積水ハウス わが国初全戸ZEH対応「グランドメゾン覚王山菊坂町」
「グランドメゾン覚王山菊坂町」完成予想図
積水ハウスが分譲中のわが国初の全住戸ZEH対応マンション「グランドメゾン覚王山菊坂町」を見学した。名古屋市内の高級住宅街として知られる「覚王山菊坂町」の高台の一角に立地。順調な売れ行きを見せている。
物件は、名古屋市東山線覚王山駅から徒歩6分、名古屋市千種区菊坂町3丁目に位置する地下1階地上3階建て全12戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は82.54~151.84㎡、現在分譲中の住戸(3戸)の価格は7,390万~13,880万円。竣工予定は平成31年2月下旬。設計・監理は計画工房。施工は鴻池組。
現地は、駅からなだらかな坂を上った戸建てや中層のマンションが建ち並んでいる一角で、南東角地のヒルトップ。椙山女学園が近接。
外構には錆石の擁壁をめぐらし、外周には同社の「5本の樹」計画を採用。建物は「創エネ」「畜エネ」「省エネ」を駆使して全住戸ZEH基準を見たいしているのが最大の特徴。「省エネ」では、窓のアルミ・樹脂複合サッシにアルゴンガス封入複層ガラスを採用、開口部の断熱性能を従来比2倍に高めている。
「創エネ」「畜エネ」では、全住戸平均約4kWの太陽光発電システムと、燃料電池「エネファーム」を搭載。住宅の省エネ性能を評価する「BELS」で最高ランクの☆5つを獲得している。
設備仕様は、天然石のキッチン・洗面カウンタートップ、ウレタン塗装仕上げ扉、空気環境配慮システム「エアキス」、スマート・ユニバーサルデザイン、ドアのセットバック、メーターモジュールの廊下幅など。リビング天井高は2,200~2,700ミリ。
◇ ◆ ◇
バブルのころ、大京の「エルザ星が丘」78戸を見学したことがあるが、名古屋市のマンション市場はまったくわからない。
しかし、このマンションは間違いなく億ションにふさわしい仕様レベルだと思う。
建築中の現地
「横浜北仲」「クオン流山・新浦安」「大山」 2017年 ベスト3マンション
2017年 記者が選んだ 首都圏ベスト3マンション
三井不動産レジデンシャル・丸紅「ザ・タワー横浜北仲」
スターツ「クオン流山おおたかの森」&「QUWON(クオン)新浦安」
東京建物「Brillia大山Park Front」
2017年の記者が選んだ首都圏ベスト3マンションは、①三井不動産レジデンシャル・丸紅「ザ・タワー横浜北仲」②スターツ「クオン流山おおたかの森」&「QUWON(クオン)新浦安」③東京建物「Brillia大山Park Front」に決定した。この1年間に見学した105物件の中から話題性、商品企画、売れ行きなどを総合的に判断し、なおかつ記者の独断と偏見も加味して選んだ。
三井不動産レジデンシャル・丸紅「ザ・タワー横浜北仲」
「ザ・タワー横浜北仲」完成予想図
「ザ・タワー横浜北仲」は、第1期730戸を登録完売させて驚かせた。マンション業界関係者ならよほどのへそ曲がりでない限りほぼ全員が今年の掉尾を飾るのにふさわしい物件と考えるはずだ。記者も文句なしに何の躊躇もなくこのマンションを選んだ。
横浜市民にとって「みなとみらい」がもっとも住みたい街なのだろうが、記者はこの街を好きになれない。確かに利便性は高いが、大きなビルやマンションが要塞のように迫ってくる。それに比して街路樹が貧弱だ(まだ成長途上ではあるが)。
「横浜北仲」もこれからの街だが、まだここには品格を備えた歴史的な雰囲気が残っている。すぐそばの「馬車道」には国の重要文化財に指定されている神奈川県立歴史博物館のほか、横浜市の歴史的建造物に指定されている建物がたくさんある。レトロなガス灯の街路灯、レンガ敷の舗道もある。
坪単価は400万円を突破してくるのではと予想していたが、記者発表の段階では390万円と公表された(実際は400万円超という説もあるが記者は未確認)。これは割安感がある。ユーザーもそう判断したのだろう。第1期730戸が登録完売したのも全然驚かない。近い将来、中古の段階ではみなとみらいを逆転するとみている。
隣接地にはアパの2,400室という巨大ホテルが建つが、設計が久米設計、デザインが新居千秋都市建築設計で、市の都市美対策審議会景観審査部会で侃々諤々の論議を経て決定されたはずだ。立派なものになることを期待したい。
坪単価390万円では計れない「ミクストユース」の価値あり三井レジ他「横浜北仲」(2017/11/16)
スターツ「クオン流山おおたかの森」&「QUWON(クオン)新浦安」
「クオン流山おおたかの森」完成予想図
「QUWON(クオン)新浦安」完成予想図
あとの2物件は各人各様、相当意見は分かれるはずだ。そのうちの1物件に記者は「クオン流山おおたかの森」&「QUWON(クオン)新浦安」を選んだ。ともに街づくりに力を入れた物件で、商品企画は甲乙つけがたいので双方を1つとして選定した。
まず「流山おおたかの森」。この種のコンペでは、大手デベロッパーが選定されるケースが多いが、スターツは住友不動産、野村不動産の各グループ提案より入札価格では低かったにも関わらず、総合的な評点で上回った。千葉が発祥の企業として、持続可能な街づくり提案を行った熱意、意気込みが評価されたということだろう。これを記者も高く評価した。
年末に第1期84戸の分譲を開始したが、これは全192戸の4割を越す比率だ。坪単価210万円というのは超割安だと思う。
沿線では大量のマンションが供給されており、価格競争が激化している。この物件のあおりを受けないことを祈るばかりだ。
「QUWON(クオン)新浦安」は、3.11後の街のブランド復活をかけた意欲的な物件だ。地盤改良の解析と工事のために約1年、24億円を投じた。そして敷地内に18,000本の砂杭を打ち、さらに敷地外周部に2,280本の杭を打っている。低層の全4棟170戸に免震工法を採用している-こんなマンションはほかにない。
坪単価260万円は高いか安いか-これはユーザーが判断することだからこれ以上書かないが、第1期88戸がほぼ完売している。竣工は平成30年7月下旬。時間の経過とともに評価されるマンションだと思う。徒歩15分のハンディが何だ。戸建ての着工も待たれる。
超割安 免震、日建、横入り玄関…質も高い スターツ「クオン流山おおたかの森」(2017/11/9)
〝オールスターツ〟「QUWON(クオン)新浦安」始動 新浦安ブランド回復のシンボル(2017/8/9)
東京建物「Brillia大山Park Front」
「Brillia大山Park Front」完成予想図
最後の1物件は、悩みに悩みぬいた末に「Brillia大山Park Front」を選んだ。決め手は、同社の女性社員を中心とする企画集団「Bloomoi(ブルーモワ)」だ。プロジェクトチームが立ち上げられた2012年からずっと応援しており、要するに好きなのだ。同社の「Brillia Tower 代々木公園CLASSY」も候補の1つだったのだが、もっと高値挑戦(坪単価520万円)してほしかったので選外とした。
〝女性活躍〟などといやらしい文言は使いたくないのだが、かといって、スローガンは立派でもあらゆる問題を隠ぺいするイチジクの葉っぱのような〝1億総活躍〟も使いたくないし、「2030」(2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする政府目標)は夢物語なので、まだ賞味期限ではないと考え、エールを送る意味も込めてこの物件を選んだ。偏見のそしりは免れないが受けて立つ覚悟はある。
もちろん女性チームが好きという理由だけでベスト3の一つに選んだわけでは決してない。別掲の記事を参照していただきたい。
公園に面している立地条件もさることながら、モデルルームの出来が出色だ。昨年2月、「理想のリビング空間」としてメディアに公開された「アイランドキッチン」「ブルーモワライブラリー」「ブルーモワポケット」「壁面収納」を提案しているのがそれだ。みんな機能的で美しい。美しい=機能的と論じた丹下健三と同じだ。
もう一つ、この物件の面白いのは、この最強の女性集団の商品企画意図を汲み、第1期86戸を完売した加覧憲一氏をトップとする男性中心の販売チームも立派なのだが、構成員はRBA野球では最弱の東建・東建不販チームに所属することだ。その一人、磯田隼人氏は人事異動で来年はチームから離脱することも決まった。野球チームは存続の危機にあるとみた。
関係のないことまで書いたが、「Bloomoi(ブルーモワ)」がヒットするということは、男性の企画集団には何かが欠けているということであり、警鐘でもある。考えたほうがいい。
「Bloomoi(ブルーモワ)」のプロジェクトリーダー野口真利子氏に最初にお会いしたのが7年前。もう一人、プロジェクトマネージャーの田所照代氏とはそれよりさらに数年前にインタビュー取材している。また取材して記事にしたい。テーマは「がんばれ東建野球チーム」にしようか。
東京建物「Bloomoi(ブルーモワ)」が企画 機能的で美しい 公園隣接の「大山」(2017/9/25)
東京建物 働く女性の「Bloomoi /ブルーモワ」に期待(2012/11/5)
記者が選んだ「2016年ベスト3マンション」(2016/12/27)
「お客さま目線・営業が売りやすいプラン」 明和地所の建築担当・大竹佳織氏
「クリオ東神奈川」プラン1
明和地所「クリオ レジダンス八王子ザ・マークス」の商品企画がいいと先に書いた。販売担当の井野真利雄氏が商品企画は同社の女性が担当したことを明かし、「お客さまの評価も高い。間取りがいい」と自画自賛したマンションだ。
詳細は記事を読んでいただきたいが、〝男性優位〟のイメージが強い同社にあって、このような素晴らしいプランを編み出す女性はどんな人だろうと気にかかり、会わずにはいられなくなり、同社にインタビューをお願いしたら実現した。同社開発事業本部マンション事業建設二部 建設課課長・大竹佳織氏(45)だ。もちろん一級建築士。
大竹氏は平成6年入社。それまで同社には建築系の女性の新卒採用は行っておらず、「試験的に女性を採用することになったようで、プロパーとしてはわたしが初めての採用だった」ようだ。
いつも心がけているのは「お客さま目線」「特性に合った商品企画で、営業が売りやすいプラン」だ。「設備メーカーの新商品は必ずチェックし、現場にもよく足を運びます。営業マンとのコミュニケーションを密にしており、企画意図はしっかり伝えますし、営業マンの声もよく聞きます」と大竹氏は話した。
「八王子」の物件ではマンションとしては珍しい(記者は初めて見た)セラミックトップのキッチンカウンターを採用しているが、日ごろからメーカーとの良好な関係を構築できているから実現したにちがいない(相当高いはず)。
「用地を仕入れてから販売までを短期間で準備する制約がありプレッシャーになるが、お客さまや営業から喜ばれるのが何よりうれしい」と語った。
これまで担当した物件をいくつか挙げてもらった。「クリオ東小金井パークフロント」(89戸)「クリオ溝の口ガーデンコート」(78戸)「クリオ東神奈川」(74戸)「クリオ ラベルヴィ川崎南幸町」(37戸)などだ。
「東小金井」は記事にもした。いい物件だった。コンパクトの「川崎南幸町」も瞬く間に売れたと聞いている。
「溝の口」も「東神奈川」も売れ行きがよかったそうだが、知らなかったのでパンフレット・図面集を貰って眺めた。植栽・外構が優れている「溝の口」はともかく、「東神奈川」のプランがいいのにびっくりした。JR東神奈川駅から徒歩3分の商業地域に立地する11階建て74戸(坪単価300万円)だ。
プラン1~3を見ていただきたい。プラン1は北西向きの専有面積約66㎡の3LDKだ。専有圧縮型ではあるが、大きなポーチ、バルコニーを確保し、スパンは北西側が7,100ミリ、北東側が9,300ミリ。採光・開口部は6か所ある。
専有面積約66㎡の南西角住戸のプランが2だ。スパンは南西側が9,300ミリ、北西側が7,200ミリ。採光・開口部はこちらも6カ所。
プラン3は東南向きの専有面積約68㎡の中住戸だ。もっとも売りづらい住戸と思われるが、完全アウトフレームにすることで柱型が住戸内に出ないようにし、スパンも6,500ミリ確保している。このほか中住戸プランでは南西向き約70㎡と、北西向き約56㎡があるが、それぞれスパンは6,800ミリ、6,700ミリだ。
用途が商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)で高さ規制は31mなのでリビング天井高は2,400ミリ(2~11階)しかなく、収納が少ない、専有圧縮型という難点はあるが、それらを補って余りあるプランだ。
「クリオ東神奈川」プラン2
「クリオ東神奈川」プラン3
◇ ◆ ◇
「用地を仕入れてから販売までを短期間で準備する」というのは同社の〝伝統〟だ。もう20年くらい前からそうしているのではないか。当時、高杉仁専務から「うちは仕入れから半年で着工・分譲できるんだ」と豪語したのをよく覚えている。
この伝統はそろそろ改める時期に来ていると思う。同社には〝レミントンハウス〟〝ワイドスパン〟という歴史もある。もう少し商品企画に割く時間をとって〝企画の明和地所〟と評価されるような会社になってほしい。
〝タワマンに負けない〟商品企画光る 明和地所「クリオ レジダンス八王子ザ・マークス」(2017/12/11)
再開発進む駅前一等地&公園に隣接 明和地所「クリオ東小金井パークフロント」(2015/3/6)
横浜市内最高単価520万円に納得 三井不レジ「パークコート山下公園」が好調
「パークコート山下公園」完成予想図
三井不動産レジデンシャルが分譲する横浜市初の〝パークコート〟シリーズ「パークコート山下公園」を見学した。ホテルニューグランドの隣接ブロックで、山下公園へは徒歩2分、北側住戸からは横浜港が見下ろせる。横浜市民なら垂涎もののマンションだ。残りもわずか。
物件は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩2分、横浜市中区山下町30番地に位置する15階建て全93戸(販売総戸数89戸、事業協力者戸数4戸含む)。専有面積は53.67~188.06㎡、来年2月分譲予定の第2期(戸数未定)の予定価格は9,000万円台~40,000万円台(71.86~188.06㎡)、最多価格帯16,000万円台。坪単価は520万円。入居予定は平成31年3月下旬。設計・監理・施工は大林組。7月から分譲開始されており、残り未供給は14戸のみ。
現地は、開業90周年を迎えたクラシックホテル・ホテルニューグランドの隣接地で、3方道路の角地。日本郵船氷川丸まで徒歩4分、海の見える丘公園まで徒歩6分、横浜県庁まで徒歩9分。
敷地は明治屋の跡地。建物の基壇部はニューグランドと調和させるため凸凹のある花崗岩を用い重厚感を演出し、上層部は縦と横のラインを強調したグリット構成とし、一部ガラスカーテンウォールとするなどシンボリックな外観になっている。
共用部デザインには、アトリエG&B・西川隆夫氏、三井デザインテック・堀内健人氏、マリエンバード工房・野口真里氏をそれぞれ起用してアーティスティックな空間を表現。
約115㎡のプレゼンテーションルームは三井デザインテック・小野京子氏が担当。南部鉄の玄関ドア把っ手、UVコートシートフローリング、突板鏡面塗装ブックマッチ貼りLD建具家具などが標準仕様。リビング天井高は約2600ミリ。
販売を担当する同社横浜支店営業室のレジデンシャルサロン所長・工藤史年氏は、「(圧倒的人気で第1期730戸を即日完売した)『ザ・タワー横浜北仲』とは趣が異なり、明治屋の跡地になりますが、横浜港とホテルニューグランドを身近に感じられるこの場所に住みたいと仰る方が多い。価格以上の価値をこの物件に感じていただいている」と話している。
レジデンシャルサロンからは横浜港を眺めながら商談できる
ラウンジ
◇ ◆ ◇
この物件の存在は「北仲」の取材のとき初めて知り、その後、三井デザインテックが行った記者懇親会場で小野京子氏と歓談し、モデルルームのデザインを担当していること聞き取材することを約束した。小野氏は「武蔵小山」も担当しているそうだ。
小野氏に「坪600万円でどうですか」とあてずっぽうで訊ねたのだが、そんなに外れていなかった。みなとみらいや横浜駅圏では坪400万円を突破してきているが、山下町は格別だ。ニューグランドは最高だし、山下公園は何時間でも過ごせる。周辺のイチョウ、ケヤキなどの街路樹は樹齢にして100年はありそうで、至るところに歴史を感じさせる街並みを発見することができる。
強気な単価設定かもしれないが、その土地の価値を最大限に引き出す役割をデベロッパーが担っているとすれば、市内最高峰の坪520万円(バブル崩壊後)は納得だ。
現地の隣接地には、2002年に竣工した相模鉄道の記念碑的なマンション「プライマリーナ山下公園グレーシアタワー」156戸が建っている。免震を採用した当時としては最高のマンションだった。坪単価は200万円強ではなかったか。4年前には同社の「パークホームズ横濱山下公園」も取材した。坪単価は250万円だった。
プレゼンテーションルーム
プレゼンテーションルーム(把っ手がなければドアか壁か区別がつかない)
坪単価390万円では計れない「ミクストユース」の価値あり三井レジ他「横浜北仲」(2017/11/16)
ターナー発見 椿姫 乾杯の歌に「ブラヴォー」 三井デザインテック セミナー・懇親会(2017/12/4)
「パークコート渋谷大山町」 低層住宅街の大規模物件、単価は470万円(2014/12/3)
「パークホームズ横濱山下公園」 立地絶好、即日完売の可能性大(2013/5/20)
坪260万円はすごく安いと感じたが…東急不他「心斎橋SOUTH」竣工 見学会
「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」(右が「NORTH」)
東急不動産(事業比率75%)は12月20日、NTT都市開発(同25%)と共同で建設を進めてきた大阪市営地下鉄長堀橋駅から徒歩1 分(心斎橋駅から徒歩7分)の30階建てマンション「ブランズタワー・ウェリス心斎橋SOUTH」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。
物件は、大阪市営地下鉄長堀橋駅から徒歩1 分(御堂筋線心斎橋駅から徒歩7分)、大阪市中央区東心斎橋一丁目に建つ30階建て全202戸。専有面積は40.02~126.74㎡、価格は2,700万円台~1億3,600万円(平均5,100万円台)、坪単価は260万円。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。入居予定は2017年12月下旬。
現地は、昨年3月に入居済みの隣接する36階建て「ブランズタワー・ウェリス心斎橋NORTH」246戸の隣接地。建物は制震構造で、住戸プランは40~60㎡台が約7割。昨年3月から分譲を開始し今年9月までに完売している。
同社住宅事業ユニット関西住宅事業本部開発部事業企画グループ部長・澤浩正氏ら関係者によると、同社は2013年から大阪御堂筋線でのマンション事業を強化するためプロジェクトチームを立ち上げ、これまで積極的に展開してきており、同線での供給シェアは15~20%に達する〝マーケットリーダー〟の役割を果たしているという。
坪単価は「NORTH」が240万円、先に竣工した「ブランズタワー御堂筋本町」276戸が300万円で、現在分譲中の「ブランズタワー梅田North」 653戸が340万円という。「梅田North」もすでに4割が成約済みと好調のようだ。これからの新規物件は軒並み坪300万円を突破すると話した。
屋上からの眺望
◇ ◆ ◇
大阪のマンション市場は全くわからない。「心斎橋」は東京でいえば銀座の外れ「東銀座」をイメージすればいいという。もともとオフィス街でマンションはあまり建たなかったエリアのようだ。
それにしても単価は安い。仮に同規模のマンションが東銀座で建設されたら坪700~800万円にはなるはずだ。坪260万円は、浦和や大宮より安く、わが街・多摩センターと同じ郊外マンション並みだ。
すぐ近くの長堀橋駅から心斎橋駅まで地下の商店街でつながっており、心斎橋まで歩いたが、人通りは銀座の3分の1もなく、とにかく若い女性の姿が少なかった。せわしなくスマホを操る人も東京ほどではない。(行きは現地が分からず、若い女性に声を掛けたら『わたしもよくわからない』と言いながらスマホで検索して教えてくれた)
地下鉄の車内放送では(そこが最寄を示す)民間施設の宣伝をやっていたが、あれはやめるべき。
心斎橋の地下商店街
◇ ◆ ◇
アベノミクスではなく「あべのハルカス」にも登った。記者は東京の超高層マンションやビルにいつも登っているので、「わが国最高層」と言われてもピンとこない。百貨店のこともよくわからないし、人出が多いのか少ないのかもコメントのしようがない。
ビル内にある「やさい家めい」で食事をしたが、ものすごく量が多くお酒もおいしかった。いまその時もらったパンフレットを見たら、本家は表参道ヒルズとあった。
あべのハルカス展望台から都心方向の眺望
2層の吹き抜けステージ空間
◇ ◆ ◇
安藤忠雄氏が発案した「新梅田ビル」の積水ハウス「希望の壁」と、同ビル内に開設された「絹谷幸二 天空美術館」を観たくて訪れた。「希望の壁」は高さ9m、長さ78m。隣の「新・里山」はすっかり冬支度を済ませているのに、この壁は青々とした観葉植物が威勢よく壁面を飾り、バラのような花も咲いていた。絶句した。
絹谷氏はむかしからのファンで、以前、名古屋で買ってボロボロになるまでつけていた絹谷氏デザインの同じネクタイをまた買った。値段は据え置きだった。大阪-新梅田ビルは人でごった返していた。ここなら坪500万円でも安いのではないか。
「希望の壁」
壁面の花
「絹谷幸二 天空美術館」カフェラウンジ
人でごった返す「新梅田ビル」
早期完売間違いなし 三鷹駅直結の相鉄不・三菱地所レジ「グレーシアタワー三鷹」
「グレーシアタワー三鷹」完成予想図
相鉄不動産と三菱地所レジデンス(事業比率は未公表、幹事会社は相鉄不)は12月21日、JR三鷹駅直結のタワーマンション「グレーシアタワー三鷹」のモデルルームを2018年1月6日にオープンすると発表した。坪単価は450万円前後の予定で、すでに約5,000件の問い合わせがあり、人気は必至だ。同日、報道陣向けの見学会を行った。
物件は、JR中央線三鷹駅(南口)から徒歩1分、三鷹市下連雀3丁目に位置する26階建て全184戸(事業協力者住戸39戸含む)。容積率は650%(総合設計により緩和措置あり)。専有面積は40.06~90.66㎡、予定価格は5,000万円台(予定)~17,000万円台(最多価格帯8,000万円台、坪単価は450万円戦後になる模様。入居予定し2019年4月下旬。販売代理は三菱地所レジデンス、相鉄不動産販売。施工は五洋建設。設計・監理はタカハ都市科学研究所。デザイン監修は三菱地所設計、メック・デザイン・インターナショナル。
三鷹駅直結で、商業施設、オフィスなどとの複合再開発物件。公開空地を確保していることなどから都の総合設計制度の容積率の緩和措置(650%)を受けている。
住戸は6階以上で、ファミリー向け3LDK 住戸を中心とした全15タイプ。中層階以上の西向き住戸からは富士山が眺望できる。角住戸比率は約46%。設備仕様は相鉄の「良水工房」を採用しているほか、水栓はグローエ社製、キッチン天板は御影石(シーザーストーンに変更可能)、パウダースクラッチの建具・面材、イタリア製TSJ社塗装建具など。
モデルルーム
◇ ◆ ◇
シアターやパンフレットでも強調しているように、1995年以降、東京都所在で分譲された12,547物件のうち20階建て以上+最寄駅から徒歩1分以内+駅直結はわずか約0.2%の22物件しかない希少性を最大の売りにしている。
記者はこの22物件をほとんどすべて見学している。ごく一部を除いてことごとく早期完売している。この物件も売る前から早期完売が約束されたマンションだ。
そのためか、この規模の物件にしては販売事務所やモデルルームの設備仕様は普通で、シアタールームもなし、模型も小ぶりなもので、販売経費をかけない姿勢がありありだ。坪単価もかなり抑制したようだ。
この商品企画はともかくとして、数年前、相鉄不が京王線の調布駅前の再開発を分譲したときも驚いたが、いよいよ同社は中央線三鷹の一等地で大手を出し抜くようになってきた。すごいの一言だ。
プランで注文を付けるとすれば、例えば30坪(100㎡)から40坪(132㎡)くらいでも欲しい人はたくさんいるのではないか。天井高2450ミリもやや低い。このエリアの高さ規制はないはずだ。(駅北口の野村不動産の物件は完売まで時間がかかったが、あれはリーマンの影響をもろに受けたから。三鷹駅直結の億ションだったら2億円でもまちがいなく売れる)
個人的には、この物件の西側に建つモリモトのマンションに購入を考えたほどほれ込んだ。当時の坪単価300万円は超割安だと思った。記事には「玄関ドアは重厚感のある突き板仕様で、廊下は全て大理石張り、建具はイタリア製。フローリングはチーク、ゼブラウッド、タモの3種からセレクトできる。都心部の億ション仕様と何ら遜色がない」と書いた。
共用部
甲府駅北口で駅から最も近いマンション 1カ月半で約7割を販売 マリモ「甲府駅前」
「ポレスター甲府駅前プレミア」
マリモが分譲している「ポレスター甲府駅前プレミア」を見学した。1995年以降の分譲マンションでは駅から最も近い物件で、分譲開始の10月末から1カ月半で全84戸のうち約7割が契約・申し込み済み。50歳代以上の高齢者の購入が目立ち、女性の単身・親子の購入比率が高いのが特徴。
物件は、JR中央本線甲府駅から徒歩2分、山梨県甲府市北口1丁目に位置する15階建て84戸。現在分譲中の第2期(残6戸)の専有面積は71.32~85.60㎡、価格は3,090万~4,210万円(最多価格帯3,800万円台)。完成予定は2019年3月末。設計・監理はマリモ。施工はナカノフドー建設。
現地は、甲府駅北口から徒歩2分の中高層ビル・マンションが建ち並ぶ商業地域で、敷地は元財務省所有の跡地。東側道路(武田通り)と北側、西側の3方道路に面している一等地。
建物は全戸南向き。一括受電、スラブ厚250ミリ、戸境壁220ミリ、天井高2500ミリ、4枚建てワイドサッシ、引き戸の多用、引っ越し無料サービス、食材宅配受取サービスなど。
販売を担当する同社営業本部東日本営業部おもてなし課の営業員は、「当社としては甲府駅エリアで9棟目のマンション。これまで約600戸を供給している。これほどのスピードで売れているのは、希少立地の資産性の高さと、車がなくても生活できる利便性に加え、これまでの実績による他社との差別化を図っているのが大きな要因。女性の親子、単身者の購入が多いのが特徴。中心市街地活性化基本計画区域内に位置しているため、購入する世帯に50万円の補助が出るのも後押ししている」などと話した。
モデルルーム
◇ ◆ ◇
市内中心部に移住すると50万円の補助が出るという話。市の制度によると、平成26年5月から平成31年3月末までに市が定めた区域内で住宅を建設・購入した場合、最高50万円を補助する。中心市街地への定住を促進するためだ。住宅購入への意欲向上に、公的な制度も一役買っているともいえる。
現地(北西側から写す)
顧客軽視、管理者不在のマンションを変える 管理協海外研修グループの提案
海外研修グループ6名のプレゼンテーション
マンション管理業協会の「マンションいい話コンテスト2017(管理会社編)」の表彰式の記事を先に紹介したが、管理協海外研修グループ6名(ほか2名は欠席)が行った「日本のマンション管理の将来像について」と題するプレゼンテーションと、野村不動産パートナーズ会長・関敏昭氏の「顧客満足度向上の取り組み」についての講演がまた素晴らしかった。
まず前者から。20~30歳代と思しき6名の若いグループが登壇したとき、記者は朝からなにも食べておらず、お腹がすいており、大した話にはならないだろうと高を括っていた。
伊藤忠アーバンコミュニティ・中島英一郎氏がトップバッターとして台湾とわが国のマンション管理の共通点と違いについて話し出したころも〝はやく終わってくれないか〟と考えていた。
日本と台湾の共通点は価格重視で管理会社のステータスが低いことだそうだ。「管理会社のステータスが低い」のに納得して聞いていたのだが、その違いに触れる段階になって、話に引き込まれるようになった。
わが国は予防保全の考え方で修繕積立金制度がある(台湾は事後保全で積立金制度はなし。以下同じ)、役員はなり手不足(積極的)、現場スタッフの高齢化(若年層)、管理の考え方は効率重視(有人対応)、居住の考え方は終の棲家(住み替え前提)とまるで違うではないか。とくに台湾では現場スタッフのホスピタリティが高いというのには驚いた。
続いて、研修メンバーはわが国のマンションと管理の現状について、管理会社不在のデザインであること、管理会社不在の施工であること、無理のある管理仕様であることなどと容赦ない批判を加えた。「つまらない管理はお客様にとって物足りない」と。
ここまで聞いて記者の背筋が伸びた。痛いところを突かれた。心当たりがあるからだ。「マンションは管理を買え」などと管理の何たるかを知らないのに平気で書いてきた若いころを思い出した。
研修グループはさらに追い打ちをかけた。赤色の大きな文字でしかも斜めに「見た目で行こうぜ!」をプロジェクター画面に映し出した。
何の意味か分からず面食らったのだが、グループは顧客軽視のマーケットを変えるため、デザイン設計の段階から管理会社が参画し、魅せる管理を提案すべきと訴えた。なるほど。「見た目で行こうぜ!」というのは言いえて妙だ。管理の〝見える化〟に置き換えればいいのだろう。
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記者は約40年間、ずっとマンションの取材を行ってきた。年間にして100件は見学している。最近は管理協の記者懇親会などのイベントも欠かさず出席している。しかし、管理会社の若い社員からこの種の話を聞くのは初めてだった。
いまのマンションが「管理会社不在のデザイン」と一蹴されたときは頭をどやされたような気がした。と同時にマンション管理業の将来は明るいと感じた。若い方々が会社で重要な立場に立っているころにはデベロッパーとの関係も一変しているだろうと。
このグループのプレゼンの後に登壇した関氏も「私も台湾研修に同行した。(グループは)みんな若いし元気。頼もしい。そのあとで(話すのは)やりづらい」と会場を笑わせたが、関氏もまた管理業の明るい未来を指し示す講義を行った-内容については稿を改める。
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6名のプレゼンテーターは以下の通り(登壇順)。( )は欠席者
伊藤忠アーバンコミュニティ・中島英一郎氏
ケイエスコミュニティ・永野達夫氏
ライフポート西洋・吉村治人氏
レーベンコミュニティ・雨木将吾氏
野村不動産パートナーズ・小林伸氏
アイワマネージメント・高倉亮氏
(三井不動産レジデンシャルサービス関西・奥田隆司氏)
(東急コミュニティー・鈴木志氏)
公開空地整備で容積40%緩和 旭化成不レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」
「アトラス品川中延」完成予想図
旭化成不動産レジデンス(事業比率75%)と首都圏不燃建築公社(同25%)のマンション「アトラス品川中延」を見学した。特定防災街区整備地区(中延二丁目旧同潤会地区)指定によって建築が進められているもので、既報のように第1期72戸の販売が完了するなど、好調な売れ行きを見せている。
物件は、東急池上線荏原中延駅から徒歩4分、品川区中延二丁目に位置する13階建て全195戸(非分譲住戸72戸含む)。専有面積は33.45~87.05㎡、坪単価は352万円。竣工予定は2019年2月下旬。設計・監理は日建ハウジングシステム。施工は長谷工コーポレーション。
モデルルームは72㎡の3LDK。二重床・二重天井、御影石のキッチン・洗面カウンタートップ、ペニンシュラキッチン、食洗機、物干しポール付きなどが特徴。
防災街区整備事業とは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく事業で、木造家屋が密集し防災上の不安を抱えた地区を対象とし、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが目的で、東京都の防災街区整備方針によると、平成26年12月現在、都内82地区、5,135haが防災再開発促進地区に指定されている。
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防災再開発促進地区指定の威力を現地で確認することができた。
一つは事業スピードだ。平成22年の検討会発足から今年6月の着工までわずか7年しか経過していない。周辺の建物はほとんど2階建て、3階建てのビルや住宅ばかりで、道路幅も4mあればいいほうで、狭隘で2m幅もなさそうなところもあった。マンションが建つエリアは権利関係者が140名にも上っている。両者がコーディネーター・参加組合員としてよく権利調整を行ったということだろう。
もう一つは、容積率緩和だ。現地の用途地域は第1種住居で、建ぺい率50%、容積率200%だが、建基法52条第8項の規定により公開空地などを設けることで容積率は40%の緩和措置を受けている。もともとなかった敷地南側に新たに軒先空地(壁面後退6m)を設けるなどして建物周辺に約500㎡の空地を確保、敷地北側には提供公園・地域交流広場や防災備蓄倉庫を設置している。
坪単価はやや高いという印象も受けるが、周辺エリアの価格がどんどん上昇していることを考慮すれば相場並みか。第1期72戸の販売が完了したのには驚いたが…。
旭化成不動産レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」 第1期72戸の販売完了(2017/12/11)
旭化成不動産レジデンス 品川区中延で密集法に基づくマンション195戸建設へ(2016/12/13)
大和地所レジ「ヴェレーナグラン大宮大門町 瑞景」全45戸 1カ月半で完売
大和地所レジデンスは12月11日、さいたま市大宮区のマンション「ヴェレーナグラン大宮大門町 瑞景」全45戸が販売開始から約1カ月半で早期完売したと発表した。
物件は、JR大宮駅から徒歩5分、さいたま市大宮区大門町三丁目に位置する13階建て。専有面積は・60㎡台~83㎡台、価格は4,400万円台~8,100万円台。入居予定は2019年5月下旬。施工は大木建設。
大宮駅から徒歩5分の立地に加え、再開発エリアに近接、ガラスコーナーサッシなど開放感を高めたプランなどが評価された要因。
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ご同慶の至りだ。10月に取材したとき、坪単価300万円の大台に乗ったらわからないが、280~290万円だったら間違いなく早期完売すると読んだ。実際はもっと安かったようだ。お客さんの考えと記者の読みにそれほど差がなかったことがなにより嬉しい。
そこで、同社も含め中堅デベロッパー(このような呼び方は失礼だと思うが、記者は便宜的に数社の大手以外をひとくくりでこう呼んでいる)に注文。マンションの分譲に関するメディア向けニュースリリースを発信するのはいいのだが、同時に記者見学会をもっと積極的に行っていただきたい。仮に大手と同じ商品企画でもブランド力では圧倒的に負ける。それを補うために、専門紙誌の記者にアピールするのは有効な手段だと思う。
しかし、積極的に記者見学会を行っている中堅デベロッパーは総合地所くらいで、皆無に近い。これでは〝駅近〟〝大規模〟〝再開発〟〝タワーマンション〟などで一網打尽に需要を取り込もうとする大手に勝てない。埋没する一方だろうし、現場の営業にそれだけ負担がかかる。ニッチに徹するのも生き残る方法だろうが…。
見学会を行っても記者は集まらず、徒労に終わることもある。それでも繰り返し、一つひとつ説明すればいずれは理解されるようになる。広報活動は大手の2~3倍努力しないと勝負にならない。
ローマは一日にしてならず。いま中堅でユーザーから圧倒的な支持を得ているモリモトは、バブル崩壊後の平成4~5年から〝デザイナーズマンション〟を前面に掲げ、大手に対抗してきた。
大和地所レジ 人気になった「大宮大門町」に隣接 坪300万円はないと見たが… (2017/10/12)