RBA OFFICIAL

 三菱地所は1月21日、丸ビルや新丸ビルなど丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)の18棟と横浜ランドマークタワー計19棟(延床面積計約250万㎡)の全電力を2021年度から再生可能エネルギー由来(以下、再エネ電力)とすると発表した。これによりCO2削減量は年間約18万トンを見込んでいる。

 今回導入する再エネ電力は、「生グリーン電力」及び「トラッキング付FIT非化石証書」を併用して「RE100」対応としており、かつビルで使用する電力量の全量であるため、対象ビルの入居企業は自社で再エネ電力を利用していると認められる。

 この取り組みは、同社グループの長期経営計画2030の重要テーマの一つである「Environment:気候変動や環境課題に積極的に取り組む持続可能なまちづくり」の一環で、また、「RE100」参加(2020年1月)にあわせて策定した再エネ電力比率(2030年までに25%、2050年までに100%)については約30%となる見込みであり、2030年までの中間目標を前倒しで達成する予定。

 丸の内エリアにおけるCO2削減量は年間約16万トンで、同社所有ビルCO2排出量の約8割に相当する。


 

カテゴリ: 2020年度

 日本政府観光局(JNTO)は1月20日、2020年12月の訪日客は前年同月比97.7%減の58,700人で、15カ月連続で前年同月を下回り、2020年の訪日客は前年比87.1%減の4,115,900人となったと発表した。

カテゴリ: 2020年度

外観.jpg
「THE WAVES AKIHABARA」

 サンフロンティア不動産は1月18日、リプランニング®(不動産再生事業)の「THE WAVES AKIHABARA」が1月20日に竣工するのに伴う報道陣向け内覧会を行った。「暮らしに近いワークスタイル」をテーマに、社員の「快適性」と「健康」を追求している意欲的な商品企画だ。

 物件は、東京メトロ日比谷線秋葉原駅から徒歩8分、都営新宿線岩本町駅から徒歩6分、JR総武線馬喰町駅から徒歩4分、千代田区東神田2丁目に位置する1985年3月竣工の敷地面積約422㎡、9階建て延べ床面積約2,304㎡。2年前に1棟ごと取得し、従前テナントが入居している4フロアを除きリノベーションしたもの。改修費は約2億8,000万円。

 最大の特徴は、従前は閉ざされた駐車場だった最大天井高4300ミリの1階のスペース約73坪を「心地よい自然風が通り抜ける社員の快適性と健康を追求」したオフィスにしたこと。

 幅員約20mの前面道路とその裏側の道路に面した外壁に開口部を設けることで風通しのいい空間に変えた。エントランスには約30㎡の「土間」とそれに続く「縁側」を設置。ドアはスライド式にして小型車を入れたり展示スペースにしたりできる多目的空間を演出。オフィス裏側には専用テラス・車庫を設置している。オフィス部分にはキッチンも設置し、靴を脱いで働くことやペット持ち込みも可能としている。

 2階ほかの4フロアは、「日本らしさを感じられるdesing」をテーマにグレー、アイボリーを基調としたカラーリングとし、縁側ゾーンや堀こたつ式ブースを設け、コーヒー豆を再利用した消臭効果のある壁材、壁にそのままメモなどを書き込めるボードなども配置している。

 「快適性」「健康」の取り組みとしては、アルコール什器、空気循環式紫外線清浄機、抗菌塗装、高性能フィルター付き換気設備、テレカンブース、音響設備、バイクシェア、カーシェア、屋上ガーデン(交流の場)を整備している。

 同社リプランニング事業部2課第1グループ次長・寺田健氏は、「生産性向上と快適性を掛け合わせた新しいワークスタイルを提案した。従前の賃料は1.5~1.6万円/坪だったのをセットアップし1階は2.8万円/坪、そのほかは2.1万円/坪に設定した。1階は水曜日から募集を開始する。他の4フロアのうち2フロアはテナントが決まっている」などと話した。

IMG_8690.jpg
エントランス

IMG_8675.jpg
アルコール什器(手をかざすと「thank you」の文字が手のひらに浮かび上がる)

1F土間.jpg
土間

◇      ◆     ◇

 同社のリプランニング物件は、「A YOTSUYA(エー ヨツヤ)」に続き2度目だが、「利他」を社是・経営理念に掲げるだけあって痒いところに手が届く商品企画だと思う。全体的にグレーを基調にしたカラーリング・デザインがいい。

 驚いたのはペットの持ち込みを可能にしたことだ。記者はオフィス事情には疎いが、この種の規模でペット可のオフィスはまずないのではないか。このような自宅と働く場をシームレスにつなぐ取り組み・企画は支持されるはずだ。(ペット同士が恋に陥り、子どもを胎ませ胎ませられたらどうするのかという質問をぐっとこらえたが)

1F風の通り道.jpg
風の通り道

1Fアクティブコミュニケーションファニチュア.jpg
アクティブコミュニティファニチャー

IMG_8685.jpg
1階オフィス内観

IMG_8679.jpg
2階オフィス内観

屋上ガーデン.jpg
屋上ガーデン

〝日本初 全てがアート〟 サンフロンティア不 シェアオフィス「A YOTSUYA」(2021/11/28)

カテゴリ: 2020年度

60歳以上表.png

60以上グラフ.png

 東京都の新型コロナ感染者は爆発的に増加しているが、気になるのは高齢者の感染増加だ。別表とグラフで最近の60歳以上の高齢者の感染者数と全体に占める割合を示した。

 60歳以上の高齢者の感染比率は病院などでクラスターが発生した以外は第一波から概ね毎日10%前後で推移していた。

 ところが9月15日に23区の時間短縮営業が解除され、その後、10月に入ってGo Toキャンペーンが始まったころから常時10%を超え、10月26日の9.8%(102人)を最後に10%以下はなくなり、1月15日にはそれまで最多だった1月7日の337人を大幅に上回る415人(20.7%)を記録、その翌日の16日は404人(22.3%)と2日連続して400人を超えた。

 この2日間の年代別感染者でも、60代は15日、16日とも152人で過去最多となったほか、70代の15日の131人、80代の16日の123人、90代の34人はいずれも過去最多を記録した。90代は累計で1,000人を突破する1,007人となっている。

 また、10歳未満の15日と16日の感染者は65人で、2日連続して過去最多タイとなっている。

◇       ◆     ◇

 記者は7月23日付記事で、「コロナから逃げて逃げて逃げまくろうではないか.。」と書いた。当時は高齢者の1日当たり感染者は20人台だった。今はけた違いどころか20倍に増加している。

 新型コロナの先はまだ読めず〝一寸先は闇〟が待ち構えているかもしれないが、三菱地所・吉田淳一社長は昨年の入社式で「明けない夜はない」と呼びかけた。高齢者の皆さん、この言葉を信じようではないか。地の果てまで逃げおおせたら何が待っているか…そんなことは神のみぞ知る。われわれの知ったことではない。

新型コロナ 高齢者もじわり増加 〝逃げるが勝ち〟逃げて逃げて逃げまくろう(2020/7/23)

 

 


 

カテゴリ: 2020年度

 住宅新報は1月12日号社説で「国内で新型コロナが確認されて約1年が経った。ほぼ出尽くした感がある公助に過大な期待は禁物だ。一人ひとりが危機感の薄れを改めて、自分や家族の安全は自力で守る覚悟でこの危機を乗り越えたい」と書いた。公助は期待せず、自助でコロナを乗り切れと。

 なるほど。そうかもしれない。しかし、それを言ったら身も蓋もない。菅義偉総理と一緒だ。菅総理は昨年9月16日の総理大臣就任あいさつで次のように語った。

 「私が目指す社会像、それは、自助・共助・公助、そして絆であります。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットでお守りをする。こうした国民から信頼される政府を目指していきたいと思います」

 記者は、菅総理が真っ先に「自助」をあげ、「公助」を3番目にしたことに愕然とした。率直と言えば率直だが、国のリーダーが言うべき言葉ではない。嘘でもいいから「公助」で皆さんを救うと宣言してほしかった。

 記者は選挙に行かないので資格もないし、批判などしたくないのだが、菅総理は就任直後、学術会議の6人の任命を拒否しつまずいた。藪蛇と言うか火中の栗の典型だ。

 8人会食も批判を浴びた。国の総理たるもの、情報収集も大事だ。何人と会食しようとかまわないと思うが、相手が悪かった。総理にすり寄る人も問題だ。

 さて、菅総理や新報がいうようにわれわれは自助でコロナを乗り切るしかないのか。そうなったら結局は強者だけが生き残る。ついにわが国は無政府状態かそれとも統制国家に突入するのか。

 ところで、最近の業界紙誌では不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が緊急事態宣言の発出を受けて、デベロッパー・ハウスメーカーなどの対応策を8日、12日、13日の3度にわたって報じた記事がいい。全部で40社くらいか。

 各社とも政府の呼びかけに応じ、テレワークに切り替え、出社率を3割に抑え、不要不急の外出や会合などを避けていることがよく分かる。

 記者はマンションのモデルルーム見学くらいしか取材しなくなったが、各社の担当者は自宅と販売事務所の移動のみで、昼食や夕食はコンビニなどで弁当を買い、事務所内で食べていると聞いている。

 立派なのは、ケイアイスター不動産の取締役第二分譲事業部長・浅見匡紀氏(41)だ。取材したのは昨年7月だったが、何と毎日、奥さんの手作りの弁当を持参して会社内で食べていると話した。中身は見せてくれなかったが、材料費だけなら1日500円でどうか。奥さんの弁当づくりに費やす時間をお金に換算したら…これは1,000円でどうか…〝そんなに安くないわよ〟と奥さんに怒られるか。

 手弁当といえば、もう20年以上も昔だが、前夜の残りのカレーライスとかコンビニで買ったままのナポリタンなどの弁当を奥さんに持たされても文句ひとつ言わなかったRBA野球の選手がいた。それでも体は立派で、選手としてはトップクラスの働きをした。通算本塁打はこの人がトップで、まず破られないだろう。

 言い忘れた。RBA3冠王の東急リバブル・岡住さんは実家が食堂店を営んでおり、毎日5食とか6食くらい食べたという。それでも先の通算本塁打王と対照的に全然太っておらず、それこそキン肉マンだった。

 時効だろうからもう一つ書く。タカラレーベン村山義男会長の社長時代の昼食は凄かった。取材に行った時だ。取り寄せてもらった弁当を記者と一緒に食べたのだが、丑年の記者は20分くらいかかったのに、食糧難の時代を生き抜いてきたからだろう、4歳年上の村山氏はものの数分で平らげた。ご飯もおかずも全然残さなかった。在庫を抱えるのを極端に嫌った村山氏らしい。

 業界紙誌も、プレス・リリースのコピペ記事ばかりでなく、ユニークな各社のコロナ対策とか自衛策を伝えてほしい。各社のトップの昼食を紹介したら面白いだろう。

〝不惑超え〟エース 本業も率先垂範 好調ケイアイスター・浅見匡紀氏(41)に聞く(2020/7/7)

カテゴリ: 2020年度

区市町村別感染者.png

区市町村別感染率.png

区市町村別pdf.

 1月7日現在の東京都の新型コロナの累計感染者と人口10万人当たり感染者(率)を区市町村別にまとめた。

 もっとも多いのは世田谷区の5,300人で、以下、新宿区、大田区、足立区、練馬区、港区、杉並区、江戸川区、中野区、板橋区の順。23区でもっとも少ないのは荒川区の1,041人。市で最多は八王子市の1,340人で、町田市、調布市が続く。市部で少ないのは羽村市、武蔵村山市、国立市の順。

 人口10万人当たり最多は1,410人の新宿区で、港区、渋谷区を合わせた3区が1,000人を超えている。以下、中央区、目黒区、中野区、台東区、千代田区、豊島区、世田谷区の順。もっとも少ないのは江戸川区。市でもっとも多いのは351人の武蔵野市で、西東京市、三鷹市の順。市部で少ないのは東村山市、東大和市、青梅市の順。

カテゴリ: 2020年度

感染者.png

感染率.png

都道府県別コロナ感染者.pdf

 厚労省のデータをもとに1月7日現在の都道府県別感染者数と人口10万人当たりの感染者(率)をまとめた。

 感染者は、東京都がもっとも多い68,790人で、以下、大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県、北海道、千葉県、兵庫県、福岡県、沖縄県の順。もっとも少ないのは鳥取県の156人で、以下、秋田県、徳島県、島根県、香川県、福井県、岩手県、山形県、佐賀県、青森県の順。累計感染者は263,158人。

 人口10万人当たりでは、もっとも少ないのは秋田県の16.7人で、以下、新潟県、鳥取県、徳島県、島根県、岩手県、香川県、山形県愛媛県、青森県の順。もっとも多いのは東京都の493.3人で、以下、沖縄県、大阪府、神奈川県・北海道、愛知県、埼玉県、京都府、千葉県、兵庫県の順。全国平均は209.3人。

カテゴリ: 2020年度

職業表.png

 東京都が新型コロナウイルス感染症対策サイトで公表している昨年10月から1月3日現在の感染者36,858人のうち職業欄に記載がある21,382人の職業を別表にまとめた。

 もっとも多いのは会社員の8,062人で、以下、無職2,403人、学生2,105人の順。医師は225人、医療従事者は979人となっている。

◇       ◆     ◇

 都の職業データからは、全体としてはコロナ禍でも生活維持に欠かせないエッセンシャルワーカーの感染が多いことは伝わってくるが、〝見えない敵〟新型コロナをあぶり出す意味では大雑把すぎて実態は把握できていないのが欠点だ。職業分類表のように分類する必要はないだろうが、もう少し詳しく調べるべきではないか。以下、記者の感想。

 まず会社員。これは漠として捉えようがない。業種や内勤か外勤かなど勤務形態についても聞いていいのではないか。経営者や役員なども記載があっていい。

 無職は、10歳未満の51人を含め若年層から高齢者まで幅広く分布しているが、これももう少し詳しく調べるべきだろう。

 学生は、10代以上の人数を表にまとめたが、中学生や高校生なども含まれていると思われるので、大学生や専門学校生と区別すべき。

 その他、自営業、接客業、サービス業、アルバイト、パート職員もどのような職種なのかさっぱりわからない。これでは職業を調べる意図がまったく分からないではないか。

◇       ◆     ◇

医師感染表.png 医療従事者表.png

医師感染者グラフ.png 医療従事者グラフ.png

 医師と医療従事者の年代別・性別感染者の分布を表とグラフにまとめた。

 医師は、225人のうち約77%の人が男性で、医療従事者では、979人のうち約83%の811人が女性で、このうち20代と30代は512人で63%を占めている。

 このデータからも分かるのだが、他の職業を含めて新型コロナは社会的弱者に集中的に襲い掛かり、ジェンダー性差をいやというほどあぶり出している。

 菅総理は一都三県の緊急事態宣言発出について記者会見し、以下のように若い人向けに述べた。

 「さらに、若い方々にお伝えしたいことがあります。最近の1都3県における感染者の半分以上が30代以下の若者の皆さんです。こうした皆さんは、感染されても多くの場合、重い症状が出ることはありません。しかし、若い方々への感染が更なる感染拡大につながっているという現実があります。どうか皆さんの御両親や祖父母、御家庭、友人など、世代を超えて大切な命を守るために御自身のことと捉えていただいて、行動をお願いしたい、このように思います」

 これではやはり総理としての発信力はやや弱い。若い人の感染は確かに多いが、若い人たちの中には医療・介護従事者、接客業、サービス業、その他のエッセンシャルワーカーの感染が多いはずで、十把一絡げの物言いは若者の心に響かない。第2波のとき〝夜の街〟などと〝口撃〟したのと同様だ。小生はこのような時だからこそイソップ童話の〝北風と太陽〟が効果的ではないかと思う。 

新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超82021/1/9)

 


 

カテゴリ: 2020年度

不明者)う.png

不明者グラフ.png

 東京都の新型コロナ感染拡大が止まらない。1月7日に2,447人となり初めて2,000人台に乗せると8日は2,392人、9日は2,268人と3日連続して2,000人台を記録した。経路不明者は12月23日以降、18日連続して60%台で推移しており、保健所業務もパンク寸前になっているようだ。

◇       ◆     ◇

 東京都は10月から感染者の職業など属性をホームページで公表している。そこで10月1日から1月3日までの感染者36,858人の年代別・性別属性をオープンデータから調べた。以下、分かったことを紹介する。

 まず、オープンデータの職業欄が空白になっている職業不明者について。不明者は15,448人で、不明率は41.9%となっている。この間の感染経路不明率は50~60%台で推移していることと考え合わせると、感染経路不明者の多くは職業も不明であることをうかがわせる。

 職業不明者を性別・年代別で見ると、10代の28.6%と20代の38.8%を除く各年代で40%超えとなっている。

◇       ◆     ◇

 感染者の4割以上の人が自らの職業を明かさないということの意味をみんな考えないといけない。これは前後不覚の状態で病院に担ぎ込まれた人というよりは、むしろ保健所の聞き取り調査に応じない人が圧倒的に多いことをうかがわせる。

 調査に応じないのは、感染者の自宅に石が投げられたり落書きされたり、あるいは子どもの登所・登園を断られたりするなどコロナ自警団・警察が蔓延している背景があるからだが、自らの感染リスクにおびえながら必死で医療活動を行っている関係者のことを考えたら、これはいかにも不公平だ。

 いま政府は特措法の改正作業を進めており、事業者や法人の罰則を盛り込むようだが、保健所などの経路調査などに応じない感染者に対しても何らかの措置を講ずべきではないか。都もまた、感染者の職業や感染経路を明らかにすることがコロナ感染拡大を防ぐ重要なポイントであることを分かりやすく都民ら伝える必要がある。

 調査に協力的でない感染者に対しては、神奈川県のようなポイント制を導入したらどうか。調査に応じない人はマイナスポイントを付与し、治療に優先順位をつけたら、職業不明者は限りなくゼロになるはずだ。

新型コロナ感染者 職業の最多は「不明」35% 退院後の心のケア必要 都のデータ(2020/11/16)

 


 

カテゴリ: 2020年度

 昨日(7日)の新型コロナ感染症に関する菅総理の会見をテレビで視聴した。もっとも的を射た質問をされたのは「ドワンゴ、七尾さん」だと思った。質問が終わった段階でNHKは中継を打ち切った。首相官邸ホームページには全文が掲載されているので、そのまま紹介する。

(内閣広報官)

 それでは、内閣記者会以外の方の御質問も頂きたいと思います。では、ドワンゴ、七尾さん。

(記者)

 ドワンゴの七尾と申します。連日お疲れさまです。

 第1波のときなのですけれども、西浦教授を始めとする尾身先生ら脇田先生、専門家会議によるシミュレーション、接触8割減という具体的な数値目標を立て、これは奇跡的だと思うのですが、かなり実現できたと思います。

 それ以降、今日まで、東京都などの自治体発表による日々の感染者数等以外、大きく伝われているものはございません。国民が納得し、取り組むことができる一体感、これは大事だと尾身先生もおっしゃいましたけれども、今回では、かつてのような人流データ、あるいは企業等のテレワークの実施率、脇田先生のところで進められているゲノム分析など、こうした接触機会を減らすことにつながる様々なデータ、そして国民が一体感を持って目指すことのできる科学的な数値目標をアドバイザリーボードや分科会を始めとする、これまでの国内の科学的知見を総動員して、今後、政府の下で掲げる必要性についてお考えをお聞きします。お願いします。

(菅総理)

 まず、科学的な知見に基づいて対策の具体的な内容だとか指標を定めることが重要だというように政府も認識しています。これまでの専門家の皆さんの御議論の中で、ステージ3、ステージ4という、そういう指標をつくってきているところです。

 感染者数、病床使用率などについて、具体的な数値は定めさせていただいています。そのほか、感染状況を分析するための各地の人流、このデータも参考にしています。今後とも専門家の皆さんの知見を総動員しながら、その意見や評価を踏まえて政府としては対策はしっかり打っていきたい、そういう思いであります。

 具体的な数値目標については、科学的知見については尾身会長からお願いします。

(尾身会長)

 今の御質問は、多分2つあったと思いますけれども、1つ目のいろいろなデータを基に、それをしっかりと国民、一般の人にということですが、全くそのとおりで、我々も実は最近で言えば、多分御記憶が、分科会などの記者会見に参加していただいて、1つは人流の流れと、その感染の状況はどういうふうな関係があるかというのは随分分析をして、既に結果をまとめています。

 それから、いろいろな介入がありますよね。時短介入だとか、それから当時8月ぐらいの、このいわゆる重点的に、比較的、いわゆる飲食を伴う、そういうとこの検査をしたことによってどれだけ効果があったというのは既にお示ししている。それから若い、これはつい1か月ぐらい前で御記憶があるかと思いますけれども、この無症状者の人が、無意識に感染を起こしているという、これは無意識ですから責任はありません。このこともデータとして、そういう意味で、まだまだやるべきことがあって、さらにデータがあればこれからも発信していくつもりですけれども、そういうことだけは。

 あとは、目標という意味ですが、例えば今回のいろいろな解除についての目標とかということですけれども、これは数値の目標というものは一つの目安であって、それを総合的に判断しなくちゃいけない。なぜかといいますと、2つの理由があって、感染の状況というのを把握するのは数値だけではなくて、その他定性的な医療の体制の問題だとか、そういう我々は実態を知りたい、実態に近付くためには、感染者数だけあっても極めて部分的なこと、実態の部分的なことしか見られないということがまず一点です。

 もう一点は、仮に数を決めて、例えば解除するとか何か対応、いわゆる数値の感染者数が幾つということだけでやったときに何が起こるかというと、実は感染者の数はある程度合格したけれども、実際に医療の体制がまだ全く求められるレベルに行っていないということもあるので、そういう意味で、数をそれだけ、当然、目安としての数はもう示しているわけですよね。だけれども、それだけで判断するというのは、私は誤る、だから、数値も参考にして総合的に判断するということが極めて大事だと思っています。

◇      ◆     ◇

 小生は昨年の3月以降、東京都の新型コロナ感染症対策サイトが公表している感染者のオープンデータを入手し、リソースから年代別・性別感染者属性の推移を追い、その都度記事にしてきた。感染者を年代別・性別に分けることで、コロナは不公平な社会をあぶり出したと思う。

 データ収集でもっとも注目してきたのは経路不明比率だった。感染が少ない時も多い時も都の経路不明者は50%前後で推移しているのは、保健所が疲弊して追跡調査が行えなくなったことよりも、感染者側に事情があるのではないかという仮説を立て、「新型コロナ 感染経路不明者が減らない理由 〝闇社会〟〝二重就業〟も一因」(2020/5/11)という見出しの記事を書いたところ、アクセスが殺到した(1月8日現在アクセス数は約5.6万件)。

 「ドワンゴ、七尾さん」が「今日まで、東京都などの自治体発表による日々の感染者数等以外、大きく伝われているものはございません」と語ったのは正鵠を射るものだ。数値を生活者の視点で眺めれば、医療・介護従事者だけでなく、飲食店などで働く二重就労の問題にたどり着くのは容易なことだ。

 厚労省は感染者の数値を毎日公表している。アドバイザリーボードは実に詳細だ。しかし、その数値の意味するものについて分かりやすく国民に伝えているかとなるとはなはだ疑問だ。各都道府県のホームページも同様だ。

 1月7日現在、全国で約258,000人、東京都で約69,000人もの感染者がいるが、その具体的な情報は共有されているのか。今回の新型コロナでは疫学者の活躍が目立つが、先生方も正確な情報収集に苦労されているのではないか。

 国と自治体が正確なデータ収集と公表を怠った典型的な例は、Go Toキャンペーンだろう。東京都も対象になった10月の段階で感染者は減少を示す数値ではなかった。むしろ、北海道などの数値は明らかに〝東京経由〟の感染拡大であることをうかがわせていた。

 それでも国はキャンペーンを強行した。メデイアも煽った。10月半ばから都でも増加が目立ち始めたが、政府は一貫してキャンペーンと感染者の数値はエビデンスがなく、因果関係は分からないと言い張ってきた。そもそもキャンペーン利用者を追跡調査することなどはなから考えていなかったのだろう。

 今回の緊急事態宣言発出について、菅総理は「経路不明の大半は飲食」と語ったが、劇的な効果が果たして期待できるのか。

 飲食店を十把一絡げにして論じるべきではないと思う。例えばホテル。記者はこの10か月間ほとんど外食はしていないが、やむを得ないときは一番安全と思われるホテルやレストランを利用した。十分な感染対策を施し、利用者の追跡調査などを行っている飲食店は時短の対象外としてもいいのではないか。時短要請と追跡調査を一体として実施しないと、感染抑制は難しいような気がしてならない。

 経路調査でいえば、北海道に注目している。12月25日現在、北海道の経路不明率は28.2%で、全国平均の47.9%を大きく下回っている。

 これが感染者の減少とどのような関係があるのか分からないが(これこそ国民が一番知りたいこと)、感染経路がたどれているのは、厚生労働省のクラスター対策班の一員として北海道の第一波を早期に収束させた功労者といわれる西浦博・京都大学大学院教授(当時北海道大学教授)が説く「徹底してクラスターを叩く」ことを守っているからではないか。

カテゴリ: 2020年度
 

 

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン