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記者発表会場(三菱地所のレジデンスクラブラウンジで)

 三菱地所ホームは2月28日、2018年10月に発表した100㎡前後の住宅を対象とした全館空調システム「エアロテックFit(フィット)」を定額制リフォームメニューとして発売し、三菱地所ハウスネットとともに「三菱地所のレジデンスクラブラウンジみなとみらいイベントスクエア」内にリフォームと仲介の共同店舗を1月10日にリニューアルオープンしたと発表した。

 定額制リフォームは次世代省エネルギー基準以上を条件に、シニア層向け戸建てリフォームプランとして、20坪の木造住宅(2×4工法、在来工法)1階のみリフォームの場合790万円、中古戸建てを買ってリフォームする場合は、30坪の木造住宅(2×4工法、在来工法)で910万円、70㎡のマンションをスケルトンリフォームする場合1,075万円。いずれも税別、間取りや間仕切り変更は含まず。

 記者発表会の冒頭、「発表会は今年度5回目。心を込めて加藤社長以下説明しますので、大きく取り上げていただくとありがたい。加藤社長は写真写りがいいピンクのネクタイ」と同社の〝名物〟広報マン・横須賀直人氏の前口上を受けて登壇した同社加藤博文社長は「定額制は低額化・スリム化のいい流れを継続するため。共同店舗はみなとみない地区で供給されたマンションの半分以上は当社グループが供給したもの。今後発生するフォームニーズにワンストップで対応していく」と、それぞれの狙いについて語った。

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加藤社長

◇       ◆     ◇

 入浴中の死亡者数は年間2万人近くにのぼり、そのうち半数以上が高齢者で、高齢者の死因の4分の1を占め、ほとんどがヒートショックによるものだと言われている。

 研究によると、ヒートショックを起こす原因は急激な温度変化にあり、その分岐点は18℃といわれる。

 一方で、省エネ基準6地域にある東京都のZEH基準を満たすのはUA値0.6とされている。問題は、これでは冬季の洗面室、廊下、トイレ、浴室などを健康リスクの分岐点とされる18℃に保てないのではないかということだ。

 ZEHはどちらかといえば省エネルギー、CO2削減の視点が中心だ。これに健康長寿の視点を加えればもっと違った指標が提示されるはずだ。平成21年度にスタートした「長期優良住宅認定制度」も、バリアフリー性、省エネルギー性の基準はあるものの、健康長寿=健康価値の視点は欠けている。

 その点、同社のエアロテックはZEHを上回る理想的なシステムだと思うが、それでもそのよさを訴え切れていないもどかしさを感じる。

 同社がうたい文句にしている①部屋ごとに温度調節できる②花粉やカビの胞子を97%カットし、家中をクリーンな空気で満たす③エアロテックの年間冷暖房費は約54,000円節減できる④家全体を快適な温度にできる④長期10年間保証-などは健康長寿=健康価値を〝見える化〟できていないと思う。

 加藤社長は「研究は進んでいるが、健康価値を数値化するのは難しい」と語り、リフォーム担当の中島秀敏常務も「エアロテックの認知度は高くない」と話したように、家の中の温度がどこでも一緒という家にわれわれはほとんど住んだことがなく、その価値は想像するほかなく、なかなか浸透しない理由だ。(外断熱、全館床暖房もあるが)

 では、その価値をお金に換算したらいくらになるか。記者は大胆に1人50万円/年間とはじいた(加藤社長は「安すぎる」と怒るかもしれないが、お金持ちはもっと高く評価し、貧乏人はもっと低く査定するかも。価値判断は人それぞれ)。4人家族だと200万円/年間だ。同社が2017年に販売開始した「新マンションエアロテック」は250万円だ。2人家族だと2年半で償却できるし、4人家族なら1年ちょっとでおつりがくる。

 こんなことを言うと、根拠を示せと言われるが、一つヒントになるのが「眺望価値」「日照価値」だ。以前にも書いたが、マンションの眺望を価格に置き換えると坪単価にして数百万円になる。1フロアで1,000万円の差をつけた物件もあるほどだ。これからは「音」「香り」「色」など五感に響く効果も大きな価値になるはずだ。IoTは世の中を一変させる。

 同社には、これまで販売したエアロテックに住む人に詳細なアンケート・モニター調査をして、環境価値の見える化をやっていただきたい。厚労省みたいにサンプルに手を加えなくともデータを改ざんする必要もないはずだ。コンピュータは瞬時にその価値をお金に換えてくれるのではないか。

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 みなとみらいの共同店舗の開設について、中島常務は「1995年以降みなとみらい地区で供給されたマンションの55%、3,266戸は当社グループが供給した」と語った。記者は嫌味な質問をした。「そのうちの御社グループの仲介での捕捉率はどれだけか」と。答えは返ってこないかとも思ったら、中島常務は「15%。これを50%に引き上げるのがグループとして目指すべき方向」と即座に答えた。

 捕捉率が高いか低いかはさておくとして、この方向の数値はとてつもなく高いのではないか。どう達成するか見ものだが、前段でも書いたように「エアロテック」の価値の見える化を図れるかどうかがポイントだと思う。スケルトンリフォームの坪単価約50万円のうちエアロテックは10数万円のはずだ。とてつもなく安いと思うがどうだろう。

 もう一つ、欠かせないのはグループを上げてエアロテックのよさを住宅検討者に伝えることだが、三菱地所レジデンスのマンションや分譲戸建てへのエアロテック搭載物件は数えるほどしかないのが現状ではないか。

 加藤社長に聞いたら、「三菱地所ホームの社員の約7割はエアロテックを体験しているものの三菱地所全体はまだまだ低い」と正直に話した。

 この点については明るい兆しもある。三菱地所レジデンスは今後分譲する一定条件以上のマンションのエアロテック搭載を検討しているという。これはすぐにでも実施すべきだ。

 値段が多少高くとも販売が苦労しようとも、高付加価値の商品を供給し続けることが企業価値を上げるのは間違いない。世の中は完全にESG・SDGs経営の時代に突入した。もう戸数、売上高を競う時代ではない。

 参考になるかどうか。明豊エンタープライズは2006年、木場駅から9分の外断熱の「シェルゼ木場公園」を分譲した。坪単価は260万円だった。瞬く間に売れた。当時の〝駅近〟は210万円で苦戦していたころだ。

 吉田淳一社長にもこの記事を読んで頂きたい。気が変わるはずだ。CLTとこのエアロテックで業界、世の中を変えられると記者は信じる。

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効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)

勝負に出た 三菱地所ホーム エアロテック+フルリフォームで1,100万円(2017/10/20)

横浜ベイエリアに吹く追い風逼迫する需給関係 MMにはあと新規1千戸(2008/4/2)

人気必至明豊の外断熱「シェルゼ木場公園」東京都「環境性能表示制度」で唯一の★3つ(2006/10/3)

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「リーフィア南大沢ガーデンズ」完成予想図

 小田急不動産は3月1日、多摩ニュータウン内の大規模戸建て分譲地「リーフィア南大沢ガーデンズ」の特設サイトを開設した。

 物件は、京王相模原線多摩境駅から徒歩16分、八王子市鑓水2 丁目に位置する総開発面積5.2ha、全185区画。第1期(戸数未定)の敷地面積は171.59~208.47㎡、建物面積は94.33~113.86㎡。施工は小田急ハウジング・細田工務店。

 ①各分野の専門家の粋を集めた街づくり②充実の「3rd  Place」③敷地面積50坪超、先進の設備を全戸標準装備-などが特徴。

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 同社の戸建てはたくさん見てきた。他社の都市型戸建てと比較して相対的に敷地面積が広く、植栽が豊かなのが特徴だった。

 ここ10年くらい途絶えてしまった。検索したら〝リーフィア〟シリーズ第一弾の「栗平」と「片平」がヒットした。好調なスタートを切ったことで、案内役を買ってくれた女性がとても嬉しそうだったのを思い出した。

 モデルハウスの公開はもっと先だろうが、必ず見学してレポートしたい。京王相模原線は競合も多い。どのような商品企画になるのか。

小田急不動産の新ブランド〝リーフィア〟好調スタート(2008/7/23)

 積水ハウスは3月1日、「絹谷幸二 天空美術館」の来館者数が同日に10万人を突破したと発表した。

 絹谷氏は「個人画家の美術館として2年2カ月という早い期間で10万人に届くことは珍しいことなので、とても感謝しています。今度は20万人目の方にもお越しいただけるように、これからも美術館を盛り上げていきます」とコメントを寄せた。

 同美術館は2016年12月、芸術文化振興による社会創造を目指し、新しい芸術文化発信の拠点として梅田スカイビル タワーウエスト27階に開設。

 現在は開館2周年記念特別展示「夢見る力~空想大劇場」が開催されている(2019年6月10日まで)。絵の中に飛び込む3D映像体験やアフレスコ(壁画の古典技法)など色彩豊かな絵画・立体作品が展示されている。

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 記者は絹谷氏が若いときからのファンだが、絵を買いそびれてしまった。もう絵は買えないので、絹谷氏がデザインしたネクタイを買ってつけている。1本目はボロボロになるまでつけ、今は同じ柄の2本目だ。先生、もっと異なるデザインを増やして。同じネクタイを頻繁にはつけられない。

 

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「チャームプレミア永福」

 昨日は〝後入れ先出し〟のコスモスイニシア「旗の台」の記事を書いた。今度は〝先入れ後出し〟の三菱地所レジデンスの介護付き有料老人ホーム「チャームプレミア永福」を紹介する。完成見学会が行われたのは2月27日なので、鮮度は落ちるかもしれないが、濃い口の味付けにした。

 物件は、京王井の頭線西永福駅から徒歩9分、杉並区永福4丁目に位置する準住居・風致地区の敷地面積約1,164㎡、延床面積約2,578㎡、地下1階地上5階建て全48室。土地・建物とも賃借(契約期間30年)。居室面積は19.95~40.23㎡。権利形態は利用権方式、利用料の支払いは選択制。前払い金ゼロの場合の料金は約60万~125万円。事業主体はチャーム・ケア・コーポレーション。設計・監理は日建ハウジングシステム。施工は谷津建設。3月に開業する。

 施設は三菱地所レジデンスのヘルスケアアセット開発第一号で、チャーム・ケア・コーポが運営する高齢者向け施設の最上級ブランド「チャームプレミアム」シリーズの首都圏で5カ所目。地所レジは一定期間所有したのちリートなどへ売却する予定。ヘルスケアアセットは今回のほか5物件の計画を推進中。

 現地はトウカエデの街路樹が美しい方南通りに面しており、建物デザインにも従前の個人宅(2邸)にあった景石や灯篭を用い、保育園との交流を企画するなど地域との親和を図っており、内装に美大生などの絵画・アートを展示する。

 見学会に臨んだチャーム・ケア・コーポ代表取締役社長・下村隆彦氏は、「現在、51ホーム約3,600室を3ブランドで展開しているが、アッパーミドル・富裕層向けの『チャームプレミアム』は首都圏で5カ所目。従来は関西中心だったが、今後は富裕層が圧倒的に多い東京圏で積極展開する。来期に開業予定している10ホームのうち首都圏は8ホームで、5ホームは『チャームプレミアム』」などと語った。

 三菱地所レジデンス常務執行役員・花形雅人氏は、「損益が荒れる分譲よりマーケットが安定している賃貸や学生寮、シニア向けなど成長が見込める領域を拡大し第二の柱に育てていく。当面は売り上げの巡航目標を80億円に設定している」と話した。

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花形氏(左)と下村氏

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エントランス・ラウンジ

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 やや視点を変えて、「風致地区」と「準住居地域」との整合性について。見学会で三菱地所レジデンスの投資アセット開発グループリーダー・勝俣耕希氏は、分譲や賃貸マンションではなく今回の施設にした開発の経緯についておおよそ次のように語った。

 当地は建ぺい率40%の風致地区に指定されていること、駅から10分の距離、隣接地は1低層で保育園、競合物件がない、高年収の富裕層が周辺に多い-などを総合的に判断、「チャームプレミアム」にふさわしい建物にするために日建ハウジングシステムを採用した。

 説明は極めて明瞭だった。しかし、小生は1階の食堂兼機能訓練室の天井デザインは優れているのに、どうして低いのか気になってしょうがなかった。確認したら2400ミリだった。

 同業の記者は「みんな目線が低い車椅子だからこれでいいんだ」と冗談を飛ばしたが、小生は逆だと考えた。目線が低いからいつも上を見る、何か事情があると。

 なぜ、天井高が低いのか。すぐ答えが出た。和田堀風致地区は昭和8年に指定された。建築規制には建蔽率は40%以下、道路側からの壁面後退(2m)、隣地側からの壁面後退(1.5m)、高さ15m以下などがある。天井高が低かったのはこの規制のためだ。

 一方で、ここの用途地域は「道路の沿道等において、自動車関連施設などと、住居が調和した環境を保護するための」準住居地域(建ぺい率60%、容積率300%)に指定されている。

 準住居の用途規制は、業界関係者ならお分かりのように、ラブホテルなど風俗系は許可されない商業や準工ほどではないにしろ〝ほとんど何でも可〟の地域だ。

 どうして何でも可の用途地域に風致地区の網をかけるのか、記者には理解できない。整合性がまったくないではないか。

 一つ付け加えると、今回の施設は緑化率30%を確保しているため建ぺい率緩和を受けており、準住居の60%と風致地区の40%の間の4分の1だけ、つまり45%まで認められている。ただ、風致地区には容積率についての定めはなく、上記の規制をクリアしなければならないので、使用容積率は221%しかない。

 小生は、記者になって初めて担当したのが線引きだった。白地図に何のためらいもなく色付けしていく職員を見て、用途指定はでたらめだと思った。

 風致地区と用途指定は別々の部署で行う。現場では戸惑いもあると聞く。線引きは抜本的に見直すべきだ。高さ規制も同じ。

 ついでに風致地区内にある高千穂大学を調べたら、(緩和措置はあるはずだが)建ぺい率は50%で容積率は100%、全ての建物が4階以下だった。すごい大学もあるもんだ。

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中庭

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食堂

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 同社の初のシェアハウス「ザ・パークハウス レックス 永福町」でもそうだったが、共用部には東京藝大の学生さんなどによる絵画・アートがたくさん飾られていた。将来大化けしそうな画家の卵もたくさんいると感じた。

 下村社長(76)は絵画収集の趣味があるようで、絵画・アートは各施設でそれぞれ入れ替え・巡回する予定とか。

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記者の一押し作品

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 この種の施設を見るのは初めてという女性記者がいて、料金の高さに驚いていたので、「あなたの生活レベルで考えちゃダメ。富裕層向けの介護・サービス料金として月額100万円は相場」とアドバイスした。

 これほど規制の厳しいエリアでは、この種の事業でないと利益を確保するのは困難ではないか。

 チャーム・ケアは、渋谷区神山町で同じような富裕層向け介護付有料老人ホーム「(仮称)チャームプレミア松濤」(日神不動産が開発)を2019年8月にオープンする。

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檜風呂

壁面にアートがいっぱい 三菱地所レジ 初のシェアハウス「永福町」完成(2019/3/1)

 野村不動産ホールディングスは3月1日、機構改革・人事異動を発表。賃貸部門で所管していた野村不動産の都市開発事業本部における賃貸住宅事業と、運営管理部門で所管していたシニア事業を住宅部門に、運営管理部門で所管していたフィットネス事業を賃貸部門にそれぞれ移管する。賃貸部門を都市開発部門に改称する。いずれも4月1日付。

 都市開発部門長には、代表取締役副社長兼副社長執行役員・関敏昭氏が就任する。

 野村不動産には都市創造事業本部と芝浦プロジェクト本部を、都市開発事業本部に海外事業部をそれぞれ新設する。

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 RBA野球関係では、執行役員流通事業本部ソリューション営業統括部長嘱託兼保険営業部担当・神園徹氏が常務執行役員に、流通事業本部第一営業統括部長・木内恒夫氏が執行役員流通事業本部第一営業統括部長嘱託に就任する。

 神園氏と木内氏は中大法科の先輩後輩。RBA野球では、神園氏はただの応援、木内氏はノーヒット・ノーランを2度記録している(相手はそんなに強くなかった)元エースで、口達者な応援団長。第30回大会で水曜ブロック初優勝した影のヒーロー。

 三井不動産は3月1日、組織改正・人事異動を発表。4月1日付で「ライフサイエンス・イノベーション推進室」を「ライフサイエンス・イノベーション推進部」へ改組し、同社代表取締役副社長執行役員・北原義一氏が同部を管掌する。また、「社会・環境推進室」を「ESG推進室」へ改称し、機能を強化する。

 主な人事異動では、取締役専務執行役員・藤林清隆氏(三井不動産レジデンシャル社長)が三井不動産リアルティ取締役会長・三井ホーム取締役会長に、グループ執行役員・池田明氏が三井ホーム代表取締役社長に就任する。

 異動に伴い、三井ホーム代表取締役社長・市川俊英氏は三井不動産顧問(三井ホーム常任相談役)に就任する。それぞれ4月1日付。

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遠藤氏

 三井不動産リアルティは3月1日、代表取締役副社長に取締役専務執行役員・遠藤靖氏が4月1日付で就任すると発表した。

 遠藤氏は昭和38年9月22日生まれ、鳥取県出身。昭和61年3月、慶應義塾大学法学部卒。同4月、三井不動産入社。平成23年4月、同社ビルディング本部 ビルディング営業二部長。同24年4月、同社 ビルディング本部法人営業二部長。同28年4月、同社千葉支店長。同29年4月、三井不動産リアルティ取締役 専務執行役員(現任)。

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 遠藤氏は、桐蔭学園から慶大に進み、野球部主将として85年秋のリーグ優勝、学生日本一に導いた。通算31勝を挙げながら読売巨人軍のドラフト1位を蹴って三井不動産に入社した〝RBAの星〟志村亮氏の高校を含め3年先輩。平成29年にはRBA野球大会顧問に就任した。

 そのほか、同社にはRBA野球関係者が多く、取締役常務執行役員・正木条氏、上席執行役員名古屋支店長・石井雄二氏のほか、リテール事業本部営業十部長に安西幸次郎氏(現リテール事業本部 流通営業八部長)、ソリューション事業本部統括営業部長に志村亮氏((現ソリューション事業本部部長) 、三井不動産リアルティ札幌代表取締役社長に 江川尚志氏(現ソリューション事業本部 法人営業一部長)がそれぞれ4月1日付で就任する。

 部長・役員クラスでシニアチームが作れる。

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「コスモグラシア旗の台」

 書かなければならない記事が3本あるのだが、こうなったら〝後入れ先出し〟だ。おそらく他の記者の方は見ていないか、見ていてもまだ記事化していないはずのコスモスイニシアの賃貸マンション「コスモグラシア旗の台」だ。4階建てで高さが10m、しかもバルコニーが付いていないにもかかわらず募集1カ月で全43室が満室になるという、驚嘆の物件だ。

 物件は、東急池上線旗の台駅から徒歩10分、大田区北馬込1丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約705㎡、延べ床面積約1,608㎡、容積率184.3%(容積対象レンタブル比96.2%)の4階建て全43戸。専用面積は25.92~51.85㎡、賃料は9.3万~18.0万円(平均坪単価は1.2万円強)。リーシングは三井不動産レジデンシャルリース。竣工は2019年1月31日。リート市場で売却する予定。

 現地は、旗の台駅、長原駅、馬込駅の3駅からのほぼ中間、環七通りから一歩入ったところ。

 建物は4階建てだが、高さを10mに抑え、内廊下方式とし、居住面積を広くするためバルコニーを設けていないのが特徴。

 物件の進捗管理を担当した同社ソリューション本部 統括部投資用不動産推進課課長・吉村昌浩氏は、「敢えて建物を10mに抑え、エレベータを設置して内廊下とし、バルコニーを設置しないことについては賃貸の業者さんからつけるべきと言われ悩んだが、付けなくて正解だった。それでも満室になるのは6月ころかと思っていたら、募集開始1カ月で満室になった。驚いている」と話した。

 今秋には同シリーズの賃貸マンション「入谷A・B(仮称)」が完成するという。

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約41㎡の部屋

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 今週は、長谷工コーポレーション「千石」、三菱地所「西永福」、東急不動産「赤羽志茂」に続いて今回の「旗の台」と4物件も分譲マンションではない賃貸・老人ホーム・寄宿舎を見学取材した。

 今回も利回りを計算した。分譲マンションなら坪単価は300万円をはるかに超え、350万円でも難しいのではないか。しかし、アクセスは馬込駅からも長原駅からも環七を通らざるを得ず、旗の台もやや坂がある。坪350万円で10坪のコンパクトなら売れるかもしれないが、20坪ならまず売れない。そんな立地だと思う。(この前書いたモリモト「旗の台」はひょっとすると目を剥く価格になるかもしれない)

 賃料から類推して利回りは5%くらいではないか。それが1カ月で満室になるのだから、分譲よりはるかに効率がいい。「千石」「赤羽志茂」も分譲だったら苦戦するのは間違いない。

 4物件を見て、その土地の価値を最大化する選択肢はどんどん増えているという印象を強くした。土地の仕入れ担当者は間口を広げ、引き出しの数を増やさないといけない時代だ。

 コスモスイニシアの賃貸は初めて見た。素晴らしい分譲同様、頭脳が冴えわたっている印象を受けた。直床・天井高2400ミリは分譲でも復活してきたのでありなのか。設備仕様はよくわからない。物干しポールは当たり前。

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約25㎡の部屋(バルコニーを設置すればこのようなベッドの配置はできない)

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 記事とは関係ないが、吉村氏はかつて同社野球部のエースで、小さな体ながら、だからこそでもあるのだが〝打たせて取る〟コントロールが抜群で強打者を手玉に取った。

 しかし、チームの打力は並以下で、守備力はザルどころか底が抜けた桶状態だったので〝出ると負け〟を続けた。それでも吉村氏は〝打たれた自分が悪い〟と言いたげそうに微笑み、ナインを叱ることなど全くしなかった。

 50歳を超えて硬式野球でまた投げるようになり、マスターズ甲子園の埼玉大会でで投げているという。マラソンもしているそうだ。確かタイムも聞いたはずだが、酔っぱらっていたので忘れた。

 マラソンと言えば、今は明かせないがあるゼネコンのRBA選手が今度の東京マラソンで走る。タイムがすごい。3時間10分が目標とか。本人から結果を聞いて記事にする予定だ。このゼネコンの最近の業績はうなぎのぼりで、この選手もあと1時間短縮すればオリンピックに出られるのではないか。

 まだ続きがある。吉村氏からサヨナラ打を放ったことがある、野球関係者なら知らない人はいない、あるチームのかつての主砲で現在は賃貸リースを担当している部長さんに話したら、即座に「安い」と評価し、「ああ、あそこ」と現地も特定した。賃貸のプロというのもまたすごい。

 あっ、いけない。そうでなくとも記事が右往左往するのに、昨夜の酒が残っているのか-いや確実に残っており記事が千鳥足状態になってきた。ここまで付き合ってくださった読者の皆さんに感謝いたします。

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 【追記】同社の広報もまたさすが。上記の記事をアップしてから約1時間。もう酒は完全に抜けたが、記憶が抜け落ちていた。4年前、同社の投資用賃貸マンション「向島5丁目プロジェクト」を見学し、記事にもしていることを指摘してもらった。記事を添付したので読んで頂きたい。あれはよかった。

 吉村氏にもタイムを聞いた。10キロを50分だとか。これは速い。記者は20歳代、皇居(5キロ)をこれくらいで走ったか。いま走ったら再起不能になる。

「TSUNAGU(つなぐ)」がテーマ コスモスイニシア 投資用賃貸「向島5丁目」竣工(2015/3/20)

 

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「キャンパスヴィレッジ赤羽志茂」

 東急不動産は2月27日、北区志茂三丁目で開発を進めている学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE」の第二弾「キャンパスヴィレッジ赤羽志茂」が2019年2月に竣工し、3月から入居開始すると発表。同日は報道陣に公開するとともに、第一弾の「椎名町」の女性入居者が住み心地などについて感想を語った。

 物件は、東京メトロ南北線志茂駅から徒歩8分、北区志茂三丁目に位置する敷地面積約2,025㎡、延床面積約4,276㎡の8階建て全233室。専用面積は14.02㎡~14.67㎡。賃料は4.9万~7.2万円。入館料は15万円(1年)・24万円(2年)。管理費・共益費は1.8万円/月、食事代は1.7万円。事業主は同社のほか伊藤忠都市開発。施工は川田工業。管理・運営は学生情報センター。一定期間所有し、その後はファンドなどに売却するスキーム。

 現地は、日本火薬の工場跡地。三菱地所レジデンスなどが分譲中の全500戸の「ザ・パークハウス オイコス 赤羽志茂」の隣接地。

 昨年11月から入居者を募集しており、これまでに東洋大を中心に法大、上智大など約4割に申し込みが入っている。男女比は半々とか。

 記者見学会で東急不動産執行役員住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部本部長・大谷宗徳氏は、「年間1,000室体制、業界ナンバー1を目指す」と話した。

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左から同社住宅事業ユニット首都圏住宅事業本部住宅ソリューション部統括部長・野間秀一氏、同ユニット事業戦略部 統括部長・久保章氏、大谷氏

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 大手デベロッパーでいち早く学生マンション市場に参入し、全国で約43,000室を管理・運営する学生情報センターを傘下に収め、好調なスタートを切った余裕なのか、大谷氏らひな壇のお三方は威風堂々の戦略家に見えた。女子学生をゲストに呼ぶなどという芸当を他社は真似できないのでは。

 それもそのはずだ。数字が全てを物語っている。寮・寄宿舎のことはよくわからないのだが、分譲マンションと比較し、利回りを計算した。賃料約7.2万円(15㎡)で、坪単価を230~240万円くらいだとすると、利回りは実に8%を超えるではないか。

 容積率を調べたら約211%(法定容積はおそらく200%)だったので、分譲と比べ容積不算入の部分は少ないようだが、逆に設備仕様を落とせるし、付帯設備も減らせるのでレンタブル比率は高いはずだ。

 大谷氏らは、学生マンションを通じ、さらに賃貸住宅-新築の分譲マンション・一戸建て、リノベーションマンション、シニア住宅へと繋げることで〝東急ファン〟を拡大し、グループシナジーも発揮し、高付加価値のバリューチェーンを構築しているなどと自信たっぷりだった。年間1,000室とは凄い。一挙に引き離す戦略か。

 オールドファンには懐かしい「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」なるブランド(昔は東急ビレッジだったが)が復活した。

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共用部

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図書棚(学生さん向けにしては図鑑のようなものが多く、小説や哲学書などは少なかったのがきになった。グループで募れば1万冊の寄贈があるのでは)

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 記者は、学生マンション・寮を見学するのは2回目だった。いま首都圏ではどんな劣悪なアパートでも月額家賃は5万円くらいするはずで、個室に浴室・トイレが付いており、その他食堂、洗濯室、娯楽室、図書館、ミーティングルームなどの共用施設が併設されていることを考慮すれば、賃料はリーズナブルなものでないかと思う。

 だが、記者は「寮・寄宿舎」と聞くと、管理しやすいように規則でがんじがらめにし、入居者の自由を奪う監獄のイメージが強いので好きになれない。その一方で「女子寮」などと聞くと、アンタッチャブルな花園のようなイメージが湧き、それだけで浮足立つのだが…(女子学生会館はかなり厳しい。箱入り娘はまだ生きている)。

 いまの企業は、飼いならされた犬のような学生を求めているのかもしれないが(同社グループは個性的な人材確保に転換したはず)、学生さんには自立した立派な社会人になってほしいと願うので、好き勝手ができるアパート・マンションがいいような気がしている。

 その疑問をストレートにぶつける絶好の機会を同社は与えてくれた。何と第一弾の「椎名町」に住む2人の女子学生をゲストに呼び、感想を語ってもらい、報道陣の質問にも答えるという、粋な計らいを行ったのだ。

 まずAさんの感想。「えっと、一言でいえば安心。えっと、上京してホームシックにかかり、母が恋しくて泣いてばかりいました。そんなとき、フロアリビングで『大丈夫? 』などと声を掛けていただいたのがきっかけで仲良し友達になれました。あとは、食事がとても美味しくて盛り付けもいいのにびっくりしました。実家では、こんなことを言うと母に失礼ですが、ご飯とみそ汁と(もう一品二品話したか)くらいで…。こんなに朝ごはんが楽しいとは思わなかった。(記者団にマイナス点を聞かれると)部屋が狭く、みんなそれぞれ工夫していますが…」と話した。

 Bさんは、「みなさんと関わり合いが持てて、英会話の勉強などもできるのがいい。門限もないし、セキュリティもしっかりしているので安心」などと語った。

 Aさんの「部屋が狭い」に記者はもう我慢ができなくなった。「椎名町」は12㎡(3.6坪=7.3畳大)もあるではないか。孫のような女性にきついことを言うのはかわいそうだとも思ったが、ここはしっかり言わないとだめだと決断し、年甲斐もなく「あなたは『狭い』と仰ったが、家賃を払う親も大変。わたしは北向きの3畳間に住んだことがある。いったい実家ではどれくらいの広さの個室を与えられていたのか」と質問というより詰問した。

 やや間があり、Aさんは「家は100坪で、わたしは10畳くらいでした」と、Bさんは「部屋の半分、5畳くらい」とそれぞれ答えた。「…」

 この二人に記者は「分譲マンションにすると、ここ志茂だと1,000万円くらい、椎名町は1,000万円をはるかに超える」と話しておいた。分かってくれたか。

 同社には、監視を強化すれば自立した社会人になれないのではないかと問いただしたら、大谷氏ら関係者は「悩ましい問題だが、自由を束縛するようなことは行わない」と答えた。しかし、共用部での飲酒・喫煙はダメで、部屋内での喫煙も禁止とか。お友達を招じ入れることは可能なようだ。洗濯機は男女別になっていた。

 このことが、寮・寄宿舎に関する労働基準法で禁止されている①外出又は外泊について使用者の承認を受けさせること②教育、娯楽その他の行事に参加を強制すること③共同の利益を害する場所及び時間を除き、面会の自由を制限すること-に違反はしていないのは確かに間違いない。

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 本日(2月27日)は、午前中に京王井の頭線西永福で三菱地所レジデンスの介護付き有料老人ホームの、午後は東京メトロ南北線志茂で東急不動産の学生レジデンスの完成見学会があった。前者は、月額約100万円の入居費用がかかる、身も蓋もない言い方をすれば「地獄の沙汰は金次第」の施設だし、後者もまた、貧乏学生もその親も負担しきれない、至れり尽くせりの寄宿舎であるという点ではよく似ており、その土地の価値を最大限生かすという視点からすれば、極めて魅力的、刺激的な取材だった。

◇       ◆     ◇

 小生は小生なりの視点で記事を書いているので他紙と争っている感覚は全くないが、基本的にニュースは速さが勝負だ。その意味では、不動産流通研究所のweb「R.E.poot」(以下、同紙)に完全に負けた。なぜ負けたか、業界紙の記者はどうあるべきかについて以下に書く。

 東京を起点にすると、本日の取材先はそれぞれ片道だけで1時間。取材時間は1時間半から2時間。社に戻ったら17:00過ぎだった。書くのをあきらめて、家に帰りいつも通り酒を飲んだ。

 午前中の地所レジの記事はともかく、東急不の記事は同紙も書かないと高をくくっていた。同紙の記者と小生は帰るまで一緒だったからだ。同紙は18:00にアップする。書く時間は30分あるかどうか。

 ところが同紙は地所レジも東急不もきちんと記事にしているではないか。伝えなければならないことを過不足なく伝えている(と思う。言いたいことは山ほどあるが、これは同社の経営に関わること)。ひょっとしたら予定原稿をあらかじめ書いており、コメントの部分だけ追加したのか。音声入力で書いていたのか。

 この早業にうっかりしていられないと思ったのだが、それ以上に小生が感心したのは、地所レジの取材に同紙は3人の記者を送り込んでいたことだ。同紙は若手記者を育てる意味もあり、都合がつけば極力見学会などに出席するようにしているという。これは先に生きてくる。記者として一人前になるには現場を見るしかないからだ。

 同紙と比べ情けないのは他紙。地所レジの見学会に出席したのは同紙を含めて20名。午後の東急不も同じくらい。昨日の野村不動産の武蔵小金井のマンション見学会は16名(同紙は2名)。一昨日の長谷工コーポレーションの千石の賃貸マンション見学会も20名(同)いたかどうか。全て参加した記者は数えるほどしかないはずだ。

 生き方は人それぞれ。小生がとやかく言う問題でもないが、ジャーナリズムの世界で生きていこうとするならば、現場取材を積み重ねる以外に近道はない。

 逆説的に言えば、こんなに有意義で面白い現場取材にせいぜい20人くらいしか集まらないのだから、それぞれが競争相手と考えれば、圧倒的な優位な立場に立てるわが業界の記者ほどやりがいのある仕事はない。

 小生は明日も2件の取材と、夜は楽しい飲み会もあるので、今日の記事はいつ書けるのか。同紙に先を越されたのはやや悔しいが、中身で勝負する。勝てない勝負、競争はするなということだ。地所レジの老人ホーム事業と東急不動産の学生マンション事業も同じだ。それぞれの会社の担当者はしてやったりの顔をしていた。

 

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