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松村文衞氏

 アットホームホールディングス・アットホーム代表取締役会長、不動産流通研究所代表取締役の松村文衞(まつむらぶんえい)氏が2019年4月28日、虚血性心不全のため死去した。享年82歳。

 葬儀・告別式は5月3日、ご遺族の意向により近親者のみで執り行われた。詳細は未定だが、後日、「お別れの会」を行う予定。

 松村氏は1938年8月9日生まれ。1967年12月、ヨコハマ物件配布センター 創業。1970年8月、ヨコハマ物件配布センターに改組、代表取締役に就任。1971年2月、不動産ニュース株式会社に社名変更。1981年6月、不動産流通研究所設立、代表取締役に就任。1987年11月、不動産ニュースをアットホームに社名変更。2008年6月、アットホームホールディングス設立、代表取締役に就任。

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「クレヴィア小石川後楽園」完成予想図

 伊藤忠都市開発の文京区の2物件「クレヴィア小石川後楽園」と「クレヴィア本郷春日ステーションフロント」が好調な売れ行きを見せている。双方とも3月から分譲を開始し、5月6日現在、前者は全販売住戸58戸のうち6割強、後者は40戸のうち4割強がそれぞれ成約済みだ。

 「小石川後楽園」は、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩2分・都営大江戸線・三田線春日駅から徒歩2分、文京区小石川2丁目に位置する15階建て全100戸(販売対象住戸58戸、事業協力者住戸42戸)。専有面積は25.11~85.01㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は3,998万〜13,298万円(30.21m²〜77.13m²)、坪単価は約470万円。竣工予定は2020年2月下旬。売主は同社のほかURリンケージ。販売代理は伊藤忠ハウジング。設計・監理は安宅設計。施工は大末建設。

 現地は春日通に面しており、その南側は礫川公園。建物はマンションの建て替えで、住戸プランは南向き中心のワンフロア4~8戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、吊戸棚、フィオレストーン天板など。

 「本郷春日」は、都営三田線・大江戸線春日駅から徒歩1分・東京メトロ南北線・丸ノ内線後楽園駅から徒歩4分、文京区本郷四丁目に位置する12階建て全42戸(販売対象住戸40戸、事業協力者住戸2戸)。専有面積は25.20~81.58㎡、販売中の住戸(4戸)の6,598万円〜10,198万円(54.94m2〜75.28m2)、坪単価は約400万円。竣工予定は2020年6月下旬。設計・監理はKAI都市・建築研究所。施工は佐藤秀。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 基本性能・設備仕様は「小石川後楽園」とほぼ同じ。

 双方ともライフスタイルに応じてプラン変更が可能な「LIFE STYLE FIRST」システムを採用しているのが特徴。

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「クレヴィア本郷春日ステーションフロント」完成予想図

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 「本郷春日」は現地を見ていないが、「小石川後楽園」は敷地南側が道路を挟んで礫川公園、立地が抜群。坪単価も納得だ。

 モデルルームもよくできている。とくに写真を添付したようにキッチン収納の木調枠と白の面材のデザインがいい。

 「本郷春日」のプランは、北向き住戸の窓は「EN-GAWAベンチ」と呼ぶ腰窓としているのが面白い。

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「クレヴィア小石川後楽園」完成予想図

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モデルルーム キッチン

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平山氏(手前の矢車草は自身が育てたもの)

「平成」の掉尾を飾り、「令和」に繋ぐ記念すべきインタビューは日新ハウジング社長・平山喜朗氏(71)にお願いし、快く承諾していただき実現した。

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「昭和」の時代を「激動」とすれば、平成の時代は「波瀾万丈」ではなかったか。平成元年(1989年)12月に東証株価が38,915円の高値を付けた直後、平成2年(1990年)9月、バブルがはじけた。不動産業界は奈落の底に突き落とされた。

その後、平成7年(1995年)あたりから緩やかな回復が見られたが、平成20年(2008年)のリーマン・ショックにより不動産業界は再び絶望の淵に立たされた。数えきれないほどの不動産会社が市場からの撤退を余儀なくされた。

一方でグローバリズムの進展とネオリベラリズムの台頭は、それまでのモノサシは通用しなくなり、加速度的に進む少子高齢社会はいよいよ優勝劣敗の社会の到来を告げている。

平山氏の人生そのものも波瀾万丈の平成ではなかったか。バブルの危機を乗り越えたかと思ったら、平成10年、4人の子どもを独りで育ててきた母親を亡くした。起業して毎月仕送りを欠かしたことがない母思いの平山氏には相当こたえた。

その痛手から立ち直ったかに見えた平成20年、自身の胃がんの発症とリーマン・ショックの直撃だ。

「よく覚えていますよ。平成19年の忘年会でゴルフの話をしたことを。そのあと胃がんで入院し、復帰したらリーマン・ショック。社有物件を50件抱え、銀行の借り入れも約10億円。すぐ決断したのは銀行依存体質からの脱却を目指したことです。仕入れのストップと社有物件の処理と借金返済、資金回収を行った結果、業績はV字回復。45年の間に借金を完済し、無借金経営ができる体質に改善しました」

「これまで41年間、ずっと物件を見てきました。見る目は肥える一方です。いまも110件は現場を見ます。これだけは誇りですね。わたしほど物件を見る人はいないんじゃないですかね」

「苦境を乗り切ってこられた原点ともいうべきポイントは3つです。一つは集客力、もう一つは営業力・接客力、3つ目は商品・サービス力です。これを徹底する教育力も大事です。退位? 息子(猛志氏)も入社して11年。いつかは決めていませんが、(社長を)譲れる準備を着々と進めています」と締めくくった。

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本社

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自身が似顔絵の看板(お迎えするお客さまの名前を書き込むのだろう。これこそが接客力)

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 平成20年(2008年)17日付の逆風にめげず今年も新卒13名採用 日新ハウジング」の記事を読んで頂きたい。前年の暮れに同社が関係者を呼んで行った忘年会の席上で、平山社長から聞いた〝50の手習い〟のゴルフの話などをまとめたものだ。記事は「波乱万丈の人生を送ってきた平山社長を〝中央線の奇跡〟と呼ぶ」と締めている。

 その直後の5月、平山氏は胃がんで入院。退院したらリーマン・ショックだ。記者は〝もうダメだろう〟と思った。奇跡は何度も起きないだろうと。

 ところがどうだ。10年ぶりにお会いした平山氏は年のせいか暴飲暴食ができなくなったお陰か、メタボは改善され血色もよく、名物の〝早朝の清掃〟も欠かさないというではないか。

 奇跡はまた起きた。〝中央線の奇跡〟に〝中央線の不死鳥〟の称号を追加しよう。

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創業時から欠かさない6時から6時半の早朝掃除(〝日新不乱〟に行うので汗がほとばしる)

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平山氏は昭和23年1月生まれ。鹿児島県出身。早稲田大学卒。昭和533月、中野区で同社を創業。

以来、同社は中野区・杉並区・新宿区・練馬区の4区のエリアを中心に中古マンションの仕入販売・仲介・賃貸・リフォーム業を展開。この間蓄積したデータは約24万件に達している。

事務所のエントランス周りに設けた花壇には「田舎の庭先に自生していた、いまは花屋にも売っていない」矢車草が植わっており、たくさん花を咲かせていた。ファンが1015人くらいいるそうで配るのだそうだ。

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集会所

 小田急不動産は4月27日(土)、開発中の大規模住宅地「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」で「GW街びらきFESTA」を開幕。4月30日(火)まで連日、街のキャラクター「リサとガスパール」との握手会、こどものおかたづけセミナー、ハワイアン&フラダンスショー、ロックバンド&ギター弾き語り、キッチンハーブ寄せ植えレッスン、花の鉢植え、産直野菜・果物の販売会などを行う。

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集会所(左)キャラクター

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街並み

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住宅地内の公園

ヴェール脱ぐ 全185区画、敷地170㎡以上の小田急不「リーフィア南大沢ガーデンズ」(2019/4/17)

 

 

 

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「Brillia 東中野Parkside Hills」完成予想図

 東京建物(事業比率60%)と三菱地所レジデンス(同40%)の共同事業マンション「Brillia 東中野Parkside Hills」を見学した。中野区立東中野小学校跡地の整備計画に基づく良質住宅の供給を目的とした全97戸。坪単価は極めて割安と思われる368万円。〝住むなら東中野!〟だ。

 物件は、JR中央・総武線東中野駅から徒歩8分、東京メトロ東西線落合駅から徒歩5分、都営大江戸線中井駅から徒歩9分、中野区東中野5丁目に位置する敷地面積約3,998㎡の8階建て全97戸。現在分譲中の住戸(9戸)の専有面積は65.17~82.33㎡、価格は6,873万~9,400万円(最多価格帯7,200万円台)、坪単価は368万円。竣工予定は2020年9月下旬。施工はNB建設。設計はINA新建築研究所。

 1月にモデルルームをオープンし、これまで供給した49戸のうち約40戸が成約済み。

 現地は、比高差が4層くらいある傾斜地で中野区立東中野小学校跡地の一部。「東中野区民活動センター等整備基本方針」に基づき、区が東中野区民活動センターと中野区立おかのうえ公園を整備し、区が使用しない土地については「企画提案公募型事業」により両社が事業者として選定されたもの。公募要件として「各住戸の専有面積(壁心面積)は65㎡以上とし、そのうち半数以上の住戸については、75㎡以上とすること」が求められている。

 この要件を満たすとともに、任意提案としてマンション内に保育園とコミュニティルーム、屋上テラスを設置し地域住民に開放することを盛り込んだプランが評価された。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーン天板、カップボードなど。トイレは掃除がしやすいLIXIL製。

 ゲストサロン所長・H氏は「地元近隣居住者以外にも都心アクセスに魅かれた中広域からも集客は出来ています。JR山手線高田馬場駅や新宿駅からも徒歩20分前後でアクセス可能ですし、お買い得だと思います」と話している。

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模型(左側の住棟の上が屋上テラス、その裏が公園と東中野区民活動センター

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 立地条件から坪単価は400万円を超えると予想した。シアターを見た段階ではもっと高くても売れると考えた。しかし、モデルの設備仕様はそれほどでなかったのでいま一つよく分からなかった。

 H氏に説明を受け、なぜ単価がこれほど安いのか理解できた。一つは、区からの土地の取得価格が17.6億円、容積率100%当たり73万円/坪(オリンピック選手村は8万円/坪)と安かったことがあげられる。

 もう一つは、「東中野」は総武線なので中央線沿線の居住者からは〝格下〟と見られていることだ。記者は、新宿へ4分、東京へも24分、東西線を利用すれば大手町へ17分という利便性と街のポテンシャルを考えたら坪400万円以下はあり得ないと考えたのだが…。

 さらに言えば、区の面積要件や区民に開放する施設を併設したのもマイナスに働いたと思われる。マンションの屋上に15時までとはいえ第三者に開放することなど常識的には考えられないことだ。

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東中野区民活動センターと中野区立おかのうえ公園

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 中野区にひと言。「良質なファミリー向け住宅の供給を目的」とする公募条件は理解できる。「中野区住宅白書」や「中野区の住宅・住環境の現状と課題」を読むと、区が抱える問題がよくわかるからだ。

 問題点をいくつか列挙すると、①30歳代の夫婦2人世帯や18歳以下の子どもを含む2人以上の世帯の転出超過が続いている②持ち家で3.9%、民営借家で20.1%が最低居住水準以下③木造の共同住宅が23区平均の13.9%を大幅に上回る25.2%④木造賃貸住宅が10代、20代の単身者や高い家賃負担ができない高齢者などの受け皿となっている-などとなっており、マンションは単身世帯が5割強、旧耐震基準は全体の3割を占めていることなどから、多様な世代や世帯構成に対応した居住の誘導やコミュニティの形成が課題としている。(同区がミニ開発やワンルームの草刈り場になった気の毒な歴史も背景にある)

 だからと言って、今回の物件に「各住戸の専有面積(壁心面積)は65㎡以上とし、そのうち半数以上の住戸については、75㎡以上とすること」はあまりにも短絡的と言わざるを得ない。「面積が広い」=「良質」というのはある意味では正しいが、〝先立つものは金〟だ。プロのデベロッパーに任せたほうが間違いなく優れたものができる。今回のマンションの間取りが平凡で、多くの住戸の間口が6mになっているのも区の縛りによると思われる。

 30歳代ファミリーの転出を防ぐにはどうしたらいいか、近隣区のアッパーミドル・富裕層を引き付けるには何が足りないか、木密エリアの解消・劣悪な居住環境をどう改善するかなどを民間と連携して総合的に進める必要がある。

 このままでは、アッパーミドル・富裕層の港、渋谷、千代田などへの転出やファミリー層の武蔵野市、杉並区、世田谷区などへの流出を阻めないのではないか。

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現地周辺(奥のクレーンが立っているところが現地)

 4月26日(金)発行の紙媒体「RBAタイムズ」1・2面を転載します。399号-1面.jpg

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 三井不動産は4月26日、タイ三井不動産を通じ、タイ バンコクの2物件の物流施設事業に参画することを決定したと発表した。

 共同事業者の「Frasers Property(Thailand)Public Company Limited(以下、Frasers)」の子会社「Frasers Property Industrial (Thailand)Company Limited」と事業契約を締結。2020年に第一期開業予定。

 同社グループ初の海外における物流施設事業で、総事業費は2物件合計で53 億タイバーツ(約185億円、1バーツ=3.5円)。同社グループの事業シェアは49%。Frasers社ははタイ最大級の財閥の一つであるThai Charoen Corporation Groupのグループ会社。

 同社は、物流事業を東南アジアでのオフィスビル、商業、住宅、ホテルに次ぐ新たなアセットとして位置づけており、事業展開を拡大する。

 読者の皆さんには誠に申し訳ないが、先日書いた「HARUMI FLAG」の単価予想「坪300万円か」を「坪280万円か」に下方修正する。事業者は「著しく」利益が上がった場合は譲渡価格について協議することを回避する模様だ。

 なぜ右往左往したのかというと、モデルルームを見学して当初予想の坪250万円を1割くらい上方修正したのだが、「坪300万円を超える」などの情報も飛び交っており、「坪300万円か」と記事にした。

 しかし、前回も書いたように、坪300万円となれば間違いなく「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」ことになるはずで、そうなれば、東京都と鑑定評価を行った日本不動産研究所の顔に泥を塗ることにもなりかねず、協議を回避する意味でも限界とみられる坪280万円に抑えると判断した。

 今後の集客状況次第では坪280万円を上回る可能性も否定できないが、スタート時点ではこの価格で分譲されると見た。3年前に予想した250万円から約11%の上昇だが、これくらいの外れ方なら皆さんにも容赦いただけるのではないか。当時でもかなり勇気がいった価格予想だったことを理解していただきたい。

 従って、前回の「坪300万円か」の記事も修正する。ただ、事業主は「価格は未定」としているので、記事はあくまで記者の予想であることを断っておく。

文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)

 

 こんな嬉しいことはない。記者は4月2日付記事で「国交省にはデリカシー、リテラシーに欠ける『平成の終焉』をやめていただきたい」と書いたが、昨日発表された問題の「不動産業ビジョン2030~令和時代の『不動産最適活用』に向けて~」の「おわりに」は「平成の終焉」の文言が消え、「平成の時代から令和の時代を迎えつつあるこの機をとらえて」とあるではないか。

 まさか小生のような記者の声を聞き入れてくれたわけではないだろうが、当初の「平成の時代が終焉を迎えつつある」よりは数段勝っていると誰もが思うはずだ。

リテラシーに欠ける「平成の終焉」やめて国交省新・不動産ビジョン2030(案)(2019/4/2)

「たたむ」「心理的瑕疵」「平成の終焉」に違和感国交省新・不動産業ビジョン2030 (2019/3/29)

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「週刊文春」5月2日・9日ゴールデンウィーク特大号の記事

 「週刊文春」5月2日・9日ゴールデンウィーク特大号が報じた「五輪選手村マンション1500億円値引き 小池百合子隠蔽文書を入手」という賑々しい見出しの記事を読んだ。

 ノンフィクション作家・清武英利氏とライターの小野悠史氏と同誌取材班が6ページにわたってまとめたもので、これまで東京都が公表してこなかった選手村用地売却に関する不動産鑑定会社による「調査報告書」の全文119ページを独自入手したとある。入手先は「(大幅値引きに)強い疑問を感じた」選手村事業関係者だとしている。

 つい一昨日(23日)、メディア向けの分譲概要発表会があったばかりのタイミングの良さだ。何が飛び出すか興味津々ではあったが、読む前は、不動産鑑定のプロが作成した「調査報告書」に瑕疵など一点もなく、同紙が指摘する〝のり弁〟の部分が公表されても、不動産鑑定手法に疑義を挟む余地などないという確信めいたものがあった。

 記事は、〝のり弁〟部分について「デベロッパーが儲け過ぎだと疑われたり、マンション分譲の際に不利になりそうな点を隠している」と指摘はしているものの、それが何を指すのか具体的には書かれていない。

 この核心があいまいにされているので、週刊紙の常とう手段の〝見出しで釣る〟〝大山鳴動して鼠一匹〟の類の記事そのものと言わざるを得ない。(第2弾、3弾があるのか)

 記事を読んでも〝疑惑〟は深まるが、消化不良に終わる可能性のほうが高いのではないか。以下、記事を読んだ率直な感想・意見を述べる。

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 まず、記事全体が下品であるということだ。ノンフィクション作家の清武英利氏の名前をどこかで聞いたような気がしたので調べたら、やはりあの読売巨人軍の球団代表だった。いつからノンフィクション作家に転向されたのか知らないが、ノンフィクションの〝巨人〟佐野眞一氏も下品な「週刊朝日」の記事と剽窃で糾弾されたのを思い出した。

 かくいう記者も性格丸出しの下品な記事を書くが、〝記事はラブレター〟-〝愛〟を記事に込める。だから、多少ひどいことを書いても〝あのバカ記者が書いたのだから〟と目をつぶってもらえていると勝手に解釈している。でなければ年間数十万件のアクセスがあるわけがない。

 記事中に頻繁に登場する事業関係者、不動産業者、告発者、都幹部は全て匿名だ。名前が公表されたら都合が悪いのだろうが、記事の影響度を考えれば堂々と名乗るべきだ。匿名を条件に不確かなことを公言するのは卑怯だ。何をしゃべってもいい自由はまだわが国にはあるはずだ。

 極めて重大で、かつ悔しかったのは「素人には理解困難な開発法」の記事部分だった。

 記者も取材中に「不動産鑑定書」ではなく「報告書」にどうしてなっているのか不思議に思った。

 なぜそうなったのかは、開発規模が大きく、オリンピック選手村に利用されるなどの特殊要因があるために、「不動産鑑定評価基準に則らない価格等調査を行うことができる」(国交省ガイドライン)に添ったものと思われるが、「報告書」は「意見を述べたもの」という解釈、つまり不動産鑑定士は法律に問われる責任はなく、報告書の内容を是とした都の「保留床等処分運営委員会」の決定こそが全てになるのかどうかということだ。記者も分からない。疑問のままだ。

 そして、事業関係者が「数字的にいくらでも評価額を操作できて、かつ素人には理解困難な開発法というやり方だけで価格を決定しています」とコメントしている部分は、不動産鑑定の法律そのものを否定する重大発言だと思う。この事業関係者も〝素人〟と判断するが、〝評価額を操作〟できるのが鑑定士なら、そもそもそんな資格などないほうがいいではないか。

 一つだけ、よくぞ書いてくれたという部分もある。「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」という譲渡契約書を引用し、この「特別条項」を行使すべきと書いている部分だ。

 これには賛成だ。記者は記事にも書いたが、「HARUMI FLAG」はレガシーマンションにふさわしい基本性能・設備仕様の高さだと判断した。ありえないことだが、立地条件、土地値の安さ、戸数の多さなどを考慮せずそのレベルだけを評価すればいまの坪300万円台、400万円台の物件よりはるかに優れていると思う。しかし、土地代の安さを価格に反映しないのは納得できない。

 文春記事にも出てくる鹿島建設「勝どき ザ・タワー」、住友不動産「ドゥ・トゥール」、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス晴海タワーズ」、三井不動産レジデンシャル「パーク・タワー晴海」なども記事を添付したので読んで頂きたい。これらのマンションと比較しても、今回の「HARUMI FLAG」は質では負けないと断言できる。

文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価300万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)

「HARUMI FLAG」土地代の安さ 価格に反映を 坪250万円が妥当と考えるが…(2019/4/21)

三井レジ他「パークタワー晴海」「有明」と競合必至 価格はいくらになるか(2017/4/26)

「驚きの次元が異なる」鹿島建設他「勝どきザ・タワー」(2014/4/18)

住友不動産 晴海のツインタワー「ドゥ・トゥール」来春分譲へ(2013/11/22)

三菱地所レジ「ザ・パークハウス 晴海タワー」2棟目「ティアロレジデンス」も分譲へ(2013/5/30)

三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス晴海タワーズクロノレジデンス」完成(2014/3/3)

 

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