顧客軽視、管理者不在のマンションを変える 管理協海外研修グループの提案
海外研修グループ6名のプレゼンテーション
マンション管理業協会の「マンションいい話コンテスト2017(管理会社編)」の表彰式の記事を先に紹介したが、管理協海外研修グループ6名(ほか2名は欠席)が行った「日本のマンション管理の将来像について」と題するプレゼンテーションと、野村不動産パートナーズ会長・関敏昭氏の「顧客満足度向上の取り組み」についての講演がまた素晴らしかった。
まず前者から。20~30歳代と思しき6名の若いグループが登壇したとき、記者は朝からなにも食べておらず、お腹がすいており、大した話にはならないだろうと高を括っていた。
伊藤忠アーバンコミュニティ・中島英一郎氏がトップバッターとして台湾とわが国のマンション管理の共通点と違いについて話し出したころも〝はやく終わってくれないか〟と考えていた。
日本と台湾の共通点は価格重視で管理会社のステータスが低いことだそうだ。「管理会社のステータスが低い」のに納得して聞いていたのだが、その違いに触れる段階になって、話に引き込まれるようになった。
わが国は予防保全の考え方で修繕積立金制度がある(台湾は事後保全で積立金制度はなし。以下同じ)、役員はなり手不足(積極的)、現場スタッフの高齢化(若年層)、管理の考え方は効率重視(有人対応)、居住の考え方は終の棲家(住み替え前提)とまるで違うではないか。とくに台湾では現場スタッフのホスピタリティが高いというのには驚いた。
続いて、研修メンバーはわが国のマンションと管理の現状について、管理会社不在のデザインであること、管理会社不在の施工であること、無理のある管理仕様であることなどと容赦ない批判を加えた。「つまらない管理はお客様にとって物足りない」と。
ここまで聞いて記者の背筋が伸びた。痛いところを突かれた。心当たりがあるからだ。「マンションは管理を買え」などと管理の何たるかを知らないのに平気で書いてきた若いころを思い出した。
研修グループはさらに追い打ちをかけた。赤色の大きな文字でしかも斜めに「見た目で行こうぜ!」をプロジェクター画面に映し出した。
何の意味か分からず面食らったのだが、グループは顧客軽視のマーケットを変えるため、デザイン設計の段階から管理会社が参画し、魅せる管理を提案すべきと訴えた。なるほど。「見た目で行こうぜ!」というのは言いえて妙だ。管理の〝見える化〟に置き換えればいいのだろう。
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記者は約40年間、ずっとマンションの取材を行ってきた。年間にして100件は見学している。最近は管理協の記者懇親会などのイベントも欠かさず出席している。しかし、管理会社の若い社員からこの種の話を聞くのは初めてだった。
いまのマンションが「管理会社不在のデザイン」と一蹴されたときは頭をどやされたような気がした。と同時にマンション管理業の将来は明るいと感じた。若い方々が会社で重要な立場に立っているころにはデベロッパーとの関係も一変しているだろうと。
このグループのプレゼンの後に登壇した関氏も「私も台湾研修に同行した。(グループは)みんな若いし元気。頼もしい。そのあとで(話すのは)やりづらい」と会場を笑わせたが、関氏もまた管理業の明るい未来を指し示す講義を行った-内容については稿を改める。
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6名のプレゼンテーターは以下の通り(登壇順)。( )は欠席者
伊藤忠アーバンコミュニティ・中島英一郎氏
ケイエスコミュニティ・永野達夫氏
ライフポート西洋・吉村治人氏
レーベンコミュニティ・雨木将吾氏
野村不動産パートナーズ・小林伸氏
アイワマネージメント・高倉亮氏
(三井不動産レジデンシャルサービス関西・奥田隆司氏)
(東急コミュニティー・鈴木志氏)
公開空地整備で容積40%緩和 旭化成不レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」
「アトラス品川中延」完成予想図
旭化成不動産レジデンス(事業比率75%)と首都圏不燃建築公社(同25%)のマンション「アトラス品川中延」を見学した。特定防災街区整備地区(中延二丁目旧同潤会地区)指定によって建築が進められているもので、既報のように第1期72戸の販売が完了するなど、好調な売れ行きを見せている。
物件は、東急池上線荏原中延駅から徒歩4分、品川区中延二丁目に位置する13階建て全195戸(非分譲住戸72戸含む)。専有面積は33.45~87.05㎡、坪単価は352万円。竣工予定は2019年2月下旬。設計・監理は日建ハウジングシステム。施工は長谷工コーポレーション。
モデルルームは72㎡の3LDK。二重床・二重天井、御影石のキッチン・洗面カウンタートップ、ペニンシュラキッチン、食洗機、物干しポール付きなどが特徴。
防災街区整備事業とは、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく事業で、木造家屋が密集し防災上の不安を抱えた地区を対象とし、密集市街地の防災機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが目的で、東京都の防災街区整備方針によると、平成26年12月現在、都内82地区、5,135haが防災再開発促進地区に指定されている。
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防災再開発促進地区指定の威力を現地で確認することができた。
一つは事業スピードだ。平成22年の検討会発足から今年6月の着工までわずか7年しか経過していない。周辺の建物はほとんど2階建て、3階建てのビルや住宅ばかりで、道路幅も4mあればいいほうで、狭隘で2m幅もなさそうなところもあった。マンションが建つエリアは権利関係者が140名にも上っている。両者がコーディネーター・参加組合員としてよく権利調整を行ったということだろう。
もう一つは、容積率緩和だ。現地の用途地域は第1種住居で、建ぺい率50%、容積率200%だが、建基法52条第8項の規定により公開空地などを設けることで容積率は40%の緩和措置を受けている。もともとなかった敷地南側に新たに軒先空地(壁面後退6m)を設けるなどして建物周辺に約500㎡の空地を確保、敷地北側には提供公園・地域交流広場や防災備蓄倉庫を設置している。
坪単価はやや高いという印象も受けるが、周辺エリアの価格がどんどん上昇していることを考慮すれば相場並みか。第1期72戸の販売が完了したのには驚いたが…。
旭化成不動産レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」 第1期72戸の販売完了(2017/12/11)
旭化成不動産レジデンス 品川区中延で密集法に基づくマンション195戸建設へ(2016/12/13)
大和地所レジ「ヴェレーナグラン大宮大門町 瑞景」全45戸 1カ月半で完売
大和地所レジデンスは12月11日、さいたま市大宮区のマンション「ヴェレーナグラン大宮大門町 瑞景」全45戸が販売開始から約1カ月半で早期完売したと発表した。
物件は、JR大宮駅から徒歩5分、さいたま市大宮区大門町三丁目に位置する13階建て。専有面積は・60㎡台~83㎡台、価格は4,400万円台~8,100万円台。入居予定は2019年5月下旬。施工は大木建設。
大宮駅から徒歩5分の立地に加え、再開発エリアに近接、ガラスコーナーサッシなど開放感を高めたプランなどが評価された要因。
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ご同慶の至りだ。10月に取材したとき、坪単価300万円の大台に乗ったらわからないが、280~290万円だったら間違いなく早期完売すると読んだ。実際はもっと安かったようだ。お客さんの考えと記者の読みにそれほど差がなかったことがなにより嬉しい。
そこで、同社も含め中堅デベロッパー(このような呼び方は失礼だと思うが、記者は便宜的に数社の大手以外をひとくくりでこう呼んでいる)に注文。マンションの分譲に関するメディア向けニュースリリースを発信するのはいいのだが、同時に記者見学会をもっと積極的に行っていただきたい。仮に大手と同じ商品企画でもブランド力では圧倒的に負ける。それを補うために、専門紙誌の記者にアピールするのは有効な手段だと思う。
しかし、積極的に記者見学会を行っている中堅デベロッパーは総合地所くらいで、皆無に近い。これでは〝駅近〟〝大規模〟〝再開発〟〝タワーマンション〟などで一網打尽に需要を取り込もうとする大手に勝てない。埋没する一方だろうし、現場の営業にそれだけ負担がかかる。ニッチに徹するのも生き残る方法だろうが…。
見学会を行っても記者は集まらず、徒労に終わることもある。それでも繰り返し、一つひとつ説明すればいずれは理解されるようになる。広報活動は大手の2~3倍努力しないと勝負にならない。
ローマは一日にしてならず。いま中堅でユーザーから圧倒的な支持を得ているモリモトは、バブル崩壊後の平成4~5年から〝デザイナーズマンション〟を前面に掲げ、大手に対抗してきた。
大和地所レジ 人気になった「大宮大門町」に隣接 坪300万円はないと見たが… (2017/10/12)
旭化成不動産レジ・不燃建築公社「アトラス品川中延」 第1期72戸の販売完了
「アトラス品川中延」完成予想図
旭化成不動産レジデンスと一般財団法人首都圏不燃建築公社は12月11日、品川区の「アトラス品川中延」の第1期73戸の販売が完了したと発表した。
物件は、東急池上線荏原中延駅から徒歩4分、品川区中延2丁目に位置する13階建て全195戸(非分譲72戸含む)。専有面積は33.45~87.05㎡、第1期の価格は4,568万~10,588万円。坪単価は352万円。設計・監理は日建ハウジングシステム、施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2019年2月下旬。
12月10日までに分譲された第1期販売では、購入者から「都心部にありながら、非幹線道路沿いの住宅地に建つ閑静な大規模レジデンス」という点が高く評価され、品川区を中心に中広域からも多くの申込登録があったという。年明け1月にも第2期の販売を開始する予定。
物件の建設地は、関東大震災後の復興のために同潤会が建設した木造低層住宅地のうち戦争で焼け残った歴史ある地区で、東京都の「木密地域不燃化10年プロジェクト」の不燃化特区「東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区」のコア事業として位置づけられている。
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見学するのを忘れていた。近く見学してレポートしたい。坪単価352万円と聞いたとき「えっ」とも思った。いつも同社のマンションの価格設定は低めだからだ。しかし、一昨年あたりで320~330万円で人気になっていたことを考えると〝相場並み〟か。設計が日建ハウジングシステムだから、割高感はない。
これぞ本物の億ション 坪950万円はむしろ安い 東急不動産ほか「六本木」
「ブランズ六本木 ザ・レジデンス」完成予想図
東急不動産(事業比率40%)・オリックス不動産(同30%)・大京(同30%)の3社JVの免震マンション「ブランズ六本木 ザ・レジデンス」を見学した。都営大江戸線六本木駅から徒歩3分の高台立地で、敷地はほぼ整形の角地。坪単価950万円の最高レベルの億ションだ。会員優先などで4~5割が契約・申し込み済みなのも納得だ。
物件は、都営大江戸線六本木駅から徒歩3分、東京メトロ日比谷線六本木駅から徒歩4分、港区六本木四丁目に位置する地下2階地上8階建て全51戸。専有面積は55.01~313.53㎡、坪単価は950万円。竣工予定は2019年2月下旬。設計・監理・施工は清水建設。デザイン監修は建築家の三沢亮一氏。管理は大京アステージ。販売代理は東急リバブル。
現地は、オリックスが所有していた駐車場跡で、かつてはジョサイア・コンドル(1852~1920)が居宅にしていたところ。ほぼ東西(幅員約9.92m)と南北(幅員約4.88m)に走る区道が交差するヒルトップの角地。
建物は免震構造を採用。基壇部は重厚な石張りで、上層部はカーテンウォール。南側正面に対のシンボルツリーを植え、頭頂部はシンボリックな形状としているシンメトリーのデザインが特徴。東京都のマンション環境性能表示で星11個(満点は12個)を獲得している。
共用部分は枝垂れ桜を配したグリーンコート、ギャラリーコリドール、フォーマルラウンジ、ライブラリー、倶楽部ラウンジなど。駐車場は地下方式で全戸分確保。
住戸プランは、55㎡の住戸が2戸、80㎡の住戸が1戸あるほかは全て100㎡以上。LDK、キッチン、洗面室、主寝室に床暖房を採用。キッチンはIHとガスの選択制、リビングドアはユーカリの浮造り・鏡面仕上げ、小口部分に彫刻を施したキッチンカウンター、ナースコール付きのバス・トイレ、バックカウンター・吊戸棚、ハンズグローエ社の水栓、ミーレ社の電気製品、ジャクソンの浴槽など。
グリーンコート
エントランス
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最高の立地条件であるのは確認済みだったが、シアターでジョサイア・コンドルがいきなり登場したのには驚いた。先日はコンドルが設計した綱町三井倶楽部でターナーを発見したばかりだった。
担当者にコンドルが住んでいたことを聞き、億ションふさわしい由緒ある土地であることが分かったのだが、デザイン監修、共用部分のアート作品などを担当しているメンバーがまたすごい。
デザイン監修の三沢亮一氏の作品は結構見学しており、石彫家・和泉正敏氏の作品も経団連会館や三井不動産レジデンシャルのマンションでを見ているが、桜守・佐野藤右衛門、切子作家・黒川昭男氏、ガラス作家・岸本耕平氏もその方面ではよく知られた方のようだ。
プラン、設備仕様もまた間違いなく一級品だ。バス・トイレが各2カ所などはともかく、廊下幅が2mくらいあるのはさすがというべきか。これら立地・設備仕様を考えると坪単価950万円はむしろ安いくらいだ。315㎡のペントハウスは15億円だから坪単価は1,571万円。これなどは坪2,000万円でも3,000万円でも驚かない。
東急不動産は最近、ビルや再開発で何かと話題になっているが、都心の高額物件の供給も積極化させている。今年1月には「ブランズ ザ・ハウス一番町」を完成させたし、このほか「六本木飯倉片町」(33戸)「永田町」(21戸)「六番町」(39戸)の都心物件を分譲している。
記者はバブル期の「プレステージュ」をよく覚えている。当時の担当者が残っている間に、三井レジが独走気味の億ション市場に風を吹き込んでほしい。
モデルルーム 洗面室
つくばいアート
〝タワマンに負けない〟商品企画光る 明和地所「クリオ レジダンス八王子」
「クリオ レジダンス八王子ザ・マークス」完成予想図
明和地所が分譲中の「クリオ レジダンス八王子ザ・マークス」を見学した。JR・京王線八王子駅からともに徒歩3分と近いが、坪単価は265万円。決して安くはなく、同駅圏ではこのマンションも含めて7物件958戸がひしめく中、販売開始から3カ月弱で全150戸のうち半数近くが売れている。立地特性を生かした商品企画が光る。
物件は、JR中央線八王子駅・京王線京王八王子駅から徒歩3分、八王子市旭町に位置する15階建て全150戸。専有面積は32.23~82.03㎡、坪単価は265万円。竣工予定は平成31年3月下旬。総合監修はレーモンド設計事務所。設計は共同エンジニアリング。施工は多田建設。
現地は、JRと京王線八王子駅のほぼ中間の商業地域エリア。敷地は北西角地で、住戸プランは北向きと南向き。南向きは隣接する建物の影響を考慮して8階までは1フロア8戸のコンパクトタイプ、9階以上は1フロア4戸の8~9m台のワイドスパン住戸。北向きは1フロア5戸のファミリータイプが中心。バックカウンター・吊戸棚も標準装備している。
販売を担当する井野真利雄氏は「商品企画は当社の女性が担当した。ボイドスラブを採用して梁型が居室内に出るのを少なくし、収納率を10%確保するなど工夫している間取りに対するお客さんの評価が高い。タワーマンションに負けない差別化が図られている」と胸を張った。
その女性担当者は「間取りは32㎡(1LDK)から82㎡(3LDK)の18タイプを用意し、住み心地の良さを感じられるよう随所に使い勝手を考慮した多様な収納をベースとした『CLIO STYLE STORAGE』を導入…先進機能を採用した『IoT型マンション』として快適性を追求した」と同社が先に発表したニュースリリースでコメントしている。
リビング
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現在、八王子駅圏では、同社の物件のほか住友不動産「シティタワー八王子フレシア」204戸、東京建物「ブリリアタワー八王子」226戸、一建設「プレシス八王子レグリオ」154戸、山田建設「ミオカステーロ八王子II」83戸、タカラレーベン「レーベン八王子GRANDSAGE」55戸、総合地所「ルネ八王子トレーシア」86戸が分譲中で、トータルすると7物件で958戸に上る。坪単価は160~280万円まで幅広く競合は微妙だが、同社の坪265万円は決して安くはない。
それでもコンパクト、ファミリーともまんべんなく好調な売れ行きを見せているのは、JRと京王線のほぼ中間という立地マンションは20年ぶりという特性を生かした商品企画だ。
北向きは、採光・開口部をたっぷりとったワイドスパンが特徴で、南向きも眺望に恵まれた9階以上のプランが優れている。
細かな商品企画では、LIXILの調理中と後片付けをサポートする機能を備えた「Wサポートシンク」と熱やキズ、汚れに強いセラミックトップのカウンター、外出先からも住戸内からもスマートフォンで住戸の電気錠を制御できる美和ロックのホームセキュリティシステム「wiremo」(ワイレモ)をそれぞれ都内で初採用している。
「Wサポートシンク」
プラン例
赤坂3分 多様なニーズ取り込むか モリモト「ピアース赤坂」
「ピアース赤坂」完成予想図
モリモトが年明けに分譲する「ピアース赤坂」を見学した。赤坂駅から徒歩3分の住居系エリアに立地するコンパクトタイプが中心の全119戸。多様なニーズを取り込むか。
物件は、東京メトロ千代田線赤坂駅から徒歩3分、港区赤坂6丁目の第2種住居地域に位置する14階建て全119戸。専有面積は25.28~64.19㎡、価格は未定だが、40㎡台で5,900万円台~、55㎡台で8,800万円台~というから坪単価はかなり抑えられる模様だ。竣工予定は平成31年3月中旬。設計・監理は不二建設株式会社一級建築士事務所。施工は不二建設。デザイン監修はアーキサイトメビウス。インテリアデザインは鈴木ふじゑ氏。
現地は、ビルやマンション、料亭などが建ち並ぶ表通りから一歩入ったエリア。鹿島建設KIビルの近くで、「プラウド赤坂」、「パークハビオ赤坂」が近接。赤坂氷川神社、東京ミッドタウン・檜町公園、赤坂サカスも近い。
建物は南向きと北向きの内廊下方式。住戸プランは、9階までは25~40㎡台、10階以上は50~60㎡台のコンパクトタイプ。ディスポーザー、食洗機、マラッツィ社製床タイル、コロンボ社製ドアハンドルなどが1Kタイプも含め標準装備。
マンションギャラリーの登坂憲詞チーフは「いい土地を仕入れてくれた。週末の予約来場は満室で反響も上々。早期に完売したい」と話した。
パンフレットによると、「港区×駅徒歩5分×住居系用途地域×100戸以上」というマンションは過去20年でわずか7物件しかなく、さらに「100戸以上×赤坂駅最寄り」で絞り込むとゼロという。
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見学するまでは、狭小敷地のコンパクトで、坪単価も600万円台だろうと予想していたが、現地をみて大幅に上方修正した。敷地は不整形だが約1,200㎡あり、3カ所で接道している。平均で坪700万円、10階以上の上層階は坪単価800万円でも売れると読んだがどうだろう。
モデルルームでは、マラッツィ社製の60センチ角の床タイルがいい。細かな凹凸が施されており、大理石のような感触がある。
現地(北側から)
サンウッド 創業20周年の集大成 「青山」の全面ヘリンボーン床に驚愕
「サンウッド青山」完成予想図
サンウッドが近く一般分譲を開始する「サンウッド青山」を見学した。青山通りと外苑東通りから一歩入ったところで、創業20周年の集大成にふさわしい1フロア1~2戸の玄人受けする億ションだ。
物件は、東京メトロ半蔵門線・銀座線、都営大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分、港区赤坂8丁目に位置する9階建て全12戸。専有面積は77.10〜154.45㎡、価格は未定だが坪単価は約800万円になる模様。竣工予定は2018年12月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工は南海辰村建設。
現地は、青山1丁目駅から徒歩3分の表通りから1歩入ったところ。敷地はほぼ整形で、建物外観は6階までが花崗岩の石張り、7階以上がガラスカーテンウォール。住戸は2~6階が1フロア2戸、7~8階は1フロア1戸、約10mのワイドスパンのメゾネットタイプで、2ウェイエレベーターを採用して、5~6㎡台のプライベートホールを設けているのが特徴。
インテリアデザインは、「ザ・リッツ・カールトンホテルマカオ」「ヒルトンホテル北京」「フォーシーズンズ京都」などを手掛けたHBA東京オフィス代表取締役・若狭明宏氏。ライティングデザインは、ルイ・ヴィトンや香港のアルマーニブティックや、「香港国際金融センター(IFC)」などホテルやカジノの照明デザインを担当したティノ・クワン氏。
同社・佐々木義実社長は「これまで20年余、『赤坂タワーレジデンス』をはじめ『赤坂氷川』『松濤』『代官山猿楽町』など都心部を中心に事業展開してきた。お客さまのニーズに応えるため、構造計算をやり直してまで隣り合う住戸や上下階を一つにしたりすることも行ってきた。今回の『青山』はその集大成」と語っている。
すでに12戸のうち5戸が会員・インナー販売で成約済み。
同社は、この物件のほか超都心物件の販売準備を進めている。公表できる段階になったらまた取材して記事にしたい。
ラウンジ
ティノ・クワン氏の作品
上層階
◇ ◆ ◇
まず外観。端正な凛としたシンメトリーが美しい。右と左の住戸面積は異なるが、スリットの位置などは左右対称になっている。
専有部の設備仕様レベルがまた高い。廊下・洗面室などを除き、LDK、居室の床全面(オプション仕様だが)がヘリンボーン仕上げになっていたのに圧倒された。
ヘリンボーンはホテル・レストランのほか、マンションや戸建てでも用いられるが、住宅では広さはせいぜい6畳大くらい。30畳以上のヘリンボーン床を見たのは初めてだった。重厚感は並みのそれとは似て非なるものだ。
床仕上げでは、バンブーを多用した三井不動産レジデンシャル「パークマンション千鳥ケ淵」「パークタワー上野池之端」、近鉄不動産「グランド ミッド タワーズ 大宮」のリビングがナラ材の亀甲仕上げになっていたのに驚いたことがあるが、今回はそれ以上の衝撃を受けた。
使用されている素材を聞いてまたびっくり。「マダガスカル・ローズウッド、パリサンダー」と呼ばれるものだった。ネットで調べたら、「戦後、欧州や中国で家具や楽器用として需要が高まった木材。茶色味がやや強くローズウッドの名前が冠する中では最も硬く重い品種…違法伐採が頻繁に行われているため、現在ワシントン条約の附属書IIに登録され厳密な仕入先を管理されている」(ウィキペディア)希少高級材らしい。
白が基調のデザイン・意匠、カラーリングも抜群。水回りのシーザーストーンが美しく、洗面・トイレのドアはアウトセットの引き分けタイプ。
デザインを担当しているのは、2006年に会社設立して以来、数多くのホテル、商業施設などを手掛けるDesign Eightの藤井信介氏。
全体的に億ションにありがちな奇を衒ったこれ見よがしのものはなく、玄人受けするものだと思った。販売を担当する同社・田中怜氏は「本物志向のお客さまに高い評価をいただいている」と話した。
モデルルーム(リビングダイニング)
最高級ヘリンボーンの床
マンションvsホテル 「銀座」の〝適(敵)地〟争奪戦 序の口の段階か
「716軒、10万6215室のホテル計画を確認。前回比107軒増、1万4213室増。この半年間(2017年6月3日~12月1日)で開業したホテル201軒、計画がなくなった(調整含む)ホテル3軒、新たに計画が浮上したホテル193軒。
10年前。2007年12月の同特集では『東京・銀座』でのホテル開発案件数は0件。それが4年前の2013年には、宿泊主体型ホテルを中心に6件、今回の調査では18件が確認できた」
ホテル・レストラン業界唯一の専門誌「週刊ホテルレストラン」を発行しているオータパブリケイションズの最新のメールマガジンがこう発信した。
響きあうものがあった。東京・銀座でのホテル案件が18件もあるとは驚いたが、さもありなん。「ホテルに勝てない。ことごとく高値で落札される」-このようなマンションデベロッパーの嘆きを裏付けている。
この1年間、記者が取材した中央区内のマンションは10件くらいあるのだが、「銀座」を冠したマンションは3件ある。価格も3年くらい前と比較し3割くらい上昇、坪単価は500万円台に乗った。
◇ ◆ ◇
メルマガを読んで、ホテル業界とマンション業界で「銀座」の土地をめぐって激しい奪い合いが演じられていることを改めて思い知らされた。
マンションの敵はホテルであり、ホテルの敵はマンションのようだ。銀座界隈を歩くと、両者が奪い合いをしそうな〝適(敵)地〟にたくさん出会う。両者の戦いは序の口に過ぎない。〝買うから上がる〟〝上がるから買う〟-間違いなくいつか来た道をたどっている。
満を持して登場 全3棟900戸の第一弾 小田急不の免震タワー「海老名」304戸
「リーフィアタワー海老名アクロスコート」完成予想図
小田急のやる気を見た-小田急不動産は12月6日、小田急線海老名駅西口とJR相模線海老名駅間で開発が進められている約3.5㏊の駅間開発プロジェクト「ViNA GARDENS」第1弾タワーマンション「リーフィアタワー海老名アクロスコート」のモデルルームを来年1月6日にオープンすると発表した。同日、報道陣向けに記者見学会を行った。
物件は、小田急小田原線・相模鉄道本線海老名駅から徒歩3分(JR相模線海老名駅から徒歩4分)、海老名市めぐみ町に位置する31階建て全304戸。専有面積は45.25~120.65㎡、価格は未定だが2LDKが4,000万円台~、3LDKが5,000万円台~、坪単価は250~260万円になる模様。竣工予定は2019年10月下旬。施工は三井住友建設。売主は同社のほか三菱地所レジデンス、小田急電鉄。第1期の販売開始は2018年1月中旬。
現地は、オフィス・商業・住宅などの複合開発が予定されている「ViNA GARDENS」の第1弾の海老名市最高層免震タワーマンション。このほか詳細は未定だが、同規模のマンション2棟と、もう1棟の住宅系建物が予定されている。
建物は、中央に吹き抜けを配した1フロア(標準階)10戸構成。角住戸比率38%超、多彩な50プラン、ワイドスパン(3LDKで約7.8mスパンも)、リフォームによる間取りの可変性に配慮したフラットスラブ工法(階高約3m、二重床のふところ厚240ミリ)などが特徴。天井高は2500ミリ。
発表会に臨んだ小田急電鉄生活創造事業本部開発推進部課長代理・浜田健太郎氏は、「複々線が完了し、来春のダイヤ改正で海老名駅は新宿まで約9分時間が短縮され(現在は快急で44分)、相鉄線もJRに乗り入れるポテンシャルの高いエリア。今回のマンションはそのランドマークとなるもので、他の2棟のマンションのほかホテル、フィットネス、住宅系施設なども含め2025年度に様々な主体と連携しながら街全体を完成させる」と話した。
売主で販売も担当する小田急不動産住宅事業本部住宅販売部販売計画グループ・池上朋輝氏は、「水回りのリフォーム自由度を高め、プランも50タイプ揃えた。『住んだまま買取保証』も採用する。問い合わせは2,000件を突破しており、想定外の多さ」と販売に自信を見せた。
アクアテラス
オーナーズ・ライブラリー
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ここ数年の電鉄会社(系)の住宅事業は目を見張るものがあるが、同社はマイペースを守ってきた。鳴りを潜めていたといってもいいほどだ。
その小田急が満を持して世に問うマンションがこの物件だ。残りの2棟はどのようなものになるか未定だが、ほぼ同規模とみられるので3棟全体では900戸くらいになるはずだ。今回の物件の販売動向を見ながらプランを練ることになりそうだ。
商品企画は、他の電鉄会社(系)とほぼ同じで想定内だったが、3LDKで約7.6mスパンはインパクトがある。
近接する相鉄不動産「グレーシアタワーズ海老名」とは単価差で10数万円というのも納得だ。先行販売した相鉄不としては小田急が高値追究するのは大歓迎だろうし、小田急も安くして相鉄の顧客を奪うのは本意ではないはずだし、駅に近いというメンツがある。
それにしても、10年前までは調整区域だった同エリアが「ららぽーと海老名」の開業をきっかけに一変し、小田急が特急を停車させるなんて夢にも思わなかった。1日当たりの乗降人員は平成22年の約13.2万人から28年は約14.8万人へ12.9%も増加している。
配布された資料に「2017年度の神奈川県民が選んだ住みたい街の第7位に。ランキング内のエリアを神奈川県のみに絞ると県内では第4位に」とあるのにびっくりした。「横浜」「武蔵小杉」「藤沢」に次ぎ、「たまプラーザ」「鎌倉」より上位とは…。