RBA OFFICIAL

IMG_1364.jpg
「デュオアベニュー八王子グランドスクエア」

 フージャースコーポレーションが行った分譲マンション「デュオヒルズ府中多摩川」の見学会記事は先に書いたが、今度は子会社フージャースアベニューが分譲中の戸建て「デュオアベニュー八王子グランドスクエア」を紹介する。

 物件は、JR中央本線・横浜線・八高線八王子駅から徒歩11分、京王線京王八王子駅から徒歩12分、八王子市子安町1丁目に位置する全52区画(このほか分譲済みの10区画とあわせ62区画の開発)。近く分譲する第1期2次(7戸)の予定価格は4,400万円台~4,800万円台、土地面積は125.10~132.75㎡、建物面積は96.26~105.37㎡。施工・設計・監理は津田産業、エステーホーム。7月19日から販売を開始しており、これまでに25戸供給したうち22戸が契約済み。全体竣工予定は来年の5月。野村不動産のマンション「オハナ八王子オークコート」に隣接している。

 同社の戸建てブランド〝デュオアベニュー〟については「国立」と「成城」を取材し記事にしているのでそちらも参照していただきたい。記者はデザインなど商品企画を一新したことで、同社の戸建ては劇的に変わり、それがユーザーにも支持されていることを書いた。「国立」と「成城」も瞬く間に売れたし、今回の「八王子」も間違いなく売れると確信した。

 そのデザイン。今回も施工は津田産業とエステーホームだ。両社とも三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て〝ファインコート〟シリーズを多く施工している会社だ。フージャースも「ファインコートのいいところを学ぼう」とデザインを一新した。

 今回の物件で面白いと思ったのは、豊かな植栽計画もそうだが、2階のバルコニーだ。南側の日当たりのいい中央部に設置しているもので、日照を確保しつつ独立性も保ったインナーバルコニーのようなのが特徴だ。これが人気になっているとのことだった。

 もう一つ面白いことも聞いた。物件はどこだったか聞き忘れたが、これから供給する物件には「プラウドシーズンの南欧風」を採用するのだという。

 価格最優先のいわゆるパワービルダーの不振が伝えられる中、デベロッパーの戸建て市場は三井不動産レジデンシャルの独走を阻もうと野村不動産が急追し、他のデベロッパーも供給を増やしつつある。フージャースコーポレーションは年間200戸が目標というから、三井と野村の2強にはかなわないが、他となら互角以上に戦えると思う。〝ファインコート〟〝プラウドシーズン〟のいいとこ取りを狙う同社の戦略は正解だろう。

 さらにもう一つ。同社は最近地方での再開発事業を積極的に取り組んでいるが、記者は高齢者向けマンションの分譲に注目している。いまつくばEX沿線で分譲している物件に加え、今度は「柏の葉キャンパス」でも分譲するという。三井不動産レジデンシャルと競合しても勝てない。「高齢者向け」なら地の利もあるし、これは面白い。

 なおももう一つ。同社の事業ポートフォリオについて。同社の2014年3月期決算は72.5%が首都圏マンション事業だったように、これまではほとんどがマンション分譲・販売だった。これを2017年度には市場環境に柔軟に対応するため単品事業のリスクを分散させ、マンション20%、地方・再開発20%、シニア20%、戸建て20%にしようというのだ。マンションは大手の寡占化が間違いなく進む。大手のいいところを取り入れつつ競争を回避する同社の戦略に注目したい。

IMG_1365.jpg
エントランス部分の植栽

IMG_1362.jpg
キッチンの隣に設けられているミセスコーナー

野村不動産「オハナ八王子オークコート」 上々のスタート(2014/6/2)

〝大手と互角に戦える〟フージャースアベニュー「デュオアベニュー国立」(2013/10/15)

フージャースの戸建て「デュオアベニュー成城」 早期完売か(2014/2/10)

カテゴリ: 2014年度

11.スカイテラス南山空撮.jpg
「スカイテラス南山」全景

 市街化区域に編入されてから44年、開発をめぐって賛成、反対の論議が繰り返されてきた稲城市の「南山東部土地区画整理事業」地内のマンションがいよいよ分譲開始される。9月24日、最先端の都市生活のトレンドを話し合う「GOOD DISTANCE東京メディアセッション」で野村不動産の担当者などが参加して同区画整理地内の「スカイテラス南山」の新しい街づくりが提案された。

 「南山東部土地区画整理事業」は、京王相模原線の稲城駅と京王よみうりランド駅のほぼ中間にあり、稲城市の南東部に位置する丘陵地。開発面積は約87ha。平成18年に組合の設立が認可された。総事業費は408億円。組合員は260人。減歩率は68%。宅地は約2,500区画の予定。「スカイテラス南山」は区画整理事業の愛称。野村不動産は参加組合員としてマンション・戸建て約1,000戸を分譲する。

 同セッションには、野村不動産・東伸明氏、稲城市役所都市建設部市街地整備課長・吉岡博文氏、一般社団エリアマネジメント里山・宇野健一氏、首都大学東京都市環境学部准教授・川原晋氏、ファッションディレクター・千場義雄氏などが参加。

 東氏は、開発まで複雑な経緯をたどってきたことから「周回遅れのトップランナーとして、また、社会の基盤になる街づくりを行うソーシャルデベロッパーとして市民活動を支援するクラブハウスの設置や、新しい形の自治を形成することを提案していく」と語った。

 宇野氏は、「ボランティア・スピリットだけでは限界がある」とし、エリアマネジメント手法をつかって緑化事業、地権者の土地活用支援、木質バイオマスの採用、コミュニティ支援活動などを行い事業として街の価値を高める活動を行っていくと話した。

 吉岡氏は、稲城市が「主婦が幸せに暮らせる街ランキング」(学研パブリッシング発行の雑誌「aene」)で全国2位になったことを報告。市民参加型のいい先例となるよう街づくりを支援していくと語った。

05.プラウドシティ南山エントランスアプローチ.jpg
「プラウドシティ南山」完成予想図

◇       ◆     ◇

 この区画整理事業については、これまで数回取り上げてきたのでそちらの記事を参照していただきたい。マンション「プラウドシティ南山」は京王相模原線稲城駅から徒歩6分の全412戸。80㎡台が中心で、価格は未定だが坪単価は180万円前後に落ち着く模様だ。9月28日には街づくりを紹介するイベントでモデルルームも公開されるので見学してレポートしたい。

 どうでもいいことかもしれないし、稲城市にケチをつける気は毛頭ないが、稲城市が「主婦が幸せに暮らせる街ランキング」で全国2位になったことについて一言言いたい。稲城市が全国2位なら、どうして隣接するわが街・多摩市はそれを上回らないのか。全国上位50にも入っていない。

 ランキングは、「主婦の幸せ度を『HQ(=Happy Quality)』と名付けて数値化。そして『暮らし』『家族』『お金』『食費・健康』『モノ・趣味』の5つの指標に関する幸せ度を全国の市ごとに偏差値化し、『主婦が幸せに暮らせる街』を導き出したという」(同誌)が、そんなものが数値化できるはずはない。「偏差値教育」に毒された人のやることだ。

 もう一つ。同セッションは二部構成で、一部で行われた「ファッションと住まいからみたライフスタイルの変化と最新のライフスタイル」がいま一つよく分からなかった。

 それぞれ1920年代から現代までの変遷をたどり、2020年の未来を予測するものだが、文化やファッションが住まいにどのような影響を及ぼし、また逆に住まいや住宅設備機器は文化やファッションをどう変えたかの関係性があまり語られなかった。

 そこで提案された「都市と距離感を保ったイマドキな家族」像も紹介されたのだが、夫は気持ちの良いLA風のTシャツに高級腕時計、スウェット腰巻き、腰ではくタイプのデニム、PRADAのスリップオープンスニーカー、妻はラルフローレンのシャツ、カルティエのサントス、エルメスのバーキン、ユニクロのjeans、todsの靴という姿だ。

 記者はブランドにまったく興味がないが、エルメスのバーキンは100万円以上、カルティエのサントスも数十万円から数百万円するという。一般サラリーマンが購入できる住宅は4,000~5,000万円が限度だ。

 まさか「南山」のマンションはそのような家族がメインターゲットではないだろうが、ひょっとするとそのような層も取り込もうという狙いはあるかもしれない。

08.干場氏監修ファッションイラスト.jpg
「都市と距離感を保ったイマドキな家族」像

IMG_1352.jpg

IMG_1361.jpg
「GOOD DISTANCE東京メディアセッション」参加者

野村不動産、全250区画の「プラウドシーズン栗平」9月分譲(2014/8/4)

多摩ニュータウン学会 稲城市の南山東部区画整理・里山を学ぶ(2012/3/26)

カテゴリ: 2014年度

 pixlr_IMG_0967.jpg
石積みの街が美しい「スマートコモンシティちはら台」

 東日本大震災以降、積水ハウスが全国で展開している「スマートタウン」の一つ「スマートコモンシティちはら台」を取材した。

 現地は、JR外房線鎌取駅からバス約12分、徒歩4分の千葉県市原市ちはら台東に位置する全215区画。昨年7月から建築条件付き宅地や分譲戸建てとして分譲されており、現在まで約40区画が販売済み。

 団地は、平成21年から分譲開始された同社と大和ハウス工業による「かずさの杜 ちはら台」(326区画)に隣接し、一体として開発されたものだ。街づくりは、平成17年6月に施行された景観法の提案制度を使用し、事業者や住民が素案を添えて景観計画策定の提案を行い、その素案に基づいて市原市が策定した景観計画に沿って行われている。

 既存の地区計画で定められている最低敷地面積165㎡や屋根の色彩、道路境界からの壁面の後退距離、垣・柵の構造などに加え、屋根の形状、緑化の基準などが上乗せされている。違反者には罰則もある。

 「かずさの杜 ちはら台」は、全国で初の先進的な街づくりが評価され、2012年のグッドデザイン賞を受賞している。

 積水ハウスの「スマートコモンシティ」は、太陽電池と燃料電池搭載を基本とし、ゼロエネルギー住宅「グリーンファーストゼロ」などとともに「安全・安心」「健康・快適」「エネルギー」「見守り」をキーワードに「SLOW&SMART」な暮らしを提案する同社独自の取り組み。これまで全国16か所、総区画1,708区画のうち、578区画が販売済みだ。

pixlr_IMG_0970.jpg
中央側溝とクルドサックも特徴の一つ

◇       ◆     ◇

 同社の「スマートタウン」の取材は、昨年行った宮城県富谷町の「スマートコモンシティ明石台」に次ぎ2回目だった。隣接の「かずさの杜 ちはら台」は3年前、大和ハウスが見学会を行っているので、訪ねるのは2回目。

 「明石台」もそうだったが、タクシーを降りた途端、街路に沿った区画が昔懐かしい石積みが施されているのには驚いた。以前はこの種の石積みは珍しくもなかったが、最近はほとんど見なくなった。

 道路には縁石がなく、舗道と敷地の境界もフラットとし、一部は中央側溝を採用しているのも大きな特徴だ。行政の理解を得られるまで時間が掛ったが、粘り強く説得して実現したようだ。

 街づくりの基本設計は、同社とも縁が深い宮脇檀建築研究室で活動されていた二瓶正史氏が担当。「道」を大切にした宮脇氏の思想はこの街にも受け継がれている。

 

pixlr_IMG_0969.jpg
街並み

◇       ◆     ◇

 驚いたのはこれだけではない。販売責任者の同社千葉南支店不動産課課長・青木博氏(47)から街づくりについて説明を受けたのだが、同社の不退転の姿勢に胸を打たれた。すべてのデベロッパーが学ばなければならないと感じた。

 不退転の姿勢はどこから生まれたか。依拠する街が大きく影響しているのは間違いない。

 同社千葉南支店は木更津市にある。読者の皆さんもご存じのように、木更津市は土地区画整理事業が全国的に盛んなところで、かつて東京湾アクアラインの開通などをあてこんで各地で開発が行われた。前市長はその旗振り役として全国に名を馳せた。

 ところがバブル崩壊。土地区画整理事業は動き出したら止まらない特徴がある。多くの事業が破たん状態に陥った。2002年には前市長が業務上横領容疑で逮捕され、市長を辞任。駅前の大型商業施設の撤退も相次いだ。

 記者は当時、小雨が降る中、1日がかりで市内の区画整理事業を取材したことがある。赤土だらけの禿山をみて呆然としたのを鮮明に覚えている。工事を請け負ったゼネコンはその後、民事再生法の申請を行った。

 青木氏はそのころ住宅展示場の担当だった。「赤ん坊まで買っても土地は余ると言われていた」と青木氏が振り返るように、「地価下落日本一」という不名誉な新聞記事が躍った。当時千葉南支店の成績は全国の中で下位に甘んじていた。

 青木氏は5年前、当時の支店長から「かずさの杜 ちはら台」の販売担当を任された。   

 責任者として就任するとき、「覚悟を決めよ。時が経つほどに価値が高まる街にするために、緑化基準を含めた街づくりのルールをお客さんに徹底するよう重要事項説明はお前が一人で全部やれ」と言われたそうだ。青木氏はその指示を守り、5年間で自社が販売した166区画全てのお客さんに1人当たり2時間半かけて重要事項を説明したという。

 同社が販売した「かずさの杜 ちはら台」の166区画は5年間で完売した。今の時期、166区画の住宅を5年間で販売するのは容易なことではない。今回の「ちはら台」の年間40区画販売も驚異的な数字だ。地域に根ざさないとできないことだ。その後千葉南支店の成績も回復し、全国トップレベルになったというのもうなずける。

 同社の「5本の樹」計画はよく知られているが、宅地購入者に中高木の植樹をお願いするのもまた容易なことではない。いま全国を席巻している建売り販売会社の住宅を見ればよく分かる。敷地はほとんどコンクリで固められ、樹木どころか雑草すら生えないのが当たり前になっている。お客さんが「いやだ」と言ったらそれまでだ。

 同社の街づくりに掛ける熱意は居住者にも浸透している。月額1,000円の管理費を徴収して樹木管理などに充てる仕組みも構築しているのだが、いつも草取りをしている年配の人に青木氏が「その草取りは業者がやってくれますよ」と声を掛けた。その人は「美しい街をつくろうというのはみんなで決めたこと。私の姿を子どもたちが目にすることでいっそう街に愛着をもってくれたらと思ってね」と話したそうだ。

 記者はこの話を聞きながら、住民の街を大切にする意識の高さに感動したが、販売を終えた街にも足しげく通う青木氏のことを見事だと思った。一方で、マンションデベロッパーなどが事業回転を速めるために〝事業離れ〟をいつも口にするのを思い出した。

 青木氏は「私たちももちろん販売が終了した後もアフターサービスを通じて関わり続けますが、私たちが離れても街全体の評価が高まっていくようにと願っています」と語った-〝経年美化〟の実践だ。

IMG_0971.JPG
「かずさの杜 ちはら台」の街並み(当初計画では右の公園に隣接する部分はコンクリの擁壁だったが、緑化を図ったという)
 

街のレベル高い「かずさの杜ちはら台」 大和ハウス「xevo Li」見学会(2011/10/21)

カテゴリ: 2014年度

 

積水ハウス「ハイブリッドS-MJ」.jpg
「ハイブリッドS-MJ」

 積水ハウスは8月25日、木造住宅「シャーウッド」に在来工法の4倍の業界最高強度を持つ耐力壁などを採用し、耐震性能を維持しながら設計の自由度も高めた新構法「ハイブリッドS-MJ」を開発、「シャーウッド」全商品に同日から導入すると発表した。

 新構法は、合板の二重張りや高耐力接合金物などにより強度を高めた耐力壁や、ラーメン柱と耐力壁の併用によりモノコック構造の堅さとラーメン構造の高い自由度を併せ持つ構造などを導入しており、設計条件が厳しい敷地や、3階建て、多雪地域でも大空間の提案が可能という。

 価格は3.3㎡当たり61万円から(本体価格のみ)。販売目標は150棟/月。

カテゴリ: 2014年度

IMG_0439.JPG

「プラウドシーズン栗平」

第一弾 全250区画の「プラウドシーズン栗平」9月分譲

 野村不動産が9月上旬に分譲開始する戸建て「プラウドシーズン栗平」を見学した。開発面積約25haの「稲城上平尾土地区画整理事業」地内に位置する全250区画の大型プロジェクトで、1区画最低面積を130㎡とし、ランドスケープデザインや外構・住戸デザイン、エネファーム全戸導入、ラクモア採用など街づくりにかける意気込みが伝わってくる物件だ。

 物件は、小田急多摩線栗平駅から徒歩9分、または小田急線新百合ヶ丘駅からバス約11分・徒歩1分、稲城市平尾の土地区画整理地内に位置する全250区画。敷地面積は135.00~159.18㎡、建物面積は100.52 ~118.93㎡、価格は未定だが5,000万円台から6,000万円台になる模様。建物は木造(2×4) 2階建て。設計・施工は東急建設、西武建設、細田工務店。

 かつて小田急多摩線の新百合ヶ丘駅徒歩圏では1億円以上、その他の駅圏では7,000~8,000万円の建売住宅が飛ぶように売れていた。さすがに最近の価格はそれほどでもないが、小田急不動産を中心に大手のハウスメーカー、デベロッパーが戸建てや停止条件付き宅地分譲を行なっており、良好な住宅地を形成している。

 区画整理事業方式により開発されたため、ここも良好な街並みを形成している。街全体は起伏に富み、1区画最低面積は130㎡、道路幅員は6m以上。外構には「まちなみツリー」「まちなみ花壇」を配し、各住戸のシンボルツリー、印象的なデザインの門柱、「コーナーウォール」などを設置。建物の外観には軒や窓周りにデザインモールやロートアイアン風のバルコニー手すりを設けている。

 住戸プランでは、全戸にエネファームを採用。同社の戸建てでは初めて「ラクモア」を導入。モデルハウスは吹き抜けリビング付きで主寝室にDENを設置し、浴室は1620サイズ、引き戸は全てソフトクローズ、2階のバルコニーは回遊できる広さなのが特徴。

  同社の戸建て住宅向けコミュニティ支援・生活サポートサービス「SMART&GROWING」を採用するほか、交流拠点となる「クラブハウス」も設置する。

IMG_0432.JPG

◇   ◆   ◇

 栗平駅は何度も建売住宅やマンションの取材で訪れている。今回の物件は、小田急不動産との競合もあるし、戸数が多く、はるひ野、京王線若葉台などでの供給も少なくないので高値追求はできないだろうと思った。7,000万円を超えることはないと予想したがその通りだ。アッパーで6,500万円ではないか。

 街並みの美しさや設備仕様の高さをアピールできれば十分勝負できると読んだ。同社は、大手町へ乗り換えなしで通勤できること、隣接の区画整理が進めば若葉台へのアクセスが飛躍的によくなる利便性もアピールしていくようだ。

IMG_0434.JPG
コーナーウォール

◇     ◆   ◇

 同社は昭和45年に約1,680区画の町田市・玉川住宅地(成瀬土地区画整理事業)に参画以降、「鶴川緑山住宅地」(約1,200区画)、「千都の杜」(約730区画)、「八千代緑ヶ丘」(約1,000区画)など40年間で合計25件(うち事業完了済20件、現在施行中5件)の土地区画整理事業に継続的に携わってきた。

 今回見学した「プラウドシーズン栗平」は施行中の「稲城上平尾土地区画整理事業」(施行面積25ha)地内のプロジェクトだが、同社はこのほかにも稲城市の2つの土地区画整理事業にかかわっている。「南山東部土地区画整理事業」(施行面積87.5ha)と「稲城小田良土地区画整理事業」(施行面積29ha)だ。3プロジェクトの合計施行面積は約142haだ。同社がどれだけの区画を取得・分譲するかは現段階で不明だが、マンションを含め千数百戸にのぼりそうだ。

 さらに同社は区画整理事業方式による戸建て分譲として今年に入って「プラウドシーズン船橋小室」(施行面積13.2ha、312区画)の分譲を開始した。「三芳町富士塚土地区画整理事業」(施行面積14.6ha)でも事業参画する。

IMG_0444.JPG

◇     ◆   ◇

 土地区画整理事業は「都市計画の母」と呼ばれてきた。記者も昭和50年代からそう呼んできた。地権者が権利に応じて土地を提供し(減歩)、その土地を道路や公園などの公共用地に当て、一部を売却して事業資金とする(保留地減歩)手法が、宅地不足を解消する合理的で公平な制度として定着し認識されてきたからだ。

 ところが、区画整理事業は地価の上昇を前提にした事業であるため、バブル崩壊後は様相が一変した。義業の長期化による金利負担増、減歩率の上昇、保留地の売却が進まないなどの理由から破たんするところが相次いだ。記者は減歩率が97%、つまりほとんど何も残らなかった広島県福山市郊外の「佐賀田土地区画整理事業(あしな台)」(19.5ha、342区画)の悲劇的な事例を取材している。

 昨年、三井不動産レジデンシャルが同社としてはバブル崩壊後で初めて茨城県守谷市の「松並土地区画整理事業」(施行面積41.7ha)に参画して話題になったが、それほど区画整理事業は厳しい環境下にある証左だ。

 その意味で、野村不動産の区画整理事業への参画は驚嘆に値する。稲城市での3つのプロジェクトは区画整理の復権・再生につながるかもしれない。それにしても、昭和45年に市街化区域に編入されてから区画整理事業が検討されてきた「南山東部」はそれから44年。当時生まれた子どもは44歳だし、母はすっかりおばあちゃんになっているはずだ。減歩率は68%で事業費は402億円。この間の推進派と反対派の賛否両論の時間とエネルギーを金額に換算したらいったいいくらになるのか。

IMG_0440.JPG
「みんなの書斎」(キッチンサイドに設置されており、料理に関することや子どもの勉強にも使える。キッチンやニッチなどにはマグネットが使えるホーローが多用されているのも特徴)

「区画整理の限界を超える」か スマートシティ「ビスタシティ守谷」(2013/2/22)

多摩ニュータウン学会 稲城市の南山東部区画整理・里山を学ぶ(2012/3/26)

カテゴリ: 2014年度

 

pixlr_IMG_0098.jpg
「ファインコート国分寺日吉町」

 三井不動産レジデンシャルが近く分譲開始する都市型戸建て「ファインコート国分寺日吉町」を見学した。エネファームや太陽光発電、蓄電池、HEMSなどを組み合わせることで、エネルギーの「創る」「蓄える」「省く」「見える化」などをスマートに実現する「スマートファインコート」に基づく第1弾で、街並みが美しいのも特徴だ。第1期の分譲戸数は14戸くらいで、今週末から登録申し込みが始まる。

 物件は、JR中央線西国分寺駅から徒歩13分、又は西武国分寺線恋ヶ窪駅から徒歩4分、国分寺市日吉町4丁目に位置する全27戸。土地面積は125.11~135.85㎡、建物面積92.80~102.39㎡、価格は未定だが、5,900万円台から7,600万円台の予定。建物は木造2×4工法2階建て。施工はエステーホーム。入居予定は26年9月下旬。用途地域は第1種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)。事業主は同社と日立アーバンインベストメント。

 同社は今年3月末から「ファインコート」シリーズにエネファームの全戸標準仕様化を決定しており、今回のプロジェクトにはHEMS+LED照明+エネファーム+太陽光発電システムを搭載。

 パッシブデザインの手法も取り入れており、舗道はインターロッキングブロックを採用。夏涼しい冬暖かい居住空間を実現するため軒・庇、窓の形状にも工夫を凝らしている。

 同社の試算によると、従来のTES熱源型と比べ年間の光熱費のランニングコストは約51%削減できるという。

IMG_0090.jpg

pixlr_IMG_0101.jpg

◇       ◆     ◇

 街並みを見てほとんど瞬時にレベルの高さを理解した。価格は7,000万円くらいだろうと判断したが、その通りだった。現地で対応してもらった同社地域開発事業部営業室所長・加藤泰明氏によるとこのエリアの相場は6,000万円がアッパーだそうで、決して安くはない。しかし、豊かな植栽計画、印象的なデザインの外観はアッパーミドルのユーザーに支持されるはずだ。

 敷地がすべて125㎡以上というのは市の指導によるもので、透水性のインターロッキング舗装も認められたようだ。日立の子会社が事業主になっているのは、敷地がもともと日立の社宅だったため。

 ランドスケープ、外構、建物デザイン、インテリアには4人のデザイナーを起用。フランスの「トロワ」「ブルゴーニュ」「ストラスブール」「ノルマンディ」の4つの田園都市をモチーフにした街並みに統一しているのが特徴。大屋根の外観、装飾窓や花台、ティンバー、石造り風、木製鎧戸、鋳物ブラケット、ジャワ鉄平の石積みなどが印象的。

 住戸内のリビングドアはソフトクローズ機能付き、階段はメーターモジュール。リビングの天井には化粧天井が採用されていた。洗面化粧室はマンションと同じ仕様。

 都市型戸建て市場はここ数年同社が独走状態にあったが、同業の大手デベロッパーも最近は力を入れており、競争が激化するのは必至だが、街並みの美しさ、建物デザインでは同社がまだまだリードしていると思う。

IMG_0092.jpg
外構

main_img02.jpg
化粧天井のあるモデルハウス

カテゴリ: 2014年度

 3号棟_017.jpg
KOIZUMIが照明計画を担当した「3号棟」

 ポラスグループの2×4戸建て分譲事業を展開している中央住宅は7月11日、南仏の街並みをモチーフにした〝ボゥ ヴィラージュ〟シリーズ第12弾「ボゥ ヴィラージュ越谷レイクタウン」の現地見学会を行い、7月19日から販売開始すると発表した。照明メーカー3社とコラボしたモデルハウス3棟を公開し、一般の来場者も含めたコンテストを実施する。先日行われた決算発表でも、7月からポラスの得意とする中・大型物件の供給を開始するとあり、その第一弾である。

 物件は、JR武蔵野線越谷レイクタウン駅から徒歩8分、越谷レイクタウンの区画整理事業地内に位置する全62区画。土地面積は150.02~159.67㎡、建物面積95.75~100.50㎡、価格は未定だが、3,000万円台の後半から5,000万円台の前半(最多価格帯は4,000万円台の半ば)。第1期分譲は20棟。

 現地は、これまでイオンモールや民間マンション・一戸建てなど先行して開発が進められてきた駅北口とは反対の南側の戸建て街区の一角で、敷地面積が150㎡以上、壁面の位置が1m以上離すなどの規制がある住宅地。

 建物はベージュを基調とした外観デザインで、エントランス部分には自然石を敷き詰め、ウッド、タイル、ストーンの3種のサインウォールを設置。シンボリックな尖塔付きタイプも用意している。1階の天井高約2.7m、サッシ高約2.2m、親子リビングドアなどはこれまでの戸建てと同じ。

 見学会に臨んだ同社取締役兼マインドスクェア事業部部長・金児正治氏は、「駅南側は開発がやや遅れており、街のシンボルともなるよう緑豊かで潤いのある街づくりを促進させるためにも意欲的な取り組みを行なった。工期を90日に短縮し、照明メーカー3社と建物の商品企画段階からコラボしたのもそのひとつで、素晴らしいものができたと思っている。来場者の方に商品としても評価してもらうようコンテストも行う」と語った。

3号棟_007_e.jpg
「3号棟」

◇      ◆   ◇

 見学会に参加した記者にも3棟のなかで一番好きなのを選ぶよう求められたので、記者はためらいなくKOIZUMIが照明計画を担当した「3号棟」を選んだ。プレゼンが明快であったためだが、玄関・ホール・階段室の空間演出と、1階の南側に配したダイニング-リビング-畳コーナーの長さ約9mもある下がり天井のライティングが見事だったのを評価した。ダイニングに自然採光を取り入れたのもいいし、洗面室や主寝室の演出もユーザーに支持されるはずだと思った。

 照明はパナソニックが担当した「2号棟」は、外構・デザイン、吹き抜けのあるリビングなどプランはよかったが、照明はその意図が分かるだけに物足りなさを感じた。アプローチライト、スポットライトはいいのだが、玄関框とニッチのライティングのスイッチは手動ではなく人感センサー付きにすべきと思った。手動にするのであれば、点滅に家族のメッセージを込める、例えば点滅しているときは「パパ、お帰り」「ママ、ありがとう」「今晩はOK」など、消灯は「また無断で飲んできた」などだったら記者は投票したかもしれない。

 DAIKOが照明を担当した「4号棟」はせっかくリビングに吹き抜け空間を設けたのに、それが中途半端だったのが不満だった。リビング・ダイニングは17帖大あるのだが、中央の吹き抜け部分は1.3m×2.7m、2畳大しかないのがどうかと思った。吹き抜け部分を南面に寄せ、全面ガラス張りにしたら素晴らしい空間演出ができたのではないか。「温調」「楽調」などはリモコンなどでもっと簡単に調光できるようにしてほしかった。吹き抜けを利用した2階ロフトの提案はいい。

2号棟1333.jpg  2号棟D-2 1524.jpg
「2号棟」

◇   ◆   ◇

 なかなかいい見学会だ。20年くらい前だったか、三井不動産レジデンシャルがYAMAGIWAとコラボして建売住宅を建てたのを思い出した。外灯の位置、足元灯、化粧がしやすい洗面室、自然光を採り入れた浴室などがユーザーの圧倒的な人気を呼んだ。ハウスメーカーでは旭化成ホームズが4年前に記者見学会を行なっている。

 今回の照明計画も順光よりもダウンライト、間接照明、アッパーライトを重視しているのは納得できた。しかし、ユーザーの視点に立った場合、金児氏がいみじくも言ったように「楽しい照明計画」になっているのかどうかについて同社も照明メーカーはもっと考えるべきだと思った。

 実はこの日、見学会の時間は1時間少ししかなかった。見学の最後の頃、ゲリラ豪雨が襲ったため、3棟全てを十分見学できなかった。記者は同社の車で駅前まで送ってもらったのだが、企画意図をしっかり理解するため同社の駅前のカフェ「バナーノ」で資料をじっくり読んだ。それでもよく分からなかったので、同社広報に連絡してもう一度戻った。結局、14:00から18:00過ぎまで取材した。

 それでも正直にいってまだよく分からない。コストはもちろんだが、「2号棟」でも書いたようにユーザーは手動で朝昼晩、用途によって光の調整などしているのだろうかという疑問がわくし、そもそも夜は暗いものだし、必要以上に室内を明るくする必要があるのかとも思う。

 もっと外光を取り込む工夫や闇を逆手に取ることも考えていいはずだ。光と風、光と音の演出がこれからは必須だろう。

 個人的なことをいえば、真っ暗な蚊帳の中に蛍を放ったり、障子の影絵を楽しんだり、雨戸の節穴から朝日が差し込み逆さ絵を描いた昔の住宅が懐かしい。至れり尽くせりよりもユーザーに考えさせる照明計画が一番いいのかもしれない。今回の試みがそのヒントになってほしい。

4号棟1151.jpg 4号棟1443.jpg
「4号棟」

旭化成ホームズ 「明るさ尺度値」を用いた照明計画(2010/6/10)

カテゴリ: 2014年度

ホワイト.JPG
「マルチアイランドキッチン」

 旭化成ホームズは7月11日、今年25周年を迎える同社の「共働き家族研究所」が調査・研究した報告書「いまどき30代夫の家事参加の実態と意識~25年間の調査を踏まえて~」(A4判86ページ)をまとめ発表した。

 調査の結果、①夫の家事参加が大幅に進み、5割の夫は洗濯ものを干す②夫の7割近くが、出産後も妻に仕事を続けてほしいと思っている③家事を完璧にこなせる夫は3割で、意欲はあっても上手にできない「チョイカジパパ」が多い-ことなどがわかった。

 また、今回の調査結果を踏まえ、同研究所と永大産業が共同して、夫の家事参加を促す「マルチアイランドキッチン」「ランドリーサンルーム」「デイリークローゼット」を開発、住宅展示場や「街かどヘーベルハウス」などで提案していく。

◇     ◆   ◇

 記者はこの種の発表会でいつも思うのだが、社会、経済環境は昔と比べ大きく変化している。「専業主婦」「配偶者・扶養控除」「寡婦(夫)控除」「共働き」などの呼称・文言について考え直すべきだと思っている。

 記者は約10年間、妻が死亡したためだが2人の子どもを育て仕事もこなしてきた。同社が夫の家事・育児関与度を21項目に分類した評価では21項目、つまり調理も洗濯も掃除も育児も程度の差はあれ全て行なった。特に食材では白、黒、赤、緑、黄を盛り込むことは忘れなかった。鰹節やトリガラで出汁を取ったこともあるし、砂糖を用いなくても甘みを出すことも覚えた。アップルパイは毎週のようにつくった。

 同社はまた、妻のしっかり家事度を13項目に分類して評価したもの、例えば「雑巾がけ」「水拭きする」などは全然行なわなかったので、2~3項目しかやらなかった。それでも家事・育児労働は1日3~4時間くらいはやったはずだ。

 家事・育児労働を金額にも換算したことがある。自己評価では月額30万円くらいになった。しかし、それでも記者は専業主婦(夫)でも兼業主婦(夫)でもなく、「孤閨」を守ったわけではないし、うじがわく「男やもめで」もなかったが、税法上は「寡夫」だ。そんな経験から、先にあげた言葉がしっくり受け入れられないのだ。

 例えば専業主婦。ウィキペディアによると、専業主婦は「『働く女性(賃金労働者)』と『専業主婦』はもともと対立概念ではなく、様々な理由から多くの女性が『働く女性(賃金労働者)』と『専業主婦』というライフコースを行き来する。賃金労働に従事していない時期名である為、『無職』に分類される。…専業主婦は家庭という組織内部で貢献しつつ内部分配を受けることから、企業における製造・営業に対する『総務・経理的役割』と同等の『家庭内の役割』だと考えられている」とある。

 これはこの通りだろう。しかし、必ずしも女性の労働環境は良好といえないから、働く女性と対立して考えざるを得ない現実がある。賃金労働者でないから「無職」とする一方で、企業における『総務・経理的役割』と同等」の役割を担っているとしていることに矛盾はないか。「家事労働」という言葉もあるくらいだから、「専業主婦」の労働価値を正当に評価すべきだと思う。

 また、「配偶者控除・手当て」もよく分からない制度だ。103万円だとか130万円の壁が論議されているが、女性の雇用促進を考えるのなら、働く女性が不利にならないように、また多様な生き方が選択できるような仕組みにすべきだ。「寡婦(夫)」もいやな言葉だし差別的だ。「未亡人」「やもめ」「孤閨」などと同じだ。税制面での支援策があるが、ならばどうしてシングルマザー、シングルファザーには支援がないのかもよく分からない。

 ことほどさように生き方は様々だ。家父長制が貫徹されていた昔と異なる。このあたりの制度なり意識改革を抜本的に行なわない限り、女性の社会進出促進や男女共同参画社会は実現しないのではないか。「男女参画社会」もまたよく分からない概念で、どうして「男女平等社会」でいけないのか。

◇     ◆   ◇

 調査結果は予想していた通りだし、「マルチアイランドキッチン」「ランドリーサンルーム」「デイリークローゼット」の提案もなかなかいい。アイランドキッチンは他社も採用しておりかなり増えてきたが、2帖ほどのランドリーサンルームとそれに隣接した「タタミコーナー」「デイリークローゼット」がいい。記者も洗濯には難儀した。ティッシュを取り忘れたときなどはパニックになった。室内にコンパクトに洗濯作業場があると助かる。

 ついでだが、いかに「寡夫」にとって家事・育児労働が大変であるかを紹介しよう。

 だいたい自分の時間が持てるのは夜10時過ぎだ。それから酒のつまみをつくり1時、2時まで飲む。もちろん原稿も書く。遠足用の弁当つくりもこの時間まで掛かる。

 困るのは子どもに持たせるこまごました道具類だ。あるとき「ナプキン」を持たせるようにと学級便りにあった。これには頭にきた。記者は妻がいないことを先生は承知しているのにどうして生理用品を持ってこいというのか、怒鳴りつけようかと思ったが、義妹に相談した。「よく読みなさいよ。そんなもの持ってこいというはずない」と電話口で言われたので、よく見たら「ナフキン」だった。それまで「布巾」は知っていたが、「ナフキン」など知らなかった。「トイレ」を持ってこいというのもあった。これにも呻吟した。先生を呪った。しかし、これもよく見たら「トレイ」だった。

 読者の方々は笑うかもしれないが、忙しいときはゆっくり学級便りなど読んでいる暇は全然ない。やってみれば分かる。

カテゴリ: 2014年度

IMG_9657.jpg
「マインドスクェア練馬春日町」

 ポラスグループの中央住宅マインドスクェア事業部が分譲開始した「マインドスクェア練馬春日町」のモデルハウスを見学した。同社の都内城西エリアでの分譲戸建てを見学するのは3件目だが、隣接する公務員宿舎の借景といい商品企画といい、大手デベロッパーの物件と十分戦える商品と見た。

 物件は、都営大江戸線練馬春日町駅から徒歩11分、練馬区田柄3丁目に位置する全12区画。土地面積は100.16~123.49㎡、建物面積は89.7~108.75㎡、価格は6,450万~7,880万円(最多価格帯6,700万円台・6,900万円台)。構造は木造2階建て(2×4工法)。

 現地は、練馬高校、小・中学校に近接し、閑静な住宅街の一角。防衛庁の公務員宿舎に隣接しており、ケヤキ、イチヨウなどの緑の借景に恵まれているのが大きな特徴。同社の物件に隣接して細田工務店も12区画の分譲戸建てを建築中だ。

 外観は、先に見学した「赤塚」と同じ尖塔付きもあるが、全体として同社のこれまでの分譲戸建てにはなかった洗練された都会的デザインになっている。 

 アプローチ・エントランス周りは天然石の石張りやテラス空間を設けゆとりを演出。設備仕様は同社オリジナルのものがふんだんに採用されている。1階の天井高は2.7m、サッシ高は2.2m、リビングドアは親子ドア、玄関ニッチ、突板フローリングなどが標準装備。モデルの1、2号棟には9.5kwhの大容量蓄電池が標準装備されており、他の住棟もオプション設定されている。

IMG_9661.jpg
手前は防衛庁の公務員宿舎

IMG_9659.jpg
外構

◇       ◆     ◇

 同社の分譲戸建ては数えきれないほど見学してきた。そのほとんどは同社が地盤とする埼玉県や千葉県だ。同社が都内に進出する方針を固めた2年前から、商品企画は十分大手と対抗できると思っていた。全ての分譲戸建てで1階の天井高を2.7m確保しているのは同社だけだ。

 これだけでも十分だが、階段のステップは15段というのも他社は少ないはずだし、最近は少なくなったようだが、メーターモジュールどころか1.2mの階段幅を確保した物件もあった。親子ドアも多く採用している。細かなことでは、タッチレススイッチ、洗面室暖房などもある。

 一つだけ懸念していたのは外観デザインだ。軸組工法でも2×4工法でも、最近の大手デベロッパーはシャープな都会的デザインのものがほとんどだ。同社はどちらかと言えばオレンジ、ベージュなど暖色系を多用した欧風デザインが主流だ。いったい、このようなデザインが都内の準都心部でもユーザーに受け入れられるのかとずっと思っていた。

 同社取締役事業部長・金児正治氏とはこの問題について何度も話し合ってきたが、金児氏は「練馬春日町は大手デベロッパーの分譲戸建てを意識した商品企画にする」と語っていた。記者は間違いなく勝負できると思う。価格もモデルハウスを見学して予想した値段とぴったり一致した。これからの展開に注目したい。

2号棟吹抜け042.jpg
吹き抜け

1号棟リビング ダイニング073.jpg
モデルハウス リビング

カテゴリ: 2014年度

 IMG_9610.jpg
「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」街びらきフォトセッション

 東武鉄道は6月13日、千葉県野田市で開発を進めている土地区画整理事業地内の大規模開発「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」の街びらきを行った。野田市長・根本崇氏、同社専務取締役・竹田全吾氏ら関係者が参加して、ちびっこ鉄道制服着用体験、「烈車戦隊トッキュウジャー」ショー、地元中学校吹奏楽部による演奏会、工房スタッフが教える壁張り体験、地元店舗による飲食などの物販販売など盛り沢山のイベントが行われた。約1,100人が集まった。

 同開発は戸建て住宅を中心とした約500区画(約9.1ha)の規模で、「自然を感じる暮らし」「自分らしい暮らし」「コミュニティでつながる暮らし」がコンセプト。

 区画整理事業は、施行面積が約28.1ha、施行期間は平成4年から同19年。総事業費は127億円。同社は平成5年から業務代行を受けて造成工事を進めており、約500区画(約9.1ha)の土地を保有。沿線のイメージアップ、活性化の取り組みの一環として魅力ある街づくりを進める。

 「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」は、大宮と船橋を結ぶ東武野田線(愛称:東武アーバンパークライン)清水公園駅前に位置し、駅前にはコミュニティを図る約4,500㎡の「そらいえひろば」を設置したほか、「みんなのカフェ」「えほんの図書館」「まちのコンシェルジュ」機能を備える。戸建て分譲の1期(28棟)の土地面積は150.43~178.37㎡、建物面積91.91~99.98㎡、最多価格帯は3,000万円台の前半を予定。販売開始は7月中旬。パッシブデザイン、ハンドメイドの手法を盛り込んでいるのが特徴。

 まちびらきで挨拶した同社・竹田専務は、「『都市とつながる、こころのふるさと』のキャッチコピーには、この街が末永く『こころのふるさと』でありたいという私たちの思いが込められています。この街づくりを通して、沿線地域の今後のますますの発展に少しでも寄与することが出来れば幸い」と語った。

IMG_9629.jpg
街びらき会場になった駅前の広場

3.JPG
挨拶する竹田氏

◇        ◆     ◇

 同社の大規模開発は「つきのわ」以来10年ぶりだが、いかにも鉄道会社らしい街づくりだ。駅前に様々な施設を整備したのもそうだが、戸建ての商品企画は10年後、20年後を見据えた「ハンドメイドでつくりあげていく」街だ。環境共生がテーマになっており、デザイン監修には「チームネット」代表・甲斐徹郎氏を起用。パッシブデザイン手法を全面的に採用している。

 甲斐氏からプロデュースハウスを案内してもらったのは午後2時30分過ぎだった。甲斐氏は次のように話した。

 「室内の温度は周囲の表面温度に大きく影響されます。いま地表の温度は45度です。建物西側のアプローチデッキの表面は30度です。芝生や樹木、スダレなどのバッファがあるから温度が下がるのです。今朝の室内の壁の表面温度は21度でした。昨夜、部屋の窓を開け放して冷気を取り込んだ結果です。そして、今の室内の温度は26.2度。外気温は28.3度です。かなり人の出入りがあったことを考慮すると、かなり効果があることが分かります。樹木が生長すればもっと数値はよくなるはず」

 体感温度は湿度にもよるが、この26.3度というのはエアコンなしでも過ごせる温度だろう。植栽やウッドデッキ、スダレ、さらには2階の階段室の上部に設けられた熱を逃がす高窓が効果てきめんであることを証明した。

 この種のパッシブデザインの手法は以前から取り組まれてきたが、最近は高気密、高断熱のアクティブデザイン手法に押され気味だった。その流れを劇的に変えたのが東日本大震災だ。今後もパッシブデザインの取り組みが盛んになるのは間違いないし、同社の今回の提案もその流れに沿ったものだ。

 ここで強調したいのは、甲斐氏こそ環境共生が叫ばれだした20年くらい前からずっとその必要性を主張してきた人だということだ。記者は15年前、甲斐氏らが中心になって完成させた「経堂の杜」を見学して、その豊かな外構に驚愕した。たしか、外壁にせせらぎを設けたのではなかったか。この外壁にせせらぎを設置する建物としては、隈研吾氏が設計・デザインを監修した豊島区の「Brilliaタワー池袋」にも採用されている。

 もう一つ、購入者が好みでエコな壁紙を貼ることができるのも大きな特徴だ。ハンドメイドコーディネーター・坂田夏水氏が監修した簡単でエコな壁紙を玄関と主寝室の2カ所に自分で張ることができる。駅前の工房で張り方などが学べるようになっている。

IMG_9623.jpg
「ものづくり工房」(壁紙張り体験ができるコーナー)

IMG_9616.jpg
甲斐氏(左)と坂田氏

◇     ◆   ◇

 同社が今回分譲する清水公園駅の一駅大宮寄りの七光台駅圏ではポラスが圧倒的人気を呼んだ「パレットコート七光台」がある。七光台のようなスピードで売れるかどうかは分からないが、同社は「ハンドメイドで作り上げていく」とコンセプトに掲げているように、販売スピードをあげるよりじっくりと年間40~50戸を販売していく戦略だろうと思う。

 パッシブデザインの街は年を経るごとに価値が高まっていくし、スローライフな生き方を希望するユーザーに訴求する売り方をするのではないか。数えてはいないが、各住戸の敷地には10本くらいの中木の若木が植えられていた。成木になるには10年掛かるのではないか。

 ひとつ、地元の野田市にいいたい。第1期分譲の街区に面した道路の街路樹にはクスが植えられていた。その樹形の悪さにびっくりした。まだ成木ではないが、将来が思いやられる。クスはこんもりとした見事な樹形に生長するが、ここの街路樹はチュッパチャプスの飴玉そのものだった。まったく思想がない。

IMG_9635.jpg  IMG_9622.jpg
コンセプトハウス

IMG_9636.jpg
モデルハウス

IMG_9639.jpg
全国大会にも出場するという地元の中学校吹奏楽部の演奏

 

三井不動産レジ・大和ハウス工業 「アユモシティ」街びらきに2000人(2013/7/19)

街路樹が泣いている(8) 奇形ばかり海浜幕張・電柱そのもの府中街道の街路樹(2012/6/12)

全191戸が5カ月で完売した「パレットコート七光台」(2005/2/4)

カテゴリ: 2014年度
 

 

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン