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南流山 駅前広場のハトの群れ

 6月20日の続きはまだある。午後4時過ぎだ。売れ行き好調のポラス中央住宅の「ルピアコート南流山」の取材を終え、駅前の喫煙所で一服し、朝食を9時ころに取ったあとは水一滴も飲んでおらず、さすがにお腹が空いたのでどこかで食事でもしようと駅前広場を歩いていた。突然、ムクドリでもカラスでもないハトの群れがわっと押し寄せてきた。その数ざっと30羽。

 一瞬ギクリとした。小生と同様、お腹を空かせており、何とか獲物にありつこうと寄ってきたのか、それとも身内の平和を脅かす闖入者を追っ払おうとしたのか、小生との視線を逸らせ、クック、クックと小ばかにしたように距離を詰め、酔っぱらいのようなぎこちない足取りでもって後についてくるではないか。

 人畜無害の記者だ。与えるものなどなにもない。糖尿の薬くらいだ。ハトは意外と獰猛とも聞いているので、ひょっとしたらヒッチコックの「鳥」のように小生に襲いかかり、目の玉をえぐり、干からびた肉に武者ぶりつく魂胆ではないかと身構え、睨みつけた。

 ところが、記者の威嚇など全然怖くないのか、なおも迫ってくる。交番に駆け込む手もあったが、たかがハト相手にそんなことをしたら気でも狂ったのかとおまわりさんにバカにされるのがおちだと理性を働かせて、駅近くの飲み屋に駆け込んだ。

 それにしても、さすが流山だ。〝母になるなら、父になるなら〟のキャッチフレーズの伝道師か、ハトまで街と人にしっくり馴染んでいた。

実に美しいケヤキの剪定 ムクドリ対策 柏の葉キャンパス駅前の街路樹(2022/6/22)

 

カテゴリ: 2022年度

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柏の葉キャンバス駅西口のケヤキの剪定工事現場(左のアメリカフウは「ららぽーと柏の葉」の敷地か)

 一昨日6月20日のことだ。「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」の取材のために、柏の葉キャンパス駅西口に11時過ぎ降りたら、駅前ロータリーの「ららぽーと柏の葉」前の歩道に植えられている街路樹と思われるケヤキの剪定が行われていた。ケヤキは落葉樹なので、一般的に剪定は落葉後の冬季に行われるはずなので、不思議に思った。

 そして、「三井リンクラボ柏の葉1」内覧会の取材を終え駅に午後2時半ころ戻ったら、まだ剪定工事が行われていた。驚いたのはその樹形の美しさだった。写真を見ていただきたい。きれいに箒状にカットされていた。

 不思議に思ったので、工事責任者らしき人に声を掛けた。その方は「これはムクドリ対策。通行人や『ららぽーと』の利用客などからフン害(憤慨)の苦情が寄せられているので、三井不動産さんの依頼で工事を行っている」と話した。

 驚いたのはそれだけではない。美しい樹形に剪定しているのはこれまた「三井不動産さんの〝自然のままの形にしてほしい〟という要望を受けたもので、カラスも飛んでこられるようにしている。全部を剪定すると、カラスに追われたムクドリは他の近隣の街路樹などに群れ飛んでいくので対策にはならない。程よく剪定している」と、その方は話した。

 小生はムクドリとカラスの関係はよく分からないのだが、ネットで調べたらカラスはムクドリを襲うとある。つまり、カラスはムクドリの天敵でもあるのだ。自然はみんなつながっていることを改めて知った。

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これが本来のケヤキの姿

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駅前ロータリーのバス乗り場

◇        ◆     ◇

 この工事関係者の方が話したことの裏付けを取るために柏市役所と三井不動産に問い合わせた。市からは柏の葉キャンパス駅前まちづくり協議会(UDCK)に業務委託契約を結んでおり、樹木剪定はその一環との回答があった。

 千代田区役所の関係者やイチョウ並木伐採に賛成の人も反対する人もこの記事を読んでいただきたい。街づくりは50年、100年先の将来を見据えて行うものだ。一度植えた街路樹を粗末にしてはいけない。

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剪定費用は安くない(樹木にもよるが1本数万円に上るものもあるとか)

カテゴリ: 2022年度

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「さとづくり48」ホームページから

今年度から創設された、都市の種々な課題解決や良好な環境の創造、地域の価値向上を図る先導的な取り組みなどを表彰する国土交通省「まちづくりアワード」の表彰式が614日行われた。

国土交通大臣賞は、岐阜県飛騨市の「人口減少先進地の挑戦!地域を越えて支え合う『お互いさま』が広がるプロジェクト『ヒダスケ!』」、まちづくりアワード(実績部門)特別賞は大阪市の大阪市高速電気軌道「Osaka Metro エリアリノベーションプロジェクト」、三重県桑名市のOn-Co「逆転の発想 潜在する空き家を借り手が発掘『さかさま不動産』」、福岡県宗像市のさとづくり48プロジェクト(西部ガス・東邦レオ)「さとづくり48(フォーティーエイト)」~宗像市日の里団地における団地再生プロジェクト~」、ジェイアール東日本都市開発「佐ヶ谷・高円寺プロジェクト(通称:AKP)」、新潟県上越市の「城下町高田の歴史・文化をいかしたコンパクトシティの推進」、群馬県前橋市の「マチスタント~前橋市アーバンデザインにより広がるまちのリノベーション~」、埼玉県朝霞市のリゾン「コミュニティデザインで創るふるさとまちづくり」(リゾン・平成まちづくり研究所2社合同)の6件が選定された。

このほか、まちづくりアワード(構想・計画部門)でも4団体が受賞した。

審査委員会(委員長:奥野信宏・名古屋まちづくり公社名古屋都市センター所長)は、「これまで経験したことない人口減少や高齢化を迎えるなか、持続的な都市・地域経営を実現していくため、まちづくりに携わる関係者が、各々の繋がりや創意工夫のもとに、人、モノ、歴史、自然、などのあらゆる資源を生かし、地域が抱える種々の課題解決、良好な環境の創造、価値の維持・向上を図る取り組みを続けていくことが期待されています。今回受賞された取組は総合的に優れており、全国のモデルとなる」と講評している。

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左から東邦レオカルチュラルエンジニアリング事業部 事業部長・の吉田氏、国土交通省・宇野都市局長、西部ガス営業本部 副本部長・今給黎氏

        ◆     ◇

それぞれの受賞プロジェクトをチェックしたわけではないが、記者は福岡県宗像市の西部ガス・東邦レオ「さとづくり48」にほれ込んだ。

何が素晴らしいかといえば、築50年以上のUR都市機構(当時は日本住宅公団)日の里団地48号棟からネーミングされたという複合生活利便施設「ひのさと48」の外観だ。♪ 咲いた 咲いた チューリップの 花が ならんだ ならんだ 赤 白 黄色 どの花みても きれいだな ♪…チューリップの童謡そのものだ。見るだけで楽しくなってくるではないか。

このようなデザインのマンションを記者は見たことがない。美しい外観の集合住宅はコモンヒルズ安針台、熊本のアートポリスの集合住宅、幕張ベイタウン パティオス、多摩ニュータウン ベルコリーヌ南大沢…などが思い起こせるのだが、「ひのさと48」は異なる。昔の公団の郊外マンションの布団干しの光景に近いか。関係者によると、従前のデザインにペンキを塗っただけという。

それだけではない。「さとづくり48」のホームページには、「『さとのひWONDER BASE』入居セレモニー」「さとのBEER9弾発売!」「さとの仲間・オーガニックパパ事務所オープン」「102号室:じゃじゃ馬工房再開のお知らせ」「\箱とKITCHEN 利用申し込みスタート/」「【103号室・カフェ】みどりtoゆかりメニュー紹介」面白そうな活動通信がたくさん開設されている。

国交省の報道資料には、「築約50年が経過した団地群について、既存棟の活用と新築の戸建て販売というハイブリッド型の団地再生事業を行い、既存の48号棟を改修した生活利便施設「ひのさと48」を拠点に、地域コミュニティの形成に貢献している」と紹介され、受賞理由として「空き室には認可保育園や福祉療育施設、ウクレレ工房など多種多様な施設が入居しており、団地住民、学生、地元企業や域外企業、大学、移住者などがつながる取り組みは、団地再生の好例として先導性、多様性が高いと評価された」とある。

施設は、西部ガスと東邦レオが特定目的会社を設立し、その会社が所有し賃貸している。集合住宅は〝専ら居住〟が基本だが、このような多種多様な施設が入居し、それぞれが人や地域と緩やかにつながる-このプロジェクトにはこれからのコミュニティづくり・街づくりに示唆する点は多い。

国交省は、コロナ禍でもあったためか、プロジェクト発表はプレス・リリースのみで、表彰式もメデイアは写真撮影のみ可だったが、来年からは広く公開し、交流できる場を設けてほしい。

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以上、「さとづくり48」ホームページから

 

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「FS CREATION」について説明する藤田誠卓越教授

 知らないのは小生だけかもしれないが、皆さんは東京大学の「卓越教授」という称号をご存じか。

 同大学ホームページによると、称号は「本学現役教授のうち、専門分野において特に優れた業績を挙げ先導的な役割を果たしている者で、①ノーベル賞の受賞者又は文化勲章の受章者②ノーベル賞・文化勲章に準ずる賞の受賞又は業績を有する者として部局長が推薦した者に対して付与することができる」とあり、これまで2017年3月の梶田隆章教授(ノーベル賞受賞者)と十倉好紀教授、平成31年3月の藤田誠教授、令和3年9月の宮園浩平教授、同4年3月の相田卓三教授の5氏に付与されている。

 称号が付与されると、「75歳までの雇用を特例的に認め、定年退職後も本学の教育研究に従事していただくことが可能になるほか、『特別栄誉教授』の称号も付与する」とある。

 さて、今回はそのうちの一人、「藤田誠」教授(65)だ。付与の理由として「有機化学・錯体化学。有機分子と金属イオンの間に働く弱い結合力(配位結合)を駆動力とする巨大有機構造体の自己集合構築原理を創出した。このようにしてつくられた中空構造体にはさまざまな小分子が捕捉され、新しい機能や分子構造解析手法の創出につながった。紫綬褒章、ウルフ賞(化学部門)等を受賞している。6月に恩賜賞・日本学士院賞を受賞予定」とある。

 読んでも宇宙語のように何のことやらさっぱり分からないが、「ウルフ賞」は1975年、イスラエルのウルフ財団によって設立され、賞金として10万米ドル(1ドル135円として約1,350万円)が贈られる。「ノーベル賞の前哨戦」とウィキペディアにはある。

 先生は、難しい専門的な話など(相手によるのだろう)一つもしないで、分かりやすく話した。巷で揶揄される「東大話法」とは真逆だ。

 その話とは6月20日、三井不動産が行った「三井リンクラボ柏の葉1」内覧会で、最上階に入居している「FS CREATION」について説明したものだ。

 「FS CREATION」は、ライフサイエンス研究の基盤となる「統合分子構造解析」を主軸とする世界唯一のオーブンイノベーション拠点とのことで、藤田先生の研究室のほか、佐藤宗太特任教授の東大社会連携講座「統合分子構造解析講座」、わが国を代表する3大分析装置メーカーの島津製作所、日本電子、リガクが参画している。延べ床面積約1,400㎡、20社が出資している。

 ラボ、研究室内は入室をためらったほどで、訳がさっぱり分からないおどろおどろしい機器が所狭しに配置されていた。写真を撮ってもいいか伺ったら、藤田先生は「構わない。見せられないようなものは置いていない」と平然と言い放った(猫に小判だ。何を撮っているのか小生は全然分からなかった)。

 以下が肝心な先生の話。先生はプロジェクターを前に15分くらい話されたか。一言一句を伝えられないのが残念(記者は30年以上ワープロとパソコンに頼り切っているので、話し言葉を漢字に変換してメモることができなくなった)だが、先生は当初遊び心で場づくりを始めたそうだが、その後、のめり込み研究者目線、装置メーカー目線、ユーザー目線、不動産会社目線、大学目線、建築家目線からいって全てが新しい、誰も発想しなかった、異次元の「様々な目線で前例のない試みがなされている」と話した。

 このことと関連するかどうか分からないが、先日記事にした千葉大学名誉教授・小林秀樹氏も「複合視点」が重要と話された。「様々な目線」「様々な視点」は同じような気がする。 

 その目線を一つひとつ紹介できないが、記者が目を見張ったのは研究室内のカラーリングがアースカラーの緑に統一されており、オープンラボはとてもシンプルで美しい白が基調になっていたことだ。天井高は約3m。機器などを収納するアルミ製と思われる棚も全て淡いグリーンで塗装されていた。研究に支障をきたさないようにLED照明にも工夫が凝らされていた。これを見て、それぞれのプロが侃々諤々の論議を経て実現したことが理解できた。

 先生はもう一つ大事なことを話された。「理論とシナリオを完成させ予算を獲得しても、成功事例としてそれを証明する場がない。大学は定年になると研究室などを明け渡すことになっており、意欲があってもその場が確保できない」と。「FS CREATION」の「FS」は藤田先生と佐藤先生のそれぞれの頭文字をとったのだそうだ。

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「三井リンクラボ柏の葉1」

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「FS CREATION」内 

 「三井リンクラボ柏の葉1」は、隣接する国立がん研究センター東病院・先端医療開発センター・橋渡し研究推進センター(NCC)との産学医連携をサポートする施設で、敷地面積約3,611㎡、6階建て延べ床面積約10,978㎡。貸付面積は約8,227㎡。約107㎡から最大約660㎡まで複数区画貸しも可能。カフェ、ラウンジ、会議室を併設している。基本計画は日建設計。設計・監理は清水建設。施工は清水・京成共同企業体。建物は昨年11月に完成。同社は同じエリアで今後3棟のラボを建設する予定。

 「三井のラボ&オフィス」事業は、本格的なウェットラボとオフィスが一体化した施設の賃貸事業で、すでにオープン済みの「三井リンクラボ葛西」「三井リンクラボ新木場1」の「都心近接型」と、今回の「三井リンクラボ柏の葉1」のような「シーズ近接型」の2つのコンセプトで展開。同社がもっとも力を入れている事業分野の一つだ。

「複合」の魅力とその可能性 (2010/11/16)

第6のアセットクラス「三井のラボ&オフィス」 住宅不可の新木場に開業(2021/7/8)

らしき建築物発見!住宅不可の151haの江東区・新木場に88人が住む不思議(2019/6/4)

住宅不可の151ha〝処女地〟新木場にライフサイエンス拠点 三井不の新事業(2019/6/1)
 

 

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「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」

 三井不動産、三井不動産ホテルマネジメント、国立がん研究センターは7月1日、国立がん研究センター東病院(NCC東病院)の敷地内に立地する「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」を開業する。双方の知見をもとに共同企画した、がん患者とその家族をサポートするホテルで、病院と連携した人的サービスのほか、デジタル技術を用いた各種のサービス、患者に配慮した食事メニュー、ロボットによる食事配送なども行う。開業を前にした6月20日、メディアに施設内を公開した。

 施設は、つくばエクスプレス線柏の葉キャンパス駅から車で約5分、柏市柏の葉6丁目に位置する国立研究開発法人国立がん研究センター東病院(NCC東病院)が所有する敷地面積約ホテル部分約3,972㎡、NCC東病院敷地約11,914㎡、地上7階建て延べ床面積約8,329㎡、客室数145室。客室面積は22.8㎡(60室)と30.0㎡(68室)がメインで、デラックスタイプは45~47㎡、スイートは60.1㎡。設計・施工は東急建設。建物は三井不動産が所有する。

 建物の2Fの一部にはNCC東病院が外来拡張エリアを設置。10室の診療室を設け、うち2室はオンライン診療の環境を整え、セカンドオピニオン外来にも対応する。

 ホテルの共用部には全82台のAIカメラを設置し、緊急時の対応につなげる試験導入を行なうほか、スタッフはがんに関する専門的な知識を習得し、常駐するケアスタッフが24時間体制で緊急対応する。また、AI 健康アプリ「カロママ プラス」(開発・運営:リンクアンドコミュニケーション)を活用したがん患者向け食事管理機能、「Health Data Bank for Medical」(開発・運営:NTTデータ)を用いたバイタルデータ管理機能の2つのデジタルサービスを提供し、資生堂ジャパンはがんの副作用による外見変化の悩みや不安を軽減する「メイクアップアドバイスセミナー」などを定期開催していく。

 発表会に臨んだNCC東病院長・大津敦氏は「当院には毎年国内外から30万人弱のがん患者さんが来院しており、新規がん患者さんは9,000人以上となっている。当院敷地内にホテルが開業することで、がん患者さんとそのご家族の通院時の負担軽減や遠方の方の受診の利便性向上が期待できる。さらに『柏の葉スマートシティ』で進めている最先端のがん医療・研究機関と連携し、世界トップレベルの診療モデルを確立したい」と述べた。

 NCC東病院の平成30年1月1日~12月31日のデータによると、年間新入院患者数は11,918人で、425の病床は満床。年間院内死亡患者数は664人。

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エントランスロビー

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エントランスホール

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デラックスツイン(47㎡)

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オストメイト対応トイレ

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カフェ&レストラン「丁字屋KASHIWA-NO-HA」

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配送ロボット(エレベーターに乗れるのはさすがだが、声が美しくないのが難点)

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ラウンジのフェイクの観葉植物

◇      ◆     ◇

 病人を、しかもがん患者とその家族を顧客層に据えた高級ホテルは、米国では当たり前のようだが、わが国には存在しないようだ。永遠のテーマである生と死に真正面から向き合う双方の挑戦に期待したい(地獄の沙汰も金次第の言葉をぐっと飲みこんだ)。「hospitality」も「hospital」も「hospes」も語源は一緒のはずだ。

 私事だが、小生の亡妻は43歳で乳がんが発覚した。ステージⅣだった。なぜなぜなぜ、神や仏に祈り呪った。市立病院と大学病院に入退院を繰り返し、最初に医師が予言したとおり4年後に死亡した。

 他の病院は知らないが、大学病院の個室は窓が小さいうえに、病室の外には鉄格子のような手摺が設けられていた。ここから羽ばたけたらどんなに素晴らしいか、外の緑豊かな庭を二人で散歩できるか、来年もサクラが見えるのか、身内のゴルフイベントに参加できるか…そんなことばかり考えた。最期のころは、病院の許可を得て寝泊りもした。何かあったら知らせてもらうように手首に紐を付けつないだ。眠ろうとすると、苦痛を伝えるためか、あるいは裏切りばかりしてきた小生へのしっぺ返しか、紐が引っ張られる。意識が朦朧とする。島尾敏雄の「死の棘」の世界だ。当然だ。まんじりともせず死の恐怖と戦っているのに、傍のソファでいびきをかいて眠っている夫を憎たらしく思わないほうがおかしい。

 そんなつらい経験をしているからこそ、今回のホテルは患者や家族の悩みを解消してくれる最高にいいホテルだと思う。共用部の廊下幅は2m確保されており、客室はマンションに近い。日常の生活をホテルでも過ごしてもらおうという配慮が伝わってくる。車椅子でも利用可能にするために廊下幅は1.2mくらいあり、天井高も2600ミリ確保している。引き戸を多用、窓も大きい。呼び出しボタントイレもオストメイト対応もある。診療の前泊、後泊はもちろん、中長期滞在もありうると見た。

 食事管理機能、バイタルデータ管理機能の2つのデジタルサービスは、がん患者だけでなく健常者の生活習慣病予防にも役立つはずだ。資生堂の「メイクアップアドバイスセミナー」は患者にとってとても重要なことだろうとは思うが、よく分からない。

 疑問に思ったのは、がんの進行レベル・ステージが0期からⅡ期くらいならまだしも、Ⅳ期のがん患者とその家族はホテルでどのように過ごすのかということだ。同じような患者と同席して食事はできるのか、会話は弾むのか、きれいに化粧はしていてもその裏の素顔・素肌は透けて見えないのか、その光景はどのように映り、心的影響を及ぼすのか。知りたいようで知りたくない。

 ある名声さくさくたる経済紙の記者が「客単価はどれくらいか」とぶしつけな質問をした。ホテル関係者は当然のことのように「公表していません」と話した。(メディア・リテラシーに著しく欠ける。答えが返ってきそうもない質問はしないことだ。取材のイロハだ)

 難点も一つ二つ指摘したい。共用施設は「木調」デザインを強調しているように、すべてが本物の木を使ったカフェ&レストラン「丁字屋KASHIWA-NO-HA」やヘリンボーン床のホールはあるが、ラウンジの壁際の緑はくすんだ色のフェイクの観葉植物だった。エレベーターホールの壁面も「木調」ではあったが、シート張りだった。画竜点睛を欠くとはこのことをいう。三井不動産レジデンシャルはタワーマンションの全てのエレベーターホールに本物の観葉植物を飾ったことがある。

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道路を挟んだ柏の葉公園から写す(アートは日高頼子氏「曙」)

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NCC東病院
 

 

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端材を活用したオリジナルプロダクト

 三菱地所ホームは6月14日、木造木質化を推進していく「KIDZUKI(キヅキ)」構想を始動し、同日、WEBサイトhttps://www.kidzuki.jp/を開設したと発表した。

 38年間にわたって展開してきた「木」に関する建築事業を通じて蓄えた知見を生かすのが同社のミッションであるという考えのもと、幅広い分野の事業者、行政や教育機関、クリエイター、生活者がそれぞれの持つ課題とソリューションをシェアし、「木」に関する新たな共創が生まれるネットワークの形成を推進していく。

 ネットワークの場として「KIDZUKI」のプラットフォームを構築し、「木質製品や建築物などの(モノ)」「ワークショップや研究など(コト)」「木造木質化の活性化による社会貢献の(イミ)」を創出する。

 WEBサイトでは、木に関する特集記事や連載コラム、取材記事、プロジェクトの進捗などを公開していく。

 具体的な取り組みとして、同社とカリモク家具、石巻工房、三菱地所住宅加工センターがコラボし、第1弾としてトラフ建築設計事務所・鈴野浩一氏によるデザインの国産材(端材)を利用したオリジナルプロダクトを制作、同社の新オフィスに設置する。

 このほか、玉川大学芸術学部との産学連携で木製プロダクトを活用した地域の賑わい創出に取り組み、駅前商店街の過疎化、空家問題など地域・社会課題を抱えている静岡県菊川市を舞台にしたプロジェクトを始動させる。

 同社はまた、「CO2排出量削減戦略」を策定し、建設時、居住時、修繕/廃棄時における CO2排出量を2030年度までに2019年度比で60%削減し、2050年までにネットゼロを達成することを目指すと発表した。

 発表会に臨んだ同社・加藤博文社長は、「ウクライナ問題、円安の進行により足元の事業環境は不透明感を増しており、リフォームは順調に推移しているが、注文住宅は足踏み状態が続いている。『KIDZUKI(キヅキ)』は、若手が中心となって検討を重ね、〝Discover Your Life〟〝すべての人生を建てよう〟をスローガンに当社の新たなミッションとして打ち出したもの。ネットワークを築いて木に関するリーディングカンパニーを目指していく。今日ほど木質にスポットライトが当たったことはなく、大きなうねりを感じる」などと語った。

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◇        ◆     ◇

 発表会場となった三菱地所が運営するサードプレイス「3×3 Lab Future(さんさんらぼ フューチャー)」には、鈴野氏がデザインしたプロダクトも公開された。

 仲間との語らいに最適だと思ったのは、平均台に似た作品だ。大人二人なら持ち運びもできる。テレビ台やテーブルは重さが百数十キロあり、一般家庭に採用されるには運送コストも含め課題もあると思ったが、公共機関や企業向けなら採用できそうだ。

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鈴野氏

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「ウェスティンホテル横浜」

 積水ハウスとマリオット・インターナショナルは6月13日、国内6軒目となる「ウェスティン」ブランドのホテル「ウェスティンホテル横浜」を開業した。同日、記者レクチャー・内覧会を実施、積水ハウス仲井嘉浩社長、日本・グァムエリアを統轄するマリオット・インターナショナルのカール・ハドソン氏が開業の経緯や今後の展望などについて語り、黒岩祐治神奈川県知事も祝辞を述べた。当日はメディア、関係者ら約130人が参加した。

 「ウェスティンホテル横浜」は、心身ともに健康な状態であることを表す”ウェルビーイング”をコンセプトに「Sleep Well(よく眠る)、Eat Well(よく食べる)、Move Well(よく動く)、Feel Well(気分よく)、Work Well(よく働く)、Play Well(よく遊ぶ)」の6つのウェルネスを軸に据え、屋内温水プールやフィットネススタジオ、スパなどを兼ね備えた1千㎡超の広さを誇る「総合ウェルネスフロア」を併設。

 また、「ペットボトルゼロ」を実現するために、最先端の浄水システムを導入した瓶詰め施設を設置するほか、レストラン、バーなどで使用する食材は極力神奈川県産材にするなどSDGsの課題解決に取り組んでいく。

 内覧会に臨んだ積水ハウス・仲井社長は「弊社とマリオット様との取り組みは2010年開業のセントレジス大阪を皮切りに、ザ・リッツ・カールトン京都やW大阪などのラグジュアリーホテル、また、Trip Base 道の駅プロジェクトなど全国で23施設2,930室を展開、今回で24施設目となる。ウェルビーイングというラグジュアリーとは異なった、サービスアパートメントを併設したユニークな複合施設」などと語った。

 マリオットのカール氏は、競合関係や今後の見通しについてのメディアの質問に対し、「マネージメントカンパニーとしてコロナ禍を一定程度乗り越えてきた。(コンセプトに)独自性があるし、国内外の多様なニーズに応えられる」と話した。

 黒岩知事は、「コンセプトのウェルビーイングは県が推進する『未病対策』に近く、ペットボトルの削減や電力の使用を極力抑え、食材は地産地消を目指す取り組みはわが国のSDGsの全国最先端都市と自負する県や横浜市にふさわしいシンボル」などとエールを送った。

 施設は、みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩6分、横浜市西区みなとみらい4丁目に位置する23階建て、客室数373室(13〜22 階部)。客室面積は42~210㎡。付帯施設はレストラン、バンケット、ウェディング、チャペル、ミーティングルーム、スパ、 プール、フィットネスなど。設計は日本設計。施工は竹中工務店。

 6階から12階に併設されている「The Apartment Bay YOKOHAMA」は、客室数201室。客室面積は41~152㎡。月額賃料は36~168万円。室内設備は家具、家電、リネン類、食器、調理器具など。ウェスティンホテルの朝食、ルームサービス、フィットネス&スパが利用できる。すでに100件の申し込みがあり、30件が入居済み。積水ハウスが所有し、ケン・コーポレーションが運営する。

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テープカット

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左から仲井氏、カール氏、黒岩氏

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 〝ザ・リッツ・カールトン〟もそうだが、〝ウェスティン〟(東京)はもっとも好きなホテルの一つだ。どんな素晴らしいホテルが完成したのかわくわくしながら見学したのだが、正直に言って拍子抜けした。5階までの外観は「クルーズ船」をイメージしたもので美しいのだが、内観は同ブランドの「恵比寿」や「京都」でも「さくらタワー」でも「シェラトン」でもなかった。

 気になったのは、床や壁、建具・家具類が本物の「木」ではなくシート張りが目立ったことだ。記者はコンクリも鉄もその他ケミカル製品も美しいとは思うが、「木」を現すならやはり本物の木を使ってほしかった。今回のテーマがウェルビーイングやSDGsなのだからなおさらだ。

 本物の木の現しは経年劣化や維持管理コストがかさむのは分かるが、わが国は「風情」を重視する文化、美意識がある。積水ハウスも「経年美化」を掲げているではないか。

 さらに残念なのは、内覧会で同じ組の10人くらいの記者の方は案内者の説明にメモを取ることなどなく、6,000円以上もするスイートセットにはくぎ付けになったのに、シート張りにはほとんど関心を示さなかったことだ。何を美しいと見るかは人それぞれだが、自然の木の年輪、文様、節が美しいと小生は思う。人間も同じだ。素顔、素肌を覆い隠す厚化粧の女性のどこが美しいのか。

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エントランス

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エスカレータホール

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4階宴会・会議場

◇        ◆     ◇

 とはいえ、コンセプトに掲げる”ウェルビーイング”は申し分なく発揮されていると思った。天井高約5mの23階のレセプション・ラウンジは最高に素晴らしいし、同じフロアのバー、宴会場のほか1.3×20mのプール、スパ(小生はその価値は分からないが)、ウェスティンガーデン、クラブラウンジなどもよかったし、フィットネススタジオに備えられている器具は高価なTECHNOGYM製だった。客室のHeayenly®Bedは初めて見た。

 もう一つ、「The Apartment Bay YOKOHAMA」もなかなかいい。デザインは日本設計が監修したそうで、1階のロビー・ラウンジがとてもいい。宿泊料金は44㎡で42万円(坪単価約3.1万円)の宿泊料金はずいぶん高いと思ったが、すでに100件の申し込みがあり、うち30件は入居済みというのには驚いた。料金はオークウッド並みと聞いた。

  バーのメニューが面白い。県内の市町村をモチーフにしたカクテルは、例えば小田原市は「アンパン食べ歩き」(2,000円)だ。グラスワインは安くない。最低で2,000円、高いものは2,700円だ(記者がはまっているあるホテルの白のグラスワインは380円)。

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温水プール

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スイート客室

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ロビーラウンジ

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フィットネススタジオ

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チャペル

カテゴリ: 2022年度

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伐採された神田警察通りのイチョウ(伐採1か月半でこれほどのひこばえが生えている。健全である証拠)

 千代田区議会が「神田警察通り二期自転車通行環境整備工事」議案を議決し、工事業者と交わした請負契約は地方自治法違反であるから工事を中止し、公金支出を差し止めるよう求めた住民監査請求に関する意見陳述が6月10日行われ、整備エリアに住む請求人の女性(25)が約30分にわたって議決には瑕疵があり、議決は無効と訴えた。監査員の野本俊輔弁護士は「見事な意見陳述。これまで(意見陳述を)何件も担当してきたが素晴らしい」と絶賛した。

 この問題については4月21日付で、「神田警察通りの街路樹を守る会」の住民ら20人が工事契約は違法として監査請求を行っている。今回の請求人は一人で、5月16日付で受理された。審査結果はそれぞれ受理された翌日から60日以内に出されることになっている。

 以下、今回の意見陳述全文を紹介する。

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整備済みのⅠ1期区間(左=建物は共立女子大)とⅡ期整備区間の歩道

        ◆     ◇

 本監査請求の趣旨は、樋口高顕千代田区長が2021年10月14日、「神田警察通り二期自転車通行環境整備工事」のために大林道路株式会社との間で締結した工事請負契約が無効な議決に基づく違法な契約であるという点です。

 街路樹を伐採しての道路整備工事に関し、千代田区は「千代田区議会で議決された」と主張しています。しかし、議会における議決の判断の基となる議案の説明は正確さを欠くのみならず、虚偽の内容もありました。そのもとに行われた議会の議決は住民の意思を反映したものとは言えず、後述します地方自治法96条1項5号の趣旨に反しており、無効であります。よって、その無効な議決に基づく工事契約は違法であり、樋口高顕千代田区長及び印出井一美環境まちづくり部長は本件の既払金を区に返還すべきです。また、違法な本契約に基づく工事は中止すべきであり、本件の残代金支払いに関する公金支出を差し止めるべきです。監査委員の皆様には、地方自治法242条4項に基づき、区に対し神田警察通りのイチョウ伐採行為の停止勧告を行って頂きたく、本日意見陳述させて頂きます。

(ガイドライン変更の件)

 2011年、諸々の更新を経て最終的には2013年に策定された「神田警察通り沿道賑わいガイドライン」には、「豊かに育った既存のイチョウ並木の保全・活用」との記載があり、当初伐採の計画はありませんでした。しかし、2020年12月、区は計画を一転して伐採方針を決定しました。「附属機関等の設置及び運営並びに会議等の公開に関する基準」、「意見公募手続要綱」、「参画・協働のガイドライン」には、「区民にとって重要な政策決定等の際には、住民へのアンケート、意見交換会、懇談会、パブリックコメント(意見公募)、住民説明会を実施すること」とあります。しかし区はこの計画変更に関し、議会からの指摘で、後述するアンケートを実施したのみで、議事録の公開もパブリックコメントを実施することも一切しませんでした。伐採方針決定の9か月後である2021年9月になってようやく区はガイドラインを修正しました。しかし、その修正は「豊かに育った既存の街路樹を活用する(白山通りのプラタナス・共立女子前のイチョウなど)」との記載から「など」を削除するといった、一般には容易にわからないような微々たる修正でした。地方自治に詳しい神奈川大の幸田雅治教授の言葉をお借りすれば「子供だまし」のような手法です。その他、HP上に「既存の街路樹を伐採または移植し、ヨウコウザクラを植える」と1行記載したのみで、高齢者が多い町にも関わらず、区の広報誌への掲載や住民に対する説明会の開催等はまったくありませんでした。これについて区は「足らざるものがあった」と述べており、また「ガイドラインを変えるなら、方針を決める前に堂々と説明すべきだ」との区議会議員の指摘に対しても、「プロセスが適切でなかった」と非を認めています。

(沿道整備協議会の件)

 多くの住民が街路樹の伐採について知ったのは2021年12月です。印出井部長は「検討にあたっては幅広く地域の実情に通じる方々にご参画いただきながら10年以上にわたって議論してきた」(事実証拠9号)と主張しています。しかし、協議会は町会長等特定少数の、それも男性のみから構成される会です。町会は区が期待するような機能は果たしておらず、町会長から住民に周知されることもありませんでした。さらに、その協議会の議事録も一切公開されることはありませんでした。つまり伐採は、区や町会長など一部の人のみで決定したものと言わざるを得ず、「幅広く地域の実情に通じる方々にご参画いただきながら」との主張に反しています。

(アンケートの件)

 前述のとおり、区は伐採方針を決定するにあたり、2019年12月に「神田警察通りの整備に関するアンケート」を実施しています。しかし、このアンケートにも多くの瑕疵が見受けられます。まず、沿道住民でもアンケートを受け取っていない家庭が多数存在すること。現に私は、神田警察通り二期区間からわずか30秒程の所に住んでいます。家族は戦前からこの地に住み、店を営んでおりました。しかし、そのようなアンケートは見たこともありません。二点目に、アンケートの回答率がわずか14.5%であるという点です。この数字を民意とするには明らかに不十分です。わざわざ年末の忙しい時期にアンケートを実施したようですが、この回答率を見て、違う時期にやり直すなど回答率を上げる方法はいくらでもあったはずです。次に設問が伐採肯定へ誘導するような内容である点です。アンケートの問8を例に取ると、「神田警察通りの街路樹について、どのように考えますか」との設問に対し、用意された選択肢は①「今のままでいい」、②「植替えを含め課題解決してほしい」、③「どちらとも言えない」の3つでした。最も回答者が多いと予想される「課題解決してほしい」の選択肢にわざわざ「植替えを含め」というワードを絡めており、植替えが容認されているような印象を与えます。これは例えば「保存したまま課題解決してほしい」と「植替えて課題解決してほしい」といった選択肢に分けるべきです。さらにこのアンケートが実施されたのは2019年12月ですが、一年前の2018年12月に開催された第14回沿道協議会において、須貝基盤整備計画担当課長は「二期区間の計画案では、現状の街路樹を現在の位置に残すことはできない」と発言しています。つまり、この時点で区は伐採を決めており、その後実施された本アンケートは伐採ありきで実施されていたことを示しています。以上の理由から、本アンケートは極めて妥当性を欠くものであったと言えます。

(専門家の意見を聞いたという件)

 さらに、区は区議会からの申し入れを受け、街路樹の専門家4名に聞き取りを行いました。その4名の意見をまとめた文書を作成し、2020年12月25日の企画総務委員会で配布しました。しかし、その資料において、4名の専門家の実名が伏せられた上、イチョウの保存を優先すべきとした藤井千葉大学名誉教授の意見が、本人の確認を経ないまま異なる要約をされて、伐採に賛成する意見のように記載されていました。これに関しては、藤井教授から「聞き取りを元に区が作成した書面を事前に確認できず、自分の意見が正確に伝わらなかった」との訴えが上がっています。この事実における問題点は主に3点、まずこのような聞き取りを区議会からの申し入れを受けて初めて行ったこと、次に区の考えにあった意見を恣意的に選択し、施策の根拠づけとして利用したこと、そして政策決定に関わるようなケースでは、どの専門家がどのような発言をしたのか行政は公表する責任があるにも関わらず、専門家の実名を伏せて記載したことです。

(96条の趣旨について)

 地方自治法96条1項5号の趣旨は、契約の締結が住民の代表である議員の意思に基づき適正に行われることを担保することにあります。平成16年6月1日最高裁第3小法廷判決によれば、議会の議決を経ない契約は違法とされています。つまり、住民の意思に基づく議決が必要であるとしているのです。これまで述べてきたとおり、本件の工事契約の締結に関する議決にあたり、区は「参画・協働のガイドライン」や「道路整備方針」において自ら定めた住民合意の手続きをも無視し、虚偽ないし不正確な説明を繰り返し行ってきました。そして議会はこれらの事実に反する説明に基づき議決を行いました。議決を経ない契約も、議員が議案に賛成するか反対するかを判断する前提となる事実関係について虚偽ないし不正確な説明がなされた議決を経た契約も、議決の前提となる根拠を欠く点においては同様です。したがって、後者の議決は形式的には存在していたとしても、前述の地方自治法96条1項5号の趣旨を類推適用するならば、当該契約も無効となるべきです。

(判例について)

 広島地裁の判例(昭和46年5月20日)ですが、ごみ・し尿処理場の建設工事の差し止めを求めた仮処分について、地方自治体として地元側の意見を十分聴取したかや、補償措置や公害監視体制についても話し合ったのかなどを考慮して、地裁は差し止めを肯定しました。その広島地裁判決に照らしても、イチョウの保存を求める地元住民の声を聞かず、伐採を求める側の声のみを取り上げる行為は自治体としてあるまじき姿です。

(設計変更のガイドラインについて)

 区が制定した「工事請負契約における設計変更手続ガイドライン」および「工事請負契約における設計変更手続マニュアル」によれば、設計図書に定められた着手時期に請負者の責によらず施工できない場合、地元調整等請負者の責によらないトラブルが生じた場合には、区は約款第19条に基づき工事を一時中止とすることになっています。着工予定日であった4月25日以来、連夜多数の住民がイチョウに寄り添い、4月27日未明に伐採された2本を除いて請負者である大林道路が伐採に取り掛かれないという事態は、まさに前述ガイドラインおよびマニュアルに記載の「請負者の責によらない地元調整が必要なトラブル」にほかならず、この点に照らしても区は二期区間のイチョウ伐採を中止しなければなりません。

(話し合いについて)

 一期区間はイチョウを残しての整備となりましたが、歩道は十分広く、根上がりも解消されて、素晴らしい仕上がりとなりました。私たちは当然二期も同様にイチョウを残しての整備が行われるものと信じて疑いませんでした。一期でできたことがなぜ二期ではできないのか、論理的な説明は一切ありません。伐採を知って以降、私たちは幾多もの要望書や陳情を出し続けていますが、すべて棄却されています。今年4月に伐採推進派と反対派住民数名での話し合いが一度だけ設けられましたが、このときも推進派が「これ以上の話し合いは平行線である」として一方的に話し合いを打ち切り、退席しました。そして、区はその後の話し合いを打ち切りました。それ以降、私たちが話し合いを求めても拒否され続けています。区長や区職員に説明を求めても、「議会で議決されたことであり今更変えられない」の一点張りで私たちが納得できる説明は一切頂けていません。区長に手紙を書いた住民もいますが、区長は一度も現場に足を運んではくださいません。現場を見に来てほしいとの声に対しては、区長もまた「行ったところで議決されたものは変わらない」と仰いました。「議会で議決された」と仰いますが、私たちが伐採について知らされたのは議決された後ですから、それまで伐採に反対することもできなかったのです。私たちにとっては「今更」でも何でもありません。

(イチョウの価値について)

 「イチョウは落ち葉の問題がある、根上がりする、銀杏が落ちる」などと言われます。しかし、根上がりと落ち葉の問題はイチョウ同様に桜にもあります。また桜は毛虫の他、ブルーベリーのような黒い実を落とします。通行人がそれを踏み、実際に地面が非常に汚れているところもあります。私たちは決して桜を否定したいのではなく、イチョウの抱える問題は他の街路樹でも同様にあるということをご理解頂きたいのです。桜を植えることによって賑わいのあるまちづくりを行いたいとの趣旨は伺いました。しかし、イチョウは東京都のシンボルでもあります。靖国神社、神宮外苑などにもイチョウ並木があり、まちの賑わいの元になっています。これらの景観は一朝一夕に作られたものではなく、歴史を感じられるものです。そのようなイチョウは「歴史・学術ゾーンにある」神田警察通りにふさわしく、また一期区間との景観の連続性を保つこともできます。

(幅員2mの件)

 区はイチョウの木を伐採する理由として、イチョウの木があると2mの幅員が取れないことを主張しています。しかし、2mの幅員が必要であるという主張の論拠は不十分です。道路構造令には確かに幅員2mとの記載があります。一方、「当該道路の歩行者の交通の状況を考慮して定めるものとする」ともあります。国土交通省に確認したところ、「自治体がその状況により柔軟に対応できる」との回答を得ました。実際に一期区間でも2mの幅員を確保できていない部分があります。このことこそが2mが必須ではないことを証明しています。昼間人口の多い千代田区とは言え、渋谷のスクランブル交差点のような交通量があるわけでもありません。特に神田警察通りの周辺は、人通りが少なく、落ち着いた場所です。ここまでの反対を押し切って、必須ではない2mを必ずしも確保する必要性はありません。また、須貝課長はテレビの取材に対し、パーキングメーターの設置を理由に、イチョウがあると幅員が取れないと仰いました。しかし図面を見ると、パーキングメーターが現在のイチョウの木と被る箇所はごくわずかです。さらに、二期区間はおよそ250mです。歩道の両側を合わせると500mで、その500mの歩道に今回議論になっているイチョウの木32本を並べたとします。区の作成した資料(第17回神田警察通り沿道整備推進協議会(資料2)神田警察通り沿道地域のまちづくり)によると、イチョウの直径は周りに設けるマスも含め1本あたり90cmですので、32本に90cmをかけると2,880cmです。つまり、イチョウの木があるために2mの幅員が確保できないのは、500mのうちのわずか5.8%に値する約29mです。その全体のわずか5.8%の区間のために、健康なイチョウが伐採されようとしているのです。伐採を正当化する理由が全て論拠不十分であり、私たちは納得できません。

(車椅子の方の件)

 その他、区は幅員2mの根拠として「車椅子がすれ違うことができないから」と主張しています。しかし、車椅子利用者の方は「仮にすれ違うことがあっても暗黙の了解で譲り合う」と仰っています。また、「自分たちは他の人よりも地面に近いため、夏の暑さを感じやすく、街路樹はオアシスのような存在であり、日陰を求めて走っている」、「大きな街路樹は非常に安心感が持てるから残してほしい」とまで仰い、陳情も出されています。実際の車椅子利用者が「幅員よりも緑陰が必要だ」と仰っているのです。しかし区は、車椅子利用者やベビーカーのためのバリアフリーを謳っているにも関わらず、そういった生の声さえも無視してきました。

(緑陰と路面温度の件)

 緑陰と路面温度の関係性については、前述の藤井教授の著書に「街路樹の木陰では路面温度が約20度も低くなる」とあります。実際に一期区間である共立前と二期区間において、太陽の当たる部分と、緑陰により日陰となっている部分の路面温度を比較したデータがありますので、追加資料2の最後のページをご参照頂ければと思います。気温が31度とまだそこまで高くない日でも、地面の材質によって最大で16.2度の差が観測されました。どの場所、どの材質の路面で計測するかで差は生じますが、最低でも10度温度を下げる効果が期待できます。またさらに暑くなる真夏には、緑陰の効果もより大きくなると予想され、ヒートアイランド現象の抑止にも効果があると言われています。一方のヨウコウザクラは小ぶりで、かつ上に向かって箒状に伸びることもあり、イチョウの木と比較すると緑陰の効果を期待できません。

 毎晩木守りをしている中でUber Eatsの方に声をかけられた住民がいました。そのUber Eatsの方はいつも自転車で配送をしていて、「自分は遠回りをしてでも木陰を求めて走っている。是非ともイチョウの木を残すべく頑張って頂きたい」と応援してくださいました。私たちは、暑い日は木陰を探して歩くことが当たり前になっていて、日々緑陰の恩恵を受けていることなど意識していないと思います。実際、私もそうでした。しかし、車椅子の方々や配送業などの仕事をされている方々にとっては死活問題であり、大きな街路樹の存在が非常に重要なのだと痛感しました。ベビーカーに乗る赤ちゃんや、裸足で歩く動物たちはそういった声を上げることができません。だからこそ車椅子利用者の生の声は本件において重要な勘案要素であり、私たちがそういった声を無視してはいけないと思います。

(イチョウは区の大切な財産である件)

 イチョウは区の貴重な財産です。区は、神田警察通りのイチョウの文化価値、保存の可否、保存する場合と伐採してヨウコウザクラ等別の樹種に植替える場合との経費の比較、景観や緑陰形成や防災に寄与する程度の比較等について十分調査せず、実現可能な保存案があるか否かも十分検討しないままイチョウを伐採しようとしています。このような状況は、区長として負っている区の財産の管理方法や効率的な運用方法として適切さを欠いていると言わざるを得ず、地方財政法8条に定める財産の管理及び運用の趣旨にも反しています。

(地方自治法242条4項について)

 また、地方自治法242条4項には、「当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害する恐れがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長、その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続きが終了するまでの間、当該行為を停止すべきことを勧告することができる」とあります。

(まとめ)

 イチョウの伐採は区に生ずる回復困難な損害を避けるための緊急の必要はなく、また伐採の中止によって人の生命又は身体に対する重大な危害が発生、その他公共の福祉を著しく阻害する恐れがないことは明らかです。それどころか、高齢者を含む住民が、雨の日も寒い日も1日も欠かさず夜を徹して外で座り込みをするといった異常な状態が1ヶ月半続いており、「伐採を中止しないこと」が人の生命又は身体に対する重大な危害を発生させる恐れがあります。家の中で冷房をつけていても熱中症の危険性が訴えられる今日において、これからやってくる暑い日々に空調設備のない外で座り続けることの危険性は明白です。私たちが勝手にやっていることと言われればそれまでですが、そうせざるを得ない状況を作り出しているのは千代田区であることをご理解頂きたいと思います。

 また、4月27日の深夜、大林道路の職員は私たちの目の前で無残にもイチョウを切り落としました。私たちはその間、区職員と警察に囲まれ、木に近づくことができませんでした。あの日の光景がトラウマとなり、一ヶ月以上が経った今でも工事車両を見ると手が震えます。伐採の瞬間の動画を見れば、胸が締め付けられ苦しくなります。工事をするはずのない日中でさえ、バイクの音がチェーンソーの音に聞こえ、現場に行って木の無事を確認せずにはいられません。もちろん仕事にも支障をきたしています。先ほど述べた、夏の暑さを感じやすい車椅子利用者の方の意見も然り、「イチョウを伐採しないことによる危険性」だけでなく、「イチョウを伐採することによる危険性」も考慮すべきです。

 私は千代田区に生まれ育ち、これまで神田っ子として自分の故郷に誇りを持って生きてきました。神田祭は二年に一度の楽しみであり、生き甲斐でした。しかし、伐採に反対することは同時に、伐採を推進する町会長が治める町会を脱退しなくてはいけないことを意味していました。もちろん神田祭に出ることも許されません。神田っ子にとって神田祭は本当に大切な行事であり、それに出られない、自分の町会の神輿を担げないということを受け入れるには相当な覚悟が必要でした。そもそも町会云々、祭云々以前に、伐採推進派である町会長たちはご近所として私が生まれる何十年も前から家族ぐるみで付き合いのある方たちで、私のことはもちろん赤ん坊の時から知っているような方たちです。私も親のように慕っていたので、このような形で縁を切らざるを得なかったことを非常に残念に思います。これも千代田区が生んだ地域の分断です。千代田区環境まちづくり部は、環境とまちを壊しただけでなく、私たち住民の関係性も、心も全てを壊しました。これ以上大切な故郷を壊されるのは許せません。どうか私たちの声を聴いて頂けないでしょうか。私は一人になっても最後まで闘う覚悟です。

◇        ◆     ◇

 みなさん、いかがか。陳述文は約8,200字、話したのは30分間だから、1分間で約270字。〝話すのは1分に300字〟という理想に近い長さだ。読んでいただければ、なぜ野本弁護士が絶賛されたか分かるはずだ。議決が地方自治法に違反するのか適法なのかはともかく、意見陳述は論旨にずれが全くなく、自らの言葉で語りかけたのが野本弁護士を感動させたのだろう。

 記者も同じだ。今回の問題で意見陳述を傍聴するのは、1つ目の住民監査請求の陳述があった5月16日に続き2度目だ。前回では、代理人弁護士のほか6名の方が陳述された。今回は女性の方のみだった。この方には5月8日の夜にもお会いし、話を聞き、その後、メールでやり取りをしているのだが、25歳というのは初めて知った。

 〝大丈夫か〟と正直思った。聴くのは百戦錬磨の奸智に長けた(失礼)弁護士や区議の3人だ。揚げ足を取ることなど朝飯前ではないかと心配しながら、女性を真横から見つめる位置に陣取った。彼女は背筋をまっすぐ伸ばし両足をきちんと揃え、用意した原稿を読みながら話し出した。緊張しているのか、言語は明瞭だが声は小さかった(記者はやや耳が遠くなってはいるが)。

 ところが、どうだ。「議会の議決の判断となる議案は正確さを欠き、虚偽の内容もあり、地方自治法96条1項5号違反で、議決は違法。よって工事は中止し、公金支出を差し止めるべき」と真正面から切り込み、次々と十数項目の〝瑕疵〟をよどみなく指摘したではないか。

 そして、「私は一人になっても最後まで戦う覚悟です」と締めくくったのには、グサリと肺腑をえぐられたような気がした。お前は〝街路樹の味方〟などと公言するのに、何かにつけ逃げているばかりではないかと。と同時に、ジョン・グリシャムの法廷小説を読んでいるような錯覚にとらわれ、大げさに言えば21世紀のジャンヌ・ダルクかローザ・ルクセンブルグではないかと。

 後で聞いて、彼女はそんな闘士でないことも分かった。小さいころは「人前に出るのが嫌い」だったそうで、法律を勉強したことはなく、陳述中はずっと足が震えていたと話した(決してそうは見えなかったが)。陳述文は何度も予行演習を行い、その都度悔しくて泣いたという。傍で聞いた母親もまたもらい泣きしたそうだ。

 緑陰と路面温度について語った場面にははっとさせられた。もちろん記者も、真夏の炎天下の土やコンクリの地表温度は50~60度に達し、日陰や芝生面は30度台にとどまっているのはよく知っている。しかし、ベビーカーの赤ちゃんや、裸足で歩く動物たちにまで思いを馳せることなどなかった。何と心優しい方か。樋口千代田区長はいかがか。胸を突かれるではないか。

 女性はまた、上意下達の「行政下請け」機関と化している町内会組織の実態を「協議会は町会長等特定少数の、それも男性のみから構成される会です」とチクリ(痛烈か)と皮肉る。これだけでも「協議会」が役割・機能を果たしていないことを明らかにしている。

 イチョウが口を聞けたら、きっと次のように話すはずだ。「道路の附属物としてぞんざいに扱われ、都合が悪いと『枯損木』として殺処分されようとしている神田警察通りの私たちだけでなく、千代田区の約5千本の街路樹、更には都内の約101万本、全国の約14,770万本の道路緑化樹木に希望の光と風を送り込むことになりました。感謝申し上げる」と。

 樋口区長と区職員の方には論語の「過ちて改めざる、之を過ちと謂う」の意味を考えていただきたい。そして、街路樹担当の全ての関係者には、この意見陳述文をバイブルにしていただきたい。これを読めば街路樹を含む道路整備事業は一変するはずだ。だから全文を紹介した。

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都道・本郷通りの見事なイチョウの街路樹(神田美土代町付近)

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剪定・管理がひどいとこうなるイチョウ(足立区で)

住民監査請求の行方 街路樹の価値の可視化必要 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/18)

「苦汁」を飲まされたイチョウ 「苦渋の決定」には瑕疵 続「街路樹が泣いている」(2022/5/14

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

千代田区の主張は根拠希薄 イチョウの倒木・枯死は少ない 「街路樹が泣いている」(2022/5/12)

ぶった斬らないで 神田警察通りのイチョウの独白 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)

なぜだ 千代田区の街路樹伐採強行 またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)

 

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 高松 茂様(三井不動産レジデンシャルサービス).jpg
高松氏

 マンション管理業協会は6月7日、定時総会を開催し、前理事長の岡本潮氏(東急コミュニティー特別顧問)に代わって高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス取締役会長)を新たな理事長に選任した。

 このほか、副理事長の小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長)、鈴木清氏(阪急阪神ハウジングサポート取締役会長)、三田部芳信氏(長谷工コミュニティ代表取締役社長)、駒田久氏(三菱地所コミュニティ代表取締役社長執行役員)、福田明弘氏(野村不動産パートナーズ代表取締役社長)をそれぞれ再任し、新たな副理事長に落合英治氏(大京アステージ代表取締役会長)、竹林桂太朗氏(大和ライフネクスト代表取締役社長)、雜賀克英(東急コミュニティ―取締役会長)をそれぞれ選任した。

 高松氏は昭和56年4月、三井不動産入社。平成25年4月、三井不動産レジデンシャル取締役常務執行役員、同27年4月、三井不動産レジデンシャルサービス代表取締役社長、同31年4月、同社取締役会長、現在に至る。マンション管理業協会へは平成28年6月、理事・副理事長に就任。技術委員会委員長、運営委員会委員長、管理適正評価運営委員会委員長を務める。

 

 

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 三井不動産リアルティは6月7日、不動産仲介事業の2021年度全国売買仲介取扱件数は41,183件(2020年度38,507件、前年度比6.9%増)となり、36年連続全国No.1を達成したと発表した。

 「三井のリハウス」は全国291か所に店舗を展開。年間32万組を超える顧客からの相談を受けている。累積売買仲介取扱件数は100万件超。

◇        ◆     ◇

 凄い数字だ。第2位の住友不動産販売の2021年度の取引件数は35,122件で、2020年度の37,715件から減らしたため、三井不リアルティとの差は2020年度の792件から6,061件へ広がった。

 三井不リアルティはかつて住友不動産販売が猛追したとき、同社幹部は〝追いつかれたらおしまい〟とマラソンに例え危機感を強め、ひき放しにかかったことがある。

 この2社の争いはどこまで続くのか、平行線のままなのか、3位以下の追い上げはないのか。〝2位じゃダメなんですか〟という声もあるが、富士山に次ぐ山の名前など誰も知らないのと一緒か。

 ネットで調べたら、石川県の旅館「加賀屋」は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で36年連続「日本一」に選ばれたとある。チームスポーツでは、函館大学のハンドボールチームは男子北海道学生リーグで1986年から2015年の30年間に287勝2分の成績を残している。産業界では、ニトリホールディングスは2022年2月期決算で35期連続の増収増益を達成した。

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