9階建て玉川学園学生寮や10階建て大林組研修施設など 国交省 木造先導プロジェクト
国土交通省は7月26日、「木造先導プロジェクト2019」(第1回)について一般建築物6件、木造実験棟1件のプロジェクトを採択したと発表した。プロジェクトは次の通り。
【一般建築物】
大崎市鳴子総合支所庁舎等複合施設建設事業(地上2階建て延床面積1,745㎡、補助限度額82,422千円、講評:2層通しのCLTパネルを使用し、内部架構の簡易化や現しでの利用を可能とした木造建築)
中央大学多摩キャンパス学部共通棟新築工事(6階建て延べ床14,500㎡、補助限度額15,803千円、講評:CLT耐震壁の一部を現し仕上げにするなど構造材として積極的に木質材料を使いつつ、木を見せるための工夫が図られている
玉川学園学生寮建設工事(9階建て延べ床6,147㎡、補助限度額300,000千円、講評:9階建て学生寮を木造軸組構法と免震構造により建設する計画であり、これまでの木造建築の階数を大きく上回る規模のプロジェクト)
(仮称)OYプロジェクト計画(10階建て延べ床3,497㎡、補助限度額300,000千円、講評:10階建て大林組研修施設を木造軸組構法と免震構造により建設する計画。これまでの木造建築の階数を大きく上回る規模のプロジェクト)
京丹波町新庁舎整備事業(2階建て延べ床4,906㎡、補助限度額153,668千円、講評:地域産材を活用して、まちづくりとまちの防災の拠点となる新庁舎を建設するプロジェクト)
旧岡山市立福谷小学校改修計画(3階建て延べ床2,450㎡、補助限度額25,337千円、講評:校舎を事務所及び工場(育苗施設)に用途変更する、コンバージョン。一部の既存RC壁にCLT耐力壁で耐震補強を行う)
【木造実験棟】
CLT遮音実験棟新築工事(2階建て80㎡、補助限度額30,000千円、講評:国内に少ないCLT建築物の遮音性能を検証するための実験棟)
全役員がSDGsバッジ 住林は障がい者による手作り木製 熊谷組は市販のメタル製
「みどりとSDGsセミナー」(熊谷組本社で)
住友林業と熊谷組は7月24日、協業推進セミナー「みどりとSDGsセミナー」を開催。三井住友信託銀行 フェロー役員兼チーフ・サステナビリティ・オフィサー・金井司氏がESGやSDGsの最新の動向、同行の取り組みについて講演したほか、金井氏と熊谷組 設計本部 副本部長・羽迫英男氏、住友林業緑化 生物多様性推進室長・伊藤俊哉氏のトークセッションが行われた。
セミナーには熊谷組の関係者を中心に約200名が参加。熊谷組 代表取締役社長・櫻野泰則氏、住友林業代表取締役副社長・佐藤建氏ら両社の役員・幹部らも多数参加した。
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最大の収穫は、住林は役員・執行役員のほぼ全員25名が愛媛県新居浜市の子会社で働く障がい者が手づくりで作った木によるSDGsバッチを付けており、今後、部長クラスにも配布すると聞いたことだった。
佐藤副社長に「わたしにも一つください」とおねだりしたが、「ダメ。これは売りものでもただで配るものじゃない。そんなに簡単に作れない」と断られた。(顔には〝お前のようなSDGsを理解しない者にあげられるわけがない〟と書いてあった)
熊谷組も同じで、この日参加した役員はほとんどSDGsバッジを付けていたそうだ。こちらはアマゾンでも買えるメタル製で値段は千数百円。
佐藤氏
佐藤氏が付けているSDGsバッジ
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この日(24日)の午前中は、「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」主催によるSDGsの先進的取り組みを紹介するイベント(別掲の記事参照)があったので、1日に2度もSDGsの取材ができると、記者はおっとり刀で熊谷組本社の会場に駆け付けた。午前のイベントの参加者は50~60名だったのに対し、こちらは約4倍の200名。両社による画期的な木造建築物の新工法でも発表されるのではないかと胸を膨らませた。
メディアに公開されたのは金井氏の講演の後の後半の部分のみで、その冒頭に住友林業緑化と熊谷組が作成したSDGs・環境不動産の8ページのパンフレットの紹介が行なわれた。
パンフレットの表紙は、二人の子どもが手を繋いで逆光の森を歩くあのユージン・スミスの写真そっくりだったので〝大丈夫か〟と心配になり、事例紹介として熊谷組が施工した台北市の「陶朱隠園(タオヂュインユェン)」や「愛知学院大学名城公園キャンパス」はともかく、35年も前の施工は熊谷組でなかった「三井住友海上火災の駿河台ビル」が掲載されているのにあきれ果ててしまった(住林は素晴らしい木造の非住宅事例がたくさんあるはず)。
トークセッションでも真新しい取り組みは紹介されなかった。この時点で小生のフラストレーションは最高潮に達した。
極めつけは、熊谷組の櫻野社長の締めの挨拶だった。櫻野社長は「恥ずかしながら、熊谷組は(SDGs・環境不動産)の取り組みに後れを取っている。意識を鼓舞してSDGsに貢献したい」と語った。
これは身内に語った率直な声だったのかもしれないが、少なくないメディア(20人くらいいた模様)の前で話してほしくなかった。聞きたくもなかった。
セミナー後、櫻野社長に記者は「後れを取っているというのは、木造建築の耐震・耐火・遮音・コスト全てという意味か」とストレートに質問した。櫻野社長は「後れを取っているというのは意識の問題。木造建築では10階建ての木造建築を建てるライバルの大林組さんなどに負けない」と答えた。
パンフレット表紙
櫻野氏
〝世界に発信〟 企業×自治体 先進的SDGs取り組み事例紹介「City Lab Ventures」(2019/7/25)
すてきナイス 元会長・平田恒一郎ら3人逮捕 粉飾決算容疑 横浜地検
すてきナイスグループの元代表取締役会長兼最高経営責任者・平田恒一郎(71)、元代表取締役副会長・日暮清(67)、経理担当の元取締役・大野弘(63)の3容疑者が7月25日、金融商品取引法違反により横浜地方検察庁に逮捕されたことを各メディアが報じた。逮捕容疑は、2015年3月期決算でペーパーカンパニーを通じて架空取引を行い、有価証券報告書に4億9,600万円の経常利益があったなどと虚偽の報告を記載したため。
同社は当日、「当社元代表取締役等が逮捕されたことを極めて重く受け止めております」「第三者委員会の調査報告の内容につきましても十分に検討のうえ、可能な限り速やかに再発防止策の策定等の必要な対応を進めてまいります」とコメントした。
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大変ショックを受けた。この日(25日)、同社が昨夜(24日)発表した174ページにもわたる「第三者委員会調査報告書」を途中まで読み、取材のため出かける昼過ぎに平田元会長らが逮捕されたことを知った。3人とも取材や決算発表会で何度もお会いしており、平田元会長とは、同社に入社したころからのお付き合いで、年齢も近いことなどから親近感があり、免震マンションや木造建築物、CLT活用などについての応援記事を書いてきただけに残念でならない。
唯一の救いは、第三者報告書では一連の粉飾決算は平田元会長らごく限られた役員しか関与しておらず、多くの社員は同社はきちんと法令順守している会社だと思っていたことだ…だからこそ裏切られたという気持ちも大きいだろうが…。
第三者報告書はほぼ目を通したので、気が付いたことを改めて紹介したい。
〝世界に発信〟 企業×自治体 先進的SDGs取り組み事例紹介「City Lab Ventures」
「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」オープンイベント
サスティナビリティ特化型のベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」は7月24日、「地域との共創」をテーマとした第1回目のオープンイベントを開催。TBM×神奈川県、ユーグレナ×石垣島、自然電力×小布施町のベンチャーと自治体の共創・連携事例が報告された。
神奈川県のいのち・SDGs担当理事・山口健太郎氏は「『SDGs日本モデル』宣言を世界に向けて発信した。すでに148の企業・団体などの賛同を得ている。県がハブとなって走りながら考え、行動に移していく」と話した。神奈川県は、国からSDGs達成に向けた先導的な取り組みを行っている10の「自治体SDGsモデル事業」に選定されている。
山口氏
県の報告を受けたTBM経営企画本部 ニュービジネスデザイナー・岡澤友広氏は、「LIMEXを世界に向けて発信していく」と語った。LIMEXは同社が開発した主成分が石灰石からなる新素材で、プラスチック代替製品として期待されている。先に同社や県などの22団体・企業から構成される「かながわアップサイクルコンソーシアム」が結成され、2021年の自走を目指している。
岡澤氏
ユーグレナは、ミドリムシの食品化と大規模培養プラント建設に成功し、2005年に設立されたベンチャー企業。へルスケアやエネルギー・環境事業などの多角化を進めており、2014年に東証一部に上場。同社特命担当室テクニカルディレクター・村花宏史氏は、「石垣島はミドリムシの生産拠点で、当社にとって〝聖地〟。ネーミングライツによって商店街を『ユーグレナモール』としたのは大きなメリット」と話した。
村花氏
小布施町役場企画政策課(地域おこし協力隊)・塩澤耕平氏は、「小布施町は40年前から街づくりに取り組んでおり、今後も町内外の企業、団体、大学などとの協働を積極的に」進めていくと語り、塩澤氏の奥さんでもあるながの電力・塩澤美幸氏は「小布施町の使用電力の20%供給を目指すとともに、通信、インフラ、農業、非観光、小売り事業なども展開していく」と夢を語った。
塩澤ご夫妻
小水力発電によって長野県小布施町の約350世帯に電力供給している自然電力エナジーデザイン部マネージャー・佐藤李子氏は「『1% for community』基金事業では、熊本のクラフトビール、こども食堂、塾アブなどいくつか投資先が決まっている」と報告した。
佐藤氏
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わが国のどんどんシュリンクしていく経済社会、齢70のわが身の行く末を考えると世紀末の像しか描けないのだが、この日の若い方たちの熱のこもった報告を聞いて〝日本も捨てたもんじゃない〟と思えてきた。とてもハッピーな気分になった。明るい未来がほのかに見えてくるではないか。
報告の中でもっとも注目したのは自然電力の「1% for community」だ。頭が下がる。
同じような呼称としては「経団連1%(ワンパーセント)クラブ」があるが、これは経常利益や可処分所得の1%を社会貢献活動に拠出しようという活動だ。
経団連の報告によると、2017年度(357社)の社会貢献活動支出合計額は1,997億円で、1社平均は5億9,300万円だ。
これが多いか少ないか、記者は判断材料がないのでよく分からないが、企業の2017年度末の内部留保額は446兆円にものぼっていることを考えると、やはり少ないのではないか。GDP550兆円の1%をSDGsに充当すれば、消費増税と同額になる。SDGsにどんどん投資する企業・団体・個人が増えることに期待したい。
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小生は、BSやCSで毎日のように西武ライオンズの中継を観るのだが、ユーグレナはCMのスポンサーにいつも登場するので名前はよく知っている。
この日(24日)、イベント終了後、同社から乳酸飲料「飲むユーグレナ」が振舞われた。とても美味しかったので、もう1個もらってかみさんに飲ませた。「とても美味しい」とのことで、「30本入り7,020円は妥当な値段」と評価した。
皆さんにもお勧めだ。
立地・環境に対する高い評価 大京・リゾン「ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス」
「ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス」完成予想図
売れ行き好調の大京・リゾン「ライオンズ朝霞ベルポートレジデンス」を見学した。駅から徒歩5分の商業地域立地だが、敷地南西方向には「朝霞の森」が広がる立地環境が評価され、全88戸のうち第1期として約30戸がモデルルームオープン前に売れている。
物件は、東武東上線朝霞駅から徒歩5分、朝霞市本町2丁目に位置する15階建て全88戸(非分譲16戸含む)。7月25日まで登録が受け付けられる第2期(23戸)の専有面積は56.46~72.25㎡、価格は4,272.2万5,598.3万円(最多価格帯5,000万円台・5,200万円台)。坪単価は240万円台の前半。竣工予定は2020年3月13日。設計は共同エンジニアリング。施工は東鉄工業。
現地は、商業施設のほかマンションなどが建ち並ぶ商業地域の二方道路の角地。徒歩5分には約30.3haの「朝霞の森」と「朝霞中央公園」。
建物は南西向きで、全てがファミリータイプ。主な基本性能・設備仕様は、1フロア6戸・3戸1エレベータ、1週間稼働の新防災システム、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、エコガラス、通風機能付き玄関ドア、食洗機、通気ルーバー付きドア、グリーンカーテン用フックなど。
モデルルームをオープンして5~6週間で来場者は100件を超えており、立地・環境に対する評価が高いという。
モデルルーム
住友不 複合開発「金町」の第二弾全610戸 第一期81戸 分譲開始
「シティテラス金町」(背後の高層が「シティタワー金町」)
住友不動産は7月23日、全610戸の住宅・商業複合大規模マンション「シティテラス金町」の第一期81戸の分譲を7月20日から開始したと発表した。
現地は、「葛飾区新宿(にいじゅく)六丁目地区」の三菱製紙工場跡地を含む周辺一体(約33.3万㎡)の土地利用転換により公園・大学・住宅・商業などが計画的に整備されているエリア。隣接地には、同社の「シティタワー金町」(16年竣工・840戸完売)が建っている。
今回の物件は、千代田・JR常磐線金町駅から徒歩10分、葛飾区新宿六丁目に位置する19階建て全610戸。第一期(81戸)の専有面積は70.35~86.95㎡、価格は4,280~6,480万円(最多価格帯4,800万円台)。(12戸)完成予定は2021年4月。設計・施工は長谷工コーポレーション。7月21日現在、問い合わせは約1,000件、来場は約500件。
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高いか安いかは人それぞれだろうが、記者はニュース・リリースを読んで〝これは安い〟と思った。2014年に分譲開始された「シティタワー金町」の第一期の坪単価は220万円だった。
あれから5年。マンション単価は相当上昇した。最大のモノサシは〝都心への距離〟になったため、城東エリアでも〝駅近〟は坪300万円をはるかに突破し、坪400万円に迫る勢いだ。
今回はひょっとしたら坪250万円くらいになるのではないかと予想していたが、第一期は坪230万円になる模様だ。単純比較はできないにしろ、前回とほとんど変わらない。城南エリアと比較すると坪50万円は安い。
しかし、記者はこのマンションの価値は他にあると思う。広大な公園が広がる住環境もそうだが、なによりもいいのは東京理科大をわが家の庭のように利用できることだ。小説などは少ないのは難点だが、一定の要件を満たせば立派な図書館も利用できる。
機会があったら取材してレポートしたい。
野村不 従業員10名未満のオフィスビルブランド「H¹O(エイチワンオー)」始動
「H¹O 日本橋室町」ントランス
野村不動産は7月17日、従業員10名未満の小規模オフィスビルブランド「H¹O(エイチワンオー)」(H¹O:Human First Office)を立ち上げ、第一弾の「H¹O 日本橋室町」を2019年11月にオープンすると発表した。
スモールビジネス(従業員10名未満の事業者)のニーズを徹底分析し、①プライバシーが確保された個室執務空間②有人受付コンシェルジュが日中常駐③共有会議室・ラウンジを設置④全室個別空調、一部物件シャワールーム・駐輪場・宅配ボックス設置-などが特徴。
今後、東京都心五区を中心に新築、リノベーション、PMO内、大規模ビル内に設置し、2023年度末までに新規15拠点の開設を予定している。
「H¹O 日本橋室町」は、9階建てPMO日本橋室町内にあり、最小1.43坪(1~2名用・3区画)~最大21.37坪(21~24名用・1区画)。
「H¹O 神田」完成予想図
足立区 150㎡以上の宅地開発の1宅地最低敷地66㎡に 10月に条例施行
東京都足立区は10月1日から、150㎡以上の宅地開発事業を対象に戸建て住宅の最低敷地面積を66㎡以上と定めた「足立区宅地開発事業調整条例」を施行する。
「良好な住環境の保全及び安全で快適な生活環境を形成することを目的」(同条例第1条)とするもので、建ぺい率が80%の地域(商業、近隣商業地域を除く)と建ぺい率が60%の地域(駅から概ね500m以内)は66㎡、建ぺい率が60%の地域(駅から500m以上)は70㎡、建ぺい率が50%の地域は83mとしている。
同一の事業者が宅地開発事業により戸建て住宅を建築し、検査済証の交付を受けた日から起算して3年以内に行う一体的な事業は、1の宅地開発事業とみなす。
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7月8日付で「狭小住宅」の取材を開始すると書いたが、この足立区の条例は全く知らなかった。今日(7月16日)、足立区に取材に行って初めて知った。それまでの「足立区環境整備基準」はあくまでも「指導要綱」だ。拘束力が異なる。
記者も賛成だが、これでは150㎡未満の敷地分割は防げない。仮に140㎡を3分割したら46.7㎡(14.1坪)だ。150㎡と140㎡の土地が連坦していたら、前者は2戸しか建てられないが、後者は3戸建つ。また、150㎡の土地を50㎡と100㎡に分筆して2業者に売れば、やはり50㎡の戸建てが3戸建つ。これで良好な住環境の保全が図れるのか。
記者が取材したいのは敷地面積が60㎡以下の狭小住宅がどれくらい建設されているかだ。相当あるようだが、全く見当もつかない。
各自治体はデータを持っているはずだが、「建築計画概要書」が閲覧できるのは場所を特定しなければならず、しかも1回10件以下の制限を設けている。本気で住環境の保全を考えるなら、いったい敷地が60㎡以下の狭小住宅がどれくらい建設されているのか広く住民に伝えるべきだと思う。
都心部で増殖する「狭小住宅」とは何か 「居住の自由」か居住環境の保護か(2019/7/8)
〝売り〟は多摩川水景の眺望 三菱・三井・野村〝オールジャパン〟の「矢口渡」
「ザ・ガーデンズ 大田多摩川」完成予想図
三菱地所レジデンス・三井不動産レジデンシャル・野村不動産の3社JV「ザ・ガーデンズ 大田多摩川」を見学した。東急多摩川線矢口渡駅から徒歩12分の全378戸の大規模マンションで、敷地南側に広がる多摩川水景の眺望が最大の売りだ。
物件は、東急多摩川線矢口渡駅から徒歩12分、大田区矢口3丁目に位置する14階建て全378戸。専有面積は55.36~84.87㎡、予定価格は4,500万円台~8,500万円台(最多価格帯5,500万円台)、坪単価は270~280万円になる模様。完成予定は2020年11月下旬。施工は長谷工コーポレーション。モデルルームオープンは7月13日。販売開始は8月上旬。
現地は、桂川精螺製作所の工場跡地。用途地域は準工地域だが、周辺に嫌悪施設はほとんどなく、敷地南側は区道を挟んで多摩川の河川敷。西側は小学校と保育園。
建物は4棟構成で、東向きの1棟を除き、南東向き・南向き・南西向きの住棟からは多摩川の眺望が期待できる。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、2.2mハイサッシ、奥行き2mバルコニーなど。
近接するモリモト「アールブラン武蔵新田」(モデルルームは隣あわせ)との競合はないという。
アプローチ・エントランス
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若い方はご存じないかもしれないが、20~30年前、東急多摩川線沿線では大量のマンションが分譲された。
主だったものを列挙すると、東急不動産「東急ドエルアルス多摩川」(1987年竣工、461戸)、三菱地所「パークハウス多摩川」(1989年竣工、575戸)、総合地所・ニチモ他「東京サーハウス」(2003年竣工、758戸)、東京建物・三菱地所・新日鉄都市開発「シエルズガーデン」(2003年竣工、486戸)、三菱商事・三菱地所他「ザ・リバープレイス」(2004年竣工、962戸)などだ。その少し前には住友商事「多摩川ハイム」(1981年竣工、272戸)が分譲され、人気を呼んだ。トータルで3,514戸だ。他物件を含めると4,000戸をはるかに突破するはずだ。
記者はこれらをほとんど取材している。「東急ドエルアルス多摩川」はバブル発生頃に分譲された。ダミーの申し込みを排除するため、東急不動産はモデルルーム見学に際し本人確認を証明する書類の提出を求めたほどだ。バブル崩壊後に分譲されたマンションも売れ行きはおおむね好調だった。
さて、今回の物件。売主に幹事の三菱地所レジデンス(事業比率は非公表だが、同社は50%を超えないようだ)と三井不動産レジデンシャル、野村不動産が並んだ。いわば〝オールジャパン〟のマンションだ。
常識的には申し込みが殺到してもおかしくないがどうか。判断するのはユーザーだ。駅から12分がどう評価されるか。物件名には〝ザ・パークハウス〟の三菱、〝パークホームズ〟の三井、〝プラウド〟の野村が付いていないように、商品企画は三菱でも三井でも野村でもないと感じた。
モデルルームはよくできていた。観葉植物は全てではなかったが本物が置かれていた。びっくりしたのは、子どものいない夫婦を模したマネキンが置かれていたことだ。夫と思われる男はバルコニーの椅子に腰かけ、多摩川を眺めていた。妻と思しき女は身長が170cmくらいありそうなほっそりした像で、男に背を向ける形でリビングに爪先立って佇んでいた。その像は東郷青児やモジリアニ―が描くような美人ではなく、何を考えているのか読みづらい表情だった。
それぞれがべったりでない距離を感じさせるその対比が面白い。これはいける。大ヒットするかもしれない。せっかくの商品企画・設備仕様を台無しにするフェイクの観葉植物よりずっといい。ターゲットにあわせ子どもや子犬、子ネコのぬいぐるみも効果的だろう。
埼玉県「彩の国みどりの基金」への寄付累計1473万円 上田知事から感謝状 積水ハウス
上田知事(右)から感謝状を受け取る木村氏(中央)
積水ハウスは7月11日、同社の環境配慮型住宅「グリーンファースト」の売り上げの一部を埼玉県「彩の国みどりの基金」に寄付している額が昨年度122万8千円、累計1,473万2千円(7,366棟)に達したことを受け、上田清司埼玉県知事から感謝状の贈呈を受けた。
県庁で行われた感謝状贈呈式で上田知事は、「埼玉の豊かな自然を守り育てるため多大な寄付をされた」と謝意を述べ、同社埼玉営業本部の木村良典営業本部長に感謝状を手渡した。
木村氏は、「当社は幸せな住まいを一貫して追求している。家は百年、一生もの。いいものをつくり、次の代はリフォームして、ずっと住んでいただきたい」と応えた。
「彩の国みどりの基金」は緑の創出や森林保全を推進するもので、同県が08年に自動車税の一部と寄付金を財源として創設。校庭の芝生化や森林整備、県民参加の植樹会などの事業を行い、昨年度は1,203haの緑を再生した。
同社は2010年、基金制度に賛同し、県内で建設した「グリーンファースト」1棟につき2千円寄付することを始めた。戸建て住宅1棟に〝3本は鳥のために、2本は蝶のために〟の「5本の樹」計画を盛り込むことを基本としている。
昨年度は木育事業として県農林部から50万円の助成を受け、県内5カ所のショールームで、キッズルームを県産材に触れられる空間にリニューアル。床と壁の一部及び玩具に県産の杉と檜を取り入れた。
同社のグリーンファーストの割合は堅調に推移し、昨年は79%、埼玉県内では8割超となった。
上田知事と懇談する関係者(知事室で)