総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車 再開発中心に5000戸超 「亀戸」の上値圧力も
「プラウドタワー小岩ファースト」
総武線(亀戸~小岩)の再開発を中心とする分譲マンション開発に拍車がかかっている。現在分譲中と計画中の主だった物件戸数をざっと調べたら5,000戸(非分譲含む)を突破した。もちろん、この他の物件も供給されるはずだから、向こう数年間にわたって少なくとも年間500~600戸、市況次第では1,000戸近くが分譲されるのではないか。市場を概観した。
東京から快速で10分もかからない錦糸町駅圏は坪単価400万円を突破していると思われるが、開発余地は少ないはずで今後も大型物件の供給はないのではないか。
亀戸 最高峰「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)竣工完売か
その先の亀戸-平井-新小岩-小岩がこれからの主戦場になる。その中で最高峰マンションは、一昨年春から分譲が始まった野村不動産・三菱地所レジデンス「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)だ。この物件については販売開始前の記者見学会を取材しているので、記事はそちらを参照していただきたい。
「亀戸」の地域イメージはさておき、商品企画レベルは他のどの物件にも負けない。プラウド初となる床空調システム「床快full」(三菱地所レジデンスは全館空調の供給実績あり)と樹脂・二重サッシを採用することでZEH認定を取得、間取りの自由度と可変性を高める「Mi-liful(ミライフル)」、大規模修繕の周期を長くして全体的なコストを削減する「アトラクティブ30」を採用しているのが特徴だ。
見学時には坪単価は300万円台の半ばと予想したが、350~360万円くらいでスタートしたはずで、それほど外れていなかったと思う(今はもっと高いか)。現在、物件ホームページには「第5期」となっている。ものすごい販売スピードだ。竣工予定の2022年1月下旬までに売り切るのだろうか。この「亀戸」が分譲されている限り、他の物件はこの単価を上回って供給できないはずだ。
平井 駅北口で野村不・阪急阪神不の再開発 住友不も大規模予定
錦糸町駅から1駅先の「平井」駅といっても、具体的イメージがわかない人は多いと思われるが、記者は公園が多く落ち着いた住宅地を形成しているので、錦糸町~小岩駅圏ではもっとも好きな駅だ。
その平井駅北口では、野村不動産と阪急阪神不動産の29階建て「平井五丁目駅前地区」(施行面積約0.7ha)の再開発マンションが2022年度中に分譲される予定だ。全約370戸のうちうち分譲対象は270戸の予定。
平井駅から徒歩10分の平井六丁目では、住友不動産が「シティハウス平井」319戸を2022年3月上旬に分譲開始する。
新小岩 駅周辺で5か所の再開発 住友不ほかが先陣
平井駅の先の快速停車駅の新小岩駅圏では、駅を中心に北側地区、東北地区、西部地区、南口地区、東南地区の5地区、合計23.0haの再開発計画が進行中だ。このうちすでに着工中の「東南地区」再開発(施行面積3.9ha)では、住友不動産・ジェイアール東日本都市開発・日本貨物鉄道の15階建て「シティテラス新小岩」268戸の分譲が今春に始まった。坪単価は340万円程度と思われる。この単価設定は、やはり「亀戸」の上値圧力が強いからだと記者は思う。
このほか、新小岩駅圏では三井不動産レジデンシャルと首都圏不燃建築公社が事業参画している「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業」(戸数約580戸)がこの8月に都市計画決定された。(記事参照)
小岩 3物件トータルで2000戸超 野村不・タカラは好調スタート
新小岩駅の先の小岩駅圏では、南口徒歩1分の野村不動産・タカラレーベン・清水建設の3社JVの22階建て「プラウドタワー小岩ファースト」233戸(非分譲住戸76戸含む)の分譲が7月から始まった。第1期として分譲対象の約半分88戸を供給したほどだから、順調なスタートを切った模様だ。ただ、坪単価は340万円くらいのはずで、ここも「亀戸」の上値圧力のせいでこの単価になったのではないか。
この物件は、「南小岩六丁目地区」再開発事業(施行面積1.3ha)のⅡ街区に当たり、Ⅰ街区には10階建て商業・オフィス棟、Ⅲ街区(33 階建て)は商業・住宅棟が建設される。住宅は合計で601戸の予定。竣工はⅠ街区が2020 年末に竣工済み。Ⅱ街区が2022年3月、Ⅲ街区が2026年冬頃に竣工する予定。
小岩駅北口では、三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産が事業参画している小岩駅北口から徒歩2分の「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」(施行面積2.0ha)として商業・業務・保育所とともに約730戸のマンションを建設する。2022年3月に着工、2027年1月竣工予定。
さらに小岩駅圏には、2023年度の都市計画決定を目指す日鉄興和不動産、住友商事、長谷工コーポレーション、学研ホールディングスが事業参画している「南小岩七丁目地区」再開発計画がある。住宅は約1,250戸。2025年度に着工する予定だ。
コンセプト次第で対抗できる中小規模物件
以上、主だった物件を紹介したが、コロナ禍で現場取材がほとんどできておらず〝フェイク〟記事にならないことを祈るのみだ。問題は、これらの再開発・大規模マンションに、他のデベロッパーの中小規模マンションは対抗できるかどうかということだ。
単価的には「亀戸」の分譲が完了しないと高値追求はできないはずで、〝売れる〟値段は坪300万円くらいと読むがどうだろうか。駅から遠い物件でもターゲット・コンセプトを明確にすればまた違った展開も考えられるか。
記者は昨年9月、平井駅から徒歩16分の「オーベルグランディオ平井」138戸を取材したが、坪単価は230万円くらいで、平均74㎡の〝広さ〟はアピールできると予測した。物件ホームページには最終期とあった。竣工予定は2022年1月下旬だから竣工完売のめどがついたか。
三井不レジ・首都圏不燃公社 新小岩の再開発 第2弾「南口地区」が都市計画決定(2021/9/1)
三井不レジ・日鉄興和不JR小岩駅北口再開発事業 権利変換計画認可(2021/7/28)
野村不、タカラレーベンが事業参画 小岩駅前で再開発マンション601戸(2019/5/13)
凄い!全館空調、二重&樹脂サッシ採用 野村不「亀戸」934戸 単価300万円台半ば(2019/2/19)
圧倒的な価格の安さと平均74㎡の広さアピール 大成有楽不動産「平井」(2020/9/10)
「しつこく繰り返し」仕上げる月例レポート トータルブレイン副社長・杉原禎之氏
杉原氏
読者の皆さんは、トータルブレインの「月例レポート」をご存じか。記者は故・久光龍彦社長には長谷工コーポレーション時代から懇意にしていただいており、久光氏が1999年10月に同社を設立された以降も定期的にお会いしていたので「月例レポート」の存在は知っていたが、中身はほとんど知らなかった。お会いしてもそのまま飲み会になだれ込むパターンがほとんどだったし、レポートはマクロテータを寄せ集め、久光氏の独自の視点で分析しまとめたもので、契約先のデベロッパー幹部との会合に携える参考資料の類だろうとしか考えていなかった。
ところが今年2月、同社取締役副社長執行役員・杉原禎之氏(58)から「2020年 首都圏マンション販売 実態検証」と題した月例レポートを頂いて驚愕した。
A4判20ページに 各月ごとの首都圏マンション市場動向など 他の調査会社も発表しているデータの分析のほか、全供給物件303物件のうち、同社のデベロッパーへの独自の売れ行きヒアリング調査によって「販売好調」と回答があった110物件のデータと好調要因が表にしてまとめられ、好調要因や苦戦要因の分析、所見が述べられていたからだ。この種のレポートは他ではまずないはずで、とても新鮮に映った。
そして先日、今度は「2021年前半戦 首都圏マンション市場総括 及び後半戦以降の課題と展望」と題したレポートをもらった。
体裁は2月にもらったものと同じで、2021年前半(2020.12~2021.6)の全供給232物件のうちヒアリングの回答が得られた197物件(全物件に占める割合84.9%)について分析を加え、「販売好調」と回答があった105物件の概要や好調要因が綴られている。回答率84.9%というのが凄いし、初めて聞くデベロッパーの物件もたくさんあった。
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さらに驚いたのは、月例レポートは、もちろんスタッフの手を借りてだが、杉原氏が一人でまとめ上げたものであることを聞かされたことだ。
杉原氏は、久光氏が会社設立する際に長谷工を辞め、一緒にトータルブレインを設立した最古参の一人だ。杉原氏とはこれまでもマンション市場について情報交換し、久光氏らと同席した飲み会で歓談もしているが、会社の中でどんな業務に携わっているのかなど個人的なことはほとんど知らなかった。
その杉原氏が、1月と8月を除く年10回のレポートを2000年4月の第1号から2021年9月現在、通算216号のレポートを自ら作成していたことを初めて知った。
そして今、杉原氏は久光氏が行ってきた毎日3~4社、月に50社のクライアント回りを引き継いでいる。もちろん自ら作成した月例レポートを携えて、刻々と変わるマンション市場について語るためだ。
朝早く出社するのも久光氏とよく似ている。「朝7時前には出社しています。すぐレポート作成にとりかかりますが、毎回1ページ目からレポートを読み直しするのを日課にしています。毎回 最初から読み直していくのが大事で、そうすると、言いたいことが伝えきれていないとか、言い回しが悪い部分や 新しい発見などが見えてきます。毎日文章の中身を書き換えることになりますが、しつこく繰り返すことで、レポートの中身もより濃くなると思います。」
-記者は実践できないが、これは物書きには参考になるはず。記者が好きな作家の丸山健二さんは、小説(文章)は少なくとも7回は校閲すべきと作家志望に説いている。
レポートのテーマ選びにも心を配っている。「デベロッパーが悩んでいる事や、興味がある事がテーマでなければ相手(デベロッパー)にも伝わりませんし、そもそも聴いてもらえません。テーマ選びにはプレッシャーがかかりますが、四方八方アンテナを張り巡らせています」
そんなに働いて大丈夫かと思ったので聞いたら、「これまで病気で休んだことはありません」とのことで、「仕事を終えるのは夕方、遅くとも6時ごろ迄には終えます。1日集中してものごとを行えるのはせいぜい3時間くらいですので、夜遅くまで働いても生産性は上がりません。仕事後は よくジムでサウナに入りますが、大汗をかいて1.5~2キロくらい体重が落ちますので、家で500ミリ缶のビール3本を飲むのがストレス解消法です」と語った。
杉原氏のお勧めは、クラフトビールの「よなよなエール」と聞いたので早速飲んでみた。350ミリリットル入り1缶250円くらいで少し高いが、じっくり味わって飲むのにはいい。たまに飲むことに決めた。
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久光氏は一昨年末、稼ぎ頭の営業担当の佐々木睦氏を社長に、そして最古参・最年長の杉原氏を副社長に、専務には設計担当の井上文孝氏と管理担当の高橋郁夫氏を据える人事を決めた後、フィリピンの海で好きなスキューバダイビングを終え船に上がった直後に急死された。
久光さん、小生のような年寄りの痩せの太鼓腹(判か)など何の突っ張りにもなりませんが、後任の優秀な方々に任せて大丈夫。業務受託50社、年間120~130件のマーケティング調査受託というのは過去最高ではありませんか。「業績は順調」と杉原さんから聞きました。永遠にお眠りください。
適正な管理を行うマンション・区分所有者への優遇措置求める マンション管理協
マンション管理業協会は8月27日、「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」を赤羽国土交通大臣宛に提出したと発表した。
先に公布された「マンションの管理の適性化の推進に関する法律の一部を改正する法律」で区分所有者の自主的な取り組みを促す「管理計画認定制度」が策定されたことを受け要望したもの。
一定基準をクリアし、適正な管理を実施するマンションへの優遇措置として、区分所有者の固定資産税の優遇や対象中古物件購入時の所得税の控除、固定資産税・贈与税の減税を適用する制度の創設を検討することを求めたほか、マンション共用部分・専有部分のリォーム融資における優遇措置、適正な管理組合運営を担保するための法関連の見直しを要望した。
〝駅近〟の呪縛から解き放つ 大規模1低層の住友不動産「下目黒」完成
「シティハウス下目黒」
住友不動産は8月27日、大規模低層マンション「シティハウス下目黒」が完成したのに伴い報道陣に公開した。目黒駅からバス便の坪単価480万円の高額物件だが、希少の第一種低層住居専用地域に位置する立地環境が評価され、全195戸のうち約6割が販売済みで、順調に推移している。
物件は、JR山手線目黒駅からバス9分徒歩4分、東急目黒線武蔵小山駅から徒歩15分、目黒区下目黒6丁目の敷地面積約8.400㎡の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する5階建て(建築基準法上は地上4階、地下1階建)全195戸。現在先着順で販売中の住戸(17戸)の専有面積は55.24~73.55㎡、価格は8,000万~13,000万円。坪単価は約480万円。竣工は2021年5月28日。設計・施工は長谷工コーポレーション。入居は10月から始まる。
現地は、東京学園高校跡地で、近接エリアには2013年竣工の同社の「シティテラス下目黒」(175戸)がある。「都立林試の森公園」には徒歩5分。
建物はロの字型で、公開空地を設けていることから建築基準法55条2項の規定により高さ規制10m⇒12mの緩和を受けている。住戸プランは55㎡中心の2LDKが3割、70㎡中心の3LDKが7割。アウトドアリビングを提案したテラス(専用庭)付き16戸を用意している。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、リビング天井高2400~2500ミリなど。
2020年3月から販売を開始し、これまで2,500件超の反響があり、約6割が販売済み。2020年6月から「オンライン見学会」やYoutube、SNSを活用した販売活動を行っており、Youtubeでは全体で20万件のページビューのうち同物件だけで1.5万件を占めるなどもっとも注目度が高いという。
購入者の約7割が30代・40代のファミリー、2割が60代以降のシニア層。勤務地は渋谷区、目黒区が多く、IT企業など在宅勤務を利用する業種が目立つという。物件選好の理由は「立地(通勤・生活拠点)」「目黒アドレス」「地盤の安定」など。
販売担当者は「コロナ禍で本格的に販売を開始したのは6月から。在宅勤務、テレワークが浸透したことから物件選好は〝駅近〟の呪縛から解き放たれ、その流れに乗ることができた。得難い希少の立地が評価されている。競合物件はほとんどない」と語った。
外観
エントランス
エントランスロビー・ラウンジ
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この物件は、一昨年12月にモデルルーム・現地を見学し、記事にしているので参照していただきたい。その時は坪単価420~430万円を予想した。今回、約480万円と聞いてびっくりしたのだが、同時にさもありなんと思った。準都心部のマンション単価は軒並み坪400万円を突破してきており、駅近などは坪500万円、600万円以上になっている。それでも総じて売れ行きは好調だ。今後コロナの影響が経済面でどのような影響が出てくるか読めない部分もあるが、単価の上昇トレンドは当分続きそうな気配だ。
販売担当者も「呪縛から解き放った」とこれ以上ない的確な言葉で語ったように、物件選好もコロナ以降は様変わりしている。〝駅近〟オンリーでなくなった。これは、コロナが思考を変えたというよりは、本来そのようなものの見方・考え方をするよう気づかせたくれたというべきだろう。
記者は、3年前に「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本が発売されたとき、徹底して批判した。記事のアクセス数は1万数千件にのぼった。記者と同じような考えをする人も多いと溜飲を下げたものだ。
そのように考える人が多いのは理解もするし否定もしないが、マンションは金融商品では断じてない。消費者にアピールする商品企画であれば価格・単価が高い駅近物件と互角に戦えるようになってきた。結構なことだ。
アウトドアリビング
モデルルーム
ビーロット 創業来最大の事業 芦ノ湖畔の一等地で分譲ホテル74室PJ始動
ビーロットが、同社創業来の最大事業となる分譲「箱根芦ノ湖ホテルコンドミニアムプロジェクト」を始動させた。
箱根芦ノ湖畔に面した国立公園内の敷地面積約33,000㎡にホテル(NAGAYA)/53室とヴィラ(VILLA) /21室を合わせた延べ床面積約約13,100㎡(74室)のコンドミニアムを建設するもので、「運営会社は世界的に有名なラグジュアリーホテルオペレーターによる運営で、日本で2番目の案件、リゾート案件としては日本初」(同社)になる予定。現在、建築確認申請を進めている段階で、竣工予定は2024年の春。すでに10億円の資金調達も完了させている。
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分譲ホテルのことはよくわからないが、業界ではサンフロンティア不動産が「HIYORIオーシャンリゾート沖縄」(203室)を坪単価350万円くらいで分譲しており、販売は好調と聞いている。残りはわずかのはずだ。
また、京都では、京都東山ホスピタリティアセット特定目的会社が「フォーシーズンズホテルレジデンス京都」の13室(専有面積83.33~190.95㎡)を4億6,380万~11億9,493万円で分譲している。
価格からも分かるように、坪単価は一般的な分譲マンションとは比べものにならない。もちろん、価格のほかに管理費や修繕積立金もかかる。
リゾートマンションでは、平成2年完成のリブラン「別邸桜乃庄」(25戸)の坪単価550万円が最高値のはずだ。「芦ノ湖」の一等地に立地するビーロットの価格はどうなるか。この価格を上回るのは間違いなさそうだ。
コロナ禍で人気急浮上「辻堂」の住宅街の一角 反響も広域 リスト「湘南辻堂」
「リストレジデンス湘南辻堂」
リストが9月に分譲する「リストレジデンス湘南辻堂」を見学した。駅から徒歩8分の準工エリアだが、周囲は一戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、地元だけでなく広域からの反響を呼んでいるのが特徴だ。
物件は、JR東海道線辻堂駅北口から徒歩8分、茅ケ崎市本宿町の準工業地域に位置する7階建て全61戸。専有面積は63.48~70.31㎡、価格は未定だが、坪単価は245~250万円になる模様。販売開始は9月下旬の予定。竣工予定は2022年8月中旬。売主はリストデベロップメント。販売代理はリストインターナショナルリアルティ。設計・監理は叶設計。施工は鉄建建設。
現地は、二方道路に接道する準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)だが、周囲は2階建ての戸建てが建ち並ぶ住宅街。「テラスモール湘南」へは徒歩10分。
住戸プランは3LDK中心の南東向きが約7割、南西向きが約3割。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、共用部分のシャワーコーナー、ボード置き場、テレワーク対応の集会室など。
販売を担当するリストインターナショナルリアルティ販売営業部主任・山中勇樹氏は、「反響は200組を超えているが、地元は3~4割。他は都内を含めた広域。コロナ禍の住宅選好は、テレワークができる住宅環境、買い物などが便利な施設が整っていることが重視されるようになってきたことを反映している。現地は準工エリアだが、周囲は戸建て住宅街。敷地の南側方向には工業専用地域があるが、ばい煙も騒音も悪臭もない。単価は245~250万円を予定しているが、これから分譲される他社物件は坪単価300万円と聞いているので、当社物件の優位性をお客さんにアピールできるはず」と話した。
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山中氏から現地は準工地域で、近くには工専があるというのを聞いて、住環境に問題がある住工混在エリアではないかと思ったのだが、山中氏の言葉に嘘はなかった。
建設現場の周囲は2階建ての戸建てばかりだった。確かに工専エリアに建っている建物もあったが、蓄電池を製造している工場とのことで、嫌悪施設には全く見えなかった。詳細な都市計画図は確認していないが、関東特殊製鋼(カントク)関連の工場がたくさんあったからこのような用途指定になっているのだろう。
その関東特殊製鋼工場跡地に整備された「テラスモール湘南」が駅北口の街を一変させたのは確かだ。店舗数は「ラゾーナ川崎」に次いで神奈川県で第2位で、全国でも9位という。これが押し上げたのか、「辻堂」は、SUUMO(スーモ)の「住みたい街ランキング2021」で前年の86位から36位に浮上し、アルヒの「本当に住みやすい街大賞2021」で3位(前年は不明)に浮上した。
記者はこの種のランキングを信じていないのでコメントを差し控えるが、海好きにはたまらない街だ。
これも「辻堂」人気の要因の一つなのだろうが、今年3月のJRのダイア改正で特急「湘南」が運行されるようになり、辻堂駅にも停車し、上りは東京駅まで48分で着くということだった。全席指定で料金は660円(キャンペーン中の現在は460円)。
記事とは関係ないのだが、山中氏はリスト野球部の監督に2年前に就任した。RBA野球大会はコロナの影響でこの2年間は中止になったが、同社には神奈川県下でベスト4の力がある平塚学園の投手と、強豪校の横浜創学館のスラッガーが入社したという。
同社チームの課題は投手難なので、その新人投手次第では上位をうかがえる戦力が整う。来年に期待しよう。
現地
大和ハウス 湘南最大級全914戸の「プレミスト湘南辻堂」が完成(2021/1/22)
大和ハウス ZEHマンション「靱本町」 大阪府内の上半期成約戸数第1位の150戸成約
「プレミストタワー靱本町」
大和ハウス工業は8月19日、今年3月から販売を開始したOsaka Metro四つ橋線本町駅から徒歩1分の36階建てZEHマンション「プレミストタワー靱本町」が6月末時点で1,000組の来場者、成約戸数150戸を突破し、2021年上半期の大阪府内の分譲マンションで成約戸数第1位となったと発表した。分譲坪単価404万円は同社の大阪圏の最高値。
物件は、地下鉄四つ橋線・御堂筋線・中央線本町駅から徒歩1分、大阪市西区靱本町一丁目に位置する敷地面積約2,397㎡、36階建て全350戸。3月13日に販売開始した第1期1次~5次(163戸)の専有面積は40.04~170.45㎡、価格は4,460万~2億7,980万円、坪単価は392万円。8月20日販売開始の第2期1次(37戸)の専有面積は42.08~170.45㎡、価格は4,880万~2億5,800万円、坪単価は404万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2023年2月。
2020年上半期(1~6月)に販売された大阪府内の新築分譲マンションの平均価格4,726万円(平均坪単価214万円)と比較して、第1期平均価格が8,519万円(平均坪単価約392万円)と高額だったが、2021年1月9日のモデルルームオープン以降、約1,000組(2021年6月末時点)の来場があり、2021年3月13日の第1期販売開始から約1か月で100戸、6月末までに150戸を成約。2021年上半期の大阪府内の新築分譲マンションで成約戸数第1位を達成した。
契約者の年齢層は20代~30代が約2割、40~50代が約5割、60代が約3割。7割以上が買い替え、買い増し。ZEHに加え、3路線が集まるOsakaMetro本町駅へ徒歩1分、大阪都心のオアシス「靱公園」へ徒歩1分という利便性と住環境を兼ね備えた立地で、四つ橋筋沿いにおける駅前ランドマークタワーとしてのシンボル性や資産性が評価されたという。
大和地所レジ 早期完売「フロント」 隣接の「赤羽北ザ・マークス」坪300万円超えるか
「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」(左が「フロント」)
大和地所レジデンスが9月上旬に分譲する予定の「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」96戸を見学した。昨年10月に販売開始し、約650組の来場者を集め、わずか6か月間に完売した「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」89戸に隣接しており、設備仕様レベルはほとんど同じなので、今回も人気となるのは必至だ。
今回は戸数が7戸多いが、外観デザイン、設備仕様、プランなどはほとんど同じなので、物件概要、設備仕様レベルなどは「フロント」の記事を参照していただきたい。
「フロント」と異なるのは、北西角住戸の44㎡の1LDKタイプが8戸あることだ。スパンは西側が7,000ミリ、北側が6875ミリのほぼ正方形のプランがいい。リビング天井高は2400~2550ミリ。両面バルコニー付き。単身者でも小さい子供のいるファミリーでも住める間取りなので間違いなく人気になる。
スキップ&ストレージのモデルルーム
実用新案取得済みの「SKIRAGE スキップ&ストレージ」概念図
◇ ◆ ◇
肝心の価格について。「フロント」の記事では「坪単価は300万円を割る模様」と書いたが、最終的には290万円に落ち着いたようだ。
この単価について、同社の販売担当者は「お客さま自身が都内23区の駅近マンションではありえない安さと評価された」と話したように、記者も割安感があると思う。
競合した物件はあまりないようだが、記者は三菱地所レジデンスが即日完売したと発表した東武東上線大山駅から徒歩7分の「ザ・パークハウス 板橋大山」49戸と比較した。こちらはモデルルームを見てはいないが、現地は観ている。ハッピーロード商店街を抜けた川越街道に面したところで、坪単価は330万円くらいのはずだ。
池袋から電車で10分の「北赤羽」と5分の「大山」の違いはあるが、交通量の激しい環八、川越街道にそれぞれ面しており、アドレス・街のポテンシャルも北区と板橋区というのはよく似ている。それでも単価差は約40万円もある。これはよくわからない。
三菱地所レジデンスはもう1物件、「ザ・パークハウス大山ザ・パークハウス 板橋大山大楠ノ杜」187戸を分譲するが、こちらのほうが立地、敷地条件などはいいので単価は高くなるのではないか。
これ以上書かないが、「ザ・マークス」の価格は未定とのことだ。単価は坪300万円を超えると読んだが、さてどうなるか。
建設現場(手前が「フロント」、奥が「ザ・マークス」)
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」
「イニシアラウンジ三田」
コスモスイニシアが先にオープンしたレジデンシャル事業の総合ギャラリー「イニシアラウンジ三田」を見学した。空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」監修の本物の観葉植物を随所に設け、渓流の音や木漏れ日などの〝癒し〟の演出は他社にはないもので、「INITIA」の世界観が余すところなく表現されている。
ギャラリーは、JR田町駅隣接の田町センタービル2階に設置された80坪の広さで、このほか60坪のモデルルーム、20坪の事務所と合わせ160坪の規模。「parkERs」監修による本物の観葉植物などをふんだんに配置し、木漏れ日やせせらぎの音が流れる什器の工夫、家具や床、植物の足元のマルチング材など地球環境に配慮した素材を採用しているのが特徴。
現在はコロナ禍で予約制だが、来場者が同社の販売中の新築マンション・戸建、中古マンション、リノベーションマンションの情報のほか、同社のこれまで供給したマンション履歴などをBIGPADで自由に操作、閲覧することができる。
また、隣接するビル内には、分譲マンション「イニシア横浜天王町」「イニシア青砥レジデンス」の2つのモデルルームを用意している。
同社レジデンシャル本部統括部分譲事業推進課課長・辻井正人氏は、「オンラインマンションギャラリーシステム『ROOVcompass』はクラウドサービスとして自宅でも自由に閲覧できるようにしていきたい。分譲マンションはこれから下期の4物件を公開し、戸建てやリノベーション物件、全国の仲介物件紹介なども増やしていく」と語っている。
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「イニシア横浜天王町」は、相鉄線天王町駅から徒歩3分の7階建て全65戸。専有面積は35.00~65.14㎡。現在分譲中の住戸(12戸)の価格は3,558万~5,098万円(最多価格帯3,600万円台)。竣工予定は2022年2月中旬。施工は木内建設。
エントランスホールをはじめとする共用空間には、「parkERs」とコラボしたアースカラーの外観、敷地の四方を囲む植栽計画を盛り込んでいるのが特徴で、35㎡のモデルルームには本物の観葉植物が多用されている。
「イニシア青砥レジデンス」は、京成線青砥駅から徒歩2分の14階建て全40戸。6月20日に抽選分譲し、即日完売した第1期1次(36戸)の専有面積は64.26~81.50㎡、価格は5,098万~7,148万円、坪単価は290万円。竣工予定は2022年2月中旬。施工は田中工務店。
三方道路に囲まれた敷地を活かし、角住戸率を高めた全戸南西向きのプラン、間仕切りを自在に変えられるフレキシブルリビング、幅1400ミリのウェルカムホームを提案しているのが特徴。共用部には、1stプレイスの住まいでも、2ndプレイスのオフィスでも、3rdプレイスのカフェでもない“2.5プレイス”として利用できる共用ラウンジを設置している。
「イニシア青砥レジデンス」共用ラウンジ
「イニシア横浜天王町」モデルルーム
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ラグジュアリーホテルのロビー、ラウンジの水盤・水景、緑、生花などの豪華な演出はよくあり、マンションギャラリーでは伊藤忠都市開発「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」は5つ星ホテル並みだ。
イニシアのギャラリーは、それらとはやや趣が異なる。常緑樹と思われる木の影がソファや床に映し出され、小さな石が敷き詰められた水盤からは小川のせせらぎの音が聞こえる工夫が凝らされている。さりげない光と影、音の演出が見事だ。
スタイルポートが開発した「ROOVcompass」もいい。3DCGで作られた室内空間や、入居後の生活を具体的にイメージすることができるVR内覧システム「ROOV walk」などが75インチのBIGPADに映し出された。
記者が驚いたのは「青砥」の物件では全住戸からの眺望写真が見えることだった。マンション検討者の希望する住戸からの眺望写真の提供サービスは、これまでたくさん見学した。しかし、今回のように40戸もの規模の全住戸の眺望写真を見えるようにした例は知らない。その成果か、同社は「青砥」の人気の要因の一つに「VRツールなどを用いて納得のいく住まい選びができたとの評価をいただいた」としている。
スタイルポートの「ROOVcompass」は断トツのシェアを占めているようで、採用企業は70社、プロジェクトは250に上っている。
光と影と音の演出空間
光と影と音の演出空間
カフェエリア
模型コーナー
75インチのBIGPAD
駅2分・緑道隣接・眺望抜群 圧倒的人気呼ぶか 三井不レジ「パークホームズ初台」
「パークホームズ初台 ザ レジデンス」
三井不動産レジデンシャルが7月末に分譲する「パークホームズ初台 ザ レジデンス」を見学した。敷地北側には甲州街道・高速道路が走っているが、駅から徒歩2分と近く、敷地南側は緑道公園に面しているのが特徴。人気は必至だ。
物件は、京王線初台駅から徒歩2分、渋谷区初台1丁目の商業地域に位置する「藤和初台コープマンションの建て替えマンションで、18階建て全115戸(一般販売対象住戸65戸)。2021年7月下旬~8月上旬に販売予定の第1期1次(戸数未定)の専有面積は54.08~135.29㎡、予定価格は6,800万円台~25000万円台(最多価格帯7800万円台)。竣工予定は2022年9月下旬。施工は西松建設。売主は同社のほか㈱ワールドレジデンシャル。
建物は、前面道路から約20m離れて建設されており、住戸プランは初台緑道に面した南東向きが90%超。
主な基本性能・設備仕様は、内廊下方式、リビング天井高約2600ミリ、フィオレストーンキッチン天板、ディスポーザー、食洗機、食器棚、グローエ水栓、各階ごみ置き場、非接触エレベータ、Low-Eガラス、LD天井カセット型エアコンなど。
販売担当者は、「昨年12月に物件ホームページを立ち上げ、反響は2,500~2,600件。集客は6月からスタート。なかなか予約が取れない状況。湾岸などを検討されている方など広域からも集客できているのが特徴。購入希望の多い住戸はすでに5倍くらいの倍率がついている」と早期完売の手ごたえを感じている。
約5.8m吹き抜け空間のエントランスホール
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問い合わせがこれほどあるとは予想できなかったが、人気になるのは当然だ。甲州街道・高速道路に面してはいるが、それを上回る交通利便性と、緑道に面した希少性は難点を克服するに十分な価値がある。道路を挟んだ対面は新国立劇場・オペラシティだ。
気になる坪単価だが、記者は同社の「パークホームズ調布 ザ レジデンス」を見学した際、この「初台」について「坪単価450万円以下はありえないと見たが、500万円に届くかどうか」と書いた。予定価格などから平均単価は500万円を切り、490万円くらいに落ち着きそうだ。
それでも、京王線ではバブル崩壊後の最高値マンションになるのは間違いない。
建設現場
現場近くの緑道