景観風致地区の一角 大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン山手」
「ヴェレーナグラン山手」完成予想図
大和地所レジデンスが近く分譲開始する「ヴェレーナグラン山手」を見学した。「山手地区景観風致保全要綱区域」内に位置する官舎跡地の全116戸。坪単価260万円弱リーズナブルで早期完売しそうだ。
物件は、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩12分、横浜市中区千代崎町2丁目に位置する7・6階建て2棟の全116戸。専有面積は70.38~102.53㎡、価格は未定だが、坪単価は260万円弱になる模様。竣工予定は平成31年8月中旬。売主は同社のほか三信住建。設計・監理はスタイレックス。施工は大勝。
現地は、元町・中華街駅6番出口からなだらかな坂をくだった高さ規制20mの「山手地区景観風致保全要綱区域」内。「港の見える丘公園」へは徒歩6分。
建物は2棟構成で、住戸はほぼ南向き。駐車場(設置率約70%)は地下方式を採用。外周に緑を配置し、敷地の中央に水盤を設けたオーナーズラウンジを設置している。
住戸プラン・基本性能・設備仕様は、オープンエアリビング(12戸)、プライベートテラス(16戸)のほか、玄関・廊下は大理石、メーターモジュールの廊下幅、キッチンサイドも含む黒御影石のカウンター、二重床・二重天井、食洗機、ミストサウナ、玄関折上げ天井(一部住戸)など。
モデルルーム
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現地を見るまでは、駅からの坂がきついので住むにはいいが、通勤・通学には難儀するのでマイナス材料と考えていた。ところが、販売を担当する同社の堀川知宏氏から「6番出口からは坂はなだらか」と聞き、合わせて坪単価が260万円弱であることを知らされて〝これは売れる〟と直感した。
設備仕様レベルも高い。81㎡のモデルルームのインテリアデザインを担当したのは三井デザインテックの女性のようだが、凹凸を施した黒の建具・面材や黒御影石のキッチンカウンターなどが美しい。そして何より、リビングの梁の部分に一部細工を施したガラスを張ることで、その低さを全く感じさせない工夫がいい。
梁の処理が抜群(リーリングの影がガラスに映り、梁がないように見える)
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港が見える丘公園の「イングリッシュローズガーデン」のバラの写真をたくさん撮ったので紹介する。ややピントが甘いのは、さわやかな薫風にほほを撫でられてのぼせ上り、バラの香りに酔いしれ、バラと一緒にゆらゆらと身体を揺らめかせた結果、高くもない安くもないカメラも揺れたからであります。とにかく、ここに住めばこんな美しい眺めが日常手に入るということです。
ヒルトップの社宅跡地 「オレンジラボ」がいい 大成有楽不「鷺沼」
「オーベル鷺沼マスターレジデンス」完成予想図
大成有楽不動産が分譲中の「オーベル鷺沼マスターレジデンス」を見学した。鷺沼駅から徒歩4分、ヒルトップのNHK社宅跡地の中層全56戸。商品企画「オレンジラボ」が秀逸で、売れ行きも極めて順調だ。
物件は、東急田園都市線鷺沼駅から徒歩4分、川崎市宮前区鷺沼一丁目に位置する5階建て全56戸。専有面積は58.37~75.13㎡、5月下旬分譲予定の第3期(3戸)の予定価格は5,400万円台~6,500万円台(58.37~72.40㎡)。坪単価は320万円。竣工予定は2018年5月下旬。設計・監理は安宅設計。施工は大末建設。
昨年11月から分譲開始し、これまでに45戸が成約済み。販売を担当する同社マンション事業部事業室(第一)主任・勝亦啓介氏は「いいペースで売れています。購入者は地元と隣接区、世田谷区などで約8割。ヒルトップなので上階からは住宅街が見渡せ、西側住戸からは富士山も眺望できる。収納などお客さんの評価も高い」と話した。
現地は、戸建てや中層マンションが建ち並ぶ同駅圏でもっとも標高が高い閑静な住宅街の一角。敷地はNHK社宅跡地。
建物は、高さ規制(15m)があるため5階建てで、コの字型の配棟計画。外壁に大判のタイルを張り、黒のアルミ素材やアースカラーを採用するなど縦と横のラインを組み合わせた端正な外観にしている。
住戸プランは、ファミリー向け3LDKが中心。設備仕様は、同社オリジナルの商品企画「オレンジラボ」をフル装備しているほか、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、二重床・二重天井、壁付け水栓など。
モデルルーム
収納
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モデルルーム、現地を見て売れるのは当然だと思った。現地の近くには鷺沼駅圏の坪単価最高値327万円のコスモスイニシア「イニシア鷺沼レジデンス」(28戸)があるが、それより単価は若干低目だが、絶好の住宅地であることに変わりはない。昨年見学した「オーベル東林間レジデンス」と同じ印象を受けた。
モデルルームもよくできている。同社の「オレンジラボ」についてはこれまでたくさん書いてきたので省略するが、こと収納に関しては同社が№1ではないか。今回も、玄関収納の「マルチシューズシェルフ」の鏡面仕上げ、キッチンサイドに設けた大型の「マルチシェアストレージ」がいい。リビングには物干しポールを設置し、壁付水栓、扉裏収納、引き戸の多用など、とにかくかゆいところに手が届くきめ細やかさだ。
もう一つ嬉しかったこと。販売事務所とモデルルームには小物を除きほとんどが本物の観葉植物が置かれていた。壁面にもたくさん植物が飾られていた(サントリーミドリエでなかったような気もする)。
どことは言わないが、販売事務所のエントランスに5本立てのフェイクのランが置かれていたのに記者は驚愕した。広告代理店から贈られたものだが、こんな失礼なことを平気でするわが業界が情けない。お客さんを何だと思っているのか。代理店はスポンサー(デベロッパー)の顔色(企業規模や取引額の多寡)をうかがいながらフェイクにしたり本物にしたりしているのか。
勝亦氏にも聞いてみた。「ここにもまさか造花のランを置かなかったでしょうね」と。勝亦氏は笑って「いえいえ、当初は本物のランをちゃんと置いていました」と答えた。
エントランス
現地近くの桜並木
明和地所 コンパクト〝ラベルヴィ〟販売好調 完成在庫はほぼゼロ
「クリオラベルヴィ新御徒町」完成予想図
明和地所のコンパクトシリーズ〝ラベルヴィ〟が好調だ。2016年の第一弾「クリオラベルヴィ市ヶ谷」31戸をはじめ、これまで東京、神奈川、福岡で10棟を分譲しているが、いずれも販売は好調に推移しており、完成在庫はほとんどない。最近分譲開始した「日本橋浜町」と近く分譲する「新御徒町」も販売担当者は手応えを感じているようだ。
同社はまた先月、福岡市に「クリオライフスタイルサロン福岡」をオープンし、今後分譲する「博多」56戸、「天神」65戸の販売拠点にする。
先月末に分譲を開始した「クリオラベルヴィ日本橋浜町」は、都営新宿線浜町駅から徒歩4分の10階建て24戸(分譲21戸)。専有面積は25.22~43.44㎡、先着順(5戸)の価格は3,385万~5,397万円。坪単価390万円。
近く分譲する「クリオラベルヴィ新御徒町」は、都営地下鉄大江戸線・つくばエクスプレス線新御徒町駅から徒歩3分の13階建て69戸(分譲66戸)。専有面積31.51~53.47㎡、第1期(8戸)の予定価格は3,400万円台~6,300万円台。坪単価390万円。
現在分譲中の物件では、今年1月分譲の東急東横線・目黒線新丸子駅から徒歩4分の「武蔵小杉」32戸(坪単価340万円)は残り7戸。
今年1月から分譲の都営浅草線馬込駅から徒歩5分の「馬込」28戸(坪単価336万円)は残り2戸。
昨年6月スタートの東京メトロ南北線志茂駅から徒歩1分の「赤羽東」58戸(坪単価290万円)は残り3戸。
銀座7丁目にある常設の「ライフスタイルサロン」で、販売を担当する勝遼氏は「日本橋エリアは乱戦模様ですが、コンパクトタイプは意外と少なく、坪単価も400万円を切るなど価格的優位性もある。『仲御徒町』も駅に近く、反響もいい。当社の女性によるコーディネートの評価も高い」と販売に自信を見せていた。
「ライフスタイルサロン」
1カ月で半数が成約 伊藤忠都市開発「クレヴィア碑文谷一丁目」好調スタート
「クレヴィア碑文谷一丁目」完成予想図
伊藤忠都市開発が分譲中の「クレヴィア碑文谷一丁目」を見学した。渋沢栄一が開発した「碑文谷」アドレスで、サレジオ教会、円融寺に近接し、桜並木に面する立地が評価され、分譲1カ月で半数が成約するなど好調なスタートを切った。
物件は、東急東横線学芸大学駅から徒歩15分、目黒区碑文谷一丁目に位置する5階建て全42戸。専有面積は57.24~114.16㎡、坪単価は390万円。竣工予定は2018年11月下旬。売主は同社のほか三信住建。設計・監理はアーキサイトメビウス。施工は谷津建設。
今年1月から案内会を実施し、これまでに全42戸のうち約60%が成約・申し込み済み。好調なスタートを切った。
現地は、桜並木に面した南西角地。サレジオ教会、円融寺にも近接。徒歩3分の「碑文谷二丁目」バス停から「目黒」駅まで直通約12分のアクセス。目黒区立碑小学校、目黒サレジオ幼稚園、ひもんや保育園など幼稚園・保育園から中学校までが徒歩10分圏内。
建物のデザイン監修はアーキサイトメビウス(今井敦氏)。白が基調の外観デザインで、住戸プランはワイドスパンの70㎡台、80㎡台のファミリー向けが中心。
設備仕様は、ディスポーザー、食洗機、陶器ボウル、ミストサウナが標準装備。このほか「良水工房」を採用したほか、玄関と廊下には折上天井を施している。
モデルルーム
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同社のマンションは先月、「クレヴィア文京関口」を見学した。坪単価は410万円だった。今回は「目黒区碑文谷」だ。駅からはかなりあるが、住宅地の格からしたら互角以上だ。坪400を超えるのか越えないのかが最大の関心事だった。
販売担当の伊藤忠ハウジング・倉津崇宏氏から坪390万円と聞いて、なるほどと思った。もう少し高くても売れるのだろうが、専有面積は70㎡台、80㎡台、100㎡超だから、グロスを抑えるために低めに設定したのだろう。
それが正解だったようだ。「歩留まり率は22~23%と高いのが特徴」で、1億5,000万円台の最高価格住戸も売れたという。
モデルルームは87㎡のタイプ。キッチンの対面にある約5畳大の洋室を親子のコミュニケーションの場や仕事場など多目的に利用できる造作家具付きのDENにしているのがなかなかいい。
DEN
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販売事務所の接客ブースに案内されてすぐ「亀屋万年堂」のお菓子を頂いた。倉津氏によると、地元のお菓子(亀屋万年堂は自由が丘)などをお客さんに提供することを伊藤忠都市開発に提案し、それが採用されたとのことだった。もちろん費用負担は伊藤忠都市開発。
何でもないことのようだが、お客さんはこのような〝おもてなし〟に感動する。このところ〝モデルルームのフェイクの観葉植物は止めよ〟としつこく書いているのも同じことだ。商品企画そのものがよくなければ話にならないが、接遇にもっと力を入れるべきだ。
歩留まりについても一言。業界の皆さんは、昭和58年の土砂降り市場の中、あの日本ランデッィク「パークハイツ鶴見」(378戸)がほぼ50%の歩留まりで即日完売したのをご存じか。需要は創造するものだ。
頂いた「亀屋万年堂」のお菓子
デザイン秀逸 第1期1次43戸が即日完売 伊藤忠都市・東急不「文京関口」(2018/4/7)
ポラス 1か月間で3割以上成約 キッチンテーブルに本物の花 「市川妙典」
「ルピアコート市川妙典」完成予想図
ポラスグループの中央住宅が分譲中の「ルピアコート市川妙典」を見学した。妙典駅圏では4年ぶりのマンション供給で、同社オリジナルのピアキッチンのほか、6つの生活提案「ポラスのしあわせメソッド」を盛り込んだ企画が評価され、この1カ月で31戸を成約するなど好調なスタートを切った。
物件は、東京メトロ東西線妙典駅から徒歩13分、千葉県市川市塩焼三丁目に位置する7階建て88戸。専有面積は58.57~83.65㎡、坪単価は230万円。入居予定は平成31年3月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。3月から販売を開始し、これまでに31戸が成約済み。
現地は、整然と区画割された区画整理事業地内の三方道路の角地。足元の外構部やアプローチに石積みの自然石をあしらうなど、外構に力を入れている。バルコニーはガラス手摺と木目調のアルミルーバー手摺を組み合わせ、縦のマリオンを際立たせるデザインが特徴。
住戸プランは、柱型の出ないアウトフレーム工法を採用。同社オリジナルのピアキッチン付きを23戸盛り込んだほか、玄関シューズインクロークに電動自転車用のコンセントを設置し、手をかざすだけで止水できるタッチレス水栓、スイッチ付きエコふるシャワーなど、同社グループの戸建てからヒントを得た6つの生活提案「ポラスのしあわせメソッド」を盛り込んでいる。
エントランス
モデルルーム
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妙典は久しぶりに訪れた。いい住宅街であるのは分かっているが、月に10戸も売れればいいと予測していた。販売事務所の申し込み状況を知らせるボードにバラの花がたくさん咲いているのにびっくりした。1カ月で全住戸の3割以上売れているではないか。
さらに驚いたのが、ピアキッチンのテーブルには本物のフラワーアレンジメントが飾られていたことだ。記者は同社にも「あなたたちは挽き板の床や無垢のドア、建具、壁などを標準装備としながら、どうしてまがいものの造花などをあちこちに置くのか」と挑発してきた。
それに今回は答えてくれたようで、同社マインドスクェア事業部マンションディビジョン参事・林弘之氏は「フェイクを使うなといつも言われるので活けている。10日間は持つ。販売事務所の観葉植物も全て本物、エントランスの壁も本物の石」などと胸を張った。
これでこそポラスだ。他社より優れた本物の木や石を多用しているのに、まがいもののケミカル製品で飾り立てるのは愚の骨頂だ。高い花を飾れと言っているわけではない。埼玉県には野草、雑草がたくさん咲いているはずだ。それを飾ればお客さんは感動するはずだ。
改めて書く。同社が年間2,312棟(29年3月期)もの分譲戸建てを計上できるのは圧倒的な商品企画力があるからだ。マンションは供給量が少ないのでブランド浸透はいま一つかもしれないが、ピアキッチンやしあわせメソッドなどはどこと比較しても負けない。
販売を担当する長谷工アーベスト東京支店受託販売部門プロジェクトマネージャー・鈴木勝博氏は「長谷工のマンションとは思えない。ピアキッチンは他の長谷工の物件にも採用させてほしいくらいだ」と語ったのが、同社の商品企画が評価された何よりの証明だ。
リビングダイニング(モデルルーム)
東急不動産 JR蓮田駅西口の再開発計画に参画 マンションは168戸
「蓮田駅西口第一種市街地再開発事業」
東急不動産は4月24日、埼玉県蓮田市の「蓮田駅西口第一種市街地再開発事業」に参画すると発表した。
同事業は蓮田市が施行している事業で、今年2月、特定建築者として選定を受けた。JR蓮田駅から徒歩2分、敷地面積約6,821㎡、14階建て。168戸のマンションのほか診療所、公益施設を整備する。竣工予定は2020年秋。設計・監理・施工は未定。
新日鉄興和不 銀座にシングルライフを豊かにするギャラリー開設
「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」
新日鉄興和不動産は4月28日、シングルライフをより豊かにする情報や暮らしに関する+ONEを体感できる「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」を銀座にオープンする。
「+ONE LIFE LAB(プラスワンライフラボ)」は、単身世帯のライフスタイル・価値観・未来像をあらゆる視点から考察し発信、カタチにして提案する研究所で、2017年5月に設立した。
「銀座ギャラリー」は、オンライン上では得られない情報を実際に体感・体験できる場として設置したもの。「+ONE LIFE LAB」の研究結果・内容の展示、コンセプトルームの体感、同社分譲物件の3D間取りの閲覧、ライフスタイル関連の約300冊の書籍の閲覧、ライフスタイルにまつわるイベントの開催、フリードリンクサービス、スタディテーブルでの自主学習、フリーWiFi、フリー充電-などが無料で提供される。
銀座ギャラリーは、東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅から徒歩1分、日比谷線銀座駅から徒歩6、所在地は中央区銀座1-6-11 土志田ビル2F。営業は平日11:00~19:00、休日10:00~18:00、休館は水・木曜日(祝日除)。URLはhttp://plusonelife-lab.jp/gallery/
◇ ◆ ◇
これでデベロッパーの銀座でのコンパクトマンションなどの常設ギャラリーは、フージャースコーポレーション、三菱地所レジデンス、タカラレーベン、明和地所に続き5店目だ。同社の拠点が他のデベロッパーの拠点と異なるのは、〝販売・営業優先〟でないことだ。さすが新日鉄興和不動産だ。
24日に行われた発表会では面白い研究成果が報告された。1980~2000年代に生まれたミレニアル世代の中で、現在20代前半の女性を対象に2時間にわたる個別面談や、ミレニアル世代をターゲットにした商品企画をおこなっている企業担当者へのヒアリングを実施した結果、同世代は〝みんなバラバラでアンバランス〟という結論が導き出されたという。
配布された資料は字が小さくて読めないが、記者が思っている〝訳が分からん〟とそう大差ないことが確認できてうれしくなった。
一つだけ〝違うだろー〟と思ったのは、同社のミレニアル世代だと思われる女性担当者が「ミレニアル世代は個性が強い」と話したことだ。
本人も含め同世代は個性的と主張したかったのだろうが、〝みんなバラバラでアンバランス〟〝訳が分からん〟というのは、個性が強いのではなく、むしろ個性が欠けるということではないか。ものの道理を弁えるから人はそれぞれ個性を発揮できる。
大変失礼だが、ミレニアル世代はそのような道理、常識、知識を持ち合わせていないからバラバラ、訳が分からないということになるのではないか。
そんな世代にデベロッパーはどんな商品を提供していくのか。てんでんばらばらになったら世の中の常識、価値観、審美眼はどうなるのか。
〝いま一つのリビオ〟巻き返しの狼煙 新日鉄興和不 銀座にギャラリー開設(2018/4/25)
白が基調のデザインが美しい 公園も近接 住友不「シティハウス中野テラス」
「シティハウス中野テラス」完成予想図
住友不動産が近く分譲する「シティハウス中野テラス」のモデルルームを見学した。6つもの再開発計画が進行中の中野駅圏の白を基調としたデザインが美しいファミリー向け中心のマンションだ。
物件は、JR総武・中央線中野駅から徒歩14分、中野区新井四丁目に位置する7階建て68戸。専有面積は64.17~92.25、価格は未定だが、坪単価は370~380万円になる模様。竣工予定は平成31年1月中旬。設計・施工は淺沼組。
現地は、中野駅北口のサンモール商店街と桜並木が美しい舗道を抜けた三方道路の角地。対面は「ライフ中野新井店」。近くには新井天神北野神社・新井薬師公園、平和の森公園がある。
建物の内外装は白が基調で、東棟と西棟の2棟構成。ガラス手すり、スロップシンク、御影石キッチンカウンタートップ、食洗機などが標準装備で、プランはデッドスペースをなくすよう引き戸を多用しているのが特徴。
販売を担当する総合マンションギャラリー新宿館の中野浩一氏は、「徒歩14分だが、バス利用で中野駅まで8分。地域の方から〝待ってました〟という評価をいただいている」と話している。
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この界隈はよく知っている。近くにある新井薬師公園には飲用できる井戸がある。近所の人がベッドボトルなどを持って汲みに来ていたのも見たことがある。とても静か。桜並木も見事だ。
モデルルームを見学して、感心したのは設備仕様や提案だ。主寝室にはオプションだが化粧台が、クローゼットの中には全身が映せる鏡が設置されていた。中野氏によると、施工担当の建築士は女性で、その女性の提案のようだ。記者を含めた男性はクローゼットの中にどうして全身が映せる鏡があるのか理解できないが、この前の新日鉄興和不動産の「板橋本町」の取材で、女性は全身が映せる鏡を欲していると聞いた。
このほか、今まで気が付かなかったのだが、浴室のシャワーヘッドは止水スイッチ付き。浴室とキッチンにはチャイルドロックもついていた。
中野駅圏は再開発計画が目白押しで、どんな街になるのか楽しみだ。坪単価はリーズナブルだと思う。三菱地所レジデンスが数年前に分譲したサンモール商店街を抜けたところのマンションは坪単価460万円くらいだったはずだ。
〝いま一つのリビオ〟巻き返しの狼煙 新日鉄興和不 銀座にギャラリー開設
「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」
吉澤氏
新日鉄興和不動産は4月24日、銀座1丁目に開設した単身世帯のライフスタイル、価値観など考察し、情報を発信する研究所「+ONE LIFE LAB銀座ギャラリー」のプレス発表会・内覧会を行ったが、冒頭、同社常務取締役住宅事業本部長・吉澤恵一氏が「当社のマンションブランド〝リビオ〟はいま一つ」と話したのが気にかかる。この話から先に書く。
吉澤氏が「いま一つ」と話した真意はよくわからないが、いまマンション市場を支配している大手から取り残されている、もどかしさがそのような言葉になったのではないか。
これを聞き、記者も同じように感じた。それは同社に対する期待が大きいからだ。
もう40年近くも昔か。当時、日鉄ライフが新日鉄の社宅跡地などで積極的にマンションを分譲し始めた。レベルの高い商品企画をみて、〝大手デベロッパーを超えるのは既存のデベロッパーではなくて、異業種から参入したこのような会社だ〟と確信した。
その後、社名は新日鉄都市開発になり、さらに紆余曲折があり2012年に興和不動産と合併していまの社名になった。建て替えの「テラス渋谷美竹」「ザ・レジデンス神宮前」「横濱紅葉坂レジデンス」などで業界の話題になったころだ。興和不はマンションも手がけていたが、どちらかと言えばビル事業を得意としており、両社の合併はシナジー効果が大きく、大手の一角を占めるのではないかと記者は予想した。そして2013年、他社に先駆けてコンパクトマンション市場に参入した。
その後はというと、同社が〝ぶら下がりの〟物件はあるが、幹事となった話題物件はほとんど記憶にない。これが残念だ。あの商品企画力はどこに行ったのかと言わざるを得ない。驚嘆した「赤坂インターシティAIR」との落差があまりにも大きすぎる。情報収集力、目利き力で大手に差をつけられているとしか思えない。一つ指摘すれば、同社は販売部隊を持っていない。現場を知らないといい商品企画は生まれない。
しかし、今回の「銀座ギャラリー」の開設は巻き返しの強いメッセージだと受け止めたい。吉澤氏は今後のマンションの展開について、「2017年度は400~500戸。2018年度は1,300戸、2019年度は2,300戸に増やす」と話した。
先に書いたように、いまマンション業界は、大手5~6社が抜け出しており、次位に同社や電鉄会社など数社が上位グループ入りをうかがっている図式だ。〝新日鉄〟の看板があるのだから同社が浮上することは十分可能だ、戸数のことを言っているのではない。商品企画で他社を圧倒してほしい。いよいよジャンプする時代だ。
感動の組子-ヘンデル-社長挨拶-内覧フルコース堪能 新日鉄興和「赤坂インターシティAIR」見学(2017/9/27)
新日鉄興和不 「東京日本橋」「大手町」「浅草橋」共同マンションパビリオン(2013/2/8)
近鉄不の矜持を見た 天井高2700ミリ 「港区」「タワー」「海」前面に「浜松町」
「ローレルタワー ルネ浜松町」
近鉄不動産(事業比率60%)と総合地所(同40%)が7月に分譲する「ローレルタワー ルネ浜松町」を見学した。ゆりかもめ日の出駅から徒歩1分の眼前に東京湾が広がる総合設計制度の適用を受けた23階建て全227戸の規模で、階高約3.6m、リビング天井高約2.7m。「港区」「タワー」「海」を前面に押し出す注目のマンションだ。
物件は、ゆりかもめ日の出駅から徒歩1分(浜松町駅から徒歩10分)、港区海岸2丁目に位置する23階建て全227戸。第1期(戸数未定)の専有面積は51.09~140.55㎡、予定価格は5,900万円台〜25,000万円台(最多価格帯7,100万円台)、坪単価450万円。竣工予定は平成31年12月末日。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。デザイン監修はベイシスデザイン事務所。
現地は、準工エリアで倉庫街として知られているところだが、2年前にサンケイビルが分譲した「ルフォン リブレ浜松町」に近接。「ルフォン リブレ浜松町」は都心を向いたマンションだが、こちらは海側と都心側の両方を向いているのが特徴。
建物は、東京都の総合設計制度の適用を受け、広い広場を整備。今回分譲対象の住戸は6階以上で、プランは内廊下方式を採用、東京湾を望める東向きと都心が眺望できる西向きが6:4くらいの割合か。いずれもワイドスパンが特徴。21階以上の間口は約12~18m。
基本性能・設備仕様は、階高を約3.6m、リビング天井高を約2.7m、サッシ高を約2.35mそれぞれ確保、高速道路の騒音対策としては一部二重サッシを採用するほか、JIS規格最高グレードT-4等級に対し約3dB遮音性が高い複層ガラスを採用。このほか二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、フィオレストーン天板、グローエ水栓、陶器ボウルなどが標準。
新しい提案としては、クレーンにより撮影した全方位の写真をCG加工し、希望住戸からの眺望が想像できるようにするほか、キッチンはIHとガスコンロが選択できるようにしている。
◇ ◆ ◇
モデルルームを見て、近鉄不動産が7年前に分譲した「グランド ミッド タワーズ大宮」を思い出した。その時の記事には「埼玉県の最高レベル」「ザ・ペニンシュラ東京も手がけているデザイナー橋本夕紀夫氏がコーディネート…亀甲仕上げの床をはじめ建具・面材は全てクリ、トチなどの突き板の手仕上げによるものだ。天井高は3メートル。廊下幅は1~1.2メートル。ドアはイタリア製だ」と書いた。
今回の物件も、同社の矜持を感じた。並々ならぬ力をこの物件に注いでいることがストレートに伝わってきた。約140㎡の〝Executive〟モデルルームのデザインは鈴木ふじゑ氏だ。玄関・ホールの広さは4畳大近くあり、キッチンは約11畳大、リビング・ダイニングは約26畳大。圧倒的な存在感がある。床は天然石か突板の選択制。キッチンもガスかIHかを選べる。建具もオークの突板仕上げ。
価格が高いような気もしないではないが、浜松町駅圏では三井不動産レジデンシャルの「パークコート浜離宮ザ・タワー」が坪単価600万円で圧倒的な人気を呼んだ。それと比べるのもどうかと思うが、駅から徒歩10分で、ベイブリッジや対岸の夜景に魅せられる人も多いはずだ。
2年前にサンケイビルが分譲した近接する「ルフォン リブレ浜松町」もまずまずの人気になった。その比較からも坪450万円は納得だ。
同社は今年3月、このマンションにわが国で初めて衛星インターネットを導入するとニュース・リリースしたが、希望する全住戸からの全方位の眺望写真が見られるというのは業界初ではないか。こちらのほうがニュース価値があるような気もする。
埼玉県の過去最高レベルマンション 近鉄不動産他「グランド ミッド タワーズ大宮」(2010/6/2)
人気は全国区 坪600万円でも圧倒的人気 三井レジ「パークコート浜離宮ザ・タワー」(2017/1/23)
「めざましテレビ」そのまま 朝から元気 サンケイビル「ルフォン リブレ浜松町」(2015/1/20)