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「無印良品 銀座」外観

 良品計画は4月2日、世界旗艦店となる「無印良品 銀座」、レストラン「MUJI Diner」、および「MUJI HOTEL GINZA」を中央区・銀座三丁目の読売並木通りビルに2019年4月4日(木)開業するのに先立ち、メディア向け内覧会を行った。午前と午後の部合わせて約600名の報道陣が参加した。

 同ビルは、東京メトロ各線銀座駅から徒歩2分、JR有楽町駅から徒歩3分、中央区銀座3丁目の並木通りに面する敷地面積約1,343㎡、延床面積約14,241㎡の地下3階、地上10階建て。基本設計・工事監理・実施設計監修は石本建築事務所。実施設計・施工は竹中工務店。施主・事業主は読売新聞社。三井不動産がデベロップメントマネージャーとして、開発計画の立案、設計・施工管理、テナント誘致などを行い、竣工後はテナントへのマスターリースを担う。

 今回オープンする世界旗艦店は、「人と人」「人と自然」「人と社会」のより良い関係をつくるプラットフォームでありたいという考えのもと、世界中から訪れる人や銀座界隈ではたらき生活を営む人、生産者など店舗に関わる人たちがそれぞれに想いを馳せ、出会い、繋がりが生まれる場となることを目指している。来館者は約230万人を目指す。

 地階が「MUJI Diner」、1階から5階が食品、紳士・婦人ウェア、バッグ、靴下、インナー、文房具、キッチンテーブル、収納家具、デザイン工房などの物販店、6階から10階が中国・深圳、北京に次いで3店舗目で日本初となる「MUJI HOTEL GINZA」と「ATORIE MUGI GINZA」。

 ホテルは6階から10階部分で、客室は79室。客室面積は13.62~51.62㎡。ルームチャージは14,900円(14~15㎡)~55,900円(52㎡)。企画・内装設計・運営はUDS。

 良品計画社長・松﨑曉氏は、「2001年に開業した旧有楽町店は、それまでせいぜい150坪くらいだった店舗面積を1,000坪に挑戦したものだった。昨年末、再開発で店を閉めることになったが、来店者は190万人にまで伸びた。次のロケーションを考えているとき、運命的な出会いともいうべき、この(読売新聞が所有し、三井不動産が開発したビルへの入居)話が持ち上がった。そして、UDSさんとも組んで三位一体の世界旗艦店をつくることになった。ホテルは長い間の夢だった。当社は1880年に西友のプライベートブランドとしてわずか40品目でデビューしたが、現在では約7,000品目に上り、店舗数は世界で990店舗となった。今回の店舗は、環境、売り場、サービス、接客も含め当社の世界観が常に感じられ、また地域の文化・伝統も大事にして取り組んだ」などと挨拶した。

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松﨑社長

◇       ◆     ◇

 食品、雑貨はよくわからないので、「ATORIE MUGI GINZA」と「MUJI HOTEL GINZA」を集中的に見学した。「ATORIE MUGI GINZA」では、クスノキのカウンターに驚いた。4枚を繋ぎ合わせたもので、長さ10m×幅約1.3m×厚さ20cmくらいあった。小田原城内にあった古木で樹齢は約400年。20年前に伐採され、保存されていたものを利用。値段は1,400万円とか。デザイここで酒を飲むのも、備え付けの本を読むのもいい。開業にあわせ行われる「言葉からはじまるデザイン 栗の木プロジェクト展」も面白い。

 ホテルは、「アンチゴージャス、アンチチープ」がよく表現・演出されていた。自然素材に徹底してこだわっているのが特徴で、ロビーカウンターの壁に100年以上前の都電の敷石が用いられていたほか、古い船の鉄板や古材・廃材が共用部に多用されていた。床のオーク材は幅30cmもあった。

 客室のメインは2.5m×10mのウナギの寝床のような形状だったが、それほど違和感はなかった。それよりオーク材、塗り壁、布クロスが用いられ、天井高が2800~2900ミリあったのに唸らされた。

 予約は代理店を通さないで直接ホテルのホームページに限定するというが、これも賛成。ホテルの料金は訳が分からない。6月まではすでに満室だという。

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「ATORIE MUGI GINZA」ギャラリー

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「ATORIE MUGI GINZA」サロン

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「言葉からはじまるデザイン 栗の木プロジェクト展」

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クスノキのカウンター

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「ATORIE MUGI GINZA」

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「MUJI HOTEL GINZA」

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Aタイプ

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廃材を利用した壁とサイン

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 記者はデパートなどで時間を浪費するのが好きではなく、「無印良品」のことはよく知らないのだが、〝ノーブランド〟でありながら品質にこだわった理念に惚れこんだ。外から眺めるだけだったが、店舗デザインなどが美しいと感心した。西武ライオンズファンでもあり陰ながら応援していた。

 西武・西友グループから離脱したとき、「無印良品」と別れるのは西武にとって自殺行為だと思ったものだ。

 改めて同社の企業理念を調べた。①良品価値の探求 「良品」の新たな価値と魅力を生活者の視点で探求し、提供していく②成長の良循環 「良品」の公正で透明な事業活動を通じグローバルな成長と発展に挑戦していく③最良のパートナーシップ 仲間を尊重し、取引先との信頼を深め、「良品」の豊かな世界を拡げていく-とある。この日、内覧会に臨んだ松﨑社長からもぶれない理念をしっかり聞いた。

 理念・哲学をしっかり守ってきたからこそ今日があるのだろう。同社の平成30年2月期の売上高は3,795億円、経常利益は459億円だ。

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1階青果売り場

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レストラン「MUJI Diner」

カテゴリ: 2019年度

 記者は3月29日付「こだわり記事」で「『たたむ』『心理的瑕疵』『平成の終焉』に違和感 国交省 新・不動産業ビジョン2030」の見出し記事で、「「『幕を閉じる』もあまりいいイメージではないし、『たたむ』も適当でない。平凡だか『平成から〇〇へのリレー』『平成から〇〇へ年が明ける』などのほうがよほどいいと思うがどうだろう」と書いた。「平成の終焉」はビジョン(案)の「おわりに」の冒頭でそう記されていたのに違和を感じたからだ。

 なので、「平成」から「令和」への改元をマスコミはどう伝えたのだろうかと、新元号発表があった4月1日の全国紙4紙の夕刊(産経新聞は2002年に夕刊を廃止した)を買って読んだ。

 朝日新聞は「『平成は』は、残り1カ月で幕を閉じる」(1面)「時代はいよいよ『平成』から『令和』へとバトンタッチされる」(11面)と書いた。

 読売新聞は「ゆく平成 くる令和」の見出しを2面で用いた。また、1面の「よみうり寸評」氏は「耳が痛くなるよう時事川柳を、ちょっと前に東京版の紙面で読んだ。〈平成を最後最後とこき使い〉。◆小欄にも身に覚えがある◆乱発気味だった『平成最後の』という言い方も今月限りで姿を消す」と書き出し、最後は「明治以降、誰も経験していない30日間のカウントダウンが始まった」と締めている。

 日経新聞は第1版のトップ記事のリードで「平成は…30年4カ月で幕を閉じる」と報じ、第4版でも1面の記事のなかでそう書いた。

 毎日新聞は「4月30日に退位する陛下は『上皇』となる」「明治以降では初の退位に伴う改元となる」と記した。

 産経新聞は「平成の終焉」などと絶対書かないだろうと予想したが、その通りだった。翌日の「主張」は、「花咲かす日本を目指そう」という見出しで新元号をほめちぎり、「天皇を戴く日本の国が、途切れることなく独立を保ち続けた」「天皇と国民が相携えて歴史を紡いできた」「将来は制度を改め、閣議決定した元号を新天皇陛下が詔書で公布されるようしていただきたい」などと皇国史観を彷彿させる力の入れようだった。24~25面社会面では「希望の花 咲かそう 祝賀列島 幸せ続け」と字余り字足らずの見開き見出し記事を発信した。

 このように、「平成の終焉」などと報じたところは1紙もなかった。

 だから言う訳でもないが、国交省にはデリカシー、リテラシーに欠ける「平成の終焉」をやめていただきたい。

 同省が勝手に変更できないというのであれば、ビジョンをまとめた社会資本整備審議会産業分科会不動産部会の各委員の了解を得ればいいはずだ。

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朝日新聞

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日経新聞

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毎日新聞

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読売新聞

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産経新聞

(デザインは朝日が一番美しいと思う。毎日は考案を委嘱した3氏をすっぱ抜いた。〝実績〟がある意地か)

「たたむ」「心理的瑕疵」「平成の終焉」に違和感 国交省 新・不動産業ビジョン2030(2019/3/29)

 

カテゴリ: 2019年度

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第6回「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」

 国土交通省は3月29日、第6回「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」(座長:浅見泰司・東大大学院教授)を開催。住宅団地再生に向け、検討会に設けたマンションワーキンググループ(座長:小林秀樹・千葉大大学院教授)、戸建てワーキンググループ(座長:大月敏雄・東大大学院教授)で行った議論について報告がなされ、意見交換した。

 マンションWGでは、マンションストックが高経年化していく中ではストックをできるだけ活用する努力が必要という考えから、地方公共団体が管理組合による適正な維持管理を促す方策や、管理が適正に行われていないマンションに対して行政が関与できる仕組みを構築する方向で検討すべきとした。

 また、建物の老朽化により生命・身体に危険を及ぼす蓋然性が高まったマンションについて、マンション及びその敷地を売却し、買請人による除却などを促進する方向で引き続き検討すべきとした。これまで建て替えが実現したマンションのうち200戸超は約8%であるのに対し、建て替え検討中の団地の約8割は200戸超の大規模団地であることを報告。タワーマンションの増加で管理の専門化・複雑化が不可避であるともした。

 さらに、団地型マンション内の一部棟を存置・改修しながら、建て替え・売却を行うことが可能な柔軟な再生の仕組みについても引き続き検討すべきとした。

 戸建てWGは、5ha以上の住宅団地は全国で約3,000団地存在し、居住者の高齢化、空き家の急増が懸念されることから、若者・子育て世帯にとって魅力的な場所として転入を促し、高齢者が安心して住み続けられるよう職住近接の就業機会を創出することが必要と報告した。

 また、用途が住宅に特化した団地が多く、多様な機能を導入することが困難なことから、多様な主体が参画し、住宅以外の機能や用途、就業の場の確保、ワンストップの行政手続きを可能とする方策が必要としている。

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左から大月氏、浅見氏、小林氏

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 この種の検討会が国交省内にどれだけあるか知らないが、これほど困難でなおかつ緊急を要すテーマは他にないのではないか。毎年ストックが積み上がる一方で遅々として進まない建て替え・再生、加速度的に進行する居住者の高齢化と比例するように下がる資産価値、こじれたら梃子でも動かない合意形成の困難さなどを思うと、記者などは頭が痛くなり、2時間も話を聞いていられない。記者と同じか、傍聴席ではコクリコクリと舟をこぐ人もいた。

 しかし、各委員は大したものだ。しわぶき一つしないで報告に聞き入っていた(聞いているふりをしていた人はいないはず)。記者がファンの櫻井敬子委員(学習院大学教授)が欠席されたのは残念。先生の本は素人でもよく分かる。先生の都合に合わせて会合の日にちを設定してほしい。

 発言者は少なかったように思ったが、これは議論が出尽くし各委員で課題・方向性を共有できているからではないかと推測される。

 そんな中で、宮原義昭委員(アール・アイ・エー会長)が「(建て替え・売却・除却などに際して)居住者の受け皿をどうするかを考えるべき」と、合意形成を容易にする取り組みを強化すべきと指摘した。心しないといけないことだ。

 最近の再開発、団地の活性化の事例では旭化成ホームズ「アトラス品川中延」と、鳩山ニュータウンを見学した。こちらも読んで頂きたい。

旧同潤会の長屋など木密地域を一新 旭化成不レジ・不燃公社「品川中延」竣工完売(2019/3/28)

鳩山NT活性化を「私自身がアート」藝大卒・菅沼朋香氏「ニュー喫茶 幻」開業(2019/3/23)

〝羽ばたけないかごの鳥〟国交省 団地再生検討会 エアコンなし 議論白熱30度超に(2018/6/8)

カテゴリ: 2019年度

 国土交通省は3月28日、不動産業が持続的に発展していくための中長期ビジョンの策定に向けて、平成31年3月28日(木)に、第39回「社会資本整備審議会産業分科会不動産部会」を開催し、「新・不動産業ビジョン2030」(仮称)のとりまとめに向けた議論を行った。

 同部会は、少子・高齢化、人口減少社会の進展、AI・IoTなどの技術革新が進展し、社会経済が大きな変化を遂げており、また、オリンピック・パラリンピック東京大会後の概ね10年程度先を見越した不動産業の目指すべき方向性を共通して認識できる指針づくりが必要として中長期ビジョンの策定に向けた議論を進めているもの。

 新ビジョンは4月中に発表される予定。

◇       ◆     ◇

  こんなことを言っても詮無いことだが、「新・不動産ビジョン2030」(仮称)の取りまとめ案を読んで「おやっ」と思ったことが3つある。「たたむ」「心理的瑕疵」「平成の時代の終焉」いう文言だ。もちろん法律用語でもないので住宅・不動産行政に直接的な影響を及ぼすとは考えられないが、正直に言えば違和感がある。

 「たたむ」は、A4で全62ページのなかで3度登場する。①「ストック型社会」の実現に向けて「(空き家・空き地など)有効な活用方策が見込めない不動産は思い切って『たたむ』ことも視野に入れ、そのための適切な『たたみ方』や、その後の活用方策を探る必要がある」②「建替え、コンバージョン、リニューアルなど多様な選択肢の中から不動産の『たたみ方』を含めて提案し」③「不動産を早期に『たたむ』ことへの動機づけなど」だ。

 文脈からして「布団をたたみ収納する」というような意味ではなく、「店をたたむ」、つまりおしまいにするという意味で使われているのは間違いない。部会を開催した同省不動産業課でも公式文書で初めて用いた文言だという。

 どうもこの言葉は、東京都市大学教授・饗庭伸氏の著作「都市をたたむ」(花伝社、2015年12月)が初出のようで、饗庭氏は「それほど変わった言葉をつくったつもりではないのですが、拙著がきっかけで使われることになったと思います」とのコメントを寄せた。

 もう一つの「心理的瑕疵」は、「既存住宅市場の活性化が不可欠であるが、その実現を阻害しかねない要因として、昨今、過去に物件内で自殺や事件があった事実などいわゆる『心理的瑕疵』を巡る課題をどのように取り扱うべきかが課題となっている」と書かれている。

 「心理的瑕疵」は業界用語で、既存住宅市場や賃貸住宅市場で用いられており、事件などが起きたことを告げなければ重要事項説明違反に問われることもあるようだ。だが、しかし、これは社会的通年が優先するはずで、国交省の公式文書に使うべき類の「課題」ではないと思う。

 そんなことが問題になるのなら、事故死、孤独死が日常の特養や一部のサ高住はどうするのか。入居費を安くするのか。死後も「死に方」がずっと問われるのであればそれこそ死者も浮かばれない。四十九日法要(神式は五十日祭)か一周忌法要(キリスト教は1年後の昇天記念ミサがあるようだ)を過ぎれば重要事項説明から除外したらどうか。

 もう一つの「平成の時代が終焉」は、ビジョンの「おわりに」の冒頭で「平成の時代が終焉を迎えつつある…」といきなり出てくる。ここで読み進めなくなった。

 「終焉」はよく使われる言葉だ。小生も「バブルの終焉」などと何度も使用した。この語彙には有無を言わさない断絶、終息、滅亡などの強い意志が込められている。

 だから、「平成の時代が終焉」などと言われると、何だか平成と次の元号との間には大きな隔たりがあるように感じられてならない。そうならないように生前退位-新元号決定(公表)-退位・即位の儀が行なわれるのではないか。

 小生の身近な人にも「平成の時代が終焉」をどう思うかについて聞いた。「終焉」を肯定的にとらえる人もいたが、「終焉という言葉は好きではない」「デリカシーに欠ける」「中国でも使うことがあるが、意味は結末」などと話した。小生も同感だ。「幕を閉じる」もあまりいいイメージではないし、「たたむ」も適当でない。平凡だか「平成から〇〇へのリレー」「平成から〇〇へ年が明ける」などのほうがよほどいいと思うがどうだろう。

 このように書くと、反論もあるかもしれない。天皇陛下御自身が「天皇の終焉」と述べられたことがあるからだ。

 平成28年8月8日に宮内庁から発表された「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の中には「これまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります」と記されている。

 このお言葉に対して、8月12日付毎日新聞は西川恵氏の署名入りコラムで「天皇陛下が生前退位の意向を示唆されたお言葉で、強く印象づけられたのが『天皇の終焉(しゅうえん)』という表現だ。『逝去』でも、『死亡』でもない。ここには一個人の死を超えた、天皇が体現してきたシステム、体制、時代がピリオドを打つという意味が込められているように感じる」と報じている。

 しかし、どうだろう。天皇陛下はまさに「逝去」「死亡」について触れられていると小生は考える。天皇の逝去には重い殯(もがり)や喪儀に関連する行事が続くということを説明されたのだと思う。

 だからこそ、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」退位を決断されたのではないか。

 そしてまた、「憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く、これから先、私を継いでいく人たちが、次の時代、更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています」「私がこれまで果たすべき務めを果たしてこられたのは、その統合の象徴であることに、誇りと喜びを持つことのできるこの国の人々の存在と、過去から今に至る長い年月に、日本人がつくり上げてきた、この国の持つ民度のお陰でした」(在位30周年記念式典でのおことば)につながる。

 このお言葉からは、「平成の終焉」はもちろん、(国家・社会)システム、体制、時代がピリオドを打つという意味の「天皇の終焉」を示唆するものは全くないと思う。

カテゴリ: 2018年度

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「グランダ目白弐番館」

 日本郵便は3月28日、社宅跡地を活用した「グランダ目白弐番館」、「ニチイキッズかみいけぶくろ保育園」、「JPnoie三田」が完成したと発表した。

 「グランダ目白弐番館」は介護付き有料老人ホームの「グランダ目白弐番館」と保育所の「ベネッセ目白保育園」の複合施設。ベネッセスタイルケアに一括賃貸し、同社がそれぞれ運営する。

 施設は、豊島区西池袋二丁目に位置する3階建て延べ床面積約3,116㎡。定員は有料老人ホームは58名で、2019年3月開設。保育所は60名で、2019年4月開園予定。

 「ニチイキッズかみいけぶくろ保育園」は、同社が建設した保育所としては「ベネッセ板橋三丁目保育園」、「ベネッセ目白保育園」に次いで3棟目。ニチイ学館に一括賃貸する。

 施設は、豊島区上池袋二丁目に位置する木造1階建て延床面積約497㎡。定員72名。施工は住友林業。2019年4月開園予定。

 「JPnoie三田」は全23戸の賃貸住宅で、「JPnoie」ブランドによる賃貸住宅としては6棟目。

 物件は、港区三田四丁目に位置する13階建て延べ床面積約1,744㎡、全23戸。設計・施工は髙松建設。賃貸管理は東急住宅リース。

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「ニチイキッズかみいけぶくろ保育園」

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 2019年3月期の経常収益12兆9,203億円、経常利益9,161億円の日本郵政グループが建設した施設がどのようなものか見学したかったのだが、すでに開設していることなどの理由で敵わなかった。

 面白いのは、全ての物件に「はがきの木」と呼ばれるタラヨウを植樹し、保育所のエントランスには「ゆうびん」を表す点字をデザイン化し、子どもたちが手紙文化に触れるきっかけになればとの思いを込めたゲートを配置している。

 皆さんはタラヨウの木をご存じか。記者は小さい頃、葉っぱの裏に字を書いて遊んだ記憶がある。

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「JPnoie三田」
 

カテゴリ: 2018年度

 3月26日号の「住宅新報」は36ページ、3月25日号の「週刊住宅」は14ページ。双方とも地価公示特集だから増ページしたのだろうが、紙数は新報が圧勝。しかも同紙は「安心R住宅」と「不動産テック」の特集を組んでいる。

 これまで記事批判ばかりしてきた小生は、特集を組む辛さもよくわかっているので、労をねぎらうことに決めた。そして褒めようと…新聞をたたもうとしたのだが、誤字脱字が「わたしを見つけて」と呼び掛けてくる感覚と同じだ。〝小さくて読めない〟新報の地価公示の紙面がささやきかけてきた。とたん、飛び上がらんばかりにびっくりした。何かの間違いだと。そして、またまた怒りが沸々と湧きあがり、やがて沸点に達した。我慢がならない。なぜだ。

 紙面は、北は北海道から南は福岡まで12ページにわたって公示地点の価格を掲載しているのだが、住宅地だけで、商業地、工業地、調整区域をオミット(ミスではないはず)しているではないか。しかも1㎡当たり千円表示の「千円未満は切り捨て」だ。

 冗談ではない。小生は鑑定士がどのように調査するかよく分からないが、手抜きなどしていないはずだ。住宅地も商業地も林地も平等に調査しているはずだ。地価公示の調査地点は26,000地点あり、用途別では約70%を住宅地が占めているのだが、他を除外していいはずはない。同紙はこれまでもそのようなことをしてきたのか。地価公示などどうでもよく、広告収入がはいればよいという魂胆がありありだ。国交省も読者もクレームを付けないのか。紙がもったいない。(個人的には地価公示はやめたほうがいいと以前から主張してきたが)

 「千円未満の価格切り捨て」にも我慢がならない。不動産公取規約では、消費者の不利益にならないよう分譲価格や駅からの距離は切り上げ、敷地面積は切り捨てることになっている。地価公示で千円未満を切り捨てたら1坪で約3,000円、30坪で約10万円の差となる。小生も含めわが業界は坪でしか不動産価格を計れなくなっているが、どんぶり勘定は改めたほうがいい。同紙の記事が国交省のデータをそのまま引き写したのであれば、同省に苦情が殺到するはずだ。ただでは済まない。

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 参考までに、地価公示の紙面の編集・製作がどれほど大変だったかを紹介する。

 昔は国交省から文書データで渡され、印刷工場の植字工が一字一字拾って組み立てていく作業が必要だった。その手間と特集する取材時間を見込んで、報道解禁の10日前に資料が配布されていた。

 校正作業が大変だった。ミスは許されない。どこのマスコミも元原稿を読む人と校正ゲラを読む人と2人一組で校正作業を行ったはずだ。

 住居表示が浸透している東京都などはやさしいが、地方都市は難しい読めない漢字、例えば「匝瑳」(いすみ)などがたくさん出てくる。しかも「大字」「小字」などと長い。そうなると「えっと…読めない」「早く読め」「そんな字が読めないのか」とけんか腰になり、「ダメだ。代われ」となる。

 具体例を示そう。兵庫県神戸市北区には「大沢町日西原字小屋かち2106--1」「山田町下谷上字猪ころび4-73」「有野町唐櫃字水ナシ2-12」がある。

 「かち」「ころび」「みずなし」は発音する側からすれば「かちはひらがな」「猪ころびの猪は漢字、ころびは平仮名」「みずなしの水は漢字、なしはカタカナ」とでも読み上げないと正確に伝えられない。聞いているほうも「えっ、猪ころびの猪は漢字でころびは平仮名とは何だ」と聞き返さないとしっかり校正できない。「櫃」(ひつ)も死語と化している。読めやしない。ネットで調べたら「唐櫃」は「からと」と読むらしい。…こんなのをやってごらんなさい。泣けてくる。それでも記者はこうして漢字を覚えた。いつも作業は徹夜になった。そのあとで酒を飲む楽しみはあったのだが。

 今はエクセルデータで各報道陣に配布されているはずだから手間は省けるし校正ミスなど起きない。音読の校正作業もなくなったのではないか。

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「東京ミッドタウン日比谷」

 三井不動産は3月27日、同社が運営する大規模複合施設「東京ミッドタウン日比谷」の来街者数が開業1周年を迎える2019年3月29日(金)に約2,200万人、売上高は160億円を超え、目標を大きく上回る勢いで伸長していると発表した。

三井不動産「東京ミッドタウン日比谷」開業 初日の入場者は10万人超(2018/3/30)

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第2回目「アクセラレータープログラムDemo Day」(丸ビル・コンファレンススクエアで)

 三菱地所が3月22日に開催した第2回目「アクセラレータープログラムDemo Day」を取材した。応募200件の中から最終選考に残った5つのプロジェクトのDemoは、スマホですら満足に扱えないアナログ記者にとって何が何やらさっぱりわからない部分もあったが、ものすごく刺激的でワクワクするものばかりだった。みんな無限の可能性を秘めている。

 同プログラムは、同社の事業領域にとらわれずベンチャー企業から事業提案を募り、同社の資産・ノウハウ・販路などの経営リソースと掛け合わせることで、新たなビジネスモデルの創出を目指すもの。この種の取り組みは盛んにおこなわれているが、領域を問わない企業の壁を越えたものは他にないという。2017年に行われた第1回に続き、今回は第2回目。

 最終選考に選ばれたのは、「時短・道案内動画マップ」などを製作するブイテック研究所、音楽に関する情報を提供しているフォニム、AI・ドローンを駆使してビルメンテなどのソリューションビジネスを手掛けるアイ・ロボティクス、不動産情報などの検索・解析・調査データを提供するRESTAR、人工知能により万引き行動を察知する防犯カメラ技術を開発したVAAKの5社。

 最初のDemoにしっかり耳を傾け、最後の懇親会でも各社に声を掛けた同社・吉田淳一社長は「当社の業務範囲を超え、社会課題を解決し、働き方改革のみならず暮らしを豊かにする提案を頂いた。引き続き5社で連携し、新たな価値創造につなげるよう期待しています。実現が楽しみ」と総評した。

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会場には約100名が駆け付けた

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吉田社長

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 5社の取り組みを一つひとつ紹介する余裕はない。必死にメモは取ったが、いかんせん専門知識など全く持ち合わせていない。各社のホームページでどのような事業かを調べていただきたい。

 5社のDemoを聞いて〝これは凄い〟と思ったのはアイ・ロボティクスだ。どのような外壁でも忍者のようにペタッとくっつき、汚れの種類にも対応できるドローンには驚いた。航空法の規制も受けないという。これが実用化されたら、あらゆる建築物の自動清掃に使える。

 ただ、気になったことがひとつある。わが国のドローンの開発・サービスは圧倒的にアメリカや中国に負けているのではないか。特許などでがんじがらめにからめとられ、この分野でも米中の軍門に下るのではないかという懸念だ。がんばれアイ・ロボティクス!

 フォニムにも注目した。音楽はみんな小さい頃、スポーツや習いごとに熱中した経験を持っているのに、年を取るごとに忘れられていくという指摘は説得力があった。

 確かに考えてみれば、音楽もそうだがわが人類の原初的なコミュニケーションは祭祀であり口伝だった。文字が発明されても音読文化は継続した。いまは黙読だし、ネットの言葉は味もそっけもない。文化もない。音・声の文化を取り戻すのは困難かもしれないが、せめて文字の文化と繋ぎ合わせる役割を音楽は担っていいはずだ。音楽を日常不断に聴き、自らも演奏する仕掛けはつくれないものか。ヨーロッパには公共施設・空間に自由に使っていい楽器があるというではないか。

 RESTARも面白かった。ビッグデータとAIによって様々なデータを解析、レポートまで作成するとい。概要入力も簡単に行うというスグレモノだ。

 だが、しかし、殺人ロボットが開発されている時代だ。自社のマル秘データは外部に漏れないのか、外部に漏れることを想定してフェイクデータをたれ流したらどうなるのか、さらにまたAIを狂わすAIが出現したら市場はどうなるのか…何もかもAIに頼るのはものすごく危険とも感じた。

 もう一つ。みんな欲張りすぎだ。限られたDemo、プレゼン時間の中で伝えたいことを分かりやすくアピールするテクニックがやや欠けているように思った。テーマは3つくらいに絞るべきだ。よく1分間に300字とは言われるが、それでも多いと思う。過ぎたるはなお及ばざるがごとし。

 さらにもう一つ。記事を書いたこの日(3月26日)、三井不動産リアルティの三井のリパーク・災害支援寄付付き自販機設置に関する協定式を取材した。日赤の行動思想は「人間を救うのは、人間だ」-これを実践するAIをベンチャー企業にぜひ開発してほしい。

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アイ・ロボティクスのドローン(シンプルで軽かった)

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左から藤原氏、片岡氏、大塚氏(日赤本社で)

三井不動産リアルティ(三井リアル)、日本赤十字社(日赤)、コカ・コーラ ボトラーズジャパン(コカ・コーラ)の3社は3月26日、三井リアルの駐車場事業「三井のリパーク」の赤十字災害支援寄付つき自動販売機の設置に関する協定を日赤本社で締結した。

協定は、三井リアルがコカ・コーラの商品を販売する寄付付き自販機から得られる収益金の一部を日赤に寄付するもの。41日(月)から全国の自販機約1,800台を対象に順次対応していく。日赤が特定の企業・団体と協働した支援自販機の設置台数としては過去最大規模。

協定調印式で三井リアル常務執行役員シェアリング事業本部長・片岡純市氏は、「当社は街のインフラとして少しでも社会に役立つため『災害支援型駐車場』を全国5カ所に設置しているが、もっと増やせないかと今回の寄付になった」と語った。

コカ・コーラ社の執行役員ベンディング事業本部長・藤原義樹氏は、「三井不動産リアルティさんから相談を頂き、継続して支援していこうと実現した。当社の掲げる『地域密着』の理念に沿うもの」と話した。

これを受けて日赤副社長・大塚義治氏は、「本当にありがたいこと。支援は金銭的だけでなく、双方のリーディングカンパニーの気持ち、精神は励ましにも励みにもなる。この気持ちを真正面で受け止め、災害救援事業に取り組んでいくことを約束します」と述べた。

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左から大塚氏、片岡氏、藤原氏(自販機の前で)

       ◆     ◇

 さすが日赤というべきか。調印式前から普段の会見とは異なっていた。司会の女性の方が「皆さん、関係者が入場されますので後方を向いて大きな拍手でお迎えください」と呼び掛けたではないか。その声はとても静かだったが、思いやりが込められていた。数十人の参加者はみんな拍手した。息子の結婚式だってこんな厳かな気持ちにさせられたことはない。

 同じような光景は数年前、広島の三菱地所レジデンスマンション事業説明会で、地元の記者の方が司会者の広報マンに拍手したのを経験しているが、あれは完全に〝さくら〟だった。今回は断じてそうではない。愛のなせる業だ。

 小生はきっときれいな女性が先導役になって現れるのだろうと胸を膨らませたが、三人ともおじさんだったのには肩透かしを食らった。しかし、調印式も粛々と行われたので、三者の心意気が直に伝わってきた。

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 いったいいくら寄付するのだろうと聞いたが、これはさすがに「非公表」だった。片岡氏は「自販機の収益金以外にも寄付することも考えている」と話した。

 そこで調べた。日本自動販売機工業会の調査によると、2016年の自販機及び自動サービス機の普及台数は約494万台で、年間売上高は約4兆7,360万円となっている。1台当たりの売上高は約95.8万円だ。これを三井のリパークのコカ・コーラ自販機に換算すると約17億2,520億円。売り上げの1%だと約1,725万円となる。三井不動産全体の社会貢献支出額は年間50億円を超えるといわれており、三井のリパーク単独で1,725万円は妥当な額ではないか。間違っているか。

 と、ここまで書いたが、三井リアルとコカ・コーラの契約はそうではないようだ。三井リアルは自販機を置く場所を貸借し、売上に応じて手数料を得るというシステムのようだ。なので、寄付額は異なってくる。

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 これまでの震災・災害時にはそれなりに寄付も行ってきたが、記者は車の運転はしないので、この種の駐車場を一度も利用したことがないし、自販機で飲料水を買う(コーラは独身の頃はよく飲んだが)のも年に10回あるかどうかだ。いい機会だと思い、セレモニーで用意されていた自販機でお茶でも買おうかと思ったが、中身は空だった。残念。

 それでもしっかりコーラ類の金額は確認した。大きいのはみんな160円だった。藤原氏に「同業他社の商品より高くないですか」ときいたら、「同じ」という返事だった。

 しかし、オフィスに戻り、喫煙室の自販機で値段を確認したら同じ商品でも140円だった。藤原氏が答えたのは屋外の駐車場にある自販機の値段は他社と同じと理解した。

 みなさん、どんどん三井のリパークと自販機を利用して寄付してください。小生はタバコと酒でしっかり納税する。

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関係視野揃って記念写真

カテゴリ: 2018年度

 不動産ジャーナリストの岡本郁雄氏が不動産情報サイト「街とマンションのトレンド情報局」(https://mansiontrend.com/)を2月下旬に立ち上げた。「広げよう世界を 深めよう知識を 見つけよう理想を 始めよう物語を」をコンセプトに、街づくりやマンショントレンドを中心とした不動産関連情報などを無料で配信している。

 岡本氏は1967年岡山県倉敷市生まれ。神戸大学工学部工業化学科卒。1989年、リクルート入社。住宅情報事業部で首都圏のマンションなどを担当したのち、2004年4月に独立。マーケティングや不動産コンサルティング業務に関わってきた。ファイナンシャルプランナーCFP®、中小企業診断士、宅地建物取引士などの資格を持つ。

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 本日(3月25日)、初めてサイトを見た。トップ記事は「2019年公示地価 台東区・荒川区が上昇率トップ」の記事だった。中身は見ていない(酒が入っているから)。写真だけ見て唸ってしまった。文句なしに美しい。悔しいけど小生は完敗。小生の数万円のものよりはるかに高いカメラで撮っているようだ。読者の皆さん、このサイトを「お気に入り」にして読まれることをお勧めする。間違いなく役に立つ。

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 小生は、いわゆる「住宅評論家」は前にも後にも故・佐藤美紀雄氏しかいないと思っているが、ひょっとしたらその肩書を背負える人は岡本郁雄氏ではないかと10数年前から思っていた。デベロッパーに対する質問が並みの記者では全然気が付かない鋭いものだったからだ。

 「無料サイトを立ち上げる。ひも付きではない」とご本人から聞いたとき、御用評論家にはならないという意思がひしひしと伝わってきた。大丈夫かと心配もしているのだが、やれるところまで突っ走っていただきたい。

 業界関係者の方々には、岡本氏を販促のための「住宅評論家」にだけはしないことを願いたい。デベロッパーもハウスメーカーも自立した評論家を育てることが結局は業界の発展につながるのだから。

カテゴリ: 2018年度
 

 

 

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