「Torch Tower」のラグジュアリーホテル 三菱地所・東京センチュリー 共同で取得
「Torch Tower(トーチタワー)」
三菱地所と東京センチュリーは3月16日、新設特定目的会社を通じ東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区に2027年度竣工予定の63階建て「Torch Tower(トーチタワー)」のスーパーラグジュアリーホテルと2,000席級の大規模ホールを共同取得すると発表した。
ホテルは、57~61F部分に約100室の客室数を想定。地上300m超、東京都心を一望する圧巻の眺望を生かし、57Fのホテルロビー部分には緑と風に包まれる半屋外空間の丘を創出し、唯一無二の体験を演出するという。
大規模ホールは、2,000席級の収容人員を擁し、都心型MICEネットワークの核としての機能やライブエンターテインメントを通じた文化の発信拠点を目指す。屋上部分は日本橋方面を望む屋上庭園を整備する。
出資総額は560億円で、構成は三菱地所が66.665%、東京センチュリーが33.335%。
ポップでカラフルなアート「街の欠片」で有楽町をラッピング 三菱地所
有楽町ビル
三菱地所は3月18日(木)~5月9日(日)、有楽町と丸の内仲通りを中心とした計8か所のビル及び施設のガラスファサード部に、写真家・小山泰介氏が制作した約50点の有楽町を舞台とした新作からなる「INTERFACE_YURAKUCHO」を掲出する。
作品は、道路や壁といったもともと有楽町にあったオブジェクトがモチーフで、カラフルな街の“欠片”として最大幅約18mのビルエントランスをラッピングし、春の有楽町をポップに演出する。
同企画は、同社の「有楽町エリア再構築」に向けた先導プロジェクトの一つで、アーティストの目線から有楽町の風景を捉え直す「有楽町アートサイトプロジェクト」を実施中。第1弾として、新国際ビルの工事中の仮囲いを利用したアートウォールを展示している。「INTERFACE_YURAKUCHO」はその第2弾。
期間中、展示風景を3か所以上撮影し、有楽町microの店頭にスタッフに知らせた先着100名に、小山氏自らが作成した写真集(A4サイズ、フルカラー、24項)をプレゼントする。
新有楽町ビル イメージ
新国際ビル
国際ビル
中高年層の4割「70歳以降も働きたい」 資産格差もくっきり 三井リアルティ調査
三井不動産リアルティは3月16日、「中高年層の住みかえ等に関する調査」結果をまとめ発表。中高年層の約4割が70歳以降も働きたいと回答したほか、年齢を重ねるごとに家のサイズはコンパクトに、住環境は生活利便性を重視していることが分かった。また、住みかえ時の貯蓄額は約半数(51.8%)が2,000 万円未満で、資産格差の拡大も浮き彫りにした。
調査は、2021年4月1日に「高年齢者雇用安定法」が一部改正されることに伴い、中高年層のライフスタイルや住みかえの実態を明らかにするのが目的で「三井のリハウス」を通じて2015年4月1日以降に不動産を購入または売却した首都圏在住の45歳以上の顧客1,851名を対象に実施したもの。
「高年齢者雇用安定法」が一部改正されることに伴い、何歳まで働きたいかの問いには、退職(予定)年齢は「65歳」(33.9%)が最多で、「70歳」(24.9%)が続き、全体の約4割(40.2%)が「70歳以降も働きたい」と回答した。
老後の資産準備の状況については、退職(予定)年齢が65歳未満の人と70歳以上の人では、「十分準備している」がそれぞれ40.1%、21.3%と約2倍の差がつき、早期に退職予定(または退職済み)の人ほど十分に資産準備をしている人が多いことが分かった。
住みかえ理由は、全体では「より広い家に住みたかったため」(27.4%)がトップで、住みかえ時の年齢が65歳以上の人は1位:自身の高齢化による将来に対しての不安」(24.4%)、2位:子供や孫との同居または近居」(20.0%)、3位:バリアフリーの設備が整った住まいへの住みかえ」(19.3%)となり、自身のシニアライフをより意識した理由が上位に浮上し、年齢を重ねるにつれ、家のサイズはコンパクトに、住環境は生活利便性の高さを重視する傾向があることも分かった。
物件購入金額の平均は4,768万円で、中古マンションは3,951万円、中古戸建ては3,628万円、新築マンションは7,462万円、新築戸建ては5,960万円となっている。
住みかえ時に物件の資産価値(売却のしやすさ/値下がりのしにくさ)を意識したかの問いには、3分の2(65.9%)の人が「資産価値を意識した」と回答。
住みかえ時の貯蓄額は、平均3,336万円で、1,000万円未満(31.7%)と1,000万円以上2,000万円未満(20.1%)で約半数(51.8%)が2,000万円未満となった一方で、5,000万円以上も17.3%に達するなど資産格差の広がりも明らかになった。
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この種のアンケートは初めてではないか。興味深い結果となった。小生もそうだが、70歳を過ぎても働きたいと思っている人が多いのは当然だろう。浪費する金が有り余っている人はともかく、そうでない人は〝毎日が日曜日〟の人生など望んでいないだろう。
われら団塊世代以上の人は資産準備を怠っているという結果も納得だ。バブルを経験しているので、リゾートマンションの1戸や2戸が取得でき、お金は自然に湧き出るものと考えていた人は少なくないはずだ。小生なども株で儲かったお金は飲み食いに費消し、逆に借金が残った。
物件購入額は中古と新築で大きな差が出たのは、相場からして当然だろうが、お客さんも考えたほうがいい。
新築の基本性能・設備仕様レベルがどんどん低下し、価格だけが上昇していることを考えれば、今から10年くらい前に分譲されたマンションのほうがはるかにレベルは高いと思う。
「三井のリハウス」も「天井高2600ミリ以上」「フラットサッシ」「ワイドスパン」「無垢・突板仕様」「ユニバーサルデザイン」などの選択肢を設けて物件を検索できるようにしたらいいと思うのだが…。
曜日単位で契約できるシェアオフィス「WEEK NOGIZAKA」募集 サンフロンティア
「WEEK NOGIZAKA」
サンフロンティア不動産は3月15日、日本初となる曜日単位で契約できるシェアオフィス「WEEK」の第3弾「WEEK NOGIZAKA」の入居者を募集すると発表した。
「WEEKNOGIZAKA」は、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩1分、2021年3月31日に竣工する同社の新築オフィスビルプロジェクト「+SHIFT(プラスシフト)NOGIZAKA」の3階と7階の2フロア。規模は3階が14席/97.72㎡(29.56坪)、7階が12席/86.92㎡(26.29坪)。
住友不動産 大崎駅西口駅前の再開発事業に参画 35階建て延べ床面積約3.2ha
「大崎西口F南地区市街地再開発事業」
住友不動産は3月15日、大崎駅西口F南地区市街地再開発組合とともに品川区大崎三丁目地内(一部、二丁目地内)の「大崎西口F南地区市街地再開発事業」が東京都知事から組合設立認可を受け、3月14日に再開発組合を設立したと発表した。同社は参加組合員として事業に参画する。
同地区は、JR大崎駅西口の駅前に位置し、老朽化した小規模な木造住宅、集合住宅、店舗併用建物等が混在するエリアで、市街地再開発事業により都市基盤の整備、高度利用と都市機能の更新を図る。
事業地は、敷地面積約5,050㎡、建物は35階建て延べ床面積約32,850㎡。用途は住宅、事務所、店舗、保育所、公益施設、駐車場など。2025年竣工予定。総事業費は約320億円。
安否確認イベントに過去最多65%参加 三菱地所レジ・コミュニティ 津田沼「奏の杜」
オンライン防災訓練
安否確認参加に過去最高の65%参加-三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは3月14日、エリアマネジメント組織である一般社団法人奏の杜パートナーズと共同して津田沼「奏の杜」エリアで2,300世帯を対象とした6回目の防災訓練をオンラインで実施した。
午前9時に地震が発生したことを想定した安否確認イベントにマンション居住者721世帯のうち65%、467世帯が参加。熊本地震後に実施した訓練の時の64%を上回る過去最高を記録した。3時間以上にわたるオンライン防災訓練には230人を超える人が参加した。
中継司会を務めたフリーアナウンサー・奥村奈津美氏
安否確認の中継写真
階段避難中継
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記者は過去4度、この津田沼「奏の杜」の防災訓練を取材している。今回は、コロナ禍でオンライン形式となったが、東日本大震災から10年という節目の年であることも影響したのか、安否確認イベントに過去最高の65%の世帯が参加したのはすごい数字だ。
三菱地所レジデンス、三菱地所コミュニティもそうだか、エリアマネジメント組織、マンション管理組合の主体的な取り組みにエールを送りたい。
オンライン防災訓練に参加した人の中には関東大震災を経験した人が2%(全体回答者は200人を突破していたのではないか)いらっしゃったのに驚いた。
中継司会を務めたフリーアナウンサー・奥村奈津美氏は3.11のとき仙台のマンションで被災。ごみ屋敷のように散乱した部屋の様子を紹介し、電子レンジが宙を飛び、飢えと寒さとストレスで1か月に10キロ痩せたことなど生々しい体験談も語った。奥村氏は近く「子どもの命と未来を守る! 『防災』新常識 パパ、ママができる!!水害・地震への備え」(辰巳出版)を出版する。
2018年3月11日に行われた防災訓練
三菱地所 奏の杜で5回目の防災訓練 他社物件・戸建て含め過去最多の2300世帯対象(2019/3/10)
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)
保護実践、教育普及、子ども・学生3部門構成もいい 「日本自然保護大賞2021」視聴
左から保護実践、教育普及、子ども・学生部門大賞受賞(同協会ブレス・リリース)
公益財団法人日本自然保護協会が3月13日行った「日本自然保護大賞2021」授賞記念シンポジウムをオンライン配信で視聴した。大賞を受賞された皆さんの活動はみんな素晴らしい!保護実践部門、教育普及部門、子ども・学生部門の3部門構成という構成もいい。
同大賞は2014年、日本の自然保護と生物多様性の保全に大きく貢献した取り組みを表彰するため創設され、生物・生態系の研究、自然保護の実践、環境教育の推進などの優れた活動を表彰している。
7回目の今回は、129件の応募があり、審査の結果、保護実践部門は、熊本県・天草における47年間にわたる長期的かつ総合的な自然環境保全活動を行っている吉崎和美氏が、教育普及部門は、滋賀県に拠点を持つ企業8社の連携によるによる生物多様性びわ湖ネットワーク活動「トンボ100大作戦~滋賀のトンボを救え!」が、子ども・学生部門は、兵庫県相生市の小学生兄弟によるカニの観察活動がそれぞれ大賞を受賞した。このほか、特別賞として3件が受賞した。
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大賞を受賞された皆さんの活動はみんな素晴らしい。吉崎さんは、調査研究・実践年数からして70歳近いのではないか。天草の生物多様性を守るため干拓事業をやめさせた実績があるそうだ。プレゼンの最後に「これ以上の環境の衰退を止めないといけない。人間の食べ物は全て自然から得ている。人工でコントロールはできない」と締めくくったのには胸が打たれた。視聴者の「先生のスーツ姿を初めて見た」というメッセージから普段の活動ぶりがよく理解できた。
生物多様性びわ湖ネットワーク活動は、旭化成ホームズのプレス・リリースで知ったのだが、皆さんは普段はしっかり仕事もされているはずで、企業連携だけでも難しいのに地域や専門家などを巻き込んでいるのが素晴らしい。頭が下がる。この種のSDGsの取り組みは企業価値を測る物差しになるはずだ。それにしてもわが国のトンボの種類200種のうち滋賀県に100種が生息(活動で78種を確認済みとか)するとは驚きだ。
審査員のイルカさんも絶賛したが、相生市の小学生兄弟のプレゼンが最高に面白かった。独自の6年間の調査・観察で22科75種のカニを確認したという。「どの本にも載っていない、カニの息遣いを伝えたい」という執念・姿勢に脱帽だ。カニはすっぱいものが嫌いで、チョコレートや甘口カレーのルーをよく食べるとか、カニの毛はドライヤーで乾かそうとしてもなかなか乾かないとか、ウンコは匂わないなどの驚きの報告もあった。
二人はカニカマが大好きだが、カニは食べないと話したのには笑ってしまった。酒のつまみに最高のカニみそを知らないのは分からないでもないが、小生の小さいころは、モズクガニが面白いように獲れたし、やはりカニみそがとてもおいしかったのを思い出す。ご兄弟!そんなにカニを愛するのなら、しっかり食べてやるのもカニのためだとおじさんは思うがどうだろう。
来年の大賞表彰式が楽しみだ。
続・恥ずべき素人記事を許す編集・経営の問題 記者は御用評論家に頼るべきではない
昨夜の週刊住宅に関する記事は怒りに任せて書いた。Webにアップしたとき、ちょっとやりすぎと思わないではなかったが、一夜明けても怒りは収まらない。むしろ逆だ。今後のことを考えるともう一度整理して書くべきという結論に達した。いくつか問題点を指摘する。
一つは、このような記事をよしとする同紙の編集部・経営の問題だ。記事を事前にチェックすれば、プロの読者を満足させる内容でないことはすぐわかるはずだ。週刊紙だから取材の目的を明確にし、どこにどのように取材すればいいか、書く担当者が素人であっても指示できた時間的なゆとりはあったはずだ。
同紙は、前社長の急死をきっかけに破綻し、その後、再刊を望む支援者の出資で復活したことはみんな知っている。その支援者に報いるためにも、旧に倍する努力でもってオピニオンペーパーの役割を果たすべきではないか。残念ながら、貴紙にはその姿勢が欠けているように思えてならない。
もう一つ、素人記者は無知であることを恥じるどころか居直って、あろうことか現時点で最高レベルの野村不動産「プラウドタワー亀戸クロス」を俎上に上げ、そのレベルの高さには一切口をつぐんでいることが許せない。
小生は、野村不動産が昨年2月、代表取締役社長・宮嶋誠一氏(4月1日付で副会長に就任予定)と取締役兼専務執行役員・松尾大作氏(同じく社長に就任予定)も出席して記者発表会を行ったときも、昨年末も同物件が最高レベルであることを書いた。
その商品企画レベルは、省エネ性と居住性能を飛躍的に高める全館空調(床快full)、間取りの可変性を実現した「Mi-liful(ミライフル)」、断熱性能の高い樹脂サッシとLow-Eガラス、電気室への浸水を防ぐ止水扉など他社の追随を許さない。大げさに言えばマンションの歴史を塗り替えた記念碑的なマンションだ。
そんなマンションなのに、週刊住宅の記事によれば、地元業者は他の物件と十把一絡げにして「そこそこの売れ行き」とみているようだ。亀戸のポテンシャルを引き上げるためにも、この誤解を解くべきだ。「亀戸」で坪単価350万円は確かに高いと思う。第一次取得層の取得限界を超えている。それがゆえに「そこそこ」であったとしても、もう一度しっかりと物件特性を伝えるべきだ。
そこでお願いだ。この記者をモデルルームに呼んで、レクチャーしていただきたい。本人は「定点観測を続けたい」と言っているではないか。ここでしっかり「最高レベル」マンションとはどのようなものなのか認知させることは、今後続々供給される御社の城東エリアの再開発マンションにもつながるだろうし、デベロッパーは記者を育てる役割を担っているはずだ。
記者の方にも再度言いたい。昨日はかなり辛辣なことを書いた。二度と立ち直れなくなったらどうしようかという心配もないわけではないが、これしきのことでへこたれるようではそもそも記者になる資格がない。人は過ちを犯すものだ。今回の蹉跌を糧に一流の業界紙記者を目指してほしい。
そのためには、昨日も書いたが評論家などの言葉を信じないことだ。小生は業界紙の記者になってからすぐ、この業界には〝評論家〟と呼べる人は、故・佐藤美紀雄氏(2005年9月17日死去)しかいないことを知った。佐藤氏の死後も佐藤氏を超える〝評論家〟は一人も出現していない。〝御用評論家〟ばかりだ。
そんな人たちに頼らず、ジャーナリストとして自立の道を歩んでいただきたい。
いい加減にしろ 野村不「亀戸」を知らず、地元の賃貸業者に取材する週刊住宅記者
わが業界紙のひどい記事については再三再四その都度指摘してきたが、「週刊住宅」3月8日号の「都内城東マンション市況/好調の波、来ている/地元業者「錦糸町は活況」、亀戸で大型タワー建設工事進む」の長ったらしい見出しの記事には悲しいやら情けないやら腹が立つやら…。そうでなくてもコロナ禍でストレスは爆発寸前なのに、いい加減にしろといいたい。編集部のチェック機能はどうなっているのだ。
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この週刊住宅記者は、「本紙で連載を持つ櫻井幸雄氏が21年2月15日、ダイヤモンド不動産研究所(ダイヤモンド社)で東京・城東エリアにおける新築マンション市況に関する記事寄せている」(そのまま。意味不明)と書き起こし、「櫻井氏の記事を読んで亀戸に興味を覚えた。私事で恐縮だが、江東区で生まれて育った。そのため亀戸は小さいころから馴染みがある。そこで亀戸に足を運び、地元の不動産業者を訪ねてみた。亀戸は新築マンションで賑わっているのか、実際に取材して話を聞いてみようと思ったのだ」と取材の目的を明かしたうえで、本文でいきなり「JR亀戸駅のそばで大規模なマンションが建築中であった。マンション名は『プラウドタワー亀戸クロス』、価格は未定」と書いている。
冗談にも程がある。貴殿、あるいは貴女はそれでも業界紙の記者か。「プラウドタワー亀戸クロス」を知らないのは記者として失格。もぐり同然だ。野村不動産に聞けば、これまでの販売状況などについて教えてもらえるはずだ。これを怠って、どうして何も知らないはずの街の不動産業者(失礼)にアポなしで飛び込み取材を敢行するのか。相手だって迷惑だ。コロナに罹ったらどうするのだ。
案の定、その業者には「うーん、どうだろうな。新築マンションが売れているという話も聞くけど、ウチは賃貸中心だから、よくわからないな」と言われ、その後も2軒回って大した成果は得られなかったようだ。
当たり前だ。素人同然の記者が、同じ不動産業者とはいえ業態がまるで異なる業者に取材して成果が得られるはずがないではないか。
それでも懲りないこの記者の方は「亀戸を根城に定点観測を続けてみたい」と結ぶ。やめたほうがいい。マンションの「マ」の字を知らなくて、地元業者を百回だろうと千回だろうと回ってもプロの読者に読んでもらえるような記事ネタは一つもつかめないだろう。そんな記事ばかり書いていたら、根城どころか、生計を維持するための「塒」(ねぐら)すら確保することはできないだろう。(どこかにどっぷり住みついていたらご同慶の至りだ)
それより、どこでもいい(とはいえプラウドは欠かせないが)。デベロッパーに頼んで週に2~3件くらい現場を回れば、1年後にはマンション専門記者に育つかもしれない。記者の仕事を甘く見てはいけない。
もう一つアドバイス。評論家だろうが何とか不動産研究所だろうが、人のしゃべることや書いたものは疑ってかかるべきだ。自らが現場に赴いてしっかり確認することが記者の基本だ。この基本を忘れると、それこそ「か・ち・も・な・い」=「価値もない」記事を垂れ流すことになる。
参考までに小生の「プラウドタワー亀戸クロス」に関する記事を添付する。異論反論があるなら指摘していただきたい。
全て読んだわけではないが、同紙の他の記事では、中身が何もない住宅リフォーム市場記事もひどく、3.11に関する記事も各社のあれやこれやの取り組みやオンラインによるインタビュー記事でお茶を濁している。
3.11に関する記事は、住宅新報も1面で三井不動産の「わたす日本橋」の取り組みを紹介している。補足取材も行ったようで「週刊住宅」よりはましだが、これもまたプレス・リリースが基本だ。記事の中には「三井不動産の社員が足で稼いだ食材や物品を販売」「現地へ出向くことに大きな意義がある」とあるではないか。
コロナ禍で現場取材は難しいのだろうが、心を揺り動かすような現地からのレポート記事は書けないのか。〝記事は足で書く〟-小生は耳にタコができるほど聞かされた言葉だ。
昨日道端で摘んだ草花。黄色の花の名前が1時間調べたのに分からない。誰か教えて(紫の花はムラサキナバナ)
南三陸町産の杉材のえも言われぬ香りに感動 三井不動産「わたす日本橋」(2021/3/11)
価格上昇・専有圧縮 質の低下…マンション市場データは消費者目線欠落していないか(2021/3/3)
南三陸町産の杉材のえも言われぬ香りに感動 三井不動産「わたす日本橋」
「わたす日本橋」内観(日本橋三井タワー2階)
東日本大震災から10年のこの日3月11日、三井不動産が先日プレオープンした東北の情報発信・交流拠点「わたす日本橋」を見学した。「日本橋三井タワー」の2階にある約246㎡の店内は、宮城県南三陸町産の杉材が壁や天井、椅子、テーブル、カウンター、収納扉、ドア、その他建具・家具に至るまで張り巡らされており、杉独特の得も言われぬ香りが鼻孔を満たし、心にしみわたった。素晴らしい施設が新たに誕生した。
「わたす日本橋」は、東日本大震災後に社員が個人で取り組んでいた南三陸町でのボランティア活動を契機とし、2015年から同社の事業と位置づけて活動しているもので、「日本橋から、未来へ、わたそう。世界中へ、笑顔を、わたそう。」をキャッチフレーズに、国内外で活動を続けてきた。これまで約10万人の来場者を集めている。
開設から6年目を迎えた今年、施設を日本橋三井タワーに移転・グレードアップし、地元の食材・お菓子などの販売のほか、東北の生産者から仕入れた食材を用いた「わたすダイニング&パル」、東北に関する本を読める「わたすライブラリー」、最大12名で利用できる「わたすプライベートルーム」、多彩なイベントも可能な「わたすLOOP」を備えている。
店舗の内装工事では、天井・壁・建具・カウンター・化粧梁・パネルなど店舗の92%の木材にFSC認証材を使用し、デベロッパーとしては初めて2020年に「FSCプロジェクト認証」を取得している。
移転新装オープンに際して、南三陸町長・佐藤仁氏は「『わたす日本橋』では南三陸産の食材を提供していただいたり、町内の中学校と交流していただいたりと、これまでお付き合いが続いていることに感謝しています。私にとって『わたす日本橋』は、南三陸町で出会った方々と東京で再会できる、大切な拠点でもあります。南三陸杉の香りに包まれた心やすらぐ空間で、おいしい料理を食べながら、人が出会い、つながる。新店舗でもそのような素敵な時間を過ごすことを、楽しみにしています」とコメントを寄せている。
また、三井不動産代表取締役副社長執行役員・北原義一氏は、「東日本大震災から10 年を迎えて南三陸町の人達との出会い。皆例外なくいい顔、いい笑顔。あんなに過酷な体験したのに、どうして? 応援に行ったつもりの私たちが、逆に元気や勇気をもらった。他人の悲しみや苦しみを自分のこととして受け止め、一緒に泣き笑い、解決したときには喜びを分かち合う。極限の状況の中、人として皆で手を携えて、前を向いて生き抜いていくことの圧倒的な迫力を目の当たりにした。南三陸の人たちから心と体で教わった『優しさ』『思いやり』『絆』『助け合い』『慈愛』『自己犠牲』そういったたくさんの人の気持ちが、一杯に詰まった宝石箱として「わたす日本橋」をこれからも大切に育んでいきたい。そして、Covid-19、大震災、台風等々激甚自然災害が襲いかかってきても、毅然として立ち向かえる大人であり続けたい。未来を背負って立つ子供達の笑顔のために」とコメントしている。
「わたす日本橋」外観(隣は千疋屋本店)
「わたすダイニング&パル」
東北載淑材 イメージ
わたすライブラリー
建具・家具・壁・天井も杉材
カウンター
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同社の木材を用いた建築物では2019年にオープンした「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」に感動したが、今回の「わたす日本橋」はまた違った感動を覚えた。同社の本丸の一等地のど真ん中に移転したことに意味がある。
床は国産産材ではなくオーク材だと思うが、その他は南三陸材をふんだんに用いている。しかも節などほとんどない立派なものだ(節はまた美しいのだが)。これほど本物の杉材を用いた店舗はそうないはずだ。
残念ながら、コロナの影響で飲食は不可で、大好きな蠣や酒、ワインなども楽しめなかったが、コロナが収束したら必ず利用することを決めた。コース料理でも4,000円と安い。
スタッフには東北出身の人が何人か勤めており、そのうちの一人のサービスマネージャー・長野優大氏に話を聞いた。長野氏は次のように語った。
「わたしが二十歳の時。専門学校の卒業式を終え、実家の青森市に帰省中で、久々に会った友人と会食をしていると、強い揺れを感じ、すぐ停電しました。ただ事ではないと思い、宮城などにも友人がいたので、安否確認をしました。仙台空港にいた友人はすぐに避難して無事でした。停電は翌日の夕方まで続きました。今年で10周年を迎え、新たに震災のことは認知されると思いますが、まだ家に帰れない人がたくさんいる(約4.1万人)。このような東北の情報を発信する拠点があることを知り、私も力になりたいと就職しました」
長野氏
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うれしかったのは他にもある。プレス・リリースの最後に同社のSDGsへの貢献について紹介しているのだが、今回の取り組みは
目標2 飢餓をゼロに
目標4 質の高い教育をみんなに
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標14 海の豊かさを守ろう
目標15 陸の豊かさも守ろう
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
と具体的に項目を示していることだった。特に「人や国の不平等をなくそう」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」というのがいい。
各社のプレス・リリースをすべてチェックしているわけではないが、このように項目を明示しているのは少ないはずだ。取り組みの一つひとつをこのように目的意識的に発信しないと受け手には伝わらない。
3.11から10年 人口減少幅 拡大と縮小が拮抗 太平洋岸39市町村の人口動態(2021/3/7)
コロナ禍貧困、飢餓、健康福祉、不平等解消などSDGs達成の妨げにPR総研調査(2021/2/27)