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 大和ハウス 国産材の採用を加速

木造軸組戸建て住宅 異業種コラボ2商品発売



「BoConcept×xevo( ボーコンセプト×ジーヴォ)」片流れ屋根(左)とフラットルーフ

 

 大和ハウス工業は月23日、同社の木造軸組戸建住宅商品「xevo GranWood (ジーヴォ グランウッド)」と「ボーコンセプト・ジャパン」の北欧デンマークインテリアブランド「BoConcept( ボーコンセプト ) 」とのコラボレーションによる新商品「BoConcept×xevo( ボーコンセプト×ジーヴォ)」を7月26日から発売すると同時に、「私の部屋リビング」が運営するフレンチインテリア雑貨ショップ「キャトル・セゾン」とのコラボレーションによる商品「Maison des quatre saisons×xevo ( メゾン・デ・キャトル・セゾン × ジーヴォ )」のバリエーションを拡充させ、本格展開すると発表した。異業種とのコラボにより販売チャンネルを拡充することで商品販売力を強化するのが狙い。

 「BoConcept×xevo」は、30代から50代の男性向けの企画提案型商品。2種類の内装デザインと外観デザインの提案を行なう。無垢フロアやウッドブラインドを標準装備し、オリジナルの「ウォールペーパー」も採用する。「BoConcept」は1952年創業のデンマークの家具メーカー。世界59カ国、日本では18店舗で展開している。

 販売価格は、本体工事が2,250万~3,000万円(税込み、太陽光発電システム3kw搭載)。販売目標は年間60棟。

 「Maison des quatre saisons×xevo」は、昨年1月から販売を開始しており、20代から30代の女性に人気の商品。フランスのプロヴァンス風の外観に、ライトブラウンを基調とした内装デザインを施し、各空間には雑貨やアンティーク、家に代々伝わる家具なども大切にするというエスプリを感じさせる暮らし方を提案している。今回、新たな提案・仕様を追加し、バリエーションを拡充することで幅広い幅広い年代の顧客のニーズに応えるのが狙い。

 販売価格は、本体工事が2,000万~2,500万円(同)。販売目標は年間60棟。


「Maison des quatre saisons×xevo」エレガントスタイル1(左)とエレガントスタイル2

◇     ◆     ◇

 今回の新商品の発売の狙いは明確だ。同社は今年3月、10年ぶりに工法を一新し、構造軸組材を100%国産材とした木造軸組工法の新商品「xevo GranWood (ジーヴォ グランウッド)」を発売したが、今回、異業種とコラボすることにより販売スピードを加速させようということだ。

 記者発表会に臨んだ林直樹執行役員(木造住宅事業担当)も「3年前から国産材の活用に取り組んでいる。当初は65%ぐらいの採用率だったが、強度不足も補えたし供給体制も整いつつある。現在の採用率は90%を越えている。100%達成を目指す」と語った。国産材の採用は国策にかなったものだ。森林・林業の再生に同社が積極的に取り組むことに期待したい。

 

ウォールペーパー 木製ブラインド

 

大和ハウスの逆襲 新工法「構造100%国産」軸組発売(3/4)

カテゴリ: 2013年度

 三井不動産レジデンシャル・大和ハウス工業

 「アユモシティ」街びらきに2000人



当日の様子

 

 三井不動産レジデンシャルと大和ハウス工業は7月19日、西武拝島線西武立川駅前に誕生した「アユモシティ」で6月30日(日)に街びらきフェスタを開催し、約2,000人が集まったと発表した。「アユモシティ」は、「Walkable Bio City≪歩くことが楽しくなる街≫」というコンセプトのもと進められている「西武立川駅南口複合開発事業」のこと。両社はこの一画で総区画数259区画の戸建分譲事業を行っている。

 当日は、戸建て居住者だけでなく、周辺地域の居住者も参加。地元で活躍しているアーティスト、農家や生産者、人気飲食店、書店、行政などの関係者も集まった。

 物件は、西武鉄道西武拝島線西武立川駅から徒歩2分、立川市西砂町一丁目に位置する総開発面積約6.7ha。三井不動産レジデンシャルが168区画、大和ハウス工業が91区画。工事完了は平成25年2月。

2カ月弱で100戸契約 名鉄不動産「メイツ西武立川」(4/23)

カテゴリ: 2013年度

日本土地建物販売

「ラヴィアンヴェール高井戸」が全戸即日完売

 

 当欄既報の日本土地建物販売の建売住宅「ラヴィアンヴェール高井戸」全12戸が即日完売した。5月25日に抽選分譲した第1期(8 戸)は最高5倍、平均2.3倍、6月8日に抽選分譲した第2期(4戸)は最高6倍、平均3.2倍だった。問い合わせ件数は600件以上、来場者は135件以上にのぼった。

 

日本土地建物販売 次世代制震装置装備の「高井戸」1期即完(6/4)

カテゴリ: 2013年度

タカラレーベン 境界のフェンスを全て排除した

建売住宅「レーベンプラッツ大泉学園」


「プラッツ大泉学園」

 

 タカラレーベンが6月から分譲を開始した建売住宅「レーベンプラッツ大泉学園」を見学した。隣り合う住戸間のゆるやかなコミュニティ を醸成するため全27棟の境界のフェンスなど工作物を一切設置せず、隣戸間の空間には低中木の緑をたくさん確保した。この種の建売住宅の例は首都圏ではほ とんどなく、必見の物件だ。

 物件は、西武池袋線大泉学園駅からバス13分、徒歩3分、練馬区大泉学園町8丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率 100%)に位置する全27棟。敷地面積は100.21~128.95㎡、建物面積は82.39~101.17㎡、価格は4,798万~6,268万円 (最多価格帯5,700万円台)。建物は木造2階建(在来軸組工法)。全棟完成予定は平成25年9月中旬。

 

◇     ◆     ◇

 

 最大の特徴は、4棟を1ユニットにした「アウトサイドラウンジ」と呼ばれる緑の空間を設置し、東西軸も南北軸も境界にはフェンスなどの工作物を一切設けていないことだ。

 記者はこれまで30余年の記者生活の中で、4~5棟で共有するコモンスペースや南北軸の間に舗道(路地)を設けた建売住宅は見ているが、隣戸間の境界にフェンスを設けていない27棟もある団地を見学するのは初めてだった。これには驚愕すると同時に快哉を叫んだ。

 記者が子どもの頃の田舎の住宅は垣根こそあったが、隣戸間の境界などあってないようなものだった。隣の敷地を通ろうが敷地に立ち入ろうがとがめるものなどなかった。子どもも親も自由に行き来した。玄関を通らずとも勝手口、台所、居室が出入り口になった。味噌、醤油などの貸し借りは日常茶飯だった。

 今回の物件も、フェンスがないから、通ろうと思えばどこからでも出入りできる。おそらく子どもたちはそのような利用をするのではないかと思った。

 それだけではない。建物の外壁には薄っぺらいサイディングではなく、厚さ約 1 センチのガラス素材を用いた塗り壁やタイルが採用されている。塗り壁は櫛引仕上げのものが多用去れている。ベランダは黒のルーバーが多用されていた。建物は周囲の建物と調和させるため寄棟のデザインとなっている。


南側道路の住宅の庭

 

◇     ◆     ◇

 

 いったい、どうしてこのような驚嘆すべきランドスケープデザインのプランを考え出したのか、非常に興味があったので設計を担当した㈱ HIRAMEKI の重松剛氏に電話で聞いた。重松氏は次のように語った。(重松氏は同じようなプランの「はちおうじこまち」で2009年にグッドデザイン賞を受賞している)

 「八王子でも同じようにフェンスを設けない戸建てを供給している。そのときは、高齢者には抵抗を示された方もいたが、ターゲット層の30歳代は全然問題がなかった。今回も分譲する以前にアンケートをとったが、八王子と同じような傾向となった。それで『これで行けそうだ』となった。同じようなプランは首都圏では他にないだろうが、全国で見るとゼロではない。

 全体的なコンセプトとしては過剰な設備を排除し、できるだけ自然のエネルギーを取り込んだパッシブデザインを採用した。庭などに用いた石は軽石で、敷地北側に中木や軽石を多用したのは、緑や軽石の気化熱を利用して夏場の冷気を北側から取り込み南側に送ろうという狙い。4戸1ユニットにしたのは、これぐらいの規模のほうがコミュニケーションがとりやすいということだ」

  
左側が北側住戸、右が南側住戸

 

◇    ◆    ◇

 

 タカラレーベンの建売住宅を見学するのは2度目だった。見学する前は「アウトサイドラウンジ」なるものがどのようなものかチラシには説明されていなかったので、全然知らなかった。〝価格ありき〟の物件で見るべきものがなかったらどうしょうとも思った。

 それが冒頭の素晴らしいランドプランだ。よくぞ、このような建売住宅の分譲に踏み切ったとタカラレーベンの決断を賞賛したい。まず他のデベロッパーだったら「ノー」だろう。とはいえ、村山義男社長や島田和一副社長をよく知っているから、ゴーサインを出したのも納得できる。同社には社員のやりたいことをやらせるいい社風がある。ぜひともこのプロジェクトを成功させて欲しい。


モデルハウスのLDK

カテゴリ: 2013年度

細田工務店 意欲的な「木ここち杢(きここちもく)」本社ショールーム

 


「木ここち杢(きここちもく)」のショールーム

 

 細田工務店が先にオープンした注文住宅の新商品「木ここち杢(きここちもく)」のショールームを見学した。注文住宅としては2010年に発売した「L'fits <ラフィス>」に次く3年ぶりの新商品だ。

 ショールームは本社内の商談コーナーに設置したもので、外観などは分からないが意欲的な商品であることは伝わってきた。

 まず、目を引いたのがナグリ調仕上げコーナーだった。大工さんが現場で釿(ちょうな)で削って仕上げるものではなく、工場で生産されたものだったが、それでも 35,000 円/㎡ぐらいする高価な無垢のオーク材が用いられていた。

 このほか建具面材などは全てウォルナット、ブラックチェリー、メープルなどの無垢材や珪藻土、麻などの自然素材が用いられていた。

 

◇     ◆     ◇

 

 建売住宅が飛ぶように売れた昭和50年代、同社は木下工務店(現木下ホールディングス)、日本電建、殖産住宅、六建建設などとともにトップメーカーとしてそれぞれしのぎを削っていた。バブル崩壊後は、日本電建も殖産住宅も六建建設も破綻するなどで第一線から退き、木下もサーベラス傘下に入り業態はすっかり変ってしまった。

 その意味では、現在まで建売住宅の供給・他社受注を継続しているのは同社ぐらいだ。まさに〝老舗〟だ。同社の創業は昭和22年(1947年)だから今年で64年目だ。建売住宅メーカーとしては〝老舗〟の域に達しつつある供給トップの一建設(旧社名、飯田建設工業)は昭和42年(1946年)だし、兼六ホームは昭和43年(1968年)、ポラスは同44年(1969年)だから20年以上も差がある。

 それなのに細田だけがバブル崩壊後ずっと業績が低迷しているのがよく分からない。〝老舗〟に胡坐をかいているとは思えない。同社のホームページには 2004 年以降に竣工した法人受注物件のリストがあるが、記者も見学した素晴らしい団地がたくさん掲載されている。しかし、なぜか自社の優れた団地は全く掲載されていない。これは老舗としての謙譲か。記者などは真っ先に「グローイングスクエア杉並和泉」を代表作として掲げる。

 とにかく注文も建売住宅も同社には頑張って欲しい。


記者がほれ込んだ阿佐ヶ谷駅前の首都圏不燃建築公社・三菱地所レジデンス「バークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」

 

細田工務店 注文住宅の新商品「木ここち 杢」発売(5/30)

後姿が美しい「マンション環境性能表示」☆3つ 「パークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」(2010/3/8)

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さすが日土地 土地の魅力を最大限引き出す

「ラヴィアンヴェール高井戸」 第1期が即日完売

 


「ラヴィアンヴェール高井戸」

 

 日本土地建物販売が先に第1期8戸を即日完売した建売住宅「ラヴィアンヴェール高井戸」を見学した。高井戸駅から徒歩3分の高台立地で、由緒ある土地の魅力を最大限に引き出した好物件だ。並木道や神田川沿いの緑が美しい街だ。

 物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩3分、杉並区高井戸西1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%・50%、容積率80%)に位置する全12戸。第1期(8戸)の敷地面積は125.19~140.25㎡、建物面積は98.12~104.12㎡、価格は7,480万~9,100万円。建物は2×4工法2階建て3月下旬に竣工済み。施工は細田工務店。5月25日に抽選した結果、最高5倍、平均2.3倍で即日完売した。来場者は135件、問い合わせは60件にのぼった。引き続き第2期(4戸)が6月8日に分譲される。

 

◇     ◆     ◇

 

 高井戸駅を降りると直ぐに現地が分かる。見たとたん即日完売を納得した。駅から現地まで神田川沿いの緑道を通り、高さ約5mの階段を上ったところが現地だ。法面の高木がいかにも歴史のありそうな敷地であることをうかがわせる。

 販売担当者によると、地元の社会福祉法人浴風会の社員寮跡地とのことだった。浴風会についてネットで調べたら、発祥は「関東大震災の被災老人の援護を目的として皇室の御下賜金を含む義捐金を基として内務省社会局の手により財団法人として設立…内務省社会局によって90,750平方メートル(約27,500坪)のこの地(当時は東京府豊多摩郡高井戸村)に、本館・入居棟・付属建物合わせて54棟の建物…の施設を設置したのが浴風会の始まり…浴風会本館は、大正15年に内田祥三(うちだよしかず)氏並びに土岐達人氏により設計されました。中央に塔を配置し、両翼を広げた姿は、内田氏が手掛けた『東京大学安田講堂』と共通する表情を見せています」とホームページに書かれていた。

 ランドプラン、建物外観は由緒ある土地にふさわしい風格、気品のあるものだ。基礎には地震エネルギーを約46%吸収する次世代制震装置SSダンパーを採用したほか、外壁は写真のように日射を遮りながら通風・採光も確保する遮蔽壁を採用しているのが特徴だ。その他設備仕様レベルも高い。


坪庭

 

◇     ◆     ◇

 

 他のデベロッパーも喉から手が出るほど欲しい土地だろう。同社の用地取得の経緯は聞いていないが、さすが日土地。数は多くはないが、バブル崩壊後も継続してレベルの高い建売住宅を供給してきたからこそ、この土地の魅力を最大限に発揮したといえる。

 価格もリーズナブルだ。現地を見て、さすがに1億円は越えないだろうと読んだが、2期も最高価格は8,880万円だ。同社は隣接地でも用地を取得しており、戸数は今回の物件より少なくなりそうだが建売住宅になるのは間違いない。

  細田の施工もいい。創業以来60余年、ずっと戸建ての分譲、施工を続けてきた技術力・デザイン力がうかがわれる。今回の建物は2×4だが、これもなかなかいい。記者がこれまでたくさん見てきた自社、法人受注物件のうち2×4はどれぐらいの比率なのだろうか。自社物件は軸組が圧倒的に多いはずだが、法人受注では2×4も意外と多いような気がする。

現地の法面 神田川沿いの緑道から現地を望む

 

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細田工務店 「本物の気のよさ」を提案した

新商品「木ここち杢(きここちもく)」発売

 


「木ここち杢(きここちもく)」

 

 細田工務店は6月1日、注文住宅の新商品「木ここち杢(きここちもく)」の販売を開始する。発表に先立ち5月18日、「木ここち杢」を体感できるショールームを杉並区の同社本社内にオープンした。

 「木ここち杢」は、創業以来60余年、「木造軸組工法」「直営責任施工」を貫いてきた木造住宅のエキスパートとしてその伝統と技術を世に問うもの。「杢」は「木を扱う匠」と「木目の中でも特に美しい紋様」を表す言葉。「本物の木のよさ」に、最新の「安全・安心」の技術を加え、珪藻土クロスなど自然素材を用いた「ここちよい空間」を提供する。

 130mm巾広の無垢材を床に使用したほか、「ウォールナット」「ブラックチェリー」「メープル」の3タイプを厳選。同社の耐震住宅(6面体構造)に制振装置「ガーディアン・フォース」を搭載した。また、書斎やキッチン、リビングなど、家族一人ひとりにあるお気に入りの場所、絆を深めながら個を尊重する心地いい場所を提案している。

 参考価格(標準仕様)は61.5万円/坪(延床面積30坪、税別)。販売目標は20棟(平成25年度目標)。

カテゴリ: 2013年度

旭化成ホームズ 富裕層向けの新商品「フレックスレジデンス」

 


外観

 

 旭化成ホームズは5月21日、先に「ABCハウジング 成城住宅公園」(世田谷区成城、東宝スタジオ内)にオープンした富裕層向けの新商品「ヘーベルハウス FREX RESIDENCE (フレックス レジデンス)」のモデルハウスの見学会を行なった。同社の都市型3階建て住宅のトップブランドである「ヘーベルハウス フレックス」シリーズ」(重量鉄骨システムラーメン構造)に「邸宅」スペックを装備したもので、ブランド強化と市場シェアアップを狙う。

 これまで同社は富裕層向けの商品は設定していなかったが、年間50棟ぐらいの受注があることから、ブランドを強化する狙いで75坪か ら100坪ぐらいの単世帯を想定した今回の新商品となった。富裕層向け市場のサーベイの狙いもあり、本社内に設計業務を支援する体制を整えた。

 新商品は、外壁ヘーベル版の新デザイン「PT目地」や大空間設計を支える22mm厚の鉄骨柱、天井高バリエーションを拡充する床下げ 仕様などを導入。内部空間は白を基調にチークの無垢材、大判のタイル、大理石、ガラスなどを多用して「邸宅」と呼ぶに相応しい佇まいとした。延床面積は約 456㎡(138坪)。販売目標は年間100棟で、販売単価は坪200万円。

ラウンジ リビング

 

◇     ◆     ◇

 

 同社を含めプレハブメーカーはこれまで富裕層向け商品をあまり展開してこなかったと聞いてやや驚いた。マンションではかつてバブル期 には10億円超のスーパー億ションがたくさん供給され、1戸(1棟ではない)43億円の物件も供給された(1戸43億円というのはわが国のマンションの最 高価格記録で、海外のコンドミニアムを含めてもトップクラスだと言われている)。さすがにバブル崩壊後はそのような物件は供給されなくなったが、それでも 坪単価にして500万円超の数億円から10億円ぐらいの物件は結構供給されている。

 個人住宅も相当数の豪華な建物が建てられているはずだが、施主としては〝プレハブ〟のイメージを嫌い専門の建築事務所に依頼するほうが多いのだろうか。

 しかし、今回、同社のモデルハウスを見学して、十分富裕層向け商品として訴求できると思った。先日見学した東急ホームズの富裕層向けモデルハウス同様、坪単価200万円も驚きはしなかった。価格以上に価値のあるモデルハウスだと思う。

エンスイート ベランダ(ハンギングチェアは50万円とか)

 

 スペックそのものは目を見張るような豪華なものは採用されていないが、空間デザインの提案が抜群だ。従来の鉄骨柱は標準で9㎜、厚めのもので12㎜なのを22㎜にしたことで大無柱空間を実現した。鉄骨柱の重量は1本900キロぐらいで、20本採用。サッシは幅2300㎜、高さ2700㎜のものもある。天井高もスキップフロアを多用することで最大5.27m確保している。

 ガレージ、リビング、階段などに使用されているタイルは1枚3m四方のものを1m×1.5mぐらいに切って使用しているが、薄くても傷が付きにくく車を載せても割れない強度があるという。アルコールを燃料とする暖炉つきのラウンジは約43.1畳大。天井高は2700㎜。大型サッシを開放すればテラスと一体となった大空間が広がる。チーク材を張った玄関ドアは内開き。

 3階のパウダールームはガラス越しにベランダが眺められるようになっており、自然採光も取り込む工夫がされている。

主寝室(14畳) ドレスルーム(建具はチーク材)

 

 

東急ホームズ新商品「ミルクリーク」前代未聞の来場(5/17)

カテゴリ: 2013年度

三井不動産 VS 野村不動産

熾烈な戸建て分譲マッチレースに突入

 

 この前、三井不動産レジデンシャルが今期戸建てを過去14年間で最多の950戸を売上げ計上する予定と書いた。対する野村不動産はどうか。

 5月21日の「プラウドシーズン船橋森のシティ」の記者発表会に臨んだ同社戸建事業部長・市原幸雄氏は、「今期は700戸強。来期は1,000戸超を目指す。(三井さんを)意識しているわけではないが、結果的に超えることになるかもしれない。これまで大規模を中心に展開してきたが、今後は幅を広げて3,000万円台の郊外型から1億5,000万円ぐらいの高額までメニューを増やす。ただ、街並みを重視するのが基本で、10戸未満の小規模まで手掛ける考えはない」と話した。

◇     ◆     ◇

 

 野村不動産が三井不動産レジデンシャルを超えそうだという情報は1年前ぐらいから聞いていたが、市原氏は公式の場で「来期は1,000戸超を目指す」と明言した。

 一方の三井不動産レジデンシャルは「他社と戸数を競っているわけではない。一つひとつ積み上げてきた結果」(経理部経理グループ長・富樫烈氏)と、本心はともかく受け流した。

 これまで大手デベロッパーの戸建て事業は三井不動産が独走、〝一人勝ち〟の状況がずっと続いてきた。野村不動産が来期に1,000戸超ともなれば、両社の熾烈なトップ争いが演じられる。両社のマッチレースは見ものだが、2強に続くところがなかなか出てこない。影すら踏めない情けない状況が続く。

野村不戸建てパイロット事業「船橋 森のシティ」竣工(5/21)

三井不動産 今期戸建分譲 過去14年間で最多950戸(5/13)

カテゴリ: 2013年度

野村不動産「プラウドシーズン船橋 森のシティ」

戸建てのバイロットプロジェクトの位置づけ

 


「プラウドシーズン船橋 森のシティ」
(一部に太陽光パネルが見えるが、屋根勾配を緩くすることで見えにくくする工夫も行っている)

 

 野村不動産は5月21日、千葉県船橋市で開発を進めている駅前大規模複合開発「ふなばし 森のシティ」内の戸建住宅「プラウドシーズン船橋 森のシティ」(全42戸)が竣工したのに伴い、記者見学会を行なった。先ごろ策定したコンセプト「プラウドスマートデザイン ~ SMART&GROWING ~」を戸建住宅に初採用した次世代スマートハウス。1カ月ですでに約1,000件の反響があり、人気になるのは必至だ。モデルハウスは6月15日から予約制で公開する。

 「プラウドスマートデザイン ~ SMART&GROWING ~」は先進設備、環境との共生をテーマとした「スマートデザイン」と、生活の安らぎを育み、持続的な不動産価値の維持を目指す「グローイングデザイン」で構成されており、「スマートデザイン」として全42戸に約3.0kwの大型太陽光充電パネルを設置したほか、電気・水道・ガスの使用状況の「見える化」、 HEMS (ホームエネルギーマネジメントシステム)を採用した<アクティブデザイン>と、通風や採光など環境共生の工夫で快適な住まいを実現する<パッシブデザイン>の考えを商品に具現化した。

 また、「グローイングデザイン」として採用した「グリーンシェア」はそれぞれ一戸一戸で緑豊かな庭を所有しながら、住民の方同士で共同管理を行う植栽を配することで豊かな景観と心地よい気候を実現した。

 物件は、東武野田線新船橋駅から徒歩5分、千葉県船橋市北本町1丁目に位置する全42戸の規模。敷地面積は135.00~151.67㎡、建物面積は95.69~108.48㎡、予定最多価格帯は5,000万円台の後半。建物は2×4工法2階建て。施工は東急建設、西武建設、細田工務店。造園は石勝エクステリア。販売開始は7月下旬。物件は環境省の「平成25年度 節電・CO2削減のための実践促進モデル事業」に採択されている。

 

 
全戸電気自動車対応(パソコン、タブレットなどで徹底した「見える化」も進めている)と外構の植栽

◇     ◆     ◇

 これまで同社の戸建てはたくさん見学してきたが、同社が「今後の戸建てのパイロットプロジェクト」と位置づけているようにこれまでの「プラウドシーズン」ブランドの到達点を示すものであり、今後の同社の展開を探る意味でも極めて示唆的な物件だ。

 <アクティブデザイン>については各社も積極的に取り組んでいることだが、記者がとくに注目したのは<パッシブデザイン>と<グリーンシェア>の考えだ。

 アクティブデザインでは、カード式開閉方式を採用した玄関ドアは通気口付となっている。マンションとはまた異なったもので、記者は建売住宅では初めて見た。リビングの電動シャッターもまたスグレモノだ。電動式そのものは珍しくないが、ブラインドのようになっており、電動で日射や視線をコントロールできるようになっていた。 2 階天井には天窓もきちんと付けられていた。

 <グリーンシェア>の考えを取り入れたランドスケープデザインがまた秀逸だ。驚いたのは駐車スペースだった。一般的に駐車スペースは道路面と直角に配されるが、多くの住棟では斜めに配されており、写真のように植栽スペースを設けていた。これは、北側にある背割り住戸のリビングから自宅の庭先、さらにはその南側の緑の借景を取り込もうという考えだ。このような駐車スペースもまた初めて見た。同社住宅事業本部副部長兼推進一課長・大澤広明氏が「住棟配置より先にみどりの景観を決めた」と話したのには絶句した。

 さらに驚いたのは団地全体で19種80本の中木を各住戸の敷地内外に植えているが、これを維持管理するために「グリーンシェア憲章」を定め自治会で運営することにしていることだ。グリーンゾーンを管理組合を設立してグリーンゾーンを管理するのは他の事例でもあるが、ここまで徹底しているのはないと思う。同社住宅事業本部戸建事業部推進一課長・小島光弘氏は「当社の従来の戸建て団地と比較して約1割から1割5分増ぐらいはコストをかけているが、みんな(価格が)高い樹木ではない。樹木は総勢14人で1本1本選んできた」と話した。1本1本に心が込められているということだ。

    
外構のグリーンポケット                   樹木には名札

◇     ◆     ◇

 「みどり」の効用については、当欄でこれまでもかなり書いてきた。自分も樹木剪定をする。樹は知れば知るほど難しい。カシ類は切ると枝が荒れるし、サルスベリはコブを作るべきかどうかで悩む。モミジは「刃物を嫌う」とかで指で折ったりする。ハナミズキも下手をすると枯れてしまう。

 そうならないよう自治会で管理するのは大正解。そのうちみんな樹木のプロになるのではないか。みどりが団地や戸建ての価値の維持向上に大きな役割を果たすのはいうまでもない。

 同社の今後の戸建ての展開については稿を改めるが、今期は約700戸だが来期は1,000戸超を目指すという。これまで書いたようなキメ細かな商品企画であれば十分目標達成は可能だとみた。

 

駐車スペースの植栽ゾーン
(分かりづらいが、普通の駐車スペースは手前の植栽ゾーンはない。
奥の北側住戸の庭とみどりがつながっている)

隣り合う住戸の駐車スペースの中央にも植栽帯 通風機能付き玄関ドア

 

カテゴリ: 2013年度
 

 

 

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