感動!わが鼻腔をスギの香りが満たす 池上線旗の台駅「木になるリニューアル」
「木になるリニューアル」完成予想図
東急池上線旗の台駅に降り立った途端、まだ嗅覚だけは衰えていないどころか、記事にできそうなネタを嗅ぎつける感覚はより研ぎ澄まされており、花粉症とも無縁のわが鼻腔をあの名状しがたい香しいスギの香りが満たした。もうこれだけで、肝心のマンションの取材もうまくいくことを確信した。
早速調べた。これは東急電鉄が2017年11月にニュース・リリースしている「木になるリニューアル」事業の一環で、2016年ウッドデザイン賞、2017年グッドデザイン賞などを受賞した「戸越銀座駅」に続く第2弾。
東京都内の多摩地区で生育、生産される「多摩産材」を使用し、老朽化したホーム屋根を新たな温かみのある木造ホーム屋根として建替えるほか、待合室の改修により快適性の向上を図るプロジェクト。今春には完成する予定だ。
今後の「木になるリニューアル」については検討段階で、具体的に決まっているものはないようだ。
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鉄道各社はいま、駅舎などの改修に木造を多用するケースが目立っている。わが京王線は、建築家隈研吾氏がデザインし、髙尾山薬王院をイメージしたダイナミックな屋根が特徴の「高尾山口駅」が2017年のグッドデザイン賞を受賞している。
また、ご存じのように新駅名が「高輪ゲートウェイ」に決まったJR新駅も隈氏がデザインした。
JR九州もここ数年、上熊本駅、日田駅、六本松駅などで行った6つの木質化事業でウッドデザイン賞を受賞している。
駅舎の木質化は間違いなくその駅・エリアのポテンシャルを引き上げ、マンションの相場形成にも貢献する。
そういえば、東武伊勢崎線は内装が木の車両が1984年(昭和59年)まで走っていた。同社広報で確認できた。復活させれば坪単価400万円近い「北千住」同様、沿線の人気が沸騰するのではないか。この前、東武伊勢崎線のマンション記事を書いたら、そのデベロッパー担当者から「伊勢崎線でなく千代田線にしてほしい。イメージがよくないから」と言われた。記者は伊勢崎線のファンでもある。スカイツリーラインが何だ、これは愛称だ。正式名は伊勢崎線だ。どこが悪い。
トヨタはいくらか知らないし、実用化するかどうかも分からないが、数年前に外装が木の自動車を造ったではないか。
住友林業 「ミャンマー寺子屋応援チーム」校舎建築支援5校目が完成
建て替え後の寺子屋
住友林業は2月19日、「ミャンマー寺子屋応援チーム」校舎建築支援で5校目が完成したと発表した。
2013年から同社が建設の発起人・事務局を務め、毎年1棟ずつ校舎を建築、寄付しているもので、今回、5校目の寺子屋校舎が完成した。
ミャンマーでは公立校の授業料や制服は無料だが、文房具、寄付金などの費用負担があり、経済的な事情や近くに公立校がないなどの理由で学校に通うことができない子どもたちが多く存在するという。そうした子どもたちの教育の受け皿として寺院で僧侶が運営する寺子屋が重要な役割を担っている。
5校目となる寺子屋は、ミャンマー社会の発展に役立ちたいという趣旨に賛同する19社6個人からの寄付により建築された。
建替え前は窮屈な小屋だったのが、鉄筋コンクリート3階建て校舎に生まれ変わり、小学1年生から中学2年生まで約300名の児童、生徒が勉学に勤しんでいる。
オリンピック選手村住民訴訟も佳境に 原告、被告双方 相手を「著しく」非難
閉廷後の原告側の記者会見 左から4人目が淵脇氏(司法記者クラブで)
東京都が晴海オリンピック選手村用地を民間事業者に約130億円で売却したのは不当とし、小池百合子都知事に対し妥当額との差額1,200億円を支払うよう不動産会社11社に請求せよという民事訴訟の第5回審理が2月19日、東京地裁で行われた。
被告側弁護士が、原告側を「全てがありもしないでっち上げ」などと攻撃すれば、原告弁護士・淵脇みどり氏は「被告(小池都知事)は早く火消しをしたいと言わんばかり。われわれはあせって早期に終わらせるつもりはない。傍聴席も満席になり、都民の関心は高まるばかり。都の姿勢を追及していく」と語った。「HARUMI FLAG」の分譲を前にして、こちらのバトルも佳境に入っている。
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都民ら58名による監査請求が棄却されたのを受け、33名が東京地裁に提訴したのが今回の事案。都が売却したとき書いた記事「東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟」は間違っていないと今でも思っているが、その売却価格をめぐって争われている「事件」の顛末を見届けようと傍聴することにした。用意された傍聴席52席は入りきれない人も出るほどの〝盛況〟だった。
原告側でも被告側でも敵でも味方でもないないニュートラルの記者は一瞬たじろいだ。高齢の方が圧倒的に多いのと、ネクタイを締めているのは記者と被告側の弁護士くらいしかいなかったからだ。場違いなところに入り込んでしまったように感じた。国立裁判で一貫して明和地所側についていたときとはまた違った緊張感がある。どちらの側からも胡乱な目で睨め付けられているようでいい気分はしなかった。「愛」のかけらもない相手をやり込める裁判は苦手だ。
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ここからが肝心な部分。原告側から以下の通り意見陳述書が提出された。やや長いがほぼ全文を紹介する。
1(1)原告らは前回、本件土地の価格について主張する準備書面3を提出し、桝本行男不動産鑑定士による不動産鑑定書を証拠として提出しました。
前回期日、被告は意見陳述で原告提出の不動産鑑定について原告である不動産鑑定士が行っていることについて客観的な独立した第三者である不動産鑑定士でないとして問題にし、手続の中立性を欠くとまで言い、自らは外部委員を含ませた保留床処分委員会に日本不動産研究所の調査結果を審査してもらっていると述べています。
(2)しかし、桝本鑑定士は、原告ではありますが、原告であるから鑑定が客観的でない、正当でないということは言えません。
桝本鑑定士は、長年鑑定士実務に従事した経験があり、法令等に従い、誠実に鑑定を行っています。従って、その鑑定は客観的、正当なものです。
(中略)
(3)なお、被告が価格の正当性の根拠としてあげている保留床等処分委員会における審理は、原告らが今回提出した準備書面4で述べているとおり、正当性の根拠とはなりえません。
なぜなら、同委員会の構成員10名のうち、6名は東京都の都市整備局次長など被告の職員であり、出席委員の過半数が被告東京都の職員でした。さらに委員会の開催時間は1時間で、その間に会長の互選、副会長の指名、定足数の確認、議案の説明がありますから、審議時間は1時間にもみたないものです。さらに、審議内容についても日本不動産研究所の調査報告書に関する説明も詳細、具体的なものであったとは考えられません。さらに、時価公示等は後日事務局で確認とされ、委員会開催の時には明らかにされていませんでした。時価公示等は価格を判断する際に最も重要な資料となりうるものですが、これが委員会の際には資料すら明らかにされていなかったのです。(中略)
このように、保留床等処分委員会の審理を「手続の中立性」や本件土地の価格の正当性の根拠とすることは出来ません。
2(中略)被告の主張によれば、本件は正式な鑑定による価格の判断が出来ない場合であり、価格の唯一の根拠は日本不動産研究所の作成の調査報告書及び今回提出された価格等調査報告書に係る補足意見書ということです。
そうであるならば、その根拠となる調査報告書は早期に黒塗り部分をなくし全面的に明らかにするよう再度求めます。
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(1)と(2)は不動産鑑定士とは何ぞやという問題だ。原告側の言うとおりであれば、被告はやや勇み足でないか。不動産鑑定士法には「不動産鑑定士は良心に従い、誠実に鑑定評価等を行うとともに、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてならない」(第5条)「故意に、不当な不動産の鑑定評価を行なつたときは、懲戒処分」(第40条)」とある。
被告側弁護士の「でっちあげ」発言は、桝本氏の鑑定評価に対してではないようだが、記者が桝本氏なら、名誉棄損で被告側弁護士を訴えるがどうだろう。
だが、しかし、弁護士は白を黒に、黒を白に言いくるめる商売と考えているのと同様、不動産鑑定士もまた依頼者が希望する鑑定を行っているとしか思えない。どっちもどっちだ。
(3)は、保留床等処分委員会の審理のあり方の問題だ。原告の主張する通りだとすれば、問題(注)だと思うが、委員会に都の職員を入れてはいけないという規則はないはずで、手続きに瑕疵はないのではないか。委員を誰にするかも都知事が決めるのだろう。
論議時間も問題にならない。シャンシャンだろうが、喧々囂々の末の結論だろうが、正当な手続きを踏んだ結果であれば問題はないはずだ。よほど重大な証拠をつかめば別だが、原告が手続きの瑕疵を見つけるのはむずかしいのではないか。
(注)「保留床等処分委員会における審査は、学識経験者を中心に客観的な視点や専門的な知見に基づき、算定の前提条件となる投下資本収益率や、分譲事業の長期化に伴う減価率など、詳細な項目・数値について、質疑応答や議論が交わされた」(住民監査請求(その2)監査結果)とある。
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被告弁護士は、①原告側不動産鑑定士は第三者として具体的説明を行っていない②鑑定報告書などの情報開示は条例に反することなので出来ない③選手村要因の情報…すべてがありもしないでっち上げ④桝本不動産鑑定士は選手村要因を算出できたはずなのにしなかった-などと意見を述べた。
弁護士は「選手村ヨウイン」を何回となく発言した。これが全然理解できなかった。「ヨウ」も「イン」も語尾を下げられたので「用務員」かと思ったが、そんなはずはないと必死で考えているうちに陳述は終わってしまった。
これだけはきちんと確認しようと、弁護士に意味を聞いたら「要因」だった。弁護士先生、発音はしっかりしていただきたい。中国の四音ほどではないが、日本語だって語尾を上げたり下げたりして同音異義語の意味を正確に伝えようとする。「橋と箸と端」「灰と肺」などだ。「要因」は要の語尾を上げて(あるいは平板)発音するのではないか。
公平を図るため、弁護士に読み上げた文書のコピーを頂けないかとお願いした。「検討する」とのことだったので、届いたら紹介する。
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どう考えても理解できないこともあった。原告側は「(不動産鑑定士が調査した)調査報告書は鑑定評価書ではない」と言っていることだ。
これはあり得ない。仮に報告書が鑑定書でないとすれば、鑑定価格は法律に基づかない、ただの意見に過ぎない。その意見を聞こうが聞くまいが、その判断は保留床等処分委員会=都知事に委ねられることになる。そんなことがありうるのか。
そうであれば、不動産鑑定士は「守秘義務」というアメリカの国境の壁のような強固なガードに守られているわけだから、鑑定の信ぴょう性、公平性は闇の中に葬られてしまう。
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裁判の構図が面白い。裁判官は女性の方で声は穏やかで美しかった。記者は目も悪いので、顔立ちなどはよくわからず、何を考えているかも全く分からなかった。
原告側弁護士ハ女性が中心で、淵脇氏は饒舌、多弁家だ。記者が「弁護士は黒を白に、白を黒に言いくるめる商売ではないか」と挑発したら、すぐ「異議あり」と返された。「鑑定業界にはクライアントプレッシャーなる業界用語があるが」と聞いたらご存じないようだった。「相手はよく考えている。上手」とつぶやいた。
被告側は全てが男性。10人くらい集まったか。メタボもいたが、屈強なマッチョが目立った。みんな濃紺のスーツで怖い印象も受けた。女性1人くらい加えたらどうか。傍聴人の印象も変わるはず。
「特定建築者募集要領」には、「敷地譲渡契約締結後…特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」とあり、いったい「著しく」とはどの程度か興味があるのだが、双方の弁護士は相手を「著しく」非難した。
一つ言い忘れた。原告側が配布したパンフレットには「晴海オリンピック選手村建設めぐる怪!!」とあった。これは記者の記事とは全く関係がございません。早く「怪」と書いたのは記者のはず。
次回審理は5月16日(木)。争点は、手続きの成否から価格の妥当性に移りそうだ。
東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
怒り心頭 三菱・吉田社長に世界の隈さんに失礼 住宅新報のCLTの記事
今週号の業界紙は待ち遠しかった。14日に発表があった三菱地所の「CLT晴海プロジェクト」だけはきちんと伝えるだろうという確信があったからだ。
ところがどうだ、住宅新報を見てあ然、呆然。見事に期待を裏切ってくれたどころか、扱いは小さく紙面の隅の〝囲み〟に追いやられていた。期待が大きかった分だけ怒りも倍増した。またも批判記事を書かざるをえない。
その記事は3段囲みの扱いで、ページの全スペースの10分の1くらい、紙面トップの「ドレッセWISEたまプラーザ」のエリアマネジメント記事と比較すると5分の1くらいしかない。料理に例えると、小生はもうお腹いっぱいで、カロリーも気になるのでほとんど口にしない最後の水菓子だ。
例えがちょっと過ぎたかもしれないが、こんな失礼なことがどうしてできるのか。これは書いた記者より編集、デスクの責任だ。ニュースの価値判断がまるでできていない。メディア・リテラシーが欠落、欠損している。
エリマネの記事にケチなど付けたくないが、これは旧聞。小生は分譲時の2017年8月に取材し記事にしている。この時は「CASBEE横浜」Sランクに注目し、単価が信じられないほど高いにも関わらず人気になっており、「CO-NIWA」も評価されていると伝えた。
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新報の記事しか読まない読者の方にも知っていただきたいので、「CLT晴海プロジェクト」について少し紹介する。
CLT発表会には、同社の吉田淳一社長、岡山県真庭市の太田昇市長、建築家の隈研吾氏が出席し、それぞれ挨拶・スピーチし、CLTの実物も公開した。いかに力が入ったイベントであったかは出席すればすぐわかる。国会議員の先生4人も応援に駆けつけたほどだ。
言うまでもなく森林林業の活性化、地方創生は喫緊の課題であり国策だ。CLTはその「起爆剤」(隈氏)として期待されている。
小生は木造ファンなので、これはビッグニュースだと判断し、あらかじめ記事を書き、解禁にあわせて12:00にweb記事としてアップした。配布された画像を追加したのは12:30くらいでなかったか。
ニュースは速さが勝負だ。他のメディアはよく分からないが、とにかく第一報では負けなかったはずだ。見出しを「〝美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発」としたのもその場の雰囲気を伝えられたはずだ。
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とても面白い記事もあった。共同住宅としては唯一環境省のZEH宿泊事業の連携事業者に選定されている積水ハウスの「亀有」に体験宿泊したK記者の体験ルポ記事だ。Kさんとは最近名刺交換したばかりで、新報の記者さんだとは全然知らなかった。
Kさんは築浅の集合住宅(74㎡)に午後5時にチェックインしてから翌日の午前9時のチェックアウトまで、LDK、寝室、居室、玄関などの温度を5回ほど測定。最後に「暖房の効きやすさ、室温の下がりにくさは素晴らしく、1泊2日の体験中に『快適』の言葉を何度も口にした」と締めくくっている。
笑ってしまったのは次のくだりだ。「スーパーから買ってきた食パンを電子レンジでトーストし、ソーセージをIHヒーターで焼き、夕食とした」
食パンが電子レンジでトーストできるのはいまネットで調べて初めて知ったが、トーストとソーセージだけとは…いつもそんな夕食なのかと思うとかわいそうになった。宿泊経費は会社持ちじゃないのか。酒も飲まないのか。元編集長Hさんの居酒屋紹介記事の飲み代は半分くらい会社が負担していると聞いた。えらい差ではないか。
それにしてもKさん、「体験中に『快適』の言葉を何度も口にした」というのはどういうことか。話す相手がいないのに言葉が出るものなのか。小生などは西武が逆転サヨナラ勝ちしても小さくガッツポーズするくらいしかできない。羨ましい。
記事は完ぺきではない。普通のマンションと比べてどうなのかも書いてほしかった。Kさんが住む築30年以上の19㎡のワンルームはおそらく単板ガラスで壁厚も薄い。「快適」などの言葉も隣に筒抜けでないか。そんなレヘルの低いわが家からして宿泊したマンションは「素晴らしく快適」なのは当然ではないか。参考までに。小生のマンションの洗面室は真冬の朝方は13度くらいまで下がる。昔の三重の農家は台所の水がめが凍った。(注)
Kさん、今度は三菱地所ホームの全館空調モデルハウスの体験を申し込むといい。温度を設定すればトイレもロフトもほとんど変わらない。「快適」とはこのような住空間をいう。あっ、ゴメン。ZEHはいいですよ。
(注)積水ハウスの提供資料によると、155㎡の「グリーンファース ゼロ」のモデルプランでは、真冬の深夜、トイレに行くときの温度は主寝室が20.0℃、トイレが15.3℃(旧省エネ基準は9.2℃)で、リビングの温度差は、外気温が-0.5℃のとき、20.0℃~13.9℃と6.1℃の差であるのに対し、旧省エネ基準は20.0℃~6.5℃と13.5℃の差があるとしている。
美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発 三菱地所「CLT晴海プロジェクト」(2019/2/14)
三菱地所 「中日ビル」建て替えに参画 ロイヤルパークホテルを出店
「中日ビル」完成予想図
三菱地所グループは2月15日、中部日本ビルディングと中日新聞社が計画する名古屋市中区栄の「中部日本ビルディング(中日ビル)」の建て替えをグループでサポートすると発表。三菱地所がプロジェクトマネジメント支援業務を、三菱地所設計がコンストラクションマネジメント業務を手掛け、建て替え後のビルに「ロイヤルパークホテルズ」が出店する。
中部エリアの「ロイヤルパークホテルズ」の出店は、「ザロイヤルパークキャンバス名古屋」(2013年11月開業)に続き2店舗目。中部エリアのフラッグシップホテルとして計画中。宿泊主体型で約250室の予定。
新しいビルは、敷地面積約6,857㎡、延床面積約113,000㎡の事務所、ホテル、商業施設、多目的ホール、駐車場などからなる地上31階地下4階建て。設計・設計監理は竹中工務店。竣工予定は2024年度。
ESGやSDGsに沿った投資環境整備へ 国交省「ESG不動産投資のあり方検討会」初会合
国土交通省は2月14日、「ESG不動産投資のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の初会合を開催した。
人口減少・少子高齢化、地球温暖化、防災減災などの我が国の諸課題に対応する不動産形成を進めるとともに、わが国不動産市場へESGやSDGsに沿った中長期的な投資を投資家から呼び込むにはどのような情報開示が必要かなどについて検討するのが目的。
会合は4回程度行い、今年6月ころに中間とりまとめを行う予定。
国産材の利用割合 材積換算で過去最高の45.4% 平成29年度 木住協調査
日本木造住宅産業協会(木住協)は2月12日、第5回「木造軸組工法住宅における国産材利用実態調査報告書」の報告会を行った。平成29年度の住宅供給会社の国産材の利用割合は材積換算で前回の32.3%から45.4%へ増加し、過去最高となった。
調査は、木住協会員を対象に平成18年度から3年毎に行っているもので、報告書はA4判で120ページに上る。
今回、回答があった住宅供給会社は160社(有効回答率35.9%)で供給戸数は62,417戸、プレカット会社は66社(同12.7%)で供給戸数は117,023戸。全国の木造軸組工法住宅戸数に占める割合はそれぞれ15.2%、28.6%。
住宅供給会社の国産材の利用割合は49.9%となり、平成26年度の28.0%から21.9ポイント増加。材積換算では前回の32.3%から45.4%へ増加し、過去最高となった。
樹種別でみると、製材のスギが4.1ポイント、集成材のスギが2.5ポイント、構造用合板のスギが3.1ポイントそれぞれ増加し、全体を引き上げた。
部位別では、通し柱、母屋・棟木の国産材利用割合が大きくなっている。
外国産材は、製材が20.0%から7.6%へ減少した一方で、集成材は38.5%から39.7%へ増加し、樹種ではベイマツが1.2%から7.9%へ増加した。
プレカット会社を対象とした調査では、国産材の利用割合は43.6%で、平成26年度の32.5%から11.1ポイント増加している。
調査結果について、同協会資材・流通委員会主査の東洋大学 理工学部 建築学科教授・浦江真人氏は、「国産材の利用が増加しているとはいえ、使用する理由は『イメージがよい』『補助金が出る』などであるのに対し、使用しない理由として『外国産材に比べて高い』が大きな割合を占めており、楽観はできない」と話した。
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記者は単純に木造・国産材利用率が高まればいいと思っているのだが、気になることもいくつかある。
まず、調査の捕捉率について。全国の木造軸組住宅に占める割合15.2%が高いのか低いのかはさておくとして、平成29年度の軸組工法以外も含む木造分譲住宅着工は全国で135,444戸なのに対し、調査は10,834戸だから8.0%しか捕捉できていない。軸組に限っても10%はないのではないか。捕捉できていない圧倒的多数の住宅がどうなっているのか気になる。調査対象を会員外にも広げたらどうなるのか興味深い。また、注文と建売住宅は似て非なるものだから、これも別けて調査したらどうなるか。
国産材の利用について。利用する理由として調査では「イメージがよい(地球にやさしい…など)」「地産地消の推進」「他の住宅会社との差別化」「品質が良い」「消費者のニーズが高い」などが上位で、「補助金が出る」は平成26年度調査より大きく後退している。これは補助金が出なくなったのか、あるいは他の理由の比重が高くなったためなのか不明。
一方で、国産材を利用しない理由としては、「外国産材に比べて価格が高い」が70%を占めている。この理由もよくわかる。経済原則が貫徹されるのは当たり前だ。
だが、しかし、わが国の森林・林業は危機に瀕している。農山村は営農意欲を失うほど獣害に苦しめられている。森林・林業が死滅したらわが国は立ち行かなくなる。
この窮状を救うには政治の力しかないと考えるが、情けないかな、林野庁の平成31年度の概算予算額3,433億円は防衛予算の6.9%しかない。誰が敵なのか味方なのか、なにも生産しないそんなことより、あるいはまた「安いから」などと目先の利益を優先するより50年、100年先のことを考え、目に見えてやせ衰え死滅しつつある国土を回復させるほうが大事ではないかと思うが…。
浦江氏が作成した「地域別にみた各社の供給住宅数と国産材使用割合の傾向(H23度分)」
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一つ嬉しいニュース。林野庁は先日、平成30年のわが国の木材輸出額は351億円で、前年比7%の増加となり、41年ぶりに350億円を超えたと発表した。
国別では、韓国が32億円(前年比13%減)となっているほかは中国159億円(同9%増)、フィリピン79億円(同8%増)、米国25億円(同32%増)、台湾20億円(同21%増)といずれも増加。
中国向けは主に梱包材や土木用材などに利用される丸太が増加。米国向は、これまで住宅フェンス用材として利用されていた米スギ(ウエスタンレッドシダー)の価格高騰を背景に、代替材として日本のスギ製材の輸出が増加したとしている。
〝企画主義〟掲げ住宅新報値上げ 1ページ29円へ 〝下の水〟の週刊住宅は50円
わが業界紙へいつもの愛情たっぷりのメッセージ。
住宅新報が3月から年間購読料を約9%値上げし、税・送料込み17,280円(消費増税前の価格)にすると発表した。年間50回として1部約346円、12ページだから1ページ約29円だ。週刊住宅は8ページで19,980円(同)。1ページだと新報が29円、週刊住宅は50円。新報が圧勝なのか完敗なのか、敵に塩なのか、それとも徹底して潰しにかかる戦略なのか。不思議だ。
値上げ後は「引き続き経費の削減に努める一方、紙面づくりでは〝企画主義〟を掲げ、紙面の充実に取り組みます」とあるから、業界関係者も応援すべきだろう。コーヒー代と思えばものすごく安いと思う。
だが、記事そのものには注文を付けざるを得ない。小生の取材フィールドであるマンション・戸建てでいえば、新報の1月29日号、週刊住宅の2月4日号はそれぞれ1面で今年のマンション市場展望記事を掲載している。
はっきり言えば、新報はひどい。あれやこれやのマクロデータを寄せ集めているだけに過ぎない。競馬予想だってもっとましなことを書く。同紙はもともと分譲分野の記事は精彩を欠くが、これでは〝企画主義〟が泣く。
ついでに言えば、今年に入って三菱地所レジデンスは「本厚木」「高輪」「北千住」のマンション見学会を行ったが、同紙の記事は他のニュース・リリース記事と同じか少ないくらいだ。
例えば「北千住」。発表会があったのは1月23日(金)で掲載は2月5日号だから2週間も空いている。当然他紙はとっくに報じている(弊紙のwebは当日)。さすがに他紙と同じ記事は書けないと判断したのかもしれないが、書こうと思えば1月29日号で書けたはずだし、それくらいのインパクトがあるマンションだった。北千住で坪単価が400万円に迫るなど業界関係者はだれも予想しなかったはずだ。なぜその驚きを記事にしないのか。この種の記事は刺身と一緒、鮮度が命だ。腐臭が漂うような記事を書いていたら読者は離れる。
週刊住宅の展望記事はどうか。新報よりはましかもしれないが、見出しに「問われる商品企画」とあるのに、その商品企画そのものについての言及がほとんどない。記事にあるように価格設定と商品企画に的を絞った記事を書くべきだった。「晴海の価格を見てから決断したい」という顧客が目立つのであれば、「HARUMIフラッグ」について核心に踏み込むべきだ。
小生は2016年に都が土地を売却した時点で「坪単価は250万円」と書いた。その当否を探るべく近く記事を書くことにしている。その要諦は「特定建築者募集要領」にある「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」だと思う。いったい「著しく」とはどの程度のことなのか。事業者11社の中でもっとも収益率が高い東京建物の粗利益率は29.7%(2018年12月期)だが、三井不動産レジデンシャルは20%前後だろうし、低いところは10%あるかどうかだ。モノサシの基準をどこにするかで「著しい」もまた異なってくる。
仮に「著しく収益増」となったらなったで、当初の開発法による不動産鑑定の適否、鼎の軽重が問われる。この点について都は、「弁護士などと相談しながら『著しく』という文言も含めて何が協議対象になるか判断していく」(都市整備部)としている。
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批判ばかり書いてきたが、キラリと光る記事もあった。1月29日付新報1面の「住まい選びは街選び 上」という見出しの企画記事では、埼玉県のキャンペーン「住むなら埼玉!」が紹介されていた。
県のキャンペーンは明らかに流山市の〝母になるなら流山〟の二番煎じだが、県住宅課へのホームページアクセス数は毎月2万件くらいだったのが倍増どころか多いときは7万件くらいに増加していると書かれていた。
いま、「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ」という大炎上しそうなキャッチフレーズが踊る魔夜峰央氏の自虐的漫画「翔んで埼玉」が県内で爆発的にヒットし、映画化もされるのだという。結構なことだ。
しかし、同紙の連載は次号で「柏の葉」を紹介したきり2回で終わってしまった。やるなら徹底してやるべき。多摩ニュータウンもやってほしい。小生は〝美しくなるなら多摩〟〝死ぬまで多摩〟を提案しているのだが…。
面白い囲み記事もあった。2月4日号の週刊住宅1面コラムにいきなり「行く川の流れは絶えずして、しかも下の水にあらず」とあった。これは必ず落ちがある、川の下にまた川があると読み進めたが、何もなかった。川に落とされなかった。人のことは笑えないがギャハハハハ。
大和ハウス 中・四国地方最大の複合施設「GRANODE(グラノード)広島」4/1開業
「GRANODE (グラノード)広島」完成予想図
大和ハウス工業は2月12日、広島市東区二葉の里5街区で開発を進めている中国・四国地方最大のオフィスフロア面積を誇る複合施設の名称を「GRANODE (グラノード)広島」に決定し、4 月1日開業すると発表した。
「GRANODE 広島」はJR広島駅から徒歩4分、地上20階・地下2階建て延床面積約5万㎡(「MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島」の約2個分)。オフィスフロア総面積および1フロア面積が中国・四国地方最大を誇るオフィス(3~11 階)のほか、商業施設(1・2 階)、全197室のホテル(13~20 階)が入居する。
現地は都市再生機構(UR都市機構)が2010年12月から施行している全13.8haの土地区画整理事業地内の一角。2014年5月、同社と広島テレビ、エネルギア・コミュニケーションズの3社が一般競争入札で取得した。
三井不動産 日本橋街づくりを発信するWEB「Bridgine(ブリジン)」オープン
三井不動産は2月8日、多種多様なプレーヤーによる日本橋の街づくりを発信するWEBメディアCollaboration Magazine「Bridgine(ブリジン)」(https://bridgine.com/)をオープンした。
Collaboration Magazine「Bridgine」は、日本橋の「橋」とコラボレーションを意味する「Bridge」、メディアを意味する「Magazine」を組み合わせた造語で、街で活動する様々なプレーヤーの情報を紹介し、「人」を中心に日本橋の今とこれからについてメッセージを発信する。昨年秋に立ち上がった「nihonbashi β」の活動も取り上げる。