元荒川リバーサイド 対岸に宮内庁「鴨場」ポラス「パレットコート北越谷」分譲開始

「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」モデルハウス
ポラスグループの大型分譲住宅地「パレットコート」シリーズの企画・開発、設計、販売をする中央グリーン開発は2月17日、元荒川沿いの「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」の第1次販売を3月3日から開始すると発表。同日、地域自治会、越谷市と協力して進めているワークショップ「未来会議」も含めてメディアに公開した。
物件は、東武スカイツリーライン北越谷駅から徒歩13分~、越谷市大字南荻島字出津に位置する信用金庫研修所跡地の全64区画。敷地面積は135.30~150.11㎡、建物面積93.77~116.29㎡、価格は未定だが3,000万円の半ばから4,000万円台の半ばの予定。建物は木造在来工法2階建て。
現地は、元荒川の川沿いに位置することから、北欧の「PASSIVE DESIGN」、「HYGGE(ヒュッゲ)」、「SUSTAINABLE」を採用。川沿いの自然を感じるランドスケープを取り入れ、家族とゆったりと過ごす住空間を提案し、地域の新しいコミュニティづくりを支援する街づくりを目指している。
見学会に臨んだ同社開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は、「昨年行った棟下式には700名を超える方が参加し、施設内の食器・家具などが持ち帰ることができる『お宝発見ツアー』では8割以上がリユースされた。反響は現段階で地元以外には広がっていないが、紹介による来場が多く、手応えは十分。7期に分けてこの1年間で完売したい」と話した。

23号棟 モデルハウス

12号棟 モデルハウス
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記者は昨年の「棟下式」も取材している。その時の記事を参照していただきたい。
元荒川は名前の通り昔は本流だったのが、江戸時代に熊谷あたりで締め切られ、入間川に付け替えられたためにこのように呼ばれるようになったようだ。北越谷駅とは直線にしたら数分くらいの距離だが、川はかなり蛇行しているため徒歩13分の表示になっている。(渡しを付ければ「矢切の渡し」に対抗できるが)
モデルハウスの2棟はよくできている。同社の戸建てはたくさん見ているのでもう書かないが、さすが年間3,000戸を販売する会社だ。同業がみたら腰を抜かすはずだ。男性向けのモデルハウスは高さ3mくらいの書棚(ギャラリー)と小上がりの「スタディコーナー」が圧巻。一方の女性を意識したプランは、家族それぞれが多様な用途に使えそうなスペースをリビング周りにたくさん用意しているのが特徴。
元荒川の冷風を取り込むパッシブデザインもいい。冬は北風が寒いが、夏場は体感温度にして数度は低くなるはずだ。

街並みパース
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「未来会議」の取り組みも大賛成だ。どこかに意見を誘導する会議でなく、ワークショップ形式なのがいい。
この日は、ポラスや市の関係者も含めて20数名が参加していた。「河川敷を公園にしよう、桜を植えよう、遊具を設けよう」「集会所には食堂や居酒屋、カフェが欲しい」などの意見が飛び交った。
河川敷を管理するのは国か県だ。そこを公園にしたり、占有使用したりするこることはまず許可されない。
また、「集会所」の定義は明確ではないが、「越谷市まちの整備に関する条例」では公共施設扱いとなり、帰属は市となり、「食堂」「居酒屋」「カフェ」などは許可を得ないと設置できない。当然に建築基準法の建蔽率、容積率(該当地は50%、100%)や用途規制により店舗などは許可されない(非住宅部分が50㎡以下は可能だが)。
「未来会議」は今後、これらの法律・条例の壁にぶち当たることになりそうだ。あらゆる手法を駆使してこの壁を乗り越えてほしい。近接する文教大学と連携するのもいいし、同社がまとめたCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の小冊子も参考になる。この前、取材し記事にした横浜市金沢区の「さくら茶屋」に学んでほしい。基本は「自助」だ。
市もまた、条例の目的である「長年にわたり育まれた本市の歴史、地勢、社会的環境等に根ざした都市施策の継続及び計画的なまちの整備の推進を図る」(第1条)ことに背馳しないでいただきたい。

「未来会議」
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理解できなかったこともある。物件名だ。「フロード(FLOD)」はスウェーデン語で、「川」という意味だそうだ。スウェーデンといえは、全世界で8,900万部(シリーズ全体)が売れた、処女作品にして絶筆となったスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」を思い出すが、いま戸建てもマンションも北欧ブームだ。各社が競って北欧をテーマにした商品を発売している。
しかし、ここはストレートに「パレットコート 川沿い(リバーサイド)北越谷」とでもしたほうがよかった。井上陽水の「リバーサイドホテル」が大ヒットしたではないか。
「毎年1万羽を超える野鴨などの渡り鳥が越冬のため飛来し」「鴨の狩猟期間(11月中旬から翌年2月中旬)に,天皇陛下の思召しにより内外の賓客の接遇の場として使用」(宮内庁ホームページ)されている、対岸の約12,000㎡の宮内庁「埼玉鴨場」にも一言。
「棟下式」にも思ったのだが、この「埼玉鴨場」には北米などに広く分布する見事なメタセコイアの高木が植わっている。これはこれで美しいが、わが国では絶滅種のメタセコイアが植えられているのは、「1949年、日本と皇室がそれぞれメタセコイアの挿し木と種子を譲り受け、全国各地の公園、並木道、校庭などに植えられている」(ウィキペディア)ためのようだ。地元の人によると戦後、進駐軍が利用していたともいう。
なるほど。メタセコイアは、わが国がアメリカの軍門に下る象徴的な樹木であるということだ。記者は国粋主義者ではないし、日本国憲法の精神は美しいと思うが、その理由を知ってしまった以上、反米感情が沸々と湧き上がる。「隠された日本の財産」という意味の日本の固有種のスギ(学名:Cryptomeria japonica)に植え替えてはどうか。どう見てもあの大男のメタセコイアは見事に腰が据わったサクラと似合わない。

このメタセコイアそのものは美しいが、宮内庁「鴨場」にそぐわない
ポラス中央住宅 ハイグレードの戸建て「浦和BRIGHTS(ブライツ)」好ダッシュ

「浦和BRIGHTS(ブライツ)」モデルハウス サンクンリビング
ポラスグループ中央住宅の「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」が絶好調という記事を先に書いたが、今回は販売開始から1週間で全20棟のうち6棟を成約した「浦和BRIGHTS(ブライツ)」を紹介する。県都・浦和にふさわしいハイグレードの認定低炭素住宅&長期優良住宅だ。
物件は、JR浦和駅から徒歩24分(バス9分、徒歩4分)、さいたま市緑区原山2丁目の第1種中高層住居専用・準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全20棟。敷地は県警の官舎跡地。土地面積は100.10~118.50㎡、建物面積は95.22~109.5㎡、現在分譲中(14戸)の価格は4,280万~6,380万円(最多価格帯5,400万円台)。構造は木造2階建て(在来工法)。完成予定は6月16日。
現地は、戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、駒場スタジアム(駒場運動公園)に隣接。浦和高校も徒歩圏。
建物は、周囲の戸建て環境・景観に配慮して屋根には敢えて太陽光パネルを置かず粘土瓦を採用。外構・舗道には鳥海石、ピンコロ石、天然石などの天然素材を配し、外壁には汚れにくい光触媒のサイディングを施し、各戸に宅配ボックス、サイクルポートを設置している。
住戸の商品企画では、全熱交換型24時間換気システム、高性能樹脂窓のU値は北海道の基準値2.33を超える1.67を実現。さらに先進の省エネ、ハイブリッド給湯・暖房システムを搭載し、低炭素住宅&長期優良住宅認定を受けている。
天然素材を多用しているのも特徴で、床は厚さ2ミリのビーチ、オーク、ウォルナット、バーチの無垢材挽き板、壁は珪藻土塗り壁や銘木の端材を活用した壁材を用いている。
設備仕様では、ワンランク上のキッチン「ベリー」を、浴槽はミストサウナを、階段は16段を、窓にはタイマー式電動シャッターをそれぞれ採用している。
同社は今後、ハイスペックの「BRIGHTS(ブライツ)」をシリーズ化することも検討している。

ステージリビング
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同社の戸建てのリビング天井高は2700ミリが標準であることは何度も書いてきたが、今回のモデルハウスではダイニングの床面よりさらに200ミリ下げて「サンクンリビング」とし、天井高を際立たせるとともに、段差を設けることで上段に腰掛けるなどして多様な使い方ができる空間としている。天井高が一般的な2500ミリではこのような演出はできない。
一つ驚いたのは、すべての窓にクレセントが付いていなかったことだ。記者は2階だからコストを下げるためだろうと思ったのだが、そうではなくて気密性が高い樹脂サッシだから不要なのだそうだ。鍵はきちんとドア枠のところについているので防犯面でも問題はない。

クレセントがない2階窓
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「BRIGHTS(ブライツ)」のシリーズ化だが、同社が地盤とする埼玉県内にはそのような適地は少ない。強いてあげれば、何度も記事にしている浦和美園だ。産官学が連携して街づくりを進めれば、広域からも集客できる街になる。「浦和美園E-フォレスト」がそれだ。
都内でも十二分に戦える商品企画だと思うし、傍観者としての記者は真っ向勝負を挑んでほしいと考えるが、問題は〝ポラス〟のブランド力だ。同社はこれまで板橋区や練馬区、城東エリアなどを除く23区内での供給は少ないから、即完売というわけにはいかない。〝浦和レッズのスポンサー〟はサポーターの役割を果たすかもしれないが、決定力不足といわれる日本サッカー同様、あと一歩足りない。
同社(ポラテック)は三井不動産レジデンシャルの戸建ての施工実績があり、好評を博した。販売代理として三井不動産リアルティや野村不動産アーバンネットなどと組めば成功するような気がするが、同社・中内晃次郎代表は石橋を叩いても渡らないような慎重派だし、販売を他社に委託するようなことはやらないはずだ。(中長期的にはありうるか)

現地(住宅の後ろに駒場スタジアムの照明塔が見える)
〝魂が込められている〟4カ月で31棟成約 ポラス中央住宅「浦和美園」絶好調

「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」森の家
ポラスグループの中央住宅が分譲中の戸建て「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」と、1週間前に分譲開始した「浦和BRIGHTS」を見学した。「浦和美園」は昨年9月から分譲しているもので、わずか4カ月で全87棟のうち31棟を、「浦和」もまた全20棟のうちすでに6棟をそれぞれ成約している。なぜ売れるのか。一言でいえば1棟1棟に〝魂が込められている〟からだと思う。
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まず「浦和美園」から。同社は昨年9月、全体で87戸の戸建て「イストワール」を販売すると発表し、同時に記者見学会も行った。その時の記事も参照していただきたい。
今回見学したのは、「+Smart」「+Comfortable」「+Health」の3つの〝もっと〟をプラスした「ハイグレードタイプ」の4棟。全棟に2ミリ厚の挽き板フローリング、銘木の端材を活用した壁材「レリーフ」、珪藻土壁、タイマー式電動シャッター、高性能ハイブリッド窓、ミストサウナ、4枚引き戸などを採用、モデルハウスはすべて家具付き分譲というのが特徴だ。
4棟のうち「和みの家」と「森の家」は1.25坪の浴室を採用しているのが特徴だ。1.25坪の浴室はバブル時に各デベロッパー、ハウスメーカーが積極的に採用したが、その後はすっかり見なくなった。これはインパクトがある。
「森の家」はブラックウォールナットのフローリングや壁材を採用することで落ち着いた空間を演出し、マスターウォールの本皮ソファをコーディネートしている。

森の家(古垣氏担当)
「繋がりの家」は、床から約800ミリスキップさせた「スキップリビング」付き。1階の天井高を2.7m確保、スキップリビングの天井も上げているので、狭さを感じさせないのが特徴だ。

繋がりの家(角張氏担当)
「つどいの家」は、他のモデルハウスと異なり、床をコーティング加工して艶やかな表情にしており、回遊性のキッチン天井は一部下げ、間接照明とダウンライトを採用しているのが特徴。

集いの家(山口氏担当)
「和みの家」は、天井が網代仕上げの和室が印象的で、オレンジのソファが美しく、勾配天井のリビングによくマッチしている。

和みの家(山口氏担当)
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この日は、同社戸建分譲設計本部設計一部 営業企画設計課課長の古垣雄一氏と同じ部署の主任・角張泰広氏、さらに同社の広報マンに案内してもらった。全部で4棟。このあと「浦和BRIGHTS」の2棟も見学したので都合6棟見学した。
この間、サッカーに野球、街づくりなどについて侃々諤々の争いをするもんだから何が何やらさっぱりわからなくなった。どういうやり取りをしたのか、少し紹介する。
記者が「浦和レッズは昨年7位。観客数も39万人、多い時より半減。人気ナンバーワンにしては情けない。〝レッズタウンにしたい〟と熱く語る淵田敬三社長は立派だが、タウンマネジメント協議会は機能していないではないか。一方の西武ライオンズは2位。観客数も167万人。どうしてポラスは西武を応援しないのか。サッカーは裸になって踊ったり、頭突きをしたりと野蛮で、しかも1試合に2点くらいしか入らない退屈なスポーツ」などと〝挑発〟すれば、「野球とサッカーは異なるので比較はできない。西武の1試合当たりの観客数は2万人強でしょ。浦和レッズは平均3.2万人、最多は5.7万人。西武を応援しようにも、野球はみんな親会社がスポンサーになっている」などと広報マンが反撃する。また「あんたたちは立派な本物の木を使っているのに、どうして観葉植物はフェイクを相も変わらず飾るのか」と一発放てば、「本物は枯れたり、虫が付いたり手入れが大変。その代わりうちは1棟1棟インテリアコーディネーターが知恵を絞っている。同じものは提案しない。書院造の窓は右か左か」などと返され、どこまで行っても平行線だった。
しかし、何が何やらわからないということは、どれがいいか選別するのが難しいという意味で、みんな同じということではない。甲乙つけがたい出来であるのは間違いない。
そして何より、同社の力の注ぎようが並外れていることは、昨年の9月からすでに31棟を成約したという数字に如実に表れている。年間にすると80~90戸になる計算だ。このペースだと、全体で87戸を計画している「イストワール」を今年中に完売するかもしれない。
価格もしかり。坪単価150~160万円のマンションが四苦八苦しているエリアで、高いものは6,000万円を超えてくる。これはマンションにもヒントになる。価格を安くすれば売れる時代ではない。ユーザーの心に響く商品企画であれば売れるということだ。
〝閑古鳥が鳴く〟この街でこの販売スピードと価格は信じられない。ポラスに拍手喝采だ。
その一方で、街づくりを主導するさいたま市やUR都市機構関係者も奮起していただきたい。イオンモールとポラスや浦和レッズに〝おんぶにだっこ〟でいいのか。大学にも声を掛け協議会活動を機能させてほしい。都市間競争は益々激化する。浦和美園が取り残されないか心配だ。

和みの家
ポラス 浦和美園で大規模戸建て87棟分譲 マンション340戸含め1000戸 複合開発強化(2017/9/17)
コミュニティ醸成へ「つながるHOUSE」 販売も順調 野村不の大規模戸建て「洋光台」

「プラウドシーズン横濱洋光台」 「つながるHOUSE」
当欄11月4日付で紹介した野村不動産の分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」を見学した。全203戸の大規模事業だからこそ可能になった入居者向け共用施設「つながるHOUSE」はコミュニティ醸成へ大きな可能性を秘めている施設だ。
「つながるHOUSE」は、専任のスタッフが勤務(月・水・土/11:00~17:00)し、いろいろな利用相談に応じるほか、子どもの見守りなどを行う。コーヒーベンダーやFree Wi-Fi、スポーツ観戦などにも利用できる大型スクリーンを備える「コミュニティスペース」や、児童書や雑誌など200冊以上の本を保有する「ライブラリー」を設置。簡易トイレ、発電機、テントなどの防災備品を常備し、災害時の「防災拠点」としても機能する。
戸建ての分譲開始は今年3月。第1期として53戸を供給し、6月の時点で完売となった。引き続き31戸を供給しているが順調に進捗しているという。価格は5,000万円台の前半が中心。購入者の約6割が横浜市居住者で、地元のほか広域からも集客できている。3年間くらいで全戸完売する目標だ。

モデルハウス
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大規模マンションでは戸数にして数戸分かそれ以上のラウンジ・コミュニティ施設・ゲストルームなどを備えるのは当たり前だが、分譲戸建てでこのような施設を設けるのは珍しい。一昨年、ポラスが千葉県野田市の大規模分譲戸建て「パレットコート七光台」でカフェを開設したのを見学したことがあるが、それ以来だ。
隣はバス停留所で、雨が降っているときなどは雨宿りができるベンチも設置されている。
戸建ての街並みは、同社の他の戸建てと同様の南欧風の外観。モデルハウスは約2.4畳大の収納スペースと約1.5畳大のカウンターを備えたファミリーコーナーの提案がいい。双方合わせ4畳大近い。いろいろな用途に使えそうだ。

ファミリーコーナー
三菱地所レジデンス 戸建て分譲 全戸に「エネファーム」採用
三菱地所レジデンスは11月29日、東京ガスの供給エリアで分譲する戸建住宅シリーズ「ザ・パークハウス ステージ」全戸に家庭用燃料電池「エネファーム」を標準採用すると発表した。
「エネファーム」は、都市ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、発電した電気を家庭内で利用するほか、その際に出る熱も給湯に利用するなど送電ロスがなく、発電時に出る熱を無駄なく活用できる環境にやさしいシステム。
東京都の物件には、停電時発電継続機能を内蔵した「エネファーム(レジリエンスモデル)」を原則標準採用する。これによって、停電時の発電継続期間が最長約8日間となる。
同社は、戸建住宅シリーズ「ザ・パークハウス ステージ」を年間約300戸、将来的には年間400~500戸供給することを目標としている。
東京ガスによると、2009年に販売を開始して以来、着実に伸ばしており平成29年11月現在、累計販売台数は9万台を達成した。
デベロッパーでは、三井不動産レジデンシャルは2014年に「エネファーム」の全戸導入を決定し、野村不動産もほぼ同じころに全戸に導入した大規模戸建てを分譲している。
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結構なことではあるが、先行する三井不動産レジデンシャルや野村不動産に肩を並べるには今一つインパクトに欠ける。記者は三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」を全戸標準装備して差別化を図るべきだと思う。
大和ハウス ハイクラス向け第2弾 プレミアムグランウッド東京23区版 始動

「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」
大和ハウス工業は11月28日、最高級の木造フルオーダーの家づくりプロジェクト「PREMIUM GranWood(プレミアムグランウッド)」東京プロジェクトを12月1日(金)より東京23区で本格始動すると発表。一般公開するケーススタディハウス「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」の報道陣向け見学会も行った。
同プロジェクトは、今年4月、兵庫県芦屋市の「プレミアムグランウッド 神戸・芦屋の家」をケーススタディハウスとして始動したのに次ぐ第二弾。「今だけ、ここだけ、あなただけ」をメインテーマに相談から設計-建築-アフターサービスまでサポートする「プレミアムデザインユニット」も新設した。
日本家屋特有の「侘び・寂び」の空間を演出するため、左官職人の土壁や樹齢200年の吉野杉の5%しか採取できない柾目材を使用した天井、中庭と居室を一体としたプラン、最高級システムキッチン、最高レベルの耐震・高気密・断熱仕様が特徴。年間の受注目標は10棟。
芳井敬一社長は、「4年前、東京本店長に就任してから取り組んできた、当社が足りないハイクラス向けに特化したプロジェクト。匠・技術・素材の〝3つの逸品〟として完成させた。非常に力が入っている」と話した。
「等々力の家」は、東急大井町線等々力駅から徒歩10数分、世田谷区野毛1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する敷地面積232.66㎡(70.37坪)、延床面積153.54㎡(46.44坪)。木造2階建て(グランウッド構法)。価格は土地・建物・外構・家具含め2億7,500万円(消費税込)。モデルハウスとして利用したのち、来年9月をめどに分譲する。

芳井社長
◇ ◆ ◇
元神戸製鋼のラガーマン芳井社長も忸怩たる思いだったようだ。同社の木造の販売戸数は年間470~480棟。この棟数について、芳井社長は「東京23区はSR社(住友林業と推測される)の一人勝ち。当社のシェアは10位にも入れない」と現状をストレートに語った。
配布された資料によると、平成27年度の木造販売トップの住友林業は400棟に迫り、第2位のM社(三井ホーム)が300棟近く、3位のMS社(ミサワホーム)が約200棟で、S社(積水ハウスのシャーウッド)が約170棟、同社は90棟くらいだ。各メーカーの重点エリアである世田谷、杉並区では住林・三井ホーム3分の1程度の売り上げしかない。
発表会と現場見学会には、住宅事業全般担当の大友浩嗣常務執行役員、住宅系商品開発担当の有吉善則常務執行役員、プロジェクト責任者の北村淳プロデューサーなども出席。満を持しての投入で「(他社に)少しは脅威を与えられる」(芳井社長)自信作だ。

ダイニング(左)と吉野杉の天井

Miele社の大型食洗機
◇ ◆ ◇
記者は、坪単価1,000万円以上、グロスで10億円を超えるマンションのモデルルームを数えきれないほど見学してきた。戸建ても先月、三菱地所ホームの時価にして7~8億円はしそうな三菱地所ホームのモデルハウス「ORDER GRAN AKASAKA」に宿泊体験した。昨年末見学した同社グループのコスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(8棟)が出色の出来だったのは記憶に新しい。
なので、今回報道陣に公開された「等々力の家」には全然驚かなかった。配布されたリリースから土地代は坪250万円くらい、建物は坪200万円くらいではないかとはじいた。
現地も確認し、関係者の話などから総合すると、土地は傾斜地であることからもっと安く、建物は坪200万円くらいだろう。ほぼ予想した通りだし、すぐ近くに等々力渓谷が流れる立地から判断して妥当な値段だろうと思う。
物件からは、どこかで聞いたことがある言葉だが、〝今だけ、ここだけ、あなただけ〟の熱意がひしひしと伝わってきた。
もっとも驚いたのが、樹齢200年の吉野杉を格子状に張り巡らせたダイニングキッチンの天井だ。柾目を使ったこともあるのだろうが、節がまったくない(田舎育ちの貧乏人の記者はスギは節があるからこそ美しいと思うが)。素人が見たら木目調パネル(ケミカル)だと思うはずだ。床は御影石。しかも暖房が入っているように温かい。
〝キッチンの横綱〟(大鵬か白鵬か)と呼ばれるイタリアValcucine(バルクッチーネ)社の最高級品のグラスファイバー材のトップカウンター、バイブレーション処理したステンレスの扉、浮造りの収納引手も見事。美しい。
Miele社の大型食洗機がまたすごい(記者が知らないだけか)。トン、トンと2回叩くと扉が開く仕掛けになっている。1度ではだめだそうだ(記者は「開けゴマ」と声をかけたがもちろん声には反応しない)。
中庭-居室-リビングを一体ととらえ、侘び寂びの空間を演出する「庭屋一如」も陽の移ろいなどをきちんと計算して設計したという。
その他、冬温かく夏涼しい「快適涼暖システム」、業界最高クラスのU値0.198W/㎡・Kの「オールバリア断熱プレミアム仕様」、耐震等級3相当の一般在来と比較した場合の構造の変形を2分の1程度に抑えられる耐力壁「グランデバイス」を採用している。これも強調材料のはずだ。

玄関
◇ ◆ ◇
年間目標棟数はずいぶん控えめな数字だ。スタッフにプレッシャーをかけない配慮か。先の三菱地所ホーム「ORDER GRAN AKASAKA」は開設2か月で6棟の成約だ。「グランフォーラム石神井公園」はほとんど1億円以上だったにも関わらず4カ月くらいで完売した。
来年の今頃、芳井社長がどのようにコメントするか楽しみだ。
◇ ◆ ◇
プロジェクトとは関係ないが、ラガーマンだったからわかっていただけるはずだ。芳井社長にお願いしたいことがある。
RBA野球に参加しているチームの再生だ。今年の野球大会のベスト4は積水ハウス神奈川、旭化成ホームズ、住友林業、ミサワホーム東京ですべてハウスメーカーだ。このほか一条工務店もパナホームも決勝トーナメントに勝ち進んだ。大和ハウスは2勝3敗で予選敗退した。
これまでチームの最高記録は平成15年の第15回大会のベスト4入りで、その後は長期低迷が続いている。通算成績は28勝44敗、通算勝率.389。何ごとも負けていいはずはない。チームを応援し、檄を飛ばしていただきたい。
価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2016/12/3)
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
ポラス 全40現場332区画の大規模戸建て「西大宮」第1弾15戸を即日完売

「ワンリンク332プロジェクト」(左が最高価格住戸1号棟)
ポラスグループの中央住宅は11月17日、さいたま市西区で開発が進められているUR都市機構による「さいたま都市計画事業大宮西部特定土地区画整理事業(愛称:Liv-Field西大宮)」(施行面積115.5㏊、計画戸数4,010戸)の分散型分譲戸建て「ワンリンク332プロジェクト」の第1弾15戸が即日完売したと発表した。
物件は、JR川越線西大宮駅から徒歩18分~、さいたま市西区高木他に位置する全15棟(計画現場40現場、計画棟数332棟)。土地面積は135.10~200.00㎡、建物面積93.57~119.02㎡、価格3,780万~6,280万円。構造・規模は在来工法2階建て。
11月11日から販売を開始し、5棟に2~3倍の申し込み倍率が付くなど即日完売。総来場者は73組、うち市内が46組。購入者は20代の半ばから30代の半ばが中心。
計画現場が40現場、計画棟数が332区画であるように、これまで同社が得意としてきた一定規模以上の〝街づくり〟型ではなく、建設現場が区画整理地内に分散しているのが特徴。(なぜ大ロットで入札しないのかについてURは「ケースバイケース」としている)
商品企画では、リビングとつながるウッドパネルで仕切った「木箱の空間」、屋内外を結ぶ「インナーテラス」、最高天井高3.7mの「三角勾配天井」、最高天井高4m超の「勾配天井」、リビングサイドの小上がりの空間を設置した「タタミコーナー」、キッチンとマッチした木の風合いを持つ「造作ダイニングテーブル」「バックカウンター付き収納」など、きめ細かな提案を行っている。
17日に行われた報道陣向け見学会で、同社取締役・石井克利氏は、「全体で332区画という数字は当社グループ過去最多。今後2021年度までに販売していく。第1期が即日完売できて幸先よいスタートが切れた。このエリアではハウスメーカーなどとも競合するが、これまで当社グループは約100区画を分譲している実績があり、ノウハウの蓄積もできている。幅広いニーズに応えるため平屋を含めた商品構成にするほか、居住者のコミュニティ活動を継続して行っていくなど差別化を図っていく」と話した。

1号棟 ウッドデッキ&ポタジェ

1号棟 最高4メートルの勾配天井(左)とタタミコーナー
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同社の分譲戸建てはたくさん見学しているが、今回は「三角勾配天井」「勾配天井」など空間演出が巧みで、無垢材・挽き板を多用して木のぬくもりを表現している。
最高価格6,280万円の住戸は敷地面積が200㎡あるため価格が高い大きな要因だが、最高4m超のスギ材を貼った勾配天井と多目的に利用できる「タタミコーナー」がいい。玄関から入ったリビングの造作ダイニングテーブル、その奥の黒のアルミ手すりのデザインも抜群だった(ダイニングテーブルにフェイクと〝遜色〟ないドライフラワーを飾ってあるのは理解不能だが)

パステルカラーの内外装が特徴のモデルハウス 2号棟

2号棟 木箱
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見学会では、若い男女の社員2人が紹介された。女性は同社分譲さいたま事業部営業課営業推進係主任・吉田玲渚氏。今年12月から2020年の5月まで、クリスマスリースつくりや芋ほり体験、サッカー教室など多彩なワークショップイベントを担当するという。
この種のワークショップはイベント屋などに任せるケースが多い。自前で行うのは結構なことだと納得した。
驚いたのは、男性の戸建分譲第一事業部営業課西大宮PJ係・相島良亮氏(24)だ。「15戸のうち一人で6戸を契約した入社2年目のトップ営業マン」と、同社広報から紹介された。
この区画整理事業地内でどれくらいの宅地・分譲住宅が供給されたかわからないが、今の市況からしてエリア全体で年間100数十棟売れたらいいほうだと思う。なのに一人で6棟を短期間に契約するなど信じられない。しかも入社2年目というではないか。
「埼玉を代表する分譲地にする意気込みで臨み、接客ではお客さまとのコミュニケーションを大事にした」相島氏はこう語った-この熱意がユーザーに通じたのではないか。石井氏は「彼のコミュニケーション能力は天性のもの」と相島氏を評した。
相島氏は埼玉県加須市出身。

吉田氏(左)と相島氏
パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」

「グランフォーラム練馬田柄」
誰でもそうだろう。朝一番にいい仕事(取材)ができれば一日気分がいいものだ。昨日がそうだった。コスモスイニシアの分譲戸建て「グランフォーラム練馬田柄」がそうだ。モデルハウスの出来が出色で、最高天井高3.6mの空間演出に圧倒された。
物件は、東京メトロ有楽町線地下鉄赤塚駅から徒歩6分、練馬区田柄二丁目の第1種低層住居専用地域(建ぺい率50%=角地緩和区画60%、容積率100%)に位置する全11区画。土地面積は100.16~120.93㎡、建物面積は95.08~119.18、予定価格は7,000万円台半ばから9,000万円台。建物は平成29年9月までに竣工済。施工は西武建設。構造・工法は木造(枠組壁)・2階建て。分譲開始は11月下旬。
現地は、生産緑地も点在する住宅地の一角。都立光が丘公園へは徒歩15分。建物は全て2階リビングで、最高約3.6mの高天井を確保し、5畳大以上のグレーチングバルコニーを採用しているのが特徴。

グレーチングバルコニー
◇ ◆ ◇
最高天井高3.6mのリビングは、昨年見学した同社の「グランフォーラム光が丘公園」でも採用されていたが、より進化している印象を受けた。空間演出が抜群だった。
写真を見ていただきたい。モデルハウスは5号棟で、2階LDKの広さは約20.7畳大。床から天井まで本棚が設えてあり、ところどころに本物の観葉植物が置かれている。天井にはファンが回っている。リビングの陽が入る南西角には約5.4畳大のグレーチングバルコニー、北側には約2.4畳大のDENが配置されている。
1階の玄関・ホールの演出も見事だ。これも写真を見ていただきたい。写真では広がりがよく表現できていないが、シンメトリーの窓が美しい。同社はマンションもふくめて〝魅せる玄関〟に最近力を入れており、十分スペースを確保するとともに天然素材を多用、デザインにもこだわりを見せている。
細かな配慮では、2階の洗面室には物干しポールを、階段部分には下部収納をそれぞれ設置している。

モデルハウス


リビング

玄関
◇ ◆ ◇
見事な空間演出を引き立てているのが「GREEN DECORATION SARVICE(グリーンデコレーションサービス)」だ。パーク・コーポレーションの空間デザインブランド「パーカーズ」とコラボし、モデルハウスにはすべて本物の緑を配している。
記者はこれまで何度も「モデルルームやモデルハウスに下品な造花(フェイク)を置くな」と書いてきたが、同社の商品企画担当者も同じ思いなのだろう。
少し考えれば誰だってわかるはずだ。一流ホテルやレストランのテーブルに造花が置かれているかと。居酒屋だってそんな愚を犯さない。記者は二度とそんな店を利用しない。
別掲に昨年記事にした「石神井公園」「光が丘公園」を添付するが、ほとんどが1億円以上の「石神井公園」は完売まで半年かからなかった。マンションもそうだが、最近の同社の分譲戸建てはどんどんよくなっている。

モデルハウス(ダイニングテーブル)
野村不 全203戸の分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」に入居者用共用施設

「プラウドシーズン横濱洋光台」
野村不動産は11月2日、IHIと共同で開発を進めている分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」(全203戸)に入居者向け共用施設「つながるHOUSE」をオープンしたと発表した。
「つながるHOUSE」は、マンションの共用設備を応用したもので、専任のスタッフが勤務(月・水・土/11:00~17:00)し、利用相談に応じるほか、コーヒーベンダーやFree Wi-Fi、スポーツ観戦などにも利用できる大型スクリーンを備える「コミュニティスペース」や「ライブラリー」「キッズルーム」を設置している。また、簡易トイレ、発電機、テントなどの防災備品を常備し、災害時の「防災拠点」にもする。
物件は、JR根岸線洋光台駅から徒歩17分(バス約5分)、横浜市港南区笹下4丁目に位置する敷地面積28,119㎡のIHIの社宅跡地の全203戸。建物面積は91.69~106.85㎡。構造・規模は木造2×4工法(2階建て)。施工は東急建設、西武建設。
第1期53区画の販売を2017年3月に開始し、同6月に完売となっている。11月上旬から第2期の販売を開始する予定。

「つながるHOUSE」

コミュニティスペース
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験

「ORDER GRAN AKASAKA」
普段の行いがいいからだろうか、市場価格にして7~8億円はしそうな三菱地所ホームの富裕層向けモデルハウス「ORDER GRAN AKASAKA」に泊めてもらうなどという千載一遇の僥倖にめぐりあえた。
なぜ可能になったのか。少し説明しよう。今年7月15日に遡る。この日、同社は赤坂ハウジングギャラリー内に建築した富裕層向けフラッグシップブランド「ORDER GRANオーダーグラン)」の第2弾のモデルハウス「ORDER GRAN AKASAKA」を報道陣に公開した。
同社オリジナルの全館空調「エアロテック」を搭載し、ホームスパ、ゴルフシミュレーター、シアターリビングなどラグジュアリーな空間を提案した延べ床面積57坪のモデルハウスなのだが、顧客向けに体験宿泊できるようにしているのが大きな特徴だった。
「エアロテック」は実際に体験してみないと真のよさが伝わらないという問題があるが、この問題を一挙に解決し、アッパーミドル・富裕層向けの需要を掘り起こそうという狙いが背景にある。
記者は、エアロテックが開発される20年くらい前から外断熱マンションや戸建てを精力的に取材してきた。環境問題を解決し同時に居住性能を高めるのに極めて有効だと考えているからだ。ずっと応援もしてきた。2002年の首都圏初の外断熱マンション、康和地所「 リリーベル両国北斎通りサーモス」には驚愕した。2006年の明豊エンタープライズ「シェルゼ木場公園」には快哉を叫んだ。
外断熱と全館空調は異なるが、365日24時間、居室はいうまでもなくトイレ、浴室、小屋裏まで温度が一定に保て、エアコンなどの光熱費が節約できる点では同じだ。全館空調はそれだけでなく、PM2.5や花粉対策としても有効で、とにかく快眠・ストレスフリーの空気空間を実現したのが特筆できる。
だから、会見場でも「エアロテック」をほめまくった。それだけではない。設置費用だけで1,000万円もかけた「ゴルフシミュレーター」を加藤博文社長(52)に実演してくれるように頼み、写真にも収めた。〝ナイスショット(ヨイショ)〟の声を上げたのだが、実際その通りだった。何と加藤社長はロペ倶楽部の488ヤードのパー5を見事パーセーブしたのだ。
加藤社長は、厚かましい遠慮というものを知らない記者が「泊めてください」と言わんばかりの物欲しげな表情を浮かべていたのを気の毒におもったのか、「泊まっていいよ」と話した。
〝しめた〟と思う一方、〝猫に小判。お前みたいな貧乏人が56坪もある贅沢な空間をどう使うのか、その価値がわかるのか〟とささやくもう一人の私がいた。結局、後者が勝った。〝あれは冗談〟と聞き流すことに決めた。それくらいの分別は持ち合わせている。
ところがだ。その後の三菱地所グループの記者懇親会でも加藤社長から宿泊体験を勧められた。これを断るのは失礼だと決断し、がけから飛び降りる覚悟を決め、今回の宿泊となった。

浴室

ゴルフシミュレーター(写真は加藤社長、記者写す)

2階リビング
◇ ◆ ◇
前置きがずいぶん長くなったが、経緯はよくわかっていただけたはずだ。自分が確信を持てなければ、人の心を揺さぶる記事など書けない。以下は嘘偽りない体験記だ。
まず、冒頭にあげた「市場価格にして7~8億円」の根拠を示す。
モデルハウスが立つ「赤坂7丁目」は第二種中高層専用地域と第二種住居地域にまたがっており、建蔽率は60%、容積率は300~400%。赤坂7丁目には地価公示の調査地点はなく、同じようなエリアの赤坂6丁目は坪743万円だ。
モデルハウスを建てるためには少なくとも50~60坪の土地が必要だから、土地代だけで3.8億円から4.8億円だ。建物は建築費だけで坪200万円以上。敷地の道路を挟んだ対面には三井不動産レジデンシャルが9年前に坪単価551万円で分譲した「パークコート赤坂 ザタワー」が建っている。
これらから類推して、仮に分譲すれば10億円は無理だろうが、最低で7億円、妥当な値段として8億円くらいではないかとはじいた次第だ。

玄関(記者写す)

玄関ホール(記者写す)
◇ ◆ ◇
宿泊したのは10月25日。この日の東京の最高気温は18.2度、最低は13.4度。全館空調を体験するには〝絶好〟の寒さだった。朝、自宅を出るときの洗面所の温度は18度だった。
チェックインした午後6時の屋内は1階が22度、2階が20度にセットされていた。チェックアウトの26日9時前も廊下、洗面所、小屋裏収納を含めてほとんどこの温度は変わっていなかった。26日の外気温は最低10度と記録されている。
この時期、57坪の住宅内の温度を20~22度に保つためにはエアコンだったらどれだけ使うか、月額にしたら数万円でも足りないだろうと考えた。
音も全くしなかった。送風で空気が揺れる気配もなかった。結露もまったくなし。睡眠時間は5時間くらいか。床についてすぐ眠りに落ち、普段は寝覚めが悪いのに6時ころに自然に目が覚めた。木や天然素材の床材、壁材が快眠に効果があるという研究の通りだと思った。
嘘だろうという人がいるかもしれないが、木などの自然素材を採用した室内はケミカル製品と比べて眠りが深く、ストレスもない、仕事がはかどるという効果てきめんの研究成果が報告されている。
ゴルフシミュレーターも挑戦した。記者は50歳の時ゴルフをスパっとやめた。以来18年間、一度もクラブを振ったことはない。しかし、せっかくだからとセント・アンドリュースの385ヤードのパー4を試みた。
ドライバーはやや右にそれたが幸運にも208ヤード飛んだ。残り約180ヤード。得意の5番アイアンで挑んだが、球は左にそれ計測不能。そのあと7番も試したが同じだった。ここで怪我でもしたら大変と断念した。(記者はかつて、第2打をティーグランドの後方から打ったことがある。ドライバーで打った球が地を這うように飛んだかと思ったら、20~30ヤード先の突起物に激突して、きれいな弧を描いて記者の後方数ヤードくらいに落ちた。あの時ほど恥ずかしく誇らしく思ったことはない。
挑戦は失敗したが、世界の名門コースを疑似体験できるのだから、ゴルフ好きは病みつきになるのは容易に想像できる。オプションだが、宿泊客には1時間25,000円でプロが指導してくれるという。
シャワー室&ジャグジーバス。この種の設備は利用したことがあるが、2層もある観葉植物・吹き抜け付きというのは初めてだった。主寝室とリビングはそれぞれ19.2畳大。鍵がかかっているダイニングのウイスキー棚の中にはそれほど高価な酒は入っていないそうだ。
中身はともかく外見を美しく見せようとするご婦人方向けオプションには120分22,000円のアロマトリートメントや150分28,000円の「ザ・美ラックス」サービスもある。
設備仕様では、黒御影石の外壁、ゼブラウッド(シャム柿か)の玄関把手、高級材のスクピラの挽き板フローリング、ジャクソンの浴槽、Miele、HANSAなどの家電・水栓などが美しい。
居住環境が人格形成に大きな影響を及ぼす。お金持ちだけでなく、一般人がこのような住宅に住めるような世の中にならないか…それからしばらく考え続けた。

ダイニング(記者写す)

階段下(記者写す)
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ここが肝心なところだ。同社によると7月22日から9月30日の期間で宿泊体験は14件18組。このうち成約に至ったのが9件で成約率は約65%。セミナーなどを通じて成約に至るのは50%くらいだそうで、宿泊体験は販売促進にも効果があることが数字に表れているという。
「音・空気 環境価値」が重視される時代になってきた。体験宿泊も含めたこれまで得られた顧客データが大きな武器になる。同社はまた、マンション用の「新マンションエアロテック」と定額制のスケルトンリフォーム「Re Dia (リディア)」の発売も開始した。事業を一挙に拡大するチャンスだ。

エアロテック機械室(記者写す)
※写真は「記者写す」以外は全て同社提供
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