住友林業 「ミャンマー寺子屋応援チーム」校舎建築支援5校目が完成
建て替え後の寺子屋
住友林業は2月19日、「ミャンマー寺子屋応援チーム」校舎建築支援で5校目が完成したと発表した。
2013年から同社が建設の発起人・事務局を務め、毎年1棟ずつ校舎を建築、寄付しているもので、今回、5校目の寺子屋校舎が完成した。
ミャンマーでは公立校の授業料や制服は無料だが、文房具、寄付金などの費用負担があり、経済的な事情や近くに公立校がないなどの理由で学校に通うことができない子どもたちが多く存在するという。そうした子どもたちの教育の受け皿として寺院で僧侶が運営する寺子屋が重要な役割を担っている。
5校目となる寺子屋は、ミャンマー社会の発展に役立ちたいという趣旨に賛同する19社6個人からの寄付により建築された。
建替え前は窮屈な小屋だったのが、鉄筋コンクリート3階建て校舎に生まれ変わり、小学1年生から中学2年生まで約300名の児童、生徒が勉学に勤しんでいる。
野村不動産 豊島区新庁舎東側で再開発タワー248戸 着工
「東池袋四丁目2番街区地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
野村不動産は2月19日、特定業務代行者として参画している「東池袋四丁目2番街区地区第一種市街地再開発事業」の工事を2月12日付け着工したと発表した。
建設地は、東京メトロ有楽町線東池袋駅から徒歩1分の敷地面積約2,665㎡。建物は36階建て延べ面積約31,192㎡全248戸。竣工予定は2022年3月。事業コンサルタントは日建設計。設計・監理は日建設計・日建ハウジングシステム。施工は前田建設工業。
同事業は、2012年10月に準備組合設立、2017年3月に都市計画決定、2017年10月に再開発組合の設立認可を受け、今回着工したもの。木造住宅が密集し細分化された地区内の宅地を共同化し高度利用することによって、地区全体の不燃化を促進し、建物の1~3階部分に店舗、子育て支援施設などを整備する。
現地は、豊島区新庁舎の東側エリアに位置。同社が参画している「東池袋五丁目地区第一種市街地再開発事業」(「プラウドタワー東池袋」)にも近接。
オリンピック選手村住民訴訟も佳境に 原告、被告双方 相手を「著しく」非難
閉廷後の原告側の記者会見 左から4人目が淵脇氏(司法記者クラブで)
東京都が晴海オリンピック選手村用地を民間事業者に約130億円で売却したのは不当とし、小池百合子都知事に対し妥当額との差額1,200億円を支払うよう不動産会社11社に請求せよという民事訴訟の第5回審理が2月19日、東京地裁で行われた。
被告側弁護士が、原告側を「全てがありもしないでっち上げ」などと攻撃すれば、原告弁護士・淵脇みどり氏は「被告(小池都知事)は早く火消しをしたいと言わんばかり。われわれはあせって早期に終わらせるつもりはない。傍聴席も満席になり、都民の関心は高まるばかり。都の姿勢を追及していく」と語った。「HARUMI FLAG」の分譲を前にして、こちらのバトルも佳境に入っている。
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都民ら58名による監査請求が棄却されたのを受け、33名が東京地裁に提訴したのが今回の事案。都が売却したとき書いた記事「東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟」は間違っていないと今でも思っているが、その売却価格をめぐって争われている「事件」の顛末を見届けようと傍聴することにした。用意された傍聴席52席は入りきれない人も出るほどの〝盛況〟だった。
原告側でも被告側でも敵でも味方でもないないニュートラルの記者は一瞬たじろいだ。高齢の方が圧倒的に多いのと、ネクタイを締めているのは記者と被告側の弁護士くらいしかいなかったからだ。場違いなところに入り込んでしまったように感じた。国立裁判で一貫して明和地所側についていたときとはまた違った緊張感がある。どちらの側からも胡乱な目で睨め付けられているようでいい気分はしなかった。「愛」のかけらもない相手をやり込める裁判は苦手だ。
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ここからが肝心な部分。原告側から以下の通り意見陳述書が提出された。やや長いがほぼ全文を紹介する。
1(1)原告らは前回、本件土地の価格について主張する準備書面3を提出し、桝本行男不動産鑑定士による不動産鑑定書を証拠として提出しました。
前回期日、被告は意見陳述で原告提出の不動産鑑定について原告である不動産鑑定士が行っていることについて客観的な独立した第三者である不動産鑑定士でないとして問題にし、手続の中立性を欠くとまで言い、自らは外部委員を含ませた保留床処分委員会に日本不動産研究所の調査結果を審査してもらっていると述べています。
(2)しかし、桝本鑑定士は、原告ではありますが、原告であるから鑑定が客観的でない、正当でないということは言えません。
桝本鑑定士は、長年鑑定士実務に従事した経験があり、法令等に従い、誠実に鑑定を行っています。従って、その鑑定は客観的、正当なものです。
(中略)
(3)なお、被告が価格の正当性の根拠としてあげている保留床等処分委員会における審理は、原告らが今回提出した準備書面4で述べているとおり、正当性の根拠とはなりえません。
なぜなら、同委員会の構成員10名のうち、6名は東京都の都市整備局次長など被告の職員であり、出席委員の過半数が被告東京都の職員でした。さらに委員会の開催時間は1時間で、その間に会長の互選、副会長の指名、定足数の確認、議案の説明がありますから、審議時間は1時間にもみたないものです。さらに、審議内容についても日本不動産研究所の調査報告書に関する説明も詳細、具体的なものであったとは考えられません。さらに、時価公示等は後日事務局で確認とされ、委員会開催の時には明らかにされていませんでした。時価公示等は価格を判断する際に最も重要な資料となりうるものですが、これが委員会の際には資料すら明らかにされていなかったのです。(中略)
このように、保留床等処分委員会の審理を「手続の中立性」や本件土地の価格の正当性の根拠とすることは出来ません。
2(中略)被告の主張によれば、本件は正式な鑑定による価格の判断が出来ない場合であり、価格の唯一の根拠は日本不動産研究所の作成の調査報告書及び今回提出された価格等調査報告書に係る補足意見書ということです。
そうであるならば、その根拠となる調査報告書は早期に黒塗り部分をなくし全面的に明らかにするよう再度求めます。
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(1)と(2)は不動産鑑定士とは何ぞやという問題だ。原告側の言うとおりであれば、被告はやや勇み足でないか。不動産鑑定士法には「不動産鑑定士は良心に従い、誠実に鑑定評価等を行うとともに、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてならない」(第5条)「故意に、不当な不動産の鑑定評価を行なつたときは、懲戒処分」(第40条)」とある。
被告側弁護士の「でっちあげ」発言は、桝本氏の鑑定評価に対してではないようだが、記者が桝本氏なら、名誉棄損で被告側弁護士を訴えるがどうだろう。
だが、しかし、弁護士は白を黒に、黒を白に言いくるめる商売と考えているのと同様、不動産鑑定士もまた依頼者が希望する鑑定を行っているとしか思えない。どっちもどっちだ。
(3)は、保留床等処分委員会の審理のあり方の問題だ。原告の主張する通りだとすれば、問題(注)だと思うが、委員会に都の職員を入れてはいけないという規則はないはずで、手続きに瑕疵はないのではないか。委員を誰にするかも都知事が決めるのだろう。
論議時間も問題にならない。シャンシャンだろうが、喧々囂々の末の結論だろうが、正当な手続きを踏んだ結果であれば問題はないはずだ。よほど重大な証拠をつかめば別だが、原告が手続きの瑕疵を見つけるのはむずかしいのではないか。
(注)「保留床等処分委員会における審査は、学識経験者を中心に客観的な視点や専門的な知見に基づき、算定の前提条件となる投下資本収益率や、分譲事業の長期化に伴う減価率など、詳細な項目・数値について、質疑応答や議論が交わされた」(住民監査請求(その2)監査結果)とある。
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被告弁護士は、①原告側不動産鑑定士は第三者として具体的説明を行っていない②鑑定報告書などの情報開示は条例に反することなので出来ない③選手村要因の情報…すべてがありもしないでっち上げ④桝本不動産鑑定士は選手村要因を算出できたはずなのにしなかった-などと意見を述べた。
弁護士は「選手村ヨウイン」を何回となく発言した。これが全然理解できなかった。「ヨウ」も「イン」も語尾を下げられたので「用務員」かと思ったが、そんなはずはないと必死で考えているうちに陳述は終わってしまった。
これだけはきちんと確認しようと、弁護士に意味を聞いたら「要因」だった。弁護士先生、発音はしっかりしていただきたい。中国の四音ほどではないが、日本語だって語尾を上げたり下げたりして同音異義語の意味を正確に伝えようとする。「橋と箸と端」「灰と肺」などだ。「要因」は要の語尾を上げて(あるいは平板)発音するのではないか。
公平を図るため、弁護士に読み上げた文書のコピーを頂けないかとお願いした。「検討する」とのことだったので、届いたら紹介する。
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どう考えても理解できないこともあった。原告側は「(不動産鑑定士が調査した)調査報告書は鑑定評価書ではない」と言っていることだ。
これはあり得ない。仮に報告書が鑑定書でないとすれば、鑑定価格は法律に基づかない、ただの意見に過ぎない。その意見を聞こうが聞くまいが、その判断は保留床等処分委員会=都知事に委ねられることになる。そんなことがありうるのか。
そうであれば、不動産鑑定士は「守秘義務」というアメリカの国境の壁のような強固なガードに守られているわけだから、鑑定の信ぴょう性、公平性は闇の中に葬られてしまう。
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裁判の構図が面白い。裁判官は女性の方で声は穏やかで美しかった。記者は目も悪いので、顔立ちなどはよくわからず、何を考えているかも全く分からなかった。
原告側弁護士ハ女性が中心で、淵脇氏は饒舌、多弁家だ。記者が「弁護士は黒を白に、白を黒に言いくるめる商売ではないか」と挑発したら、すぐ「異議あり」と返された。「鑑定業界にはクライアントプレッシャーなる業界用語があるが」と聞いたらご存じないようだった。「相手はよく考えている。上手」とつぶやいた。
被告側は全てが男性。10人くらい集まったか。メタボもいたが、屈強なマッチョが目立った。みんな濃紺のスーツで怖い印象も受けた。女性1人くらい加えたらどうか。傍聴人の印象も変わるはず。
「特定建築者募集要領」には、「敷地譲渡契約締結後…特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」とあり、いったい「著しく」とはどの程度か興味があるのだが、双方の弁護士は相手を「著しく」非難した。
一つ言い忘れた。原告側が配布したパンフレットには「晴海オリンピック選手村建設めぐる怪!!」とあった。これは記者の記事とは全く関係がございません。早く「怪」と書いたのは記者のはず。
次回審理は5月16日(木)。争点は、手続きの成否から価格の妥当性に移りそうだ。
東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)
怒り心頭 三菱・吉田社長に世界の隈さんに失礼 住宅新報のCLTの記事
今週号の業界紙は待ち遠しかった。14日に発表があった三菱地所の「CLT晴海プロジェクト」だけはきちんと伝えるだろうという確信があったからだ。
ところがどうだ、住宅新報を見てあ然、呆然。見事に期待を裏切ってくれたどころか、扱いは小さく紙面の隅の〝囲み〟に追いやられていた。期待が大きかった分だけ怒りも倍増した。またも批判記事を書かざるをえない。
その記事は3段囲みの扱いで、ページの全スペースの10分の1くらい、紙面トップの「ドレッセWISEたまプラーザ」のエリアマネジメント記事と比較すると5分の1くらいしかない。料理に例えると、小生はもうお腹いっぱいで、カロリーも気になるのでほとんど口にしない最後の水菓子だ。
例えがちょっと過ぎたかもしれないが、こんな失礼なことがどうしてできるのか。これは書いた記者より編集、デスクの責任だ。ニュースの価値判断がまるでできていない。メディア・リテラシーが欠落、欠損している。
エリマネの記事にケチなど付けたくないが、これは旧聞。小生は分譲時の2017年8月に取材し記事にしている。この時は「CASBEE横浜」Sランクに注目し、単価が信じられないほど高いにも関わらず人気になっており、「CO-NIWA」も評価されていると伝えた。
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新報の記事しか読まない読者の方にも知っていただきたいので、「CLT晴海プロジェクト」について少し紹介する。
CLT発表会には、同社の吉田淳一社長、岡山県真庭市の太田昇市長、建築家の隈研吾氏が出席し、それぞれ挨拶・スピーチし、CLTの実物も公開した。いかに力が入ったイベントであったかは出席すればすぐわかる。国会議員の先生4人も応援に駆けつけたほどだ。
言うまでもなく森林林業の活性化、地方創生は喫緊の課題であり国策だ。CLTはその「起爆剤」(隈氏)として期待されている。
小生は木造ファンなので、これはビッグニュースだと判断し、あらかじめ記事を書き、解禁にあわせて12:00にweb記事としてアップした。配布された画像を追加したのは12:30くらいでなかったか。
ニュースは速さが勝負だ。他のメディアはよく分からないが、とにかく第一報では負けなかったはずだ。見出しを「〝美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発」としたのもその場の雰囲気を伝えられたはずだ。
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とても面白い記事もあった。共同住宅としては唯一環境省のZEH宿泊事業の連携事業者に選定されている積水ハウスの「亀有」に体験宿泊したK記者の体験ルポ記事だ。Kさんとは最近名刺交換したばかりで、新報の記者さんだとは全然知らなかった。
Kさんは築浅の集合住宅(74㎡)に午後5時にチェックインしてから翌日の午前9時のチェックアウトまで、LDK、寝室、居室、玄関などの温度を5回ほど測定。最後に「暖房の効きやすさ、室温の下がりにくさは素晴らしく、1泊2日の体験中に『快適』の言葉を何度も口にした」と締めくくっている。
笑ってしまったのは次のくだりだ。「スーパーから買ってきた食パンを電子レンジでトーストし、ソーセージをIHヒーターで焼き、夕食とした」
食パンが電子レンジでトーストできるのはいまネットで調べて初めて知ったが、トーストとソーセージだけとは…いつもそんな夕食なのかと思うとかわいそうになった。宿泊経費は会社持ちじゃないのか。酒も飲まないのか。元編集長Hさんの居酒屋紹介記事の飲み代は半分くらい会社が負担していると聞いた。えらい差ではないか。
それにしてもKさん、「体験中に『快適』の言葉を何度も口にした」というのはどういうことか。話す相手がいないのに言葉が出るものなのか。小生などは西武が逆転サヨナラ勝ちしても小さくガッツポーズするくらいしかできない。羨ましい。
記事は完ぺきではない。普通のマンションと比べてどうなのかも書いてほしかった。Kさんが住む築30年以上の19㎡のワンルームはおそらく単板ガラスで壁厚も薄い。「快適」などの言葉も隣に筒抜けでないか。そんなレヘルの低いわが家からして宿泊したマンションは「素晴らしく快適」なのは当然ではないか。参考までに。小生のマンションの洗面室は真冬の朝方は13度くらいまで下がる。昔の三重の農家は台所の水がめが凍った。(注)
Kさん、今度は三菱地所ホームの全館空調モデルハウスの体験を申し込むといい。温度を設定すればトイレもロフトもほとんど変わらない。「快適」とはこのような住空間をいう。あっ、ゴメン。ZEHはいいですよ。
(注)積水ハウスの提供資料によると、155㎡の「グリーンファース ゼロ」のモデルプランでは、真冬の深夜、トイレに行くときの温度は主寝室が20.0℃、トイレが15.3℃(旧省エネ基準は9.2℃)で、リビングの温度差は、外気温が-0.5℃のとき、20.0℃~13.9℃と6.1℃の差であるのに対し、旧省エネ基準は20.0℃~6.5℃と13.5℃の差があるとしている。
美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発 三菱地所「CLT晴海プロジェクト」(2019/2/14)
東急不ほか 全1,152戸の「豊洲」事業説明会に40名超の報道陣 〝愛〟に反応
「ブランズタワー豊洲」完成予想図
東急不動産(事業比率55%)、NIPPO(同25%)、大成有楽不動産(同15%)、JR西日本プロパティーズ(同5%)は2月18日、江東区豊洲五丁目で開発を進めている「豊洲地区1-1街区開発計画」のタワーマンション「ブランズタワー豊洲」に関する事業説明会を行った。メディアの関心が高いのか、40名を超える記者が駆け付けた。
物件は、東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ豊洲駅から徒歩4分、江東区豊洲五丁目に位置する48階建て全1,152戸。専有面積は43.41~219.44㎡、価格は未定で、3LDKで8,000万円台の予定。竣工予定は2022年10月。施工は熊谷組。販売開始は今年10月上旬。6月にモデルルームをオープンする。
現地は、約2.4haの東京ガスの元所有地で、2014年に東急不動産が取得。その後、冒頭の3社と共同で開発することとなった。敷地内には、マンションのほか生活利便施設、保育所が設置される。また、敷地の一部は江東区に小学校用地として譲渡されている。
計画では、敷地に隣接する「東電堀」の水辺資産を取り込んだ約7,950㎡のプロムナードを整備。また、地域の継続的賑わいや活性化・価値向上に貢献するためエリアマネジメント手法を採用し、事業主がサポートする管理組合が主体の一般社団法人を設立する。財源には区分所有者からの会費とテナントへの賃貸料を充当する。
説明会で東急不動産執行役員住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部本部長・大谷宗徳氏は、「戸数は当社としては過去最大級。都心で『タワー』とつけるのも初めて。今秋より販売を始めるが、海に面した立地、敷地計画、利便性からいっても競合に負けない。即日完売を目指す」と語った。
記者団の価格についての質問に、同部マンション開発第二部統括部長・武田敬氏は、「現段階では、3LDKで8,000万円台とまでしか公表できない。『月島』(三井レジ)がベンチマークになる。あと半年あるのでよく精査したい」と語るにとどめた。
空撮
プロムナード
左から大成有楽不動産マンション事業本部長・糺幸男氏、大谷氏、NIPPO執行役員 開発事業部長・真田昭彦氏、JR西日本プロパティーズ執行役員不動産開発部長・前久司氏
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「晴海シビックセンター」に設けられた事業説明会場に入ったとたん、報道陣の数の多さにびっくりした。大谷氏も「これだけたくさんの方が集まるとは予想していなかった」と切り出したほどだ。どれだけ多いか説明しないと分からないので、少し書く。
昨年10月に行われた「HARUMI FLAG」説明会に参加した記者は約100名だった。ここには数では負けるが、事業主の数は「「HARUMI FLAG」は11社だ。今回は4社だから、1社あたりの数では「豊洲」の勝ちだ。
今年に入って三菱地所レジデンスが立て続けに行った「本厚木」「高輪」「北千住」の記者見学会の参加者も多くて20数名だった。吉田社長、隈研吾氏も出席した画期的な「CLT」発表会だって40名はいなかったような気がする。
過去にさかのぼったらどうか。記憶は定かでないが、あるいは6年前の三井不動産レジデンシャル「千代田富士見」と東京建物ほか「池袋」、5年前の東京建物「目黒」などが上回っていたかどうか。住友不動産が10年くらい前に行った見学会には50名集まったのは知っている。広報責任者が「うちは動員力があるんだ」と豪語したからだ。
よって、記者の記憶に間違いがなければ、今回は10年ぶりの記者動員力ということになる。間違っていたら謝るほかない。
しかし、皆さん、昔はもっとすごかった。17年前の8社JV「東京ツインパークス」は100名集まった。1社当たり12.5名だからこれが近年の記録かもしれない。
馬鹿なことと思うかもしれないが、それだれ最近のデベロッパーのマンション記者見学会への動員力は落ちているし、メディアの〝見る目〟はどんどん退化・劣化している。
なので、今回、これだけたくさんの記者を集めた関係者に拍手喝采したい。同社の「四番町」も「一番町」もこれほど集まらなかったはずだ。
説明会場(晴海シビックセンター)
建設現地(向こうの高層マンションは晴海)
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ここからが本題。いちばん知りたかったこと、聞きたかったことだ。商品企画と価格だ。
記者は、三井不動産レジデンシャルの「MID TOWER GRAND」記者見学会のとき、次のように書いた。
「『豊洲』は中央区でなく江東区だが、ポテンシャルは負けていないと思う。『月島』が434万円なら400万円超はありうるような気がするがどうだろう。『月島』は制振で『豊洲』は免震。規模もはるかに大きい。チャレンジしてほしいが、戸数が1,230戸(本日発表は1,152戸)もあるのでそんな勇気があるかどうか」
残念ながら今回は詳細な商品企画は明らかにされなかったし、価格も武田氏は「3LDKで8,000万円台。ベンチマークは『月島』」としか話さなかった。モデルルーム公開の記者見学会を行うそうだからそこまで待とう。
同業の記者の方にも一言。こんなにたくさん集まったのは嬉しいのだが、最近の各社のマンション見学会に集まる記者の数から判断して、半数くらいの方は普段現場を見ていないのではないか。記者は現場を見ないジャーナリズムを信じない。自分の視点を持たないか、持とうとしないと言ったら言い過ぎか。これをきっかけに、是非とも周辺の湾岸マンションを取材して記事にしていただきたい。自らが情報発信者にならないとだめだ(していたらごめんなさい。小生は他の媒体はあまり読まない)。
言い忘れたことが一つ。現場の囲いに「愛が、長続きするタワー。」と大書きされていた-これにいたく興味をそそられた。エリアマネジメントのことだろうが、愛が長続きするタワーマンションなんて想像もつかない。これだ、愛だ。昨年、大和ハウスの正月のTVCM「物流に愛《AI》を。」が最高に面白かった。みんな「愛」に飢えている。ここに切り込めば大ヒットするのではないか。間違っても「HARUMI」などと価格競争すべきではない。
工事現場の囲い
左側がマンション建設地。手前が公園、その奥が東電堀
聞きたいことは不明 オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)
三井レジ 「月島」再開発タワー「MID TOWER GRAND」第1期189戸 坪単価434万円(2018/7/17)
分譲では初か オーバル型の中庭がいい20数年前の〝アート〟蘇る 野村不「東雲」(2018/11/15)
好スタート 第1期は330戸 住友不「シティタワーズ東京ベイ」 プラン秀(2017/8/17)
大和ハウスの新TVCM 「物流×AI」が最高に面白い(2018/1/5)
三菱地所 「中日ビル」建て替えに参画 ロイヤルパークホテルを出店
「中日ビル」完成予想図
三菱地所グループは2月15日、中部日本ビルディングと中日新聞社が計画する名古屋市中区栄の「中部日本ビルディング(中日ビル)」の建て替えをグループでサポートすると発表。三菱地所がプロジェクトマネジメント支援業務を、三菱地所設計がコンストラクションマネジメント業務を手掛け、建て替え後のビルに「ロイヤルパークホテルズ」が出店する。
中部エリアの「ロイヤルパークホテルズ」の出店は、「ザロイヤルパークキャンバス名古屋」(2013年11月開業)に続き2店舗目。中部エリアのフラッグシップホテルとして計画中。宿泊主体型で約250室の予定。
新しいビルは、敷地面積約6,857㎡、延床面積約113,000㎡の事務所、ホテル、商業施設、多目的ホール、駐車場などからなる地上31階地下4階建て。設計・設計監理は竹中工務店。竣工予定は2024年度。
住友不 広域・未確定顧客向け情報拡充 「総合マンションギャラリー」リニューアル
体験イメージ
住友不動産は2月15日、2011年10月から展開してきた同社が販売する全てのマンション物件情報を提供する「総合マンションギャラリー」を、まだ具体的な検討物件を決めていない顧客のニーズにも応えるため、「新宿館」の2月16日(土)を皮切りに「池袋館」「秋葉原館」を順次リニューアルすると発表した。
同社は2011年10月、都心ターミナルの「新宿」「渋谷」「池袋」「秋葉原」「田町」に「総合マンションギャラリー」をオープンし、その後、横浜、大阪、名古屋にも開設し、現在9店舗まで拡大している。
ギャラリーでは、ネットと異なり環境・間取り・設備・インテリアがリアルに体感できることから支持を集め、首都圏7館では年間約15,000件の来場がある。このうち具体的な希望物件を特定していない人が約3,000件にのぼることから、これらの顧客に幅広い物件情報や不動産購入に関する知識などを提供するギャラリーへと衣替えする。
リニューアルに際しては、効率的な物件探しを求める共働き世帯の増加や検討エリアの拡大傾向がみられることから、近郊・郊外のコンセプトルームを新規導入する。これによって、物件非特定の顧客を年間3,000件から5,000件に増やす。
「新宿館」エントランス・ラウンジ
◇ ◆ ◇
同社は一昨年、全国で7,177戸のマンションを発売するなど4年連続で供給ランキング首位の座を占め、2018年もトップは確実と見られている。業績も絶好調で、他社のように完成完売を目指さなくとも利益を確保できている。これも向こう5年間約3万戸分の用地の仕入れができており、市況に応じて供給を早めたり遅らせたり自在に調整できる強みがある。
しかも、ギャラリーは全9館のうち自社ビルが5館なので維持費も低く抑えられているはずで、他社ではまず真似ることができない芸当だ。報道陣に公開した「新宿館」は約1,700㎡もある。希望を言えばきりがないが、コンセプトルームの設備仕様は水準以上だと思う。
具体的な検討物件を特定していない顧客向け情報を拡充するのも大賛成。個人的には、会員制にしてカードキーで出入りを自由にし、不動産にかんする書籍、雑誌が自由に読め、コーヒーなども飲める空間も設けてほしい(長谷工コーポレーションの多摩センターの研究所はマンションの歴史が学べる)。「住まいクラブ」を充実させて、三菱地所レジデンスクラブ(会員数約60万世帯)のようなワンストップ対応体制も整えてはどうか。100万世帯になるのではないか。
報道陣に公開された新しいコンセプトルーム(カーテンで隠れているが天井までのハイサッシが特徴)
住友不 トップシェア狙う 名古屋に初の「総合マンションギャラリー」 「葵」分譲へ(2019/2/9)
商品企画の勝利 即完の可能性も コスモスイニシア戸建て「グランフォーラム青葉台」
「グランフォーラム青葉台一丁目」
コスモスイニシアが明後日(2月17日)抽選分譲する戸建て「グランフォーラム青葉台一丁目」を見学した。徒歩4分圏内では過去20年供給事例がない田園都市線青葉台駅圏の全11区画で、敷地南側はサクラがきれいな公園に立地。その得難い土地の価値を最大限に引き出した商品企画が、同業他社をはねのけ事業コンペで選ばれた。価格は1億円前後の高額だが、販売担当は「即日完売の可能性もある」と手応えを感じている。
物件は、田園都市線青葉台駅北口から徒歩4分、横浜市青葉区青葉台一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全11区画。第1期1次(8棟)の土地面積は125.00~138.88㎡、延床面積は97.66~117.67㎡、価格は8,990万~12,500万円。登録受付は2月16日(土)~2月17日(日)、抽選日は2月17日。入居予定は3月下旬。施工は東急建設。構造・工法は木造(枠組壁)2階建て。事業主は同社のほか中日本高速道路。
現地は、中日本高速道路の社宅跡地。同社が跡地利用に関する事業コンペを行い、大手デベロッパー数社が応札した結果、同社の「収益性よりも土地の価値を最大化した商品企画」が選ばれた。敷地南側はサクラやケヤキなどが植わっている青葉台公園。坂が多い同駅圏の北口にあって駅が近く、比較的坂も少ないエリアの一角。
全体敷地は三方道路の角地で、街区全体を公園側、中央、北道路側に分けてプランニング。片流れタイプ、リビング天井高を高くし、色彩豊かな植栽、自然石舗装、電線の地中化などが特徴。
サクラが目の前にある南側住戸(4戸)は天井高約5m(一部除く)の2階リビングとし、バルコニーもフラット化している。中央の住戸(3棟)は、南側の建物を南側によせ、幅員約5mの私道と駐車スペースを巧みに生かすことでコモンスペースのような開放感のある構成としている。北道路住戸(4棟)は建物を北側に寄せることでその南側の住棟との間隔を広げ、日照・通風・開放感を確保している。
主な設備仕様は、木目調フローリング、浮造り調建具・家具、フィオレストーン天板、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、防犯合わせガラス、メーターモジュール廊下・玄関など。
プロジェクトマネージャーの販売担当の同社分譲事業部分譲二部二課・木村健太氏は、「来場は5週で80組。今後の展開を見据え、今回から植栽に力を入れ、木の素材感のある木目調や浮造り、新素材の壁材(エコカラットの倍の価格とか)を多用しているが、お客さまには概ね理解を得ており、『15,000万円くらいでもいいから土地を60坪くらいにしてほしかった』というお客さまもいらっしゃるほど、全体的にはすこぶるいい反応を頂いている。売りづらい住戸がないので、即日完売もありうる」と話していた。
高さ約5mのリビング天井
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書こうと思えばいくらでも書けるのだが、時間がない。価格予想はどんぴしゃりだった。現地は、マンションの取材などでおおよその検討はついていたが、まさか公園に隣接しているとは全然思わなかった。だが、しかし、瞬時に1億円くらいだと読んだ。そして、公園に面した住戸は1億2,000万円くらいでないかと尋ねたらほぼ当たった。人気になるのは当然。同駅圏には信じられないようなお金持ちがたくさんいる。
そんなことより言いたいのは、極めて優れた商品企画が事業者でもある中日本高速道路に評価されたことだ。落札できなかったデベロッパーは地団太を踏んでいるかもしれないが、いま同社の戸建てに勝てるところはないのではないか。
マンションも戸建てもアパートも不祥事が後を絶たないが、企業も地主もオーナーも、儲かればいいというカネの亡者ではなく、中長期的な視点でものごとを考え、街の資産となるような建物を建てるべきだ。
今回の商品企画では、間違いなくこの土地の価値を最大限に引き出しいる。見事というほかない。昨年見学した同社の「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」もそうだったが、戸数を増やそうと思えば増やせたのに、同社は街並みを大切するためにあえて減らした。売却した地主だって、人気になって嬉しくないはずはない。
国土交通省はESGやSDGsに沿った投資環境整備へ向けた「ESG不動産投資のあり方検討会」を立ち上げ、初会合も開いた。地域の環境に配慮した持続可能な開発事業がきちんと評価される世の中になってほしい。
小生は、男か女か年齢も素性も明らかにしないのは卑怯だと思っているのだが、なぜか人気のチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないように記事を書いているつもりだ。この記事は(この記事も)多くのデベロッパーの方々に読んで頂きたい。
ちょっと同社を褒めすぎたか。注文を付けるとすれば、設備仕様はもっとあげられる。1億円以上であれば、仕様レベルを上げ価格をもっと上げても売れると記者は見ている。
玄関
主寝室
一頭地を抜く コスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布 桜坂」「成城」(2018/4/20)
ESGやSDGsに沿った投資環境整備へ 国交省「ESG不動産投資のあり方検討会」初会合
国土交通省は2月14日、「ESG不動産投資のあり方検討会」(座長:中川雅之日本大学経済学部教授)の初会合を開催した。
人口減少・少子高齢化、地球温暖化、防災減災などの我が国の諸課題に対応する不動産形成を進めるとともに、わが国不動産市場へESGやSDGsに沿った中長期的な投資を投資家から呼び込むにはどのような情報開示が必要かなどについて検討するのが目的。
会合は4回程度行い、今年6月ころに中間とりまとめを行う予定。
国産材の利用割合 材積換算で過去最高の45.4% 平成29年度 木住協調査
日本木造住宅産業協会(木住協)は2月12日、第5回「木造軸組工法住宅における国産材利用実態調査報告書」の報告会を行った。平成29年度の住宅供給会社の国産材の利用割合は材積換算で前回の32.3%から45.4%へ増加し、過去最高となった。
調査は、木住協会員を対象に平成18年度から3年毎に行っているもので、報告書はA4判で120ページに上る。
今回、回答があった住宅供給会社は160社(有効回答率35.9%)で供給戸数は62,417戸、プレカット会社は66社(同12.7%)で供給戸数は117,023戸。全国の木造軸組工法住宅戸数に占める割合はそれぞれ15.2%、28.6%。
住宅供給会社の国産材の利用割合は49.9%となり、平成26年度の28.0%から21.9ポイント増加。材積換算では前回の32.3%から45.4%へ増加し、過去最高となった。
樹種別でみると、製材のスギが4.1ポイント、集成材のスギが2.5ポイント、構造用合板のスギが3.1ポイントそれぞれ増加し、全体を引き上げた。
部位別では、通し柱、母屋・棟木の国産材利用割合が大きくなっている。
外国産材は、製材が20.0%から7.6%へ減少した一方で、集成材は38.5%から39.7%へ増加し、樹種ではベイマツが1.2%から7.9%へ増加した。
プレカット会社を対象とした調査では、国産材の利用割合は43.6%で、平成26年度の32.5%から11.1ポイント増加している。
調査結果について、同協会資材・流通委員会主査の東洋大学 理工学部 建築学科教授・浦江真人氏は、「国産材の利用が増加しているとはいえ、使用する理由は『イメージがよい』『補助金が出る』などであるのに対し、使用しない理由として『外国産材に比べて高い』が大きな割合を占めており、楽観はできない」と話した。
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記者は単純に木造・国産材利用率が高まればいいと思っているのだが、気になることもいくつかある。
まず、調査の捕捉率について。全国の木造軸組住宅に占める割合15.2%が高いのか低いのかはさておくとして、平成29年度の軸組工法以外も含む木造分譲住宅着工は全国で135,444戸なのに対し、調査は10,834戸だから8.0%しか捕捉できていない。軸組に限っても10%はないのではないか。捕捉できていない圧倒的多数の住宅がどうなっているのか気になる。調査対象を会員外にも広げたらどうなるのか興味深い。また、注文と建売住宅は似て非なるものだから、これも別けて調査したらどうなるか。
国産材の利用について。利用する理由として調査では「イメージがよい(地球にやさしい…など)」「地産地消の推進」「他の住宅会社との差別化」「品質が良い」「消費者のニーズが高い」などが上位で、「補助金が出る」は平成26年度調査より大きく後退している。これは補助金が出なくなったのか、あるいは他の理由の比重が高くなったためなのか不明。
一方で、国産材を利用しない理由としては、「外国産材に比べて価格が高い」が70%を占めている。この理由もよくわかる。経済原則が貫徹されるのは当たり前だ。
だが、しかし、わが国の森林・林業は危機に瀕している。農山村は営農意欲を失うほど獣害に苦しめられている。森林・林業が死滅したらわが国は立ち行かなくなる。
この窮状を救うには政治の力しかないと考えるが、情けないかな、林野庁の平成31年度の概算予算額3,433億円は防衛予算の6.9%しかない。誰が敵なのか味方なのか、なにも生産しないそんなことより、あるいはまた「安いから」などと目先の利益を優先するより50年、100年先のことを考え、目に見えてやせ衰え死滅しつつある国土を回復させるほうが大事ではないかと思うが…。
浦江氏が作成した「地域別にみた各社の供給住宅数と国産材使用割合の傾向(H23度分)」
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一つ嬉しいニュース。林野庁は先日、平成30年のわが国の木材輸出額は351億円で、前年比7%の増加となり、41年ぶりに350億円を超えたと発表した。
国別では、韓国が32億円(前年比13%減)となっているほかは中国159億円(同9%増)、フィリピン79億円(同8%増)、米国25億円(同32%増)、台湾20億円(同21%増)といずれも増加。
中国向けは主に梱包材や土木用材などに利用される丸太が増加。米国向は、これまで住宅フェンス用材として利用されていた米スギ(ウエスタンレッドシダー)の価格高騰を背景に、代替材として日本のスギ製材の輸出が増加したとしている。