圧倒的人気呼ぶか Jプロ「日吉」 事前内覧会は満席 キャンセル待ち50組超
「ジェイグランディア日吉」
JR西日本プロパティーズ(略称:Jプロ、旧菱重プロパティーズ)が今秋に分譲する「ジェイグランディア日吉」が圧倒的な人気を呼びそうだ。日吉駅西口徒歩10分圏内では6年ぶりのマンション供給で、すでに資料請求は1,000件を突破し、事前案内会はお盆明けまで満席、同社は全86戸を一挙に供給する検討に入った模様だ。
物件は、東急東横線、東急目黒線、市営地下鉄グリーンライン日吉駅から徒歩7分、横浜市港北区日吉二丁目の第一種低層住居専用地域、第一種住居地域に位置する地下1階地上6階建て全86戸。専有面積は45.78~90.68㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円台の前半になる模様。設計・監理はIAO竹田設計。施工は風越建設。販売代理は野村不動産アーバンネット。モデルルームの監修には三井デザインテックを起用している。
現地は、旧三菱重工社宅跡地で、前慶応大学留学生寮跡地の高台。敷地北西側は3~5mくらい低い住宅街。建物は用途地域が2つにまたがる特性を生かし7層と3層の4棟で、統一感を持たせるために基壇・中層・上層の三層構成にしている。緑地率は約11%確保。
住戸プランは全35タイプ。柱や梁を屋外部分に設置することですっきりした空間を実現。バルコニーにはシンクを設置、床は木調シート貼りで、上裏も木調塗装を施す。北西向きのD棟はワイドスパン、スクエアプランを多用、南側の車や人通りが少ない道路に面したA・C棟の1階は専用庭・テラス付きとしている。
設備仕様は、食洗機、ディスポーザー、フィオレストーン天板、グローエ水栓、ソフトクローズ収納、リビング天井高は2450ミリ(一部除く)。サッシ高は2200ミリ。敷地東側は線路に近いことから、サッシは遮音性の高いものを採用している。
販売を担当する野村不動産アーバンネット担当者は、「資料請求は1,000件を突破。モデルルームを見学されて、設備仕様を評価される方が多い。」と話している。
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このマンションについて、同社関係者から6月の段階で「ぜひ見てほしい」と言われていた。レベルが低かったらどうしようと考えていたのだが、杞憂に終わってよかった。相当力が入っていることが現地・モデルルームを見てわかった。
現地の敷地東側は東急線に近いが、遮音性の高いサッシが採用されている。敷地南側は小公園と小高い森で、敷地北西側は低層の住宅街。
それぞれ住棟のプランにも工夫が凝らされており、販売担当者が「どの住棟にするかお客さまも迷われている」というのもよくわかる。
果たして全戸一挙供給ができるかどうかだが、事前内覧会は5回とも全て満席。キャンセル待ちが50件を越えるとか。話題を呼ぶ意味でもぜひ全戸一挙供給にチャレンジしてほしいが…。
このところ、電鉄会社(系)のマンション攻勢が目立つが、西鉄に続きJR西日本も首都圏での地歩を築く狙いだろう。大手を脅かす存在になるか。今後、続々供給するそうだ。
売れ行き好調 松尾工務店「シェフルール文京茗荷谷」第1期30戸に申し込み
「シェフルール文京茗荷谷」
松尾工務店の「シェフルール文京茗荷谷」が好調な売れ行きを見せている。7月末に分譲開始し、これまでに全46戸のうち約30戸に申し込みが入った。
物件は、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩3分、文京区大塚三丁目に位置する14階建て全65戸(うち事業協力者住戸19戸)。9月上旬に分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は35.17~60.06㎡、予定価格は3,560万~7,770万円㎡。坪単価は405万円。竣工予定は2019年3月上旬。土地売主は松尾工務店。建物売主はマツオプロパティー。設計・監理は飛鳥設計。施工は松尾工務店。販売代理は伊藤忠ハウジング。
現地は春日通に面しており、目の前にお茶の水女子大、すぐそばに教育の森公園と筑波大キャンパスがある。
建物は、南西向き3戸、北東向き2戸の1フロア5戸(うち4戸が角住戸)構成の内廊下方式。二重床・二重天井、リビング天井高は2~6階が2600ミリ、7~14階が2550ミリ。耐震等級は2。ディスポーザー、食洗機、キッチン天板はフィオレストーン、収納はソフトクローズ機能付き。
販売を担当する伊藤忠ハウジング担当者は「極めて好調。価格が安すぎたかもしれない」と相好を崩した。
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坪単価を聞いたとき、確かに〝安い〟と感じたが、一方で〝高値追いしなかったのは正解〟とも感じた。
グロスを抑えるため35㎡、40㎡、55㎡、60㎡、68㎡に面積を圧縮したのも人気を呼んだ要因だろう。
インテリックス リノベーションマンション販売 累計2万戸達成
インテリックスは7月31日、今年6月末にリノベーションマンション販売累計戸数2万戸を達成したと発表した。2006年から13年連続で1,000戸を超えた。
リフォーム産業新聞社による「買取再販年間販売戸数ランキング ベスト100」では3位にランクインしたという。
わが国初の大京NearlyZEHマンション 坪単価は東急「芦屋」の3分の1
「ライオンズ芦屋グランフォート」完成予想図
国土交通省の「平成29年度(第1回)サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に選定された大京の「ライオンズ芦屋グランフォート」を見学した。1次エネルギー消費量を75%以上削減したわが国初の「NearlyZEH-M(ニアリーゼッチマンション)」で、電気・ガス・水道などのライフラインが途絶しても7日間以上生活でき、生物多様性に配慮するとともに自然のエネルギーを専有部に巧みに取り込むパッシブデザインを採用しているのが特徴で、CASBEE-建築(新築)最高位Sランクの評価も得ている。
物件は、阪急神戸線芦屋川駅から徒歩17分、JR芦屋駅から徒歩19分、芦屋市朝日ケ丘町に位置する地下1階、地上5階建て全79戸。専有面積は67.96~87.27㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は4,460万~5,930万円。坪単価は225万円。設計は浅井謙建築研究所。施工は佐藤工業。竣工予定は2019年5月31日。
「NearlyZEH-M(Nearly Zero Energy Mansion)」は、経済産業省の「集合住宅におけるZEHロードマップ検討委員会」が策定した省エネと創エネにより基準1次エネルギー消費量を75%以上削減した集合住宅のことで、今回の物件では断熱・省エネ性能を高め、アルゴンガス入りLow-E複層ガラスの高性能アルミ樹脂複合サッシと次世代燃料電池(エネファーム)を導入するなどして全戸平均32%の省エネと、太陽光発電により全戸平均48%の創エネも実現。これらの省エネ+創エネにより1次エネルギー消費量を約80%削減している。
また、同社は2017年のグッドデザイン賞を受賞した「SONA-L SYSTEM」を採用し、災害時に「電気」「水」「ガス」全てのライフラインが途絶しても7日間以上電力を供給し、生活を持続することが可能とするとともに、平常時の共用部の電力使用や、井戸水の植栽自動灌水システム・共用部散水に利用する。
生物多様性・パッシブデザインについては、敷地内緑地率を20%確保し、樹種は在来種を100%使用するとともに、六甲山地に生息する野鳥やチョウの飛来を想定した「実のなる植物」を植樹、「バードバス」「エコスタック」「巣箱」を設置し、再生材を使用した木チップや瓦チップの歩道、透水性インターロッキング舗装、風の流れを効果的に取り入れる独自のパッシブデザインを全戸に採用している。また、宅配物の再配達ゼロを目指し、世帯カバー率120%を実現した住戸専用宅配ボックス「ライオンズマイボックス」を導入している。
モデルルーム エントランス
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ZEHマンションについては今年1月、積水ハウスが分譲中の名古屋市の「グランドメゾン覚王山菊坂町」を見学しているが、このマンションもコンセプトは最高にいい。
一次エネルギーを約80%削減できるのもさることながら、万が一の災害時でも、飲料水は確保しなければならないが、7日以上生活できるという。このようなマンションはまずほかにないはずだ。パッシブデザインもまた同社がこれまで力を入れてきたものだ。
ただ一つ気になったのがアクセスだ。「芦屋」というだけで庶民のあこがれの的かもしれないが、記者の貧乏人の妬みひがみかもしれないが、個人的な見解ではお金持ちしか住めない特殊なエリアに思えてならない。
坂だ。現地の標高は50~60mくらいだろう。芦屋駅との比高差も40~50mはある。徒歩の表示は17分だが、坂を上ったり下りたりするだけで記者のような年寄りは疲れ切ってしまう。電動付き自転車でないと移動は無理だ。この坂をどう評価するか。
同じ日に、「芦屋」の坂の入口・出口に位置する東急不動産の駅から10分の「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」を見学したが、坪単価は関西圏過去最高の610万円だった。大京のマンションは徒歩にして7分の差なのに、単価は約3分の1だ。もちろん設備仕様、ターゲットは異なるが、これは何を物語るのか。考えてしまった。
建築現場
三菱地所ホーム リフォームで攻勢 定額制から最上級まで備えたギャラリー 赤坂に開設
「Re Dran(リグラン)」モデルルーム
三菱地所ホームがマンション・一戸建てのリフォームに攻勢をかける。7月26日、住宅リフォームに関する多様なニーズに応える「赤坂リフォームギャラリー」をオープンするとともに戸建ての定額制メニューを採用した「Re Dia HOUSE(リディアハウス)」を発売開始すると発表した。
「赤坂リフォームギャラリー」は、定額制リフォームメニュー「Re Dia(リディア)」と24時間空調システム「エアロテック」を搭載した最上級の「Re Dran(リグラン)」の2つのマンションモデルルームを設置。「Re Dia HOUSE(リディアハウス)」は、内外装、インテリアなどを含めた延べ床面積に応じた定額制を提案しているのが特徴。
発表会に臨んだ同社社長・加藤博文氏は「当社は来年、創業35周年を迎える。水や空気もただの時代に24時間空調システム『エアロテック』を業界に先駆け主力商品とし販売してきた、その甲斐があった。他社の商品も含めニーズの高まりを感じる。今回のギャラリー開設によって、当社の本拠地である赤坂に来ていただければ新築からリフォーム、インテリアに至るまで全てを見ていただくことができる」と話した。
今回のリフォームギャラリーの開設により、既設のリフォームラボ赤坂、赤坂ハウジングギャラリー、オーダーグラン赤坂、インテリアサロンなど新築・リフォーム・インテリアに関する市よ―ルームが赤坂に結集することになる。リフォーム事業は、先に発足した「三菱地所のレジデンスクラブラウンジ」と連携し、現在の売上高約50億円を2020年度までに100億円に伸ばす意向。
「Re Dia(リディア)」モデルルーム
加藤社長
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ここ数年の同社の新築、リフォーム拡大にかける意気込みの大きさがひしひしと伝わってくるギャラリーだ。
2つのモデルルームのうちひとつの「Re Dran(リグラン)」は約110㎡。「エアロテック」も含め内装・インテリアに約5,300万円を掛けたという意欲作であるのが一目見てわかる。
場所にもよるが、都心・準都心の新築も中古も30坪のマンションは1億円をはるかに突破する。その2分の1か3分の1を追加すればこの空間が実現できるというのは魅力だ。「エアロテック」は大きな武器になる。
もう一つの「Re Dia(リディア)」は、70㎡の定額制498万円からスケルトンインフィルの850万円などメニューに応じて出来栄えが体感できるのが特徴だが、ここも内装・インテリアに約2,300万円かけたというから、キッチンカウンターなどは三菱地所レジデンスの高額マンションに引けをとらないレベルの高さだ。
玄関(左)とエアロテック吹き出し口
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同社は詳細を明らかにしなかったが、今秋にはマンション用エアロテックの新商品を発売すると話した。容量とともに価格を引き下げ、拡大を図るようだ。
既存マンションにエアロテックを搭載するには二重床にする必要があり、断熱性能を高めるにはサッシ・玄関ドアの変更も欠かせないが、ほとんどの管理組合はこれらの共用部分の変更は認めていないのが現状だ。標準管理規約の変更も考えていいのではないか。
全国5,000人の女性の声反映 東武鉄道「ソライエ流山おおたかの森」大健闘
「ソライエ流山おおたかの森」(ホームページから)
先月(7月14日)、スターツの流山おおたかの森駅前のスターツの「クオン流山おおたかの森」全162戸がわずか半年で完売したことを紹介したが、同じ駅圏の東武鉄道(事業比率60%)・清水総合開発(同40%)「ソライエ流山おおたかの森」も大健闘している。モデルルームのオープンは、「クオン」とほぼ同じ昨年9月で、これまで全352戸のうち半分以上の185戸が供給済みだ。
物件は、東武アーバンパークライン・つくばエクスプレス流山おおたかの森駅から徒歩4分、流山市流山都市計画事業新市街地地区一体型特定土地区画整理事業区域内に位置する10階建て全352戸。専有面積は60.41~90.07㎡、7月下旬分譲予定の第2期の予定価格は2,900万円台~4,400万円台(最多価格帯4,200万円台)。坪単価は190万円。竣工予定は2019年6月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト、東武不動産。
販売担当の長谷工アーベスト東京支社受託販売部門販売五部販売部長・黒須祐亮氏は「販売開始は『クオン』と同じころ。販促に『MADE OF MOTHER』と謡ったように、全国の女性5,000人の声を共用部分に反映させたのが特徴。広域からも集客できており、『クオン』と競合したという側面より相乗効果のほうが大きい。90㎡台の40戸がすべて完売した。千葉県内の郊外型ではもっとも売れているマンションではないか」と話している。
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記者が「クオン」を取材したのは昨年11月。ほぼ同じ場所に「ソライエ」の販売事務所があったのだが、〝クオンが210万円で分譲するのでは、他の物件は影響を受けるだろう〟としか考えず、見学する気にもならなかった。
沿線には隣駅の「流山セントラルパーク」では三井不動産レジデンシャルの、「三郷中央」では名鉄不動産や大成有楽不動産の、「八潮」では住友不動産のそれぞれ大規模マンションが分譲中で、またさらに先の「柏たなか」でもフージャースコーポレーションや東レ建設のマンションが分譲されていた。大激戦の沿線だ。
しかし、その「クオン」がまさか半年で完売するとは予想しなかったし、「ソライエ」がこれほど売れているともとても想像できなかった。
そして何より今回、記者を引きつけ、見学する気にさせたのは、電車の車内吊り広告だった。それは、「おおたかジェンヌ」の文字がピンク色でかわいらしくあしらわれたもので、次のような文言・コピーだった。
「5,000人の声を集めた女性の街で輝く。おおたかジェンヌ。『流山おおたかの森』を愛するすべての女性に贈りたい。〝わたし〟が輝く全352邸誕生」と。
そこで早速、取材見学を申し込んだのだが、もう一つ見学する理由があった。それは、野村不動産と長谷工コーポレーションが女性の視点で暮らしを楽しくする商品企画「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトを共同で開始し、第一弾として「プラウドシティ東雲キャナルマークス」へ導入すると発表したリリースに興味がひかれ、それとどう違うのかを確認したかったからだ。女性の声をマンションの商品企画に取り込むのは永遠の課題でもある。
「ソライエ」の販売スピードが速いことから判断して、「5,000人の女性の声」は大きな効果があったと受け止めることができる。モデルルームの出来もいい。
◇ ◆ ◇
これは、「OSEKKAI(おせっかい)」プロジェクトにも、そして全てのデベロッパーにも言えることだが、「女性の声」が強調されればされるほど、記者などは滅入ってしまう。いかに女性が政治的に経済的に社会的に冷遇され、家庭においても様々な犠牲を強いられているかはよくわかる。あろうことか、大学入でも女性に不利な採点操作が行われている現実を突きつけられると、もう絶望の淵に叩き落とされたような気分にさせられ、国が発した「女性活躍」なるフレーズは詐術そのものであることを世間にさらけ出したことを当事者は自覚したのか、肝心の女性に不評だったためか、いつの間にやら「一億総活躍」に〝模様替え〟されたようだ。
だが、しかし、国の狙いはともかく、本来、女性も男性も大人も子どもも健常者も障がい者も区別なく住みやすいユニバーサルデザインの社会・住宅づくりを進める役割を担っているはずだ。
もうそろそろ、「女性の声」を超越・凌駕する、天と地をひっくり返す、世の閉塞感を一掃する斬新なアイデアを発信していいのではないか。最近のマンションは面積圧縮だけでなく基本性能、設備仕様でも退行する一方に見えてならない。
モデルルーム
首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」
「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」完成予想図
東急不動産は7月23日、兵庫県芦屋市で建設を進めている関西圏最高坪単価となる610万円のマンション「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」の記者内覧会を行い、モデルルームを7月28日(土)からオーブンすると発表した。
物件は、JR芦屋駅から徒歩10分、芦屋市親王塚町に位置する敷地面積約1,936㎡、地上3階地下1階建て全15戸。専有面積は126.14~200.41㎡、会員優先の第一期(3戸)を除く第2期の予定価格は1億9,000万円台~3.7億円台、坪単価は610万円。竣工予定は2019年6月中旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工は森組。
共用部の設計監修は坂倉建築設計、ランドスケープデザインは庄島設計室、ロビーなどのガラスオブジェは陶額堂、バルコニーのアルミ鋳物は傳來工房、ロートアイアン照明はトランスファー、照明計画は大光電機-などを起用している。
現地は、芦屋駅からフラットアプローチの宮川に面した2方道路の角地。敷地はハウスメーカーのモデルハウス跡地。高さ規制12mのエリアの一角。
建物は地下1階地上3階建て。内廊下方式、平均専有面積約150㎡、全戸億ション、最高約3mの天井高、住戸直結の専用エレベーター付き(一部)、全熱交換型24時間換気システムの採用などが特徴。
同社関係者は「(芦屋の)山の手から降りてくる富裕層だけでなく、中広域からも集客できる」と、販売に自信を見せていた。すでに会員優先として4戸の成約が見込まれている。
車寄せ
ロビー
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各地で記録的な猛暑を記録したこの日(23日)は、先に亡くなった大京の創業者・横山修二氏のお別れ会を最優先することを決めていたのだが、同業記者の「見るべし」という情報提供に心が揺さぶられ、急きょ変更した。片道4時間半も掛けて取材した甲斐があった。関西圏の最高坪単価マンションを見学することができた。同業記者に感謝するほかない。
正直に言えば、半信半疑だった。億ションなら100件はこれまで取材している。果たしてわざわざ芦屋まで出かける価値があるのかと判断に迷ったが、同じ芦屋駅圏には大京のZEHマンション「ライオンズ芦屋グランフォート」があるので、両方見るなら〝損はない〟と決断した。
それでも、同社の関西住宅事業本部開発部 統括部長・澤浩正氏の挨拶や同本部 販売部チーフ・田中悟氏の説明を聞いた段階では〝大したことないのでは〟と高を括っていた。
ところが、モデルルーム見学の際に、担当者が「坪単価は610万円」と話したのにはわが耳を疑った。先の同業記者からは「坪500万円」と聞いていたからだ(別の同駅圏マンション担当者も坪500万円くらいと聞かされていたようだ)。
バブル崩壊後、これほどの高単価マンションは関西圏では供給されたことがないはずで、その点を同社担当者に確かめたところ「当社の調べでは関西圏の最高単価マンションで、全住戸が1億円以上も初ではないか」ということだった。
模型
リビング(写真では分かりづらいが、手前と奥はシンメトリーになっている)
コーナーサッシのデザイン
主寝室(ベッドヘッドは本皮張り、床はホワイトハウスでも採用されているカーペット)
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約163㎡の1LDKのモデルルームタイプは、約4,000万円をかけたフルオプション仕様だったが、見た途端、間違いなく首都圏の億ションと比較しても見劣りしないと判断した。澤氏や田中氏も強調したが、住宅の質は基本的には広さであり豊かさだ。このマンションはそれを具現化している。
天井高3mもそうだが、玄関・ホールがいい。幅約1750ミリ×奥行き約6300ミリ=約11㎡(3.3坪)もある。玄関・ホールにこれほどの広さを割く億ションはそうないはずだ。
主寝室のベッドヘッドの布団張り仕上げには本皮が採用されていた。床はホワイトハウスにも採用されているカーペットだそうだ。住戸内-バルコニーはフルフラット、ドア把手は真鍮製、巾木も含め床は天然石のホール…。
もう一つ、このマンションが優れているのはファサードデザインだ。フランク・ライド・ロイドやル・コルビュジェの設計思想が確かに盛り込まれていると思わせる。記者はバルコニーのアルミ鋳物を担当した傳來工房のデザインに見惚れた。
関西圏のマンションはよく知らないが、首都圏に負けない富裕層向けのレベルの高いマンション分譲に期待したい。(しかし、疲れた。この記事を書くのに通常の2倍かかった。それでもまだよくまとまっていない)
現地の傍を流れる宮川
現地(左)と宮川
伊藤忠都市開発 好みで選べる「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」 マンションに導入
「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」の一例「プライベート ブティック」
伊藤忠都市開発は7月20日、部屋の広さに応じて購入者にポイントを付与し、そのポイントを利用して部屋を無償でカスタマイズすることができるセレクトシステム「Life Arrangement(ライフアレンジメント)」を開発し、8種類のプランが選べるメニュー「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」を現在販売中のマンション「クレヴィア池袋West」(総戸数64 戸)に導入したと発表した。
消費志向が〝モノ〟の所有から〝コト〟(体験)に変化していることに着目し、アンケート調査の結果、約9割の人が〝住まいでやってみたいことがあるのに実現するスペースがない〟という不満を感じていることが分かったため企画・開発した。
「プライベートブティック」「プライベートバー」「アトリエ」「ロフト」など8種類の広さ約1坪の「HITO-TUBO 〈ヒトツボ〉」プランがポイントに応じて選べる。
物件は、JR池袋駅から徒歩5分の全64 戸。販売戸数(5戸)の専有面積は27.75~55.14㎡、価格は3,590 万~6,590 万円。
三井レジ 「月島」再開発タワー「MID TOWER GRAND」第1期189戸 坪単価434万円
「MID TOWER GRAND」ペントハウス
三井不動産レジデンシャルは7月17日、中央区月島1丁目の大規模複合再開発タワーマンション「MID TOWER GRAND」を7月21日から販売開始すると発表した。月島駅から徒歩2分の32階建て全503戸(分譲は387戸)で、第1期は189戸。最多価格帯7,000万円台で、坪単価は434万円。
物件は、東京メトロ有楽町線・都営大江戸線月島駅から徒歩2分、中央区月島1丁目に位置する53階建て全503戸(販売戸数387戸、事業協力者戸数116戸含む、他に店舗29戸)。専有面積は40.33~129.45㎡、第1期(189戸)の価格は5.000万~2億6,500万円(最多価格帯7,000万円台)。坪単価は434万円。入居予定は2021年1月下旬。施工は大成建設。デザインパートナーは、「東京ミッドタウン日比谷」も手掛けたホプキンスアーキテクツ日本代表・兼ホシノアーキテクツ代表・星野裕明氏。売主は同社のほか丸紅、大成建設。登録受付は7月21日(土)~22日(日)。抽選は22日(日)。
「月島一丁目西仲通り地区第一種市街地再開発事業」として開発が進められているもので、コンセプトは〝大人を愉しむレジデンス〟。最上階に、「月」の光や曲線美をモチーフにしたアーチをペントハウスのルーフ部分に取り入れた天井高約6メートル広さ約738㎡の共用施設が集約されているのが特徴。「スカイラウンジ」、「パーティルーム」、「Spa(岩盤浴・サウナ)」、「フィットネススタジオ」「ゲストルーム」「ゴルフレンジ」などが設置される。
昨年12月から資料請求を受け付けており、これまでに約5,600件の請求があり、モデルルーム来場者数は1,250組以上に上っている。
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まず坪単価。この日(17日)、モデルルームが報道陣に公開されたが、親しい同業の記者の方たちが「坪単価は400万円台の後半」と予想していた。記者は「それはあり得ない。ここ(モデルルームは聖路加タワー)なら坪500万円をはるかに突破しても不思議でないが、『月島』ですよ。わたしはもんじゃ焼きも好きではない。ズバリ430万円」と答えた。
その後、販売の責任者が「第1期の坪単価は434万円」と明かした。記者の予想とはわずか1%しか違いはなかった。
ズバリ的中したわけだが、あてずっぽうで予想したのではない。記者は約40年間、マンションを見続けている。市況や近隣物件の動向、同社の値付けの傾向などを考慮してはじき出した単価だ。この前のRBA野球大会の勝敗予想も13勝1敗だった。参考までに。
だから当然の設定だと思うし、第1期で189戸も供給するのに驚かない。高単価ではあるが、いわゆる億ションが約30戸くらいというのも理解できる。「月島」で億超えというのは壁があるような気がする。
物件の質は高いと思う。天井高約2,600ミリ、サッシ高約2,400ミリというのも貴重だ。72㎡のタイプはワイドスパンだし、白・ベージュの基調で全体として明るいカラーリングとなっているのがいい。バックカウンター・吊戸棚も標準装備。
スカイラウンジ
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今回の「月島」が坪単価434万円で好調な売れ行きを見せていることから注目されるのが、東急不動産他「豊洲」がいくらの値を付けるかだ。同社が用地を取得した段階では坪単価は400万円をはるかに超えると業界内ではささやかれていたが、さすがに最近は「400万円突破は厳しい」とも言われている。
「豊洲」は中央区でなく江東区だが、ポテンシャルは負けていないと思う。「月島」が434万円なら400万円超はありうるような気がするがどうだろう。「月島」は制振で、「豊洲」は免震。規模もはるかに大きい。チャレンジしてほしいが、戸数が1,230戸もあるのでそんな勇気があるかどうか。
スターツ「クオン流山おおたかの森」 わずか半年で完売 歩留まりは驚異の30%
昨年、当欄で「超割安 免震、日建、横入り玄関…質も高い」と見出しに書いたスターツの「クオン流山おおたかの森」が今年5月までに完売したことが分かった。モデルルームをオープンしてから8カ月、販売を開始してからわずか半年で全162戸を成約するという驚異的な売れ行きだ。
詳細は、別掲の記事を参照していただきたいが、坪単価が210万円だった。見出しに「超割安」などと書いたのは記憶にないくらい珍しいことだった。
そればかりか、つくばエクスプレス沿線では三井不動産「柏の葉」以外ない免震工法を採用、設計は日建ハウジングシステムで横入り玄関のプラン、メーターモジュールの廊下幅なども秀逸だったので「プラン秀逸」とまで書き、絶賛した。
流山市の流山おおたかの森市有地活用事業のコンペに当選した案件でもあり、早期に完売するとは思ったが、まさか半年で完売するとは驚きだ。来場者は約560件で、歩留まり率は驚異的な約30%に達した。
申込者は、地元の流山市と隣接の柏市居住者で約50%だから、広域からも集客できていることが分かる。
郊外型の早期完売物件では、一昨年の京阪電鉄不動産の「ファインシティ東松戸」(382戸)を思い出すが、販売スピードは互角かそれ以上だ。「東松戸」の歩留まり率も25%と高かったが、こちらは30%だ。
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「母になるなら、流山市。」-8年前だ。このキャッチフレーズを見たとき、いかにも井崎義治流山市長がやりそうなことだと納得し、「やったね」とエールを送りたい気持ちになったのを覚えている。
井崎氏は住信基礎研究所、エース総合研究所(現エンタテイメントビジネス総合研究所)を経て、平成15年(2003年)の市長選で地方政治にありがちなボス・顔役が幅を利かせる旧弊を打ち破り当選した。
その後、井崎氏にインタビューしたことがあるが、激化する都市間競争に勝ち抜く決意を熱っぽく話されたのが印象に残っている。
市長に就任した2年後につくばエクスプレスが開業(2005年)したが、当時、具体的な街づくりの展望が見えたのは三井不動産が主導する「柏の葉キャンパス」しかなかった。各沿線とも前途多難を思わせた。井﨑氏には「街づくりのノウハウを持つデベロッパーに学ばれてはどうか」と話したこともある。
あれから13年。流山おおたかの森の駅前のマンションが坪210万円で瞬く間に売れる-悔しいことだが、わが多摩センターに迫る勢いだ。
市の広告には「父になるなら、流山市。」バージョンがあることを最近知った。都心ではもはや普通のファミリーは住宅価格の上昇で住めなくなっている。全ての郊外都市が「母になるなら、〇〇市。」「父になるなら、〇〇市。」と打ち出せるような時代になってほしい。
超割安 免震、日建、横入り玄関…質も高い スターツ「クオン流山おおたかの森」(2017/11/9)