンジ・屋上テラス・共同浴室・機械浴室・洗濯室・防災備蓄倉庫など。事業主は東京建物、貸主・管理運営は東京建物シニアライフサポート。医療連携は医療法人社団 悠翔会。設計・監理・施工はフジタ。

③エントランスホール_01.jpg
エントランスホール

③エントランスホール_02.jpg
エントランスホール

④グレイプスホール.jpg
グレイブスホール

◇       ◆     ◇

 居室を自立・軽介護の人向けの「レジデンスフロア」と、介護が必要な人向けの「ケアフロア」に分け、食事場所も分けたのは大正解だ。記者は特養と有料老人ホームに体験宿泊したのでよくわかるのだが、健常者が要介護度の高い方と一緒に食事するのは避けたほうがいいと思う。馴れればいいかもしれないが、まず食事がのどを通らない(要介護の人は自立型の人をどう思っているかわからないが)。

 こんなことを書くと〝差別〟だという人がいるかもしれないが、それぞれが落ち着いた環境と雰囲気で食事くらいしたい。

 設備仕様では、1階のホールには江戸組子や格子のデザインが施され、共用部分、食堂の床は突板仕様だったのが目を引いた。介護浴室はストレッチャーに横たわると浴槽が浮上するタイプで、ケアする人もラクではないかと思った。デイサービスの機械浴槽は按摩器のように腰かけたままで浴槽に入ることができ、四方八方から泡が飛び出すスグレモノだ。そのまま体を洗う機能はついていないのが残念。

⑥屋上テラス.jpg
屋上テラス

⑪デイサービス浴室.jpg
デイサービス浴室

◇       ◆     ◇

 これは業界全体の課題だろうが、住宅の質、設備仕様、サービス内容が一目瞭然となるような情報提供システムは開発できないかということだ。

 記者は分譲マンションならデベロッパーの名前や物件概要を見ただけでおおよその検討がつくが、玉石混交のサ高住の中から優れた物件を探すのは容易ではないはずだ。良否は皆目見当がつかないのではないか。居室以外の共用施設の広さ(いわゆるレンタプル比率)を明確にするとか、サービスの質の〝見える化〟を進めてほしい。格付けはどうだろう。

⑦モデルルーム(レジデンスフロア)LD.jpg
モデルルーム(レジデンス)

カテゴリ: 2016年度
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン