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「ルジェンテ・リベル氷川台」完成予想図

 東急リバブルのリノベーションマンション「L'GENTE LIBER」首都圏第一号「ルジェンテ・リベル氷川台」のモデルルームを見学した。内装はパット見た目では新築と同様で、異なるのはサッシと水回りの段差ぐらい。新築より坪単価は30万円ぐらい安いはずで、ユーザーがどんな反応を見せるか。分譲開始は2014年1月11日から。

 物件は、東京メトロ有楽町線・副都心線氷川台駅から徒歩2分、練馬区氷川台三丁目に位置する全24戸の規模。専有面積は46.00~92.00㎡。価格は未定。建物は昭和61年10月に完成。共用部分のリノベーションは平成25年12月。施工は内野工務店。改修工事は東急ホームズ。

 昭和61年に建築された賃貸マンションの共用部分と空き住戸の専有部分に大規模改修工事を施し、区分所有マンションとして販売する一棟リノベーションマンション。現在賃貸中の住戸については賃貸住宅として運用しながら、随時、空室化した専有部分のリノベーションを実施し販売する。

 共用部分はエントランスにオートロック機能付自動ドアや防犯カメラ等を設置したほか、配管の更新、玄関ドアディンプルキーへの変更、インターロッキング外装タイルの修繕、スロープの設置も行った。

 モデルルームは、同社の女性一級建築士が監修。若いDINKS層をイメージし、ほとんどすべての機器を更新した。玄関ドアは古いままだが、最新のドアに取り換える予定。

 「L'GENTE LIBER」シリーズは、関西圏で本年5月に販売を開始した「ルジェンテ・リベル宝塚千種(兵庫県宝塚市)」の実績がある。今後も首都圏・関西圏を中心に事業を拡大していく。

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 リノベーションは全員参加型の事業になってきた。それだけ選択の幅が広がるのだから結構なことだ。今回のマンションも価格は未定だが、坪単価は200万円を切る模様で、20坪程度の新築マンションと比べると600万円ぐらいは安くなるはずだ。構造躯体はいじっていないので天井高が約2400ミリとやや低く、洗面、トイレの段差も従前よりは低くなってはいるが、5センチぐらいはあるのはやむをえない。設備機器はお客さんの要望によって臨機応変に対応するとのことだった。

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エントランス(左)とリビング

カテゴリ: 2013年度

 三菱地所レジデンスは12月19日、マンションの各住戸のエネルギー消費量をコスト(燃費・円)に置き換えて「見える化」した冊子「マンション家計簿」を今後首都圏で販売する全ての新築マンション購入検討者に配布すると発表した。

 同社が分譲するマンションブランド「ザ・パークハウス」の環境性能を伝えるとともに、暮らしにおける省エネ行動を喚起することが目的。グループ会社のメックecoライフが開発した。

 冊子では、冷暖房費だけでなく、家電製品や給湯・建物の維持管理に至るエネルギー消費量をシミュレーションし、これをわかりやすいコスト(燃費・円)に置き換えて見える化を図ったもの。

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 同社に限らずエネルギーの見える化に各社は積極的に取り組んでいるが、記者はこれだけでは不十分だと思っている。単に電気やガスの消費量の見える化だけでなく、日常生活におけるすべての二酸化炭素(CO2)排出量を「見える化」「見せる化」しなければならない。

 ガソリンから上下水道、生ごみ、食品、酒・たばこ、耐久消費財、旅行・レジャー、医療、交通移動手段などすべての消費財・サービスも含めてCO2の排出量を提供できるようにし、低炭素社会を構築すべきだ。

 どこが真っ先に日常生活におけるCO2排出量の「見える化」を始めるか期待しているのだが…。

カテゴリ: 2013年度

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「サーパス府中セントマークス」完成予想図
 

 大京は12月20日、今年4月に大京グループに入った穴吹工務店がJX日鉱日石不動産と共同事業主になっている「サーパス府中セントマークス」の販売代理となり来年1月に分譲開始すると発表した。大京が穴吹工務店の物件を販売代理するのは初めて。

 物件は、京王線府中駅から徒歩6分、府中市宮西町4丁目の商業地に位置する11階建て全30戸。専有面積は54.88~70.19㎡、価格は未定。竣工予定は2014年2月。設計・施工・監理は穴吹工務店。

 再開発が進む府中駅南口の商業地の外れに位置し、東側、西側が道路に面しており、南・南西側は比較的低い建物が建っているのが特徴。

 プランは1フロア3住戸構成で内廊下方式。二重床・二重天井、食洗機、エコガラス、ソフトクローズ機能付き引き戸を採用し、借り上げ保証システム付き。

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 2007年には5,037戸のマンションを供給して全国一になった穴吹工務店だが、リーマンショック後に内紛が勃発し、2009年11月に会社更生法を申請。その後、再生計画が終結したのに伴い、大京が全株式を取得し100%子会社となった。

 同社のマンションを見学するのは数年前に千葉県で見学して以来だ。その時は、同社広報に「何? RBA? 知らないね」のそっけない対応をされ記事にはできなかった。間もなくして同社は会社更生法を申請した。ほころびというものはどこかに出るものだとつくづく思った。

 供給トップはともかく、大京と連携すればどこにも負けない商品を供給できると思うので、思い切って商品企画などについて書く。

 価格は発表されなかったが、坪単価は220万円ぐらいに落ち着く模様だ。極めてリーズナブルな価格だろうと思う。かつて府中駅周辺の商業地エリアでは大量のマンションが供給され、右も左も北も南もマンションだらけになったが、このエリアは商業地の外れだけに一定の住環境は担保されそうなので、単身者やDINKSに向いているのではないか。

 商品企画については、引き戸を多用しているのはいい。数年前に見学したマンションもソフトクローズ機能がついており、今回のマンションは戸当たり部分も〝パタン〟という音が出たり跳ね返ったりしないよう工夫されていた。ドアは徳島県小松島市のニホンフラッシュ製だという。

 ただ、立地を考えれば、65㎡台と70㎡の3LDKは2LDKにして収納を増やすとか居室を広くしたほうがDINKSにアピールできたのではないか。徹底したターゲットを絞り込むことも物件によっては必要だ。

 もう一つ。もっと力を入れてほしいのはデザイン・意匠・設備仕様だ。首都圏の高単価エリアで今回のようなデザイン・設備仕様では互角に戦えない。〝素敵〟と思えるものを盛り込むべきだろう。同社に限らず中堅デベロッパーは価格を抑えるためだろうが、デザイン・意匠に力を入れない傾向がみられる。記者は逆だと思う。

カテゴリ: 2013年度

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「ウェリスつくば研究学園テラス」完成予想図

 NTT都市開発の「ウェリスつくば研究学園テラス」が人気を集めている。12月14日(土)に登録申し込みが締め切られるが、当日昼の段階で47戸に申し込みが入っている。〝エコタウン〟がテーマで、単価の安いのも特徴だ。

 物件は、つくばエクスプレス研究学園駅から徒歩12分、茨城県つくば市東平塚字西原の区画聖地内に位置する8階建て全86戸の規模。1期(50戸)の価格は2,498万〜4,298万円(最多価格帯2,900万円台)、専有面積は76.20〜104.51㎡。坪単価は122万円。竣工予定は平成26年7月下旬。販売代理はフージャースコーポレーション。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、開発面積約484.7haというつくばEX沿線最大規模の「研究学園葛城地区」の一角C43街区にあり、敷地南側は台一種低層住居専用地域。C43街区は総面積約9.3haで、計画戸数約500戸の戸建て・マンションエリア。国交省の平成24年度「まち・住まい・交通の創エネルギー化モデル構築支援事業」にも選定されている。「つくば環境スタイルSMILe」(コミュニティエコライフ、モビリティ・交通、最先端技術、環境教育・実践)の具現化を目指し、同社と大和ハウス工業、つくば市が協定を結び、地域住民とともにエコタウンづくりに取り組むことになっている。電気の一括受電システム、MEMSのほか家庭菜園も設置する。

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 分譲単価を聞いて驚いた。122万円という水準は3年前に、三交不動産が「羽村」で分譲し人気になったのを見学して以来だ。施工は同じ長谷工コーポレーションだった。

 設備仕様も単価からすると水準以上だ。この単価の安さで一定の水準を確保できるのは長谷工コーポレーションだからできることだ。リーマン・ショック後に同社施工ではない坪単価100万円ぐらいの新築物件を千葉県や茨城県で見学したことがあるが、設備仕様は最低だった。あまりひどいので記事にしなかった。

 NTT都市開発もゼネコンに丸投げするようなことはしていない。同社は独自の「WELLITH CODE(ウェリスコード)」を策定し、「安全安心」「環境創造」「快適な生活空間」など、6つの分野で50項目を超えるこだわりや細かな工夫を施している。

カテゴリ: 2013年度

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「シティテラス加賀」

 住友不動産は12月10日、桜並木の景観が美しい石神井川のほとりの板橋区加賀一丁目に位置する大規模マンション「シティテラス加賀」(全385 戸)が竣工したのに伴い報道陣向けに内覧会を行なった。

 物件は、都営三田線板橋区役所前駅から徒歩9 分、板橋区加賀一丁目に位置する15階建て全385戸の規模。専有面積は54.00~84.00㎡。竣工は平成25 年12 月。設計・施工は西松建設。これまで197戸を供給し、174戸が販売済み。販売済みの価格は3,790 万~6,590 万円。坪単価230万円弱。

 物件名にも冠されている「加賀」は、江戸時代に約21 万坪の広大な加賀前田家の下屋敷があったことに由来する地名で、区内では住宅地として人気の高いエリアとして知られる。敷地の北側には桜並木が美しい石神井川が流れる。「加賀一丁目」では過去最大規模のマンション。

 建物の外壁の一部にガラスカーテンウォールを採用し、5階までは奥行き2.7~3mのバルコニー、スカイラインを形成する最上階はティアラを模した全面ガラスバルコニーにするなど階層によって外観に変化を持たせ、マリオンによる分節手法を用いて深みのある意匠を施し手居るのが特徴。また、外廊下に空調室外機などを収納する木目調ルーバーデザインの「格納スペース」を設置し、パイプシャフトをルーバーで隠すなどディテールにもこだわっている。

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左から外廊下の収納スペース、内から見たパイプシャフト、外から見たルーバーつき化粧柱

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 同社が昨年行なった港北ニュータウンのマンション見学会では意匠にこだわった同社の商品企画に驚いたが、今回はそれ以上だった。同社製品企画室シニアエンジニア・山田武仁氏が見学予定の1時間を40分も上回る熱のこもった〝独演会〟を演じ、寒さを吹き飛ばしたからだ。

 まず、こう切り出した。「なぜわれわれは製品企画室と呼ぶか。それはデベロッパーはメーカーと同じ。いかに差別化を図り、素材(土地)に付加価値をつけるかを考えている」と。

 さらに続けて「われわれはお客さんにお見合い写真のような完成予想図を提示するが、それより完成した実物のほうがいいと分かってもらい、さらに住んでみたらもっといいと思ってもらえるような建物をつくりたい」「品よく際立つシンボルが目標」「3階から見る桜並木はピンクの絨毯を敷いたような景色となる」「桜並木を背景に仲のいい夫婦が記念写真を撮るのもいい」「友人から羨望が混じったお祝いの言葉をかけられるデザインにした」「正面もいいが裏から見ても美しいマンション」光が入らないエレベータホールにはベンジャミンの高木を配し、マンションの内側にも自然を取り込んだ」「夜と昼の顔が反転するライティングも施した」「設計図書がぼろぼろになるぐらい、100回以上のディテールの見直しを行なった」などと約1時間にわたり〝山田節〟を展開した。

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左が奥行き2.7~3mのバルコニー、右がエレベータホール前のベンジャミンのシンボルツリー

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 いまマンション業界では、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、野村不動産がかつてないほどブランディングに力を入れている。一方の住友不動産が行なう見学会はせいぜい年間に2~3程度で〝わが道を行く〟の独自路線を歩んできた。

 この図式が一変した。同社はこの数カ月の間に「高田馬場」「武蔵小杉」「晴海2丁目」と3回も立て続けに見学会を行い、戸建ての「青山モデルハウス」を含めると今回で5回目だ。報道陣の数も「武蔵小杉」「晴海2丁目」では40~50人ぐらい集まったように、他を圧している。

 そして山田氏の登場だ。山田氏は青山モデルハウスの見学会でも話したが、とにかく熱い。つくり手の企画意図がストレートに伝わってくる。商品企画の〝宣伝マン〟として最適だ。この日も、最初の商品説明が15分で打ち切られたとき、「まだ1時間ぐらい話したい」とつぶやいたほどだ。同社のマンション・戸建てのイメージを一変させるのではないか。かつては山田氏のような会社の顔になる〝名物男〟がたくさんいた。

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〝住友の顔〟になりそうな山田氏

カテゴリ: 2013年度

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「ヴェレーナ稲毛」完成予想図

 日本綜合地所のマンション「ヴェレーナ稲毛」を見学した。価格は未定だが、第1期1次予定販売住戸の坪単価は地上権付きであるため120万円台となる模様で、圧倒的な安さがある。

 物件は、JR総武線稲毛駅から徒歩12分、または京成千葉線京成稲毛駅から徒歩3分、千葉市稲毛区稲毛3丁目に位置する7階建て77戸の規模。専有面積は68.97㎡~78.75㎡。第1期1次販売予定住戸の予定価格帯は70㎡超で2,500万円台~2,900万円台になる模様。竣工予定は2015年2月下旬予定。施工は大木建設。月額地代は5,780円~6,600円の予定。

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 最大の特徴は、地上権マンションであるため一般的な所有権マンションと比較して価格が圧倒的に安いことだ。土地の固定資産税・都市計画税の負担がない代わりに地代を支払うが、坪単価はかなり安い。建築費の上昇が続いている今では、それこそ〝土地代がタダ〟のマンションだ。

 一般の方は、これから分譲されるマンションはどんな遠隔地のマンションであれ坪単価は130万円以下ではまず分譲されないことを覚悟すべきだろう。仮に分譲されたら、基本性能・設備仕様などは最低クラスと考えたほうがいい。

 ところが、設備仕様も水準以上だ。食洗機、ミストサウナ、床暖房、活水器などが標準装備で、MEMS(マンションエネルギーマネジメントシステム)の導入により経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業」に認定される予定だ。キッチンの天板は御影石。ルーフバルコニーにはスロップシンクも付いている。

 現地は第一種住居地域で、周囲は戸建ての街並みが広がり、小学校は徒歩2分。車の通りも少なく、子育て環境に適している。

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 1階住戸には同社オリジナルの「オープンエアリビング」や「プライベートガーデン」、「プライベートパーキング」などがついている。

 記者は、「オープンエアリビング」の全開口サッシを見て、同社関係者らに「皆さんは、この全開口サッシを御社が採用して、マンションの値付けに革命を起こしたのをご存知か。南武線の物件だった」と話したら、何とマンション販売の責任者の三浦氏が「入社したのが1999年で、最初に担当したマンションが全開口サッシを採用した『グランシティ中野島』でした」と答えたのだ。

 それまで、低層マンションはともかく、中高層マンションでは1階住戸がもっとも安く価格設定されていた。言うまでもなく売りづらいからだ。しかし、同社が全開口サッシを採用し、1階の専用庭などと一体利用できるようにして1階住戸の価値を高めた結果、中層階と同じ価格帯に設定しても売れることを実証した。

 この全開口サッシの採用が、その後の「オープンエアリビング」「オープンエアスペース」「オープンエアリビングバルコニー」の開発につながっていった。

 14年前に目にした「オープンエアリビング」が、時を経て今回の物件にも採用されており、同じ営業マンが販売を担当する。何かの縁だろうか。

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オープンエアリビングと専用庭(完成予想図)

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」のモデルルームを見学して

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」全体外観

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社が12月7日から分譲を開始する横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)もモデルルームを見学した。

 千代田化工建設の本社・研究所跡地を再開発するもので、周辺にある企業や大学と協力して工場見学、スポーツ観戦、さらには子どもからシニアまで幅広い世代交流ができるプログラムが計画されているマンションだ。

 今回のマンションに限ったことではないが、高さが7階建てに制限されていることについて触れたい。

 横浜市では現在、地区計画や市街地環境設計制度などで緩和許可を受けたものを除きほぼ全域に用途地域や容積率によって建物の絶対高さが第1種高度地区から第7種高度地区まで7段階わたって規制されている。第1種が10m、第2種が12m、第3種が15m、第4種から第6種が20m(斜線制限もあり)、第7種が31mだ。

 今回のマンションが建つエリアは順工業地域で、高さ制限は20mなので7階建てになっている。

 この数値でも分かるように、10-15-20と5ないし10m刻みで規制がかけられている。31mというのは100尺(1尺は約30.3cm)で、尺貫法を用いていた時代の名残だ。つまり旧来の尺貫法をmに置き換えただけで、10mも20mも根拠はあいまいだ。

 記者は以前からこの建物の絶対高さ規制には反対してきた。建物は機能とともに美しさも大事だと思う。機能面で言えば、居住性能を考えれば階高は3mぐらい必要だし、最近では3.4mぐらい確保したマンションもある。つまり、高さ規制は3~3.3m刻みで行なうべきだし、居住性能の高いものについては、日影規制もあるだろうが、さらに高さ規制を緩和すべきだと思う。

 したがってこの20m規制は住宅のレベルを押し下げるものとして機能する。さらに言えば、戸数を抑制することから地価を押し下げるとともに、その逆に規制内で最大の利益を追求するならば分譲価格を絶えず押し上げる要因としても働く。

 美しさはどうか。建物のスカイラインが一定なのは美しいともいえるし、そうでもないといえる。難しい問題だ。街並みから突出したスカイツリーは本当に美しいのか、山頂に突き出た大仏像は美しいか。近くで見るのと遠くから眺めるのとではまた違ってくる。建物の高さと景観美は重要な要素ではあるが、絶対的な相関関係はないと思う。

 今回のマンションで言えば、高さ規制を守り、容積率をこなすため単調な板状の外壁が建ち並ぶことになる。それよりも、高さ規制を緩和して、公開空地、緑地を十分確保したほうが街並みとしては美しくなると確信する。

 建築物の高さ規制は居住性能と街並み景観の視点からもう一度見直すべきだと思う。

大成有楽不動産他「オーベルグランディオ横浜鶴見」販売開始へ(2013/12/5)

絶対高さ制限の背景にある100尺規制とは(2008/6/10)

 

カテゴリ: 2013年度

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」完成予想図

 大成有楽不動産、京浜急行電鉄、菱重エステート、長谷工コーポレーション、ナイスの5社は12月4日、横浜市鶴見区の大規模マンション「オーベルグランディオ横浜鶴見」(全553戸)の供給第1号街区となる「アリーナテラス」(180戸)の販売を12月7日から開始すると発表した。

 鶴見駅から徒歩7分に立地する全3街区の総開発面積約2万㎡超。「人と地域で緑をつなぐ共創の住まい」がコンセプトで、建物の高さを7階建てに抑え、入居者間の良好なコミュニティ形成を図ることを目的に街区ごとに組成される管理組合をつなぐ「共同コミュニティ委員会」を設置する。また、新しいコミュニティ支援プログラム「マチトモ」プロジェクトを立ち上げ、地域の団体・企業と共に新しい子育て支援・交流支援、多世代交流を実現することを目指す。

 1期の販売戸数は102戸、価格は3,820万~6,020万円、専有面積は66.49~82.68㎡。14日(土)まで申し込みが受け付けられる。

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今回分譲街区の外観(完成予想図)

カテゴリ: 2013年度

 先週の大京・近鉄不動産「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」の記者発表会で、同業の記者が次のような質問をした。

 「地下を含め7階建てのマンションにしては工期が非常に長い。何か理由があるのか」と。

 この質問に記者も驚いた。マンションの完成時期はユーザーにとってもっとも重要な要素だが、われわれ記者は全くと言っていいほど気にかけない。一般的なマンションは、階数に基礎工事などの3カ月分を足したのが工期だという認識があるぐらいだ。最初は質問した記者の意図が全然わからなかった。

 すぐ配布された資料で確認した。竣工予定は2015年8月24日とあった。記者発表会当日の時点で工期は20カ月ぐらいあるではないか(正確には着工は今年10月だから22カ月)。

 この質問に同社商品企画部担当副部長・中山雄生氏は、概ね次のように答えた。「通常はこの程度のマンションなら15カ月ぐらいかもっと早く竣工できるが、工期を長くとることで施工会社も余裕をもって職人を手配できる。工期を長くしてコストがアップしたわけではない。事前の検査もそれだけ十分できる」と。

 つまり、22÷15=1.5。通常より1.5倍の工期をかけてもコストアップにならないということは、それだけ職人不足は深刻な状態にあるということだ。このようなケースは今後激増するのではないか。

カテゴリ: 2013年度

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「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」

 大京(事業比率70%)と近鉄不動産(同30%)は11月27日、横浜市都筑区のマンション「ライオンズ港北ニュータウンローレルコート」の記者発表会を行い、12月中旬に分譲開始すると発表した。「スマートマンション導入加速化推進事業」4つ星を獲得した物件で、徹底した環境共生の取り組みがされている物件だ。

 物件は、横浜市営地下鉄グリーンライン北山田駅から徒歩12 分、または同ブルーライン・グリーンラインセンター北駅から徒歩17 分、横浜市都筑区北山田5 丁目に位置する7階建て全221戸の規模。専有面積は67.02~108.54㎡、予定価格は70㎡台で3,900万円台~、坪単価は201万円。1期分譲は72戸を予定。竣工予定は2015 年8 月24 日。基本設計はIAO竹田設計。設計・監理・施工は三井住友建設。販売は大京。

 開発開始から約40年が経過した港北ニュータウン内で、残りは2区画しかない住宅用地の一つという希少性の高い大規模物件で、約8,600㎡の敷地にパッシブデザインとスマートシステムを融合した環境共生住宅であるのが最大の特徴。

 創エネ・畜エネ・省エネを組み合わせてマンションの維持・管理費の削減を実現したほか、自然の力で快適な室内環境を生み出した。経済産業省の「スマートマンション導入加速化推進事業」で4つ星を獲得した。持続可能な生態系を保つため入居3年間はランドスケープ設計会社が樹木剪定やビオトープの管理を提案し、入居者の「体感し、学び、育む」をサポートしていく。

 住戸プランでは、妻側住戸の窓を淡い色つきガラスにしているのが特徴で、外観にアクセントを与えている。

 発表会に臨んだ同社首都圏第二支店長・立石恭司氏は、「住宅用地としてニュータウン内に残り2区画しかないという希少立地にふさわしいグリーン・マトリックス・システム、せせらぎ計画など新しい取り組みを盛り込んだ」と話した。

◇       ◆     ◇

 環境共生住宅はこれまでも大京が積極的に取り組んできたテーマだが、今回の物件は最高レベルの取り組みだと思う。まず、せせらぎとビオトープ。深さ約90mの井戸を掘り、井戸水を散水に使用するほか全長約60mのせせらぎ・ビオトープに利用する。井戸水は飲めるほどの水質のいいもので、非常時には防災井戸として近隣にも利用できるようにする。

 せせらぎ・ビオトープの取り組みとしては、もう20年も前に埼玉県住宅供給公社が分譲した「大宮」のマンションがもっともすぐれていると思う。全長は数十メートルあり、カモがたくさん飛来していた。ここは水田や畑もあり、入居者がみんなで収穫もしていた。(企画意図が購入者に全然伝えられなかったため、大量の売れ残りを出すなど事業しては大失敗だったが)

 今回の両社の取り組みは「大宮」には劣るかもしれないが、ビオトープの面積は約100㎡というから相当なものだ。

 このせせらぎ計画の「水」ほか、ソーラーパネルと蓄電池の「光」の利用、敷地全体を緑でつなぐ「緑」の活用、パッシブデザインを取り込む「風」によって、維持管理コスト「ゼロ」を目指す。年間約180万円の維持・管理費を削減する。

 パッシブデザインでは、これまでの換気機能付き玄関ドアのほか、室内扉の換気ルーバーを新たに採用する。換気口も高機能のものにする。

 今回採用するパッシブデザインは、省エネ等級4・エコガラスを採用し、換気機能付き玄関ドア、通気ルーバー付扉、大型給気口、グリーンカーテンを採用していない一般的なマンションと比較して夏場の換気量は約4倍、室温は最大で4.9℃も差が出.るデータも得ている。

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 持続可能な生態系配慮型植栽管理も注目できる。生態系を保存するため、コンペ形式により植栽管理会社を選定。さらにランドスケーププラス社が竣工後3年間、植栽やビオトープの維持・管理をサポートしていく。これらを通じて、居住者のコミュニティ形成をサポートする。

 先の「大宮」のマンションでは、せっかく立派な環境共生マンションにしたにもかかわらず失敗したのは、入居者や管理業者に丸投げしたためだ。3年間管理サポートすれば、入居者が自発的に取り組むようになるのではないか。

◇       ◆     ◇

 「CASBEE」についてもひとこと。これまでも何度も書いてきたが、独自のマンション環境性能評価制度を採用している東京都はともかく、神奈川も埼玉も千葉県もどうも制度はつくっていても魂が入っていない。杓子定規に物事を計るから国の「長期優良住宅」認定を得ながら「CASBEE」ではSランクが取得できない事態が続出している。「CASBEE横浜」ではSランクは数えるほどだし「CASBEE神奈川」も1つあるぐらいだ。

 自治体が独自の基準を設けるのはいいことではあるが、レベルの高いマンションも並みの「A」(Aは低いわけではないが、決して高いものばかりでもない。はかりの目が粗すぎるのだ)と一緒ではデベロッパーが泣く。

 大京は「S」ランク取得を目指したそうだが、「バリアーフリーの対策よりも、仕上げ材(タイル、床仕上げ、手すりなど)に『再生材』を用いることというのが大きな壁となった。再生材はお金をかけて設置することは可能だが、耐用年数が短く取り換えスパンが短いため、結果的に長期修繕の費用が増え、お客様の負担になってしまうため今回は断念した」(広報)とのことだ。

 読者の皆さんは、この理由をどう読むか。コストをかけて「S」を取得するか(これもユーザー負担だが)、コストを削減して並みの評価で我慢するか。点数偏重の弊害がここにもある。 

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ビオトープ

カテゴリ: 2013年度
 

 

 

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