植栽計画がいい シニア層はもっと増やせるはず 大和ハウス「湘南辻堂」A敷地竣工
「プレミスト湘南辻堂」エントランス
大和ハウス工業は3月14日、JR東海道線辻堂駅圏の大規模マンション「プレミスト湘南辻堂」のA敷地(AQUA Face棟404戸)が竣工したのに伴う報道陣向け内覧会を行った。現在、約230戸が販売済みで、充実した共用施設、豊富な緑を配した外構などをどうアピールするかがカギとなりそうだ。
物件は、JR東海道本線辻堂駅から徒歩9分、藤沢市羽鳥一丁目に位置する敷地面積約35,000㎡の全914戸の規模。今回完成したのは14階建てAQUA Face棟404戸。これまでに約230戸が販売済み。価格は72㎡で4,500~5,400万円台が中心。坪単価は約232万円。
同社の説明によると、購入者のボリュームゾーンは30歳前後が30%、65歳以上のシニアが25%、前居住地は地元が55%、都内は5%。
フロント
植栽帯
ライブラリー
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藤沢市の指導により1世帯当たり1㎡の共用・コミュニティ施設(土地代・建築費を合わせると数十万円)などを整備しなければならないことが建物にもよく反映されている。
テニスコート2面、バスケットだとハーフコートの広さがあり、最近流行りのボルダリングもできるアリーナ、バーベキューが楽しめるギャザリングテラス、リネン代だけで宿泊できるゲストルーム、約900冊を備えるライブラリー、酒も飲めるパーティ・キッズルーム、年2,000円で好みの野菜・花卉を育てられるエディブルガーデン、飲食・展示などができるクラブギャラリーなどを見て回った。
ギャザリングテラス
ボルダリング(「やって」とけしかけたら見事に渡り切った同社東京本店マンション事業部第二事業部 企画課
課長・西村寅造氏)
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とてもよかったのは外構の植栽だ。水盤があるエントランス周りに樹高10m以上ありそうな見事なサルスベリが植えられていた。これほど大きいのは旭化成ホームズ「調布」と積水ハウス「江古田の杜」くらいしか見たことがない。3社が競っているわけではないだろうが、ハウスメーカーはよほどこの木が好きなのか。枝ぶりなどはいい勝負だと思う。
もう一つはアコウ(雀榕)。ネットで調べたら樹高は10~15mになり、果実は食用にもなるという。クワ科なのでそのような実か。小さい頃よく食べた。
エディブルガーデンは1区画150×80cmくらい。人気だそうだが、もっと広くてもいい。だが、しかし、キャベツ、ジャガイモ、トマトなどはそれぞれ相性が悪い、それこそ犬猿の仲の野菜がある。それがもとで入居者同士の仲が悪くならないか心配だ。その逆に相性がいい花が縁結びになるかもしれないが…。
PCの有孔バルコニーもなかなかよかった。褒めようと思ったのだが、30年前に見た、有孔デザインが素晴らしかった佐藤工業「ザ・ヴィスタ妙蓮寺」を思い出しやめた。もう少し工夫すればヒット商品になる。
契約者のうちシニアの比率はもっと伸びていいはず。同社の「高尾」は50歳以上のシニア層が40%を占めた。駅からの距離の差か、「シエリア湘南辻堂」の影響か。
サルスベリ
アコウ(雀榕)
エディブルガーデン
有孔PCバルコニー
業界初の体力測定装置に狂喜 大和ハウス「プレミスト湘南辻堂」 同社は販売に自信(2017/9/11)
首都圏第1弾「シエリア湘南辻堂」第1~3期1次199戸が登録完売 関電不動産開発(2016/11/8)
大和ハウス・イニシア 「プレミスト高尾サクラシティ」全416戸を16カ月で完売(2017/11/1)
ランドプラン秀 〝スマートウェルネス〟大和ハウス「藤沢 翼の丘」/県・環境都市認定
「セキュレアシティ藤沢 翼の丘」
大和ハウス工業は3月14日、藤沢市で分譲中の「セキュレアシティ藤沢 翼の丘」の集会所がオープンしたことに伴う記念式典・見学会を行なった。ランドプランが秀逸で、同日、同社として2件目となる神奈川県「環境共生都市づくり事業」にも認証された。
式典で同社取締役常務執行役員・大友浩嗣氏は、「スマートシティとして5件目だが、今後は省エネ・環境・健康に配慮した〝スマートウェルネスシティ〟として全国で展開していく」と挨拶した。
来賓として招かれた藤沢市長・鈴木恒夫氏は、「当地は歴史と伝統を持つ場所で、敷地は統廃合で移転した元県立藤沢高校。ゆかりのものを残してほしいという地元の要望も取り入れられている。健康寿命日本一を目指す当市の目標に添うもの」と祝辞を述べた。
鈴木市長は、ソニーネットワークコミュニケーションズが開発した手首にタグをつけるだけで食事、睡眠、歩数などがチェックでき、玄関ドアの鍵、電子マネー機能などを搭載した「FAITタグ」で健康チェックを実演した。
物件は、小田急江ノ島線藤沢本町駅から徒歩3分・JR藤沢駅から徒歩13分、藤市本町四丁目に位置する開発面積約26,797㎡、全114区画。他に賃貸マンション49戸。敷地は130㎡以上、延床面積は101.25~122.13㎡、建築条件付宅地の価格は2,990万~4,260万円、分譲住宅の価格は6,690万~8,580万円。仕様は太陽光発電システム3.08kW~3.105kW・「D-HEMSⅢ」、 家庭用リチウムイオン蓄電池6.2kWh、エネファーム・LED照明など。「FAITタグ」も1戸につき3台配布される。
昨年1月から分譲を開始しており、これまでに49区画(建築条件付き45区画、分譲4区画)が販売済み。
現地は藤沢高校の敷地跡地。統廃合で移転したことに伴い、神奈川県が2015年に実施した跡地利用に関するプロポーザルに同社が選定されたもの。周辺地区内の環境や景観に配慮した計画、健康に役立つ遊具の設置やIoT技術を活用した健康チェックを各戸で行う仕組みなどが評価された。
傾斜地の住棟は藤沢宿をイメージしたデザインとし、山田耕作が作曲した藤沢高校歌碑や記念碑、バスケットボールリンク、茶室、収納扉、ナショナルの時計などを木造の集会室・交流センターとその周りに再生した。ラウンドアバウトの石積みには藤沢高校の間知石を使用。各住宅の庭先には縦格子デザインを取り込んだ。
公園には、同社グループ・NASが監修した健康遊具を各所に設けている。
まちびらきセレモニー(左から住民代表、鈴木氏、大友氏、同社湘南支店長・松尾憲二氏、藤沢市キャラクター・ふじキュン
健康チェックをする鈴木市長(3種300点満点で243点だった)
左から同社住宅事業推進部東日本住宅設計室課長・井野善久氏、大友氏、同社湘南支店湘南住宅営業所分譲営業課主任・足立英彦氏
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同社の大規模戸建て住宅地を見学するのは「つくば研究学園」以来だ。「つくば」はフラットだったが、今回は傾斜地を巧みに生かしたランドプラン、旧東海道藤沢宿をイメージしたファサードデザインが最高にいい。
分譲地の入り口に着いたとき、コンクリの擁壁部分にグリーンベルト(奥行き50cm)が目に入った。最近はこの種の手間もかかり管理が大変な仕掛けを施すところが少なくなった。
気になったことを一つ。同社は鈴木市長にもモデルハウスを案内した。天井の高さ(2.7~3m)などを説明したのはいいのだが、最大の特徴でもあるフラットなバルコニーには全く触れず、居室のカーテンを閉めたままだった。
記者は我慢がならず、「市長、ほら、バルコニーがフラットでしょ。これをやっているのは大和さんくらい」と説明した。
担当者は当たり前のことだと思って説明しなかったのだろうが、ホームページにもフラットバルコニーは記載がない。営業マンはちゃんと説明しているのだろうか。
グループのコスモスイニシアはフラットバルコニーを最大の売りにしている。
交流センター中庭に残された高校の歌碑、記念碑、樹木など
バスケットリンク(左)と収納扉
街並み(左側にはラウンドアバウトの石積み、ナショナルの時計も見える)
縦格子、地元の鳥などをあしらった石造りのサイン(左)とグリーンベルト
健康遊具だけでなく、歩くだけでバランス感覚、体力が測れる8の字ウォーク空間(左)50mの歩道
地価公示 堅調な需要持続を反映 デフレ脱却を 不動産協会・菰田正信理事長
平成31年の地価公示は、全国平均で全用途平均が4年連続の上昇となり、地方圏では、全用途平均と住宅地が27年ぶりに上昇に転じた。三大都市圏を中心に継続している緩やかな地価の回復傾向が地方圏にも波及しており、不動産に対する堅調な需要が持続していることが地価に反映されたものと評価している。
我が国経済は緩やかな回復を続けているが、世界の政治・経済情勢の不確実性が極めて高く、先行きについては不透明な状況にある。構造的には人口減少、少子・高齢化が進む中で、急速に変化する国内外の動向等も踏まえつつ、10月に予定されている消費税率の引上げを乗り越え、デフレから脱却し、持続的で力強い経済成長を実現しなければならない。
そのためには、経済成長の原動力である大都市の国際競争力を一段と強化するとともに、企業の国内設備投資を促進しイノベーションを誘発・加速させ、不動産市場の活性化を図っていくことが地方創生推進の観点からも不可欠だ。当協会としても、引き続き、2020年東京オリンピック・パラリンピック後も見据え、時代を先取りした魅力的なまちづくりと豊かな住生活の実現を図り、経済の成長に貢献して参りたい。
地価公示 東京五輪以降も不動産市場は堅調な状態続く 東急不動産・大隈郁 仁社長
今回の地価公示では、全国的に地価の回復傾向が広がっているのが明らかになった。東京など三大都市圏で住宅地・商業地ともに上昇が継続していることに加え、地方圏では全用途平均の住宅地が27年ぶりの上昇に転じた。全国的にみても住宅地が2年連続、商業地が4年連続で上昇するなど地価の回復基調が続いている。これは景気回復や雇用・所得環境の改善、低金利の継続、外国人観光客の増加などを背景に地価の上昇傾向が全国に波及しているものと捉えている。
住宅地については住宅ローン減税等の政策的支援などもあり、駅近など交通利便性の高い地域や住環境の良い地域を中心に地価が上昇している。当社では首都圏で「ブランズ永田町」など都心部で高級物件を複数展開しており、湾岸部では東京・豊洲で「ブランズタワー豊洲」の開発に乗り出した。関西では利便性の高い大阪メトロ御堂筋線「中津」駅直結のタワーマンション「ブランズタワー梅田North」を開発し、高級住宅地の兵庫県・芦屋で「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」を展開している。需要の高まっている地方圏でも札幌中心部で「ブランズ円山外苑前」の販売を進めている。
商業地では雇用・所得情勢の改善が続く中で、「働き方改革」に合わせたオフィス環境の改善、採用増によるオフィスの拡張を目的とした移転増加などにより都心部を中心にオフィス需要は好調で、新規オフィスビルの竣工が相次ぐなかでも依然空室率は低い状況が続いている。特に渋谷ではオフィス需要が供給量を上回っており、オフィスに空室が出てもすぐ引き合いがある状況が続いている。また外国人観光客の増加などで商業施設、ホテルの需要も高止まりしている。当社で進める事業では渋谷駅を中心とする広域渋谷圏で3月に「渋谷ソラスタ」、秋には東急プラザ渋谷を含む「渋谷フクラス」が竣工する予定だ。2023年度の竣工を目指し「渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業」も順調に進んでいる。スタートアップとの共創を加速するための施設「GUILD(ギルド)」の開設も進めている。ノルウェー中央銀行とは広域渋谷圏の商業施設5物件で共同での保有・運営をしている。広域渋谷圏以外では浜松町・竹芝エリアでも約20万㎡の大型開発を進めており、そのオフィス部分にはソフトバンクグループ本社の入居も決まり、IoT を活用した最新オフィスとなる予定だ。
地方圏は全用途平均のなかの住宅地で27年ぶりに上昇に転じた。交通利便性が向上したり、国内外の観光客が増加したりしているエリアでは大きく上昇している。インバウンドの動向もにらみ、グループ会社の東急ステイは中長期滞在型ホテル「東急ステイ」の展開エリアをこれまでの東京都心から札幌、京都、博多など首都圏以外にも広げている。また、リゾート地では北海道・ニセコエリアでスキー場やホテル、別荘の売買事業などをグループ企業と展開している。昨年は長野県・軽井沢にヒルトン、沖縄県でハイアットと組んでパブリックホテルを開業した。会員制のリゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ」を長野県・軽井沢で開業した。
今後の地価動向に関しても2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催以降、不動産市況が停滞するとの予測もあるが、当社は企業収益の改善や雇用情勢の改善、設備投資への資金流入、資金調達の良好な環境などにより東京五輪以降も不動産市場は継続して堅調な状態が続くとみている。今後、人口減少や働き方改革等で市場環境が変化するなか、例えば「ブランズタワー大船」ではエリアマネジメントを計画するなど、ハードだけでなく東急不動産ホールディングスグループの幅広い事業領域を生かしたソフトサービスという付加価値付けをして事業展開をする必要があると考えている。
地価公示 地方圏も含め全国的に地価の回復傾向 三菱地所・吉田淳一社長
平成31年の地価公示は、三大都市圏では全用途平均・住宅地・商業地いずれも引き続き上昇するとともに、地方圏では住宅地が27年ぶりに上昇に転じた。景気回復、雇用・所得環境の改善の下、堅調な住宅需要、オフィス市場の活況、外国人観光客の増加などを背景として、全国的に地価の回復傾向が広がっていると感じる。
当社ビル事業においても、企業の好調な業績に伴う雇用拡大、働き方改革・生産性向上の為の集約・拡張、立地改善やレイアウト変更を伴う移転需要が継続しており、低水準の空室率、賃料の上昇が続いている。旺盛なオフィス需要を受け、2019年3月末時点の東京・丸の内の当社ビルにおける空室率は2%程度となる見込みである。本年8月に竣工予定の「(仮称)新宿南口プロジェクト」、2020年1月に竣工予定の「四谷駅前地区再開発計画」はともに現時点でほぼ全ての床が契約済み若しくは内定済みとなっている。
商業地においては、外国人観光客の増加によるホテル需要の高まりに対応する為、「ザ ロイヤルパーク キャンバス大阪北浜」「ザ ロイヤルパーク キャンバス 東京銀座」など全国で複数のホテル計画を推進している。工業地においては、eコマース市場の成長により大型物流施設の需要が根強く、当社においては「ロジクロス名古屋笠寺」「(仮称)ロジクロス横浜港北」「(仮称)ロジクロス厚木Ⅱ」など高速道路と職場の通勤アクセスが優れた立地における物流施設事業を強化している。
地方圏では、堅調な地元経済によってオフィスマーケットが支えられている広島県において「新広島ビルディング建替計画」が本年10月に竣工予定である。経済の好況が継続する福岡では、福岡市が推進する「天神ビッグバン」の下、福岡・天神エリアのランドマークである「イムズ」の建替え計画が始動、また、福岡市内最大規模の商業施設「MARK IS 福岡ももち」をオープンさせるなど、中枢都市での再開発案件も進捗している。観光客の増加が見込まれる沖縄県では、本年3月30日より下地島空港の運営をスタートさせるなど、空港運営事業への取り組みを強化し、周辺圏域の観光振興への貢献も図っていく。
住宅においては、雇用・所得環境の改善、共働き世帯や高齢世帯による交通至便立地でのマンション取得ニーズの高まり、低金利環境や住宅ローン減税などの施策によって、堅調な販売市況が継続しており、特に駅近・複合開発などのエリア内で魅力度が高い物件が好調である。個別物件では、首都圏においては「高輪」「千住」「和光市」「本厚木」など、地方圏においては「福岡」「広島」「神戸」などの物件が好調な販売状況である。
地価公示 住宅、オフィス、ホテルなど旺盛な需要を反映 野村不動産・宮嶋誠一社長
今回の地価公示では、全国的に地価の回復傾向が広がっており、住宅地は2年連続、商業地および全用途平均は4年連続で上昇するなど、上昇基調を強めている。特に地方圏では、住宅地が27年ぶりに上昇に転じた。全国的に利便性の高い地域を中心に住宅需要が堅調であることや、インバウンド需要の増加、再開発事業の進展等によりオフィスやホテル、商業施設等への投資意欲が旺盛であることが要因と考えられる。
住宅市場に関しては、首都圏における新築分譲マンションの販売価格は引き続き高い水準にあり、特に利便性の高い都心立地や駅周辺再開発等の新築分譲マンションの販売価格は高い水準が継続している。この傾向は、首都圏のみならず近郊部や三大都市圏、地方中核都市にも波及が見られる。低金利環境の継続や住宅取得支援施策等の需要下支え効果もあり、生活利便性・交通利便性を求める共働き世帯やシニア層を中心に、需要は引き続き堅調である。当社は、首都圏や三大都市圏に加え地方中核都市においても、再開発事業や多様な機能を集積させた都市型コンパクトタウンの開発に積極的に取り組んでおり、街づくりを通じて社会に貢献していく。
オフィスビル市場に関しては、企業業績の改善、働き方改革に対応したオフィス環境改善のための拡張等の動きを反映し、主要都市を中心に空室率の低下傾向が続き、賃料は上昇している。商業施設・ホテルに関しては、外国人観光客をはじめとする国内外からの来街者の増加が引き続き堅調であり、主要都市を中心に、商業施設やホテルの進出意欲は旺盛である。物流施設に関しても、空室率は低下傾向が見られ、先進的な大型物流施設への需要は今後も堅調に推移するものと想定される。当社は、社会や顧客ニーズの変化を的確に捉えた商品・サービスを提案するとともに、マーケットの動向を注視つつ、オフィスビル、商業施設、物流施設、ホテル等の開発を、引き続き積極的に展開していく。
地価公示のトレンドは、不動産取引動向を反映したものとなっており、今後も不動産市場の中長期的な指標として注視していく。
5つも6つもの思いが込められた サ高住「アンダンチ」 ヤギと玄米に感動
「アンダンチ」
仙台市若林区に昨年7月開業した複合型サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「アンダンチ」を見学した。
株式会社未来企画が運営するもので、敷地面積約3,300㎡にサ高住50室(1人用46室、2人用4室)のほか、「看護小規模多機能型居宅介護・カンタキ」、レストラン「いろはの」、「アンダンチ保育園」、地域・多世代交流施設「アスノバ」、「駄菓子福のや」などを備えている。サ高住の1人部屋スタンダード賃料は78,000/月~、共益費30,000円/月、食費27,000/人。
取材することにしたのは、三菱地所のCLT賃貸マンションの見学会が3月13日にあったためでもあるが、3月11日に行われた国交省「サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会」で「多様性のあるサ高住」として紹介されたからだ。〝これは見るべき〟だと感じた。
名称が面白い。すぐ「アンダンテ」=楽譜の歩くように=スローライフを連想し、「アン」を除けば「ダンチ」=かつての団地のコミュニティも想起され、さらにまた「ダン」を除けば「アンチ」=アンチエイジングにもつながるではないか。
関係者に聞いたら、「あんだんち」は仙台の方言で「あなたの家」を意味するということで、ホームページには「あなたの『地(場所)』、『知(知恵)』という意味を込めてこの場所を『アンダンチ』と名付けました」とあった。つまり、「アンダンチ」には5つも6つもの意味が込められているということだ。
敷地内に入ったとたん、目に飛び込んできたのが2頭のヤギだった。田舎育ちの記者はヤギも牛も鶏もウサギも日常だった。自宅でヤギは飼っていなかったが、親せきの家ではヤギの乳を飲んだ。
多摩センターにもヤギに雑草を食べてもらう駐車場があるが、柵で遮られているので身近に見ることはできない。
もうヤギだけで感動した。世話をしていたアルバイトの学生さんに聞いたら、東北工大に飼われていた父もちたろう、母あん子の間に生まれた2歳の雄ごまぞうとだいふくだった。
内装にアンティークな建具・家具や本物の木をふんだんに用いた「いろは」がまた素晴らしかった。記者は1,080円の金華さば味噌煮セットを頼み、それぞれ650円~700円の冷酒・男山、乾坤一、日髙見を飲んだのだが、〝売り〟の一つだという寝かせ玄米が最高に美味しかった。玄米がモチ米になっていた。昼食時をとっくに過ぎていたが、店内は女性客でいっぱいだった。
サ高住の建物の外壁は下見板が貼られ、共用部には本物の暖炉も置かれていた。敷地内では園児が散歩していた。
サ高住はそうでもないが特養など高齢者向け施設もこのような洒落っ気のある名称にしたらまたイメージも変わるのではないか。
見学して気になったことが一つ。羊もそうだがヤギのオスは凄い。精力絶倫で一夜にして数十頭を孕ますことだってできる。メスは20日間くらいの周期で発情期を迎えるらしいから、バランスを取るにはメスは数十頭飼わないといけないのか。あの2頭はストレスをどう発散するのか。
ごまぞう
だいふく
注文した金華さば味噌煮セット
「いろは」
〝高森に負けないぞ〟
サ高住フロント
転んでもただでは起きないぞ 「不動産バブル崩壊前夜」見出しに釣られたが…
もう30年も前だ。扇情的な看板と客引きの甘言に釣られ、いかがわしい店に半ば連れ込まれ、ビール1杯飲んだだけなのに有り金(バブルと酒に酔っていたときで金額を書けばびっくりするはずだが書かない。タクシー代だけ残してもらった)全部をはぎ取られた経験があるのに、また同じような過ちを犯してしまった。「不動産バブル崩壊前夜」などという世の中がひっくり返るような見出しが躍っていた「週刊東洋経済」3月23日号を買ってしまったのだ。
週刊誌の『分譲か賃貸か』の特集記事や「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本を買ったのは、それを批判する目的で買ったのだから、文句は言わないが、今回は710円もしたのだから、その分お返しをしよう。
「不動産バブル崩壊前夜」は22ページにわたって報じられていた。記事の書き出しは「『高すぎて買えない』。30代の夫婦は第一子誕生を機に都内の新築マンション購入を考えた。しかし、価格のあまりの高さに断念した」だった。記者はこの5行を読んだだけで全て中身を把握したと思った。書き出しは、この種の記事の常とう句だ。
かくいう小生もマンション価格の高騰については何度も記事にしてきた。しかし、「普通のサラリーマンが」などと断りを入れた。ユーザーは千差万別、3,000万円の物件が買えない人もいれば、坪単価1,000万円でも楽々購入できるお金持ちもたくさんいる。十把一絡げで市場を見たりしない。いつも念頭にあるのは、デベロッパーはどこにターゲットを当てているか、その商品企画はユーザーの購買意欲をそそるものであるかどうかだ。
こんなことを言ったら失礼だが、週刊誌の記者は〝売れる記事〟つまり食・金・色などの欲求に訴え、その逆の不安をあおることに専心している。競馬新聞と一緒だ。記事が当たろうが外れようが関係ない。今回の同誌はさすがに気が引けたのか、2025年地価下落予想記事では「現時点の限定された範囲での予測であり、将来の地価変動を保証するものではない」と断っている。何をかいわんや。
記事にコメントを寄せるアナリスト、コンサルタントなどの方々も頼りにしているのは遅行指標のマクロデータのみ、現場を見ていない。〝森を見て木を見ず〟だ。新築マンション市場は供給が減っている、価格が暴騰している、契約率が落ち込んでいるなどというが、これも十把一絡げでしか市場を捉えられないからだ。マクロデータで世の中が動くのであれば世話はない。企業の社長さんは楽なものだ。業績が落ち込んだら全て景気、外的要因のせいにすればいいのだから。
さて、では「不動産バブル崩壊前夜」の記事は正鵠を射ているかどうか。小生はもちろんNOだと思う。一つひとつ反論する気にもなれないが、そもそも「バブル」とは何かを伝えていない。確かにかつてのバブルは常軌を逸していた。みんな狂乱人気に酔った。端的な例が広尾ガーデンヒルズだ。坪単価500万円くらいだったものが、マンション転がしのピーク時には坪3,000万円を突破した。リゾートマンションも熱海などは坪300~500万円まで跳ね上がり、億ションとなった。それが、バブル崩壊後はそれこそ株と同様〝半値八掛け二割引〟になった。今がそのような状況では絶対ない。
一部の投資家、賃貸オーナーは泡を食っているかもしれないが、小生に言わせれば自業自得だ(レオパレス21は一度も取材したことがない。その理由は書かない)。スルガ銀行の〝審査は甘い〟は業界の常識だった。この影響は少なからずあると小生は見ている。
このほか、米中関係、中国経済の停滞はわが国経済にも大きな影響を及ぼす-こんなのは当たり前でないか。大手デベロッパーやハウスメーカーはしっかり手を打っているはずだ。
同誌の記事は狭小住宅や老朽化マンションなど〝負動産〟についても触れているが、これなどはバブルと全く関係がない。10年も20年も昔から分かっていたことだ。
狼少年のような記事は〝読まない 書かない 売らない〟ようにしよう。これで710円の半分は取り戻したか。〝忘れたころに…〟を教えてくれた価値は350円はありそうだ。
コスモスイニシア タウンハウス「吉祥寺」好調/「字か小さい!」「あんたがアホ」
「ザ・ロアハウス吉祥寺」
コスモスイニシアは3月18日、タウンハウスブランド「ザ・ロアハウス」の第5物件目「ザ・ロアハウス吉祥寺」が竣工したと発表。吉祥駅から徒歩6分の全18戸で、残りは2戸のみ。
物件は、JR中央線・京王井の頭線吉祥寺駅から徒歩6分、武蔵野市吉祥寺本町1丁目の第一種住居地域・近隣商業地域(建ぺい率約62%、容積率約214%)に位置する敷地面積約574㎡の地下1階地上3階建て全18戸。専有面積は54.78~88.32㎡。平均坪単価は370~380万円。竣工は2019年2月。施工は新三平建設。
昨年10月から販売を開始しており、これまでに16戸を成約済み。購入者の現居住地は武蔵野市(約40%)、武蔵野市以外の都市部(約10%)、23区内(約50%)、年齢層は20歳~39歳(約20%)、40歳~49歳(約40%)、50歳~(約40%)、入居予定者数は1人(約45%)、2人(約25%)、3人~(約30%)。
敷地形状は凸状で、道路に面しているのは間口が約7.1mの突の部分。住戸プランはトリプレット4戸、メゾネット12戸、スカイテラス付きフラット2戸。
◇ ◆ ◇
「住みたい街」にいつも上位にランクされる吉祥寺駅から徒歩6分なら、条件が整えば坪単価は400万円の後半になるはずだ。それが坪370~380万円というのは超割安かもしれないが、記者は妥当な価格と判断した。
「吉祥寺」はイメージ先行型の街だ。井の頭公園はあるが、北口は古い街並みが残り、いかがわしいフーゾク街(これまた吉祥寺のいいところか)もある。多摩センターのほうがはるかに優れている-と言ったら怒られるか。
これ以上は書かない。トリプレット・メゾネットがいいと考える人は一定程度いるということだろう。確かに、敷地南側は第一種低層住居専用地域で2~3階建て住宅街だ。
コミュニケーション コリドー
サンプルルーム
◇ ◆ ◇
以下は取材案内のメールをよく読まなかった馬鹿な記者のボヤキ。時間が無駄と思う人は読まないでください。
第一の失態は場所を間違えたこと。現地に行くべきなのに、現地から10分以上離れている逆方向のインフォメーションサロンに向かった。しかも道を間違えたため着いたのは取材締め切りの16:30を大幅に超える16:50だった。
それでも同社は快く(そう思えた)待ってくれるとのことだった。1分でも早く着こうとタクシーを拾った。運転手に地図を渡した。これが間違いの2つ目。
「字が小さくて読めないですよ」(ハズキルーペじゃなく虫眼鏡だった)
「えっ、すぐそこですよ」
「住所は分からないの? 」
「どこかに書いてあるでしょ」
「ああ、これ。吉祥寺…本町…1…10…」(入力するのに1分はかかった)
「そう、そこ」
「お客さん、これっ、さっき乗ったとこですよ」(これで乗ってから2分は経過していた)
「えっ、あっ、その住所は…(ゲストサロンだった)ごめんなさい。そこじゃなくて、ほら、(ゲストサロンの)青じゃなくて赤い印がついてるところ。そんな小さな字を書いた会社に注意しときますよ。そうですよね、わたしも全然読めない。そう、そこ、左ですよ」
「えっ、右じゃないですか」(急に車を停めた。危ない!)
「そうそう、ごめんなさい。そこ右。そうです、そうです。突き当りが吉祥寺駅。もう大体わかりますから…そうそう、まっすぐ行って左に曲がってください」
「お客さん、ここですよ」
「えっ、(目の前にトーシンの社屋。トーシンは身売りしたのか)。分かりました。ここでいいですよ。運転手さん、わたしはもうすぐ70歳。お年はいくつですか? 」
「60です」
「そうですよね。お年寄りのことを考えて字はもっと大きくすべきですよね」
「お客さん、申し訳けありませんでした。570円です」
「領収書ください(会社に請求できるのか)」
現地に着いたのは17:00をとっくに過ぎていたはず。駅に着いてから30分以上かかった。記者も運転手も悪いが、もっと悪いのはコスモスイニシアだ。案内マップを印刷したら地図はA4の紙に5分の1くらいのスペースしかなかった。文字は5ポイントもないはず。
家に帰ってかみさんにも事情を説明し聞いた。「あんたがアホ。わたしだって読めるわよ」
参考までに。詳しいのは木住協。駅に降りてから「右」「エスカレーター昇って左」「一つ目信号左」などと6枚のカラー写真を使って案内している。(それでも記者は迷ったことがある。紙代とインク代を考えるべき)
(写真は全て同社広報担当者。記者よりずっと上手)
わが国最高層65階建てなど最大級3,200戸 西新宿三丁目再開発 都市計画決定
「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」
野村不動産、住友商事、東京建物、首都圏不燃建築公社、前田建設工業の5社は3月18日、西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発準備組合と計画を進めている「西新宿三丁目西地区第一種市街地再開発事業」が3月15日付で新宿区より都市計画決定がなされたと発表した。
本事業は1993年、老朽化した木造家屋の密集地の解消をめざし、地区内権利者有志により再開発研究会が設立され、その後、リーマンショックや東日本大震災などで地区範囲や計画案の見直しを行い、事業推進協力者などと計画を進めてきた。
事業地は計画面積約4.8ha、南西側約300mに京王新線初台駅が位置するほか、都営大江戸線都庁前駅、小田急線参宮橋駅が徒歩10分圏内。「新国立劇場」「東京オペラシティコンサートホール」が近接。
計画では、地区外周道路の拡幅とともに「初台」駅からの歩行者のバリアフリー動線の確保、質の高い住環境・みどり豊かな憩いの空間などを創出する。
マンションは、A-1街区からA-3街区までわが国初となる「最高層(235m)」「最高階数(65階)」「最大級規模(約3,200戸)」が建築される。
2020年度内に本組合が設立され、2022年に着工、2029年度に竣工する予定。