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 隠花植物か顕花植物か分からないが、都心部でどんどん増殖しているという「狭小住宅」について取材することにした。しかし、そもそも「狭小住宅」とは何かと考えたとたん行き詰まってしまった。定義などないからだ。ないものについて書くのは難しい。

 「住宅」そのものの定義だって怪しい。「人が住むための家」「すみか」(広辞苑など)くらいしか説明されていない。日本国憲法は「居住の自由」(第22条)「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(第25条)「住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利」(第35条)を謳ってはいるが、「住宅」そのものについての言及はない。

 建築基準法もしかり。居室の採光・開口部、天井の高さ(最低2.1m)などの規定はあるが、「住宅」とは何ぞやについて触れていない。都市計画法にも「住宅」の文言はしばしば登場するが、「住宅」の定義はない。

 頼みの国土交通省「住宅着工動向調査」には様々な調査項目があるにも関わらず、住宅の敷地の広さについてのデータはない。

 あるのは総務省の「住宅・土地統計調査」くらいだ。そこには「住宅」とは、「一戸建の住宅やアパートのように完全に区画された建物の一部で、一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができるように建築又は改造されたもの」と定義づけ、「完全に区画された」とはコンクリート壁や板壁などの固定的な仕切りで、同じ建物の他の部分と完全に遮断されている状態をいい、「一つの世帯が独立して家庭生活を営むことができる」とは、①一つ以上の居住室②専用・共用の炊事用流し(台所)③専用・共用のトイレ④専用・共用の出入口を有しているものとしている。

 従って、ここでは「住宅」とは総務省の定義に基づいて記述することにするが、だからといって「住宅」とは何かという本質については全く迫れていない。わが国で「住宅」なる言葉がいつから用いられていたかも不明だ。白川静「字通」には、「住まい」は字鏡集で用いられていたとあるので、平安か室町時代ではそのような概念が漠としてあったと思われる。

 しかし、奈良時代には「墾田永年私財法」があったが、江戸時代までは農民・商人などは土地の所有権はなかったはずで、「居宅」「母屋」「小屋」「家督」「妾宅」「庵」「屋敷」「長屋」「借家」などの言葉からすると、「住宅」なる言葉が市民権を得たのはずっと最近のことかもしれない。

 岸田國士は昭和18年に発表した「力としての文化――若き人々へ」(河出書房)で次のように述べている。

 「元来、住宅などといふものは、最もその国の風土習慣を重んじなければならぬものであり、その建築は、いづれの点からみても、国民生活の特色を発揮し、時代の変遷に応じたその国の文化を如実に現すべき筈のものであります。従つて、厳密に云へば、文化住宅などといふ言葉は意味をなさないのでありますが、一歩譲つて、『文化』の最尖端を行く住宅建築のことを指すなら、それは第一に、民族興隆の意気と理想とを象徴するものでなければならないのであります。
 ところが、事実は、『文化住宅』といへば、概してもの欲しさうな和洋折衷の簡便主義、赤瓦青ペンキといふ風な植民地的享楽気分が土台になつてゐるのが普通であります。
 なるほど、『文化住宅』の設計者は、これこそ経済的条件のゆるす限り、合理的かつ趣味的要求を満たしたものと云ふかも知れません。時代の風潮といふものは恐ろしいもので、合理的とは簡便第一であり、趣味的とは伝統を忘れて感覚の刺戟を追ふことだつたのであります」(青空文庫より)

 そしてまた、先の敗戦までは「国民」は「朕(天皇)の臣民」であったわけだから、「住宅」が絶対的排他的所有権として定着したのは高々この80年くらいのことかもしれない。

 …などと書いてくると、全然前へ進めない。この前の藤原正彦先生の話と同じだ。言葉でもって言葉の定義づけをするとなると堂々巡りになり、迷路にはまり込むばかりだ。

 なので、もう「住宅」の定義はよして、本題の「狭小住宅」に移ることにするが、この「狭小」なる言葉もまた難物で、とらえどころがない。「小さくて小さい」と言われても、イソップの「蛙と牛」だ。時代によって人によってその大きさ・小ささの認識はまちまちだ。数値で計れないところがある。

 参考になるのは、各自治体が条例や指導要綱で定めている最低敷地面積だ。平成14年(2002年)の都市計画法改正によって、自治体は全ての用途地域域で敷地面積の最低限度の基準を面的に定めることが可能となり、これによって最低敷地面積を定める自治体が増えている。

 例えば、中野区は「建ぺい率40%の第一種低層住居専用地域の最低敷地面積は60m」とし、平成16年6月24日施行後、敷地分割により最低敷地面積の数値を下回る建築敷地は、建築確認申請が出来なくなった。

 足立区は、「足立区環境整備基準」で事業区域の面積が150㎡以上の場合、建ぺい率によって最低敷地面積を定めており、建ぺい率が60%で駅から500mの交通利便地域では66㎡、それ以外は70㎡以上とするよう定めている。

 他の区も同様に、葛飾区の「葛飾区宅地開発指導要綱」は、6区画以上の分譲住宅の場合で建ぺい率60%の地域では66㎡以上とすることを求め、墨田区の「墨田区良好な建築物と市街地の形成に関する指導要綱」は、宅地開発を行う事業者は原則として宅地の最低敷地面積を60㎡以上と定めている。

 断っておくが、記者はだからといって敷地が60㎡、あるいは66㎡未満の住宅を「狭小住宅」と呼ぶわけではない。この前も書いたが、一概に狭小住宅を「悪」と言えない市場(住宅は「幸せ」を売る商売であり、消費者が支持するものを「悪」と決めつけるのは難しい)が形成されているのも事実だ。

 だが、しかし、これらの住宅が面的に広がったらその住宅地の資産価値はどうなるのか、再利用の際にネックにならないかなどの問題は残る。

 この誰からも制約を受けない「居住の自由」と、社会的な富ともいうべき「居住環境」の両面からこの問題にアプローチすることにする。いったい、どこに行きつくのか記者もまったくわからない。まずは実態から調べることにした。

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タウングループ 創業40周年記念「御取引先様 感謝の会」(新高輪プリンスホテルで)

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新田代表

タウングループは74日、創業40周年記念の「御取引先様 感謝の会」を開催した。会には関係者約750名が参加、数学者で「国家の品格」など著作も多い藤原正彦氏の「教養のちから」をテーマにした講演に聞き入り、エンタテイメント・荒牧陽子さんのショーなどを楽しんだ。

新田泉・タウングループ代表は、同社事業について首都圏での年間賃貸仲介戸数は49,500件に達し、全国ランキングでも6位に入り、全国展開の足掛かりとして新たに福岡県に拠点を設けたこと、店舗展開は現在89店舗を2020年までに100店舗に拡大すること、賃貸管理戸数約40,000戸で稼働率は98%であること、40周年事業として今年1月、八潮市にタウンインドアテニスアカデミーを開講したことなどを報告し、「中原中也の詩にあるように『思えば遠くに来たもんだ』の感慨深いものがあります。今後も時代を超えて存続する企業としてお取引先の方々の役に立つ覚悟を新たにしました」と締めくくった。

また、タウンハウジング執行役員広報室室長・江上琢氏は、同社のブランド・ミッション「ひとを、まちを、もっと豊かに。」を改めて発表した。

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記者は他の取材があったので講演途中で退出したのだが、藤原先生は次のように切り出した。

「新高輪プリンスホテルでの講演に招かれるのは三度目ですが、いつも迷う。品川駅から歩いてくるのだが、道順をいつも間違える。困ったものです。

『教養』などと言われると、よほどの馬鹿を除き、みんな嫌な気分になる。世界中の誰一人として教養があるなどと思っていない。ものごとを知れば知るほど分からなくなる。私などは小学一年生より一万倍以上分からない。困ったもので、教養などまったくない。恥ずかしい限りです。

学者だって哲学者だって同じです。くだらないどうでもいいことを言葉で定義づけようとするが、その言葉そのものが分からない。死とは何か、世界とは何か、だれも何一つ定義づけることができない」

この軽妙な話に記者はすぐ引き込まれた。藤原氏ほどの人が品川駅からまっすぐ歩いて数分の新高輪プリンスホテルまでの道順を間違えるというのが面白いではないか。そして、よほどの馬鹿でない限り、みんな自分を無教養人とみなしていると話したのに合点がいった。

小生がこれまで40年も業界紙の記者として生きてこられたのも馬鹿を自覚し、馬鹿の限界を自分なりに理解してきたからだと思う。記事の量は、1カ月に原稿用紙にして200枚、300枚書いてきたのでそれなりの量になるはずだが、〝これが完璧〟と言える記事は一本も書いたことがない。だからこそ、読者の心を震わす完璧な記事を書こうと奮い立たせてきた。

藤原先生はこのあと、「改革に次ぐ改革を日本は行ってきたが、世の中はまったくよくなっていない」と話し、バブル崩壊後のわが国の社会経済について真相を看破した。

記者は、藤原先生の国語教育に力を入れるべきという主張に大賛成で、「祖国とは国語」(新潮文庫)など一連の著作を読んだ。藤原先生を講師に呼ぶタウングループも味なことをするものだ。

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「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」

 三井不動産は7月5日、物流機能を含む免震複合用途施設「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」が竣工したのに伴うプレス説明会・内覧会を行った。

 「MFIP羽田」は、首都高速1号羽田線「羽田」ICから約0.6km、京浜急行空港線穴守稲荷駅から徒歩7分、大田区羽田旭町に位置する敷地面積約36,000㎡、延べ床面積約81,000㎡の鉄骨造5階建て。

 物流施設のほかオフィス、研修所などさまざまな用途が可能で、大田区が運営する産業支援施設の入居も決まっている。72時間対応の非常用発電機や免震装置などBCP機能の充実を図っている。

 テナントは、梓設計が3階に本社機能を集約するほか、近鉄ロジスティクス・システムズ、デル、フジテックなどで満床稼働する。

 現地は、同社とANA ホールディングスが連携し、羽田エリアの産業活性化に寄与する街づくり型開発プロジェクト「HANEDAインダストリアルパーク」として開発を進めてきた一角。2019年3月にはANA ホールディングスの新トレーニングセンター(ANA Blue Base)が竣工している。

 同社常務執行役員ロジステックス本部長・三木孝行氏は、「これまでの施設の名称〝ロジスティクス パーク(LP)〟を〝インダストリアルパーク(IP)〟にする初めての物件。2万坪の敷地を相対で取得できた。これほど恵まれた土地はもう世の中に出てこない特別な価値ある物件でもあるので、当社固定資産として永遠に持ち続ける。施設には大田区羽田という立地、2万坪の敷地、街づくり型として思いを込めた。デザインもこれまでの物流とは全く違う。梓設計さんが本社ビルとして1フロアを賃借するというのはわが国ではおそらく初めてのケース。今期はこの施設を含め8物件が竣工する。今後も年間4物件のペースで取得していく」などと語った。

 同社のロジスティクス事業施設は、稼働施設が20棟、開発中施設が13棟、計33棟となる。

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外観ファサード

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エントランス

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三木氏

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 記者は物流のことはよく分からないが、三木氏の話は魅惑的なフレーズがどんどん飛び出し、とても面白い。代表者の挨拶はこうでないといけない。

 確かにデザインはおよそ物流(倉庫)らしくないし、梓設計が入居する3階部分はハイサッシ(Low-Eではなかったが)を採用し、天井高は5m以上あった。こんなゆったりした空間で仕事ができたら最高だろう。マンションの天井高がどんどん低くなっているので羨ましい。

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梓設計が入居する3階部分

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植栽

画期的、大成功、渦を巻く〝三木&御酒〟雄たけび 三井不・プロロジス「川越」竣工(2018/11/6)

「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)

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「プレディア横浜三ツ沢」

 JR西日本プロパティーズが8月上旬に完成販売する「プレディア横浜三ツ沢」を見学した。先に見学取材した「プレディア府中西府」とともに同社の新ブランド〝プレディア〟の第一弾。コンセプトの「手が届く上質」工夫も盛り込まれている。

 物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン三ツ沢上町駅から徒歩4分、横浜市保土ヶ谷区岡沢町に位置する7階建て全51戸。専有面積は57.92~65.43㎡、予定価格は3,800万円台~5,400万円台(予定最多価格帯4,500万円台)。建物は2019年5月31日に竣工済み。施工は新日本建設・設計・監理はグローバン企画。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地は、南側に第一種住居地域が広がり、日当たりも良好な立地。徒歩6分の場所には約28万m2の広大な敷地の三ツ沢公園があり、緑も豊かなエリア。

 建物は、タイルを多用するとともに、ガラス手摺を採用することで洗練された外観デザインにしている。

 住戸は最大6.9mのワイドスパンで明るく開放的な空間を演出。設備仕様は、御影石のキッチンカウンター、食洗機、床暖房などが標準装備。また、全住戸分のトランクルームを1階に設置。その他、住戸前まで配達する「おうちCOOP」、タイムズのカーシェアなどのサービスも行う。

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 新ブランド〝プレディア〟の物件を見学するのは今回で2度目。前回の「府中西府」と合わせて読んで頂きたい。

 前回も書いたが、コンセプトの「手が届く上質」の一つとしてソフトクローズ収納を強調しておく。みなさんは些細なことと思われるかもないが、引き戸や収納がバタンと閉じて飛び上がったことはないだろうか。小生のバカ息子は部屋のドアもトイレのドアもいつもバタン、パタンと閉めた。そのたびに、エディット・ピアフの「バタン・バタン」を思い出した。(この曲はいいのだが、やるせない気持ちにさせられる)

 坪単価について。記者の予想では270万円とみていたが、佐藤氏は「未定」と話したが、想定よりもリーズナブルな単価になりそうだ。

 新ブランド〝プレディア〟を浸透させるためには、まだまだ供給が少ない。RBA野球で頑張って東京ドームに進出するようなら一挙にJプロの知名度は上がると思うが…その力はあるのかないのか。

「機能的な快適性」「手が届く上質」目指すJプロ新ブランド「プレディア府中西府」(2019/6/18)

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「コモンステージ ミラまち」

 積水ハウスは7月2日、豊橋市の大規模複合開発「ミラまち」内で分譲中の「コモンステージ ミラまち」で、電力スマートメーターの通信技術を活用した電気・ガス・水道共同での自動検針を2019年10月から全国で初めて実用導入すると発表した。

 豊橋市、第一環境、中部電力及び中部ガスが、電力スマートメーターの通信技術を利用した水道・電気・都市ガス共同自動検針の実施に合意したもの。

 「ミラまち」は総開発面積約27万㎡の開発エリアに約400区画の戸建住宅と、商業施設・業務施設を設けるまちづくりプロジェクト。

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 記者は以前から電気・ガス・水道代の検針を一度にできないかずっと思っていた。他の地域は分からないが、多摩市では電気代とガス代は月に1度、水道代は2カ月に一度、使用量と料金が書かれた紙が郵便ポストあるいは新聞受けに入れられている。

 その検針に係る費用は馬鹿にならないと思ったので調べてみた。東京都水道局はホームページで「水道メータの検針から料金の請求、お支払い関係などに必要となる経費は、23区で年間約156億円必要となっております。(平成15年度)この金額は水道事業全体の約8%となっており、内訳は次のとおり」とし、検針や料金算定、料金に対する問い合わせに係る費用は39%としている。つまり、156×39%=60.8億円が人的検針などにかかる費用とみられる。

 そのままの経費が減るのか、水道局に問い合わせたら、担当者は「自動検針にする場合のシステム変更・維持管理にも費用が掛かるので、自動検針に切り替えたら人的検針の費用がそのまま減るわけではない。逆に費用増ということもありうる」という回答だった。

 同じ質問を東京ガスにもしたら、「自動検針については実験・準備を行っている段階で、いつ実施すかなどは未定」(広報)としている。

 さて、どうなるのか。そのうちに新聞やNHKの受信料の集金人はなくなるかもしれない。ヤクルトや牛乳はどうなっているのか。

 

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「アトラス四谷本塩町(旧四谷コーポラス)」

 旭化成ホームズは7月1日、「小規模マンションの建替え」をテーマにした第8回「高経年マンション再生問題 メディア懇談会」を行ない、同時に8月に竣工する「アトラス四谷本塩町(旧四谷コーポラス)」の竣工見学会を開催した。

 冒頭、旭化成不動産レジデンス代表取締役社長・兒玉芳樹氏は、「今回の懇談会への参加者は過去最多の約40名にのぼり、関心の高さを実感している。地権者と共同の夢を実現する当社の建て替え事業はオンリーワン・ナンバーワンの事業として築きつつある」と挨拶した。

 また、同社常務取締役マンション建替え研究所所長・阿佐部肇氏は、「私自身、研究所を立ち上げたときから関わってきた」と話し、マンション建て替えの現状、同社の事業トピックスについて説明した。

 同研究所副所長・大木祐悟氏は、都心マンションの建て替えの合意形成を阻害する要因として①区分所有者の無関心②区分所有者間の路線対立③経済的問題④リーダーの欠如⑤管理組合のガバナンスの5つを指摘。最近は、建て替えを比較的容易にする容積率に余剰があるマンションは少なくなっていると報告した。小規模マンションの建て替えでは合意形成を進めるうえで区分所有者の一票が重くなり、建て替えを検討する際の費用負担が過重になり、さらに小規模敷地は日影規制など建築上の制約が多いことなどを説明した。

 「四谷コーポラス」では、建て替え決議は区分所有者25名のうち2名が反対したが、決議後の催告に応じ建て替えに参画し、結果として全員合意で実現し、建て替えを成功に導いた理由として、区分所有者のコミュニティ意識が高かったこと、プランを33パターン用意するなど区分所有者の要望を計画に盛り込んだことなどを上げた。その結果、再取得者は9割に達したと報告した。

 同社開発営業本部 首都圏営業部 企画推進課・佐藤安澄氏は、都心マンション敷地の制約を克服した事例として「四谷コーポラス」「市ヶ谷ハイツ」「河田町住宅」「宇田川住宅」を上げ、「四谷コーポラス」は、敷地が南北に細長く高低差がある制約がある中で、地下にエントランス・共用部分、容積不算入の地下住戸(4戸、約176㎡)を設け、構造計算上は地上7階建てでなく地上6階・地下1階建てとするなど難点を逆手に取った計画となっていることを強調した。

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左から兒玉氏、阿佐部氏、大木氏、佐藤氏

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 この物件については、建て替え前の見学会が行なわれており、記事にもしているのでそちらを参照していただきたい。

 竣工したマンションのエントランスホール・ラウンジなど共用部分は非常によくできていた。壁面にはレンガタイルを張り巡らし、従前のブルーのドア、外壁に用いられていたロートアイアンや居室内のコンセントなどを飾りとして再利用していた。

 住戸内は3タイプ見学したが、いずれもリビング天井高は2400ミリしかなかった。これは「日影規制がもっとも影響した」(佐藤氏)ためのようだ。

 地階と1階のメゾネット(99㎡)は置き型バス、防犯ガラスが採用され、地階と1階にそれぞれエントランスが設けられていた。

 全体の設備仕様は坪単価からして「こんなもんか」という印象を受けた。賃貸は14戸だという。

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ラウンジに飾られていた従前のドアなど

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共用廊下

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エントランスホール

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 一つだけ気になったことを指摘したい。「共用部分は非常によくできている」と書いたのだが、エントランスホール中央にでんと据えられていたドライフラワーとフェイクを組み合わせた〝奇怪〟なフラワーオブジェだけは気に入らなかった。

 記者はこれまで何度も「フェイクをやめよ」と書いてきた。1戸数千万円もするマンションの居住者が毎日通るエントランスホールの真ん中にいかにもフェイクの造花を飾る神経が理解できない。画竜点睛を欠くとはこのことだ。参考までにいくつか記事を添付する。

 まあ、しかし、総務省の家計調査年報による一世帯の年間切り花支出金額は、トマトの8.1千円、アイスクリーム・シャーベットの9.7千円と大差ない約8.2千円であることを考えると、もうみんな花や緑に関心を示さないのかもしれない。その一方で自動車関連に28万円、通信費に16万円(別にネット接続費2.8万円)、菓子類に8.4万円かけている。酒類は4.0万円、たばこは1.0万円、こづかいは10.6万円。

 わが家はどうかというと、自動車関連はゼロで、酒類は12万円、たばこは12.4万円、こづかいは? 。自慢できるのはトマトで9.6万円。普通の家庭の10倍以上だ。狂っているのは記者か世の中か…多分両方。

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手前の緑と白は全てフェイク

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東急不「ブランズ ザ・ハウス一番町」のロビー(生花は池坊が生けた)

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自宅やオフィスの机に飾っているポトス・ドクダミ(全てただ)

民間マンション第一号建て替え 旭化成不レジ「アトラス四谷本塩町」完売(2018/11/13)

旭化成不レジ 民間初の分譲「四谷コーポラス」建て替え説明会・見学会に80名(2017/9/5)

旭化成ホームズ 「宇田川町住宅」建て替え竣工見学会(2013/10/30)

パーカーズとコラボの第三弾 コスモスイニシア「中央湊」の緑の質と量に感動(2019/6/3)

三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)

これぞ正統派の億ション 話題の東急不動産「ブランズ ザ・ハウス一番町」竣工(2017/1/23)

呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)

いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)

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「セキュレア四谷三栄町」

 大和ハウス工業が分譲中の戸建て「セキュレア四谷三栄町」を見学した。四ツ谷駅から徒歩8分の3階建て全8戸。マンションやペンシル戸建てに飽き足りない戸建て派に支持されると見た。

 物件は、JR中央本線四ツ谷駅から徒歩8分・東京地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅から徒歩8分、新宿区四谷三栄町の建ぺい率60%、容積率300%の第一種中高層住居専用地域に位置する開発面積854.91㎡の全8戸。現在分譲中の住戸(2戸)の敷地面積は88.62・89.82㎡、建物面積は103.08・118.40㎡、価格は13,150万・16,970万円。建物は木造3階建て、完成済み。4月から分譲を開始し、これまでに4戸が成約済み。

 現地は、新宿通りから一歩入った閑静な住宅街の一角。電柱の地中化とインターロッキング舗道が整備された三栄通りからすぐ。一帯は第一種中高層住居専用地域だが、建基法の道路制限、斜線制限、日影規制などを受けるためか高い建物はほとんどなく、2~3階建ての戸建て・マンションが建っている住宅街。

 敷地の従前は賃貸マンションで、開発道路を整備し、敷地を25坪以上とし、延床面積を100㎡以上確保しているのが特徴。

 同社東京本店 住宅事業部 東京分譲住宅事業部所長・中岡敬典氏は「都心部の分譲戸建ては敷地面積が20坪以下の3階建てが多いが、最低25坪を確保し、建物も30坪以上としたプランが、ペンシル戸建てに満足されない富裕層の方に響いている。億ションと比較しても管理費、駐車料金などを加味すると月額返済額は同等かむしろ安いくらい。同様の戸建て計画をあと2カ所で進めている」と話した。

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リビング

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バスルーム

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 「四谷三栄町」の住宅街に足を踏み入れたのは初めてだった。隣接する「荒木町」は以前よく飲み歩いたところで、道路が狭く坂も多く袋小路になっているので、一つ間違うと目的地にたどり着けない。行きつ戻りつした経験がある。

 「四谷三栄町」にもそんなイメージしかなかったので、「荒木町」とは全く異なる街並みの落差に驚いた。

 仮に、現地にマンションを建てたら坪単価は450万円になるとはじいた。30坪で1億3,500万円だ。この価格と比べても同社の戸建ては〝安い〟と思った。中岡氏が話した通りだ。購入者も同じように考えたのではないか。最近は敷地面積が20坪以下の狭小住宅がかなり分譲されているようだが、そのような住宅購入者と明らかに異なるははずだ。

 一つ考えたのは、もう少し設備仕様レベルを上げて億ション並みにしたらどうかということだ。仮にマンションで坪500万円のエリアなら20坪で1億円として、戸建てなら30坪で2億円というのは釣り合うのではないか。同社にはぜひ挑戦してほしい。

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現地近くの三栄通り(奥の建築中の建物は再開発ビル)

三井不レジ 山手線の内側初の都市型戸建て「茗荷谷」「新大塚」早期完売へ(2019/2/5)

 毎号面白い特集記事を組んでいる「週刊ダイヤモンド」の6月22日号の「最新版 倒産」記事には仰天した。「(倒産の)危険水域 ランキング完全版423社」のうちワースト250社に不動産会社が実に43社も入っているではないか。不動産業で上場している企業は145社(ネットによる)だから、約3分の1は危ないというのだ。

 発表されたランキングの中には、確かにどうして存続しているのか不思議なくらいの〝死に体〟企業はあるが、何と東京建物のワースト22位を筆頭に東急不動産ホールディングスが52位、住友不動産が77位、野村不動産ホールディングスが81位、三井不動産が163位、三菱地所が174位、つまり上場不動産会社の売上高ベスト6社が〝堂々〟と200社までに入っている。この6社が〝危ない〟のであれば、他の不動産会社で〝安全〟なのはどこか知りたいくらいだ(逆に〝安全〟ランキングを発表すれば、雑誌は爆発的に売れ、株価も暴騰するのではないか)。

 なぜ驚天動地のこのようなランキングが発表されたか。同誌は冒頭で①金融機関の融資の厳格化②人手不足③後継者不在④米中貿易戦争-などを背景に挙げ、6年ぶりに倒産危険度ランキング特集を復活させたとその理由を明らかにしている。

 記者もこれには同意する。説得力があると思う。スルガ銀行の不適切融資は今後不動産業界全体に波及するのではないかと恐れている。

 だが、しかし、わが不動産会社のベスト6全てが〝危ない〟と書かれたら反論しないわけにはいかない。

 同誌によると、調査は①運転資金の増加分=資金繰り②内部留保③税引前営業利益④時価総額と有利子負債の額⑤総資産回転率-の5つの倒産危険度(Zスコア)を機械的に数値化して行われたもので、1.81未満は「倒産の懸念を否定できない」としている。

 さすがに、大手デベロッパーのほかほとんどの電力会社や鉄道会社もランクインしていることに気が引けたのか、「不動産会社や鉄道会社のように、業種の特性上、他業種に比べ有利子負債が大きくなりやすく、総資産が膨らむ傾向にある業種の場合は、スコアは低めに出やすい」と言い訳をしているのだが、この機械的な処理に全て問題がある。

 不動産業は有利子負債が多い業態であることは言うまでもない。バブル崩壊で売上高を上回る負債を抱えていた多くの企業が破綻したのはそのためだ。

 しかし、超低金利の現在、有利子負債の多寡が即企業の存続につながるかどうかは分からない。負債を抱える力があるかどうかを見るべきだ。

 そして、記者がもっとも不適切だと思うのは総資産回転率の計算だ。不動産業はプロジェクトが多額で長期化するケースが多く、マンションでも土地の仕入れから分譲-引き渡しまで最低2年はかかる。再開発の案件などでは数年どころか四半世紀に及ぶものも少なくない。

 その間の景気の動向、地価変動リスクが伴う。これを危険といえば危険だが、そうした様々なリスクに耐えられる体力として資産は極めて重要なファクターになってくる。保有資産が大きいからこそ、回転率は低くてもビッグプロジェクトに取り組めるのが大手デベロッパーだ。回転寿司屋と不動産業を同じまな板に載せるからこんな結果になる。

 同誌は、ストレートに数値をはじき出すのではなく、業種に応じて補正すればまったく異なった結果が出るはずだ。まあ、しかし、今回の特集は倒産危機の警鐘を鳴らした意味のある企画だと思う。

 

 長谷工アーベストは6月27日、首都圏居住のモニターを対象に実施したWEBアンケート形式による「住みたい街(駅)ランキング」の調査結果をまとめ発表した。有効回答数は3,166件。

 首都圏総合ランキングは、「吉祥寺」が調査を開始して以来15回連続の第1位、第2位は「横浜」第3位は「大宮」。「大宮」は前回13位からの浮上。

 このほか「中野」が15位から6位に、前回18位の「立川」が7位に、前回11位の「赤羽」が8位に入り、初のトップ10入り。

 ポイント制を加えた都県別ランキングでは、東京23区は「新宿」、東京市部は「吉祥寺」、神奈川は「横浜」、埼玉は「大宮」、千葉は「船橋」がそれぞれ1位。

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 この種のランキングが発表されるたびに記者はうんざりする。アンケート回答者の居住地、年代、家族数などは全てトータルしてパーセンテージでしか公表されない。知りたいのはそれぞれどのような層のひとが「住みたい街(駅)」にどんな魅力を感じているのか、さらにまた、記者は最も大事だと思っているのだが、その「住みたい街(駅)」に住める可能性についての調査が欠落しているのが決定的に問題だと思う。そもそも「住む」とはどういうことなのかあいまいだ。

 ベスト3の「吉祥寺」「横浜」「大宮」は、マンションなら坪単価は場所によっては500万円以上で、もっとも安くても徒歩圏なら250万円はくだらない。アンケート回答者のうち購入できる人は果たして何人いるか。「吉祥寺」も「大宮」も雑多な街だし、「横浜」だっていいのは、山手、桜木町の一角だ。

 「新宿」と「渋谷」がそれぞれ4位、5位に入っているのも解せない。記者は、「渋谷」の高級住宅街を除けば住むところではないと思っている。「新宿」はキャッチバーにつかまって有り金全てを吐き出させられたところだし、「渋谷」は永遠の愛を誓った場所ではあったが、見事に捨てられた場所でもある。今でもトラウマになっている。

 それならどうして「東京」はベスト20にも入らないのか。小生はお金があったら、「東京」に住みたい。皇居を見降ろすのは畏れ多いが、坪単価にしたら最低でも坪3,000万円の価値があると思う。

 「赤羽」が8位なのは結構なことだと思う。いま長谷工コーポレーションが施工したマンションが分譲中だし、北区も〝住めば北区〟のキャンベーンを展開しているのが奏功したのかもしれない。

 だがしかし、もっとも理解できないのが、どうしてわが「多摩センター」は東京市部のベスト10にも入らないことだ。ベスト10には「吉祥寺」「調布」「府中」「八王子」「高尾」の5つの京王線沿線の街(駅)が入っているのは嬉しいが、「多摩センター」が無視され「高尾」が入るなんて信じられない。

 同社のニュース・リリースには、1位の「吉祥寺」について「住みたい街ランキングの常連の街であり、自然と都会的な部分のバランス感覚が優れていると感じるから。道を一本入ると庶民的な雰囲気が今なお漂っていて、飲食店数が多いので住みやすそうだと感じます」(20代・単身)とのコメントが付いているが、これはこのままそっくり「多摩センター」にも当てはまることだ。

 一つひとつ書かないが、多摩センターほど広範囲に歩車分離の街が形成されているところはわが国にない。少なくとも街を歩いていて、車が突っ込んでくるリスクは皆無だし、子どもも大人も交通事故にあう可能性は極めて少ない。

 デパートはなくなったが、ホテルがあり宴会もできる。コンサートホールだってある。飲食はみんなチェーン店になってはまったが、絶滅危惧種の草花をめでることもできる。風俗系の店もラブホテルだってあるし(なくなったか)、京王閣、府中競馬場にも近い。長谷工の立派な研究所だってあるではないか。

 同社も含めこれから調査する機関は、アンケートを実施する際に、街(駅)の特徴や土地やマンションの相場なども伝えるべきだと思う。だれもが実現できない街(駅)を「住みたい街(駅)」ランキングとして調査する意味なんてどこにあるのか。みんな〝住めば都〟ではないのか。

  記者がアンケートするなら、「住みたい街(駅)」ランキングではなく、「住める街(駅)」ランキングだ。こちらのほうが消費者の役に立つ。そのうち自分でやろうかしら。

 

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三井ホーム「新宿北モデルハウス」

 三井ホームが新宿・新大久保駅前の「ハウジングステージ新宿」内に先に完成させた「新宿北モデルハウス」を見学した。昨年4月に発表した「ラングレー」と同じコンセプトで、北欧のパイン材を用いた総木製窓と、ウエスタンレッドシダ―のウッドパネルと深い陰影を演出する軒の外観デザインが特徴の3階建てだ。

 「ラングレー」のモデルハウスは昨年4月にも浜田山住宅展示場で見学し、記事にもしているのでそちらを参照していただきたい。

 他社のモデルハウスがほとんど外観は木なのか鉄なのかコンクリなのか分からないのに対して、同社のモデルは明らかに木で出来ていそうな外観なのが木造ファンの記者は気に入った。

 それと、これが最大の特徴でもあるのだが、「浜田山」のそれと異なるのは延べ床面積313㎡(94坪)の3階建てであることで、3階部分約31坪を全てベッドルーム(20.7畳大)・パウダールーム(8.3畳大)・ドレッシングルーム(7.2畳大)に充てている提案がいい。これほど広い夫婦のみの(あるいは一人か)空間提案を見たことがない。これは支持されるはず。さらに言えば、同じくらいの夫婦別室の提案もあっていいが…。

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 新宿・新大久保駅前にある「ハウジングステージ新宿」内のモデルハウスを見学したのは今回で3度目(ほかに何棟か見ているのだが、取材目的でなかったので書かない)。明らかに富裕層向けだった。

 すぐ比較したのは、積水ハウスのモデルハウスだった。積水のモデルハウスについては6月5日付の記事で「最高に素晴らしい。カッシーナとコラボし、一分の隙もないモノトーンの空間を見事に演出している。モデルハウスを芸術品の域まで高めた商品だ。

 何に例えるべきか迷ってしまうのだが、ミロのヴィーナス像はどうだろう(実在の女性に例えると差しさわりがある)。

 だがしかし、あまりにも美しく近づくことも触れることもためらわれそうで、金持ちでも品格がない人は怖気づくのは必至で、住みこなすのは容易なことではないのではないか」と書いた。

 今回の三井ホームのモデルハウスは確かに美しいのだが、こちらはうつせみの人、例えば同社のCMに長く登場した吉永小百合さんとか現在の菅野美穂さん(最近お笑いタレントと結婚した三井不動産のCMに出ていた何とかさんはちょっと違うか)も「素敵!」と声を上げそうな、絵画で言えば小磯良平の描く凛としたかつ楚々とした美人画のような美しさだ。

 一つ難点を指摘すれば、1階の階段室には観葉植物が置かれていたのだが、みるからにフェイク。これはいかがなものか。三菱地所ホームの「ボタニカル」をテーマにした「浜田山ホームギャラリー」や、家の中に中低木を取り込んだ「ONE ORDER」を意識したのかもしれないが、それを超えないと意味がない。せっかくの素晴らしい空間が台無しだ。

 いずれにしろ、三菱地所ホーム、積水ハウス、三井ホームの3つのモデルハウス(住友林業も加わるか)がこの住宅展示場内の富裕層向け三重奏を奏で、かつ三つ巴戦を演じるのではないか。住友不動産のモデルハウスは秋に完成するのでぜひ見学したい。

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リビング階段の下の観葉植物が気になった

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積水ハウス モデルハウス(バスルーム)

木の美しさを全面に 天井高3m実現 三井ホームが新商品「LANGLEY(ラングレー)」(2018/4/11)

坪254万円 設備仕様は最高レベル 三菱地所ホーム 新宿(新大久保)にモデルハウス(2019/6/5)

ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)

 

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