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「THE TOKYO TOILET 広尾東公園トイレ」(撮影:永禮賢氏、提供:日本財団)

 日本財団は7月22日(金)、誰もが快適に使用できる公共トイレを渋谷区内17か所に設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の13か所目のトイレをメディアに公開し、広告、ブランディング、ファッション、ディスプレイ、アートなど幅広い活動を行っている担当ディレクターの後智仁氏がインタビューに応じた。同日、トイレは共用開始された。

 トイレは、日比谷線広尾駅から徒歩3分、渋谷区広尾4丁目の「広尾ガーデンヒルズ」に近接する「広尾東公園トイレ」。刻々と表情が変わるライティングボード付きの全面コンクリート打ち放しで、車椅子ブース・幼児連れ・オストメイトブース付きのだれでもトイレが2室の合計12.37㎡。タイトルは「Monumentum」。

 コンセプトについて後氏は「今回のプロジェクトの元となった『人は、みんな違うという意味で、同じである』という思いを表現するトイレを作りたいと思いました。安全、安心、清潔はもちろん、全ての人に優しいトイレにしたい。…パブリックアートの様に生活の中にありながら、人に常に何か問いかけてくる様な存在。このプロジェクトの意義を人に問いかけ続けるモニュメントのようなトイレになったらいいなぁと思っています。世界人口と同じ79億通りのライティングパターンが、昼は木漏れ日の様に、夜は月明かりや漂う蛍のように変化し続け、二度と同じパターンを見ることはないでしょう」とコメントを寄せている。

 残りの4か所のトイレは今後2022年末にかけて共用開始の予定。

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以上3点は撮影:永禮賢氏、提供:日本財団

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公園入口(左の建物が「広尾ガーデンヒルズ」)

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◇        ◆     ◇

 「無知は罪なり知は空虚なり」-最初に目に飛び込んできたのは、トイレを囲むようにはびこっていた〝雑草〟だった。何たることか。せっかくのトイレが台無しではないか、後氏に失礼ではないかと怒りすら覚えた。施工を担当した大和ハウス工業担当者に「どうしてこんなススキのような雑草がはびこるままにしているのだ」と苦情を申し立てた。

 そうではなかった。後氏の「原風景を再現してほしいと、僕が指名した」もので、植栽を担当した「叢(くさむら)」の代表取締役・小田康平氏は「建物に対して主張しない、草原から切り取った、どこにでもある草をイメージし、厳しい環境でも育つ植物を選んだ」と話した。

 小田氏から草花の名前を聞いた。ミニパンパス、マホニア、ローズマリー、ディアネラ、パニカム、ビバーナムティヌス、マツバギク、アカシアミモザ、ユーホールビア、ウエストリンギア、リコンドラ、グレビリア、パシフィック…。

 皆さんはこれらの名前をご存じか。小生はローズマリーとリコンドラしか知らなかった。ほとんどが多年草だそうだ。眺めていると、これらの草花はそれぞれが他の草花の領域を犯さないように共存しているように見えた。「負ける建築」に通じるものがあると感じた。

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後氏(左)と小田氏

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植栽

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「広尾ガーデンヒルズ」に向かう道路(右が公園トイレ)

日本初の手をつかわないトイレ「Hi Toilet」誕生 佐藤カズー氏デザイン 日本財団PJ2021/8/21

カテゴリ: 2022年度

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OSI(沖縄観光産業研究会)創立20周年記念祝賀会後の記念写真(上野氏のカメラによる撮影)

 特定非営利活動法人OSI(沖縄観光産業研究会)は7月16日、定時総会を開催し、令和4年度は創立20周年を迎えることから記念祝賀会を行った。

 冒頭、同研究会・権代美重子理事長は、「今年は研究会20周年であるとともに、研究会立ち上げにご尽力された学識深く、見識高く、実績豊富な明治大学名誉教授・百瀬恵夫会長の米寿の年。先生、一言お願いいたします」と挨拶。

 これを受けて百瀬氏は「(令和3年度の研究会の会計が赤字になったことについて)赤字を解消するのは簡単。泡盛を飲むことだ。沖縄県酒造協同組合の『ジャイアンツ応援泡盛』の販売に協力したが、『ジャイアンツは嫌いだが、百瀬先生は好き』という方がたくさんいらっしゃり、お陰様で完売した。今年度は酒造協同組合などと連携を強化し、若い方に会員になってもらうような活動をしていただきたい」と語った。

 同研究会は2003年(平成15年)、百瀬氏らが中心となり設立。オニヒトデの異常発生により壊滅的な打撃を受けたサンゴの養殖・移植ツアーを実施するなど大きな成果を上げてきた。

 令和3年度は、コロナ禍での活動の停滞、会員の高齢化による収入減と、経費増により純損失を計上。今年度は、勉強会を再開するとともに、「首里城」復元状況の把握、「ビオスの丘」視察、沖縄県酒造協同組合・組合員の蔵元視察などを行い、会員増を積極化し黒字に転換する。

 法人会員には沖縄県酒蔵協同組合などのほか、第三企画も久米信廣代表が明治大学大学院政治経済学研究科博士後期課程を修了、経済学博士を取得した縁で加入している。

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左から権代氏、百瀬氏(上野氏撮影)

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前列左から権代氏、百瀬氏、加藤嘉彦氏(腕が悪いのかカメラのせいか記者撮影、加藤氏は百瀬ゼミの一期生だったか)

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ジャイアンツ応援泡盛

◇      ◆     ◇

 「ジャイアンツは嫌いだが、百瀬先生は好き」というのは小生もそうだ。10歳の時から西鉄(西武)ファン、アンチ巨人の小生も先生が好きだからこそ6本入りセットを購入した。

 なぜ、〝百瀬教〟にはまるか。一言でいえば、中小企業や社会的に恵まれない人に対する「愛」だ。実践に裏打ちされた理論にみんなとりこになる。小生も20年くらい前か。先生が政経学部教授を退任された際の最終講義の聴講を特別に許可して頂いたのだが、先生が「中小企業はもちろん、あらゆる企業はCAT(Compliance Accountability Traceability)を守らないと生き残れない」と熱く語られたのを忘れない。これは取材される企業も取材するメディアも同じだ。生命線だ。

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左から会員の玉川憲志氏と上野周雄氏

2022年 年頭挨拶 沖縄復帰50年OSI研究会・百瀬恵夫会長&権代美重子理事長(2022/1/5)

 


 

 

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「アクアイグニス淡路島」

 タカラレーベンとグループのタカラアセットマネジメントは7月15日、事業参画している複合型天然温泉リゾート「アクアイグニス淡路島」が7月13日にオープンしたと発表した。

 施設は国内で初めて認定された国営公園Park-PFI事業で、淡路島の北端に位置する敷地面積約8,800㎡。関西方面からのアクセスに優れていることから、通過点となっていた淡路島を目的地とし、“食と健康”をテーマに淡路島の特産品を活用したレストランやBBQ施設、屋外温泉やスパ、レンタルサイクルのサービスを提供していく。

 タカラレーベンは全国の地域活性化に貢献することを新たな目標として掲げており、アクアイグニス社が展開している三重県の「アクアイグニス」や「VISON」同様のポテンシャルを秘めていると判断し、出資を決定した。タカラアセットマネジメントが事業資金の運用管理を行っていく。

 オープンセレモニーには斎藤元彦兵庫県知事を始め多くの来賓、関係者が参加して事業の成功を祈念した。地元からは「国生みの島淡路島から地域振興のモデルとなるような事業として発展してほしい」「地方の過疎化という日本の数多くの地域での課題解決に貢献するモデルとなってほしい」などの声が寄せられた。

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オープンセレモニー

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伊弉冉(いざなみ)の湯湯

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ITALIAN ペスケリア・アンコラ

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鮨 贈(ぞう)

公園が旅の目的になる わが国初のPFI事業 三菱地所他「光と風の広場」開業(2022/3/11)

 

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東急不動産は714日、コンパクトビル「COERU(コエル)」シリーズの第一弾として、木・鉄骨のハイブリッド耐震システム「木鋼組子®(モッコウクミコ)」を国内で初めて採用したビル「COERU SHIBUYA(コエル シブヤ)」が630日に竣工したと発表した。

建物は、外部から視認性の高いファサード2面に、ラチス状(組格子)の木・鉄骨のハイブリッド耐震システム「木鋼組子®」を使用し、10階から13階の上層階の柱梁に木質ハイブリッド集成材を採用。エントランスホールにも一部天然木を使用することで、建物内外から木材のぬくもりを感じられるようにした。国土交通省「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されており、グリーン電力の導入も決定している。

「木鋼組子®」は、前田建設工業とホルツストラが共同開発したもので、鋼板の芯材の外周を木で挟み一体化したものを、ラチス形状にユニット化したシステム。圧縮力に強いと引張力に強い鉄骨を組み合わせることで、高層鉄骨造のビルなどに適用することを可能にした。階高13階建ては、鉄骨造・木造によるハイブリッド構造のオフィスとしては国内最高階数となる。木材にはフィンランド産の欧州アカマツを使用。

木質ハイブリット集成材は、鉄骨造でありながら集成材を耐火被覆として木質感ある仕上げにするのが特徴。見た目は木造でありながら、鉄骨造と同様の構造計算が可能な木質構造部材。木は長野県産材の信州カラマツが採用されている。

物件は、渋谷駅から徒歩6分、渋谷区道玄坂一丁目に位置する敷地面積約174㎡、鉄骨造、一部木造13階建て延べ床面積約1,408㎡。用途は事務所・店舗。設計・施工は前田建設工業。竣工は2022630日。

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「木鋼組子®(モッコウクミコ)」

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木質ハイブリット集成材
 

 

 

 

 

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 千代田区・神田警察通りのイチョウ並木の伐採の是非を問う住民監査請求中に千代田区が2本のイチョウを伐採したことに対し、伐採に反対する住民が「精神的苦痛を受けた」として22万円の損害賠償を求めた住民訴訟の第1回公判が712日東京地裁で行われ、原告側2人が意見陳述を行った。

 裁判を提起した経緯は省略する。以下、原告の意見陳述を紹介する。

        ◆     ◇

1 私は、神田警察通りの沿道に親の代から住んでおります●●です。

自宅前にもイチョウの木が3本あり、親しみを持って世話をしてきました。

2 昨年12月に突然、神田警察通りⅡ期工事区間のイチョウの伐採告知があり、びっくりして、住民は皆、寝耳に水の状況でした。区の広報などにも書かれていませんでした。

そのため、住民がⅠ期工事と同様に既存のイチョウを生かして道路整備をするよう申し入れをしたにも関わらず、1月にはイチョウ一本一本に伐採のお知らせが貼られました。

3 その後、神田警察通り沿道の住民の多くが伐採反対であることがわかり、皆さんと「神田警察通りの街路樹を守る会」を作り、署名、陳情、要望などいたしました。

しかし、今日まで、区役所は「決まったことだ」「10年間話し合いをしてきた」「Ⅲ期からの工事をやるときは意見を聞く」というのを繰り返すだけです。

4 その後、住民にもイチョウ保存への賛同者が増え、ネット署名でも1万3千人ほどが賛同し、新聞やテレビにも取り上げられました。

本年4月21日には住民監査請求を提出しました。そして、その監査請求の審査中にもかかわらず、本年4月27日未明に区役所は、伐採を強行しました。区の要請で出動した警察は区側に対し、工事を中止して住民側と話し合いをするようにという提案をしました。しかしながら、区は話し合いを拒否して、工事を続行し、住民が抗議する中、無理やりに2本のイチョウを伐採しました。

そのことは今も、強いショックが残っています。

5 神田警察通りのイチョウは街路樹として、70年以上も地域とともに成長してきました。

春を告げる芽吹きから新緑、元気に茂った樹々は陽射しを防ぎ緑陰を提供し、雨の時には、雨宿りできる傘にもなります。そして、秋には見事なゴールデンリーフとなり、冬の訪れとともに落葉して暖かな陽射しが降り注ぎます。これらの利点は、車イス利用者、ベビーカー利用者をはじめ全ての通行する人々の役に立っています。

さらに、大気の浄化にも大きな役割を果たしています。

イチョウという樹は、病気や虫の害に強く、防災効果が高い利点もあります。

大木になり、管理には費用がかかりますが、区民の納める税金から捻出できる区役所だからこそ、維持管理が可能であり、いまあるイチョウを街路樹として活用する利点は充分あります。

6 千代田区が自転車整備道路計画を立てた当初の予定どおり、白山通りのプラタナスと神田警察通りのイチョウ並木の緑の十字は戦後の歴史とともに育った既存の街路樹を生かしての素晴らしい景観であり、神保町、一ツ橋、錦町と、他所にはない歴史学術ゾーンであり、訪れた人々に落ち着いた印象を与える都心の貴重な存在になると思います。

私たちは「歴史あるイチョウの街路樹を残して道路整備をしてください」とお願いしているだけなのです。

7 切られてしまった2本のイチョウの樹は、神田警察通りのⅡ期の工事区間のシンボルとなり、私たちに、住民自治の基本である情報公開、民主主義の基本であるそれぞれの意見を尊重して、違いがあれば充分な話し合いをして、決して一方の都合により打ち切ったりしない教訓の象徴として訴え続ける所存であります。

8 今回、私たちが、千代田区の監査委員に対して、監査請求をしたにもかかわらず、その審理が始まろうとしている段階で、2本のイチョウの樹が伐採されてしまいました。

この裁判は、それに対して、千代田区の責任を追及するための裁判であり、裁判所に置かれては、以上のような事情を十分にご理解いただいた上で審理をお願いしたいと思います。

        ◆     ◇

 1 私は、正に、今回の第Ⅱ期工事区間に居住している者で、このたびイチョウの木を伐採するという寝耳に水の話に大変驚いております。

 我が家には工事に関するアンケートが配られることもなく、千代田区や町会長からのアナウンスもまったくありませんでした。そこで千代田区や千代田区長に対して陳情や要望書を提出し、なお且つ、千代田区の担当者へ電話をしたり、千代田区長への面会を何度も依頼してきましたが、すべて無視され、我々の気持ちを伝えて、理解を求めることができませんでした。

 2 それどころか、住民監査請求を提出中であるにもかかわらず、4月27日の深夜030分頃、イチョウを見守る私たちを騙し討ちにするべく、区から依頼を受けた業者が2本の元気なイチョウの木を切り刻みました。その悲しい有様はその場に居合わせた住民たちを大いにいたぶり、失望させ、心を深く傷つけました。

 その光景は今も頭から離れることなく、大型車両の走行音で反応したり、工事作業車を見ては指先が震え、フェンスに囲まれている自分の夢を見たり、毎日があの日のトラウマとなって私たちを苦しめております。

 3 私たちは神田警察通りに歩道拡張工事の計画があることは以前から知っておりました。共立学園前のイチョウが伐採されることなく、無事に立派な歩道と自転車道が完成したのは誰もが知る話です。ですから、その後の工事も引き続き同じ工法で進められていくものと信じて疑いませんでした。

 しかし、昨年12月、千代田区がイチョウの伐採を始めようとしていること、そして、それを後押しする町会長たちを取りまとめているのが、我が町の町会長、副町会長であることを知り、この方々への説得は困難であることを承知している私たちは、錦町三丁目町会を脱会し、「伐採反対」を前面に出て訴える決意をいたしました。

 これは娘共々、大好きな「神田祭」にも参加できなくなるという、私たちにとっては非常に大きな決断でもありました。

 4 ところが、私たちは2本のイチョウを守り切ることができませんでした。あの日、4月26日の夜は風の強い日で深夜からは雨の予報も出ていました。おそらく今夜の工事は無しだろうということで、午前0時、4人の住人を残してほとんどの仲間が帰宅していきました。

 そして、その30分後にとうとう区の騙し討ちが強行されたのです。私たちが見守っていた当初の工事区間ではなく、思いもよらぬ場所に作業車を止め、伐採の準備を始めていました。気づいた時には時すでに遅く、歩道にフェンスが置かれ私たちは一歩たりとも足を踏み入れることが許されませんでした。それでも、私の娘二人と駆けつけた仲間の1人がフェンス内に入り工事を止めさせるべく前進しようとすると、区の職員がフェンスを使って押し返すというようなやり取りが続きました。

 この間にチェーンソーは轟音とともに1枝、2枝とイチョウを切り刻み始めたのです。いつの間にか警官たちも中の3人を取り囲み、フェンスの外からの「止めて!」「切らないで!」という叫びも虚しく、あっという間に2本の元気で立派なイチョウの木を切り落としてしまいました。

 5 私は、もう二度とこのような悔しく悲しい思いはしたくありません。これはまさに住民や署名・陳情を出してきた人々を無視する騙し討ち行為であり、これを行った区や区の職員、またそれを指示した区長を訴えるに値するものと思います。

 街のシンボルである2本のイチョウを伐採し、なおかつ住民を無視して苦しめる千代田区に対し、損害賠償を請求いたしますので、そり審理をお願いします。

        ◆     ◇

 これまでも何度も書いてきた。記者は原告の側でも被告の側でもなく、ましてやそれを裁く清廉潔白・公平無私の裁判官でもない。この20年間〝街路樹が泣いている〟の見出し記事を書き続けてきた街路樹の味方だ。

 だが、しかし、今回の問題は、街路樹の立場を抜きにしても、どう贔屓目にみても落ち度は千代田区にある。住民合意のイロハである地域住民の声を聞いていないことが明々白々だ。当然踏むべきプロセスを全く経ていない。第Ⅰ期工事で「説明不足」と認めイチョウを残しながら、その意趣返しのように第Ⅱ期では〝伐採ありき〟を貫いてきた。

 専門家の声を「聞き置く」にとどめ、町会組織を下請け機関のように扱い、子供だましのような恣意的なアンケートを実施し、ひたすらアリバイ作りに狂奔してきた。SDGsESGの視点は欠片もない。

 裁判官がどのような決断を下すか。その行方は分からないが、原告側の今回の訴えは今後の街路樹のあり方に一石を投じる、エポックメーキングになるような気がする。街路樹をどうするかの問題は、マンション管理でいえば、全員合意か5分の4の賛成が必要な重要な事案ではないか。

 ただ一つ、イチョウの立場からすれば、原告側が損害賠償額を2本で22万円としたのは理解できない。小生の1年間の酒代とたばこ代を合わせた額より少ない。損得を抜きにしたけなげな姿勢には涙が出るほど嬉しいが、どうしてそんな安値なのか。閉店間際のスーパーの食材と一緒にしていいのか。

 神田警察通りのイチョウが東京オリンピックの1964年に植えられたとすれば、その後58年間、異議を唱えることも推進派と反対派を差別することなく、ひたすら役に立つことだけを考え立ち尽くしてきたことに対する評価は、1本当たり年間約1,900円、月額で158円、1日当たり5円だ。1日少なくとも1,000人に恩恵を施してきたとすれば、1人当たり0,005円だ。毛ほどの価値もないことになる。

 損害賠償額は、皆さんの精神的苦痛を金額に換算した額ではあることは承知しているが、皆さんの苦痛はイチョウも同じだ。どう考えてもこれは間尺に合わない。それだけではない。イチョウはこの先、よほどのことがなければ日々成長し100年、200年生きられる。将来利益を考慮すれば、11,000万円、2,000万円の評価だってありうる。わが国も街路樹の価値を定量的に計る物差しをつくる必要がある。

間伐材・端材を積極活用 三菱地所ホーム 新オフィス/七夕に愛と死と街路樹を考える(2022/7/7

街路樹伐採やめて 住民の監査請求棄却 千代田区監査委員 区のアリバイ作り追認(2022/7/1)

「見事」「素晴らしい」監査員弁護士 女性陳述を絶賛 街路樹伐採 住民監査請求(2022/6/11)

住民監査請求の行方 街路樹の価値の可視化必要 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/18)

「苦汁」を飲まされたイチョウ 「苦渋の決定」には瑕疵 続「街路樹が泣いている」(2022/5/14)

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

千代田区の主張は根拠希薄 イチョウの倒木・枯死は少ない 「街路樹が泣いている」(2022/5/12)

ぶった斬らないで 神田警察通りのイチョウの独白 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)

なぜだ 千代田区の街路樹伐採強行 またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)

 

 

 

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カフェ空間「Ground」

 三菱地所ホームは7月7日、本社を国際赤坂ビルから新宿イーストサイドスクエアに移転したのに伴う、様々な機能を実装した新オフィス「TOKYO BASE」をメディアに公開した。

 新オフィスは、三菱地所グループとしては初めてABW(Activity Based Working)を採用し、座席は固定席から自由に選択できるフリーアドレスに変更。全ての社員のパフォーマンスを最大化する「MJH10のワークポイント」を設けた。

 また、カフェ空間や執務エリアに社員が休息するリチャージスペースを設け、構造材を産出する取引先から提供を受けたスギ、ヒノキ、カラマツの間伐材の原木を設置している。

 社会課題への関心・具体的な取り組みを促進できる機能として、国産材、端材を活用したカフェ空間「Ground」、原木5本と人工芝を施し、自然音をハイレゾ音源で再生する音響効果による仮想の外部空間「Mori」、執務エリアと「Ground」を仕切る全面ガラスウォールを採用している。

 さらに、オフィス内でカラマツの苗木を育てる「(仮称)苗木の循環プロジェクト構想」をスタートさせた。

 新本社は、都営大江戸線・東京メトロ副都心線東新宿駅に直結する新宿イーストサイドスクエア7階の延べ床面積571坪(1,890㎡)。デザイン企画は三菱地所ホーム。設計監理はイトーキ。施工はイトーキ、三菱地所ホーム。

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カフェ空間「Ground」受付カウンター

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スギの原木

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 この日(7月7日)、小生は糖尿病の定期検診があり、取材時間には間に合わなかったが、リリースをコピペしたくなかったので、少しは見せてくれるだろうと若松河田駅近くの病院から隣駅・東新宿駅にある同社新オフィスに電車で駆けつけた。

 受付カウンターなどいたるところに木を活用した空間が演出されているのを眺めていたら、広報担当の女性から声を掛けられ、「皆さん、このように願いごとを書かれています。『糖尿が治りますように』とでも書いて下さい」と勧められた。

 七夕といえば中学生のころだ。お金持ちの娘の彼女と貧乏百姓の息子の自分が結ばれるはずがないと思いながらも、満天に広がる天の川の星空を見上げながらはらはらと落涙したものだ。

 そんな甘くて切ない遠い思い出を呼び覚ませてくれた彼女の勧めを無粋に断るわけにもいかず、治るはずもないのに「糖尿が治りますように」と短冊に書いた。

 笹の葉には、「仮想通貨が値上がりしますように」「プードルを飼いたい」「楽しい旅行がしたい」「娘と仲良くしたい」などと、夢も希望も愛の欠片もない我欲に満ちた言葉が書き連ねられていた。書いたのはメディアの方か社員の方か知らないが、七夕はもはや死語だ。東京の空から星が消えてからどれくらい経つのか。

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「Mori」

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「Mori」に設置されているプロダクト

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 彦星と織姫の続き。皆さんは西田佐知子さんの「アカシヤの雨がやむとき」をご存じか。60年安保と同じ1960年にリリースされた歌謡曲で、当時の世相を反映した曲として大ヒットした。70年安保の世代の小生ではあるが、この曲はよく歌った。

 なぜ、こんなことを書くのかというと、先日、三菱地所が新国際ビルに設けた「有楽町SLIT PARK(スリット パーク)」を取材したとき、近くの道路の街路樹にアカシヤ(ニセアカシア)が植えられており、そこからこの曲と清岡卓行の1970年の芥川賞受賞作「アカシヤの大連」を思い出した。太平洋戦争前後の青春期に過ごした中国・大連を舞台に描いた私小説だ。その小説の一部を紹介する。

 「五月の半ばを過ぎた頃、南山麓の歩道のあちこちに沢山植えられている並木のアカシヤは、一斉に花を開いた。すると、町全体に、あの悩ましく甘美な匂い、あの、純潔のうちに疼く欲望のような、あるいは、逸楽のうちに回想させる清らかな夢のような、どこかしら寂しげな匂いが、いっぱいに溢れたのであった。

 夕ぐれどき、彼はいつものように独りで町を散歩しながら、その匂いを、ほとんど全身で吸った。時には、一握りのその花房を取って、一つ一つの小さな花を噛みしめながら、淡い蜜の喜びを味わった…そして彼は、この町こそやはり自分の本当のふるさとなのだと、思考を通じてではなく、肉体を通じてしみじみと感じたのであった」

 「彼女の出現は、急激に、彼の心の奥底に眠っている何かを揺さぶり起こしたようであった…あの不定形な女のイメージが、しだいに輪郭をはっきりさせてきて、まさしく彼女の面影と一致するようになってきたのであった。…それは、彼にとって、生まれて何回目に経験する、大連のアカシヤの花盛りの時節であっただろう。彼は、アカシヤの花が、彼の予感の世界においてずっと以前から象徴してきたものは、彼女という存在であったのだと思うようになっていた」

 「『彼女と一緒なら、生きて行ける』という思いが、彼の胸をふくらませ、それは、やがて、魅惑の死をときどきはまったく忘れさせるようになっていた」

 清岡がこの小説を書いたのは、「アカシヤの雨がやむとき」から9年後の1969年、愛妻(小説に登場する「彼女」、とても美人だったとか)を亡くした47歳のときだった。そして、彼女との別れに踏ん切りがついたのか、その翌年に再婚した。

◇        ◆     ◇

 アカシヤの並木と「彼女」を重ね合わせた何と美しい詩的な小説であることか。記者はいま、千代田区の神田警察通り道路整備事業で街路樹のイチョウが伐採されることに対する批判記事を書いているのだが、25歳の女性が住民監査請求を行い、その陳述を監査弁護士が絶賛した。その一部を紹介する。

 「4月27日の深夜、大林道路の職員は私たちの目の前で無残にもイチョウを切り落としました。私たちはその間、区職員と警察に囲まれ、木に近づくことができませんでした。あの日の光景がトラウマとなり、一ヶ月以上が経った今でも工事車両を見ると手が震えます。伐採の瞬間の動画を見れば、胸が締め付けられ苦しくなります。工事をするはずのない日中でさえ、バイクの音がチェーンソーの音に聞こえ、現場に行って木の無事を確認せずにはいられません。もちろん仕事にも支障をきたしています。先ほど述べた、夏の暑さを感じやすい車椅子利用者の方の意見も然り、『イチョウを伐採しないことによる危険性』だけでなく、『イチョウを伐採することによる危険性』も考慮すべきです。

 私は千代田区に生まれ育ち、これまで神田っ子として自分の故郷に誇りを持って生きてきました。神田祭は二年に一度の楽しみであり、生き甲斐でした。しかし、伐採に反対することは同時に、伐採を推進する町会長が治める町会を脱退しなくてはいけないことを意味していました。もちろん神田祭に出ることも許されません。神田っ子にとって神田祭は本当に大切な行事であり、それに出られない、自分の町会の神輿を担げないということを受け入れるには相当な覚悟が必要でした。そもそも町会云々、祭云々以前に、伐採推進派である町会長たちはご近所として私が生まれる何十年も前から家族ぐるみで付き合いのある方たちで、私のことはもちろん赤ん坊の時から知っているような方たちです。私も親のように慕っていたので、このような形で縁を切らざるを得なかったことを非常に残念に思います。これも千代田区が生んだ地域の分断です。千代田区環境まちづくり部は、環境とまちを壊しただけでなく、私たち住民の関係性も、心も全てを壊しました。これ以上大切な故郷を壊されるのは許せません。どうか私たちの声を聴いて頂けないでしょうか。私は一人になっても最後まで闘う覚悟です」

 長々と引用したが、アカシヤもイチョウも同じだ。雨にも風にも負けず、車が撒き散らす排気ガスや騒音、高層ビルによる日陰などに屈せず、まっすぐに伸び、老若男女、金持ちも貧乏人も賢者も愚者も別け隔てなく樹陰を降り注いでいる。人間の数倍は生きられる。そんな伸び盛りの街路樹を「枯損木」などと勝手に決めつけ、死刑宣告をし、処分しようとしている。そんなことが許されていいのか。

 七夕の今日、皆さんも考えていただきたい。同社が目指す「『TOKYO BASE』を起点に地域とつながり再造林や森林保全の大切さを社会に浸透させていく試み」に通じるものがあるのではないか。

素晴らしいの一語 市民に開放を ナイス 本社ビル木質化リノベ/対照的な歩道の雑草(2022/6/27)

「見事」「素晴らしい」監査員弁護士 女性陳述を絶賛 街路樹伐採 住民監査請求(2022/6/11)

壮大な街づくりの一環501㎡の「新国際ビル」路地裏を多目的空間にリノベ 三菱地所(2022/5/27)

 

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施設外観

 

 三井不動産は7月4日、大阪府門真市のパナソニック工場跡地約164,000㎡で開発を進めているA街区の施設名称を「三井ショッピングパーク ららぽーと門真」(ららぽーと門真)と「三井アウトレットパーク 大阪門真」(MOP 大阪門真)と決定し、2023年春の開業を予定していると発表した。

 ファッションや食などの日常的な買い物体験のほか、国内外のブランドショッピングに加え、様々な体験型エンターテインメントを提供し、ワンストップで満喫できる、従来の枠を超えた商業施設を目指すとしている。

 「門真」の施設の開業に伴い、1995年3月に開業した「三井アウトレットパーク 大阪鶴見」は2023年3月に閉館する。

 施設は、京阪本線・大阪モノレール線門真市駅から徒歩約8分、敷地面積は約116,700㎡(約35,300坪)、店舗棟は鉄骨造地上4階建て、立体駐車場棟は鉄骨造6層7段2棟。延床面積は約196,800㎡(約59,500坪)。店舗数は約250店舗。基本設計は石本建築事務所。実施設計・監理・施工は竹中工務店。

 計画では、A街区のほかB街区の分譲マンション約5,600㎡(三井不動産レジデンシャル)、C街区の会員制倉庫型店舗約34,000㎡(コストコホールセールジャパン)、D街区の事業所約7,700㎡(東和薬品)も計画されている。

 

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ポラスの先導的モデル街区「浦和美園E-フォレスト」

 ポラスグループの2022年3月期決算を先に紹介したが、同社の発表会は十分時間を割き(1時間半)、メディアの質問にも丁寧に答えるのがいい。小生は同社の分譲戸建てやマンションを結構見学しているので、遅行指標の決算数字にはあまり興味はないのだが、配布される40ページくらいの資料はなかなか興味深い。同社グループの商圏の分譲戸建て・注文住宅市場をほぼ完ぺきにとらえているからだ(どうしてそのようなことができるのか不思議)。

 その一つ、同社グループ商圏エリアの分譲戸建て市場平均価格(以下、市場)と同社グループの平均価格((以下、同社)の「差」がそうだ。

 さいたま地域(上尾市含む)では、市場は4,090万円であるのに対し、同社は4,685万円、その差は595万円だ。越谷地域(春日部、越谷、草加、三郷、吉川、八潮など)の市場は3,589万円なのに対し、同社は4,192万円、その差は603万円。常磐地域(松戸、柏、流山、野田、我孫子、鎌ヶ谷)の市場は3,549万円で、同社は4,242万円、その差は693万円だ。年度によってその差は縮まったり拡大したりしているが、過去4年間でみるとその差は500万円前後で推移している。

 一方で、同社商圏エリアでの着工戸数に対する同社のシェアは13.3%(前年比0.6ポイント増)で、本拠の越谷地域は20.3%(同2.4ポイント増)にのぼっている。2022年度予測では、市場着工20,156戸に対し同社着工は2,903戸なので、シェアは14.4%と見込む。

 この数字をどう読むか。市場価格より500~600万円、率にして14~20%高くてもなぜ売れるのか、仕入れを強化してシェア拡大を図ったらどうなるかだが、マンションも含めて同業他社と比較して基本性能・設備仕様レベルはまず負けないと記者は思う。戸建てでいえば、1階のリビング天井高を2.7mとしており、マンションでは100万円前後する収納付きピアキッチンを標準装備していることが象徴している。

 問題は検討者の取得能力だろう。記者は、マンションも含めて一般的な一次取得者の取得限界価格は6,000万円(マンションも同様)とみている。同社の平均価格4,546万円(前年度比405万円上昇)からしてまだ余力はありそうだが、消費者の可処分所得が伸び悩んでいるのは気になる材料だ。

 分譲戸建ての課題の一つでもある質向上では、どこもやっていないZEHレベルに引き上げるべきだと思うが…発表会で中央住宅・品川典久社長は明言を避けた。どこが先陣を切るか。

 商圏やターゲットが異なるので単純比較はできないが、参考までに主な会社の分譲戸建ての直近の売上戸数(または契約戸数)と1戸当たり単価を紹介する。

・飯田グループHD  41,534戸 2,866万円
・オープンハウス     5,546戸 4,206万円
・ケイアイスター不動産  3,604戸 3,451万円
・ポラスグループ     3,050戸 4,546万円
・三栄建設設計      1,990戸 4,260万円
・三井不動産        507戸 7,591万円
・野村不動産        451戸 6,650万円
・積水ハウス      2,261戸   8,469万円※

※積水ハウスの「分譲住宅」は、停止条件付き土地分譲も含まれ、建築設計・請負も含まれる。ZEH比率は新築戸建てと同程度(90%以上)となっている。20221月期の分譲住宅セグメントの売上高は前期比37.6%増の1,914億円で、優良土地の仕入れや営業体制の強化が奏功し、大幅な増収増益となった。また、注文戸建住宅の1棟単価も4,265万円(前期比127万円増)と突出している。

◇        ◆     ◇

 同社グループ商圏エリアの住宅着工戸数と人口動向を見た資料がまた面白い。このテータは毎年発表されるのだが、字が小さくてよく読めないし、商圏エリアで人口が増加するのは当たり前だと思っていたので詳細に読むことなどなかった。今年の資料には「ポラス商圏内には、メインターゲットである25~44歳の住宅一次取得層世代が2.5千人流入超過」とあった。

 すると、同業の記者の方が「昨年の資料には1.6万人流入超過とあるがこれはどうしたことか」と質問した。これには驚いた。桁が違うではないか。

 早速、同社から昨年度の資料を頂いて比べてみた。人口は2020年度の11,222,722人(前年比32,073人増)から11,221,753人(同969人減)へ減少に転じ、25~44歳の第一次取得層の流入出は2020年は16,038人の増加だったのが、2021年度は2,594人増にとどまっている。

 エリア別にみると、2020年度は「さいたま」が8,174人、「越谷」が1,558人、「松戸」が6,304人といずれも流入増となっているのに対し、2021年度は「さいたま」は3,601人、「越谷」は944人とそれぞれ増加しているものの、人数は大幅に減少し、「松戸」は1,951人減となっている。

 区市町別では、2020年は5,317人増のさいたま市、3,442人増の江東区、2,224人増の流山市など26区市が流入増となっていたのが、2021年度は4,648人増のさいたま市、3,218人増の流山市、1,669人増の江東区など流入増は18区市に減少。逆に、江戸川区、板橋区、浦安市、市川市、船橋市などは1,000人以上が減少している。

 「1.6万人増」が「2.5千人増」と激減したのがどのような影響を及ぼすのか。品川社長は「売れるところとそうでないところの二極化が進んでいる。直近4-6月の反響は前年比75%だが、それでもコロナ前を上回っている」と話した。

◇        ◆     ◇

 首都圏の人口減少が注目されている。2022年1月現在の人口は36,828,661人(前年同月比73,348人減)で、都県別では東京都が13,988,129人(同48,592人減)、神奈川県が9,231,177人(同5,160人減)、埼玉県が7,336,455人(同7,541人減)、千葉県が6,272,900人(同12,055人減)と全ての都県で減少。東京都は26年ぶり、神奈川県と埼玉県は調査を開始して以来初の減少となった。

 人口減少の最大の要因は、コロナ禍での外国人の人口流失だ。東京都を例にとると、令和2年1月では577,329人だった外国人は令和4年1月には517,881人へ10.3%減少している。もっとも外国人居住者が多かった新宿区は42,598人から33,907人へ実に20.4%減少し、2番目に多かった江戸川区の35,220人(令和2年1月は38,173人)に抜かれ、3番目に多かった足立区の33,138人(同34,040人)とほとんど並んだ。

 総務省のデータによると、在留外国人は2020年6月の約289万人から2021年6月は約283万人へと約6万人減少している。地方都市が一つ消えた数字だ。

 もう一つは、テレワークの定着による首都圏脱出者の増加と思われるが、これは詳細な流入出の調査をしないと分からない。

 総務省のデータによると、2022年5月の市区町村間移動者数は42万3842人と前年同月に比べ6万6049人(18.5%)増加し、外国人の市区町村間移動者数も5万8217人、前年同月に比べ99.3%増加した。この時期は入社、転勤、入学などで移動・異動が多い時期ではあるが、今後どのように推移するか。

 参考までに流入増と流出減の上位10都道府県を紹介する。流入は埼玉県がトップで、流出は千葉県が最多。

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ポラスグループ2022年3月期決算 売上高は6期・経常利益は3期連続過去最高(2022/6/30)

 


 

 

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枯損木撤去作業(6月28日撮影、東京駅近くの大名小路で)

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完全に枯れていることが分かる

 千代田区監査委員は6月17日、千代田区長が大林道路と交わした「神田警察通りII期自転車通行環境整備工事」の請負契約は違法又は不当な契約であり、千代田区長に対し街路樹を伐採、撤去することなく工事を行うことを勧告するよう求めた住民20人による住民監査請求に対して、請求を棄却すると通知、公表した。

 請求は4月21日付で提起されたもので、監査委員は代表監査委員(識見委員:税理士・印東大祐氏)、 監査委員(識見委員:弁護士・野本俊輔氏)、監査委員(議員選出:河合良郎氏)から構成されている。

 同種の住民監査請求はもう一つ5月16日に行われており、2か月後の7月15日までに通知、公表されることになっている。

◇        ◆     ◇

 イチョウをバッサリ切り倒すのと同じように、一刀両断に監査請求を棄却した監査結果に、街路樹の味方である小生は唖然とするほかなかった。

 唯一納得できたのは、監査請求者が道路整備工事契約の締結が都市計画法第2条の趣旨に反すると主張したことについて、監査委員が「都市計画法第2条は都市計画の基本理念を定めるものであり、本件工事契約の締結は都市計画と直接の関係がない」と退けたことだけだった。住民監査請求制度は憲法や法律の理念について論じる場ではないような気がする。

 さらに、「II期工事区間において歩道を有効幅員2メートル以上にすることは区が当然に遵守すべきものである」と監査委員が述べているのは分からないではない。

 しかし。区のバリアフリー法に基づく道路整備や都市施設・特定都市施設のユニバーサルデザイン化の取り組みは「遵守すべき」という割には進んでいない。「東京都福祉のまちづくり条例」で原則とされている「セミフラット形式」は平成30年3月時点で、道路幅員11m以上の区道約49㎞のうち整備されている歩道は約11km、約23%にとどまっており、保水性舗装として整備された歩道は約14km、約28%に過ぎない。

 神田警察通りに面した税務署、学校などを目視した限りでは都市施設のユニバーサルデザイン化も進んでいるとは思えない。

 イチョウを伐採してまで歩道を拡張すべきというのは合理的な考えではない。多少の不便さはあっても、それは受忍責任というものだ。都合のいい時だけ車椅子利用者、障がい者、子ども、ベビーカーを持ち出すのはご都合主義といっては失礼か。

 また、東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルには「沿道の利用状況や道路の交通量等により、歩道の有効幅員2.0m以上を確保することが困難な場合には、少なくとも歩道の有効幅員として1.5mを確保する。この場合、要所に2.0m以上の有効幅員を部分的に確保し、車椅子使用者同士のすれ違いを実現できるようにする」とあるではないか。

 ひどい裁定だと感じたのは、「神田警察通り沿道賑わいガイドライン」に当初盛り込まれていた「豊かに育った既存の街路樹を活用する(白山通りのプラタナス・共立女子前のイチョウなど)」の「など」を削除したのを、監査委員は「部分的な変更」とさらりとかわしたことだ。「部分的な変更」ではないことは弁護士であるお二人の識見委員の方が一番よくご存じのはずだ。

 法律や公文書に使われる「など」は、あれやこれやを例示する副助詞ではなく、その逆だ。脱法行為を排除するため縛りをかけているものが多い。例えば、調整区域内で建築できる都市計画法第34条第1号(店舗等)では、「業種一覧表」に数十種の業種を例示している自治体もあり、コンビニの営業時間を定めている事例もあるほどだ。

 最大の論点である道路整備工事に瑕疵があると監査請求者が主張していることに対し、監査委員が下した「工事契約に錯誤による瑕疵があったとはいえない」という判断も納得できない。

 監査結果では「契約書に添付された種別内訳書の『種別・細別・内訳』欄には、『枯損木』との記載があるが、これは東京都積算基準(道路編)の施工単価を適用したことからその施工単価名称(枯損木伐採工)を引用したものである。また、同じ契約書に添付された図面には『枯損木』とではなく『高木』と記載されており、本件街路樹が『枯損木』ではないという点については、本件工事契約の発注者である区と請負者である大林道路とが共通認識に立っていたものであって、本件工事契約に錯誤による瑕疵があったとはいえない」としている。 

 確かに、区も工事を請け負った大林道路にも錯誤はなかったと思う。双方とも「枯損木」でないことを知りながら、道路の「附属物」である街路樹を処分するために体裁を整えたということだ。これは「錯誤」ではなく「確信犯」だ。

 問題の本質はここにある。CO2を垂れ流す鉄やコンクリ、その他ケミカル製品ならともかく、街路樹は生き物だ。生活環境保全機能、大気浄化機能、緑陰形成機能、交通安全機能、防災機能はもとより都市のポテンシャルなど街路樹には計り知れない価値がある。それを人間の都合で簡単に死刑・殺処分をしていいのかという問題だ。

 ましてや、神田警察通りのイチョウは樹齢約60年(1964年の東京オリンピック時に植えられたという人がいる)だ。人間に例えれば育ち盛りの少年少女だ。しかも、人間と違ってこの先数十年は成長し続ける。100年だって200年だって生きるかもしれない。畏怖すべき存在だ。今伐採してしまったら取り返しがつかない。代替えはきかない。

 昨年、93歳で亡くなった生態学者の宮脇昭氏は「木を植えることは命を守ることだ」と語った。その伝でいえば、街路樹伐採は人間の命を奪うこと同じではないか。その是非を今回の問題は投げかけている。人を殺していいのかと。

 今回の監査結果は、平成23年に区が発表した〝伐採ありき〟の「神田警察通り沿道賑わいガイドライン」のシナリオを完結させるために下請け・補助機関化した町内会組織を操り、アリバイ作りに奔走してきたことを監査委員はコピペするように追認したとしか思えない。

 監査委員に求められる「(倫理規範)監査委員は、高潔な人格を維持し、誠実に、かつ、本基準に則ってその職務を遂行するものとする」(千代田区監査基準第4条)「(独立性、公正不偏の態度及び正当な注意)監査委員は、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、正当な注意を払ってその職務を遂行するものとする」(第5条)文言がむなしく響く。

◇        ◆     ◇

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Screenshot 2022-06-12 at 13-25-58 神田警察通り沿道まちづくり整備構想 - kandakeisatsudoriendomachizukuri-koso.pdf.png

 前段でシナリオと書いた。「ガイドライン」にはイチョウからサクラに植え変えるイメージ図が描かれている。1つ目のイメージ図では、左に葉っぱを落とした冬期のイチョウを配し、右に満開のサクラを図示している。もう一つは歩行空間のイメージ図だ。樹高はイチョウよりサクラのほうが高く、樹形も桜のほうが美しく描かれているのが分かる。協議会でこの図が度々使用されたのは容易に想像できる。町内会関係者に催眠術のようにものすごいバイアスがかかったはずだ。(サクラはだめだとは思っていないが、格が異なる。格でいえば常緑樹のクスノキだし、値段の安いシラカシなどもいい)

 そして、このシナリオは、区と当初から業務委託契約を結んでいた街づくりのプロであるUR都市機構が深く関わっているのではないかと仮説をたてた。次のような質問を行った。そのURから以下の回答があった。(質問⇒回答)

1)どのような立場か(報酬も含めて具体的にお聞きします)⇒「神田警察通り沿道まちづくり整備構想」の実現に向けた、神田警察通り沿道整備推進協議会等の運営支援業務を、千代田区から受託しているものです。(区によると委託契約は平成23年度からで、令和3年度の受託費は約300万円)

2)区の道路整備計画を推進する側に立たれているのか⇒千代田区から受託した協議会運営支援業務として実施しております。

3)司会役を務めることのメリットはなにか⇒千代田区から受託した協議会運営支援業務として実施しております。

4)工事強行に対する住民の抗議活動をどう思われるか⇒工事に関しては、多様な意見があることを承知しており、千代田区において適切に対応されるものと思料します。

5)企業市民として声を出すべきだと思いますが、いかがか⇒多様な意見があることを承知しており、千代田区において適切に対応されるものと思料します。

◇        ◆     ◇

 住民監査請求の現場取材を5月8日夜に行い、近くのホテルに一泊し、さらにその後2回取材した(ホテル一泊)。住民監査請求の陳述を傍聴するのは初めてだった。

 今回の取材を通じて、2012年5月に「街路樹が泣いている ~街路樹と街を考える~」の記事を書いて以来継続して取材してきたことに間違いはなかったことを改めて感じた。

 そもそも街路樹に注目するきっかけはもう30年以上も昔だ。涌井史郎氏が自ら立ち上げた造園会社・石勝エクステリアの社長をされていたときだ。涌井氏は「私は『木の名前と虫の名前と鳥の名前を覚えると、一歩歩くたびに人生三倍楽しくなる』と子どもに話しているんですよ」と語った。

 一歩歩くごとに人生が三倍も楽しくなるのなら実践しない手はないと、街を歩くときはいつも街路樹を眺めてきた。

 そして、この1週間の間に、涌井氏の考えに通底する千葉大学名誉教授・小林秀樹氏の「複合の視点」と、東京大学卓越教授・藤田誠氏の「様々な目線」がいかに大事かを学んだ。三井不動産と三菱地所のエリアマネジメントの取り組みにも感激した。

 最後に、小坂井敏晶氏著「人が人を裁くということ」(岩波新書)の「あとがき」の一部を紹介する。

 「どんなに正しい決定であっても、それに異論を唱える市民は必ずいる…どんな秩序であっても、反対する人間が常に社会に存在しなければならない。正しい世界とは全体主義に他ならないからだ」

 「国際化の恩恵は、有益な情報の入手などではなく、慣れ親しんだ世界観を見直す契機が与えられることだと私は思う。真の国際化とは、異質な生き方への包容力を高め、世界の多様性を受け留めることではないか。正しいことは、どこにもない。この事実が受け入れられるとき、個性を活かす世界が生まれてくる」

「見事」「素晴らしい」監査員弁護士 女性陳述を絶賛 街路樹伐採 住民監査請求(2022/6/11)

住民監査請求の行方 街路樹の価値の可視化必要 千代田区の「街路樹が泣いている」(2022/5/18)

「苦汁」を飲まされたイチョウ 「苦渋の決定」には瑕疵 続「街路樹が泣いている」(2022/5/14

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/13)

千代田区の主張は根拠希薄 イチョウの倒木・枯死は少ない 「街路樹が泣いている」(2022/5/12)

ぶった斬らないで 神田警察通りのイチョウの独白 続またまた「街路樹が泣いている」(2022/5/11)

なぜだ 千代田区の街路樹伐採強行 またまたさらにまた「街路樹が泣いている」(2022/5/10)

街路樹が泣いている ~街路樹と街を考える~  ①(2012/5/1) 

様々な目線でかつてない試み実現 東大・藤田誠卓越教授 「三井リンクラボ柏の葉1」(2022/6/22)

「実践派」の千葉大名誉教授・小林秀樹氏 マンション長寿化フォーラムで講演へ(2022/6/18)

 

 

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第43回「丸の内ストリートギャラリー(MARUNOUCHI STREET GALLERY)」展示作品

 三菱地所と彫刻の森芸術文化財団は6月28日、第43回「丸の内ストリートギャラリー(MARUNOUCHI STREET GALLERY)」を同日から2025年5月まで開催すると発表した。同日、プレスお披露目会(ガイドツアー)を行った。

 「丸の内ストリートギャラリー」は、丸の内仲通りを中心に近代彫刻や世界で活躍する現代アーティスト作品を展示するプロジェクトで、今年で50周年を迎えることを記念し、新作5点、継続作品2点、入れ替え作品12点の合計19作品を展示するもの。

 プレスお披露目会で三菱地所コンテンツビジネス創造部部長・小林京太氏は、「街にアートをコンセプトに1972年から開始したプロジェクトは、今年で50周年を迎える。街行く人だけでなく、就業者からも高い評価を頂いている。美しい街路樹に溶け込むアートと街の魅力に触れていただきたい」とあいさつ。

 プロジェクトに協賛している彫刻の森芸術文化財団 事業推進部部長・坂本浩章氏は、「プロジェクトはパブリックアートとしては先駆的な取り組み。当初は道路が狭かったが、その後はオフィスの1階に商業施設がオープンし、認知度が高まってきた。今回の新作は注目度の高いアーティストの作品を選んだ」と話した。

 同日公開した公式サイト(https://www.marunouchi.com/lp/street_gallery/)では、新作を展示したアーティスト4名のインタビュー動画のほか、各作品の詳細が紹介されている。

◇        ◆     ◇

 全長1.2㎞、幅員21m(車道7m+歩行空間各7m)の仲通りは、わが国でもっとも美しい街並みの一つだろうと思う。50年前までは土曜・日曜となると閑古鳥が鳴いていた。その後、ケヤキなどの街路樹は年々成長し、歩道空間に置かれたベンチで休んだり飲食したりすることもできる。

 全国の街づくりのモデルだと思う。仲通りは公道だ(都道・区道)。道路管理者は当然都や千代田区だ。その延長線の公開空地は原則、営利事業は禁止されているはずだ。この歩行者空間にアートを展示し、飲食などを可能にしたのは、2002年に設立された大丸有エリアマネジメント協会(レガーレ)の功績が大きい。

 日常的に街角でアート作品に触れられるのはとても気持ちのいいものだ。小生が2年前まで勤務していた「丸の内オアゾ」には展示作品の一つ、三沢厚彦氏の「Amimal 2017-01-B2」があり、ビル内にはピカソの「ゲルニカ」のレプリカもある。

 また、コロナ後も時間があると「三菱一号館」の中庭に面したワインバー「マルゴ丸の内」に立ち寄り、アギュスタン・カルデナスの「拡散する水」を眺めながら、ワインを飲む。(奥まったところにヘンリー・ムーアの「羊の形」があることは全然知らなかった)

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丸の内仲通り

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丸の内仲通り

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三菱一号館の中庭(右がワインバー「マルゴ丸の内」。中央に「拡散する水」が見える)

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アギュスタン・カルデナスの「拡散する水」

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ヘンリー・ムーアの「羊の形」

◇        ◆     ◇

 お披露目会の見学ツアーは1時間くらいしかなく、じっくり鑑賞できなかったのは残念だったが、登壇された舟越桂氏、松尾高弘氏、中谷ミチコ氏の作品とその説明はとても興味深いものだった。

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舟越桂《私は街を飛ぶ》

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作品について語る舟越氏

 舟越氏は、作品の頭部に本、並木道、教会を配したことについて、協会は自らカトリックであり、並木道は空を飛ぶ夢を見たことがヒントにあるとし、「本は人間が作った一番美しいのは言葉だから」と語った。

 記者も同感だ。日本語は何と美しいことか。人間の生と死、怒り、喜び、悲しみ、美醜などを造形する彫刻もまた、手法こそ違え小説と同じではないか。今回の作品は、100人観たら100人とも違った印象を受けるのではないか。

 舟越桂《私は街を飛ぶ》舟越桂は、日本を代表する彫刻家のひとりである。人物の頭部には、教会、本、並木道が配され、記憶や思い、自然、個人の心の中にもある距離や空間的広がりを表している。パブリック作品としての希少さもさることながら、着彩されたブロンズ作品としては自身の初作品となる。作品が設置される場所の日の動きまでも考慮し着彩された人物像は、静謐さの中 にも華やかさと上品さを感じ、時間や季節の移り変わりと共に、街の喧騒と静けさに寄り添いながら、通る人々に「記憶」や「想い」を語りかけるであろう。(リリースから)

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松尾高弘《Prism“Dahlia+Peony”》

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松尾氏と作品の一部

 松尾氏は、「光を形にした」と語ったように、ビルの内と外、人の動きによる光の微妙な変化を捉えた作品だ。(記者はサンフロンティア不動産のオフィスビルで、雨上がりのあと、室内に虹が差し込んだのに感動を覚えたことがある。太陽光の角度と屋外の庇状のガラスが演出した自然現象だった)

 松尾高弘《Prism“Dahlia+Peony”》大手町ビルのエントランス左右2か所に設置された、光のインスタレーション。花の結晶として形作られたオブジェクト群は、ダリアとピオニーによる連作であり、空間に与える情感を対比的に構築する。透明なルーバー状のアクリルと、そのサーフェイスを群生するように咲くプリズムのフラワーは、風景と交錯しながら、太陽光の変化や人の往来の移り変わりを取り込み、都市とアートが溶けあいながらも、鮮やかな輝きを放ち続けるタイムレスな作品とした。(同)

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中谷ミチコ≪小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥≫

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作品の背面もアート(小生も写っている。下部は台座が写り込んでいるのが残念)

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作品について語る中谷氏

 中谷氏は、作品が展示されることについて「とても光栄だが、場違いではないかと驚いている。作品例も多くなく現実味がない」とはにかみながら話した。作品には記者も驚いた。ブロンズの裏面の半円形の円筒に鑑賞者が写り込むからだ。そして、中谷氏自身が「実はわたしはここにはいない。青い鳥も不在」と哲学的な言葉を発したのにぎくりとした。

 中谷ミチコ≪小さな魚を大事そうに運ぶ女の子と金ピカの空を飛ぶ青い鳥≫魚の泳ぐ水をスカートで大事そうに運ぶ女の子は妊婦です。全ての人は胎児だったから、この作品の主は魚です。虚と実を行き来しながら、揺らぎの中で確かなモノを探すためには、やはり物質とそれが作りだす凹凸を手探りすることが自分には大切で、だから私は彫刻を作っているのだろうと思います。凹凸に起こる無数の反転が、見る人の身体を取り込みながら、作品と一人一人の間に結ばれる関係を「唯一のもの」とする場所にしたいと思いました。(同)

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 プレスお披露目会ではもう一つ、嬉しいことがあった。小林氏のあと同社コンテンツビジネス創造部主事・谷村真志氏が登壇し、作品展示について説明したのだが、どこかで聞いたことがある名前で、マスク越しではあっても会ったことがあるような気がした。顔写真をカメラに収めた。

 谷村氏こそかつての三菱地所の野球部の主砲だった。RBA野球大会でも大活躍した。発表会後に語り掛けたら「5年前に子どもが生まれてから野球は全然やっていない」と話した。

 野球がらみでは、先に同社が行った「有楽町『SLIT PARK(スリット パーク)』」記者見学会で、早大応援団長出身で同社の野球部応援団長でもある鈴木崇正氏から声を掛けられた。RBAのホームページで「三菱地所」「谷村」「鈴木」で検索すると結構記事がヒットするはずだ。

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谷村氏

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お披露目会 発表会場となった三菱ビル1階

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カテゴリ: 2022年度
 

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